| 【発明の名称】 |
車両用自動変速機の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】近藤 真実
【氏名】中村 泰也
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| 【要約】 |
【課題】自動変速機の入力回転速度を同期回転速度よりも低い状態からその同期回転速度に近づけて所定のギヤ段を成立させるダウンシフト的制御において、そのギヤ段を成立させる摩擦係合装置の係合制御のみでギヤ段を滑らかに成立させる。
【解決手段】3→2ダウンシフトにおいて、第3速ギヤ段のブレーキB2を速やかに解放するとともに、第2速ギヤ段のブレーキB3の係合力に対応する指令値DSLUを、入力回転速度NC0が第2速ギヤ段の同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った後にブレーキB3が係合力を発生して同期回転速度(NOUT ×γ2 )に滑らかに近づくようにフィードフォワード制御する。入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った状態ではアップシフト的な制御となり、ブレーキB3の係合制御のみで滑らかに第2速ギヤ段を成立させることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 摩擦係合装置が係合させられることにより所定のギヤ段が成立させられる車両用自動変速機の制御装置において、前記自動変速機の入力回転速度が前記所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態から該所定のギヤ段を成立させる際に、該入力回転速度が該同期回転速度を上回った後に滑らかに該同期回転速度に近づくように、前記摩擦係合装置の係合力を制御するオーバシュート係合制御手段を有することを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 【請求項2】 前記摩擦係合装置は油圧シリンダによって摩擦係合させられるもので、該油圧シリンダの油圧は調圧装置によって制御されるようになっている一方、前記オーバシュート係合制御手段は、フィードフォワード制御により前記調圧装置を介して前記油圧を制御するもので、前記入力回転速度が前記同期回転速度に到達するまでの同期所要時間を求め、予めストローク時間記憶装置に記憶された前記油圧シリンダのピストンストロークに要するストローク時間と比較することにより、該入力回転速度が該同期回転速度に略到達した時、または該同期回転速度を上回った後に、前記油圧シリンダのピストンが係合側のストロークエンドに達して係合力が発生し始めるように、該油圧シリンダに対する作動油の供給開始時間を決定する供給開始時間判断手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の制御装置。 【請求項3】 パワーOFF時に手動によるダウンシフト操作に従って前記所定のギヤ段を成立させる際に、前記オーバシュート係合制御手段による油圧制御とは異なる油圧制御で前記摩擦係合装置を係合させる手動変速時係合制御手段と、該手動変速時係合制御手段による変速過程でアクセル操作部材が増大操作された時には、前記油圧シリンダ内の作動油をドレーンして前記摩擦係合装置を解放した後に、前記オーバシュート係合制御手段による該摩擦係合装置の係合制御へ移行させる移行時解放手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制御装置。 【請求項4】 前記オーバシュート係合制御手段は、前記所定のギヤ段へのコーストダウンシフト時に前記摩擦係合装置をオーバシュート係合させるもので、前記入力回転速度が前記同期回転速度以下の間は該摩擦係合装置が係合力を発生しないように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制御装置。 【請求項5】 前記所定のギヤ段へのコーストダウンシフトの過程で、アクセルOFFの間は前記摩擦係合装置を解放状態に維持し、アクセルONになった場合に前記オーバシュート係合制御手段によって該摩擦係合装置の係合制御が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制御装置。 【請求項6】 前記摩擦係合装置が係合している前記所定のギヤ段での走行時にパワーOFFになった場合に該摩擦係合装置を解放するパワーOFF時解放手段を備えており、前記オーバシュート係合制御手段は、前記パワーOFF時解放手段によって前記摩擦係合装置が解放された状態でアクセル操作部材が増大操作された場合に該摩擦係合装置をオーバシュート係合させるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は車両用自動変速機の制御装置に係り、特に、自動変速機の入力回転速度が所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態からその所定のギヤ段を成立させるダウンシフト的な制御に関するものである。 【0002】 【従来の技術】(a) 油圧シリンダによって摩擦係合装置が係合させられることにより所定のギヤ段が成立させられる自動変速機と、(b) 前記油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦係合装置を係合させるとともに、その油圧シリンダの油圧を制御する調圧装置を備えている油圧制御回路と、を有する車両用の自動変速機が広く知られている。特開平5−312261号公報に記載されている装置はその一例で、高速側ギヤ段から一方向クラッチを備えていない低速側ギヤ段へダウンシフトする際には、高速側ギヤ段を成立させている高速段側摩擦係合装置を解放するとともに、低速側ギヤ段を成立させる低速段側摩擦係合装置を係合させる、所謂クラッチツウクラッチ変速が行われるようになっており、入力回転速度が所定の変化速度で変化するように高速段側摩擦係合装置の油圧をフィードバック制御するとともに、低速段側摩擦係合装置を低圧待機状態に保持し、入力回転速度が同期回転速度に略到達したら高速段側摩擦係合装置を解放するとともに低速段側摩擦係合装置を完全係合させるようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のクラッチツウクラッチ変速においては、2つの摩擦係合装置の油圧制御を同時に行う必要があり、制御が複雑である。また、例えば高速側ギヤ段へのアップシフト指令が出力された後、比較的短時間で低速側ギヤ段へのダウンシフト指令が為された場合、高速段側摩擦係合装置の油圧シリンダ(アキュムレータを備えている場合はアキュムレータを含む)が係合側のストロークエンドに達していないと適切なクラッチツウクラッチ変速を行うことができないため、一旦高速側ギヤ段を成立させた後低速側ギヤ段へダウンシフトする必要があり、変速時間が長くなる。 【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、自動変速機の入力回転速度が所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態からその所定のギヤ段を成立させるダウンシフト的な制御において、その所定のギヤ段を成立させる摩擦係合装置の係合制御のみで、そのダウンシフト的な制御が滑らかに行われるようにすることにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、第1発明は、摩擦係合装置が係合させられることにより所定のギヤ段が成立させられる車両用自動変速機の制御装置において、前記自動変速機の入力回転速度が前記所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態からその所定のギヤ段を成立させる際に、その入力回転速度がその同期回転速度を上回った後に滑らかにその同期回転速度に近づくように、前記摩擦係合装置の係合力を制御するオーバシュート係合制御手段を有することを特徴とする。 【0006】第2発明は、第1発明の車両用自動変速機の制御装置において、(a) 前記摩擦係合装置は油圧シリンダによって摩擦係合させられるもので、その油圧シリンダの油圧は調圧装置によって制御されるようになっている一方、(b) 前記オーバシュート係合制御手段は、フィードフォワード制御により前記調圧装置を介して前記油圧を制御するもので、前記入力回転速度が前記同期回転速度に到達するまでの同期所要時間を求め、予めストローク時間記憶装置に記憶された前記油圧シリンダのピストンストロークに要するストローク時間と比較することにより、その入力回転速度がその同期回転速度に略到達した時、またはその同期回転速度を上回った後に、前記油圧シリンダのピストンが係合側のストロークエンドに達して係合力が発生し始めるように、その油圧シリンダに対する作動油の供給開始時間を決定する供給開始時間判断手段を備えていることを特徴とする。 【0007】第3発明は、第2発明の車両用自動変速機の制御装置において、(a) パワーOFF時に手動によるダウンシフト操作に従って前記所定のギヤ段を成立させる際に、前記オーバシュート係合制御手段による油圧制御とは異なる油圧制御で前記摩擦係合装置を係合させる手動変速時係合制御手段と、(b) その手動変速時係合制御手段による変速過程でアクセル操作部材が増大操作された時には、前記油圧シリンダ内の作動油をドレーンして前記摩擦係合装置を解放した後に、前記オーバシュート係合制御手段による該摩擦係合装置の係合制御へ移行させる移行時解放手段と、を有することを特徴とする。 【0008】上記「パワーOFF」とは、エンジン等の駆動源から車輪側へ駆動力が伝達されない状態で、運転者の要求出力が無いアクセルOFF、すなわちアクセルペダル等のアクセル操作部材が操作されていない場合は勿論、車速に比べてアクセル操作部材の操作量が少なくて車輪側へ駆動力が伝達されない場合も含む。また、「アクセル操作部材の増大操作」は、運転者の要求出力が増大してより多くの出力を発生させるための操作を意味する。 【0009】第4発明は、第1発明または第2発明の車両用自動変速機の制御装置において、前記オーバシュート係合制御手段は、前記所定のギヤ段へのコーストダウンシフト時に前記摩擦係合装置をオーバシュート係合させるもので、前記入力回転速度が前記同期回転速度以下の間はその摩擦係合装置が係合力を発生しないように制御することを特徴とする。 【0010】上記「コーストダウンシフト」とは、運転者の要求出力が無いアクセルOFFの惰行走行の状態で、車速の低下に伴って変速比が大きい低速側ギヤ段(所定のギヤ段)へ変速することを意味し、通常はエンジンブレーキが発生しないようになっている。また、「オーバシュート係合」とは、第1発明に記載のように入力回転速度が所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態からその同期回転速度を上回った後に滑らかにその同期回転速度に近づくように、摩擦係合装置を係合させる制御を意味する。 【0011】第5発明は、第1発明または第2発明の車両用自動変速機の制御装置において、前記所定のギヤ段へのコーストダウンシフトの過程で、アクセルOFFの間は前記摩擦係合装置を解放状態に維持し、アクセルONになった場合に前記オーバシュート係合制御手段によってその摩擦係合装置の係合制御が行われることを特徴とする。 【0012】上記「アクセルON」は、運転者の要求出力に従ってアクセルペダル等のアクセル操作部材が操作されたことを意味し、「アクセルOFF」は、運転者の要求出力が無くてアクセル操作部材が操作されていないことを意味する。 