| 【発明の名称】 |
樹脂ナットおよびその製造方法、ならびにねじ送り装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】水谷 環
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| 【要約】 |
【課題】高い精度を有する樹脂ナット、および作業工程数を少なくできる該樹脂ナットの製造方法、ならびにこの樹脂ナットを用いたねじ送り装置を提供する。
【解決手段】外周面にねじが切られたコアピンを内設したキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂材料を注入する工程と、上記樹脂材料が固化した後にコアピンを回転させながら抜き取る工程とを備えてなる樹脂ナットの製造方法において、上記コアピンが、外周面に切られた少なくとも一方のねじ溝端部に不完全ねじ部を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 射出成形により得られる樹脂ナットであって、該樹脂ナットは、少なくとも一方のねじ山端部に不完全ねじ部を有することを特徴とする樹脂ナット。 【請求項2】 ねじ軸と、このねじ軸の軸上を摺動しながら相対移動する樹脂ナットとを有するねじ送り装置において、前記樹脂ナットが請求項1記載の樹脂ナットであることを特徴とするねじ送り装置。 【請求項3】 外周面にねじが切られたコアピンを内設したキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂材料を注入する工程と、前記樹脂材料が固化した後に前記コアピンを回転させながら抜き取る工程とを備えてなる樹脂ナットの製造方法において、前記コアピンが、外周面に切られた少なくとも一方のねじ溝端部に不完全ねじ部を有することを特徴とする樹脂ナットの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は樹脂ナットおよびその製造方法、ならびに該樹脂ナットを用いたねじ送り装置に関し、特に射出成形により得られる樹脂ナットのねじ山端部構造に関する。 【0002】 【従来の技術】樹脂ナットは多くの分野で採用されており、高い精度が要求されるねじ送り装置の分野においても用いられている。ねじ送り装置等の樹脂ナットは、熱可塑性樹脂材料の射出成形により製造されている。熱可塑性樹脂材料の射出成形による従来の樹脂ナットの製造方法を図5および図6を参照して説明する。図5は射出成形用金型の断面図であり、図6は従来の樹脂ナットの斜視図である。固定金型5と可動金型4とが衝合されてキャビティ3が形成され、このキャビティ3内にねじ山を有するコアピン6が配設されている。コアピン6の先端部は固定金型5の壁面に当接して、樹脂ナットの製品形状に合致するキャビティ3となる。次いで固定金型5に設けられているスプルー5aよりキャビティ3内に溶融状態の熱可塑性樹脂材料が注入される。キャビティ内の熱可塑性樹脂材料が固化した後、図示を省略した回転・移動機構により図面右側に移動するようにコアピン6を回転させつつ抜き取ることにより、樹脂ナット7が得られる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の方法で得られた樹脂ナット7は、端部のねじ山7aが徐々に肉薄になる。これは、図5において、固定金型5の壁面に当接しているコアピン6の先端部における溝6aが楔形になっているためである。その結果、樹脂ナット7の脱型時は、端部のねじ山7aがバリ状態となっているため、後工程としてねじ山端部の面取り加工が必須となっている。ねじ山端部の面取りを施した場合、エアーブロー等で切り粉を完全に除去しないと、コアピン6の回転脱型にともなう静電気によって切り粉がねじ部に付着し、精度低下の原因となる。また、樹脂ナットの寿命も短くなる。 【0004】さらに、コアピン6の回転脱型時に、僅かなコアピン6のぶれや外部からの衝撃により端末のねじ部が破損してしまい、均一なねじ山端部が得られない場合がある。このため、ねじ軸への組み込み性の悪化や精度低下さらにトルクの不安定化などの問題が生じる。また、従来の樹脂ナットの製造方法は、面取り加工が必須となることにより作業工程数が増加し、生産コストが増大するという問題がある。 【0005】本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、高い精度を有する樹脂ナット、および作業工程数を少なくできる該樹脂ナットの製造方法、ならびに該樹脂ナットを用いたねじ送り装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、射出成形により得られる樹脂ナットであって、該樹脂ナットは、少なくとも一方のねじ山端部に不完全ねじ部を有することを特徴とする。 【0007】また、本発明のねじ送り装置は、ねじ軸と、このねじ軸の軸上を摺動しながら相対移動する樹脂ナットとを有するねじ送り装置において、該樹脂ナットが不完全ねじ部を有する上記樹脂ナットであることを特徴とする。 【0008】また、本発明の製造方法は、外周面にねじが切られたコアピンを内設したキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂材料を注入する工程と、上記樹脂材料が固化した後にコアピンを回転させながら抜き取る工程とを備えてなる樹脂ナットの製造方法において、上記コアピンが、外周面に切られた少なくとも一方のねじ溝端部に不完全ねじ部を有することを特徴とする。 【0009】本発明において、不完全ねじ部とは、ねじ山またはねじ溝が一定の高さまたは深さ、あるいは幅を有さず、ねじ山端部に向かって高さまたは深さ、あるいは幅が徐々に小さくなり、最後にねじ山またはねじ溝が消滅することをいう。 【0010】不完全ねじ部を設けることにより、ねじ送り装置における樹脂ナットの移動が滑らかになり、トルク変動を抑えられる。また、ねじ山端部の面取り加工工数が減少するので生産コストが下がる。