| 【発明の名称】 |
自動変速機の変速制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】湯浅 弘之
【氏名】田中 芳和
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| 【要約】 |
【課題】摩擦係合要素の掛け替えを行う自動変速機において、変速後のギヤ比にまで制御する摩擦係合要素を的確に選択して、変速制御性を向上させる。
【解決手段】解放側摩擦係合要素の解放開始に伴うギヤ比(入力速度/出力速度)の変化方向が、増大方向である場合をパワーオン、減少方向である場合をパワーオフと区別する。そして、要求されるギヤ比の変化方向と解放開始に伴うギヤ比の変化方向とが一致するときには、解放側の係合油圧を制御して変速後のギヤ比にまで制御し、変化方向が一致しない場合には、締結側の係合油圧を制御して変速後のギヤ比にまで制御する。但し、パワーオフアップ変速時であって、入力軸トルクが所定以上であるときには、締結側の係合油圧を制御することで変速後のギヤ比にまで制御させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の変速制御装置であって、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴う変速機構のギヤ比の変化方向と、変速により前記ギヤ比が変化すべき方向とを比較し、前記ギヤ比の変化方向が一致する場合には、当該変速において前記解放側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御し、一致しない場合には、当該変速において締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御するよう構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 【請求項2】アップ変速でかつ前記ギヤ比の変化方向が一致する場合に、変速機構の入力軸トルクが所定値以上であるか否かを判別し、前記入力軸トルクが所定値以上であるときに、当該変速においては優先的に締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御させるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の変速制御装置。 【請求項3】前記変速機構の入力軸トルクを、変速に伴うイナーシャトルクで減算補正し、該補正された入力軸トルクと前記所定値とを比較させることを特徴とする請求項2記載の自動変速機の変速制御装置。 【請求項4】前記イナーシャトルクを目標変速時間に応じて設定することを特徴とする請求項3記載の自動変速機の変速制御装置。 【請求項5】前記締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御させる場合に、前記解放開始に伴うギヤ比の変化を収束させるべく、前記解放側摩擦係合要素及び/又は締結側摩擦係合要素の係合油圧を制御し、所定ギヤ比になってから前記締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御するよう構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動変速機の変速制御装置。 【請求項6】前記所定ギヤ比になるまでの間、変速前のギヤ比と変速機構の出力軸回転速度とから求められる基準の入力軸回転速度と、実際の入力軸回転速度との偏差の微分値に応じて、前記解放側摩擦係合要素及び/又は締結側摩擦係合要素の係合油圧を補正することを特徴とする請求項5記載の自動変速機の変速制御装置。 【請求項7】前記所定ギヤ比になるまでの間、締結側摩擦係合要素の係合油圧を漸増させる一方、ギヤ比が変化すべき方向と異なる方向へ変化している間、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を臨界圧付近に保持すると共に、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧を前記偏差の微分値に応じて増大補正し、前記ギヤ比の変化方向が反転した後は、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を前記偏差の微分値に応じて減少補正することを特徴とする請求項6記載の自動変速機の変速制御装置。 【請求項8】前記解放側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御させる場合に、前記変速後のギヤ比になるまでの間、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧をスタンバイ圧に保持し、略変速後のギヤ比にまで変化した後に、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を最小圧にまで漸減させると同時に、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧を前記スタンバイ圧から漸増させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動変速機の変速制御装置。 【請求項9】目標変速時間と変速前後のギヤ比とに基づいて、前記変速時間における目標の入力軸回転速度変化を設定し、実際の入力軸回転速度が前記目標の入力軸回転速度変化に追従するように、前記解放側摩擦係合要素又は締結側摩擦係合要素の係合油圧をフィードバック制御することによって、変速後のギヤ比になるまで制御するよう構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の自動変速機の変速制御装置。 【請求項10】変速判断に基づいて前記締結側摩擦係合要素の係合油圧をスタンバイ圧に制御して保持させる一方、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を漸減し、ギヤ比が変化し始めた時のギヤ比の変化方向に基づいて、変速後のギヤ比になるまで制御する摩擦係合要素を選択することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の自動変速機の変速制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は自動変速機の変速制御装置に関し、詳しくは、異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された車両用の自動変速機の変速制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、摩擦係合要素の締結・解放を油圧によって制御するよう構成すると共に、2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行わせる構成の自動変速機が知られている(特開平9−296862号公報、特開平9−296863号公報等参照)。 【0003】特開平9−296862号公報のものは、ダウン変速において、高車速かつ高トルクの場合には、解放側摩擦係合要素のみで変速を行い、低車速かつ低トルクの場合には、解放側と締結側との双方を用いて変速制御を行わせる構成となっている。 【0004】また、特開平9−296863号公報のものでは、アップ変速において、締結側摩擦係合要素を変速制御の主体として解放側摩擦係合要素を追従制御させるよう構成すると共に、このときの締結側摩擦係合要素の伝達トルク容量に対する解放側摩擦係合要素の伝達トルク容量の割合(分担率)を、高トルク状態と低トルク状態とで変化させる構成となっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のように、トルクや車速に応じて変速制御におけるメインの摩擦係合要素を選択させる構成では、解放側摩擦係合要素の係合油圧を低下させたときのギヤ比の変化方向に対応して最適な摩擦係合要素を確実に選択させることができず、変速時間が長くなったり、変速ショックを発生させる可能性があった。 