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【発明の名称】 トラクタの走行変速装置
【発明者】 【氏名】福本 俊也

【要約】 【課題】変速レバーの操作位置を電気的に検出して、複数段のギヤ変速を行うよう構成したトラクタの走行変速装置において、変速操作位置判別用の回路構成の簡素化を図る。

【解決手段】変速レバー30の操作位置をポテンショメータからの出力電圧として検出して、その検出結果に基づいて複数段のギヤ変速を行うよう構成し、中立位置Nにおける出力電圧e0 と現在の検出電圧eとの差Δeに基づいて変速レバー30の操作位置を判別するよう構成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変速レバーの操作位置をポテンショメータからの出力電圧として検出して、その検出結果に基づいて複数段のギヤ変速を行うよう構成したトラクタの走行変速装置であって、予め設定された基準操作位置における基準電圧と、ポテンショメータから出力された現在の検出電圧との差に基づいて変速レバーの操作位置を判別するよう構成してあることを特徴とするトラクタの走行変速装置。
【請求項2】 前記基準操作位置を中立位置に設定してある請求項1記載のトラクタの走行変速装置。
【請求項3】 前記変速レバーが変位された時、隣接する変速位置に到達するまでの間は変速操作前の変速段を維持するよう構成してある請求項1または2記載のトラクタの走行変速装置。
【請求項4】 エンジン始動時において、変速レバーが隣接する変速位置の中間にある場合、近い方の変速位置に相当する変速段を設定するよう構成してある請求項1ないし3のいずれか一項に記載のトラクタの走行変速装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速レバーの操作位置をポテンショメータからの出力電圧として検出して、その検出結果に基づいて複数段のギヤ変速を行うよう構成したトラクタの走行変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記変速装置においては、変速レバーの操作位置検出用のポテンショメータからの出力電圧を各変速位置に相当して設定された各基準値と比較して、現在の操作位置を判別している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記操作位置判別形態は、検出電圧の絶対値を判別するものであるから、初期基準値調整を1台ごと行う必要があり、また、ポテンショメータなどに印加する電圧を特に安定化させる必要があり、変速操作位置判別用の回路構成が複雑になるものであった。
【0004】本発明は、このような点に着目してなされたものであって、変速操作位置の判別形態に改良を加えることで、特別な初期基準値調整を不要にするとともに回路構成の簡素化を図ることを主たる目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0006】(構成)請求項1に係る発明のトラクタの走行変速装置は、変速レバーの操作位置をポテンショメータからの出力電圧として検出して、その検出結果に基づいて複数段のギヤ変速を行うよう構成したトラクタの走行変速装置であって、予め設定された基準操作位置における基準電圧と、ポテンショメータから出力された現在の検出電圧との差に基づいて変速レバーの操作位置を判別するよう構成してあることを特徴とする。
【0007】(作用) 請求項1の発明の構成によると、変速レバーが或る変速位置に操作されると、予め設定された基準操作位置における基準電圧と現在の検出電圧との差が演算され、この値が各変速位置に対応して設定された基準値と比較演算されて、現在の操作位置が判別され、これに基づいて変速操作が自動的に行われる。
【0008】この場合、基準操作位置と各変速位置との間における変速レバーの機械的な変位量は決まっているので、ポテンショメータからの出力電圧の絶対値にかかわらず基準操作位置における基準電圧と各変速位置での検出電圧との差は、各変速位置ごとで一定となり、変速レバーにポテンショメータを組付けた際に、その出力電圧や基準電圧を調整する必要はなくなる。
【0009】(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、変速レバーの操作位置を、基準操作位置からの相対位置として認識するので、ポテンショメータの初期調整などの手間が不要であるとともに、ポテンショメータに印加する電圧を厳密に一定にするような必要もなくなり、変速位置判別用の回路構成の簡素化を図る上で有効となる。