【0013】第6発明は、第1発明または第2発明の車両用自動変速機の制御装置において、(a) 前記摩擦係合装置が係合している前記所定のギヤ段での走行時にパワーOFFになった場合にその摩擦係合装置を解放するパワーOFF時解放手段を備えており、(b) 前記オーバシュート係合制御手段は、前記パワーOFF時解放手段によって前記摩擦係合装置が解放された状態でアクセル操作部材が増大操作された場合にその摩擦係合装置をオーバシュート係合させるものであることを特徴とする。 【0014】 【発明の効果】第1発明の車両用自動変速機の制御装置においては、自動変速機の入力回転速度が所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態からその所定のギヤ段を成立させるダウンシフト的な制御に際して、その入力回転速度がその同期回転速度を上回った後に滑らかにその同期回転速度に近づくように、オーバシュート係合制御手段によって摩擦係合装置の係合力が制御されるため、同期回転速度を上回った後の係合制御では例えばアップシフト時と同様な制御を適用することが可能であるなど、その摩擦係合装置の係合制御のみで滑らかに所定のギヤ段を成立させることができる。 【0015】また、このように単一の摩擦係合装置の係合制御のみでダウンシフト的な制御を行うことができるため、例えば高速側ギヤ段へのアップシフト指令が出力された後、比較的短時間で低速側ギヤ段(所定のギヤ段)へのダウンシフト指令が為された場合には、高速側ギヤ段を成立させることなく上記摩擦係合装置の係合制御により直ちに低速側ギヤ段を成立させることが可能で、変速時間を短縮できる。 【0016】第2発明では、摩擦係合装置が油圧シリンダによって摩擦係合させられるとともに、オーバシュート係合制御手段は、フィードフォワード制御によって油圧シリンダの油圧を制御するようになっている一方、入力回転速度が同期回転速度に到達するまでの同期所要時間と油圧シリンダのストローク時間とを比較することにより、その入力回転速度が同期回転速度に略到達した時、またはその同期回転速度を上回った後に、油圧シリンダのピストンが係合側のストロークエンドに達して係合力が発生し始めるように、供給開始時間判断手段によって油圧シリンダに対する作動油の供給開始時間が決定されるため、常に所定のタイミングで摩擦係合装置がオーバシュート係合させられるようになり、係合力の発生タイミングのずれに起因するショック等の発生が抑制される。 【0017】第3発明では、パワーOFF時に手動によるダウンシフト操作に従って所定のギヤ段を成立させる際には、手動変速時係合制御手段によって摩擦係合装置が係合制御される場合に、その変速過程でパワーONになった時には、移行時解放手段によって油圧シリンダ内の作動油をドレーンした後にオーバシュート係合制御手段による係合制御へ移行するようになっているため、手動変速時係合制御手段による係合制御時の残圧の影響が排除され、入力回転速度が同期回転速度に略到達した時、またはその同期回転速度を上回った後に、油圧シリンダのピストンが係合側のストロークエンドに達して係合力が発生し始めるように、摩擦係合装置のオーバシュート係合が適切に行われる。 【0018】第4発明では、所定のギヤ段へのコーストダウンシフト時に摩擦係合装置をオーバシュート係合させるとともに、入力回転速度が同期回転速度以下の間はその摩擦係合装置が係合力を発生しないように制御するため、コーストダウンシフト時に負トルク(エンジンブレーキ力)が発生する恐れがない。 【0019】第5発明では、所定のギヤ段へのコーストダウンシフトの過程で、アクセルOFFの間は摩擦係合装置が解放状態に維持されるため、負トルク(エンジンブレーキ力)が発生する恐れがない一方、アクセルONになった場合にはオーバシュート係合制御手段によって摩擦係合装置がオーバシュート係合させられるため、アクセルONに伴って駆動力を速やかに発生させることができる。 【0020】第6発明では、摩擦係合装置が係合している所定のギヤ段での走行時にパワーOFFになった場合には、パワーOFF時解放手段によってその摩擦係合装置を解放するようになっているため、一方向クラッチを備えている場合と同様にパワーOFFに伴って負トルクが発生することが防止される。また、パワーOFF時解放手段によって摩擦係合装置が解放された状態でアクセル操作部材が増大操作された場合には、前記オーバシュート係合制御手段によって摩擦係合装置がオーバシュート係合させられるため、駆動力を速やかに発生させることができる。すなわち、摩擦係合装置の解放、係合制御で、一方向クラッチを設けた場合と同様の作用効果が得られるとともに、摩擦係合装置をオーバシュート係合させるために、一方向クラッチよりも滑らかに駆動力を発生させることができる。 【0021】 【発明の実施の形態】本発明の自動変速機は、例えば複数の遊星歯車装置と、その遊星歯車装置の複数の回転メンバを相互に連結したりハウジングに固定したりする油圧式のクラッチやブレーキ等の摩擦係合装置とを有し、その摩擦係合装置の係合、解放の組み合わせにより変速比が異なる複数のギヤ段が成立させられるように構成される。自動変速機の変速は、車速やアクセル操作量等に基づいて自動的に変速判断が行われて変速指令が出されるものでも良いが、運転者のシフトレバー操作やスイッチ操作に従って変速指令が出されるものでも良い。 【0022】車両の駆動源としては、燃料の燃焼で作動するエンジンや電気エネルギーで作動する電動モータなど種々の駆動源が用いられ得る。駆動源の出力は、例えばアクセル操作部材の操作量(アクセル操作量)に従って電気的に制御されるものでも良いが、アクセル操作部材に機械的に連結されて直接制御されるものでも良い。 【0023】自動変速機の入力回転速度が所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態からその所定のギヤ段を成立させるダウンシフト的な制御は、高速側ギヤ段から所定のギヤ段へダウンシフトする場合は勿論、第6発明のように所定のギヤ段での走行時にパワーOFFに伴って摩擦係合装置が解放されることにより入力側回転速度が低下し、その後のアクセル操作で摩擦係合装置を係合させる場合等を含む趣旨である。高速側ギヤ段から所定のギヤ段へダウンシフトする場合、本発明では所定のギヤ段を成立させる摩擦係合装置の係合制御のみで所定のギヤ段を成立させることができるため、高速側ギヤ段を成立させている高速段側摩擦係合装置は、例えば変速指令に従って直ちに解放するなどすれば良い。 【0024】所定のギヤ段をダウンシフト的に成立させる摩擦係合装置の係合力制御は、例えばアップシフト時と同様な制御を適用することもできるが、アップシフト時とは全く異なる制御パターン等で係合力を制御するようにしても良い。 【0025】摩擦係合装置は、第2発明のように油圧シリンダによって係合させられるものが好適に用いられるが、電磁力で摩擦係合させられる電磁クラッチなど他の摩擦係合装置を採用することもできる。油圧シリンダによって係合させられる場合、第2発明のようにフィードフォワード制御で油圧を制御することが望ましいが、例えば油圧シリンダのピストンを係合側のストロークエンド付近に保持する(低圧待機)とともに、入力回転速度が同期回転速度に到達したことを検出した後に油圧を上昇させて摩擦係合装置を完全係合させるなど、他の制御方法を採用することもできる。 【0026】第2発明の供給開始時間判断手段は、例えば入力回転速度の変化速度を検出するとともに、所定のギヤ段の変速比および自動変速機の出力回転速度によって定まる同期回転速度を求め、その同期回転速度と現在の入力回転速度との回転速度差を前記変化速度で割算して同期所要時間を求めるように構成される。出力回転速度すなわち車速は略一定と見做すこともできるが、出力回転速度の変化速度を求めることにより、現在の入力回転速度および出力回転速度とそれ等の変化速度とから更に高い精度で同期所要時間を算出することもできる。特に、コーストダウンシフトの場合には、入力回転速度および出力回転速度の各変化速度を加算して同期所要時間を求めることが望ましい。なお、入力回転速度や出力回転速度の代わりに、それ等に対応する他の回転メンバの回転速度を用いて同期所要時間を求めることもできる。 【0027】油圧シリンダのストローク時間は、油圧制御回路の油圧によって異なり、その油圧は駆動源の出力、例えばエンジンのスロットル弁開度等によって調整されるようになっているのが普通であるため、その駆動源出力(スロットル弁開度など)をパラメータとして設定することが望ましい。また、ストローク時間に影響する油温等の他のパラメータを考慮して設定することもできるし、油圧シリンダの個体差による影響を防止するため、実際のストローク時間を検出して逐次学習補正するようにすることもできる。 【0028】供給開始時間判断手段は、例えば同期所要時間がストローク時間と略一致した時に作動油の供給を開始するように構成されるが、引込み感(負トルクの発生)を確実に防止するために意識的に供給開始時間を遅くして、入力回転速度が同期回転速度を上回ってから摩擦係合装置が係合力を発生するようにしても良い。第4発明は、このように供給開始時間の設定によって係合力の発生時期を調整できるが、油圧の大きさや変化パターンなど他の制御で係合力の発生時期を調整することも可能である。 【0029】第3発明の手動変速時係合制御手段は、例えばエンジンブレーキ状態であるものと見做して、ダウンシフトによりエンジンブレーキ力が滑らかに増大するように、摩擦係合装置を係合制御するように構成される。また、第2発明のオーバシュート係合制御手段は入力回転速度の同期時間を考慮して油圧制御を行うものであるが、第3発明の手動変速時係合制御手段は、同期時間を考慮することなくオーバシュート係合させるものでも良い。第3発明は、パワーOFF時の手動操作によるダウンシフトの変速過程でパワーONになった場合に関するものであるが、所定のギヤ段から高速側ギヤ段へ変速するアップシフトの過程で所定のギヤ段へダウンシフトする変速指令が出力された場合や、第6発明においてパワーOFF時解放手段による解放過程でアクセル操作部材が増大操作された場合にも、同様に所定のギヤ段を成立させるための油圧シリンダ内の作動油を完全にドレーンした後、オーバシュート係合制御手段による係合制御へ移行させることが望ましい。 【0030】第3発明の手動変速時係合制御手段による係合制御は、アクセル操作部材が操作されている時でも、例えばトルクコンバータの入出力部材の回転速度などからパワーOFFか否かを判断して実施することができるが、アクセル操作部材が操作されていないアクセルOFF時の手動操作によるダウンシフトのみに、手動変速時係合制御手段による係合制御が実施されるようになっていても良い。第6発明のパワーOFF時解放手段についても同様である。 【0031】第5発明では、例えば所定のギヤ段へのコーストダウンシフトに際してアクセル操作部材がON操作されなかった場合には、入力回転速度が同期回転速度を上回った後に摩擦係合装置を係合制御するようにしても良いが、入力回転速度が同期回転速度を上回っても摩擦係合装置を解放状態に保持し、そのまま第6発明の制御へ移行するようにしても良い。 【0032】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明が適用された車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、自動車用の混合気吸入式内燃機関、燃料噴射式内燃機関、或いは外燃機関などの原動機であるエンジン10の出力は、トルクコンバータ12を介して自動変速機14に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。