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【発明の名称】 高負荷伝動ベルト
【発明者】 【氏名】辻 勝爾

【氏名】高木 晋一

【氏名】長谷川 新

【要約】 【課題】ブロックの樹脂の部分における弾性率を上げて、耐衝撃性を向上させるとともに騒音も低減し、且つ耐摩耗性に優れた寿命の長い高負荷伝動ベルトを提供する。

【解決手段】センターベルト2に複数のブロック5を装着した高負荷伝動ベルト1において、ブロック5は金属製の補強材13の少なくとも側面に樹脂部14を被覆してなり、樹脂部14はフェノール樹脂100重量部中に炭素繊維が20〜100重量部とチタン酸カリウム繊維が5〜60重量部配合されている
【特許請求の範囲】
【請求項1】 センターベルトと、該センターベルトにベルト長手方向に所定ピッチで設けた複数のブロックとからなり、センターベルトをブロックに設けた溝に嵌合挿入することによってブロックをセンターベルトに固定する高負荷伝動ベルトにおいて、該ブロックは金属製の補強材の少なくともプーリに接触する側面に樹脂部を被覆した構成からなり、前記樹脂部はフェノール樹脂100重量部中に炭素繊維が20〜100重量部とチタン酸カリウム繊維が5〜60重量部配合されていることを特徴とする高負荷伝動ベルト。
【請求項2】 チタン酸カリウム繊維の長さが5〜30μm、繊維径が0.2〜0.8μmである請求項1記載の高負荷伝動ベルト。
【請求項3】 ブロックを構成する樹脂にはフェノール樹脂100重量部に対してポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維が5〜40重量部配合されている請求項1または2記載の高負荷伝動ベルト。
【請求項4】 ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維の長さが0.1〜6mmである請求項1乃至3に記載の高負荷伝動ベルト。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エラストマー製のセンターベルトと耐側圧性を補強するブロックからなり、自動車や農機具などの無段変速や特に大きなトルクを伝える用途に用いる高負荷伝動ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、二輪車やバギー車あるいはゴルフカートなどの特殊車両において駆動用に変速ゴムベルトが使用されている。しかし近年、用途が高馬力化する傾向にあり、耐久性への要求品質もより高いものとなってきた。
【0003】しかし、ゴム製Vベルトでは高負荷用のものであっても最大面圧が10kg/cm2程度であり、それ以上のトルクのかかる用途であるとゴム製Vベルトが高い側圧に耐えることができず座屈変形して、動力を十分に伝えることができなくなる、もしくは故障となってしまう。
【0004】よって従来のゴムベルトではこのような高馬力化に耐えることができず、耐久性などの要求品質を満たすことが困難になってきている。
【0005】従来のゴムベルトよりも耐久性を向上させたものとして無段変速装置などの高負荷伝動を要求される用途のベルトとしては、特開昭55−100443号公報に開示されているような金属ベルトが提案されている。
【0006】このような金属ベルトは耐側圧性に優れており、かなりの高い側圧に耐えることができ、座屈変形の心配はないが、一般的に変速プーリは鉄やアルミニウム合金などの金属材料で構成されている。それで金属ベルトはプーリとの当接面の焼き付きや摩耗を防止するために、絶えずオイルを供給しながらベルトを走行させる必要がある。そうなるとオイルを供給するための装置を設けなければならないので、ベルトの伝動装置としては大型のものにならざるを得ない。
【0007】そこで、オイルによる潤滑の不要な乾式のベルトであるとともに高負荷にも絶えることのできるベルトとして心線を埋設したゴムベルトに硬質の樹脂などからなるブロックを固定してベルト幅方向の強度を高め、耐久性を向上させたベルトも多数提案されている。
【0008】そのようなブロックを用いた例として、特公昭62−7418号公報や特開平6−288440号公報に開示されるようなブロックの両側面にそれぞれスロット部を設け、そのスロット部にゴム製の張力帯を挿入したベルトや、特開昭63−154833号公報に開示されているようなセンターベルトの上下にそれぞれ樹脂素材からなる上ブロックと下ブロックを配置してボルトやリベットなどの締着材で固定するというものが提案されている。
【0009】このようなベルトは、金属部品同士の接触がないためにベルトにオイルを常に供給しつづけるといった潤滑を必要とせず、駆動装置としては軽量化や小型化が可能で、メンテナンスの面でも手間がかからないというメリットを有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような金属製のベルトやエラストマー製のセンターベルトにブロックを固定したようなベルトは高負荷を伝動する際のプーリからの大きな側圧に耐えることができるものであるが、ゴムベルトに比較するとベルトの重量が重くなってしまう。
【0011】そのために発熱も大きく、耐摩耗性、耐圧縮性、耐疲労性とともに耐熱性などの諸物性として高い水準の要求品質を満足する必要がある。
【0012】これらのベルトの構造としては、大きな荷重がかかるため、ブロックの局所に発生する応力を小さくするためには、寸法精度の向上が必要となってくる。また、強度的にも樹脂のみからなるブロックでは不充分であり、金属からなる補強材をインサート材として表面に樹脂を被覆したブロックとする必要があり、ブロックに用いる樹脂としては金属との接着性のよさも重要となってくる。
【0013】そのような点で、特公平7−110900号公報に開示されているようなブロックにフェノール樹脂を用いたものは、ブロック中に金属性の補強材を用いる場合に、補強材と樹脂との間の充分な接着性が得られないこと、また、寸法精度の面で更に改善の余地を残ししていた。
【0014】耐熱性に優れるということおよび、金属との接着性の良さ、また寸法制度にも優れているということからエポキシ樹脂が候補に挙がる。しかし、一般的にフェノール樹脂やエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂の欠点は脆さと耐摩耗性にあり、上記のような大きな圧力、そしてプーリとの滑りが発生している状態で108サイクル以上の耐疲労性を満足することは困難である。