【0006】即ち、解放側摩擦係合要素の係合油圧を低下させたときのギヤ比の変化方向が、要求されるギヤ比の変化方向とが一致する場合には、そのまま解放制御を進行させることで、短い変速時間で滑らかに変速させることができるが、逆に前記ギヤ比の変化方向が一致しない場合に、そのまま解放制御を進行させると、ギヤ比が要求とは異なる方向に大きく変化してしまって変速時間が長くなり、変速ショックの発生を抑止しつつ変速時間の短縮を図ることが困難になってしまう。従来のように、トルクや車速から摩擦係合要素を選択する構成では、車両が走行している路面勾配などの影響によって、所期の回転変化が得られずに変速時間が長くなったり、変速ショックを発生させる可能性があったものである。 【0007】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴うギヤ比の変化方向に対応して摩擦係合要素を的確に選択できるようにして、短い変速時間でかつ変速ショックの少ない掛け替え変速を実現できるようにすることを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】そのため請求項1記載の発明は、異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の変速制御装置であって、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴う変速機構のギヤ比の変化方向と、変速により前記ギヤ比が変化すべき方向とを比較し、前記ギヤ比の変化方向が一致する場合には、当該変速において前記解放側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御し、一致しない場合には、当該変速において締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御するよう構成した。 【0009】かかる構成によると、変速要求に基づいて解放すべき摩擦係合要素(解放側摩擦係合要素)と締結すべき摩擦係合要素(締結側摩擦係合要素)とが決定され、該決定に基づいて前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を低下させていって滑りが生じるようになると、変速機構の入力軸回転速度(タービン回転速度)と出力軸回転速度との比であるギヤ比が変化し始める。このときのギヤ比の変化方向と、要求されるギヤ比の変化方向とが一致しているか否かが判断され、該判断結果に基づいて解放側と締結側とのいずれを変速制御のメインとするかを選択する。 【0010】請求項2記載の発明では、アップ変速でかつ前記ギヤ比の変化方向が一致する場合に、変速機構の入力軸トルクが所定値以上であるか否かを判別し、前記入力軸トルクが所定値以上であるときに、当該変速においては優先的に締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御させるよう構成した。 【0011】かかる構成によると、ギヤ比の変化方向が一致する場合には、解放側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御させるのが基本であるが、アップ変速であって然も解放開始時点における入力軸トルクが所定値以上であるときには、たとえギヤ比の変化方向が一致する場合であっても、締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御させる。 【0012】請求項3記載の発明では、前記変速機構の入力軸トルクを、変速に伴うイナーシャトルクで減算補正し、該補正された入力軸トルクと前記所定値とを比較させる構成とした。 【0013】かかる構成によると、回転低下に伴って発生し伝達トルクに付加されるイナーシャトルク、又は、回転上昇のために伝達トルクから減算されるイナーシャトルクによって入力軸トルクを補正し、該補正した入力軸トルクに基づいて締結側摩擦係合要素の制御で変速を行わせるか否かを判断する。 【0014】請求項4記載の発明では、前記イナーシャトルクを目標変速時間に応じて設定する構成とした。かかる構成によると、目標変速時間の違いによるイナーシャトルクの変化に対応して、変速に伴うイナーシャトルクが設定される。 【0015】請求項5記載の発明では、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御させる場合に、前記解放開始に伴うギヤ比の変化を収束させるべく、前記解放側摩擦係合要素及び/又は締結側摩擦係合要素の係合油圧を制御し、所定ギヤ比になってから前記締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御するよう構成した。 【0016】かかる構成によると、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴ってギヤ比が要求される変速方向とは異なる方向に変化する場合、まず、かかる逆方向へのギヤ比の変化を収束させるべく解放側及び/又は締結側の係合油圧を制御し、ギヤ比の変化方向が反転して所定ギヤ比になってから変速後の目標ギヤ比に向けて変速させる。 【0017】請求項6記載の発明では、前記所定ギヤ比になるまでの間、変速前のギヤ比と変速機構の出力軸回転速度とから求められる基準の入力軸回転速度と、実際の入力軸回転速度との偏差の微分値に応じて、前記解放側摩擦係合要素及び/又は締結側摩擦係合要素の係合油圧を補正する構成とした。 【0018】かかる構成によると、変速前のギヤ比と変速機構の出力軸回転速度とから求められる基準の入力軸回転速度は、変速前のギヤ比における入力軸回転速度であり、該基準の入力軸回転速度と実際の入力軸回転速度との偏差の微分値から、基準から離れつつあるか、基準に近づきつつあるかを判断でき、これは、ギヤ比が要求とは異なる方向に変化しているか、変化方向が反転して要求ギヤ比に向けて変化しているかを表すことになり、更に、変化速度が判定され、これらの情報に基づいて係合油圧を補正することで、要求とは異なる方向へのギヤ比の変化を収束させる。 【0019】請求項7記載の発明では、前記所定ギヤ比になるまでの間、締結側摩擦係合要素の係合油圧を漸増させる一方、ギヤ比が変化すべき方向と異なる方向へ変化している間、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を臨界圧付近に保持すると共に、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧を前記偏差の微分値に応じて増大補正し、前記ギヤ比の変化方向が反転した後は、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を前記偏差の微分値に応じて減少補正する構成とした。 【0020】かかる構成によると、ギヤ比が変化すべき方向と異なる方向へ変化している間、解放側を臨界状態に保持することで、更なる逆方向への変化の発生を抑止する一方で、締結側の係合油圧を、逆方向への変化速度が早いほど増大補正して、逆方向への変化の収束を図り、ギヤ比の変化方向が反転して要求されるギヤ比に向けて変化し始めると、締結側の係合油圧が漸増することによる回転落ち(ロック)を回避すべく、反転後の回転変化速度が早いほど、解放側の係合油圧を減少補正して締結の進行に対応して解放を進めるようにする。 【0021】請求項8記載の発明では、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御させる場合に、前記変速後のギヤ比になるまでの間、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧をスタンバイ圧に保持し、略変速後のギヤ比にまで変化した後に、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を最小圧にまで漸減させると同時に、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧を前記スタンバイ圧から漸増させる構成とした。 