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【発明の名称】 遊星ローラ式動力伝達装置
【発明者】 【氏名】川瀬 達夫

【氏名】福島 茂明

【氏名】牧野 智昭

【氏名】阪東 広道

【要約】 【課題】組み立て性が容易であると共に、軸方向力の作用に基づく干渉により部材が摩耗したり、摩擦による動力損失が増加することを防止することにある。

【解決手段】固定輪12と、その内側に同軸上に配置された太陽ローラ13と、この太陽ローラ13と前記固定輪12の間に介装された複数の遊星ローラ14と、この遊星ローラ14を円周等配間隔に回転自在に保持するキャリア17とを備えた遊星ローラ式動力伝達装置において、前記太陽ローラ13及びキャリア17の一端部にスプライン18,19が設けられると共に、その太陽ローラ13及びキャリア17が軸方向に移動するのを深溝玉軸受22,23,24で規制し、遊星ローラ14が軸方向に移動するのを側板20,21で規制する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定輪と、その内側に同軸上に配置された太陽ローラと、この太陽ローラと前記固定輪の間に介装された複数の遊星ローラと、この遊星ローラを円周等配間隔に回転自在に保持するキャリアとを備えたものにおいて、少なくとも前記太陽ローラの一端部に動力伝達手段が設けられると共に、その太陽ローラが軸方向に移動するのを規制する移動規制手段を設けたことを特徴とする遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項2】 前記移動規制手段は、前記太陽ローラを玉軸受で支持した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項3】 前記移動規制手段は、前記太陽ローラの端面をキャリアに当接させた構造を有することを特徴とする請求項2に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項4】 前記移動規制手段は、前記太陽ローラの端面を、キャリアに同軸結合された低速軸の端面に当接させた構造を有することを特徴とする請求項2に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項5】 前記移動規制手段は、前記キャリアに貫挿された部材の両端面を、太陽ローラと低速軸の端面にそれぞれ当接させた構造を有することを特徴とする請求項4に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項6】 前記移動規制手段は、前記遊星ローラの両端面のそれぞれに滑り接触する2つの鍔部を太陽ローラに設けると共に、遊星ローラを軸方向両側から挟持する側板を固定輪の両端面に設けた構造を有することを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項7】 前記移動規制手段は、前記遊星ローラの一方の端面に滑り接触する1つの鍔部を太陽ローラに設けると共に、遊星ローラを軸方向両側から挟持する側板を固定輪の両端面に設けた構造を有することを特徴とする請求項2に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項8】 請求項1記載の太陽ローラの動力伝達手段及び移動規制手段に加えて、前記キャリアの一端部に動力伝達手段が設けられると共に、そのキャリアが軸方向に移動するのを規制する移動規制手段を設けたことを特徴とする遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項9】 前記移動規制手段は、前記キャリアを玉軸受で支持した構造を有することを特徴とする請求項8に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項10】 前記移動規制手段は、前記キャリアの支持軸先端部にワッシャを固設すると共に、遊星ローラを軸方向両側から挟持する側板を固定輪の両端面に設け、前記ワッシャを側板に当接させた構造を有することを特徴とする請求項8に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項11】 前記移動規制手段は、前記遊星ローラを軸方向両側から挟持する側板を固定輪の両端面に設け、その側板と軸方向に係合する係合部をキャリアに設けた構造であることを特徴とする請求項8に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項12】 