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の樹脂ナットの一例を図1により説明する。図1はねじ穴が貫通していない樹脂ナットの斜視図である。樹脂ナット1は、ねじ山の高さ、幅、傾斜が先端1aにおいて徐々に低くなり最後にねじ山が消滅する。このため、ねじ送り装置などを形成する際にねじ軸の組み込みが容易にできる。 【0012】樹脂ナットの製造方法を図2および図3により説明する。図2は射出成形金型のキャビティ内に配設されるコアピンの斜視図であり、図3は射出成形用金型の断面図である。コアピン2には、樹脂ナットのねじ山を形成するねじ溝2aが外周上に刻設されている。ねじ溝2aの先端2bは不完全ねじ部となっている。このコアピン2の先端部2cがキャビティ3内で固定金型5より離間されるように可動金型4に配設される。コアピン2は図示を省略した回転・移動機構により、キャビティ3内を前進後退する。固定金型5と可動金型4とが衝合されて形成されたキャビティ3内に、固定金型5に設けられているスプルー5aより溶融状態の熱可塑性樹脂材料が注入される。注入された熱可塑性樹脂材料が固化した後、図示を省略した回転・移動機構により図面右側に移動するようにコアピン2を回転させつつ抜き取ることにより、樹脂ナットが得られる。 【0013】この製造方法によると、コアピン2がキャビティ3内で貫通しておらず、また、ねじ溝2aの先端2bが不完全ねじ部としたので、樹脂ナット1の両側のねじ端部においてバリが発生しない。そのため、射出成形後の面取り加工が必要なくなる。また、コアピン2の回転による抜き取りの際にねじ端部において肉薄部が発生しないので、コアピン2の僅かなぶれなどよるねじ部の破損が生じない。そのため、寸法精度に優れた樹脂ナットが得られる。 【0014】本発明の他の樹脂ナットの製造方法を図4により説明する。図4は他の射出成形用金型の断面図である。コアピン2の先端部2cは固定金型5の壁面に当接して可動金型4に配設される。コアピン2に刻設されたねじ溝の一方の先端2bは不完全ねじ部となっている。また、先端部2cは不完全ねじ部あるいは完全ねじ部のいずれであってもよい。固定金型5と可動金型4とが衝合され、コアピン2の先端部2cが固定金型5の壁面に当接されて形成されたキャビティ3内に、スプルー5aより溶融状態の熱可塑性樹脂材料が注入される。注入された熱可塑性樹脂材料が固化した後、図示を省略した回転・移動機構により図面右側に移動するようにコアピン2を回転させつつ抜き取ることにより、樹脂ナットが得られる。 【0015】この製造方法によると、コアピン2はキャビティ3内を貫通しているが、ねじ溝2aの両端部を不完全ねじ部とした場合には、樹脂ナットの両側のねじ端部においてバリが発生しない。また、ねじ溝の一方の先端2bを不完全ねじ部とした場合には、パーティング面においてバリが発生する場合がある。しかし、この場合においても、射出成形後の面取り加工は片側だけとなるので、作業工程数が減少する。なお、いずれの製造方法でも、コアピン2の抜き取りは、必ずしも射出成形工程内で行なう必要はなく、コアピン2がついた状態で射出成型金型から取り出し、後工程によって抜き取ってもよい。 【0016】本発明に使用できる熱可塑性樹脂材料としては、たとえば、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリシアノアリールエーテル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、射出成形可能なフッ素樹脂等、また、これら合成樹脂に各種配合剤を配合した樹脂組成物を挙げることができる。 【0017】上記熱可塑性樹脂材料を用いて射出成形する場合、樹脂の一般的な成形条件より高い射出圧力を用いて射出成形することができる。具体的には、一般的な成形条件が 80〜110MPaであれば、上限を 150MPa 程度にして成形することができる。このような一般的条件より高い圧力下において成形することで、機械的強度、寸法精度に優れ、端部においてねじ山の折損などがない樹脂ナットが得られる。 【0018】また、本発明の樹脂ナットおよびその製造方法は、機械的強度、寸法精度に優れる樹脂ナットが得られるので、特にねじ送り装置の樹脂ナットに好適に適用することができる。 【0019】 【発明の効果】本発明は、射出成形により得られる樹脂ナットであって、該樹脂ナットが、少なくとも一方のねじ山端部に不完全ねじ部を有するので、樹脂ナットの端部においてもねじの寸法を高精度に維持することができる。 【0020】本発明のねじ送り装置は、上記樹脂ナットを用いているので、その移動が滑らかになり、トルク変動を抑えることができる。 【0021】本発明の製造方法は、外周面にねじが切られたコアピンを内設したキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂材料を注入する工程と、上記樹脂材料が固化した後にコアピンを回転させながら抜き取る工程とを備えてなる樹脂ナットの製造方法において、上記コアピンが、外周面に切られた少なくとも一方のねじ溝端部に不完全ねじ部を有するので、射出成形後の面取り工程が削減できる。その結果、樹脂ナットの生産コストが下がる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102692 【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月7日(1999.9.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100251 【弁理士】 【氏名又は名称】和気 操
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| 【公開番号】 |
特開2001−74118(P2001−74118A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【出願番号】 |
特願平11−252533 |
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