【0010】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0011】(構成) 請求項2に係る発明のトラクタの走行変速装置は、請求項1記載の発明において、前記基準操作位置を中立位置に設定してある。
【0012】(作用・効果) 上記構成によると、変速段数にかかわらず基準操作位置を共通に利用でき、変速段数の仕様変更にも対応しやすいものとなる。
【0013】〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0014】(構成) 請求項3に係る発明のトラクタの走行変速装置は、請求項1または2記載の発明において、前記変速レバーが変位された時、隣接する変速位置に到達するまでの間は変速操作前の変速段を維持するよう構成してある。
【0015】(作用・効果) 上記構成によると、変速レバーを移動操作した際の勢いで所望の変速位置を越えてしまっても、隣接する変速位置に至らなければその変速段が維持されるこになり、請求項1または2に記載の発明の上記効果をもたらすとともに、違和感のない変速を行うことが可能となる。
【0016】〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0017】(構成) 請求項4に係る発明のトラクタの走行変速装置は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発明において、エンジン始動時において、変速レバーが隣接する変速位置の中間にある場合、近い方の変速位置に相当する変速段を設定するよう構成してある。
【0018】(作用) 上記構成によると、エンジンが始動された時点で、基準操作位置における出力電圧と現在の検出電圧との差から、隣接する変速位置のいずれに近いかが判断され、その近い方の変速段が設定される。
【0019】(効果) 従って、請求項4に係る発明によると、基準操作位置における出力電圧と現在の検出電圧との差から現在の操作位置を判断するので、ポテンショメータへの印加電圧が変動したとしても、変速レバーの操作位置を的確に判断でき、エンジン始動時に設定される変速段が電圧によって変わるようなことが未然に回避され、違和感のない変速を行うことが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1に、主として農用に使用されるトラクタの全体側面が示されている。この例のトラクタは、トラクタ本機1の後部に外装式のリフトシリンダ3によって駆動昇降可能にロータリ耕耘装置4を連結して、乗用耕耘作業を行う形態に構成されており、機体前部に搭載したエンジン4の出力が主クラッチ5を介してミッションケース6に伝達され、ここで走行系とPTO系に分岐され、分岐された走行系の動力は適宜変速された後、主推進車輪である後輪7および操向車輪である前輪8が駆動されるようになっている。また、分岐されたPTO系の動力も適宜変速された後、機体後部のPTO軸9を介して前記ロータリ耕耘装置4に伝達されるようになっている。
【0021】図2に伝動系の概略を示すブロック図が、また、図3にミッションケース6に内蔵された変速装置の概略が示されている。主クラッチ5を介してミッションケース5に伝達されたエンジン出力は、カウンター軸10を介して走行系とPTO系に分岐される。走行系には、4段の変速を行う主変速機構11、多板式の変速用油圧クラッチ12、前後進切換え機構13、小さい伝動比で高低2段の変速を行う高低変速機構14、大きい伝動比で高低2段の変速を行う副変速機構15、および、超減速機構16が直列に配備されており、これら各変速機構で変速された動力が後部デフ機構17を介して後輪7に伝達されるとともに、伝動軸18おおよび前部デフ機構19を介して前輪8に伝達されるようになっている。また、PTO系には、前記カウンター軸10で分岐された動力を、正転3段、逆転1段に変速して前記PTO軸9に伝達するPTO変速機構20が配備されている。
【0022】図3に示すように、前記主変速機構11は、2つのシフトスリーブS1 ,S2を択一的にシフト操作して4段の変速を行うように構成されたものであり、シフトスリーブS2 を中立に維持した状態でシフトスリーブS1 を後方にシフトすることで1速が、シフトスリーブS1 を前方にシフトすることで2速が得られ、シフトスリーブS1 を中立に維持した状態でシフトスリーブS2 を後方にシフトすることで3速が、シフトスリーブS2 を前方にシフトすることで4速が得られ、かつ、各シフトスリーブS1 ,S2 がそれぞれシーケンス弁を兼用した油圧シリンダC1 ,C2 によてシフト操作されるようになっている。
