| 【発明の名称】 |
遊星歯車による同期式複合原動機 |
| 【発明者】 |
【氏名】林田 素行
【氏名】林田 至行
【氏名】林田 充司
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| 【要約】 |
【課題】遊星歯車式変速機を同期制御自動変速してなる複合原動機【解決手段】自動車用原動機を原動機と、その出力軸に直結された遊星歯車式変速機によって構成する。通常原動機と変速機の間に介在するクラッチ、流体継ぎ手またはトルクコンバータなどを備えず、原動機の出力回転速度を制御することによって変速動作を円滑に実行する。原動機の出力軸を変速機の入力軸に直接連接し、変速機入力回転速度を変速機出力回転速度に同期させて変速制御する。駆動輪の回転速度を原動機側の都合によって任意には変えがたい基準速度とし、変速機の入力側の回転速度を調節して変速対象の回転体要素を同期速度で駆動し、同期条件が成立したときに変速動作を実行する。変速動作の初期段階では原動機制御手段によって無負荷制御し、変速動作の安定実行と耐久性の向上を図る。
【解決手段】自動車用原動機を原動機と、その出力軸に直結された遊星歯車式変速機によって構成する。通常原動機と変速機の間に介在するクラッチ、流体継ぎ手またはトルクコンバータなどを備えず、原動機の出力回転速度を制御することによって変速動作を円滑に実行する。原動機の出力軸を変速機の入力軸に直接連接し、変速機入力回転速度を変速機出力回転速度に同期させて変速制御する。駆動輪の回転速度を原動機側の都合によって任意には変えがたい基準速度とし、変速機の入力側の回転速度を調節して変速対象の回転体要素を同期速度で駆動し、同期条件が成立したときに変速動作を実行する。変速動作の初期段階では原動機制御手段によって無負荷制御し、変速動作の安定実行と耐久性の向上を図る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】自動車の走行速度を検知する回転速度センサー1を備え、電動機の回転速度を検知する回転速度センサー2を備え、これらの信号値を入力、演算、比較する制御コンピュータを備え、自動車の走行速度を基準として電動機の出力及び回転速度を調節し、遊星歯車式変速機1の変速機能部分における相対速度がおよそ消滅した時に変速制御装置1により遊星歯車変速機1の変速動作を実行することを特徴とする原動機【請求項2】電動機と熱機関を原動機とし、電動機と熱機関の間の回転力の伝達は遊星歯車式変速機2によって行い、電動機の回転速度を検知する回転速度センサー2と、熱機関の回転速度を検知する回転速度センサー3を備え、これらの信号値入力、演算、比較する制御コンピュータを備え、電動機の回転速度を基準として熱機関を熱機関制御装置により運転制御し、遊星歯車式変速機2の変速機能部分における相対速度がおよそ消滅したときに変速制御装置2により遊星歯車式変速機2の変速動作を実行することを特徴とする複合原動機【請求項3】自動車走行用の主原動機として電動機を備え、補助原動機として設けられる熱機関と電動機の間の伝動は遊星歯車式変速機2により、電動機の出力軸に遊星歯車式変速機1を連接し、自動車の走行速度を基準に電動機の回転速度を調節して遊星歯車式変速機1の変速制御を行い、電動機の回転速度を基準に熱機関の回転速度を調節して遊星歯車式変速機2の変速制御を行い、遊星歯車式変速機1から出力の取り出しを行うことを特徴とする複合原動機【請求項4】遊星歯車式変速機1と遊星歯車式変速機2を一体の筐体に格納し、熱機関と電動機の間に設け、電動機の回転軸は遊星歯車式変速機1の太陽歯車及び遊星歯車式変速機2の太陽歯車と直接的に等速で連動する構造であり、複合原動機の出力は遊星歯車式変速機1の遊星歯車キャリアーに連接して設けた出力歯車によって動力を取り出すことを特徴とする請求項3に記載の複合原動機【請求項5】熱機関の出力軸は遊星歯車式変速機2の遊星歯車のキャリアーに連接し、熱機関の回転速度をそのまま、又は増速して電動機の回転軸に伝達することを特徴とする請求項2に記載の複合原動機【請求項6】出力歯車から減速歯車を介して差動歯車に回転力を伝達し、駆動軸高さよりも高い位置に熱機関と電動機の中心軸を配したことを特徴とする請求項1から請求項5に記載の複合原動機【請求項7】遊星歯車式変速機1及び2において、変速機能部分であるクラッチ及びブレーキとして、凹凸面のかみ合いによって回転力の伝達又は遮断をなす、いわゆるドッグクラッチを設けたことを特徴とする前記請求項1から請求項7に記載の原動機又は複合原動機 