エンジン10は駆動源に相当する。 【0033】上記トルクコンバータ12は、エンジン10のクランク軸16に連結されたポンプ翼車18と、自動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車22と、それらポンプ翼車18およびタービン翼車22の間を直結するロックアップクラッチ24と、一方向クラッチ26によって一方向の回転が阻止されているステータ28とを備えている。 【0034】上記自動変速機14は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段および前進4段の切り換えが可能な第2変速機32を備えている。第1変速機30は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリヤK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置34と、サンギヤS0とキャリヤK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング41間に設けられたブレーキB0とを備えている。 【0035】第2変速機32は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備えている。 【0036】上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2とキャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3は出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リングギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。 【0037】キャリヤK1とハウジング41との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング41との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。 【0038】このような自動変速機14は、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段のギヤ段のいずれかに切り換えられる。図2において○印は係合状態を示し、空欄は解放状態を示し、●はエンジンブレーキを発生させるときの係合状態を示している。図5のシフトパターンに従って操作されるシフトレバー172(図3参照)がエンジンブレーキレンジである「M(マニュアル)」レンジ、「3」レンジ、「2」レンジ、「L」レンジのいずれかに操作されている時には、その最高速ギヤ段でエンジンブレーキが発生させられる。例えば、第1速ギヤ段のみで走行する「L」レンジでは、ブレーキB4が係合させられることよってアクセルペダル150の非操作状態(アクセルOFF)であるような非駆動(パワーOFF)走行においてエンジンブレーキが発生させられるが、シフトレバー172が「D」レンジに操作されている第1速ギヤ段での走行時では、そのブレーキB4が解放させられることから、アクセルペダル150の非操作状態であるような非駆動走行において一方向クラッチF2の滑りおよびリングギヤR3の空転が許容されるので、自動変速機14内において動力伝達経路が解放され、車両がエンジンブレーキが作用しない惰行走行とされる。第1速ギヤ段および第2速ギヤ段で変速が行われる「2」レンジでは、第2速ギヤ段の走行時において、クラッチC0が係合させられることによりエンジンブレーキが可能とされ、「D」レンジの第2速ギヤ段ではクラッチC0が解放させられることにより一方向クラッチF0のすべりが許容されて惰行走行とされる。また、第1速ギヤ段〜第3速ギヤ段で変速が行われる「3」レンジでは、第3速ギヤ段の走行時において、ブレーキB1が係合させられることによりエンジンブレーキが可能とされ、「D」レンジではブレーキB1が解放させられることにより一方向クラッチF1のすべりが許容されて惰行走行とされる。 【0039】図5に示すように、上記シフトレバー172は、車両の前後方向に位置するP(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)およびM(マニュアル)レンジ、3レンジ、2レンジ、L(ロー)レンジへ操作されるとともに、DレンジとMレンジの間が車両の左右方向に操作されるようにその支持機構が構成されている。このシフトレバー172には油圧制御回路184内の図示しないマニュアル弁が連結されており、機械的に走行レンジが決まるようになっている。また、図6に示すように、車両のステアリングホイール182の上面側には、走行レンジを低速側へ切り換えるために押し下げ操作される一対のダウンレンジスイッチ186D が設けられ、そのステアリングホイール182の下面側には、走行レンジを高速側へ切り換えるために押し上げ操作される一対のアップレンジスイッチ186U が設けられている。上記ダウンレンジスイッチ186D およびアップレンジスイッチ186U は、シフトレバー172がMレンジ位置へ操作されることによりその操作が有効化されるようになっている。 【0040】前記クラッチC0〜C2、ブレーキB0〜B4は、それぞれ油圧シリンダに作動油が供給されることにより、その油圧に基づいて摩擦材が摩擦係合させられる多板式、単板式、バンド式等の摩擦係合装置で、油圧制御回路184(図3参照)によって係合、解放状態が切り換えられる。 【0041】油圧制御回路184は図4に示す回路を備えている。図4において符号70は1−2シフトバルブを示し、符号71は2−3シフトバルブを示し、符号72は3−4シフトバルブを示している。これらのシフトバルブ70、71、72の各ポートの各ギヤ段での連通状態は、それぞれのシフトバルブ70、71、72の下側に示している通りである。なお、その数字は各ギヤ段を示す。 【0042】2−3シフトバルブ71のポートのうち第1速ギヤ段および第2速ギヤ段で入力ポート73に連通するブレーキポート74に、ブレーキB3の油圧シリンダ52が油路75を介して接続されている。この油路にはオリフィス76が介装されており、そのオリフィス76とブレーキB3との間にダンパーバルブ77が接続されている。このダンパーバルブ77は、ブレーキB3にライン圧PLが急激に供給された場合に少量の油圧を吸入して緩衝作用を行うものである。ライン圧PLは、スロットル弁開度θTHなどエンジン10の出力に応じてリニアソレノイドバルブSLT(図3参照)により制御される。 【0043】符号78はB−3コントロールバルブであって、ブレーキB3の係合圧PB3を直接制御するようになっている。すなわち、このB−3コントロールバルブ78は、スプール79とプランジャ80とこれらの間に介装したスプリング81とを備えており、スプール79によって開閉される入力ポート82に油路75が接続され、またこの入力ポート82に選択的に連通させられる出力ポート83がブレーキB3に接続されている。さらにこの出力ポート83は、スプール79の先端側に形成したフィードバックポート84に接続されている。一方、上記スプリング81を配置した箇所に開口するポート85には、2−3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上のギヤ段でDレンジ圧(ライン圧PL)を出力するポート86が油路87を介して連通させられている。また、プランジャ80の端部側に形成した制御ポート88には、リニアソレノイドバルブSLUが接続され、信号圧PSLU が作用させられるようになっている。したがって、B−3コントロールバルブ78は、スプリング81の弾性力とポート85に供給される油圧とによって調圧レベルが設定され、且つ制御ポート88に供給される信号圧PSLU が高いほどスプリング81による弾性力が大きくなるように構成されている。 【0044】図4における符号89は、2−3タイミングバルブであって、この2−3タイミングバルブ89は、小径のランドと2つの大径のランドとを形成したスプール90と第1のプランジャ91とこれらの間に配置したスプリング92とスプール90を挟んで第1のプランジャ91とは反対側に配置された第2のプランジャ93とを有している。2−3タイミングバルブ89の中間部のポート94に油路95が接続され、また、この油路95は2−3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上のギヤ段でブレーキポート74に連通させられるポート96に接続されている。油路95は途中で分岐して、前記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート97にオリフィスを介して接続されており、上記ポート94に選択的に連通させられるポート98は油路99を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されている。そして、第1のプランジャ91の端部に開口しているポートにリニアソレノイドバルブSLUが接続され、また第2のプランジャ93の端部に開口するポートにブレーキB2の油圧シリンダ54がオリフィスを介して接続されている。 【0045】前記油路87はブレーキB2に対して油圧を供給・排出するためのものであって、その途中には小径オリフィス101とチェックボール付きオリフィス102とが介装されている。また、この油路87から分岐した油路103には、ブレーキB2から排圧する場合に開くチェックボールを備えた大径オリフィス104が介装され、この油路103は以下に説明するオリフィスコントロールバルブ105に接続されている。 【0046】オリフィスコントロールバルブ105はブレーキB2からの排圧速度を制御するためのバルブであって、そのスプール106によって開閉されるように中間部に形成したポート107にはブレーキB2が接続されており、このポート107より図での下側に形成したポート108に前記油路103が接続されている。ブレーキB2を接続してあるポート107より図での上側に形成したポート109は、ドレーンポートに選択的に連通させられるポートであって、このポート109には、油路110を介して前記B−3コントロールバルブ78のポート111が接続されている。尚、このポート111は、ブレーキB3を接続してある出力ポート83に選択的に連通させられるポートである。 【0047】オリフィスコントロールバルブ105のポートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を介して、3−4シフトバルブ72のポート114に接続されている。このポート114は、第3速以下のギヤ段で第3ソレノイドバルブSL3の信号圧を出力し、また、第4速以上のギヤ段で第4ソレノイドバルブSL4の信号圧を出力するポートである。さらに、このオリフィスコントロールバルブ105には、前記油路95から分岐した油路115が接続されており、この油路115を選択的にドレーンポートに連通させるようになっている。 【0048】なお、前記2−3シフトバルブ71において第2速以下のギヤ段でDレンジ圧を出力するポート116が、前記2−3タイミングバルブ89のうちスプリング92を配置した箇所に開口するポート117に油路118を介して接続されている。また、3−4シフトバルブ72のうち第3速以下のギヤ段で前記油路87に連通させられるポート119が油路120を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されている。 