| 【発明の名称】 |
伝動ベルト及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤本 浩
【氏名】藤原 勝良
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| 【要約】 |
【課題】圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着されて埋設されてなる動的接着性にすぐれる伝動ベルトとその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によれば、圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着されて埋設されている伝動ベルトにおいて、上記接着ゴム層と圧縮ゴム層がエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物の加硫物からなり、上記心線がクロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンを有効成分とするオーバーコート剤にて接着処理されて、上記接着ゴム層内に接着されて埋設されてなる伝動ベルトが提供される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着されて埋設されている伝動ベルトにおいて、上記接着ゴム層と圧縮ゴム層がエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物の加硫物からなり、上記心線がクロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンとそのための架橋剤とを含むオーバーコート剤にて接着処理されて、上記接着ゴム層内に接着されて埋設されていることを特徴とする伝動ベルト。 【請求項2】心線がイソシアネート化合物又はエポキシ化合物にて前処理した後、オーバーコート剤にて接着処理されている請求項1に記載の伝動ベルト。 【請求項3】エチレン−α−オレフィンジエンゴムがプロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとエチレンとジエンとの共重合体からなるゴムである請求項1に記載の伝動ベルト。 【請求項4】圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着されて埋設されている伝動ベルトの製造方法において、上記心線をクロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンとそのための架橋剤とを含むオーバーコート剤に浸漬し、加熱し、乾燥する接着処理を行なった後、これをエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物からなる未加硫接着ゴム配合物シート内に埋設し、これにエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物からなる未加硫圧縮ゴム配合物シートを積層し、これらを加圧加熱し、加硫することを特徴とする接着ゴム層と圧縮ゴム層が共にエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物の加硫物からなり、上記心線が上記接着ゴム層内に接着されて埋設されてなる伝動ベルトの製造方法。 【請求項5】心線をイソシアネート化合物又はエポキシ化合物にて前処理した後、オーバーコート剤にて接着処理する請求項4に記載の伝動ベルトの製造方法。 【請求項6】エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムがプロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとエチレンとジエンとの共重合体からなるゴムである請求項4に記載の伝動ベルトの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、伝動ベルト及びその製造方法に関し、詳しくは、圧縮ゴム層と接着ゴム層とを有し、これら圧縮ゴム層と接着ゴム層とがエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物の加硫物からなると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着されて埋設されており、上記心線と接着ゴム層との動的接着性にすぐれ、従って、動的寿命の長い伝動ベルトと、そのような伝動ベルトの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、伝動ベルトは、圧縮ゴム層と接着ゴム層とを有し、この接着ゴム層内に繊維心線が接着されて埋設されており、ベルト表面層は、必要に応じて、その全周又は表裏面に帆布が接着されている。 【0003】このような伝動ベルトにおいて、従来、一般に、圧縮ゴム層にはクロロプレンゴムや、水素化ニトリルゴムとクロロスルホン化ポリエチレンゴムとの混合物が用いられているが、近年、環境保護の観点から、伝動ベルトの素材ゴムにも、脱塩素化の要請に基づいて、圧縮ゴム層と共に、接着ゴム層にも、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムを用いることが試みられている。 