【0022】かかる構成によると、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴って変速要求に沿った方向にギヤ比が変化する場合、締結側の係合油圧をスタンバイ圧に保持させた状態で解放側の係合油圧を制御して、ギヤ比を変速後の目標付近にまで変化させる。その後、解放制御と締結制御とを同時進行させ、変速制御を終了する。 【0023】請求項9記載の発明では、目標変速時間と変速前後のギヤ比とに基づいて、前記変速時間における目標の入力軸回転速度変化を設定し、実際の入力軸回転速度が前記目標の入力軸回転速度変化に追従するように、前記解放側摩擦係合要素又は締結側摩擦係合要素の係合油圧をフィードバック制御することによって、変速後のギヤ比になるまで制御するよう構成した。 【0024】かかる構成によると、目標の変速時間で変速前のギヤ比から変速後のギヤ比にまで変化するときの入力軸回転速度の変化を目標として設定し、実際の入力軸回転速度が前記目標の変化特性に追従して変化するように、解放側又は締結側の係合油圧をフィードバック制御することによって、変速後のギヤ比になるまで制御する。 【0025】請求項10記載の発明では、変速判断に基づいて前記締結側摩擦係合要素の係合油圧をスタンバイ圧に制御して保持させる一方、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を漸減し、ギヤ比が変化し始めた時のギヤ比の変化方向に基づいて、変速後のギヤ比になるまで制御する摩擦係合要素を選択する構成とした。 【0026】かかる構成によると、変速要求が判別されると、締結側の係合油圧をその後の締結制御の開始に備えてスタンバイ圧にまで増大させて保持させる一方、解放側の係合油圧を漸減させる。そして、解放側の解放開始(滑りの発生)に伴ってギヤ比が変化し始めると、その方向に基づいて変速後のギヤ比にまで変化させるときの制御対象とする摩擦係合要素を選択して、該選択結果に応じてその後の変速制御を行わせる。 【0027】 【発明の効果】請求項1記載の発明によると、解放側摩擦係合要素の解放によってギヤ比がどの方向に変化するかに応じて、変速後のギヤ比にまで制御するのに最適な摩擦係合要素が選択され、変速時間が長くなったり、変速ショックが発生することを回避できるという効果がある。 【0028】請求項2記載の発明によると、例えば下り坂での車速増加に伴うアップ変速時であって、変速機構に対する入力トルクが比較的高いため解放制御によるギヤ比変化が遅くなるときに、解放側の制御に代えて締結側の制御によって変速後のギヤ比にまで制御させることで変速時間を短くできるという効果がある。 【0029】請求項3記載の発明によると、回転変化に伴うイナーシャトルクの発生を考慮して、変速機構の入力軸トルクを精度良く判断できるという効果がある。請求項4記載の発明によると、回転変化に伴うイナーシャトルクを、簡便かつ精度良く設定できるという効果がある。 【0030】請求項5記載の発明によると、解放開始に伴う逆方向へのギヤ比変化を最小限に抑制して、早期に変速後のギヤ比に向けた制御を行わせることができるという効果がある。 【0031】請求項6記載の発明によると、変速前の入力軸回転速度からの変化方向及び変化速度に応じて係合油圧を補正することで、解放開始に伴う逆方向へのギヤ比変化を精度良くかつ効率良く収束させることができるという効果がある。 【0032】請求項7記載の発明によると、解放開始に伴う逆方向へのギヤ比変化を抑制しつつ、ロック(出力軸トルクの落ち込み)を防止できるという効果がある。請求項8記載の発明によると、解放側の係合油圧の制御によって速やかに変速後のギヤ比にまで変化させた後、伝達トルクの掛け替えを行わせることができるという効果がある。 【0033】請求項9記載の発明によると、目標変速時間内でギヤ比を変速後のギヤ比にまで確実に変化させることができるという効果がある。請求項10記載の発明によると、締結制御の開始に備えつつ、解放側摩擦係合要素を解放開始状態にまで確実に制御でき、また、解放開始状態(臨界状態)を基準とした解放側の制御を精度良く行わせることができるという効果がある。 【0034】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明する。図1は、実施の形態における自動変速機の変速機構を示すものであり、エンジンの出力がトルクコンバータ1を介して変速機構2に伝達される構成となっている。 【0035】前記変速機構2は、2組の遊星歯車G1,G2、3組の多板クラッチH/C,R/C,L/C、1組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキL&R/B、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構成される。 【0036】前記2組の遊星歯車G1,G2は、それぞれ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。前記遊星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。 【0037】前記遊星歯車組G2のサンギヤS2は、入力軸INに直結される。前記遊星歯車組G1のキャリアc1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸Iに結合可能に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリングギヤr2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1のキャリアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リバースブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャリアc1を固定できるようになっている。 【0038】そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャリアc2とが一体的に直結されている。上記構成の変速機構2において、1速〜4速及び後退は、図2に示すように、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせによって実現される。 【0039】尚、図2において、丸印が締結状態を示し、記号が付されていない部分は解放状態とすることを示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレーキL&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジでのみの締結を示すものとする。 【0040】前記図2に示す各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせによると、例えば、4速から3速へのダウンシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解放を行う共にロークラッチL/Cの締結を行い、3速から2速へのダウンシフト時には、ハイクラッチH/Cの解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、2速から3速へのアップシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解放を行うと共にハイクラッチH/Cの締結を行い、3速から4速へのアップシフト時には、ロークラッチL/Cの解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、上記のように、クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結と解放とを同時に制御して摩擦係合要素の掛け替えを行う変速を掛け替え変速と称するものとする。 