【0049】符号121はブレーキB2用のアキュームレータを示し、その背圧室にはリニアソレノイドバルブSLN(図3参照)が出力する信号圧PSLN に応じて調圧されたアキュームレータコントロール圧Pacが供給されるようになっている。2→3変速時に前記2−3シフトバルブ71が切り換えられると、ブレーキB2の油圧シリンダ54には油路87を介してDレンジ圧(ライン圧PL)が供給されるが、このライン圧PLによってアキュムレータ121のピストン121pが上昇を開始する。このピストン121pが上昇している間は、ブレーキB2に供給される油圧(係合圧)PB2は、スプリング121sの下向きの付勢力およびピストン121pを下向きに付勢する上記アキュムレータコントロール圧Pacと釣り合う略一定、厳密にはスプリング121sの圧縮変形に伴って漸増させられ、ピストン121pが上昇端に達するとライン圧PLまで上昇させられる。すなわち、ピストン121pが移動する変速過渡時の係合圧PB2は、アキュムレータコントロール圧Pacによって定まるのである。 【0050】アキュムレータコントロール圧Pacは、第3速ギヤ段成立時に係合制御される上記ブレーキB2用のアキュムレータ121の他、図示は省略するが第1速ギヤ段成立時に係合制御されるクラッチC1用のアキュムレータ、第4速ギヤ段成立時に係合制御されるクラッチC2用のアキュムレータ、第5速ギヤ段成立時に係合制御されるブレーキB0用のアキュムレータにも供給され、それ等の係合・解放時の過渡油圧が制御される。 【0051】図4の符号122はC−0エキゾーストバルブを示し、さらに符号123はクラッチC0用のアキュームレータを示している。C−0エキゾーストバルブ122は、「2」レンジでの第2速ギヤ段のみにおいてエンジンブレーキを効かせるためにクラッチC0の油圧シリンダ56に作動油を供給してクラッチC0を係合させるように動作するものである。 【0052】このような油圧制御回路184によれば、B−3コントロールバルブ78のポート111がドレーンに連通していれば、ブレーキB3の係合圧PB3をB−3コントロールバルブ78によって直接調圧することができ、また、その調圧レベルをリニアソレノイドバルブSLUによって変えることができる。また、オリフィスコントロールバルブ105のスプール106が、図の左半分に示す位置にあれば、ブレーキB2は、このオリフィスコントロールバルブ105を介して排圧が可能になり、したがってブレーキB2からのドレーン速度を制御することができる。 【0053】一方、第2速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速、すなわちブレーキB3を解放すると共にブレーキB2を係合する所謂クラッチツウクラッチ変速においては、入力軸20の入力トルクなどに基づいてブレーキB3の解放過渡油圧やブレーキB2の係合過渡油圧を制御することにより、変速ショックを好適に軽減することができる。その他の変速についても、リニアソレノイドバルブSLNのデューティ制御によってアキュムレータコントロール圧Pacを調圧することにより、クラッチC1、C2やブレーキB0の過渡油圧が制御される。 【0054】図3は制御系統を示す図で、アクセルペダル150の操作量ACCがアクセル操作量センサ151により検出されるようになっている。アクセルペダル150は、運転者の要求出力に応じて大きく踏み込み操作されるもので、アクセル操作部材に相当する。車両のエンジン10の吸気配管には、スロットルアクチュエータ154によってアクセルペダル150の操作量ACCに応じた開き角(開度)θTHとされるスロットル弁156が設けられている。また、アイドル回転制御のために上記スロットル弁156をバイパスさせるバイパス通路152には、エンジン10のアイドル回転を制御するためにスロットル弁156全閉時の吸気量を制御するISC弁153が設けられている。エンジン10の回転速度NE を検出するためのエンジン回転速度センサ158、エンジン10の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ160、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空気温度センサ162、上記スロットル弁156の全閉状態およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ164、出力軸42の回転速度NOUT すなわち車速Vを検出するための車速センサ166、エンジン10の冷却水温度TW を検出するための冷却水温センサ168、ブレーキの作動を検出するためのブレーキスイッチ170、シフトレバー172の操作位置PSHを検出するための操作位置センサ174、入力軸20の回転速度NINすなわちクラッチC0の回転速度NC0(=タービン回転速度NT )を検出するための入力軸回転センサ173、油圧制御回路184の作動油温度TOIL を検出するための油温センサ175などが設けられており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE 、吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキの作動状態BK、シフトレバー172の操作位置PSH、入力軸回転速度NC0、作動油温度TOIL を表す信号がエンジン用電子制御装置176或いは変速用電子制御装置178に供給されるようになっている。 【0055】図3のエンジン用電子制御装置176は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁179を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ180を制御し、アイドルスピード制御のためにISC弁153を制御し、トラクション制御のためにスロットルアクチュエータ154によりスロットル弁156を制御する。エンジン用電子制御装置176は、スロットル弁156の制御において、例えば図7に示す関係から実際のアクセルペダル操作量ACCに基づいてスロットルアクチュエータ154を駆動し、アクセルペダル操作量ACCが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させる。上記エンジン用電子制御装置176は、変速用電子制御装置178と相互に通信可能に接続されており、一方に必要な信号が他方から適宜送信されるようになっている。 【0056】変速用電子制御装置178も、上記と同様のマイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路184の各ソレノイドバルブSL1、SL2、SL3、SL4或いはリニアソレノイドバルブSLU、SLT、SLNを駆動する。具体的には、例えば図8に示す予め記憶された変速線図から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいて自動変速機14のギヤ段を決定し、この決定されたギヤ段を成立させるように電磁弁SL1、SL2、SL3、SL4を駆動する。図8の実線はアップシフト線で、破線はダウンシフト線である。 【0057】図9および図10は、1→2アップシフト時にブレーキB3の油圧シリンダ52の油圧PB3がリニアソレノイドバルブSLUによって直接圧制御される場合に、前記変速用電子制御装置178によって実行される信号処理の内容を説明するフローチャートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。図11は、直接圧制御の基本パターンを示す図で、フェーズPH=1〜9や、リニアソレノイドバルブSLUをデューティ制御する際の指令値DSLUなどを詳しく説明する図であり、時間T2〜T5、T8、指令値DSLUの設定値D2〜D4、指令値DSLUの変化率であるスウィープ量ΔD5、ΔD6、ΔD8、ΔD9は予め記憶装置188に記憶されている。それ等の値は一定値であっても良いが、入力トルクに対応するスロットル弁開度θTHやアクセルペダル操作量ACCなどをパラメータとするデータマップや演算式等で記憶しておくこともできる。また、図12は、1→2アップシフト制御の実行時における各部の変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1 は1→2アップシフト指令が出力され、ブレーキB3の油圧シリンダ52に作動油が供給されるように前記1−2シフトバルブ70が切り換えられた時間である。1−2シフトバルブ70の切換えは、前記ソレノイドバルブSL2の励磁、非励磁を切り換えることによって行われる。図12から明らかなように、ブレーキB3の油圧シリンダ52の係合油圧PB3は、指令値DSLUの変化に対して所定の応答遅れDLを有する状態で略追従して変化させられる。 【0058】図9は、図11の基本パターンにおけるフェーズPHを決定するためのもので、前記1→2アップシフト指令が出力されることによって実行が開始される。ステップQ1−1では制御実施中を表すフラグF1がONか否かを判断し、ONであれば続いてステップQ1−4以下を実行するが、フラグF1の初期値はOFFであるため、最初のサイクル時にはOFFでステップQ1−2を実行する。ステップQ1−2では、フェーズPHとして「2」を設定するとともに、タイマTim2をリセットして新たに計時を開始させる。また、ステップQ1−3では、フラグF1をONにする。これにより、以後のサイクルではステップQ1−1に続いてステップQ1−4以下が実行されるようになる。 【0059】ステップQ1−4では、フェーズPH=2で且つタイマTim2が設定時間T2を経過したか否かを判断し、満足する場合、すなわちフェーズPH=2になって設定時間T2が経過した時には、ステップQ1−5でフェーズPHとして「3」を設定するとともに、タイマTim3をリセットして新たに計時を開始させる。ステップQ1−6、Q1−8、Q1−10、Q1−16でも、それぞれステップQ1−4と同様にして次のフェーズPHへ移行するか否かの判断が為される。また、ステップQ1−7、Q1−9では、ステップQ1−5と同様にして次のフェーズPHとして「4」或いは「5」を設定するとともに、タイマTim4或いはTim5をリセットして新たに計時を開始させる。Q1−11、Q1−17では、次のフェーズPHとして「6」或いは「9」を設定する。 【0060】ステップQ1−12では、フェーズPHが「4」〜「6」の何れかで且つイナーシャ相が開始したか否かを判断し、満足する場合はステップQ1−13でフェーズPHとして「7」を設定する。イナーシャ相が始まったか否かは、例えば次式(1) を満足するか否かによって判断できる。(1) 式のγ1 は、第1速ギヤ段の変速比(=入力回転速度NC0/出力回転速度NOUT )で、A1 は、車速センサ166や入力軸回転センサ173の検出誤差等による誤判定を防止するための誤判定防止用余裕値である。図12の時間t2 は、イナーシャ相が始まった時間で、この図12は、フェーズPH=5の状態からフェーズPH=7へ移行した場合である。 NC0<NOUT ×γ1 −A1 ・・・(1) 【0061】ステップQ1−14では、フェーズPH=7で且つ同期が近いか否かを判断し、満足する場合は、ステップQ1−15でフェーズPHとして「8」を設定するとともに、タイマTim8をリセットして新たに計時を開始させる。同期が近いか否かは、例えば次式(2) を満足するか否かによって判断できる。すなわち、入力回転速度NC0の変化速度ΔNC0を例えば今回の入力回転速度NC0n から前回のサイクル時の入力回転速度NC0n-1 を引き算するなどして算出するとともに、アップシフト後の同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達するまでの同期所要時間(NOUT ×γ2 −NC0)/ΔNC0を求め、その同期所要時間が予め定められた判定値B1 以下になったか否かによって判断するのである。