【0023】前後進切換え機構13は、シフトスリーブS3 を前方にシフトすることで前進が、後方にシフトすることで後進が得られるものであり、ステアリングハンドル21の左横側に設けた前後進切換えレバー22に前記シフトスリーブS3 が連係されている。
【0024】そして、前後進切換え機構13が前進に切り換えられると、前記変速用油圧クラッチ12の出力側伝動軸23の動力が中間遊転軸24を介して前記高低変速機構14に伝達される。高低変速機構14で変速された動力は変速軸25を介して前記副変速機構15に伝達される。また、前後進切換え機構13が後進に切り換えられると、前記出力側伝動軸23の動力が高低変速機構14を介することなく直接に前記変速軸25に伝達される。
【0025】前記高低変速機構14は、シフトスリーブS4 を前方にシフトすることで低速「Lo」が得られ、後方にシフトすることで高速「Hi」が得られるものであり、その高低変速による伝動比は、主変速機構11における各変速段の間での伝動比より小さく設定されている。また、前記シフトスリーブS4 は、シーケンス弁を兼用した油圧シリンダC4 によってシフト操作されるようになっている。
【0026】前記副変速機構15は、シフトスリーブS5 を前方にシフトすることで低速「L」が得られ、後方にシフトすることで高速「H」が得られるものであり、その高低変速による伝動比は、主変速機構11における各変速段の間での伝動比より大きく設定されている。また、前記シフトスリーブS5 は、シーケンス弁を兼用した油圧シリンダC5 によってシフト操作されるようになっている。
【0027】前記超減速機構16は、シフトスリーブS6 を前方にシフトすることで「超減速切り状態」がもたらされて、前記副変速機構15で変速された出力が直接に最終変速軸26に伝達され、また、シフトスリーブS6 を後方にシフトすることで「超減速入り状態」がもたらされて、前記副変速機構15で変速された出力が減速軸27を迂回する間に大きく減速されて最終変速軸26に伝達されるようになっている。そして、前記シフトスリーブS6 は、運転席28の左側後方に配備されたクリープ変速レバー29によって操作されるようになっている。
【0028】前記主変速機構11を操作する油圧シリンダC1,C2 、副変速機構15を操作する油圧シリンダC、高低変速機構14を操作する油圧シリンダC、および、変速用油圧クラッチ12に対する油圧制御回路の構成が図3に示されている。図において、V1 〜V6 は電磁式アンロード弁、V7 は電磁比例制御弁、V8 はパイロット式アンロード弁であり、30は運転席28の左横側に前後揺動可能に配備された変速レバー、31はこの変速レバー30の操作位置を検出するポテンショメータであり、前記電磁式アンロード弁V1 〜V6 、電磁比例制御弁V7 、および、前後進切り換えレバー22の後進切り換えを検出する後進検出センサSwとともに制御装置32に接続されている。
【0029】前記変速レバー30は、図4、図6、および、図7に示すように、左側後輪フェンダ33の内側に固定されたレバーガイド34のガイド溝35から突設されており、その操作ストロークの最後端が中立Nに設定されるとともに、これより前方に前進12段、後進8段の変速位置が設定されている。
【0030】前記後輪フェンダ33の内側には板金製の支持ブラケット36が固着されるとともに、この支持ブラケット36に回転自在に横架した支軸37にレバー支点部材38が固着され、レバー支点部材38に前記変速レバー30の基端が支軸37と直交する前後向き支点xを介して左右揺動可能に枢支連結されている。また、前記支持ブラケット36に連設した支持辺36aには前記ポテンショメータ31が取付けられ、その操作軸31aと前記支軸37とが同芯状に連結され、変速レバー30の前後揺動位置がポテンショメータ31によって検出可能となっている。
【0031】変速レバー30は、その左右揺動支点xに装備されたねじりバネ39によって常に左側に揺動付勢されており、段差状に形成された前記ガイド溝35の左側縁に沿って案内移動されるようになっている。
【0032】また、前記支持ブラケット36には側方から見て扇形の位置決めプレート部36bが起立連設されている。この位置決めプレート部36bの外周縁には、中立および12段の変速位置に相当する位置決め凹部41が形成されるとともに、前記レバー支点部材38には、支点y回りに上下揺動可能かつバネ42によって下向きに揺動付勢されたデテントアーム43が装着され、このデテントアーム43に備えたローラ44が前記位置決めプレート部36bの外周縁の位置決め凹部41に弾性係入されることで、変速レバー30を中立および12段の変速位置に安定保持することができるように構成されている。