【0041】前記各クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)は、供給油圧によって動作するようになっており、各クラッチ・ブレーキに対する供給油圧は、図3に示すソレノイドバルブユニット11に含まれる各種ソレノイドバルブによって調整される。 【0042】前記ソレノイドバルブユニット11の各種ソレノイドバルブを制御するA/Tコントローラ12には、A/T油温センサ13,アクセル開度センサ14,車速センサ15,タービン回転センサ16,エンジン回転センサ17,エアフローメータ18等からの検出信号が入力され、これらの検出結果に基づいて、各摩擦係合要素における係合油圧を制御する。 【0043】尚、図3において、符号20は、前記自動変速機と組み合わされるエンジンを示す。ここで、前記A/Tコントローラ12による掛け替え変速の様子を、図4〜図28のフローチャートに従って説明する。 【0044】図4のフローチャートは、アップ変速又はダウン変速の要求を判別すると共に、変速をパワーオン変速とパワーオフ変速とのいずれかに判別して変速制御を行うメインルーチンを示す。 【0045】ステップS1では、現在の変速段Cur#GRと、アクセル開度と車速とに基づき変速マップから検索した変速段NEXT#GRとを比較することで変速の必要があるか否かを判別する。 【0046】Cur#GR=NEXT#GRであって、変速の必要がないときには、ステップS2へ進み、各摩擦係合要素の係合油圧を、非変速時の制御仕様に従って制御する。一方、Cur#GR≠NEXT#GRであって、変速が必要であるときには、ステップS3へ進み、現在の変速段Cur#GRよりもマップから求めた変速段NEXT#GRが高速段側であるか否かを判別することで、アップ変速とダウン変速とのいずれかに判別する。 【0047】現在の変速段Cur#GRよりも変速マップから求めた変速段NEXT#GRが高速段側であれば、ステップS4へ進んでアップ変速と判断し、それ以外は、ステップS5へ進んでダウン変速と判断する。 【0048】ステップS6では、変速機構の出力軸回転速度Noと変速前の変速段におけるギヤ比(入力軸回転速度/出力軸回転速度)とから得られる基準タービン回転速度(基準入力軸回転速度)と、実際の変速機構のタービン回転速度Nt(入力軸回転速度)とが略一致しているか否かを判別する。 【0049】前記の略一致とは、詳細には、基準タービン回転速度−ヒステリシス値HYS2と基準タービン回転速度+ヒステリシス値HYS1とで挟まれる範囲内に、そのときのタービン回転速度Ntが含まれる場合を示す。 【0050】尚、タービン回転速度Ntを出力軸回転速度で除算した値がそのときのギヤ比であり、基準タービン回転速度(基準入力軸回転速度)を出力軸回転速度で除算した値が変速前のギヤ比に相当するから、上記の基準タービン回転速度(基準入力軸回転速度)と、実際の変速機構のタービン回転速度Nt(入力軸回転速度)との比較は、そのときのギヤ比と変速前のギヤ比とを比較していることと実質的に同じである。 【0051】前記基準タービン回転速度と実際のタービン回転速度Ntとが異なるようになるまでは、ステップS7へ進み、準備フェーズ処理を行わせる。前記準備フェーズ処理は、後に詳細に説明するが、解放側摩擦係合要素の係合油圧を非変速時の油圧から臨界圧に向けて徐々に低下させる一方、締結側摩擦係合要素の係合油圧をスタンバイ圧に制御して保持させる処理である(図29〜31参照)。 【0052】上記準備フェーズ処理における解放側摩擦係合要素の係合油圧の低下によって、解放側摩擦係合要素が滑り出し、その結果、タービン回転速度Ntと基準タービン回転速度Ntとが異なるようになると、ステップS8へ進む。 【0053】ステップS8では、基準タービン回転速度とヒステリシス値HYS1(例えば10rpm)との加算値よりも、実際のタービン回転速度Ntが高いか否かを判別する。 【0054】基準タービン回転速度とヒステリシス値HYS1との加算値よりも、実際のタービン回転速度Ntが高い場合には、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴って、タービン回転速度Nt(ギヤ比)が増大変化したものと判断される。そして、この場合には、ステップS9へ進んで、パワーオン変速と判断し、前記準備フェーズ処理に続けてパワーオンアップ変速制御又はパワーオンダウン変速制御を行わせる。 【0055】実際のタービン回転速度Ntが、基準タービン回転速度とヒステリシス値HYS1との加算値以下であるときには、ステップS10へ進み、基準タービン回転速度からヒステリシス値HYS2を減算した値よりも、実際のタービン回転速度Ntが低いか否かを判別する。 【0056】基準タービン回転速度からヒステリシス値HYS2を減算した値よりも、実際のタービン回転速度Ntが低い場合には、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴って、タービン回転速度Nt(ギヤ比)が減少変化したものと判断される。そして、この場合には、ステップS11へ進んで、パワーオフ変速と判断し、前記準備フェーズ処理に続けてパワーオフアップ変速制御又はパワーオフダウン変速制御を行わせる。 【0057】即ち、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴って、タービン回転速度Ntが増大変化するときには、エンジンによる駆動状態(パワーオン状態)でエンジンの駆動負荷が小さくなったために回転が上昇した(空吹けした)ものと推定され、また、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴って、タービン回転速度Ntが減少変化するときには、エンジンによる駆動状態ではないもの(パワーオフ状態)と推定されるものである。 【0058】上記のように変速を、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴ってタービン回転速度(ギヤ比)が増大するパワーオン変速と、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴ってタービン回転速度(ギヤ比)が減少するパワーオフ変速とに判別し、同じアップ変速又はダウン変速であっても、パワーオン変速とパワーオフ変速とで異なる変速制御を実行させるようにしてある。 【0059】尚、上記では、出力軸回転速度Noと変速前のギヤ比(入力軸回転速度/出力軸回転速度)とから得られる基準タービン回転速度と、実際の変速機構のタービン回転速度Ntとを比較することで、解放側の解放開始に伴うギヤ比の変化方向を判別させたが、タービン回転速度Ntと出力軸回転速度Noとからギヤ比を算出して、変速前のギヤ比と比較させ、ギヤ比の変化方向を判別させる構成としても良い。 【0060】また、変速後のギヤ比から変速後のタービン回転速度を基準速度として求め、この変速後のタービン回転速度に実際のタービン回転速度Ntが近づくか否かを判別させるか、又は、変速後のギヤ比にそのときのギヤ比が近づくか否かを判別させ、これによって、ギヤ比の変化方向を判別させる構成としても良い。 【0061】ここで、アップ・ダウン変速及びパワーオン変速・パワーオフ変速において共通に実行される準備フェーズ処理(ステップS7)を以下に説明する。図5のフローチャートは、解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理のメインルーチンを示すものであり、ステップS31では、変速判断から所定時間TIMER1だけ経過したか否かを判別する。 【0062】前記所定時間TIMER1内であれば、ステップS32へ進み、解放初期油圧の演算を行う。前記解放初期油圧は、解放制御を行う初期圧であり、非変速時の油圧から前記解放初期油圧まで、前記所定時間TIMER1内で低下させるようにする。 