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原動機の発生回転力と回転速度を自動車の運行条件に適合させるべく変速する際に、クラッチ又は流体式トルクコンバータを介さず、原動機の回転速度を調節して変速機能部位における相対速度を消滅するように制御し、相対速度の消滅すなわち当該部位の同期を確認して、原動機に直結された遊星歯車式変速機の変速動作を行う原動機システム及び複合原動機システムに関する。 【0002】 【従来の技術】自動車用原動機システムとして内燃機関に流体式トルクコンバータを連接し、これに遊星歯車式変速機を連結して自動変速機能のもとに走行する、いわゆるオートマチック自動車が一般的である。このものは内燃機関と遊星歯車の間に設けられた柔軟性に富む流体式トルクコンバータに保護されて滑らかな走り心地を達成し、遊星歯車式変速機の耐久性を確保している。 【0003】しかし、各種の改良がなされ、性能的にも十分に実用領域に達しているものの、流体式トルクコンバータに究極の省エネ能力を問われた場合は問題の多い構造であると言わざるを得ない。一般にエネルギ効率は熱力学の第二法則によってその形態を変えるごとに低下することが明らかである。内燃機関によって与えられた回転力は一旦作動流体の運動エネルギに変換され、それが再び回転力に変換されて遊星歯車式変速機の入力となる。この間のエネルギ変換は100%完璧に達成されるわけではなく、エントロビの増分は利用できない熱となって損耗される。その証拠に効率の良くない領域では作動油やトルクコンバータケースの過熱現象が観測される。 【0004】とりわけ、トルクコンバータの非効率領域は回転速度の低い低速領域にあり、これは作動流体の運動エネルギを仲介して回転力を伝えるという原理のために不可抗力的に発生する現象である。他方、電動機を原動機とするもの、及び電動機を原動機の一部とするもの、においては電動機の特性によって低速トルクが比較的大きいが、たとえ原動機段階では低速領域において強力なトルクを保有しても、流体の運動エネルギに一旦変換されて伝達する方式では、低速領域に於いては効率的に回転力を伝え得ない。つまり、ある程度の回転速度を期待して流体式トルクコンバータが成り立っているために、せっかくの強力な低速トルクを活用できないと言う現実がある。 【0005】そこでエネルギ効率のためには原動機の回転力を直接遊星歯車式変速機の入力としたいが、この構造は遊星歯車式変速機の内部機構を破壊する結果となる。具体的には変速時に機能する外周内歯歯車を筐体に固定するためのブレーキ装置の破損、太陽歯車と遊星歯車のキャリアー、外周内歯歯車のうち、二者又は三者の相対速度を消滅させ、これらのうち少なくとも二者を締結するクラッチの破損につながる。つまり、変速機能が成り立たなくなってしまう。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】クラッチ又は流体式トルクコンバータなどの回転力の伝違に際して柔軟性を付与するための装置を設けず、原動機に直接遊星歯車式変速機を連接して、効率的な回転力の伝達を図り、燃料消費の節減を得、大気汚染を防止するとともに、従来技術に依れば短期間で破損に至る遊星歯車式変速機の耐久性を高めたい。 【0007】 【課題を解決するための手段】この基本的な解決法に属する、原動機の回転速度を調節してシンクロ機能を得、変速対象歯車及び変速機能部品の変速時相対速度を消滅させて、同期した状態において変速する技術は、特願平3−150516の【0040】他で開示したことを始め、それに続いて出願した複数件に明示したが、本件では変速機として遊星歯車を利用した場合の利得に注目して改良を加えた結果を報告している。 【0008】先願でも述べたが、電気時計の実例を示すまでもなく、その特性によって電動機の回転速度を精密に制御しやすいことは良く知られている。