トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 車両制御装置
【発明者】 【氏名】青木 隆

【氏名】島袋 栄二郎

【要約】 【課題】道路状況に応じて適切に油圧を供給することにより、適正なタイミングにおいて十分な駆動力が得られるようにし、これにより、運転操作性の向上を図る。

【解決手段】エンジンの停止の許可を判断する(ステップS2)とともに、エンジンの停止許可が行われた際に、道路状況に応じて車両の即時発進の要否を判定し(ステップS3)、即時発進が必要であるとの判定がなされた場合に、前記油圧発生装置の作動を維持させるようにした(ステップS5およびS6の処理)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に、油圧発生装置からの油圧で作動する自動変速機を備えた車両に適用される制御装置であって、前記エンジンの停止の許可を判断するエンジン停止許可判断手段と、前記エンジン停止許可判断手段により前記エンジンの停止許可が行われた際に、道路状況に応じて前記車両の即時発進の要否を判定する発進要否判定手段と、前記発進要否判定手段により即時発進が必要であるとの判定がなされた場合に、前記油圧発生装置の作動を維持させる油圧維持手段とを備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】 請求項1記載の車両制御装置であって、前記発進要否判定手段は、前記車両が右左折動作中であるか否かを検出する右左折動作検出手段を備えるとともに、前記車両が右左折動作中であると検出された際に、前記即時発進が必要であるとの判定を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】 請求項2記載の車両制御装置であって、前記右左折動作検出手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置の経路誘導中に、前記車両が右左折ポイント付近にいることを検出した場合に、前記右左折動作中であるとの判断を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】 請求項2または3記載の車両制御装置であって、前記右左折動作検出手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置から得られる道路関連情報に基づき、前記車両が右左折専用レーンにいることを検出した場合に、前記右左折動作中であるとの判断を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の車両制御装置であって、前記発進要否判定手段は、前記車両の位置している路面が進行方向に上り勾配であることを検出する上り勾配検出手段を備え、前記上り勾配を検出した際に、前記即時発進が必要であるとの判定を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項6】 請求項5記載の車両制御装置であって、前記上り勾配検出手段は、前記車両に搭載された車両前後方向加速度センサの検出結果に基づき、前記車両が進行方向に前上がりに位置しているか否かを判断し、前上がりであるとの判断がなされた場合に、前記上り勾配の検出を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項7】 請求項5または6記載の車両制御装置であって、前記上り勾配検出手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置から得られる道路関連情報により、前記車両の進行方向に標高が増加するか否かを判断し、標高が増加するとの判断がなされた場合に、前記上り勾配の検出を行うことを特徴とする車両制御装置。
【請求項8】 請求項1から7のいずれかに記載の車両制御装置であって、前記油圧発生装置は、前記エンジンにより駆動される構成とされ、前記油圧維持手段は、前記エンジンの停止許可を解除することにより前記油圧発生装置の運転を維持する構成とされていることを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に、油圧発生装置からの油圧で作動する自動変速機を備えた車両に適用される制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、信号などで車両が停止している状態や、アクセルオフが一定時間継続した場合などに、エンジンを一時的に停止させるエンジン一時停止システムが実用化されている。このようなエンジン一時停止システムによれば、エンジンを走行に必要なときのみ駆動し、それ以外は停止されることにより、燃費を向上するとともに、エンジン駆動時間の短縮によって排気ガス量を低減することができる。