【0063】前記ステップS32の解放初期油圧の演算は、図6のフローチャートに詳細に示してあり、ステップS321では、今回解放制御を行う摩擦係合要素の非変速時油圧Po0(指示圧)と、前記摩擦係合要素の解放初期油圧Po1(指示圧)とを算出する。 【0064】前記非変速時油圧Po0は、Po0=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(0))+Prtn-oとして算出される。 【0065】ここで、K1は、解放側の摩擦係合要素の伝達トルク容量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換するための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶されている。また、Ttは、変速機構の入力軸トルクの推定値であり、例えば吸入空気量・エンジン回転速度などから推定されるエンジンの出力トルクと、トルクコンバータのトルク比とから推定される。Tr-oは、前記入力軸トルクTtに対して、解放側摩擦係合要素が滑りを生じる臨界伝達トルク容量を求めるための解放臨界トルク比である。余裕代(0)は、前記臨界伝達トルク容量に対して余裕分の伝達トルク容量を付加するための補正係数であり、例えば3.0程度の値として予め記憶されている。Prtn-oは、解放側のスタンバイ圧(解放側リターンスプリング圧)であり、摩擦係合要素毎に予め記憶される。 【0066】一方、前記解放初期油圧Po1は、Po1=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(1))+Prtn-oとして算出される。 【0067】即ち、非変速時油圧Po0の演算式に対して、余裕代の部分のみが異なり、解放初期油圧Po1の演算式においては、余裕代(1)を1.2程度の比較的低い値とする。 【0068】尚、前記余裕代(1)(=1.2程度)は、入力軸トルクの推定誤差が予想される範囲内で発生しても、解放側摩擦係合要素が締結状態を保持できる値として設定される。 【0069】非変速時には、前記非変速時油圧Po0に制御されるが、変速要求に伴って解放するときに、前記所定時間TIMER1内で、前記非変速時油圧Po0から解放初期油圧Po1まで低下させるものであり、ステップS322では、前記所定時間TIMER1内での油圧減少勾配Rmp−Po1を、Rmp−Po1=(Po0−Po1)/TIMER1として算出する。 【0070】そして、前記非変速時油圧Po0から単位時間毎に(Rmp−Po1)だけ油圧を減少させ、所定時間TIMER1が経過した時点で、解放初期油圧Po1まで低下するようにする。 【0071】上記のようにして所定時間TIMER1内で解放初期油圧Po1まで低下させた後、ステップS33で、基準タービン回転速度(No×変速前のギヤ比)とタービン回転速度Ntとが略一致すると判断される間においては、ステップS34の分担比ランプ制御を実行する。 【0072】前記ステップS34の分担比ランプ制御の詳細は、図7のフローチャートに示してあり、ステップS341では、前記解放初期油圧Po1を算出し、また、解放油圧Po2を算出する。 【0073】前記解放油圧Po2(指示圧)は、Po2=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(2))+Prtn-oとして算出されるものであり、前記余裕代(2)として1.0よりも小さい例えば0.8程度の値を用いる(余裕代(0)>余裕代(1)>0>余裕代(2):図32参照)。 【0074】ステップS342では、所定時間TIMER2内で、前記解放初期油圧Po1から解放油圧Po2まで低下させるための油圧ランプ勾配(単位時間当たりの油圧減少幅)を、Rmp−Po2=(Po1−Po2)/TIMER2として算出する。 【0075】そして、前記所定時間TIMER1経過した時点から所定時間TIMER2内で、かつ、タービン回転速度Ntが基準タービン回転速度(No×変速前のギヤ比)と略一致する判断される状態では、単位時間毎に(Rmp−Po2)だけ油圧を減少させる。 【0076】前記勾配Rmp−Po2により係合油圧を徐々に減少させると、余裕代が1.0付近になった時点で、基準タービン回転速度(No×変速前のギヤ比)とタービン回転速度Ntとが一致しなくなることで、解放側の伝達トルク容量が臨界付近にまで低下したことを間接的に知ることができる。 【0077】一方、締結側の準備フェーズ処理は、図8のフローチャートに示される。図8のフローチャートは、締結側の準備フェーズ処理を示すものであり、ステップS41で、タービン回転速度Ntと、基準タービン回転速度(出力軸回転速度No×変速前のギヤ比)とが略一致しているか否かを判別し、略一致している間においては、ステップS42へ進む。 【0078】ステップS42では、変速判断から所定時間TIMER0内であるか否かを判別し、前記所定時間TIMER0内であれば、ステップS43へ進み、締結側摩擦係合要素の係合油圧を、摩擦係合要素毎に予め決められた所定のプリチャージ圧までステップ的に増大させ、前記所定時間TIMER0内で前記プリチャージ圧を保持させるようにする。 【0079】そして、前記所定時間TIMER0が経過すると、ステップS44へ進み、締結側摩擦係合要素の係合油圧を前記プリチャージ圧よりも低いスタンバイ圧までステップ的に低下させ、該スタンバイ圧を保持させるようにする。 【0080】次に、前記準備フェーズに続く、パワーオン変速・パワーオフ変速の判別結果に基づく変速制御の詳細、即ち、ステップS9,S11の詳しい処理内容を、図9のフローチャートに従って説明する。 【0081】図9のフローチャートにおいては、前記パワーオンアップ変速・パワーオフアップ変速・パワーオンダウン変速・パワーオフダウン変速の別に基づいて、変速を行わせるときのメインの制御要素、即ち、変速後のギヤ比にまで変化させるときに制御対象とする摩擦係合要素(以下、メイン制御要素ともいう)が決定される。 【0082】ステップS201では、アップ変速であるか否かを判別し、アップ変速であれば、ステップS202へ進む。ステップS202では、パワーオン変速であるか否かを判別し、パワーオンアップ変速であるときには、ステップS203へ進んで、メイン制御要素として締結側の摩擦係合要素を選択し、締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によってギヤ比を変速後の変速段のギヤ比にまで変化させる設定を行う。 【0083】パワーオン変速は、解放側の解放開始に伴ってギヤ比が増大変化する変速であり、アップ変速は、ギヤ比を減少変化させる変速であるから、両者のギヤ比の変化方向が異なり、この場合に、締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御によってギヤ比を変速後のギヤ比にまで変化させる設定を行う。 【0084】また、パワーオンアップ変速でないとき、即ち、パワーオフアップ変速であるときには、ステップS204へ進み、解放開始判断を行ったときの入力軸トルク推定値Ttから変速(回転減少変化)によるイナーシャトルクTinrを減算した値が所定値よりも大きいか否かを判別する。 【0085】尚、前記イナーシャトルクTinrは、図33に示すように、目標変速時間に対応するテーブル値として予め記憶されている。そして、Tt−Tinrが所定値よりも大きい場合、には、ステップS205へ進み、パワーオン変速時と同様に、メイン制御要素として締結側の摩擦係合要素を選択する。 【0086】一方、Tt−Tinrが所定値以下の場合には、ステップS206へ進み、メイン制御要素として解放側の摩擦係合要素を選択し、解放側摩擦係合要素の係合油圧の制御によってギヤ比を変速後の変速段のギヤ比にまで変化させるようにする。 【0087】パワーオフ変速は、解放側の解放開始に伴ってギヤ比が減少変化する変速であり、アップ変速は、ギヤ比を減少変化させる変速であるから、両者のギヤ比の変化方向が同じであり、基本的には、解放制御によってギヤ比を変速後のギヤ比にまで変化させることができる。しかし、Tt−Tinrが所定値よりも大きい場合には、締結側摩擦係合要素で変速後のギヤ比にまで変化させる設定を行う。