| 【発明の名称】 |
車両用Vベルト式自動変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】古山 幸弘
|
| 【要約】 |
【課題】空気入口に設けたフィルターが目詰まりを起こし難い車両用Vベルト式自動変速機を提供する。
【解決手段】Vベルトを収容する伝動ケース5の空気入口35,38に、フィルター39を備えたフィルターホルダー40を取付ける。このフィルターホルダー40と協働して空気通路45を形成するカバー46を備える。前記空気通路45は、第1〜第3の通路45a,45b,45cとから形成する。第1の通路45aは、カバー46の後端部・下端部と伝動ケース外側面との間で車幅方向と略直交する方向に延びる。第2の通路45bは、前記第1の通路45aの近傍からカバー46内で車幅方向の外側へ延びる。第3の通路45cは、第2の通路45bの車幅方向の外端部からフィルター側へ車幅方向と略直交する方向に延びる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 Vベルトを収容するケースに空気入口と空気出口を形成し、Vベルト用プーリに設けたファンによって前記空気入口から外気を導入し、前記ケース内を空気によって冷却する車両用Vベルト式自動変速機において、前記ケースの空気入口に、この空気入口を覆うフィルターを備えたフィルターホルダーを取付けるとともに、このフィルターホルダーと協働して空気通路を形成するカバーを取付け、前記空気通路を、前記カバーの車体後側の端部および下端部と前記ケースの外側面との間で車幅方向と略直交する方向に沿って延びる第1の通路と、この第1の通路の近傍からカバー内で車幅方向の外側へ延びる第2の通路と、この第2の通路の車幅方向の外端部からフィルター側へ車幅方向と略直交する方向に沿って延びる第3の通路とから形成したことを特徴とする車両用Vベルト式自動変速機。 【請求項2】 請求項1記載の車両用Vベルト式自動変速機において、第2の通路を、フィルターホルダーの後端部と下端部に設けたダクトによって形成したことを特徴とする車両用Vベルト式自動変速機。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する利用分野】本発明は、伝動ケース内を空気によって冷却する車両用Vベルト式自動変速機に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、例えばスクータ型自動二輪車のVベルト式自動変速機としては、Vベルトを収容する伝動ケースに空気入口と空気出口を形成し、Vベルト駆動用プーリに設けたファンによって前記空気入口から外気を導入して伝動ケース内を空気によって冷却する構造のものがある。 【0003】この種のVベルト式自動変速機においては、伝動ケースの空気入口にフィルターを介装するとともに、このフィルターに外気を導くダクトを設けている。このダクトは、空気導入口を車体の後方に向けて開口するように形成している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したように構成したVベルト式自動変速機は、走行時に泥水や砂埃などが空気導入用ダクトに吸込まれ易く、フィルターが早期に目詰まりを起こしてしまうという問題があった。 【0005】本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、空気入口に設けたフィルターが目詰まりを起こし難い車両用Vベルト式自動変速機を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明に係る車両用Vベルト式自動変速機は、Vベルトを収容するケースの空気入口に、フィルターを備えたフィルターホルダーを取付けるとともに、このフィルターホルダーと協働して空気通路を形成するカバーを取付け、前記空気通路を、前記カバーの後端部・下端部とケース外側面との間で車幅方向と略直交する方向に延びる第1の通路と、この第1の通路の近傍からカバー内で車幅方向の外側へ延びる第2の通路と、この第2の通路の車幅方向の外端部からフィルター側へ車幅方向と略直交する方向に延びる第3の通路とから形成したものである。本発明によれば、フィルターの上流側にラビリンス構造の空気通路が形成される。 【0007】請求項2に記載した発明に係る車両用Vベルト式自動変速機は、請求項1に記載した発明に係る車両用Vベルト式自動変速機において、第2の通路を、フィルターホルダーの後端部と下端部に設けたダクトによって形成したものである。この発明によれば、フィルターを保持する部材を用いて空気通路の一部を形成できる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用Vベルト式自動変速機の一実施の形態を図1ないし図5によって詳細に説明する。ここでは、本発明をスクータ型自動二輪車の動力ユニットに適用する場合に採る形態について説明する。図1は本発明に係るVベルト式自動変速機を装備したスクータ型自動二輪車の側面図、図2はユニットスイング式動力ユニットの側面図、図3は同じく平面図、図4は伝動ケースの横断面図、図5は要部を拡大して示す断面図である。 【0009】これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態によるスクータ型自動二輪車である。