この特性を生かして遊星歯車式変速機の変速動作の際に、自動車の走行速度に合わせて原動機側の回転速度を調節して、変速部位における相対速度を消滅し、同期状態を現出して変速すれば、流体式トルクコンバータ又はフルードカップリング、クラッチなどの回転力に柔軟性を付与する機構を省略しても、問題なく変速可能となり、機構的な破損や耐久性の劣化をもたらすことはなくなった。 【0009】 【発明の実施形態】従来、特願平3−150516に基本的な構想を開示し、特願平10−9694その他の出願に具体例を示してきたが、本件出願の趣旨は変速機として遊星歯車を使用した場合に特化して実験・研究を実施した成果についてまとめた。先願中にも変速機の一例として遊星歯車を使用する形態を述べたので一部重複するが、本件にはその後の新しい知見も盛り込まれている。 【0010】先に開示した方法により、機械式変速機の変速要素として利用される歯車の、かみ合わせの実施や解除又は常時噛み合い方式の機械式変速機における変速動作は、クラッチを設けることなく、嵌合解除に当たっては原動機の当該速度における無負荷運転を実施することによって可能であり、目的変速比の歯車の嵌合・締結は当該歯車の周速を一致・同期させることによって可能である。それらはトラックやバスなど、大型機種に対してとりわけ有用な方式であるが、軽自動車や小型乗用車に適応するためには、軽量化及び小型化の要請があった。 【0011】そこで、今回は遊星歯車の持つ小型・軽量であるという特徴と、遊星歯車の変速機能部分が内部に設けられるクラッチとブレーキによって成り立っているために得られる柔軟性に着目した。つまり、歯車の嵌合をクラッチなしで実行する場合と比較して、回転速度の制御精度を1桁落とせるのである。ラフな速度制御を可能とすることは制御に余裕度を持つことにつながり、制御ブロックの簡素化及び信頼性の向上に寄与する。 【0012】以下に請求項ごとの詳細を述べる。請求項1は、図1に示すごとく原動機である110.電動機に200.遊星歯車式変速機1を連結し、これの出力軸を800.駆動軸を経由して900.駆動輪に伝える構造となっている。このとき、自動車の走行速度を検出するために510.回転速度センサー1を備え、原動機の回転速度を検出するために520.回転速度センサー2を備えている。 【0013】ここで特筆すべきは、従来、電動機と変速機の間に設けられていたクラッチ又は回転力の緩衝能力を持つ流体式トルクコンバータ、フルードカップリングなどの動力伝達制御機構を持たないと言うことである。これの原理に関しては特願平3−150516において開示したように、電動機に直結された入力軸を持つ機械式変速機の、変速対象歯車の周速を一致させて、つまり先願の表現に依れば「電動機によるシンクロ機能」を用いて、変速比の切換を行うものである。この技術を適用すれば普通の歯車を用いた場合でも音もなく切換可能となるが、本件出願ではかなり精度の劣る、つまり安価な、制御方法によっても変速可能とするために先願の変速機に当たる部分を200.遊星歯車式変速機1とした。 【0014】図1では原動機として110.電動機と表記しているが回転速度調節自在なその他の原動機でもこの機構は成立する。この実施例のように原動機が電動機であり、しかもそれが交流式電動機、とりわけ同期電動機の場合には回転速度の調節機能が良好であるばかりか、520.回転速度センサー2を省略することが可能であって、この構成に良く適合する。 【0015】400.制御コンピュータへの入力信号として510.回転速度センサー1と520.回転速度センサー2からそれぞれの回転速度に関する信号値がもたらされる。制御コンピュータは変速動作の実行が必要になった場合は、440.電動機制御装置に必要なコマンドを発行して110.電動機を当該速度における無負荷運転に導く。それが成立したことを確認すると、430.変速制御装置1に必要なコマンドを発行して、200.遊星歯車式変速機1を、内部歯車の拘束をすべて解除して動力遮断状態に導く。 【0016】遊星歯車の変速制御に関する基本作動は公知の方法を採用し、説明を省略するが、外周内歯歯車の拘束を解除し、外周内歯歯車とたとえば太陽歯車との間の拘束をも解除すれば動力の遮断状態となり、あたかもクラッチを遮断したものと同等な状況を作ることができる。 【0017】つぎに、変速目的先への結合動作を行う。結合動作は前記の外周内歯歯車を拘束するか、歯車同士の相対的な運動を拘束することによって可能である。