これは、Tt−Tinrが所定値よりも大きい場合には、解放を進行させてもギヤ比がなかなか変速後のギヤ比にまで変化しないことがあるため、締結制御によって早期に変速後のギヤ比まで制御させるものである。 【0088】また、ステップS201で、アップ変速でなくダウン変速であると判別されると、ステップS207へ進む。ステップS207では、パワーオンダウン変速であるか否かを判別し、パワーオンダウン変速であるときには、ステップS208へ進んでメイン制御要素として解放側の摩擦係合要素を選択し、パワーオンダウン変速でないとき、即ち、パワーオフダウン変速であるときには、ステップS209へ進んでメイン制御要素として締結側の摩擦係合要素を選択する。 【0089】パワーオフ変速は、解放側の解放開始に伴ってギヤ比が減少変化する変速であり、ダウン変速は、ギヤ比を増大変化させる変速であるから、両者のギヤ比の変化方向が異なり、パワーオフダウン変速では、締結制御によってギヤ比を変速後の変速段のギヤ比にまで変化させる。また、パワーオン変速は、解放側の解放開始に伴ってギヤ比が増大変化する変速であり、ダウン変速は、ギヤ比を増大変化させる変速であるから、両者のギヤ比の変化方向が一致し、パワーオンダウン変速では、解放制御によってギヤ比を変速後のギヤ比にまで変化させる。 【0090】上記メイン制御要素の決定が行われるステップS203,S205,S206,S208,S209に続けて、ステップS211〜S215において準備フェーズに続く変速制御(イナーシャフェーズ又はトルクフェーズ)が行われることになるが、ここでは、メイン制御要素を締結側摩擦係合要素とするパワーオンアップ変速(ステップS211)を、図29のタイムチャートを参照しつつ、図10のフローチャートに従って説明する。 【0091】尚、パワーオンアップ変速と同様にメイン制御要素として締結側が選択される、パワーオフダウン変速、及び、パワーオフアップ変速であるがTt−Tinrが所定値よりも大きい場合(以下、パワーオフアップ変速(1)という)は、解放側摩擦係合要素の解放開始に基づく回転変化の方向の違いに対応するための処理が異なるだけで、基本的な制御はパワーオンアップ変速と共通になる。尚、図30には、パワーオフダウン変速におけるトルクフェーズにおけるタービン回転変化の特性及び油圧制御特性を示してある。 【0092】そこで、パワーオフダウン変速、及び、パワーオフアップ変速(1)(ステップS215,S212)については、以下のパワーオンアップ変速(ステップS211)の説明において、異なる部分についてのみ説明し、個別の説明は省略する。 【0093】図10のフローチャートは、パワーオンアップ変速における変速制御(ステップS211)の概略を示すものであり、前述の準備フェーズ処理に伴うタービン回転速度Ntの変化があってから、予め設定されるフィードバック(F/B)開始ギヤ比までギヤ比が変化したか否かをステップS1001で判別し、F/B開始ギヤ比までギヤ比が変化するまでの間、ステップS1002へ進んで、トルクフェーズ処理を行う。 【0094】そして、F/B開始ギヤ比までギヤ比が変化すると、ステップS1003へ進み、予め設定されるフィードバック(F/B)終了ギヤ比までギヤ比が変化したか否かを判別し、F/B終了ギヤ比までギヤ比が変化するまでの間、ステップS1004へ進んで、イナーシャフェーズ処理を行う。 【0095】F/B終了ギヤ比までギヤ比が変化すると、ステップS1005へ進み、イナーシャフェーズ終了から所定時間TIMER7だけ経過したか否かを判別し、所定時間TIMER7内であれば、ステップS1006へ進んで、終了フェーズ処理を行わせ、所定時間TIMER7が経過した時点で変速制御を終了させる。 【0096】ここで、前記パワーオンアップ変速におけるトルクフェーズ処理について説明する。図11のフローチャートは、解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理の様子を示すものであり、ステップS51では、タービン回転速度Ntと基準タービン回転速度(No×変速前のギヤ比)との偏差の時間微分値が負であるか否かを判別する。 【0097】そして、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)≧0である間、即ち、タービン回転速度Ntと基準タービン回転速度(No×変速前のギヤ比)との偏差が増大変化している間は、ステップS52へ進み、トルク分担比保持制御を行う。 【0098】前記トルク分担比保持制御は、図12に詳しく示してある。図12のフローチャートにおいて、ステップS521では、解放側摩擦係合要素の解放開始が判定された時点の余裕代Trを求める。 【0099】尚、解放開始の判定には遅れが生じるので、判定時から判定遅れの時間だけ前の時点の余裕代を推定するようにしても良い。次のステップS522では、前記余裕代Trに基づいて、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)≧0である間の解放側の油圧Po3を演算する。 【0100】 Po3=K1×(Tt×Tr-o×余裕代Tr)+Prtn-o一方、図11のフローチャートのステップS51でd/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)<0であると判別されると、ステップS53へ進み、解放トルク補正制御を行う。 【0101】前記解放トルク補正制御は、図13に詳しく示してある。ステップS531では、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)の大きさに応じて、解放補正トルクThosei-oを図34に示すようなテーブルを参照して算出する。 【0102】前記解放補正トルクThosei-oは、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)が0以上であるときに0で、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)が負であるときに、その絶対値が大きくなるほど絶対値の大きな負の値に設定される構成となっている。 【0103】次のステップS532では、前記解放補正トルクThosei-oを用いて入力軸トルクTtを補正して解放油圧Po4を算出する。 Po4=K1×[(Tt+Thosei-o)×Tr-o×余裕代Tr]+Prtn-o上記解放油圧Po4の演算によると、後述する締結側の係合油圧の漸増に対応して、解放補正トルクThosei-oにより入力軸トルクの減少補正がなされて解放油圧が漸減され、出力軸トルクの落ち込みが回避される。 【0104】そして、ギヤ比がF/B開始ギヤ比を超えてアップシフト方向に変化した時点で、そのときの解放油圧から油圧=0にまでステップ変化させる。尚、パワーオフダウン変速及びパワーオフアップ変速(1)では、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴って回転低下が生じるので、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)がマイナスである間において解放側を臨界圧に保持させる一方、前記補正トルクThosei-oをd/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)がプラスであるときにその絶対値が大きくなるほど絶対値の大きな負の値に設定させるようにして、締結制御の進行に伴う回転の回復に応じて徐々に解放側の油圧を低下させるようにする。 【0105】一方、締結側のトルクフェーズ処理は、図14のフローチャートに示すようにして行われる。ステップS61では、解放側摩擦係合要素の解放開始を判定し、解放が開始されるとステップS62へ進む。 【0106】ステップS62では、解放開始から所定時間TIMER3が経過したか否かを判別する。そして、前記所定時間TIMER3内であると判別されると、ステップS63へ進み、締結側の準備油圧制御を行う。 【0107】前記準備油圧制御の様子は、図15のフローチャートに示してある。