【0004】しかし、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムは、既に知られているように、動的特性に劣る欠点を有し、特に、耐疲労性、耐摩耗性、引張強度、モジュラス等において十分でなく、更に、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線に対して接着性においても十分でなく、従って、従来、動的特性が重要である伝動ベルトに用いることは困難であるとされている。 【0005】そこで、本発明者らは、圧縮ゴム層と接着ゴム層とが共にエチレン−α−オレフィン−ジエンゴムからなり、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線(以下、単に、心線という。)が接着ゴム層内に接着、埋設されてなる動的特性にすぐれる伝動ベルトを得るために鋭意研究した結果、クロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンからなるオーバーコート剤にて上記心線を接着処理することによって、上記心線と接着ゴム層との間にすぐれた動的接着力を有せしめることができ、かくして、圧縮ゴム層と接着ゴム層とが共にエチレン−α−オレフィン−ジエンゴムからなり、上記心線が接着ゴム層内に接着されて埋設されてなる動的特性にすぐれる伝動ベルトを得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムからなる伝動ベルトにおける上述したような問題を解決するためになされたものであって、圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着されて埋設されてなる動的接着性にすぐれる伝動ベルトとその製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着されて埋設されている伝動ベルトにおいて、上記接着ゴム層と圧縮ゴム層がエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物の加硫物からなり、上記心線がクロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンとそのための架橋剤とを含むオーバーコート剤にて接着処理されて、上記接着ゴム層内に接着されて埋設されてなる伝動ベルトが提供される。 【0008】更に、本発明によれば、圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着されて埋設されている伝動ベルトの製造方法において、クロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンとそのための架橋剤とを含むオーバーコート剤に浸漬し、加熱し、乾燥する接着処理を行なった後、これをエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物からなる未加硫接着ゴム配合物シート内に埋設し、これにエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物からなる未加硫圧縮ゴム配合物シートを積層し、これらを加圧加熱し、加硫することからなる接着ゴム層と圧縮ゴム層が共にエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物の加硫物からなり、上記心線が上記接着ゴム層内に接着されて埋設されてなる伝動ベルトの製造方法が提供される。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明において、伝動ベルトは、Vリブドベルト及びVベルトを含むものとする。 【0010】図1は、Vリブドベルトの一例の横断面図を示し、ベルト表面層は、単層又は複数層のゴムコート帆布1にて形成されており、これに隣接して、例えば、低伸度の心線2が埋設された接着ゴム層3が積層され、更に、これに隣接して、リブ4を備えた圧縮ゴム層5が積層されている。多くの場合、圧縮ゴム層5には、その耐側圧性を高めるために、ベルトの幅方向に短繊維6が配向して分散されている。 【0011】図2は、Vベルトの一例の横断面図を示し、ベルト表面層は、上記と同様に、単層又は複数層のゴムコート帆布1にて形成されており、必要に応じて、上ゴム層7が積層され、これに隣接して、上記と同様の心線2が埋設された接着ゴム層3が積層され、更に、これに隣接して、圧縮ゴム層5が積層されている。多くの場合、圧縮ゴム層5には、その耐側圧性を高めるために、ベルトの幅方向に短繊維6が配向して分散されている。圧縮ゴム層は、通常、単層又は複数層のゴムコート帆布1にて被覆されている。 【0012】本発明による伝動ベルトは、上述したように、圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層に、心線が接着埋設されており、必要に応じて、その全周又は表裏面に帆布が接着されており、上記圧縮ゴム層と接着ゴム層が共にエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物の加硫物からなる。 【0013】本発明において、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムとしては、エチレンを除くα−オレフィンとエチレンとジエン(非共役ジエン)の共重合体からなるゴム、それらの一部ハロゲン置換物、又はこれらの2種以上の混合物が用いられ、上記エチレンを除くα−オレフィンとしては、好ましくは、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンから選ばれる少なくとも1種が用いられる。なかでも、好ましいエチレン−α−オレフィン−ジエンゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、これらの一部ハロゲン置換物、特に、一部塩素置換物、又はそれらの2種以上の混合物が好ましく用いられる。 