【0003】このようなエンジン一時停止システムを有する車両の例としては、走行条件等に応じてエンジンおよび電動機を使い分けて走行するハイブリッド車両が知られている。このようなハイブリッド車両においては、車両停止時に、制御装置からの指令により自動的に内燃機関を停止し、車両発進時に、電動機を駆動源として走行を開始するとともに、電動機をスタータとして、再び、内燃機関を始動することができる。
【0004】これにより、渋滞中の走行等、停止時間が比較的長い場合に、燃費を大幅に向上させることができる。また、基本的に、従来の車両(ハイブリッド車両でない車両)における内燃機関と変速機との間に電動機を挿入しただけの構造で済むために、従来の量産車に用いられている内燃機関および変速機をそのまま流用することが可能であり、特別な生産設備を新たに設けることなく生産を行うことができ、コストアップを抑制できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このようなハイブリッド車両において、エンジンの一時停止後において車両を再発進させる際に、車両走行用の動力源と、変速機に潤滑あるいは冷却用のオイルを供給するためのオイルポンプとが同時に起動されると、オイルの供給遅れにより変速用の摩擦係合装置等の係合力不足で滑りが生じたり、十分な潤滑作用が得られなかったりする可能性があった。すなわち、オイルポンプがオイルを供給できる所定油圧に達するまでは、若干の時間遅れがあるのに対し、例えば、電動機を動力源として車両を発進させる場合には、エンジンに比べて優れたレスポンスが得られるため、オイルの供給遅れが発生しやすい。
【0006】このような問題に対処するために、オイルポンプを電動化してその起動タイミングを規定することにより、動力源から変速機へ動力が伝達される前に油圧を立ち上げる技術が提案されている(例えば、特願平9−286245号)。しかしながら、この技術においては、始動スイッチの操作キー位置など、車両自身の条件でしか、油圧の立ち上げタイミングが規定されないため、道路状況に応じた適正な油圧の供給ができず、道路状況により必要とされる駆動力を適切に発揮することが困難であるという問題点がある。
【0007】このような事情に鑑み、本発明においては、道路状況に応じて適切に油圧を供給することにより、適正なタイミングにおいて十分な駆動力が得られるようにし、これにより、運転操作性の向上を図ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置は、エンジン(例えば、実施の形態におけるエンジンE)と駆動輪(例えば、実施の形態における駆動輪W)との間の動力伝達経路に、油圧発生装置(例えば、実施の形態におけるオイルポンプ4)からの油圧で作動する自動変速機(例えば、実施の形態におけるCVT6)を備えた車両(例えば、実施の形態におけるハイブリッド車両1)に適用される制御装置(例えば、実施の形態における制御装置2)であって、前記エンジンの停止の許可を判断するエンジン停止許可判断手段(例えば、実施の形態におけるステップS3の処理)と、前記エンジン停止許可判断手段により前記エンジンの停止許可が行われた際に、道路状況に応じて前記車両の即時発進の要否を判定する発進要否判定手段(例えば、実施の形態におけるステップS4の処理)と、前記発進要否判定手段により即時発進が必要であるとの判定がなされた場合に、前記油圧発生装置の作動を維持させる油圧維持手段(例えば、実施の形態におけるステップS5およびS6の処理)とを備えたことを特徴としている。
【0009】このように、エンジン停止許可がなされた際においても、必要に応じて、油圧を自動変速機に供給した状態に保つことができ、これにより、運転者の発進要求に対応して、駆動力を即座に駆動輪に伝達させることができる。
【0010】請求項2記載の車両制御装置は、請求項1記載の車両制御装置であって、前記発進要否判定手段は、前記車両が右左折動作中であるか否かを検出する右左折動作検出手段(例えば、実施の形態におけるステップS42における処理)を備えるとともに、前記車両が右左折動作中であると検出された際に、前記即時発進が必要であるとの判定を行うことを特徴としている。