ステップS631では、締結側摩擦係合要素がエンジントルクを伝達しない状態(締結トルク分担比=0)から、締結臨界トルク比Tr-cの0.8倍程度の油圧にまで所定時間TIMER3で上昇させる設定を行い、ステップS632では、締結側の指示油圧Pc1を、Pc1=K2×Tt×Tr-c×(0.8×Rmp-Tr1)+Prtn-cとして算出する。 【0108】ここで、K2は、締結側の摩擦係合要素の伝達トルク容量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換するための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶されている。Tr-cは、前記入力軸トルクTtに対して、締結側の摩擦係合要素が締結し始める臨界伝達トルク容量を求めるための締結臨界トルク比である。Prtn-cは、締結側のスタンバイ圧(締結側リターンスプリング圧)であり、摩擦係合要素毎に予め記憶される。 【0109】更に、Rmp-Tr1は、図35に示すように、所定時間TIMER3内で0から1にまで一定速度で増大する係数であり、締結側のスタンバイ圧から締結臨界トルクの0.8倍(余裕代=0.8)にまで締結側の油圧を増大変化させる。 【0110】図14のフローチャートのステップS62で、前記所定時間TIMER3が経過したと判別されると、ステップS64へ進む。ステップS64では、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも小さくなったか否かを判別し、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも大きい場合には、ステップS65へ進んで、分担比ランプ制御を行う。 【0111】前記分担比ランプ制御は、図16のフローチャートに示される。まず、ステップS651では、所定時間TIMER4で初期余裕代(1)=0.8から余裕代(2)=1.2まで一定速度で変化させ(図36参照)、該余裕代の上昇に伴って締結側の指示圧を増大させる設定を行う。 【0112】ステップS652では、前記余裕代の増大変化に対応する初期圧Pc2及び最終圧Pc3を算出し、該指示圧Pc2,Pc3と前記所定時間TIMER4とに基づいて指示圧のランプ勾配Rmp-Pc3を算出する。 【0113】 Pc2=K2×Tt×Tr-c×余裕代(1)+Prtn-cPc3=K2×Tt×Tr-c×余裕代(2)+Prtn-cRmp-Pc3=(Pc3−Pc2)/TIMER4ステップS653では、ランプ勾配Rmp-Pc3に従って締結側指示油圧Pc4を徐々に増大させる制御を行う。 【0114】また、分担比ランプ制御の次は、ステップS66の空吹け補正制御を行う。上記空吹け補正制御を図17のフローチャートに従って説明すると、ステップS661では、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)に応じて補正トルクThosei-cを求める。 【0115】前記補正トルクThosei-cは、図37に示すように、d/dt(Nt−No×ギヤ比)がマイナスであるときは0であるが、プラスであるときにはd/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)が大きくなるほど大きなプラスの値に設定される。 【0116】ステップS662では、一定の速度で増大制御される前記指示油圧Pc4を、前記補正トルクThosei-cによって補正して指示圧Pc5を算出する。 Pc5=Pc4+K2×Tr-c×Thosei-c尚、パワーオフダウン変速、及び、パワーオフアップ変速(1)では、逆に回転落ちが発生し、かかる回転落ちが締結制御を促進させることで抑制されることになるので、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)がマイナスであるときに、その絶対値が大きくなるほど大きなプラスの値となるように補正トルクThosei-cを設定する。 【0117】次に、前記図10のフローチャートのステップS1004におけるイナーシャフェーズ処理を説明する。解放側のイナーシャフェーズ処理は、図18のフローチャートに示してあり、ステップS71でトルクフェーズ終了時の油圧(油圧=0)を保持させる。 【0118】また、締結側のイナーシャフェーズ処理は、図19のフローチャートに示される。図19のフローチャートにおいて、ステップS81では、図20のフローチャートに示される基本制御を行う。 【0119】前記基本制御においては、まず、ステップS811で、イナーシャトルクTinrを算出する。前記イナーシャトルクTinr(変速トルク)は、図33に示すように、目標変速時間に対応するテーブル値として予め記憶されており、目標変速時間が短いときほど大きな値に設定される。 【0120】ステップS812では、前記イナーシャトルクTinrに基づいて締結側の指示圧Pc7を算出する。 Pc7=K2×Tt×Tr-c+Prtn-c+K2×Tr-c×(Tinr×HOSEI-VSP) 上記指示圧Pc7は、入力トルクに対応する臨界圧に、イナーシャトルクTinrに対応する油圧を加算した値として算出されることになる。また、前記イナーシャトルクTinrを車速VSPに応じた補正係数HOSEI-VSPにより、車速が高い時ほどイナーシャトルクTinrをより増大補正するようにしてある(図38参照)。 【0121】尚、パワーオフダウン変速においては、前記イナーシャトルクTinrが回転上昇させるために使われるトルクとなるため、入力軸トルクに応じた臨界トルク容量相当の油圧を、イナーシャトルクTinrに対応する油圧で減少補正するようにする。 【0122】上記基本制御に加え、ステップS82では、回転フィードバック(F/B)制御を実行する。前記回転F/B制御を図21のフローチャートに従って説明する。 【0123】ステップS821では、目標のタービン回転速度を算出する。前記目標のタービン回転速度は、目標変速時間で変速前のギヤ比から変速後のギヤ比に一定速度で変化させるとした場合の時々刻々の目標ギヤ比と(図39参照)、出力軸回転Noとの乗算値として求められる。 【0124】ステップS822では、前記目標のタービン回転速度に実際のタービン回転速度を一致させるようにフィードバック補正分PIDを比例・積分・微分制御し、次のステップS823では、前記フィードバック補正分PIDで基本制御における指示圧Pc7を補正して、締結側指示圧Pc8を設定する。 【0125】このようにして、締結側摩擦係合要の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比にまで制御する。そして、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも小さくなると、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小さくなった時点から所定時間TIMER7内であれば、終了フェーズ処理を行う。 【0126】解放側摩擦係合要素についての終了フェーズ処理は、図22のフローチャートに示してあり、ステップS91でイナーシャフェーズ終了時の油圧を保持する設定を行う。即ち、解放側摩擦係合要素の油圧は、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも小さくなった時点から0に保持されることになる。 【0127】一方、締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理は、図23のフローチャートに示され、ステップS101では、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小さくなった時点から所定時間TIMER7内であるか否かを判別し、所定時間TIMER7内であればステップS102へ進んで、終了フェーズ処理を実行する。 【0128】前記ステップS101の終了フェーズ処理の詳細は、図24のフローチャートに示してあり、ステップS111では、締結臨界トルクに相当する油圧から締結臨界トルクの1.2倍に相当する油圧まで、前記所定時間TIMER7内で上昇させる設定を行う。 