なお、停車時には上記の拘束をともに実行し、駐車ブレーキ状態とすることもある。このとき、拘束動作を実行する際に、原動機の回転力を直結するのではなく、流体式トルクコンバータなどの柔軟性を備える装置によって連結すれば、当該拘束装置すなわち変速機構にかかるストレスを許容範囲内に制限することができるが、本件出願のように燃料消費の節約などを重視して、柔軟性を付与する装置を省略して連結すると、ほんの短期間の使用によって当該拘束装置の耐用期間を終えてしまう。変速機内部のブレーキやクラッチが滑り始めると、もはや自動車の走行は不可能となってしまう。 【0018】そこで、拘束動作を実行する前に、自動車の走行速度は原動機側の都合によっては変更しがたい、運転者の意志決定の権限内にあるものと認識し、原動機の回転速度を調節して、拘束対象の二者又は三者が相対速度を持たない、つまり同期状態にして拘束すれば、従来オートマチック車で感じられる中立から走行モードに移行した場合に感じるショックや、変速時のショックが全くなくなり、内部的な変速機構に対するストレスもなくなる。この技術によって流体式トルクコンバータ又はクラッチ、その他の回転力を伝達する際に柔軟性を持たせるための一切の装置を省略して、従来それらを備えたものよりも変速ショックを軽減し、変速機構の耐久性を飛躍的に改善するものである。 【0019】請求項2については、図2に明示したように、100.熱機関と110.電動機を併用して複合原動機を形成する技術に関するものであり、従来両者の回転力の伝達装置としてはクラッチ、トルクコンバータ、機械式無段変速機および本件と同様に遊星歯車を利用する例も開示してきた。本件ではその後の開発知見に基づき、複数の原動機を300.遊星歯車式変速機2によって連結する場合に特化して述べる。 【0020】以前の出願においても指摘したが、複数の原動機を併合運転する場合に、それぞれの適性、換言すればそれぞれの得意分野が異なることが利用価値の大きい特徴でもあり、また、問題点ともなる。熱機関としてレシプロエンジンを想定すると、その最高回転速度は電動機のそれに遙かに及ばない。最高出力を目指した場合の最高回転速度は一般に電動機の方が高速であり、レシプロエンジンのそれとは食い違いを見せている。その他の熱機関を採用する場合もやはり同様な食い違いが存在する。 【0021】上記の理由によって、複数の原動機を併合運転する場合は両者の間の速度調節が必要になってくる。このための装置としてクラッチを採用した場合は速度調節機能を持たない。流体式トルクコンバータを利用した場合は等速か、減速方向には調節可能であるが、限界速度の低い熱機関の速度を電動機の限界速度とマッチングさせたい場合の用途には適さない。 【0022】そこで、100.熱機関と110.電動機の間に300.遊星歯車式変速機2を介在させ、両者間の回転速度を必要に応じて調節すれぱ、複数の原動機を、その持てる性能を遺憾なく発揮させながら活用することができる。なお、100.熱機関と110.電動機の間の回転力伝達制御装置として従来は離接自在なクラッチを設けたり、流体式トルクコンバータ又はこれらに類するものを設けて変速動作を補助することにしていたが、今回出願の特徴は変速機である300.遊星歯車式変速機2のみであることに意義がある。 【0023】このとき、110.電動機の回転速度は自動車の走行速度によって拘束されているために、これを優先的な速度とし、100.熱機関の回転速度を530.回転速度センサー3によって検知し、520.回転速度センサー2によって検知した110.電動機の回転速度に対して、変速機構における相対速度を消滅・同期させるように、400.制御コンピュータは410.熱機関制御装置を介して100.熱機関の回転速度を制御する。変速部位における回転速度の同期を図り、かつ、同期が略成立したことを検知してから変速機構を駆動して必要な歯車の契合又は拘束を行うものである。かみ合いの解除から目的変速比への嵌合手順の詳細は前記請求項1の説明において述べた方法と同様であり、説明を省略する。 【0024】ただし、電動機の回転制御精度と比較すると熱機関の回転速度を目的速度に合致させるのはなかなか容易ではない。そこで、電動機の回転速度については目的速度を制御コンピュータが440.電動機制御装置に対して指示すると、それによってほとんど目的速度に合わせることができるが、熱機関の速度制御では410.