| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】大野 誉洋
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| 【要約】 |
【課題】トロイダル型無段変速機において、入、出力円板間に介在するローラの回転振れを抑制してトルク伝達能力を向上すること。
【解決手段】ローラ9の支軸13をローラ9と一体に形成する。支軸13の周面とこれに対向するキャリッジ11のボス部25との間に転がり軸受14を介在し、転がり軸受14を介して支軸13を回転自在に支持する。部品点数の削減により部品の組み付け誤差の累積を少なくでき、結果として、ローラ9の回転振れを抑制できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】入力円板と出力円板の間に形成されるトロイド状間隙にまたがって配置される回転子と、この回転子の支軸を転がり軸受を介して回転自在に支持するキャリッジとを備え、上記支軸と回転子を一体の部材により形成してあることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 【請求項2】入力円板と出力円板の間に形成されるトロイド状間隙にまたがって配置されるボス付き回転子と、この回転子のボスを転がり軸受を介して回転自在に支持する支軸と、この支軸の両端を固定するキャリッジとを備えることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 【請求項3】請求項1又は2に記載のトロイダル型無段変速機において、上記キャリッジはローラに潤滑油を供給する第1の経路と、この第1の経路から分岐し、上記転がり軸受に潤滑油を供給する第2の経路とを含むことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、入力円板と出力円板の間のトロイダル状間隙に介在する回転子をキャリッジによって回転自在に支持するトロイダル型無段変速機に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この種のトロイダル型無段変速機では、例えば特表平7−508578号公報に示すように、位置可変の複数群の回転子が、互いに反対方向に回転する入力用及び出力用の同軸円板の対向する面に形成された一部トロイド状の対応する軌道面間で牽引力を伝える。入力円板及び出力円板は、動力源に連なる入力軸を挿通させる中心孔を有しており、入力円板が入力軸に一体回転可能に連結されると共に、出力円板が入力軸に回転自在に支持されている。 【0003】上記の入力円板から出力円板に伝えられる回転速度は、回転子の位置が変わると変化する。すなわち、回転子が相対的に高い半径位置で入力円板と接触すると共に、相対的に低い半径位置で出力円板と接触する場合、出力円板は入力円板よりも早く回転し、バリエータは高ギヤ比に設定される。一方、回転子が相対的に低い半径位置で入力円板と接触すると共に、相対的に高い半径位置で出力円板と接触する場合、出力円板は入力円板よりも遅く回転し、バリエータは低ギヤ比に設定される。 【0004】通例、回転子はその支軸に直交する方向へ延びるキャリッジによって回転自在に支持されており、トーラスの中心円を含む平面に対してキャリッジの軸線が所定のキャスタ角を持って傾斜するようにしてある。また、入力円板と出力円板は油圧シリンダにより互いに近づけられる方向に付勢されている一方、回転子もこれを支持するキャリッジを介して油圧シリンダにより円板の軌道面に押し付けられる方向に付勢されている。そして、これら油圧シリンダが発生する油圧を制御することにより、回転子が受けるトルク伝達力にバランスする力を、キャリッジを介して回転子に与える。これにより、入力円板のトルクに対して出力円板のトルクが釣り合うようにローラ角度が変化し、適切なトルク比に維持する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来、図5に示すように、回転子91と支軸92を別部材で構成し、しかも、支軸92を転がり軸受93を介してキャリッジ94によって回転自在に支持していたので、回転子91が回転振れを発生するおそれがあった。回転振れを発生すると、システムのトルク伝達能力が低下する。一方、回転子91の支軸92を支持する転がり軸受93に対して、従来、潤滑油を供給する効果的な方法がなく、したがって、軸受寿命が短いため、無段変速機の使用に難があった。 【0006】本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的は回転子の回転振れを抑制してトルク伝達能力を向上することができるトロイダル型無段変速機を提供することである。本発明の第2の目的は、回転子を支持する軸受を寿命を長くできて耐久性を向上することができるトロイダル型無段変速機を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記第1の目的を達成するための課題解決手段として、請求項1記載の発明は、入力円板と出力円板の間に形成されるトロイド状間隙にまたがって配置される回転子と、この回転子の支軸を転がり軸受を介して回転自在に支持するキャリッジとを備え、上記支軸と回転子を一体の部材により形成してあることを特徴とするものである。本発明では、支軸と回転子を一体に形成したので、部品点数の削減により部品の組み付け誤差の累積を少なくできる。その結果、回転子の回転振れを抑制してトルク伝達能力を向上できる。 