前記動力伝達手段は、凹凸噛合構造であることを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項13】 前記凹凸噛合構造は、スプライン、セレーション及びキーのうちから選択されるいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項14】 前記太陽ローラとキャリアの一端部に動力伝達手段を設け、その遊星ローラの減速比に対応したトルク容量に設定したことを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項15】 前記遊星ローラは、前記キャリアに植設された複数の支持軸に軸受を介して回転自在に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項16】 前記遊星ローラは、前記キャリアに円周等配間隔に形成された円筒状ポケット内に回転自在に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遊星ローラ式動力伝達装置に関し、例えば摩擦ローラ式変速機などに利用される遊星ローラ式動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から知られている遊星ローラ式動力伝達装置の例としては、特開平10−331932号公報に開示されたものがある。この遊星ローラ式動力伝達装置は、図11に示すように第1の回転伝達軸である入力軸1の他端部を電動モータ等の駆動源により回転駆動される駆動軸(図示せず)の端部に結合し、第2の回転伝達軸である出力軸2の他端部を回転駆動すべき他の機器の入力軸(図示せず)の端部に結合する構造のものであり、入力軸1と出力軸2との間で回転速度の変換を自在とする摩擦ローラ式変速機である。
【0003】この遊星ローラ式動力伝達装置は、入力軸1と、入力軸1と軸心を一致させて配置された太陽ローラ3及び固定輪4と、キャリア5に植設した複数本の支持軸6に回転自在に軸受支持され、太陽ローラ3と固定輪4間の空間に配置された複数個の遊星ローラ7と、キャリア5に結合固定した出力軸2とを備え、固定輪4の円周方向の回転を規制することにより、入力軸1と出力軸2との間で動力伝達が行われる。この装置において、太陽ローラ3と遊星ローラ7と固定輪4の軸心は、相互に平行な位置関係にある。
【0004】従来の動力伝達装置では、入力軸1と出力軸2の端部外周面にスプライン8,9を設け、他の回転伝達軸の端部に形成したスプライン孔に嵌合させることにより、入力軸1及び出力軸2と他の回転伝達軸とをそれぞれ結合する。このように入力軸1及び出力軸2と他の回転伝達軸とを別体にすることにより、組み立て性を容易にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の遊星ローラ式動力伝達装置では、前述したように太陽ローラ3、遊星ローラ7及び固定輪4の軸心が相互に平行な位置関係にあるが、各部品の製作精度及び軸受すきま等の影響などのために、太陽ローラ3、遊星ローラ7及び固定輪4の軸心の平行度がずれて(スキュー)運転されることがある。この場合、太陽ローラ3や遊星ローラ7には軸方向力が作用する。
【0006】特開平10−331932号公報に開示された遊星ローラ式動力伝達装置のように、太陽ローラ3に結合した入力軸1と他の回転伝達軸(電動モータ等の駆動源により回転駆動される駆動軸)とをスプライン8で結合する場合、太陽ローラ3に作用する軸方向力を受けることができない。そのため、太陽ローラ3は他部材と干渉するまで軸方向に移動し、太陽ローラ3もしくは太陽ローラ3と干渉する他部材の摩耗や摩擦による動力損失の増加を招来する。
【0007】また、出力軸2に結合固定されたキャリア5は、支持軸6を介して複数個の遊星ローラ7を回転自在に保持し、遊星ローラ7の公転を出力軸2を介して他の回転伝達軸(回転駆動すべき他の機器の入力軸)に伝達させる機能を有する。このキャリア5に固定された出力軸2と他の回転伝達軸(回転駆動すべき他の機器の入力軸)とをスプライン9で結合する場合、キャリア5に作用する軸方向力を受けることができない。そのため、キャリア5は他部材と干渉するまで軸方向に移動し、キャリア5もしくはキャリア5と干渉する他部材の摩耗や摩擦による動力損失の増加を招来する。