【0014】特に、本発明においては、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムとして、例えば、エチレン50〜80重量%、プロピレン50〜20重量%、非共役ジエンがエラストマーのヨウ素価として50以下、好ましくは、4〜40、ムーニー粘度ML1+4 (100℃)が20〜120程度のものが好ましく用いられる。上記ジエン成分としては、特に、限定されるものではないが、通常、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデンノルボルネン等の非共役ジエンが適宜に用いられる。 【0015】また、本発明においては、心線として、前述したように、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が用いられるが、前者では、特に、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリエチレンナフタレート繊維からなる心線が好ましく用いられ、後者では、特に、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維からなる心線が好ましく用いられる。 【0016】本発明による伝動ベルトにおいては、上記心線がクロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンとそのための架橋剤とを含むオーバーコート剤にて接着処理されて、上記接着ゴム層内に接着、埋設されている。 【0017】クロロスルホン化ポリエチレンは、ポリエチレンに塩素と二酸化硫黄とを反応させて得られるゴムであって、加硫点として、クロロスルホニル基を有する。通常、塩素含有量が15〜45重量%、好ましくは、25〜35重量%の範囲にあり、硫黄含有量が0.5〜2.5重量%の範囲にある。また、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンは、上記クロロスルホン化ポリエチレンにおいて、極性基である塩素の導入量を低減し、代わりにアルキル基を導入して、分子の結晶性を乱して、低温特性(耐寒性)とゴム弾性のバランスを図ったものであって、塩素量は、通常、25〜30重量%の範囲にあり、硫黄量は1重量%以下、好ましくは、0.6〜0.8重量%の範囲である。 【0018】本発明において用いるオーバーコート剤は、クロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンを適宜の有機溶剤、例えば、トルエンに溶解させると共に、そのための架橋剤(即ち、加硫剤)を分散させることによって調製することができる。しかし、本発明によれば、オーバーコート剤は、必要に応じて、その他の適宜の添加剤、例えば、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、着色剤等を含んでいてもよい。 【0019】本発明によれば、オーバーコート剤におけるクロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンの含有量は、通常、5〜20重量%の範囲である。架橋剤としては、例えば、酸化鉛や酸化マグネシウムが好ましく用いられる。これら架橋剤は、限定されるものではないが、通常、クロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン100重量部に対して、5〜30重量部の範囲で用いられる。また、充填剤としては、シリカやアルミナの適量が好ましく用いられる。 【0020】また、上記種々の添加剤のうち、加硫促進剤としては、例えば、TRA(大内新興化学(株)製ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)、DM(大内新興化学(株)製ジベンゾチアジルスルフィド)、ペンタエリスリトール等が好ましく用いられる。 【0021】更に、本発明においては、オーバーコート剤は、イソシアネート化合物又はエポキシ化合物を含むことが好ましい。 【0022】上記イソシアネート化合物としては、特に、限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が好ましく用いられる。また、このようなイソシアネート化合物にトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のように分子内に活性水素を2つ以上有する化合物を反応させて得られる多価アルコール付加ポリイソシアネートや、上記イソシアネート化合物にフェノール類、第3級アルコール類、第2級アミン類等のブロック化剤を反応させて、イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロックしたブロック化ポリイソシアネートも、イソシアネート化合物として好適に用いることができる。 【0023】他方、エポキシ化合物も、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物であれば、特に、限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールや、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールと、エピクロロヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物や、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルエタン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類やフェノール樹脂とエピクロロヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物が好ましく用いられる。 