【0129】ステップS112では、締結側指示圧Pc9を、Pc9=K2×Tt×Tr-c×(1+0.2×Rmp-Tr2)+Prtn-c+K2×Tr-c×(Tinr×HOSEI-VSP) ここで、Rmp-Tr2は、図40に示すように、所定時間TIMER7内で0から1.0まで一定速度で変化する係数であり、係数Rmp-Tr2が0のとき、Pc9=Pc8となり、イナーシャフェーズでの油圧を初期値として、Pc9=K2×Tt×Tr-c×1.2+Prtn-c+K2×Tr-c×(Tinr×HOSEI-VSP)まで、所定時間TIMER7内で油圧を増大させる。 【0130】そして、前記所定時間TIMER7が経過した時点で、締結側の指示圧を、前記Pc9=K2×Tt×Tr-c×1.2+Prtn-c+K2×Tr-c×(Tinr×HOSEI-VSP)から、最大圧までステップ変化させる。 【0131】次に、前記図9のフローチャートにおけるステップS214のパワーオンダウン変速について、図31のタイムチャートを参照しつつ以下に概略的に説明する。 【0132】図25のフローチャートは、メインの制御要素を解放側とするパワーオンダウン変速における変速制御の概略を示すものであり、前述の準備フェーズ処理に伴うタービン回転速度Ntの変化があってから、フィードバック(F/B)終了ギヤ比までギヤ比が変化したか否かをステップS1011で判別し、F/B終了ギヤ比までギヤ比が変化するまでの間、ステップS1012へ進んで、イナーシャフェーズ処理を行う。 【0133】そして、F/B終了ギヤ比までギヤ比が変化すると、ステップS1013へ進み、F/B終了ギヤ比に達してから所定時間TIMER4+所定時間TIMER6が経過したか否かを判別し、所定時間TIMER4+所定時間TIMER6が経過するまではステップS1014へ進んで、トルクフェーズ処理を行わせる。 【0134】前記所定時間TIMER4+所定時間TIMER6が経過すると、ステップS1015へ進み、トルクフェーズ処理の終了時点から所定時間TIMER7が経過したか否かを判別する。そして、所定時間TIMER7内であれば、ステップS1016へ進んで終了フェーズ処理を行わせ、所定時間TIMER7が経過した時点でパワーオンダウン変速を終了する。 【0135】パワーオンダウン変速においても入力軸トルクの推定値,臨界トルク比,余裕代に基づいて係合油圧が算出されるが、基本的な係合油圧の演算方法は上記パワーオンアップ変速と同様であるので、以下のイナーシャフェーズ処理,トルクフェーズ処理,終了フェーズ処理の説明においては、油圧演算についての詳細な説明は省略する。 【0136】パワーオンダウン変速における解放側のイナーシャフェーズ処理を、図26のフローチャートに従って説明する。ステップS131では、パワーオンダウンによる回転の増大変化に伴うイナーシャトルク(変速トルク)Tinrを算出する。 【0137】そして、ステップS132では、入力軸トルクの推定値を前記イナーシャトルク(変速トルク)Tinrに基づいて減少補正して、臨界トルク容量に相当する油圧を求める。 【0138】更に、ステップS133では、臨界トルク容量に相当する油圧を基本値として、タービン回転速度Ntを、変速開始からの経過時間に応じた目標タービン回転速度に一致させるためのタービン回転フィードバック制御を行う。 【0139】具体的には、変速開始からの経過時間に応じて目標ギヤ比を設定し、該目標ギヤ比と出力軸回転速度Noとから目標タービン回転速度を算出する。そして、実際のタービン回転速度と前記目標タービン回転速度との偏差から、例えば比例・積分・微分制御(PID制御)によってフィードバック補正分を算出し、前記基本圧を前記フィードバック補正分で補正する。 【0140】一方、締結側のイナーシャフェーズ処理は、図27のフローチャートに示される。ステップS161では、予め設定された締結開始ギヤ比にまでギヤ比が変化したか否かを判別し、締結開始ギヤ比に到達するまでは、ステップS162へ進み、スタンバイ圧に保持させる。 【0141】そして、締結開始ギヤ比に到達すると、ステップS163へ進み、準備油圧制御を行う。該準備油圧制御は、前記パワーオンアップ変速の準備油圧制御と同様に、前記スタンバイ圧から締結初期圧まで所定時間TIMER3で上昇させる処理である。前記締結初期圧は、予め設定された余裕代(1)と入力軸トルクとに基づいて設定される。 【0142】解放側におけるトルクフェーズ処理は、所定時間TIMER4で解放側の油圧を0にまで減少させるランプ制御を実行する。一方、締結側のトルクフェーズ処理は、図28のフローチャートに示される。 【0143】ステップS171では、トルクフェーズ処理の開始から所定時間TIMER4内であるか否かを判別し、所定時間TIMER4内であれば、ステップS172へ進み、前記所定時間TIMER4内で、前記余裕代(1)から余裕代(2)まで一定速度で変化させ、該余裕代の上昇に伴って締結側の指示圧を増大させる設定を行う。 【0144】また、ステップS173では、イナーシャトルク分に相当する油圧を求め、ステップS174では、前記所定時間TIMER4で前記余裕代(1)から余裕代(2)まで一定速度で変化させるように設定される基本圧に前記イナーシャトルク分に相当する油圧を加算して、前記所定時間TIMER4内における最終的な締結側の油圧を決定する。 【0145】前記イナーシャトルク分に相当する油圧を加算するのは、イナーシャフェーズ中に、解放側の油圧が、回転上昇に用いられるトルクを見込んで、入力軸トルクの推定値に対応する油圧(伝達トルク容量)よりも低く制御されるが、変速が終了することで、回転上昇に用いられるトルクが無くなり、その分に対応する伝達トルク容量を締結側で確保する必要が生じるためである。 【0146】前記所定時間TIMER4が経過すると、ステップS175へ進み、前記所定時間TIMER4が経過した時点から所定時間TIMER6が経過したか否かを判別する。 【0147】前記所定時間TIMER4が経過した時点から所定時間TIMER6内であれば、ステップS176へ進み、前記所定時間TIMER4が経過した時点の締結側油圧を保持させる処理を行う。 【0148】前記所定時間TIMER6が経過すると、終了フェーズに移行し、所定時間TIMER7内で、前記所定時間TIMER6が経過した時点における油圧の所定倍の油圧にまで徐々に増大させ、所定時間TIMER7が経過した時点で最大圧までステップ変化させる。 【0149】一方、パワーオフアップ変速であって、かつ、Tt−Tinrが所定値以下であって、メインの制御要素として解放側が選択されるとき(パワーオフアップ変速(2))には、上記パワーオンダウン変速制御と同様に、解放側摩擦係合要素の制御によって変速させた後、締結側摩擦係合要素を締結させるが、変速時の回転低下に伴ってイナーシャトルクが発生するので、イナーシャフェーズ中の解放側油圧をイナーシャトルク分だけ嵩上げし、逆に、トルクフェーズにおける締結側の油圧をイナーシャトルク分だけ下げるようにする。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000167406 【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
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| 【出願日】 |
平成11年8月27日(1999.8.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078330 【弁理士】 【氏名又は名称】笹島 富二雄
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| 【公開番号】 |
特開2001−65682(P2001−65682A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−240830 |
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