熱機関制御装置に対して400.制御コンピュータが速度変更指示を指令し、530.回転速度センサー3が熱機関の回転速度を検知し、400.制御コンピュータが受信したデータを判別して同期条件が成立したときに300.遊星歯車式変速機2の変速動作を指令する。 【0025】熱機関の始動時には、熱機関に別に設けた図示しない始動電動機によって始動するか、ある程度低速走行時又は停車時に110.電動機の駆動力を用いて始動できる。走行中に300.遊星歯車式変速機2の内部機構を駆動して必要な歯車の拘束を実施するという方法もあるが、電動機を用いて始動する場合は300.遊星歯車式変速機2の内部機構を保護するために、場合に応じて適切な始動法を採用すればよい。 【0026】一つは、走行中に単純に300.遊星歯車式変速機2の内部機構を駆動して必要な歯車を拘束する際に、110.電動機の回転速度を減速して100.熱機関に伝達するように制御する。減速できない構成の場合は、回転速度は低速になっても大きな回転力を熱機関に与える変速比を選択する。これによって車体に及ぼすショックや、変速機構内部のストレスを若干緩和できる。 【0027】二つは、110.電動機の回転速度が低い場合や減速中を選んで100.熱機関を始動することである。このようにすれば体感的なショックの軽減と機構内に発生するストレスの軽減に効果がある。 【0028】三つは、平坦路や勾配のきつくない降坂路で可能であるが、200.遊星歯車式変速機1を回転力遮断状態にして、110.電動機の回転を一旦停止させ、300.遊星歯車式変速機2の制御機構を駆動し、必要な歯車を契合又は拘束して電動機と熱機関を連結し、110.電動機を100熱機関の始動方向に回転させて始動する。始動完了後は速やかに従前の運転状態に復帰するという方法である。この間自動車は慣性によって楕行する事になるが、平坦路などの定速運転時にはエンジンの始動音がなければ、この操作に関して運転者はほとんど変化に気づくことはない。 【0029】四つは、信号待ちなどの停車時に100.熱機関を始動することである。これは熱機関の始動要求決定システムを工夫して、ある程度の予測に基づき、「次回の停車時には熱機関を始動しよう」といった判別のもとに停車を待ち、機会が訪れたことを確認して始動するものである。具体的には400.制御コンピュータの記憶装置にそれまでの走行履歴と蓄電池の端子解放電圧又は累積放電電気量を記録し、電気量の減少によって走行限界を予測する。停車時に始動すれば始動ショックもなく、機構的にもストレスのない方法となる。 【0030】請求項3については、図3に明示したように、100.熱機関と110.電動機の間に300遊星歯車式変速機2を設け、110.電動機の出力軸に200.遊星歯車式変速機1を連結し、その出力を900.駆動輪に伝えて走行する自動車用複合原動機システムが呈示されている。原動機である100熱機関と110.電動機の特性を活用する目的で、適切な変速比を獲得するために、電動機の回転軸と200.遊星歯車式変速機1の太陽歯車及び300.遊星歯車式変速機2の太陽歯車は、図4に示したように一軸で連結されるように構成され、この主要な中心軸を120.貫通回転軸と呼ぷ。(図3には省略)さらに、自動車走行速度を検知する510.回転速度センサー1と電動機の回転速度を検知する520.回転速度センサー2と、熱機関の回転速度を検知する530.回転速度センサー3が装備されている。 【0031】さらに、400.制御コンピュータと、410.熱機関制御装置と、420.変速制御装置2と、430.変速制御装置1と、440.電動機制御装量によって原動機の回転速度及び変速機の変速動作を実行できる。ただし、110.電動機が同期電動機の場合は520.回転速度センサー2を省略することもできる。この技術において特筆すべきは駆動系のどこにも、クラッチ又はフルードカップリング、流体式トルクコンバータなどの、駆動力の伝達経路に柔軟性を持たせる機構を備えていない点である。 【0032】運転中常時、400.制御コンピュータは510.回転速度センサー1の状況を停車状態や後退状態を含めてモニターしている。図示しない運転者又はその他のセンサーからの指令によって400.制御コンピュータが変速の必要性を判断した場合は、110.