(2) 式のγ2 は、第2速ギヤ段の変速比である。出力回転速度NOUT の変化速度ΔNOUT 、或いは同期回転速度の変化速度Δ(NOUT ×γ2 )を求めて、更に高い精度で同期所要時間を算出することもできる。 B1 >(NOUT ×γ2 −NC0)/ΔNC0 ・・・(2)【0062】このようにしてフェーズPHが順次決定されると、その決定されたフェーズPH毎に図10のフローチャートに従って指令値DSLUが制御される。図10のステップQ2−1ではフェーズPHが「1」か否かを判断し、PH=1であればステップQ2−2において今回の指令値DSLUi =D1にする。D1は予め定められた比較的小さな設定値(例えば0)であるが、今回の制御ではフェーズPH=1はなく、従って設定値D1も使用されない。 【0063】ステップQ2−3ではフェーズPHが「2」か否かを判断し、PH=2であればステップQ2−4において今回の指令値DSLUi =D2にする。フェーズPH=2は、油圧シリンダ52に対してファーストフィルを行うための部分で、設定値D2は最大値など比較的大きな値が設定される。 【0064】ステップQ2−5ではフェーズPHが「3」か否かを判断し、PH=3であればステップQ2−6において今回の指令値DSLUi =D3にする。フェーズPH=3は、油圧シリンダ52のピストンがストロークエンドに達する際にファーストフィルの残圧で急係合ショックが出ないようにするための部分で、設定値D2は、油圧PB3を低圧待機圧+α(微小値)相当まで下げるように設定される。低圧待機圧は、ブレーキB3を係合させることなく油圧シリンダ52のピストンを係合側のストロークエンド付近に保持できる油圧である。 【0065】ステップQ2−7ではフェーズPHが「4」か否かを判断し、PH=4であればステップQ2−8において今回の指令値DSLUi を次式(3) に従って設定する。フェーズPH=4は、油圧シリンダ52のピストンがストロークエンドに達した後に、イナーシャ相が始まる直前の屈曲点油圧PB3* (図12参照)まで速やかに立ち上げる部分で、設定時間T4でその屈曲点油圧PB3* に対応する設定値(屈曲点指令値)D4まで指令値DSLUi を速やかに上昇させるようにフィードフォワード制御する。図12のスウィープ部SW1は、このフェーズPH=4に相当する部分で、屈曲点指令値D4に対応する屈曲点油圧PB3* にイナーシャ相が始まる前に到達するように、応答遅れDLを考慮して時間T4等が設定されている。上記屈曲点指令値D4および時間T4は、入力トルクに対応するアクセルペダル操作量ACC或いはスロットル弁開度θTH等をパラメータとする演算式やデータマップなどで設定されている。 DSLUi ={(D4−D3)/T4}×Tim+D3 ・・・(3)【0066】上記フェーズPH=4における指令値DSLUi の設定に際しては、変速中のアクセルペダル操作量ACCの変化に拘らず適切な油圧制御が行われるように、1サイクル毎にスロットル弁開度θTHに基づいて屈曲点指令値D4を求め、その屈曲点指令値D4を(3) 式に代入して指令値DSLUi を算出する。例えば、図13の(a) の実線は、フェーズPH=4の過程でスロットル弁開度θTHがθTHa からθTHb まで変化した場合の指令値DSLUを示す図で、最初はθTHa に対応する屈曲点指令値D4a を用いて指令値DSLUi が算出されるが、スロットル弁開度θTHの変化に伴って屈曲点指令値D4も変化し、最後にはθTHb に対応する屈曲点指令値D4b になる。これにより、スロットル弁開度θTHの変化時においても常に適切な屈曲点指令値D4に向かって指令値DSLUが上昇させられる。図13の(b) はスロットル弁開度θTHをパラメータとして屈曲点指令値D4が定められたデータマップの一例である。なお、アクセルペダル150の踏み込み操作時には、そのアクセルペダル操作量ACCの変化に応じてスロットル弁開度θTHも変化するが、エンジン10の実際の出力は所定の応答遅れを有するため、上記屈曲点指令値D4の算出に際しても、エンジン10の応答遅れに相当するなましを加えた補正スロットル弁開度を用いて屈曲点指令値D4を算出することが望ましい。 【0067】ステップQ2−9ではフェーズPHが「5」または「7」であるか否かを判断し、PH=5または7であればステップQ2−10において今回の指令値DSLUi を次式(4) に従って設定する。フェーズPH=5および7は、入力回転速度NC0の変化による変速ショックを防止しつつできるだけ速やかに入力回転速度NC0を変化させる部分で、フェーズPH=4よりも緩やかな一定のスウィープ量ΔD5で指令値DSLUi を変化(増加)させるようにフィードフォワード制御する。(4) 式のDSLUi-1 は、前回の指令値である。図12はフェーズPH=5の状態でイナーシャ相が始まってフェーズPH=7へ移行した場合で、スウィープ部SW2は、これ等のフェーズPH=5(時間t2 より前)および7(時間t2 より後)に相当する。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD5 ・・・(4)【0068】ステップQ2−11ではフェーズPHが「6」か否かを判断し、PH=6であればステップQ2−12において今回の指令値DSLUi を次式(5) に従って設定する。フェーズPH=6は、前記図9のステップQ1−10〜Q1−12から明らかなように、フェーズPH=5になって時間T5が経過してもイナーシャ相が始まらない場合に設けられるもので、速やかにイナーシャ相が始まるようにフェーズPH=5のスウィープ量ΔD5よりも大きなスウィープ量ΔD6で指令値DSLUi を変化(増加)させるようにフィードフォワード制御する。なお、このフェーズPH=6を省略することもできる。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD6 ・・・(5)【0069】ステップQ2−13ではフェーズPHが「8」か否かを判断し、PH=8であればステップQ2−14において今回の指令値DSLUi を次式(6) に従って設定する。フェーズPH=8は、入力回転速度NC0がアップシフト後の同期回転速度に近づいた時に、係合終期のトルクのゆり返しが出ないようにするための部分で、一定のスウィープ量ΔD8で指令値DSLUi を変化(減少)させるようにフィードフォワード制御する。 DSLUi =DSLUi-1 −ΔD8 ・・・(6)【0070】ステップQ2−15ではフェーズPHが「9」か否かを判断し、PH=9であればステップQ2−16において今回の指令値DSLUi を次式(7) に従って設定する。フェーズPH=9は、入力回転速度NC0が同期回転速度に達するとともにブレーキB3が完全係合して1→2アップシフトが終了した後に油圧PB3をライン圧PLまで上昇させる部分で、一定のスウィープ量ΔD9で指令値DSLUi を変化(増加)させるようにフィードフォワード制御する。図12の時間t3は、入力回転速度NC0が同期回転速度に達するとともにブレーキB3が略完全係合させられ、1→2アップシフトが略終了した時間であり、図ではフェーズPH=9の開始時と略一致している。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD9 ・・・(7)【0071】このように本実施例では、トルク相中の油圧勾配(スウィープ部SW1)とイナーシャ相中の油圧勾配(スウィープ部SW2)との切換えをフィードフォワード制御で行うとともに、スウィープ部SW1だけでなくスウィープ部SW2についてもフィードフォワード制御で行っているため、例えば入力回転速度NC0の変化からイナーシャ相の開始を検出して油圧勾配を切り換えたり、スウィープ部SW2を入力回転速度NC0が所定の変化率で変化するようにフィードバック制御したりする場合に比較して、応答遅れDLに起因する変速ショックやブレーキB3の摩擦材の耐久性低下等を防止できる。応答遅れDLの影響を少なくするためにトルク相の油圧勾配を寝かせると、トルク相時間が長くなって変速フィーリングや摩擦材の耐久性が悪化するが、本実施例では油圧勾配を寝かせることなく応答遅れDLを考慮した制御が可能である。 【0072】一方、上記トルク相中の油圧勾配(スウィープ部SW1)とイナーシャ相中の油圧勾配(スウィープ部SW2)との切換えが、個体差や経時変化などに拘らず常に適切なタイミングで行われるように、前記屈曲点指令値D4(屈曲点油圧PB3* に対応)は学習補正されるようになっている。すなわち、図14に示すように指令値DSLUが屈曲点指令値D4に到達する指令値屈曲時間をST、イナーシャ相が始まるイナーシャ相開始時間をITとした場合、指令値屈曲時間STを基準として下限時間ATと上限時間BTとの間にシナーシャ相開始時間ITが入るように、例えば記憶装置188にスロットル弁開度θTHをパラメータとして記憶されている屈曲点指令値D4のデータマップを書き換えるのである。指令値屈曲時間STは、前記フェーズPH=4が終了してステップQ1−8がYESになった時間で、イナーシャ相開始時間ITは、前記ステップQ1−12がYESになった時間である。 【0073】上記屈曲点指令値D4の学習補正について具体的に説明すると、図15の(a)は指令値屈曲時間STよりも前にイナーシャ相が始まった場合で、イナーシャ相開始時間ITから応答遅れDLを考慮した油圧レベル、すなわちイナーシャ相開始時間ITよりも応答遅れDLだけ前の指令値DSLUと、屈曲点指令値D4との差ΔD1 に基づいて、予め定められた演算式から補正量(この場合は減算値)を求め、記憶装置188にスロットル弁開度θTHをパラメータとして記憶されている屈曲点指令値D4のデータマップのうち対応するものを補正する。演算式は、例えば差ΔD1 が大きい程補正量(減算値)が大きくなるように定められる。 【0074】図15の(b) は、指令値屈曲時間STから下限時間ATに達する前にイナーシャ相が始まった場合で、イナーシャ相開始時間ITにおける油圧レベルと下限時間ATにおける油圧レベルとの差ΔD2 に基づいて、予め定められた演算式から補正量(この場合は減算値)を求め、記憶装置188にスロットル弁開度θTHをパラメータとして記憶されている屈曲点指令値D4のデータマップのうち対応するものを補正する。演算式は、例えば差ΔD2 が大きい程補正量(減算値)が大きくなるように定められる。 【0075】図15の(c) は、指令値屈曲時間STから上限時間BTを経過した後にイナーシャ相が始まった場合で、イナーシャ相開始時間ITにおける油圧レベルと上限時間BTにおける油圧レベルとの差ΔD3 に基づいて、予め定められた演算式から補正量(この場合は加算値)を求め、記憶装置188にスロットル弁開度θTHをパラメータとして記憶されている屈曲点指令値D4のデータマップのうち対応するものを補正する。演算式は、例えば差ΔD3 が大きい程補正量(加算値)が大きくなるように定められる。なお、前記フェーズPH=6が発生したか否かによって補正量の演算式を変えるようにしても良い。 【0076】イナーシャ相開始時間ITが、指令値屈曲時間STを基準として下限時間ATと上限時間BTとの間に入っている場合は、屈曲点指令値D4の補正を行わない。 【0077】このように屈曲点指令値D4を学習補正すると、個体差や経時変化などに拘らず指令値屈曲時間STに対して常に所定のタイミングでイナーシャ相が開始されるため、個体差や経時変化に起因してイナーシャ相の発生タイミングがずれることにより、変速ショックが発生したりブレーキB3の摩擦材の耐久性が低下したりすることが防止される。 