【0008】なお、請求項1において、上記支軸の外周面及びこれに対向するキャリッジの内周面の少なくとも一方に転がり軸受の軌道を形成してある場合には、部品点数をより削減して部品の組み付け誤差の累積をより少なくでき、結果として、回転子の回転振れをより抑制することができる。上記第1の目的を達成するための課題解決手段として、請求項2記載の発明は、入力円板と出力円板の間に形成されるトロイド状間隙にまたがって配置されるボス付き回転子と、この回転子のボスを転がり軸受を介して回転自在に支持する支軸と、この支軸の両端を固定するキャリッジとを備えることを特徴とするものである。本発明では回転子の支軸をキャリッジに固定するので、回転子の回動軸線の位置精度を向上でき、回転子の回転振れを抑制することができる。 【0009】なお、請求項2において、上記回転子のボスの内周面及び支軸の外周面の少なくとも一方に転がり軸受の軌道を形成してある場合には、部品点数の削減により部品の組み付け誤差の累積を少なくでき、結果として、回転子の回転振れをより抑制することができる。上記第2の目的を達成するための課題解決手段として、請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、上記キャリッジはローラに潤滑油を供給する第1の経路と、この第1の経路から分岐し、上記転がり軸受に潤滑油を供給する第2の経路とを含むことを特徴とするものである。本発明では、従来、潤滑不良になりがちであった転がり軸受に十分な潤滑油を供給でき、これにより無段変速機の耐久性を向上することができる。しかも、通例、第1の経路は設けられているので、このもともと設けられている経路に分岐経路を設けるのみの簡単な構成の付加にて上記の耐久性の向上を実現することができる。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1の実施の形態のトロイダル型無段変速機の要部の模式的断面図である。図1では、共通の軸線1を中心として回転可能な入力円板2と出力円板3を示しており、入力円板2はシャフト4を介して動力源5によって駆動される。各円板2,3にはそれぞれレース6,7が形成されており、これらレース6,7の表面は共通の軸線1を有する仮想トーラスの輪郭部の一部に一致している。トーラスの輪郭の他の部分8は破線で示されている。 【0011】回転子としてのローラ9は、円板2,3間のトロイド状間隙Sにまたがっており、レース6,7と接触して回転することによって、円板2,3間に牽引力を伝達する。ローラ9は軸線10を中心として回転するようにキャリッジ11内の転がり軸受によって回転自在に支持されている。ローラ9は通常3個で、軸線1を中心とする等角度距離に設けられているが、図1ではそのうち2つのローラのみを示してある。 【0012】キャリッジ11とローラ9が矢印12で示されるように傾斜することによって向きを変えて、入力円板2から出力円板3へ伝えられる変速比が変化する。ローラ9が入力円板2のレース6と比較的小さい半径で接触し、且つ出力円板3のレース7と比較的大きな半径で接触した場合には、変速機は低い変速比となる。逆に、ローラ9がレース6及びレース7とそれぞれ比較的大きな変速比及び比較的小さな変速比で接触したときには、出力円板3は入力円板2よりも高速で回転し、変速機は高い変速比となる。 【0013】次いで、ローラ9とこれを支持するキャリッジ11の要部を示す概略図である図2を参照して、キャリッジ11はローラ9と一体に形成された支軸13を回転自在に支持するための転がり軸受14を取り付けた第1の部分15と、この第1の部分15に固定された中空のリンクシャフトの形態を呈する第2の部分16とを含んでいる。第2の部分16は油圧シリンダ17内で移動自在なピストン18に連結されている。油圧シリンダ17はピストン18がローラ9に及ぼす力を制御し、この力がローラ9が受けるトルク反力とバランスするようになっている。 【0014】第1の部分15は、ローラ9の両端面に対して所定の隙間を設けて対向する一対の対向板19,20を有しており、これら対向板19,20同士はローラ9の周面9aの一部に所定の隙間を設けて対向する端板21で互いに連結されている。この端板21がリンクシャフトとしての第2の部分16の端部に固定されている。また、端板21には、油圧(圧送)ポンプ22によって中空シャフトからなる第2の部分16の内部の通路23を通して強制潤滑方式で送られる潤滑油をローラ9の周面9aに供給するためのポート24が開口されている。 【0015】また、第1の部分15はローラ9の両側にそれぞれ支軸13の両端を挿通させるボス部25を有し、各ボス部25と対応する支軸13の端部との間にそれぞれ転がり軸受14が介在している。各転がり軸受14は支軸13の端部を圧入させる内輪26と、ボス部25内に嵌め入れられてボス部25にかしめにより固定される外輪27と、内輪26と外輪27の間に介在する複数の転動体28とを備えている。29は支軸13の両端に形成されるねじ部30にねじ込まれて、支軸13からの内輪27の抜脱を防止するナットである。 【0016】本実施の形態によれば、支軸13をローラ9に一体に形成したので、部品点数の削減により部品の組み付け誤差の累積を少なくできる。その結果、ローラ9の回転振れを抑制して、トルク伝達能力を向上することができる。なお、上記支軸13の外周面及びこれに対向するキャリッジ11の内周面の少なくとも一方に転がり軸受14の軌道を形成しても良く、この場合、部品点数の削減により部品の組み付け誤差の累積をより少なくでき、結果として、ローラ9の回転振れをより抑制することができる。 【0017】次いで、図3は本発明の第2の実施の形態を示している。