【0008】そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、組み立て性が容易であると共に、軸方向力の作用に基づく干渉により部材が摩耗したり、摩擦による動力損失が増加することを防止し得る遊星ローラ式動力伝達装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、固定輪と、その内側に同軸上に配置された太陽ローラと、この太陽ローラと固定輪の間に介装された複数の遊星ローラと、この遊星ローラを円周等配間隔に回転自在に保持するキャリアとを備えた遊星ローラ式動力伝達装置において、少なくとも前記太陽ローラの一端部に動力伝達手段が設けられると共に、その太陽ローラが軸方向に移動するのを規制する移動規制手段を設けたことを特徴とする。
【0010】本発明の遊星ローラ式動力伝達装置では、太陽ローラの動力伝達手段及び移動規制手段に加えて、前記キャリアの一端部に動力伝達手段が設けられると共に、そのキャリアが軸方向に移動するのを規制する移動規制手段を設けたことも特徴とする。
【0011】本発明の遊星ローラ式動力伝達装置では、太陽ローラ(キャリア)の一端部に動力伝達手段を設けたことにより、その動力伝達手段を介して他の回転軸を別体で軸方向移動可能に結合させることができるので、組み立て性が容易である。
【0012】太陽ローラ(キャリア)が軸方向に移動するのを規制する移動規制手段を設けたことにより、その太陽ローラ(キャリア)に結合される回転伝達軸が他部材と干渉して回転伝達軸もしくは回転伝達軸と干渉する他部材が過大に摩耗したり、摩擦による動力損失が増加するのを防止できる。
【0013】具体的に、太陽ローラの移動規制手段としては、■太陽ローラを玉軸受で支持した構造(図1参照)、■太陽ローラの端面をキャリアに当接させた構造(図3参照)、■太陽ローラの端面を、キャリアに同軸結合された低速軸の端面に当接させた構造(図4参照)、■キャリアに貫挿された部材の両端面を、太陽ローラと低速軸の端面にそれぞれ当接させた構造(図5参照)、■遊星ローラの端面に滑り接触する鍔部を太陽ローラに設けると共に、遊星ローラを軸方向両側から挟持する側板を固定輪の両端面に設けた構造(図6、図7参照)を有し、上記■〜■のうちから選択されたもの或いはそれらの組み合わせが可能である。
【0014】また、キャリアの移動規制手段としては、■キャリアを玉軸受で支持した構造(図1参照)、■キャリアの支持軸先端部にワッシャを固設すると共に、遊星ローラを軸方向両側から挟持する側板を固定輪の両端面に設け、前記ワッシャを側板に当接させた構造(図8参照)、■遊星ローラを軸方向両側から挟持する側板を固定輪の両端面に設け、その側板と軸方向に係合する係合部をキャリアに設けた構造(図9、図10参照)を有し、上記■〜■のうちから選択されたもの或いはそれらの組み合わせが可能である。
【0015】本発明の遊星ローラ式動力伝達装置における動力伝達手段としては、凹凸噛合構造であることが望ましく、例えばスプライン、セレーション及びキーのうちから選択されるいずれかであることが好ましい(図1、図3乃至図6参照)。
【0016】前述した遊星ローラ式動力伝達装置において、太陽ローラとキャリアの一端部に動力伝達手段を設け、その遊星ローラの減速比に対応したトルク容量に設定することが望ましい。すなわち、太陽ローラはキャリアよりも高速に回転し、その結果、キャリアの伝達トルクは太陽ローラの伝達トルクよりも大きい。そのため、太陽ローラとキャリアの両方に動力伝達手段を設ける場合、キャリアに設けられた動力伝達手段の許容伝達トルク容量は太陽ローラのよりも大きいことが必要である。
【0017】本発明は、前述した遊星ローラ式動力伝達装置において、遊星ローラが、前記キャリアに植設された複数の支持軸に軸受を介して回転自在に保持された構造のもの〔図2(a)参照〕、あるいは、遊星ローラが、キャリアに円周等配間隔で形成された円筒状ポケット内に回転自在に保持された構造のもの〔図2(b)参照〕のいずれにも適用可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係る遊星ローラ式動力伝達装置の実施形態を以下に詳述する。
【0019】図1に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、ハウジング11に固定された固定輪12と、固定輪12の内側に同軸上に配置された太陽ローラ13と、その太陽ローラ13の外周面と固定輪12の内周面の間に圧接状態で介装された複数の遊星ローラ14と、これら遊星ローラ14を、植設された支持軸15により軸受16(例えばニードル軸受)を介して円周等配間隔に回転自在に保持するキャリア17とを主要構成要素とする。