【0011】このような構成とされるために、車両の右左折動作中に、油圧を自動変速機に供給した状態を保つことができる。
【0012】請求項3記載の車両制御装置は、請求項2記載の車両制御装置であって、前記右左折動作検出手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置(例えば、実施の形態におけるナビゲーション装置27)の経路誘導中に、前記車両が右左折ポイント付近にいることを検出した場合に、前記右左折動作中であるとの判断を行うことを特徴としている。
【0013】また、請求項4記載の車両制御装置は、請求項2または3記載の車両制御装置であって、前記右左折動作検出手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置から得られる道路関連情報に基づき、前記車両が右左折専用レーンにいることを検出した場合に、前記右左折動作中であるとの判断を行うことを特徴としている。
【0014】このような構成とされるために、これらの車両制御装置においては、車両が右折動作中であるか否かを、特別の装置を必要とすることなく、簡易にかつ確実に確認することができる。
【0015】請求項5記載の車両制御装置は、請求項1から4のいずれかに記載の車両制御装置であって、前記発進要否判定手段は、前記車両の位置している路面が進行方向に上り勾配であることを検出する上り勾配検出手段(例えば、実施の形態におけるステップS43の処理)を備え、前記上り勾配を検出した際に、前記即時発進が必要であるとの判定を行うことを特徴としている。
【0016】このような構成とされるために、この車両制御装置によれば、車両が上り勾配の坂道の途中に位置している場合において、常に自動変速機に油圧を供給することができる。
【0017】請求項6記載の車両制御装置は、請求項5記載の車両制御装置であって、前記上り勾配検出手段は、前記車両に搭載された車両前後方向加速度センサ(例えば、実施の形態におけるGセンサー28)の検出結果に基づき、前記車両が進行方向に前上がりに位置しているか否かを判断し、前上がりであるとの判断がなされた場合に、前記上り勾配の検出を行うことを特徴としている。
【0018】また、請求項7記載の車両制御装置は、請求項5または6記載の車両制御装置であって、前記上り勾配検出手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置から得られる道路関連情報により、前記車両の進行方向に標高が増加するか否かを判断し、標高が増加するとの判断がなされた場合に、前記上り勾配の検出を行うことを特徴としている。
【0019】このような構成とされるために、これらの車両制御装置においては、車両が上り勾配の路面上にあるか否かを、特別の装置を必要とすることなく、簡易にかつ確実に確認することができる。
【0020】請求項8記載の車両制御装置は、請求項1から7のいずれかに記載の車両制御装置であって、前記油圧発生装置は、前記エンジンにより駆動される構成とされ、前記油圧維持手段は、前記エンジンの停止許可を解除することにより前記油圧発生装置の運転を維持する構成とされていることを特徴としている。
【0021】このような構成とされるために、油圧を維持するために、電動ポンプなどの新たな部品の導入が必要とならない。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図2は、ハイブリッド車両1の動力伝達系の模式図と、ハイブリッド車両1に適用された制御装置2のブロック図とを合わせて示したものである。ハイブリッド車両1は、エンジンEに連結されたモータ・ジェネレータMにより、エンジンEの駆動軸を駆動補助するとともに、減速時には、モータ・ジェネレータMを発電機として利用することにより、モータ・ジェネレータMにより回生制動力を発生させ、車両の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収してバッテリBに給電を行うことのできる構成となっている。また、このハイブリッド車両1においては、エンジンEの出力軸が、モータ・ジェネレータMの回転軸に直接接続されているために、エンジンEの始動時には、モータ・ジェネレータMをスタータとして使用することができる。