【0078】また、アクセルOFF等のパワーOFF時には、変速の遅れを気にすることなく、ショックを優先して屈曲点の差分をもとの油圧を低減したり係合力がなくなるレベルまで油圧を下げたりすることができる。 【0079】また、スロットル弁開度θTHが略全閉の極低開度の屈曲点指令値D4(或いは屈曲点油圧PB3* )から、入力トルクに相当する油圧分を差し引くことで、ブレーキB3の油圧シリンダ52のピストンストロークに必要な低圧待機圧を学習できる。 【0080】また、イナーシャ相開始タイミングのばらつきが減るため、回転速度センサだけでは検出が困難であったトルク相の進行度合いを推定でき、各種変速制御、例えばイナーシャ相開始直前からのトルクダウン制御の開始など、に利用できる。トルク相検出用のセンサを廃止することによりコストダウンを図ることも可能である。 【0081】また、最適な屈曲点指令値D4(或いは屈曲点油圧PB3* )を学習することで、その屈曲点指令値D4(或いは屈曲点油圧PB3* )を用いたその他の制御、例えば変速中のアクセルペダル150の踏み増し踏み戻しやブレーキB3解放後の再係合時制御等、の実施時のショックやばらつきが低減される。 【0082】また、フェーズPH=4の油圧勾配(指令値勾配)を一定にするとともに、スウィープ時間T4を学習によって補正するようにしても良いし、スウィープ時間T4を一定にするとともに、油圧勾配(指令値勾配)を学習によって補正するようにしても良い。 【0083】一方、図16は、3→2ダウンシフト時に、前記変速用電子制御装置178によって実行される信号処理の内容を説明するフローチャートである。図17、図18は、その3→2ダウンシフトの実行時における入力回転速度NC0および指令値DSLU等の変化を示すタイムチャートの一例で、図17はアクセルペダル150が踏込み操作されて車輪側へ駆動力が伝達されるパワーON時のダウンシフトのものであり、図18はアクセルペダル150が踏込み操作されていないアクセルOFFの惰行走行時に車速低下に伴って行われるコーストダウンシフト時のものである。 【0084】図16のステップR1では、車速Vおよびスロットル弁開度θTHに基づいて例えば前記図8に示す変速線図に従って、或いはシフトレバー172やダウンレンジスイッチ186D のマニュアル操作に従って、3→2ダウンシフトを行うか否かの判断が為される。そして、3→2ダウンシフトを行う旨の判断が為されると、ステップR2において前記2−3シフトバルブ71が切り換えられ、ブレーキB2の油圧シリンダ54の作動油が直ちにドレーンされてブレーキB2が解放されるとともに、ブレーキB3の油圧シリンダ52に作動油が供給される。また、ステップR3では、油圧シリンダ52に供給される油圧PB3が、リニアソレノイドバルブSLUによって直接圧制御されることにより、入力回転速度NC0が第2速ギヤ段の同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った後に滑らかにその同期回転速度(NOUT ×γ2 )に近づくように、ブレーキB3がオーバシュート係合させられる。2−3シフトバルブ71の切換えは、ソレノイドバルブSL1の励磁、非励磁を切り換えることによって行われる。 【0085】図17、図18の時間t1 は3→2ダウンシフト判断が為された時間で、時間t3 は入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った時間で、時間t4 は入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )と略一致するとともにブレーキB3が略完全係合させられ、3→2ダウンシフトが略終了した時間である。また、図示は省略するが、ブレーキB3の油圧PB3が、リニアソレノイドバルブSLUの指令値DSLUの変化に対して所定の応答遅れを有する状態で略追従して変化させられることは、前記アップシフトの場合と同じである。なお、図17、図18に記載のγ3 は、第3速ギヤ段の変速比である。 【0086】上記図16のフローチャートに従って実行される3→2ダウンシフト制御は、第1発明、第2発明、第4発明の実施例に相当し、ブレーキB3、油圧シリンダ52はそれぞれ摩擦係合装置、油圧シリンダに相当し、油圧PB3を直接圧制御するリニアソレノイドバルブSLUおよび前記B−3コントロールバルブ78は調圧装置に相当し、油圧PB3、更には指令値DSLUは摩擦係合装置(ブレーキB3)の係合力に相当する。また、変速用電子制御装置178による一連の信号処理のうちステップR3を実行する部分はオーバシュート係合制御手段として機能している。なお、5→2ダウンシフト、4→2ダウンシフトにおいても、高速ギヤ段の摩擦係合装置を直ちに解放して同様のダウンシフト制御が行われる。 【0087】上記ステップR3のオーバシュート係合時の油圧制御は、基本的には前記1→2アップシフト時における油圧PB3の直接圧制御の制御パターンと同様な制御パターンに従ってフィードフォワード制御される。図19および図20は、ステップR3の処理内容を具体的に説明するフローチャートで、それぞれ所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。また、図20は、オーバシュート係合制御時の直接圧制御の基本制御パターンを示す図である。これ等の図から明らかなように、前記アップシフト時に比較してフェーズPH=6および7が無い点が相違する。また、時間T2〜T4、T8、指令値DSLUの設定値D1〜D4、指令値DSLUの変化率であるスウィープ量ΔD5、ΔD8、ΔD9は予め記憶装置188に記憶されており、本実施例ではアップシフト用のデータをそのまま利用するが、ダウンシフト用のデータを別個に記憶しておくこともできる。なお、アップシフト時とは全く異なる制御パターンを採用することも可能である。 【0088】図19において、ステップS1−1では、入力回転速度NC0が第2速ギヤ段の同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達するまでの同期所要時間A2 を求め、予め記憶装置188に記憶された油圧シリンダ52のピストンストロークに要するストローク時間B2 と比較することにより、その入力回転速度NC0がその同期回転速度(NOUT ×γ2 )に略到達した時、またはその同期回転速度(NOUT ×γ2)を上回った後に、油圧シリンダ52のピストンが係合側のストロークエンドに達して係合力が発生し始めるように、その油圧シリンダ52に対する作動油の供給開始時間を決定する。具体的には、同期所要時間A2 がストローク時間B2 より小さくなったか否かを判断する。同期所要時間A2 は、入力回転速度NC0の変化速度ΔNC0を例えば今回の入力回転速度NC0n から前回のサイクル時の入力回転速度NC0n-1 を引き算するなどして算出することにより、次式(8) に従って求めることができる。(8) 式は、車速Vすなわち同期回転速度(NOUT ×γ2 )が略一定であることを前提としているが、コーストダウンシフトなど変速中に車速Vが変化する場合には、同期回転速度(NOUT ×γ2 )の変化速度Δ(NOUT ×γ2 )を考慮して、次式(9) に従って同期所要時間A2 を求めることが望ましい。 A2 =(NOUT ×γ2 −NC0)/ΔNC0 ・・・(8)A2 =(NOUT ×γ2 −NC0)/{ΔNC0−Δ(NOUT ×γ2 )}・・・(9)【0089】ストローク時間B2 は、図21に示す制御パターンに従って油圧シリンダ52に供給する作動油の油圧制御を行った場合に、油圧シリンダ52のピストンが係合側のストロークエンドに到達する時間で、油温などによって影響されるため、油温などをパラメータとして記憶されている。図21の設定時間T2とT3とを加算した時間は略ストローク時間B2 と一致するため、それ等の設定時間T2、T3を加算してストローク時間B2 を求めるようにしても良い。また、図18に示すコーストダウンシフトの場合には、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達した後に油圧シリンダ52のピストンがストロークエンドに達するように、ストローク時間B2 から所定の余裕値を減算して供給開始時間を判断するようになっている。コーストダウンシフトか否かは、スロットル弁開度θTHが全閉か否か、アイドル接点がONか否か等によって判断できる。コーストダウンシフト以外でも、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達した後に油圧シリンダ52のピストンがストロークエンドに達するように、ストローク時間B2 に所定の余裕値を加算して供給開始時間を判断するようにしても良い。上記ストローク時間B2 を記憶している記憶装置188は、電源OFFでも記憶内容を保持できるもので、変速用電子制御装置178が備えているRAMやROM等を代わりに用いることもできる。この記憶装置188はストローク時間記憶装置に相当する。 【0090】なお、実際の油圧変化は、指令値DSLUに対して所定の応答遅れを有するため、その応答遅れを加味して上記判断は行われる。また、フェーズPHの初期値は「1」で、ステップS1−1はPH=1の場合に上記判断を行う。フェーズPH=1における指令値D1は小さく、フェーズPH=1の段階で油圧シリンダ52のピストンが押し込まれることはない。また、スロットル弁開度θTHに対応するスロットル弁開度指令値TAPが所定の判定値C2 よりも大きい場合には、A2 ≧B2 であっても作動油の供給を開始すべき旨の判断(YES)を行う。判定値C2 は車速Vをパラメータとして設定されており、車速Vが明らかに2速駆動状態となる低車速時の場合には判定値C2 =0で、ステップS1−1の判断は直ちにYESになる。 【0091】そして、ステップS1−1の判断がYESになると、ステップS1−2においてフェーズPH=2に設定され、図20のステップS2−4においてリニアソレノイドバルブSLUの指令値DSLU=D2とされてファーストフィルが実施され、油圧シリンダ52に対して作動油の供給が開始される。図17、図18の時間t2 は、ステップS1−1の判断がYESになって、フェーズPH=2に移行した時間である。変速用電子制御装置178による一連の信号処理のうちステップS1−1を実行する部分は供給開始時間判断手段として機能している。 【0092】図19のステップS1−3〜S1−12では、前記図9のステップQ1−4〜Q1−9、Q1−14〜Q1−17と同様な処理が行われ、フェーズPHが順次切り換えられる。また、図20の各ステップS2−1〜S2−14では、前記図10のステップQ2−1〜Q2−10、Q2−13〜Q2−16と同様な処理が行われて、各フェーズ毎に指令値DSLUが制御される。フェーズPH=4では、屈曲点指令値D4に向けて指令値DSLUが上昇させられ、例えば図17のパワーON時のダウンシフトでは、その指令値DSLUの上昇に伴う油圧PB3の上昇勾配により第2速ギヤ段の駆動力が速やかに立ち上げられる。屈曲点指令値D4は、前記アップシフト時に用いられるとともに、逐次学習補正されたものである。図18のコーストダシンシフトにおいても、スロットル弁開度θTHが極低開度時のアップシフト時の屈曲点指令値D4を用いれば良い。 【0093】これにより、図17、図18に示すように入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に略到達した時、またはその同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った後に、油圧シリンダ52のピストンが係合側のストロークエンドに達して係合力が発生し始めるとともに、更に係合力が高められて入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に滑らかに近づけられる。