【0033】前記変速レバー30による前進12段の変速と、主変速機構11、副変速機構15、および、高低変速機構14の切り換え状態との関係は図9に示す図表のようになる。
【0034】すなわち、前進第1速では、主変速機構11が1速、副変速機構15が低速「L」、高低変速機構14が低速「Lo」にそれぞれ切り換えられ、前進第2速では、主変速機構11が1速、副変速機構15が低速「L」のままで高低変速機構14が高速「Hi」に切り換えられ、前進第3速では、主変速機構11が2速、副変速機構15が低速「L」、高低変速機構14が低速「Lo」にそれぞれ切り換えられ、前進第4速では、主変速機構11が2速、副変速機構15が低速「L」のままで高低変速機構14が高速「Hi」に切り換えられ、前進第5速では、主変速機構11が3速、副変速機構15が低速「L」、高低変速機構14が低速「Lo」にそれぞれ切り換えられ、前進第6速では、主変速機構11が3速、副変速機構15が低速「L」のままで高低変速機構14が高速「Hi」に切り換えられ、前進第7速では、主変速機構11が4速、副変速機構15が低速「L」、高低変速機構14が低速「Lo」にそれぞれ切り換えられ、前進第8速では、主変速機構11が4速、副変速機構15が低速「L」のままで高低変速機構14が高速「Hi」に切り換えられる。
【0035】また、前進第9速から前進第12速までは、副変速機構15が高速「H」、高低変速機構14が高速「Hi」にそれぞれ維持されたまま、主変速機構11が1速から4速に切り換えられるようになっている。
【0036】図8に、前進での変速分布特性の一例が示されている。ここで、図中の(A)は、超減速機構16を「切り」にして通常走行を行う場合の特性、(B)は、超減速機構16を「入り」にして極低速作業を行う場合の特性であり、通常の耕耘作業では、特性(A)において低速域の前進第1速から前進第8速までが選択され、移動走行時には、特性(A)において高速域の前進第9速から前進第12速までが選択される。従って、作業走行時には低速域で細かく速度設定できるとともに、移動走行時には不必要に細かくない適度の粗さで走行速度を選択することができる。
【0037】なお、前後進変速レバー22が「後進」に切り換えられると、主変速機構11からの変速動力は高低変速機構14を介することなく副変速機構15に伝達されるこになり、主・副両変速機構11,15の組み合わせ選択によって8段の変速が実行される。つまり、この「後進」状態では、図8中に示されるように、前進第1速位置と前進第2速位置とが後進第1速位置に、前進第3速位置と前進第4速位置とが後進第2速位置に、前進第5速位置と前進第6速位置とが後進第3速位置に、前進第7速位置と前進第8速位置とが後進第4速位置になり、前進第9速位置から前進第12速位置までが後進第5速位置から後進第8速位置になるのである。
【0038】前記変速レバー30の変速操作位置が検出されると、電磁アンロード弁V1 〜V6 を作動制御することで、変速に必要なシフトスリーブS1 〜S5 を油圧シリンダC1 〜C5 によってシフト操作するとともに、電磁制御弁V7 を作動制御することになり、以下にその変速制御動作の一例を説明する。
【0039】図4は、主変速機構11が1速、副変速機構15が低速「L」、高低変速機構14が高速「Hi」の状態、つまり、前進第2速の状態が示されており、ポンプPからの圧油によって変速用クラッチ12はクラッチ入り状態にある。ここで変速レバー30を前進第2速位置から前進第3速位置に移動させると、主変速機構11を1速から2速に切り換えるとともに、高低変速機構14を高速「Hi」から低速「Lo」に切り換えるために、電磁アンロード弁V1 ,V2 ,V5 が逆状態に駆動され、油圧シリンダC1 およびC4 が短縮作動を開始する。
【0040】油圧シリンダC1 ,C4 がシフト操作を開始すると、これによってチェック弁46が機械的に開放されて油路47の圧力が低下し、この油路の圧力をパイロット圧としているパイロット式アンロード弁V8 が復帰バネによって切り換え操作されて、走行用油圧クラッチ12からの圧油排出が行われ、自動的にクラッチ切り状態となりシフトスリーブS1,S4 のシフト作動が円滑に行われる。