【0023】図1に示す動力伝達系において、エンジンEの出力軸、および、これに連結されたモータ・ジェネレータMの回転軸は、デュアルマスフライホイール3を回転させるとともにオイルポンプ4を回転駆動する構成となっている。また、エンジンEの出力軸およびモータ・ジェネレータMの回転軸は、前後進切替プラネタリ5を介してCVT6の駆動側プーリ7に接続されている。前後進切替プラネタリ5は、セレクトレバー(図示略)に連結された油圧切替バルブ(図示略)によって、セレクトレバーの操作により、油圧作動の摩擦要素8,9を選択的に係合できるようになっており、これにより、CVT6の駆動側プーリ7に入力されるエンジンEまたはモータ・ジェネレータMの動力の回転方向を切り替えるようになっている。
【0024】駆動側プーリ7の回転は、金属ベルト11を介して被動側プーリ12に伝えられる。ここに、駆動側プーリ7と被動側プーリ12との回転数比は、各プーリに対する金属ベルト11の巻き付き径により決まり、この巻き付き径は、各プーリの側室13,14に与えた油圧により発生する押し付け力によって制御される。なお、この油圧は、オイルポンプ4により発生し、これら側室13,14に供給される。また、被動側プーリ12の回転は、発進用クラッチ15、および、ディファレンシャル16を介して駆動輪Wに伝達される。
【0025】また、エンジンEは、その出力軸が回転ベルト18を介してエアコンコンプレッサ19に接続された構成とされており、さらに、エンジンEの吸気管20は、負圧タンク21を介して、ブレーキペダル22と連結されたブレーキブースタ23に対して接続されている。
【0026】一方、制御装置2は、図示しないCPU、RAM、ROM等からなるマイクロコンピュータを有するECU25を備えた構成となっている。ECU25は、エンジンEの燃料供給装置(図示略)および点火装置(図示略)に接続されて、エンジンEへの燃料供給量および点火時期等を制御する(すなわち、エンジンEを制御する)ことが可能な構成となっている。
【0027】また、ECU25は、パワードライブユニット26に接続されている。これにより、パワードライブユニット26は、ECU25の指令を受けて、モータ・ジェネレータMの駆動および回生作動を制御できるようになっている。
【0028】さらに、ECU25は、ナビゲーション装置27に対して接続されており、これにより、ナビゲーション装置27により得られる道路関連情報を参照して、エンジンEの制御を行うことが可能な構成とされている。なお、ここに、道路関連情報は、■ハイブリッド車両1が走行している道路の標高情報、■ハイブリッド車両1が道路上の右折レーンあるいは左折レーンに位置しているか否かに関する情報、■経路誘導中のハイブリッド車両1が右折あるいは左折ポイントの付近に位置しているか否かの情報、を含んで構成されている。また、ECU25は、ハイブリッド車両1に搭載されたGセンサー28に対して接続されており、Gセンサー28の検出結果が入力されるようになっている。
【0029】さらに、ECU25には、エンジンEの制御を行うために、以下の信号が入力される。
■ 駆動輪Wの回転数に基づいて車速Vを検出する車速センサ31からの信号
■ ブレーキペダル22の操作を検出するブレーキスイッチ32からの信号、■ アクセルペダル(図示略)の操作を検出するアクセルスイッチ33からの信号、■ 負圧タンク21の内圧を検出するブレーキ負圧タンク圧力センサ34からの信号、■ エアコンコンプレッサ19のON/OFFを行うためのエアコンスイッチ35からの信号、■ バッテリBの残容量を検出するバッテリ残容量センサ36からの信号、■ エンジンEの冷却水の水温を検出する水温センサ37からの信号、■ イグニッションのON/OFFを行うイグニッションスイッチ38からの信号、■ 前後進切替プラネタリ5が前進レンジにあるか後進レンジにあるかを検出するシフトポジションセンサ40からの信号。
【0030】この制御装置2において、ECU25は、図1に示すようなフローチャートに基づきエンジンEを制御する構成となっている。まず、ステップS1においてイグニッションスイッチ38がONとされているか否かを判断する。この場合、イグニッションスイッチ38がOFFと判断された場合には、ステップS2に進み、エンジンEを停止させるようにする。また、イグニッションスイッチ38がONと判断された場合には、ステップS3に進む。