【0020】太陽ローラ13及びキャリア17の各一端部には動力伝達手段であるスプライン(又はセレーション)18,19がそれぞれ形成され、このスプライン(又はセレーション)18,19により、電動モータ等の駆動源により回転駆動される駆動軸などの高速軸が太陽ローラ13に同軸結合され、回転駆動すべき他の機器の入力軸などの低速軸がキャリア17に同軸結合される。このように太陽ローラ13及びキャリア17を、高速軸及び低速軸である回転伝達軸と別体にすることにより、組み立て性を容易にしている。
【0021】太陽ローラ13とキャリア17の一端部に設けた動力伝達手段は、遊星ローラ14の減速比に対応したトルク容量に設定することが望ましい。すなわち、太陽ローラ13はキャリア17よりも高速に回転し、その結果、キャリア17の伝達トルクは太陽ローラ13の伝達トルクよりも大きい。そのため、太陽ローラ13とキャリア17の両方に動力伝達手段を設ける場合、キャリア17に設けられた動力伝達手段の許容伝達トルク容量は太陽ローラ13のよりも大きいことが必要である。動力伝達手段が前述したスプライン(又はセレーション)18,19の場合には、キャリア17の方のモジュール、ピッチ円径、スプライン(又はセレーション)18,19の有効長さの少なくとも一つが太陽ローラ13のよりも大きければよい。なお、動力伝達手段がキー方式の場合には、キャリア17の方の軸径、キーの幅、キーの有効長さの少なくとも一つが太陽ローラ13のよりも大きければよい。
【0022】各部品の製作精度及び軸受すきま等の影響などのために、太陽ローラ13、遊星ローラ14及び固定輪12の軸心の平行度がずれて(スキュー)運転され、太陽ローラ13、遊星ローラ14やキャリア17に軸方向力が作用する場合でも、太陽ローラ13、遊星ローラ14及びキャリア17は、以下の構造を持つ移動規制手段により軸方向移動が規制される。
【0023】遊星ローラ14は、固定輪12の左右両側に設けられた二枚の側板20,21によってその軸方向移動が規制されている。太陽ローラ13は、玉軸受、例えば深溝玉軸受22,23を介してハウジング11及びキャリア17に回転自在に保持され、キャリア17も、玉軸受、例えば深溝玉軸受24を介してハウジング11に回転自在に保持されている。このように太陽ローラ13及びキャリア17は深溝玉軸受22,23,24により軸方向の移動が規制されている。なお、太陽ローラ13及びキャリア17の軸方向移動規制は、前述した深溝玉軸受22,23,24に限らず、軸方向力が支持できる転がり軸受や滑り軸受であってもよい。
【0024】図1に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、図2(a)に示すようにキャリア17に別体(又は一体でも可)に植設された支持軸15に軸受16を介して遊星ローラ14が回転自在に支持されたタイプである。これに対して、図2(b)に示すように遊星ローラ14の外周面とキャリア17' とが滑り接触することにより、遊星ローラ14が円筒状ポケット内で円周等配間隔に回転自在に保持されたタイプもあり、本発明は、図2(b)に示すタイプの遊星ローラ式動力伝達装置にも適用可能である。
【0025】図1に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、太陽ローラ13及びキャリア17の一端部にスプライン(雄)18,19をそれぞれ設け、さらに、太陽ローラ13及びキャリア17が軸方向に移動するのを規制する移動規制手段を設けたものであるが、これ以外の構造を有する他の実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置を以下に説明する。なお、図1と同一又は相当部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
【0026】図3に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、スプライン(雄)18が一端部に形成された太陽ローラ13がキャリア側に移動するのを、太陽ローラ13の端面をキャリア17に当接させることにより規制する構造を具備する。すなわち、太陽ローラ13の端面に凸部25を設け、太陽ローラ13の端面がキャリア17に当接する面積を小さくすることにより動力損失を小さくしている。太陽ローラ13がキャリア17の反対側へ軸方向移動するのは、図1の実施形態の場合と同様、深溝玉軸受22により規制される。
【0027】図4に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、キャリア17の中空内周面にスプライン(雌)19' を形成し、そのスプライン19' によりキャリア17にその回転が伝達される低速軸26を結合し、その低速軸26の端面に太陽ローラ13の端部を当接させることで、太陽ローラ13の軸方向移動を規制する。太陽ローラ13の端部には、図3の実施形態の場合と同様、突起部27を設け、太陽ローラ13が低速軸26に当接する面積を小さくすることにより動力損失を小さくしている。図4の実施形態では、内周面にスプライン(雌)18' が形成されたスリーブ28を太陽ローラ13の一端部に圧入することで一体化させているが、太陽ローラ13の中空内周面にスプライン(雌)を一体的に形成するようにしてもよい。