なお、図18のコーストダウンシフトでは、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達した後に、油圧シリンダ52のピストンがストロークエンドに到達して係合力が発生し始める。また、図18において、ブレーキB2の解放に伴って入力回転速度NC0が上昇しているのは、この場合はエンジン回転速度NE が入力回転速度NC0よりも高いためである(3rd弱駆動状態からの3→2ダウンシフトになる)。 【0094】なお、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った時点で、例えばエンジン10の出力を制限するなどして入力トルクのダウン制御を行うこともできる。トルクダウン量は、同期回転速度(NOUT ×γ2 )に対する入力回転速度NC0の変化方向に従って、それ等の回転速度差が大きくなる程トルクダウン量を大きくし、回転速度差が小さくなるに従ってトルクダウン量を小さくすることが望ましい。また、回転速度のハンチングが生じないように回転速度差がある値以上のときは、一定値としても良い。 【0095】このように本実施例では、自動変速機14の入力回転速度NC0が第2速ギヤ段の同期回転速度(NOUT ×γ2 )よりも低い状態から第2速ギヤ段を成立させる3→2ダウンシフトにおいて、その入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った後に滑らかにその同期回転速度(NOUT ×γ2 )に近づくように、ブレーキB3の油圧シリンダ52の係合油圧PB3すなわちブレーキB3の係合力が制御されるため、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った状態では第2速ギヤ段へのアップシフト時の制御をそのまま適用することが可能で、ダウンシフト指令に従ってブレーキB2を直ちに解放した後、ブレーキB3の係合制御のみで滑らかに3→2ダウンシフトを行うことができる。 【0096】これにより、入力回転速度NC0が所定の変化速度で変化するようにブレーキB2の油圧PB2をフィードバック制御するとともにブレーキB3を低圧待機させ、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に近づいた時にブレーキB2を解放するとともにブレーキB3を完全係合させる従来装置に比較して、ブレーキB2、B3の解放、係合制御が容易になる。因みに、従来装置においては、ブレーキB3の低圧待機時間が500m秒以上であったが、本実施例におけるブレーキB3の油圧シリンダ52のストローク時間B2 は100m秒程度で、入力回転速度NC0の変化速度ΔNC0に応じて変速時間(2速での駆動力発生の時間)を大幅に短縮することができる。 【0097】また、フェーズPH=4における油圧の立上げで第2速ギヤ段の駆動力の立上りを調整できるため、ワンウェイクラッチを有する変速段へのダウンシフトに比べて、トルクダウン無しでも良好なショックが実現できる。 【0098】また、フィードフォワード制御によって油圧シリンダ52の油圧PB3を制御するようになっているとともに、入力回転速度NC0が第2速ギヤ段の同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達するまでの同期所要時間A2 と、油圧シリンダ52のピストンストロークに要するストローク時間B2 とを比較することにより、油圧シリンダ52に対する作動油の供給開始時間が決定されるため、常に所定のタイミングでブレーキB3がオーバシュート係合させられるようになり、係合力の発生タイミングのずれに起因するショック等の発生が抑制される。 【0099】また、上記油圧シリンダ52を係合させる際の係合油圧も、アップシフトで学習した回転速度を滑らかに変化させる必要最低限の油圧に制御されるため、同期回転と係合力発生のタイミングのズレを高油圧にて急変化(急係合)してしまうことによるショックを抑制できる。 【0100】また、図18に示すコーストダウンシフト時には、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )以下の間はブレーキB3が係合力を発生しないように油圧シリンダ52に対する作動油の供給開始時間が制御されるため、コーストダウンシフト時に負トルク(エンジンブレーキ力)が発生する恐れがない。 【0101】図22は、2→3アップシフト指令が出力された後、比較的短時間、すなわちブレーキB2がトルク容量を十分に確保する前に、アクセルペダル150の踏込み操作などで第2速ギヤ段へのダウンシフト指令が為された場合に、前記変速用電子制御装置178によって実行される信号処理の内容を説明するフローチャートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。図23は、図22の制御実行時における入力回転速度NC0および指令値DSLUの変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1 は2→3アップシフト指令が出力された時間で、時間t2は3→2アップシフト指令が出力された時間である。 【0102】図22のステップS3−1では、2→3変速中か否かを例えばソレノイドバルブSL1〜SL4の励磁、非励磁の状態や実際の変速比(NC0/NOUT )などから判断し、変速中であればステップS3−2で第2速ギヤ段へのダウンシフト指令が出力されたか否かを判断する。そして、ダウンシフト指令が出力され、ブレーキB3の油圧シリンダ52に作動油が供給されるとともにブレーキB2の作動油がドレーンされるように2−3シフトバルブ71が切り換えられると、ステップS3−3を実行し、前記フェーズPHを「1」に設定して前記オーバシュート係合制御を開始させるとともに、タイマTimA3 を0にリセットして新たに計時を開始させる。フェーズPH=1とされることにより、油圧シリンダ52内の作動油が速やかにドレーンされる。 【0103】ステップS3−4では、前記図19のフローチャートの実行によりフェーズPH=1からPH=2へ移行したか否かを判断し、PH=2へ移行した場合には、ステップS3−5においてタイマTimA3 の計時時間に応じて時間T2を補正する。すなわち、油圧シリンダ52内の作動油が完全に抜けていない状態で図21の制御パターンによる油圧制御を実施すると、フェーズPH=2になって作動油の供給が開始されてから油圧シリンダ52のピストンが係合側のストロークエンドに到達するまでの時間がばらつき、所望通りの制御が得られないため、フェーズPH=1にして意図的に油圧シリンダ52内の作動油を急速にドレーンする一方、ドレーン時間を十分に確保できない場合を考慮してPH=2になるまでの時間をタイマTimA3 により計測し、その時間が所定値以下の場合、すなわち油圧シリンダ52内に作動油が残っていると考えられる場合には、タイマTimA3 の時間が短い程時間T2を短くするように予め定められた演算式やデータマップ等により補正するのである。その後、前記図19〜図21のオーバシュート係合制御に従ってブレーキB3が係合させられ、第2速ギヤ段が成立させられる。なお、上記ステップS3−5では、時間T2の代わりに、或いは時間T2と共に、タイマTimA3 により指令値DSLUの値D2を補正するようにしても良い。 【0104】このように、2→3アップシフトの途中でアクセルペダル150の踏込み操作などで3→2ダウンシフト指令が為された場合にも、第3速ギヤ段のブレーキB2を直ちに解放するとともに第2速ギヤ段のブレーキB3をオーバシュート係合させるため、従来のようにブレーキB2のトルク容量を十分に確保した後、または一旦第3速ギヤ段を成立させた後に、ブレーキB2の油圧をフィードバック制御しながら3→2ダウンシフトを行う場合に比較して、優れた応答性が得られる。 【0105】また、フェーズPH=1にして意図的に油圧シリンダ52内の作動油を急速にドレーンするようにしているため、油圧シリンダ52内の残圧の影響が排除され、ブレーキB3のオーバシュート係合制御が適正に行われる。特に、そのドレーン時間をタイマTimA3 により計測して時間T2またはD2を補正するようになっているため、フェーズPH=2へ移行するまでのドレーン時間が短い場合でも、オーバシュート係合制御が適正に行われる。 【0106】変速用電子制御装置178による一連の信号処理のうちステップS3−3を実行する部分は、アップシフトからダウンシフトへ移行する際に油圧シリンダ52内の作動油をドレーンしてブレーキB3を一旦解放し、その後にオーバシュート係合制御へ移行させるアップダウン移行時解放手段として機能しており、ステップS3−5を実行する部分は、作動油の供給開始時間までのドレーン時間が短くて油圧シリンダ52内の作動油を完全にドレーンできない場合に、その残圧分だけ作動油の供給制御を補正するオーバシュート係合制御補正手段として機能している。 【0107】図24は、パワーOFF時にシフトレバー172やダウンレンジスイッチ186D のマニュアル操作に従って3→2ダウンシフト指令が出力され、エンジンブレーキ用ダウンシフトが行われている過程でアクセルペダル150が増し踏み操作された場合に、前記変速用電子制御装置178によって実行される信号処理の内容を説明するフローチャートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。図25は、図24の制御実行時における入力回転速度NC0や指令値DSLU等の変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1 は3→2ダウンシフト指令が出力された時間で、時間t2 はアクセルペダル150が増し踏み操作された時間である。この図24のフローチャートに従って実行される3→2ダウンシフト制御は第3発明の実施例に相当する。 【0108】図24のステップS4−1では、パワーOFF時にシフトレバー172やダウンレンジスイッチ186D のマニュアル操作によって3→2ダウンシフト指令が出力されたか否かを判断する。パワーOFFは、エンジン10から車輪側へ駆動力が伝達されない状態、すなわちエンジンブレーキ状態であり、例えばトルクコンバータ12の入出力部材の回転速度から判断できるが、単にアクセルペダル150が踏込み操作されていない(アクセルOFF)か否かによって判断するようにしても良い。そして、パワーOFF時のマニュアル操作による3→2ダウンシフトであれば、ステップS4−2を実行し、ブレーキB3の油圧シリンダ52に作動油が供給されるとともにブレーキB2の作動油がドレーンされるように2−3シフトバルブ71を切り換えるとともに、油圧シリンダ52の油圧制御に際してエンジンブレーキ用のダウンシフト制御を実施する。このエンジンブレーキ用のダウンシフト制御は、ブレーキB2を直ちに解放するとともにエンジンブレーキ力を滑らかに増加させるようにブレーキB3の係合力を制御するもので、前記図19〜図21のオーバシュート係合制御とは異なり、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を殆ど上回ることなくブレーキB3が完全係合するように指令値DSLUを制御する。 【0109】ステップS4−3では、変速中すなわちブレーキB3が完全係合する前で入力回転速度Nc0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )と一致していない段階で、アクセルペダル150が踏込み操作されたか否かを判断し、アクセルOFFのままであればそのまま終了するが、アクセルペダル150が踏込み操作された場合には、ステップS4−4を実行する。