電動機は510.回転速度センサー1の信号値から計算された、停止及び後退も含む当該速度によって無負荷運転される。続いて、200遊星歯車式変速機1の内部機構を駆動して、歯車相互の拘束状態を解放状態に移行させる。次に、110.電動機の回転速度を調節して新たな変速比を得るための拘束部位における同期を実現し、必要に応じ外周内歯歯車などを拘束したり、解放して、変速動作を完結する。 【0033】つまり、従来技術では走行駆動用110.電動機と、その回転力と回転速度を調節するために900.駆動輪との間に設けられる変速機との間にはクラッチを設けるのが一般的であるが、特願平3−150516において開示したように、110.電動機の回転速度を調節して、変速部位における同期を実現し、必要な歯車の契合又は拘束を実施する。 【0034】走行状態が平坦路などの中低速領域であり、蓄電池の保有電気量にも余裕がある場合には100.熱機関の運転を要しない場合がある。この場合は300.遊星歯車式変速機2の内部変速機構を420.変速制御装置2を介して解除し、110.電動機と100.熱機関の動力伝達を遮断する。300.遊星歯車式変速機2を回転力伝達しない中立状態に置き、いわばクラッチを遮断した場合と同様な状態を現出し、熱機関を停止して電動機のみによって走行するのである。 【0035】走行用駆動力を発生するための110.電動機と、900.駆動輪の間にクラッチ等を設けることなく変速動作を行う200.遊星歯車式変速機1を設け、これを110.電動機の回転速度を調節することに依る同期作用によって変速すること、については請求項1と同様である。及び、100.熱機関と110.電動機の間にクラッチ等を設けることなく300.遊星歯車式変速機2を設け、110.電動機の回転速度に合わせて100.熱機関の回転速度を調節し、変速機構部位における同期条件が成立したときに当該変速機に対して変速動作を実施することは請求項2と同様である。 【0036】請求項4については、原理的には請求項3と全く同じであるが、請求項3が前部に原動機を搭載し、後輪を駆動するのに適合する構造を示したのに対して、前置原動機により前輪を駆動したり、後置原動機により後輪を駆動する場合に適合性のある機構を示す。 【0037】複合原動機では自動車の航続距離に関しては熱機関の発生する動力に頼れるためにあまり問題にはならないが、それでも600.蓄電池や図示しない蓄電器(キャパシタ)などの搭載スペースは必要であり、床下に搭載することになりがちである。そのため、床下スペースは電気機器のために確保する必要性から前置原動機により前輪を駆動するいわゆるFF形式の自動車や、後置原動機によって後輪を駆動するRR形式の自動車が必要になる。また、原動機の軽量化はこの分野の普遍的な課題である。 【0038】図4に請求項4に関する実施例を示す。顕著な特徴は、100.熱機関と110.電動機の間に二組の遊星歯車式変速機が設置され、一つは100.熱機関と110.電動機の回転力伝達を司り、もう一つは電動機と210.出力歯車間の回転力伝達を司る。つまり、110.電動機の100.熱機関側の一方の軸が100.熱機関が発生する回転力を300.遊星歯車式変速機2を介して受け取るための「入力軸」であると同時に、200.遊星歯車式変速機1に対する出力軸をも兼ねる構造であることに特徴がある。 【0039】110.電動機の出力は200.遊星歯車式変速機1の入力となり、変速された結果は210.出力歯車にもたらされる。なお、210.出力歯車には減速歯車が連結され、810.差動歯車を経由して900.駆動輪に連接している。この時、210.出力歯車の回転速度を検出するために出力系の適当な部位に510.回転速度センサー1が設けられている。 【0040】変速機構の作動ロジックに関しては請求項3に於いて述べたものと同様であり、省略する。この構成の特徴は、原動機をコンパクトに設計製作できること、及び軽量化、コストダウンに効果的である点である。また、設計の実務面では設置場所に困る問題として520.回転速度センサー2があるが、この方式では脱着及び修理に好都合な位置に取付可能となる。なお、110.電動機として同期電動機を採用した場合は520.回転速度センサー2の設置は不要となる場合がある。 【0041】請求項5については、図4によって説明する。このものは100.