【0031】ステップS3は、エンジンEの停止許可の判断を行うサブルーチンであり、ステップS3の処理の後には、ステップS4の処理を行う。ステップS4は、ステップS3においてエンジンEの停止許可が行われた際に、ハイブリッド車両1が即時発進を必要とするか否かを判定するサブルーチンである。そして、ステップS4の処理の後に、ステップS5に進み、即時発進が必要との判定がなされいるか否かを確認し、ステップS5において、即時発進が必要ないとの判定が行われた場合には、ステップS2に進み、エンジンEを停止させる。また、ステップS5において、即時発進が必要であるとの判定が行われている際には、ステップS6に進み、オイルポンプ4の運転を継続させて、油圧を維持するようにする。なお、ここでは。オイルポンプ4がエンジンEにより回転駆動させられるために、ECU25は、エンジンEの停止許可を解除し、エンジンEの運転を継続させる指令を発するように動作する。
【0032】次に、ステップS3のエンジン停止許可判断のサブルーチンにおける処理内容を図3に基づいて説明する。図3における処理においては、まず、ステップS31において、車速センサ31の検出結果に基づき、車両が停止しているか否か、すなわち、車速V=0であるか否かを判断する。エンジンEの停止を許可するのは、エンジンEを運転する必要がない場合であり、基本的に、車両停止時であるためである。車速V=0の場合には、ステップS32に進み、また、車速V≠0の場合には、以下の処理を通過してリターンする。
【0033】ステップS32においては、アクセルスイッチ33の検出結果に基づき、アクセルがOFFとされているか否かを判断する。エンジンEを停止してもよいのは、運転者に走行意志が無い場合であり、ここでは、これを、アクセルOFFにより判断している。アクセルがOFFとされている場合には、ステップS33に進み、また、アクセルがOFFでない場合には、以下の処理を通過してリターンする。
【0034】ステップS33においては、ブレーキスイッチ32の検出結果に基づき、ブレーキがONとされているか否かを判断する。ブレーキがONの際には、アクセルOFF時と同様に、ドライバーに走行意志が無いと考えられるためである。ブレーキがONの際には、ステップS34に進み、また、ブレーキがONとされていない場合は、以下の処理を通過してリターンする。
【0035】ステップS34においては、バッテリ残容量センサ36の検出結果に基づき、バッテリBの残容量が所定値以上であるか否かを判断する。エンジンEを停止した場合には、再びエンジンEを始動しなければならないが、エンジンEの始動は、バッテリBの電力を使用して、パワードライブユニット26によりモータ・ジェネレータMを回転駆動することにより行われるので、エンジンEの停止を許可するためには、バッテリBの容量が少なくともエンジンE始動に必要な電力以上なければならないためである。したがって、バッテリ残容量の所定値は、エンジンEの始動に必要な電力と、エンジン停止中にバッテリBに対して電気負荷として作用する補機類等を駆動するための電力との和を越えるように設定する必要があり、具体的には、100Whに設定される。バッテリBの残容量が所定値以上である場合には、ステップS35に進み、所定値以上でない場合には、以下の処理を通過してリターンする。
【0036】ステップS35においては、ブレーキ負圧タンク圧力センサ34の検出結果に基づき、負圧タンク21の圧力が所定値(例えば、-250mmHg)以下であるか否かを判断する。これは、ブレーキを、エンジンE運転時の吸気管負圧を利用してブレーキブースタ23により倍力しているために、エンジンEを停止させる際には、ブレーキ作動用に吸気管負圧を蓄える負圧タンク21の内圧を、ブレーキ作動を保証する圧力以下に保つ必要があるためである。ここでは、負圧タンク21の圧力が所定値以下である場合に、ステップS36に進み、所定値以下でない場合には、以下の処理を通過してリターンする。
【0037】ステップS36においては、エアコンが不作動であるか否かをエアコンスイッチ35のON/OFFにより判断する。これは、エアコンコンプレッサ19が、エンジンEの出力軸から回転ベルト18を介して回転駆動されているために、エアコン作動時にエアコンコンプレッサ19を運転する必要がある場合には、エンジンEの停止を許可すべきでないからである。エアコンが不作動である場合には、ステップS37に進み、作動中である場合には、以下の処理を通過してリターンする。
【0038】ステップS37においては、水温センサ37の検出結果に基づき、エンジンEの暖気が完了しているか否かを判断する。エンジンEの起動直後で暖気が完了していない場合には、暖気が完了するまでエンジンEの運転を継続しておくべきであるからである。エンジンEの暖気が完了している場合には、ステップS38において、エンジン停止許可を行い、リターンする。また、暖気が完了していない場合には、ステップS38を通過してリターンする。このように、図3に示したエンジン停止許可判断のサブルーチンにおいては、エンジンEの停止のための条件がすべて満足された場合に限り、エンジンEの停止が許可されることとなる。