【0024】このようなイソシアネート化合物やエポキシ化合物は、オーバーコート剤において、通常、1〜15重量%の範囲、好ましくは、2〜10重量%の範囲で含まれる。 【0025】本発明によれば、このように、クロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンとそのための架橋剤とを含むオーバーコート剤にて心線を接着処理し、これを接着ゴム層を形成するエチレン−α−オレフィンジエンゴム配合物からなる未加硫ゴムシート間に挟み、これを圧縮ゴム層を形成するエチレン−α−オレフィンジエンゴム配合物からなる未加硫ゴムシートと積層し、加熱加圧し、一体に加硫して、伝動ベルトを得る。 【0026】本発明において、心線をこのようなオーバーコート剤にて接着処理するには、心線がポリエステル繊維からなる場合には、この心線をオーバーコート剤に浸漬した後、50〜100℃の範囲の温度に20〜90秒程度、好ましくは、30〜60秒程度、加熱し、乾燥して、オーバーコート剤を心線に定着させる。他方、心線が芳香族ポリアミド繊維からなる場合には、この心線をオーバーコート剤に浸漬した後、50〜170℃の範囲の温度に20〜90秒程度、好ましくは、30〜60秒程度、加熱し、乾燥して、オーバーコート剤を心線に定着させる。このように、心線をオーバーコート剤にて接着処理するに際して、必要に応じて、複数回にわたって、接着処理してもよい。 【0027】本発明によれば、このように、クロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンを有効成分として含むオーバーコート剤にて心線を処理し、これをエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物からなる未加硫のゴムシート間に挟み、加硫して、接着ゴム層内に接着し、埋設することによって、心線と接着ゴム層との間に高い動的接着力を得ることができ、従って、このように、心線がエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物からなる接着ゴム層内に一体に接着されている伝動ベルトは、高い動的ベルト寿命を有する。 【0028】本発明によれば、心線をオーバーコート剤にて接着処理する前に、イソシアネート化合物又はエポキシ化合物にて前処理してもよい。即ち、イソシアネート化合物又はエポキシ化合物を含む溶液に心線を浸漬した後、加熱、乾燥することによって、心線に前処理を行なってもよい。 【0029】このように、心線の前処理に用いる上記イソシアネート化合物又はエポキシ化合物は、前記オーバーコート剤に配合するものと同じでよく、例えば、前述したもののなかから、適宜に選ばれる。但し、前記例示したものに限定されるものではない。 【0030】このようなイソシアネート化合物やエポキシ化合物の溶液を形成するための溶媒も、特に、限定されるものではなく、用いるイソシアネート化合物やエポキシ化合物に応じて、水や適宜の有機溶媒が用いられる。通常、イソシアネート化合物は化学的に非常に活性であるので、非水系溶液とされるが、しかし、例えば、前述したように、フェノール類等にてイソシアネート基をブロックしたものは、水溶液としても用いることができる。有機溶媒としては、通常、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン、酢酸エチル、酢酸アミル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル等が好適に用いられる。このような溶液におけるイソシアネート化合物やエポキシ化合物の濃度は、通常、5〜50重量%の範囲である。 【0031】このように、心線をイソシアネート化合物又はエポキシ化合物にて前処理した後に、心線をオーバーコート剤にて処理することによって、イソシアネート化合物又はエポキシ化合物が心線とオーバーコート剤とを強固に接着させ、このオーバーコート剤がイソシアネート化合物又はエポキシ化合物と心線とを強固に接着させるので、心線をオーバーコート剤による処理のみの場合に比べて、心線と接着ゴム層との間に一層高い接着力を与えることができる。 【0032】本発明において、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物は、硫黄加硫し得るように、加硫剤として、硫黄を有し、更に、必要に応じて、加硫促進剤、加硫助剤、カーボンブラック、シリカ、ガラス繊維、セラミックス繊維等の増強剤、炭酸カルシウム、タルク等の充填剤、軟化剤、老化防止剤、粘着付与剤等、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムに通常、配合される種々の薬剤を含有していてもよい。 【0033】圧縮ゴム層や接着ゴム層を形成するためのエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物は、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムを、必要に応じて、上述したような薬剤と共に、ロール、バンバリー等、通常の混合手段を用いて均一に混合することによって得ることができる。 【0034】本発明による伝動ベルトは、従来より知られている通常の方法によって製造することができる。