熱機関の回転軸を300.遊星歯車式変速機2の遊星歯車のキャリアーに連結し、その太陽歯車は200.遊星歯車式変速機1の太陽歯車に直接連結し、それらは中心軸を一にして同軸的に110.電動機の回転軸に直結するという構造を採る。この二組の遊星歯車式変速機のそれぞれの太陽歯車と電動機回転軸を同軸で結合する回転軸を120.貫通回転軸と称し、この複合原動機の中心軸に該当する。そして、200.遊星歯車式変速機1の出力は遊星歯車のキャリアーに接続する210.出力歯車に連接し、減速歯車、差動歯車を経て900.駆動輪につながっている。 【0042】このような構造は100.熱機関と110.電動機を複合連結して原動機とする場合、きわめて簡潔単純な構造となり、部品点数を削減し、安価に、且つ、堅牢に製作できる。第一の変速機200.遊星歯車式変速機1と第二の変速機である300.遊星歯車式変速機2とを共通の筐体に格納するので、潤滑管理を一元化できるとともに、歯車箱を単数化でき、110.電動機の中心軸と変速機の中心軸が一致するので工作も容易である。 【0043】さらに、100.熱機関の回転速度は概して110.電動機の回転速度よりも低速領域に於いて高い熱効率を示し、100.熱機関から110.電動機に向けては回転速度を増速して伝える必要があるが、300.遊星歯車式変速機2の太陽歯車に直結して、これを110.電動機の入力回転とすることにより、増速に対応しやすい。また、200.遊星歯車式変速機1の太陽歯車に110.電動機の出力を与え、遊星歯車のキャリアーに210.出力歯車を連結すれば110.電動機の回転速度を適当に減速したいとする要求に対応できる。 【0044】請求項6は110.電動機の回転速度を減速して受け取るために210.出力歯車を200.遊星歯車式変速機1の遊星歯車キャリアーに取付、この出力歯車から減速歯車を介して810.差動歯車に伝え、100.熱機関と110.電動機を結ぶ回転軸を800.駆動軸よりも高位に配置することを特徴としている。 【0045】100熱機関と110電動機による複合原動機では、電動機の浸水事故が大きな問題となっている。最新の電気自動車及び複合原動機式電気自動車では電動機として誘導電動機又は同期電動機などの交流方式が採用されるが、これの駆動のために蓄電池の直流を交流化する必要がある。一般にIGBTまたはIPMなどと呼ばれる巨大半導体装置によって直流を交流化する。このときかなりの高速度で直流の導通と遮断の繰り返し動作を伴い、電動機の界磁コイルが誘導成分を構成するために「サージ電圧」を発生する。 【0046】110.電動機の界磁コイルは使用温度の影響下に経時変化を経て絶縁能力の低下をもたらす。経時劣化の進んだ状態に、サージ電圧を発生すると絶縁破壊の起きやすい状態となる。そこに塩水又は鍼水の滲入は決定的な破損原因となり、110.電動機の破損にとどまらず、440.電動機制御装置の破損に及ぶ場合が多い。 【0047】上記課題の解決方法として、カバーを設けるなどの各種方法を試したが、それらと併用して最終解決策としては原動機、特に電動機の搭載位置を高くすることがもっとも効果的であることを知った。いかなるカバーを設けても電動機の搭載位置が低い場合は台風時などでは塩水の滲入を防げないものである。 【0048】請求項7については、図5によって説明する。従来の遊星歯車式変速機の場合は290.外周内歯歯車を筐体に固定するように拘束したり、230.太陽歯車の回転と280.遊星歯車のキャリアーとを契合して等速回転させ、変速を行っている。この拘束や契合には一般的には湿式クラッチを採用している場合が多い。しかし、湿式クラッチを解放している場合は良いが、拘束又は契合のために摩擦表面に圧着している場合は、必要なトルクの伝達要求に応じて油圧を必要とする。 【0049】この油圧の発生には駆動力の一部を割いてオイルポンプを駆動する必要があり、究極の省エネ及びコストの低減を目指す場合、問題になりがちな機器である。この請求項ではオイルポンプを省略し、エネルギの消費を低減し、確実に巨大なトルクを伝達するために従来の湿式クラッチに代えて250.と260.ドッグクラッチ1,2を備えるものである。250.と260.は一対でドッグクラッチを構成するものであり、凹凸を設けたもの、たとえば簡易な歯車、の噛み合いによっても実現できる。