【0039】次に、ステップS4の即時発進の要否判断に関するサブルーチンにおける処理内容を図4に基づいて説明する。図4における処理においては、まず、エンジン停止許可がなされているか否かをステップS41において判断する。エンジン停止許可がなされていなければ、以下の処理を通過してリターンする。エンジン停止許可がなされている場合には、ステップS42に進む。
【0040】ステップS42は、ハイブリッド車両1が右左折動作中であるか否かを判断するサブルーチンであり、ステップS42の処理の後には、ステップS43の処理を行う。ステップS43は、ハイブリッド車両1が進行方向に上り勾配の路面上に位置しているか否かを判断するサブルーチンであり、ステップS43の処理を行った後には、ステップS44に進む。
【0041】ステップS44においては、ステップS42の処理結果に基づき、車両が右左折動作中であるか否かを判定する。車両が右左折動作中であるとの判定が行われた場合には、ステップS46において、即時発進が必要との判定を行い、リターンする。また、右左折動作中でないとの判定が行われた場合には、ステップS45に進む。
【0042】ステップS45においては、ステップS43の処理結果に基づき、車両が上り勾配の路面上に位置しているか否かを判定する。車両が上り勾配の路面上に位置しているとの判定が行われた場合には、ステップS46において、即時発進が必要との判定を行い、リターンする。また、上り勾配の路面上に位置していないとの判定が行われた場合には、即時発進が必要との判定を行わずに、リターンする。
【0043】ステップS42におけるサブルーチンの処理内容は、図5のようになる。この処理においては、まず、ステップS421において、ハイブリッド車両1が、ナビゲーション装置27による経路誘導中の状態にあるか否かを判断する。そして、経路誘導中であるとの判断がなされた場合には、次のステップS422に進む。また、経路誘導中でないとの判断がなされた場合には、以下の処理を通過してリターンする。ステップS422においては、ナビゲーション装置27により得られた道路関連情報に基づき、ハイブリッド車両1が道路上の右左折ポイント付近にあるか否かを判断する。そして、右左折ポイント付近にあるとの判断がなされた場合には、次のステップS423に進み、また、右左折ポイント付近にないとの判断がなされた場合には、以下の処理を通過してリターンする。ステップS423においては、ハイブリッド車両1が右左折動作中であるとの判定を行う。
【0044】また、ステップS43におけるサブルーチンの処理内容は、図6のようになる。この処理においては、まず、ステップS431において、車両が停止しているか否かを判断する。勾配のある道路で停車した場合、車両自体の勾配もほぼ道路の勾配に等しくなる。停車状態では、車両勾配と車両の前後方向の重力加速度には、図7に示すような正弦の関係があるから、車両の勾配からわずかな誤差で道路の勾配を推定できる。また、車両が停止していなければ、以下の処理を通過してリターンする。
【0045】ステップS431において車両が停止していると判断された際には、ステップS432に進み、Gセンサー28の検出結果に基づき、車体の前後方向に作用する重力加速度を検出する。さらに、次のステップS433において、シフトポジションセンサ40からの検出結果に基づき、シフトポジションが前進レンジであるか否かを判定する。前進レンジであれば、前上がり状態が上り勾配に相当するから、ステップS434において、重力加速度の検出値が正の所定値(例えば、0.05G、これはおよそ5%勾配に相当する。)以上と判断された場合には、ステップS435において、車両が進行方向に上り勾配の路面上にあると判断する。また、ステップS434において、重力加速度の検出値が正の所定値以上でないと判断された場合には、ステップS435の処理を通過してリターンする。
【0046】また、ステップS433において、シフトポジションが前進レンジにないと判定された場合には、ステップS436において、シフトポジションが後進レンジにあるか否かを判断する。後進レンジにおいては、前下がり状態が上り勾配に相当するから、ステップS437において、重力加速度の検出値が負の所定値(例えば、−0.05G)以下で有ると判断された場合に、ステップS438において、車両が進行方向に上り勾配の路面上にあると判断する。また、ステップS436において、シフトポジションが後進レンジにないと判断された場合、および、ステップS437において、重力加速度が負の所定値以下でないと判断された場合には、以下の処理を通過してリターンする。このようにして、車両が進行方向に上り勾配の路面上にあるか否かを判断することができる。