例えば、Vリブドベルトに例をとれば、表面が平滑な円筒状の成形ドラムの周面に1枚又は複数枚のゴムコート帆布と接着ゴム層のための未加硫シートを巻き付けた後、この上にポリエステル心線を螺旋状にスピニングし、更に、その上に接着ゴム層のための未加硫シートを巻き付けた後、圧縮ゴム層のための未加硫シートを巻き付けて積層体とし、これを加硫缶中にて加熱加圧し、加硫して、環状物を得る。次に、この環状物を駆動ロールと従動ロールとの間に掛け渡して、所定の張力の下で走行させながら、これに研削ホイールにて表面に複数のリブを形成する。この後、この環状物を更に別の駆動ロールと従動ロールとの間に掛け渡して走行させながら、所定の幅に裁断すれば、製品としてのVリブドベルトを得ることができる。 【0035】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。 【0036】以下においては、接着ゴム配合物としては、次の組成を有するものを用いた。 【0037】 エチレン−プロピレン−ジエンゴム1) 100重量部 HAFカーボン(三菱化学(株)製) 50重量部 シリカ((株)トクヤマ製トクシールGu) 20重量部 パラフィンオイル(日本サン化学(株)製サンフレックス2280) 20重量部 加硫剤(細井化学(株)製オイル硫黄) 3重量部 加硫促進剤(大内新興化学(株)製DM2)) 1.4重量部 加硫促進剤(大内新興化学(株)製EZ3)) 0.6重量部 加硫促進剤(大内新興化学(株)製TT4)) 0.6重量部 加硫助剤(花王(株)製ステアリン酸) 1重量部 加硫助剤(堺化学工業(株)製酸化亜鉛) 5重量部 老化防止剤(大内新興化学(株)製2245)) 2重量部 老化防止剤(大内新興化学(株)製MB6)) 1重量部 粘着付与剤(日本ゼオン(株)製石油樹脂クイントンA−100)5重量部 短繊維(綿粉) 2重量部【0038】また、圧縮ゴム配合物としては、次の組成を有するものを用いた。 【0039】 エチレン−プロピレン−ジエンゴム1) 100重量部 HAFカーボン(三菱化学(株)製) 70重量部 パラフィンオイル(日本サン化学(株)製サンフレックス2280) 20重量部 加硫剤(細井化学(株)製オイル硫黄) 1.6重量部 加硫促進剤(大内新興化学(株)製EM−27)) 2.8重量部 加硫促進剤(大内新興化学(株)MSA8)) 1.2重量部 加硫助剤(花王(株)製ステアリン酸) 1重量部 加硫助剤(堺化学工業(株)製酸化亜鉛) 5重量部 老化防止剤(大内新興化学(株)製2245)) 2重量部 老化防止剤(大内新興化学(株)製MB6)) 1重量部 短繊維(66ナイロン繊維、6de×1mm) 22重量部【0040】(注)1)エチレン含量56重量%、プロピレン含量36.1重量%、エチリデンノルボルネン(ENB)5.5重量%、ジシクロペンタジエン(DCPD)2.4重量%、ムーニー粘度ML1+4 (100℃)602)ジベンゾチアジスルフィド3)ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛4)テトラメチルチウラムジスルフィド5)TMDQ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン) 6)2−メルカプトベンツイミダゾール7)加硫促進剤の混合物8)N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド【0041】また、オーバーコート剤として、次の成分からなるものを調製して用いた。 【0042】 クロロスルホン化ポリエチレン 10.8重量部 ポリメリックMDI 2.7重量部 酸化鉛 1.0重量部 シリカ 0.5重量部 トルエン 85.0重量部【0043】実施例1(ポリエステル心線と接着ゴム層との接着物の調製と接着力の測定)下撚り及び上撚りを施したポリエチレンテレフタレート繊維からなる心線(東レ(株)製ポリエステルケーブルコード)をイソシアネートのトルエン溶液(イソシアネート固形分20重量%)に浸漬した後、245℃で40秒間加熱乾燥して 前処理を施した。次に、上記ポリエステル心線をオーバーコート剤に浸漬し、60℃で40秒間加熱乾燥させて、接着処理を施した。 【0044】このように処理したポリエステル心線を前記接着ゴムのためのエチレン−プロピレン−ジエンゴム配合物未加硫シートの間に挟み、これらを加圧加熱し、加硫して、得られた接着物におけるポリエステル心線の接着力を測定すると共に、この接着力を測定した際の接着物における破壊の態様を観察した。結果を表1に示す。 【0045】(伝動ベルトの製造とその動的寿命の評価)前述したように、表面が平滑な円筒状の成形ドラムの周面にゴムコート帆布と接着ゴム層のための前記ゴム配合物未加硫シートを巻き付けた後、この上にポリエステル心線を螺旋状にスピニングし、更に、その上に前記接着ゴム層のためのゴム配合物未加硫シートを巻き付けた後、圧縮ゴム層のための上記ゴム配合物未加硫シートを巻き付けて積層体とし、これを加硫缶中にて加熱加圧し、加硫して、環状物を得、次いで、この環状物を駆動ロールと従動ロールとの間に掛け渡して、所定の張力の下で走行させながら、これに研削ホイールにて表面に複数のリブを形成し、この後、この環状物を更に別の駆動ロールと従動ロールとの間に掛け渡して走行させながら、所定の幅に裁断して、リブ数3、周長さ1000mmの製品としてのVリブドベルトを得た。 【0046】このようにして得られたVリブドベルトを図3に示すように駆動プーリ11(直径120mm)と従動プーリ12(直径120mm)とこれらのプーリの間に配置したアイドラープーリ13(直径70mm)とテンションプーリ14(直径55mm)とにわたって掛けた。