ステップS4−4では、上記エンジンブレーキ用のダウンシフト制御から前記オーバシュート係合制御へ移行させ、指令値DSLUの制御パターンにおけるフェーズPHを「1」に設定するとともに、タイマTimA4 を0にリセットして新たに計時を開始させる。フェーズPH=1とされることにより、油圧シリンダ52内の作動油が速やかにドレーンされる。また、ステップS4−5では、前記図19のフローチャートの実行によりフェーズPH=1からPH=2へ移行したか否かを判断し、PH=2へ移行した場合には、ステップS4−6においてタイマTimA4 の計時時間に応じて時間T2を補正する。時間T2の代わりに、或いは時間T2と共に、タイマTimA4 の計時時間に応じてD2を補正するようにしても良い。ステップS4−4〜S4−6は、前記図22のステップS3−3〜S3−5と実質的に同じである。 【0110】このように、エンジンブレーキ用のダウンシフト制御の途中でアクセルペダル150が踏込み操作された場合には、直ちにオーバシュート係合制御へ移行して第2速ギヤ段のブレーキB3をオーバシュート係合させるため、第2速ギヤ段が速やかに成立させられ、アクセルペダル150の踏込み操作に対して優れた応答性が得られる。 【0111】また、オーバシュート係合制御へ移行する際に、フェーズPH=1にして意図的に油圧シリンダ52内の作動油を急速にドレーンするようにしているため、油圧シリンダ52内の残圧の影響が排除され、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に略到達した時、またはその同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った後に、油圧シリンダ52のピストンが係合側のストロークエンドに達して係合力が発生し始めるように、ブレーキB3のオーバシュート係合制御が適正に行われる。特に、そのドレーン時間をタイマTimA4 により計測して時間T2またはD2を補正するようになっているため、フェーズPH=2へ移行するまでのドレーン時間が短い場合でも、オーバシュート係合制御が適正に行われる。 【0112】変速用電子制御装置178による一連の信号処理のうちステップS4−2を実行する部分はエンジンブレーキ時変速制御手段として機能しており、手動変速時係合制御手段に相当する。また、ステップS4−4を実行する部分は、エンジンブレーキ時変速制御からオーバシュート係合制御への移行時解放手段に相当し、ステップS4−6を実行する部分は、作動油の供給開始時間までのドレーン時間が短くて油圧シリンダ52内の作動油を完全にドレーンできない場合に、その残圧分だけ作動油の供給制御を補正するオーバシュート係合制御補正手段として機能している。 【0113】図26は、3→2コーストダウンシフトの過程でアクセルペダル150が踏込み操作された時には前記オーバシュート係合制御を実施してブレーキB3を係合させる場合に、前記変速用電子制御装置178によって実行される信号処理の内容を説明するフローチャートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。図27は、図26の制御実行時における入力回転速度NC0や指令値DSLU等の変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1 は3→2コーストダウンシフト指令が出力された時間で、時間t2 はブレーキ操作が解除された時間で、時間t3はアクセルペダル150が踏込み操作された時間である。この図26のフローチャートに従って実行される3→2ダウンシフト制御は第5発明の実施例に相当する。 【0114】図26のステップS5−1では、アクセルペダル150が踏込み操作されていないアクセルOFFの惰行走行時、或いはブレーキペダルが踏込み操作された制動走行時に、車速低下に伴って例えば前記図8に示す変速線図等に従って3→2ダウンシフトを行う3→2コーストダウンシフトか否かを判断する。コーストダウンシフトか否かは、スロットル弁開度θTHが全閉か否か、アイドル接点がONか否か等によって判断できる。そして、3→2コーストダウンシフトの場合には、ステップS5−2において、ブレーキB3の油圧シリンダ52に作動油が供給されるとともにブレーキB2の作動油がドレーンされるように2−3シフトバルブ71を切り換え、ブレーキB2を速やかに解放する。ブレーキB3については、リニアソレノイドバルブSLUによる油圧制御で、例えば前記フェーズPH=1に維持することにより解放状態に保持する。 【0115】ステップS5−3では、アクセルペダル150が踏込み操作されたか否かを判断し、踏込み操作された場合にはステップ5−4で前記図19〜図21のオーバシュート係合制御を行うことにより、ブレーキB3をオーバシュート係合させて第2速ギヤ段を速やかに成立させる。図27のタイムチャートは、このように3→2コーストダウンシフトの過程でアクセルペダル150が踏込み操作された場合である。また、図27において、ブレーキB2の解放に伴って入力回転速度NC0が上昇しているのは、この場合はエンジン回転速度NE が入力回転速度NC0よりも高く、第3速ギヤ段での弱駆動状態になっていたためである。変速用電子制御装置178による一連の信号処理のうちステップS5−4を実行する部分はオーバシュート係合制御手段として機能している。 【0116】上記ステップS5−3の判断がNOの場合、すなわちアクセルOFFのままの場合には、ステップS5−5を実行し、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回ったか否かを判断する。そして、NC0<NOUT ×γ2 の間は、そのまま終了してステップS5−1以下を繰り返し実行する一方、NC0≧NOUT×γ2 になったら、ステップS5−6でブレーキB3を解放したまま3→2コーストダウンシフトを終了し、例えば図28に示す第2速ギヤ段の走行時におけるブレーキB3の係合、解放制御へ移行する。なお、ステップS5−6でブレーキB3を係合させるようにしても良い。 【0117】この実施例では、第2速ギヤ段へのコーストダウンシフトではブレーキB3を解放状態に維持し、そのダウンシフトの過程でアクセルONになった場合に、ステップS5−4でブレーキB3をオーバシュート係合させるため、コーストダウンシフト時の負トルクの発生を抑制しつつ、アクセルONに伴って駆動力を速やかに発生させることができる。 【0118】図28は、第2速ギヤ段での走行時にパワーOFFか否かによってブレーキB3を解放、係合制御する場合に、前記変速用電子制御装置178によって実行される信号処理の内容を説明するフローチャートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。図29は、図28の制御実行時における入力回転速度NC0や指令値DSLU等の変化を示すタイムチャートの一例で、第2速ギヤ段での走行中に一時的にパワーOFF(アクセルOFF)になった場合であり、時間t1 はアクセルペダル150の踏み戻し操作が始まった時間で、時間t2 はブレーキB3が略解放された時間で、時間t3 はオーバシュート係合制御でブレーキB3の油圧シリンダ52に対して作動油の供給が開始された時間(フェーズPH=2になった時間)で、時間t4 はブレーキB3が略係合させられた時間である。この図28のフローチャートに従って実行されるブレーキB3の解放、係合制御は第6発明の実施例に相当する。 【0119】図28のステップS6−1では、第2速ギヤ段での走行中か否かをシフトレバー172の操作位置やソレノイドバルブSL1〜SL4の励磁、非励磁の状態などから判断する。本制御においては、ステップS6−3においてリニアソレノイドバルブSLUによりブレーキB3が解放されている場合も第2速ギヤ段と判断する。そして、第2速ギヤ段での走行中の場合は、ステップS6−2を実行し、パワーOFFか否かを判断する。パワーOFFは、エンジン10から車輪側へ駆動力が伝達されない状態、すなわちエンジンブレーキ状態であり、例えばトルクコンバータ12の入出力部材の回転速度から判断できるが、単にアクセルペダル150が踏込み操作されていない(アクセルOFF)か否かによって判断するようにしても良い。 【0120】パワーOFFの場合は、ステップS6−3でリニアソレノイドバルブSLUによる油圧制御でブレーキB3を解放するとともに、ステップS6−4でフラグF2を「1」にする。ブレーキB3を解放する際の油圧制御は、例えば前記屈曲点指令値D4を元にアクセルペダル150の踏み戻し補正を行うとともに、非駆動状態による負トルクが予測される直前にブレーキB3が完全に解放されるようにすることが望ましい。変速用電子制御装置178による一連の信号処理のうちステップS6−3を実行する部分はパワーOFF時解放手段として機能している。 【0121】パワーOFFでない場合には、ステップS6−2に続いてステップS6−5を実行し、フラグF2が「1」か否か、すなわち直前までパワーOFFでブレーキB3が解放されているか否かを判断する。そして、F2=0であればそのまま終了してステップS6−1以下を繰り返すが、F2=1の場合には、ステップS6−6で前記図19〜図21のオーバシュート係合制御を行うことにより、ブレーキB3を速やかに係合させるとともに、ステップS6−7でフラグF2を「0」にする。その場合に、ブレーキB3が完全に解放していない場合を考慮し、前記図22、図24のように移行時に意図的にブレーキB3を解放するとともに、必要に応じて時間T2やD2を補正することが望ましい。変速用電子制御装置178による一連の信号処理のうちステップS6−6を実行する部分はオーバシュート係合制御手段として機能している。 【0122】この実施例では、第2速ギヤ段での走行時にパワーOFFになった場合には、ステップS6−3でブレーキB3を解放するようになっているため、一方向クラッチを備えている場合と同様にパワーOFFに伴って負トルクが発生することが防止される。また、ブレーキB3が解放された状態でアクセルペダル150が踏込み操作された場合には、ステップS6−6でブレーキB3がオーバシュート係合させられるため、アクセル操作に伴って駆動力を速やかに発生させることができる。すなわち、ブレーキB3の解放、係合制御で、一方向クラッチを設けた場合と同様の作用効果が得られるとともに、ブレーキB3をオーバシュート係合させるため、一方向クラッチを設けた場合よりも滑らかに駆動力を発生させることができるのである。 【0123】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、例えば前記実施例では第2速ギヤ段が所定のギヤ段で主に3→2ダウンシフトについて説明したが、自動変速機の構成によっては他のアップシフトにも適用され得るなど、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月27日(1999.8.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085361 【弁理士】 【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−65680(P2001−65680A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−241789 |
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