【0047】以上述べたハイブリッド車両1の制御装置2においては、ステップS3において、エンジンEの停止許可を判断するとともに、ステップS4において、即時発進が必要か否かの判断を行い、さらに、ステップS5,S6において、即時発進が必要との判断に基づき、オイルポンプ4の運転を維持する構成となっている。これにより、エンジン停止許可がなされた際においても、必要に応じて、油圧をCVT6に供給した状態に保つことができ、運転者の発進要求に対応して、駆動力を即座に駆動輪Wに伝達させることができる。このため、運転操作性の向上を図ることができる。
【0048】また、制御装置2によれば、ステップS42において、ハイブリッド車両1が右折動作中であると検出された場合に、即時発進が必要であるとの認識をするようになっているため、交差点等において車両が右左折動作中の場合においても、油圧をCVT6に供給した状態に維持することができ、右左折動作中に、運転者の発進要求に対応してエンジンEからの駆動力を駆動輪Wに即座に伝達させることが可能となる。これにより、運転操作性の向上を図ることができる。
【0049】また、この場合、図5に示したように、ナビゲーション装置27による経路誘導中にハイブリッド車両1が右左折ポイント付近にあるときに、車両が右左折動作中であると認識するようにしたが、これは従来のナビゲーション装置が既に広く活用している情報であり(経路誘導中の右左折案内)、車両が右左折動作中であるか否かを、簡易な構成により確実に確認することができる。したがって、このような制御装置2は、汎用性が高く、従来型の量産車にも良好に適用することが可能であり、新しい部品の導入に伴う車両のコストアップを避けることができる。
【0050】さらに、制御装置2においては、ステップS5,S6の処理を行うに先立ち、車両が進行方向に上り勾配の路面上にあるときには、ステップS4において即時発進が必要であるとの判断がなされる構成となっているために、坂道発進を行う際に、油圧がCVT6に供給された状態が維持される。このため、坂道発進を行うにあたって、運転者の発進要求に対応してエンジンEからの駆動力を駆動輪Wに即座に伝達させることが可能となる。これにより、運転操作性の向上を図ることができる。
【0051】また、この場合、図6に示したように、車両に搭載したGセンサー28の検出結果に基づき、車両が上り勾配の路面上にあるか否かを判断するようにしたので、車両が上り勾配の路面上にあるか否かを、簡易な構成により確実に確認することができる。したがって、このような制御装置2は、汎用性が高く、従来型の量産車にも良好に適用することが可能であり、新しい部品の導入に伴う車両のコストアップを避けることができる。
【0052】また、制御装置2においては、オイルポンプ4の作動を維持するために、エンジンEの運転を継続するようにしたため、従来と異なり、電動モータ等を用いてオイルポンプの起動タイミングを制御するような必要が無く、新しい部品の導入に伴う車両のコストアップを避けることができる。
【0053】以上において、本発明の一実施の形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用することも可能である。
【0054】例えば、上記実施の形態においては、車両が右左折動作中であるか否かの判断を、ナビゲーション装置27の経路誘導中の右左折ポイントの参照により、また、車両が上り勾配の路面上に位置しているか否かの判断を、Gセンサー28の検出結果により行うこととしているが、これに代えて、これらの判断を、ナビゲーション装置27から得られた他の道路関連情報により行うようにしてもよい。
【0055】この場合、車両が右折動作中であるか否かの判定は、例えば、上記実施の形態におけるステップS421,S422の処理に代えて、ナビゲーション装置27により得られた車両の位置が、上述の道路関連情報を参照した場合に、道路上の右折レーンあるいは左折レーン上であるか否かを判断する処理を行い、その判断結果に基づき行うようにすればよい。
【0056】また、車両が上り勾配の路面上に位置しているか否かの判定は、例えば、上記実施の形態におけるステップS434およびステップS437の処理に代えて、ナビゲーション装置27により得られる道路の標高情報に基づいて、車両が位置している道路の路面勾配を算出するとともに、この路面勾配が正の所定値(例えば、5%)以上または負の所定値(例えば、−5%)以下であるか否かを判断する処理を行うようにすればよい。