【0028】図5に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、キャリア17の太陽ローラ13と対向する端部にピン(部材)29を圧入し、そのピン29の端部を低速軸26及び太陽ローラ13の端面にそれぞれ当接させることで、太陽ローラ13に作用する軸方向力がピン29を介して低速軸26に支持されることになり、太陽ローラ13の軸方向移動が規制される。なお、図示のピン29とキャリア17とは別体であるが、両者を一体物で形成することも可能である。
【0029】図6及び図7に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、固定輪12の左右両側に設けられた側板20,21によって遊星ローラ14について軸方向移動が規制されており、太陽ローラ13に設けた鍔部30の端面と遊星ローラ14の端面とが当接することにより、太陽ローラ13の軸方向移動を規制している。図6の実施形態では、1つの鍔部30と1つの深溝玉軸受22とにより、また、図7の実施形態では、太陽ローラ13に設けられた2つの鍔部30,31により、太陽ローラ13の軸方向移動が規制されている。なお、図7の実施形態では、太陽ローラ13と結合する他の回転伝達軸は、キー溝32により軸方向移動が可能となっている。
【0030】図8乃至図10はキャリア17の軸方向移動を規制する実施形態を示し、図8に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、キャリア17に植設された支持軸15に軸受16を介して遊星ローラ14が回転自在に保持されたタイプ〔図2(a)参照〕のものであり、支持軸15の先端に止め輪33を設け、その止め輪33と側板20との間にワッシャ34を設けることで、キャリア17の軸方向移動を規制する。
【0031】図9(a)(b)に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、遊星ローラ14の外周面とキャリア17' が滑り接触するタイプ〔図2(b)参照〕のものであり、キャリア17' の最大外径部35の外径を側板20,21の内径より大きくなるように形成し、キャリア17' の最大外径部35が、固定輪12の左右両側に設けられた側板20,21間に嵌まり込んだ構造としたことによりキャリア17' の軸方向移動を規制する。
【0032】図10(a)(b)に示す実施形態の遊星ローラ式動力伝達装置は、キャリア17に植設された支持軸15に軸受16を介して遊星ローラ14が回転自在に保持されたタイプ〔図2(a)参照〕のものであるが、固定輪12の左右に設けられた側板20,21のいずれかの側面と当接するような柱状部36(キャリア軸方向規制部材)を遊星ローラ14間に配置されるようにキャリア17に設けることで、キャリア17の軸方向移動を規制する。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、固定輪と、その内側に同軸上に配置された太陽ローラと、この太陽ローラと前記固定輪の間に介装された複数の遊星ローラと、この遊星ローラを円周等配間隔に回転自在に保持するキャリアとを備えた遊星ローラ式動力伝達装置において、太陽ローラ(キャリア)の一端部に動力伝達手段を設けたことにより、その動力伝達手段を介して他の回転伝達軸を別体で軸方向移動可能に結合させることができるので、組み立て性が容易である。また、太陽ローラ(キャリア)が軸方向に移動するのを規制する移動規制手段を設けたことにより、その太陽ローラ(キャリア)に結合される回転伝達軸が他部材と干渉して回転伝達軸もしくは回転伝達軸と干渉する他部材が過大に摩耗したり、摩擦による動力損失が増加するのを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
【出願日】 平成11年7月7日(1999.7.7)
【代理人】 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
【公開番号】 特開2001−21017(P2001−21017A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−193181