一旦噛み合ったならば220.シフトレバーによって操作しない限り設定された状態を維持するように仕組まれ、クラッチの契合、圧着又は拘束のために常に油圧を必要とすることから解放される。 【0050】この技術は110.電動機の出力トルクと回転速度を調節して、230.太陽歯車の回転速度を適切に制御し、ドッグクラッチの契合解除の際には240スプライン軸と270.遊星歯車支持装置を等速無負荷運転し、220.シフトレバーによって噛み合いを解除する。噛み合っていない状態から噛み合い状態に移行する場合は同様に110.電動機の回転速度を調節して240.スプライン軸と270.遊星歯車支持装置の回転速度を同期させ、220.シフトレバーを駆動して契合を実施する。 【0051】110.電動機の回転速度を減速して210.出力歯車に伝えたいときには290外周内歯歯車を筐体などに契合し、静止させることによって実現するが、このためのクラッチについても前記と同様に、凹凸を設けたドッグクラッチ状の装置で可能である。機能や動作については上記と同様であり、説明を省略する。 【0052】このような方法によって歯車の嵌合・解除が自由自在に可能であることは先願に於いて詳述したところであるが、この方法に依れば先願よりもかなり精度を落とした制御方法によっても可能となり、実用機としてふさわしい技法であることが分かる。 【0053】 【発明の効果】請求項1の構成では、自動車の走行速度に合わせて、原動機の回転速度と出力を調節し、遊星歯車式変速機の変速機能部位における同期を図り、同期条件が成立したときに契合又は解放を行うので、クラッチ又は流体式トルクコンバータ、フルードカップリングなどの回転力緩衝機構を設けることなく、円滑に変速でき、変速機の耐久性を確保できる。 【0054】請求項2の構成では、熱機関と電動機によって複合原動機を構成する場合に、両者の間の回転力の伝達装置として遊星歯車式変速機を備え、電動機の回転速度に熱機関の回転速度を合わせることにより、変速部位における同期を図り、クラッチ又は流体式トルクコンバータ、フルードカップリングなどの回転力緩衝機構を設けることなく、円滑に変速でき、変速機の耐久性を確保できる。 【0055】請求項3の構成に依れば、熱機関と電動機による複合原動機の出力軸に遊星歯車式変速機を備えたので、複合原動機の回転力調整が可能となり、走行条件の広範囲を複合原動機又は電動機によってカバーできることになった。また、動力の伝達機構にクラッチ又は流体式トルクコンバータ、フルードカップリングなどの回転力緩衝機構を設けることなく、低コストで堅牢に製作できる。さらに円滑に変速でき、変速機の耐久性をも確保できる。 【0056】請求項4の構成では、第一の変速機と第二の変速機が一体化され、筐体の単数化が実現でき、コンパクトで堅牢な複合原動機が安価に実現できる。 【0057】請求項5の構成では、原動機と変速機の適切な変速作用を獲得でき、回転軸が一致していることに依る加工の容易さが寄与して、精密な製品を安価に製造できる。これによって機械的な歯車騒音の低減にも寄与する。 【0058】請求項6の構成に依れば、電動機の回転速度を減速して出力歯車に伝えることができ、さらにそれに続く減速歯車によって車軸よりも高い位置に原動機中心軸を配置できるので、耐候性を高め、電動機や電動機の制御装置の破損事故を未然に防止することができる。 【0059】請求項7の構成に依れば、遊星歯車式変速機の変速機能を司る湿式クラッチをドッグクラッチに代えたので、歯車契合中のオイルポンプ駆動に伴う損失を無くし、燃費節減に寄与する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591136322 【氏名又は名称】モトール自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月31日(1999.8.31) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−65677(P2001−65677A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−285852 |
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