この自動二輪車1は、後輪2をユニットスイング式動力ユニット3によって駆動する構造を採っている。 【0010】前記ユニットスイング式動力ユニット3は、図2および図3に示すように、水冷式4サイクル単気筒エンジン4と、このエンジン4のクランクケース4aに一体的に形成して後輪2の左側で後方へ延びる伝動ケース5とを備えている。前記クランクケース4aの上部をリンク機構6によって車体フレーム7に上下方向に揺動自在に連結し、伝動ケース5の後端部に後輪2を支持させている。また、伝動ケース5の後端部と車体フレーム7との間にクッションユニット8を介装している。 【0011】前記エンジン4は、前記クランクケース4aの車体前側の端部にシリンダボディ4bを軸線が車体の前方を指向するように接続し、シリンダヘッド4cの上部に吸気管9を接続するとともに下部に排気管(図示せず)を接続している。また、図3に示すように、シリンダヘッド4cの車体右側に点火プラグ10を取付けている。前記吸気管9は、シリンダ4bの上方で上流端が車体の後方を指向するように屈曲しており、上流端に気化器11を接続している。この気化器11の上流側には、吸気ダクト12を介してエアクリーナ13を接続している。 【0012】クランクケース4aは、図3に示すように、クランク軸14を軸線方向が車幅方向と平行になるように回転自在に支持している。このクランク軸14にコンロッド15を介してピストン16を連結している。また、クランク軸14は、車体右側の端部にフライホイールマグネトウ17を設け、車体左側の端部にVベルト式自動変速機21の駆動プーリ22を接続している。 【0013】Vベルト式自動変速機21は、伝動ケース5の内側に配設し、従来からよく知られているように、前記駆動プーリ22と従動軸23側の従動プーリ24とにVベルト25を巻掛けた構造を採っている。駆動プーリ22は、クランク軸14と一体に回転する固定シーブ22aと、クランク軸14に軸線方向へ移動自在に支持させた可動シーブ22bとを備えている。 【0014】固定シーブ22aは、図5に示すように、車体左側の端部に遠心式のファン26を一体に形成している。可動シーブ22bは、図示していない遠心ローラを備え、遠心ローラが遠心力で径方向に移動することによって、エンジン回転数に対応して軸線方向に移動する構造を採っている。 【0015】従動プーリ24は、従動軸23に回転自在に支持させるとともに遠心クラッチ27の入力軸に接続した固定シーブ24aと、Vベルト25の巻掛け径を変化させるために従動軸23に回転自在かつ軸線方向へ移動自在に支持させた可動シーブ24bとを備えている。 【0016】前記従動軸23は、伝動ケース5に回転自在に支持させ、車体左側の端部を前記遠心クラッチ27の出力部に接続するとともに、車体右側の端部を歯車式減速機28を介して後輪2の車軸29に接続している。 【0017】前記伝動ケース5は、図3および図4に示すように、エンジン4のクランクケース4aと一体的に形成した右側本体31と、この右側本体31の車体左側の開口部にこの開口部を閉塞するように取付けた左側本体32と、この左側本体32にこれを車体左側から覆うように取付けた伝動ケースカバー33とを備えている。右側本体31および左側本体32はアルミニウム合金によって形成し、伝動ケースカバー33は合成樹脂によって形成している。 【0018】前記右側本体31と左側本体32との間には、伝動ケース5内に水や塵埃が浸入するのを阻止するとともに、左側本体32が振動して騒音が発生するのを阻止するために、ゴム製のシール部材34を介装している。このシール部材34は、前記両本体31,32の合わせ部分を全域にわたってシールできるように、外形形状を前記合わせ部分と略等しくなるように形成し、左側本体32に保持させている。シール部材34の保持は、左側本体32の開口端面に凹陥部32aを多数形成し、シール部材34の車体左側に突設した突起34aを前記凹陥部32aに嵌入させて行っている。 【0019】伝動ケース5の左側本体32は、図4および図5に示すように、伝動ケース5内に外気を導入するための空気入口35を前記駆動プーリ22と対向する部分に形成している。この空気入口35は、車体左側に向けて開口するように形成している。また、空気出口は、この実施の形態では伝動ケース5の前後方向の両端部と中央部の三箇所に形成している。空気出口を図4および図5中に符号36で示す。これらの空気出口36は、何れも伝動ケース5内の上部と、伝動ケース5の下面とに開口させている。 【0020】前記伝動ケースカバー33は、騒音を低減するために設けてあり、前記左側本体32との間に吸音材37を挾み込んだ状態で左側本体32に取付けている。この伝動ケースカバー33の前部にも左側本体32と同様に空気入口38を形成している。 【0021】伝動ケースカバー33の前記空気入口38は、図4および図5に示すように、後述するフィルター39によって車体左側から覆っている。このフィルター39は、断面形状が蛇腹状になるように形成した不織布からなり、符号40で示す合成樹脂製のフィルターホルダーに蛇腹の稜線および谷が上下方向に延びる状態でアウトサート成形によって一体的に保持させている。 【0022】フィルターホルダー40は、筒状のダクト41を一体に形成し、フィルター39を空気入口38と対向させて伝動ケースカバー33に固定用ねじ42,43(図2参照)によって固定している。