但し、アイドラープーリにはベルト背面を係合させた。温度110℃の雰囲気温度の下で、従動プーリの負荷を16馬力とし、テンションプーリの初張力を85kgfとし、駆動プーリを回転数4900rpmで駆動して、ベルトを走行させ、ベルトから心線が露出するか、又はゴム層に割れを生じるまでの走行時間をベルトの動的寿命とした。結果を表1に示す。 【0047】比較例1レゾルシン7.31重量部とホルマリン(37重量%濃度)10.77重量部とを混合、攪拌し、これに水酸化ナトリウム0.33重量部を加えて、攪拌し、この後、水160.91重量部を加え、5時間熟成して、固形分濃度6.40重量%のレゾルシン・ホルマリン樹脂(レゾルシン−ホルマリン初期縮合物)(これをRFという。)水溶液を調製した。表2に示すように、このRF水溶液にスチレン−ブタジエン−ビニルピリジン共重合体(VP)ラテックスを加え、12時間熟成して、表2に示す組成のレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)接着剤組成物1を調製した。 【0048】(ポリエステル心線と接着ゴム層との接着物の調製と接着力の測定)実施例1と同じポリエステル心線を実施例1と同様にしてイソシアネート処理した後、RFL接着剤組成物1に浸漬し、245℃で80秒間加熱乾燥させて、接着処理を施した。 【0049】(伝動ベルトの製造とその動的寿命の評価)次に、このように処理したポリエステル心線を前記接着ゴムのためのエチレン−プロピレン−ジエンゴムの未加硫シート中に埋め込み、実施例1と同様に加硫し、このようにして、得られた接着物における心線の接着力を測定した。更に、実施例1と同様にして、Vリブドベルトを製造し、その動的寿命を調べた。結果を表1に示す。 【0050】比較例2比較例1と同じRF水溶液に、表2に示すように、このRF水溶液にクロロプレン(CR)ラテックスを加え、12時間熟成して、表2に示す組成のレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)接着剤組成物2を調製した。 【0051】(ポリエステル心線と接着ゴム層との接着物の調製と接着力の測定)実施例1と同じポリエステル心線を実施例1と同様にしてイソシアネート処理した後、RFL接着剤組成物2に浸漬し、245℃で80秒間加熱乾燥させて、接着処理を施した。 【0052】(伝動ベルトの製造とその動的寿命の評価)次に、このように処理したポリエステル心線を前記接着ゴムのためのエチレン−プロピレン−ジエンゴムの未加硫シート中に埋め込み、実施例1と同様に加硫し、このようにして、得られた接着物における心線の接着力を測定した。更に、実施例1と同様にして、Vリブドベルトを製造し、その動的寿命を調べた。結果を表1に示す。 【0053】実施例2(芳香族ポリアミド心線と接着ゴム層との接着物の調製と接着力の測定)下撚り及び上撚りを施した芳香族ポリアミド繊維(帝人(株)製テクノーラ)心線をイソシアネートのトルエン溶液(イソシアネート固形分20重量%)に浸漬した後、245℃で40秒間加熱乾燥して 前処理を施した。次に、上記芳香族ポリアミド心線をオーバーコート剤に浸漬し、60℃で40秒間加熱乾燥させて、接着処理を施した。 【0054】このように処理した芳香族ポリアミド心線を前記接着ゴムのためのエチレン−プロピレン−ジエンゴム配合物未加硫シートの間に挟み、これらを加圧加熱し、加硫して、得られた接着物における芳香族ポリアミド心線の接着力を測定すると共に、この接着力を測定した際の接着物における破壊の態様を観察した。結果を表1に示す。 【0055】(伝動ベルトの製造とその動的寿命の評価)実施例1において、ポリエチレン心線に代えて、上記ポリアミド心線を用いた以外は、実施例1と同様にして、リブ数3、周長さ1000mmの製品としてのVリブドベルトを得た。 【0056】このVリブドベルトを実施例1におけると同様に走行させて、ベルトから心線が露出するか、又はゴム層に割れを生じるまでの走行時間をベルトの動的寿命とした。結果を表1に示す。 【0057】 【表1】
【0058】 【表2】
【0059】 【発明の効果】以上のように、本発明による伝動ベルトは、いずれもエチレン−α−オレフィン−ジエンゴム配合物からなる圧縮ゴム層と接着ゴム層とが加硫接着されていると共に、上記接着ゴム層内にポリエステル繊維又はポリアミド繊維からなる心線が接着、埋設されており、ここに、上記心線は、クロロスルホン化ポリエチレン又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンを有効成分とするオーバーコート剤にて接着処理して、上記接着ゴム層内に接着、埋設されている。このような本発明による伝動ベルトによれば、心線と接着ゴム層との間に強固な動的接着が実現されて、動的寿命が著しく改善される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005061 【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月8日(1999.10.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079120 【弁理士】 【氏名又は名称】牧野 逸郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−108021(P2001−108021A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−288369 |
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