【0041】シフトスリーブS1,S4 が所定の変速位置にまでシフトされると、油圧シリンダC1 ,C4 によるチェック弁46の強制開放作用がなくなって、チェック弁46が再び閉じ、油路47の圧力が上昇開始してアンロード弁V8 が走行用油圧クラッチ12への圧油供給位置に切り換えられる。この場合、油路47の圧力上昇が圧力センサPSで検知されることで、電磁比例制御弁V7 の開度制御が開始され、走行用油圧クラッチ12に供給される圧油の昇圧が所定の特性で除々に行われ、ショックのないクラッチ入り制御が実行される。
【0042】説明は省略するが、他の変速段での作動についても基本的には上記と同様であり、シフトスリーブの作動の間は走行変速用クラッチを切り、シフト完了後に所定の昇圧特性で走行変速用クラッチを入り制御することになる。
【0043】次に、前記変速レバー30の操作位置をポテンショメータ31からの出力変化に基づいて判別する形態を、図11のフロー図、および、図12の概念図に基づいて説明する。
【0044】ポテンショメータ31から取り出された検出電圧eが読み取られると (♯1)、予め設定されている中立位置(N)における基準電圧e0 と前記検出電圧eとの差Δeが演算され (♯2)、各変速位置ごとに予め設定されている比較値Δe1 〜Δe12と前記電圧差Δeが比較され (♯3)、変速レバー30の操作位置が判断され (♯4)、判断された変速位置に基づいて上記変速制御が実行される (♯5)。
【0045】前記基準電圧e0 は、ポテンショメータ31の組付け調整時に読み取った中立位置(N)における検出電圧eがそのまま基準電圧として決定されたものであり、その絶対値に多少の誤差があることは問題にならない。また、各変速位置における検出電圧と基準電圧e0 との差Δe1 〜Δe12のそれぞれは、基準電圧e0の絶対値の大きさにかかわらず、中立位置(N)から各変速位置までの機械的な位置偏差とポテンショメータ31の特性に基づいて予め割り出される一定の値であり、この差Δe1 〜Δe12を各変速位置ごとの比較値に設定して、演算した前記電圧差Δeと比較することで、変速レバー30の現在の操作位置を判断することができるのである。
【0046】ここで、或る変速位置にある変速レバー30が他の変速位置に移動操作され始めた際、隣接する変速位置に移動したことが判別されるまでは現在の変速段が維持されるようになっている。例えば、図13の模擬図に示すように、前進5速■にある変速レバー30を増速方向に動かした場合、前進6速■に到るまでは前進5速状態が維持され、また、前進6速■にある変速レバー30を減速方向に動かした場合、前進5速■に到るまでは前進6速状態が維持されることになり、変速レバー30が前進5速■と前進6速■の間にあっても、現出される変速段はその操作される前の変速状態によって異なることになる。
【0047】また、エンジンが始動された時点で、変速レバー30が隣接する変速位置の中間に位置しているような場合には、近い方の変速位置の変速段が目標の変速段に設定されるようになっている。例えば、エンジンが始動された時点で、変速レバー30が前進1速■と前進2速■の間にあり、かつ、前進1速■側に寄っていれば前進1速が目標の変速段に決定され、前進2速■側に寄っていれば前進2速が目標の変速段に決定されて変速制御が実行されるのである。
【0048】〔別実施形態〕本発明は以下のような形態で実施することもできる。
■ 変速レバー30の操作位置を判断する基準操作位置としては、中立位置(N)以外の変速位置でもよく、例えば前進1速あるいは最高速(実施形態では前進12速)を基準操作位置とすることもできる。
■ 上記実施形態では、主変速機構11、副変速機構15、および、高低変速機構14を単一の変速レバー30で操作するようにしているが、主変速機構11と副変速機構15を単一の変速レバーで操作し、高低変速機構14をこの変速レバーのグリップに備えたスイッチで操作する形態にすることもできる。
■ 変速機構自体の形態も上記のように油圧シリンダで駆動シフトする形式のものの他に、各変速段ごとに油圧クラッチを備えて、そのクラッチ群の選択によって所望の変速段での伝動を行う形式のものに適用することも容易である。
■ 高低変速機構14としては、シフト形式のものの他に遊星ギヤ式のものであってもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年8月31日(1999.8.31)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−65674(P2001−65674A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−244645