この実施の形態では、フィルターホルダー40と伝動ケースカバー33との間に、図5に示すようにシール部材44を介装している。 【0023】前記フィルターホルダー40の外側には、このフィルターホルダー40と協働して空気通路45を形成するカバー46を取付けている。このカバー46は、硬質のゴムによって箱蓋状に形成し、フィルターホルダー40の周縁に突設したフランジ40aに開口側端部を係合させている。前記フランジ40aは、図2に示すように、フィルターホルダー40の後側下端部を除く周囲に途切れることなく一連に形成している。また、このカバー46の前端部は、フィルターホルダー40を伝動ケースカバー33に固定する固定用ねじ42によって伝動ケースカバーに固定している。 【0024】フィルターホルダー40と前記カバー46との間に形成される空気通路45は、図5に示すように、前記カバー46の車体後側の端部および下端部と前記伝動ケースカバー33の外側面との間で車幅方向と略直交する方向に沿って延びる第1の通路45aと、この第1の通路45aの近傍からカバー46内で車幅方向の外側へ延びる第2の通路45bと、この第2の通路45bの車幅方向の外端部からフィルター39側へ車幅方向と略直交する方向に沿って延びる第3の通路45cとから形成している。 【0025】この実施の形態では、前記第1の通路45aの途中に仕切板47(図4,5参照)を立設し、第1の通路45aを途中で車幅方向の外側に屈曲するように形成している。仕切板47は、伝動ケースカバー33に一体に形成している。 【0026】また、車幅方向の外側へ延びる第2の通路45bは、この実施の形態では、図4,5に示すようにフィルターホルダー40に設けた筒状のダクト41と、フィルターホルダー40の後側下部の側壁40b,40c(図2参照)およびこれに対向するカバー内面とによって形成している。 【0027】フィルターホルダー40は、図2に示すように、後端部に3個のダクト41を上下方向に並べて一体に形成するとともに、下端部に4個のダクト41を車体の前後方向に並べて一体に形成している。後端部の3個のダクト41のうち最も下に位置するダクト41の下側の壁が前記側壁40aを構成し、下端部の4個のダクト41のうち最も車体後側に位置するダクト41の車体後側の壁が前記側壁40cを構成している。 【0028】上述したように構成したVベルト式自動変速機21は、クランク軸14とともに駆動プーリ22およびファン26が回転することによって、外気が前記空気通路45およびフィルター39を通って伝動ケース5の空気入口35,38に吸い込まれ、伝動ケース5内のVベルト25や各プーリ22,24の摩擦面が空気によって冷却される。 【0029】空気通路45の前記第1の通路45aに流入した空気は、第2の通路45bを通ることによって車幅方向の外側へ流れ、その後に第3の通路45c中を前方または上方へ向けて流れてからフィルター39に流入する。 【0030】したがって、外気は、フィルター39の上流側に形成されたラビリンス構造の空気通路45を通ってからフィルター39に流入するから、外気とともに空気通路45に吸込まれた泥水や砂埃などは、フィルター39より上流側に位置するフィルターホルダー40のダクト41やカバー46の内面に付着する。このため、フィルター39に付着する異物を低減することができる。 【0031】また、第2の通路45bを、フィルターホルダー40の後端部と下端部に設けたダクト41によって形成しているから、フィルター39を保持する部材(フィルターホルダー40)を使用して第2の通路45bを形成できる。すなわち、専ら第2の通路45bを形成するための部材を用いる構造に較べて部品数を低減できる。なお、この実施の形態ではスクータ型自動二輪車に搭載するVベルト式自動変速機21に本発明を適用する例を示したが、本発明は、自動三輪車や不整地走行用小型四輪車などの他の車両のVベルト式自動変速機にも適用できる。 【0032】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、フィルターの上流側にラビリンス構造の空気通路が形成されるから、空気とともにカバー内に吸込まれた泥水や砂埃はカバーの内面やフィルターホルダーに付着する。したがって、フィルターに付着する異物を低減することができるから、従来に較べてフィルターの交換時期を延ばすことができる。 【0033】請求項2記載の発明によれば、フィルターを保持する部材を用いて空気通路の一部を形成でき、専ら第2の通路を形成するための部材を用いる構造に較べて部品数を低減できる。 【0034】このため、コスト低減を図りながら、泥水や砂埃がフィルターに付着し難い車両用Vベルト式自動変速機を提供することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000010076 【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年8月31日(1999.8.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064621 【弁理士】 【氏名又は名称】山川 政樹
|
| 【公開番号】 |
特開2001−65672(P2001−65672A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−246004 |
|