【0057】このようにナビゲーション装置27を用いて処理を行うことにより、車両が道路上の右左折動作中であるか、あるいは、道路の車両進行方向の勾配が上り勾配であるかを否かを、瞬時に判断することができ、制御処理の容易化を図ることができる。
【0058】また、上記実施の形態における制御装置2は、ハイブリッド車両に限らず、エンジンと駆動輪との間に自動変速機が配置された他の車両に用いるようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る車両制御装置においては、エンジン停止許可判断手段においてエンジンの停止許可を判断するとともに、発進要否判定手段において、即時発進が必要か否かの判断を行い、さらに、油圧維持手段において、即時発進が必要との判断に基づき、油圧発生装置の運転を維持する構成となっている。これにより、エンジン停止許可がなされた際においても、必要に応じて、油圧を自動変速機に供給した状態に保つことができ、運転者の発進要求に対応して、駆動力を即座に駆動輪に伝達させることができる。このため、運転操作性の向上を図ることができる。
【0060】請求項2に係る車両制御装置においては、車両が右折動作中であると検出された場合に、即時発進が必要であるとの認識をするようになっているため、交差点等において車両が右左折動作中の場合においても、油圧を自動変速機に供給した状態に維持することができ、右左折動作中に、運転者の発進要求に対応してエンジンからの駆動力を駆動輪に即座に伝達させることが可能となる。これにより、運転操作性の向上を図ることができる。
【0061】請求項3に係る車両制御装置においては、ナビゲーション装置による経路誘導中に車両が右左折ポイント付近にあるときに、車両が右左折動作中であると認識するようにしたため、従来のナビゲーション装置が既に広く活用している情報を用いて、車両が右左折動作中であるか否かを、簡易な構成により確実に確認することができる。したがって、汎用性が高く、従来型の量産車にも良好に適用することが可能であり、新しい部品の導入に伴う車両のコストアップを避けることができる。
【0062】請求項4に係る車両制御装置においては、ナビゲーション装置により車両が右左折レーンにいると検出された際に、車両が右左折動作中であるとの判断を行うため、車両が右左折動作中であるか否かを、簡易な構成により確実に確認することができる。
【0063】請求項5に係る車両制御装置においては、車両が進行方向に上り勾配の路面上にあるときには、即時発進が必要であるとの判断がなされる構成となっているために、坂道発進を行う際に、油圧が自動変速機に供給された状態が維持される。このため、坂道発進を行うにあたって、運転者の発進要求に対応してエンジンからの駆動力を駆動輪に即座に伝達させることが可能となる。これにより、運転操作性の向上を図ることができる。
【0064】請求項6に係る車両制御装置においては、車両前後方向加速度センサの検出結果に基づき、車両が上り勾配の路面上にあるか否かを判断するようにしたので、車両が上り勾配の路面上にあるか否かを、簡易な構成により確実に確認することができる。したがって、汎用性が高く、従来型の量産車にも良好に適用することが可能であり、新しい部品の導入に伴う車両のコストアップを避けることができる。
【0065】請求項7に係る車両制御装置においては、ナビゲーション装置から得られる道路関連情報により、車両の進行方向に標高が増加するとの判断がなされた場合に上り勾配であるとの認識を行うようにしたために、車両が上り勾配の路面上にあるか否かを、簡易な構成により確実に確認することができる。
【0066】請求項8に係る車両制御装置においては、油圧の供給を維持するために、エンジンの運転を継続するようにしたため、従来と異なり、電動モータ等を用いてオイルポンプの起動タイミングを制御するような必要が無く、新しい部品の導入に伴う車両のコストアップを避けることができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年8月26日(1999.8.26)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外7名)
【公開番号】 特開2001−65675(P2001−65675A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−240585