図3を参照して、本第2の実施の形態では、ローラ9の中心を軸方向に貫通して両側へ突出するボス31をローラ9に一体に形成し、このボス31を挿通する支軸32の対向する端部33,34を、キャリッジ11の第1の部分15の各対向板19,20にそれぞれ設けた一対の延設部35に固定してある。また、支軸32の対向する端部33,34の外周面とボス31の内周面との間にそれぞれ転がり軸受14を介在させ、これにより支軸32が転がり軸受14を介してボス31付きのローラ9を回転自在に支持している。 【0018】支軸32の対向する端部33,33には小径のねじ軸36が突出形成され、このねじ軸36は、上記一対の延設部34,34にそれぞれ形成された挿通孔を挿通した状態で支軸固定用のナット37により対応する延設部34に固定されている。また、支軸32の一端にはフランジ38が形成されている。一対の転がり軸受14の内輪26,26同士の間には支軸32を挿通させるスリーブ状のスペーサ39が介在しており、内輪26,26間の間隔を規制している一方、外輪27,27同士の間にはボス31の内周に遊嵌されたスリーブ状のスペーサ40が介在しており、外輪27,27間の間隔を規制している。41はフランジ38と反対側のねじ軸36にねじ込まれる内輪固定用のナットであり、このナット41と支軸32のフランジ38との間に、上記のスペーサ39を挟持した一対の内輪26,26が固定される。上記一対の延設部34,34は、このフランジ38とナット41を両側から挟持する状態で支軸32のねじ軸36に固定されている。 【0019】本実施の形態によれば、ローラ9の支軸32の両端をキャリッジ11に固定するので、ローラ9の回動軸線10の位置精度を向上でき、ローラ9の回転振れを抑制することができる。その結果、トルク伝達能力を向上することができる。なお、ローラ9のボス31の内周面及び支軸32の外周面の少なくとも一方に転がり軸受14の軌道を形成しても良く、この場合、部品点数の削減により部品の組み付け誤差の累積を少なくでき、結果として、ローラ9の回転振れをより抑制することができる。 【0020】次いで、図4は本発明の第3の実施の形態を示している。図4を参照して、本第3の実施の形態が図2の第1の実施の形態と主に異なるのは、第1の部分15の内部において、ローラ9の周面9aに潤滑油を供給する第1の経路42と、この第1の経路42から分岐し、上記転がり軸受14に潤滑油を供給する第2の経路43とを設けた点である。上記第2の経路43は、第1の部分15の内面と仕切り部材44の外面とによって仕切られている。仕切り部材44は、キャリッジ11の第1の部分15の端板21に対向する端板45と、この端板45の両端からローラ9と対応する対向板19,20との間を対応する対向板19,20に平行に転がり軸受14の内輪26まで延びる一対の仕切り板46とを備えている。 【0021】各外輪27の軸長は内輪26のそれよりも短くされており、これにより、各外輪27の端面と対応する仕切り板46との間には、転がり軸受14内に潤滑油を導入するための隙間が設けられいる。この隙間は第2の経路43の一部として構成されている。仕切り部材44の端板45には、ポート24に対向する位置にポート24よりも少し小さい径のポート47が形成されている。第1の部分15内において、ポート24からポート47を挿通してローラ9の周面9aに至る経路が第1の経路42であり、この第1の経路42のポート24,47間から分岐して第1の部分15の内面に沿いながら転がり軸受14の転動体28へ至る経路が第2の経路43である。なお、48は仕切り部材44の反対側において、内、外輪26,27間を塞ぐカバーであり、各カバー48は対応する対向板19,20に一体に形成されている。各カバー48は第2の経路43を通して対応する転がり軸受14内に供給された潤滑油が不必要に漏れ出すことを防止する働きをする。 【0022】本実施の形態では、図2の実施の形態と同様の作用効果を奏する。加えて、従来、潤滑不良になりがちであった転がり軸受14に対して十分な潤滑油を供給でき、これにより無段変速機の耐久性を向上することができる。しかも、これを、もともと設けられているローラ9用の潤滑経路(第1の経路42)から、仕切り部材44を用いて第2の経路43を分岐させるだけの簡単な構造にて実現することができる。 【0023】なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば、第3の実施の形態の潤滑経路の構成を第2の実施の形態に適用するとも可能である。ただし、この場合、仕切り部材はボスの両端へ回り込むように形成され、一対の転がり軸受14の互いに遠い側の端部から潤滑油を供給することになる。その他、本発明の範囲で種々の変更を施すことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001247 【氏名又は名称】光洋精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月6日(1999.9.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075155 【弁理士】 【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−74115(P2001−74115A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【出願番号】 |
特願平11−251891 |
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