【0015】ブロックは金属製の補強材とその周囲を被覆する樹脂素材からなっており、樹脂部分の強度と耐摩耗性を上げるためにいろいろな繊維が配合されている。たとえばガラス繊維、金属繊維などの無機繊維、ポリアミド繊維、セルロース、綿、アラミド繊維、炭素繊維などの繊維が具体的に挙げられる。
【0016】しかし、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維は相手材を傷つけてしまうという問題があり、本発明に係るベルトのようなプーリとの摩擦が常に発生する状態での使用は、プーリを傷つけて摩耗させ動力の伝達性が悪くなる原因にもなるので不適である。ポリアミド繊維の場合は吸湿によって物性が低下するという問題があり、セルロースは湿熱によって劣化してしまう。また、綿は耐熱性に問題がある。よって自動車や農業機械などの使用環境を考えると長期間に渡って使用しつづけるには不安がある。炭素繊維はそれ単独では耐衝撃性に劣るといった問題がある。
【0017】そこで、例えば特開平8−74935のようにフェノール樹脂に炭素繊維とアラミド繊維を配合して、硬度を上げるとともに耐衝撃性もある程度もたせることができるという樹脂を用いることが提案されている。
【0018】しかし、このような樹脂であっても高温で高負荷用途で用い高衝撃を受けた場合には樹脂の摩耗が増大してしまうといった問題が発生する。
【0019】そこで本発明は、フェノール樹脂に適当な比率で繊維を配合混入することによって、耐熱性、寸法安定性、耐摩耗性、耐衝撃性に優れるとともに、ブロックの圧縮強度や耐疲労性を向上させ且つ成形性にも優れた高負荷伝動ベルトの提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような目的を達成するために、請求項1ではセンターベルトと、該センターベルトにベルト長手方向に所定ピッチで設けた複数のブロックとからなり、センターベルトをブロックに設けた溝に嵌合挿入することによってブロックをセンターベルトに固定する高負荷伝動ベルトにおいて、該ブロックは金属製の補強材の少なくともプーリに接触する側面に樹脂部を被覆した構成からなり、前記樹脂部はフェノール樹脂100重量部中に炭素繊維が20〜100重量部とチタン酸カリウム繊維が5〜60重量部配合されていることを特徴とする。
【0021】チタン酸カリウム繊維は高強度、高弾性を有する繊維であり、寸法精度を改善するとともに耐摩耗性を付与することができる。このように、炭素繊維に加えてチタン酸カリウム繊維を配合することによってブロックの摩耗を防止することができる。
【0022】請求項2では、チタン酸カリウム繊維の繊維長が5〜30μm、繊維径が0.2〜0.8μmである高負荷伝動ベルトとしている。
【0023】フェノール樹脂中に配合するチタン酸カリウム繊維の長さおよび繊維の径を所定ものとすることによって、樹脂の成形性を損なうことなく高い補強効果を得るという面で有利である。
【0024】請求項3では、ブロックを構成する樹脂にはフェノール樹脂100重量部に対してポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維が5〜40重量部配合されている高負荷伝動ベルトとしている。
【0025】チタン酸カリウム繊維に加えてポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を配合することによって、より樹脂部分の耐熱性、耐衝撃性、耐摩耗性が改善される。
【0026】請求項4ではポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維の繊維長が0.1〜6mmである高負荷伝動ベルトとしている。
【0027】樹脂中に配合するポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維の長さを所定長さのものに限定して用いることによって、ブロックの耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性などをより効果的に向上させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる高負荷伝動ベルトは形状としては特に限られるものではなく、例えば次のような形状が挙げられる。
【0029】図1は本発明高負荷伝動ベルトの要部斜視図、図2はブロックの正面図である。
【0030】図1に示すのは本発明の高負荷伝動ベルト1の一例であって形状は特に限定されるものではない。図1に示すようにエラストマー2内に心線3をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト4、4´とセンターベルト4、4´の長手方向に複数嵌合配置するブロック5からなる。ブロック5の両側面5a、5bは、プーリのV溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取ってブロック5に係止固定したセンターベルトを介して従動側のプーリに動力を伝えるものである。
【0031】ブロック5は、図2に示すようにビーム部6の両端から上方に向かって一対のサイドピラー7、8が延びており、ビーム部6およびサイドピラー7、8で三方を囲まれた嵌合溝9を形成している。嵌合溝9は上方に開口部10が開いており、一対のサイドピラー7、8の上端から嵌合溝9の内面側に向かって延びるロック部11、12が対向するように設けられている。嵌合溝9には、上方に開口した開口部10からセンターベルト4、4´が装着されるが、装着後は前記ロック部11、12によって抜けないようになっている。
【0032】なお、ブロック5は補強材13とその表面を被覆した樹脂部14からなっており、本発明では後で説明するように樹脂部14に特定の繊維を配合したフェノール樹脂を用いている。樹脂部14は補強材13の前面を覆う必要はなく、少なくともプーリと接触する側面5a、5bに被覆していればよい。
【0033】ブロック5のサイドピラー8、9の前面には突起15を設けるとともに図示はしないが後面には該突起15が嵌る凹部を設けており、両者が嵌り合うことによってベルト走行中にブロックが整列するようになっている。
【0034】なお、2本のセンターベルト4、4´を用いて嵌合溝9内に嵌合しやすくした例を説明しているが、別にセンターベルトを1本使用したものでも構わない。
【0035】また、別の例としては、次の図3に示すようなものが挙げられる。図3は本発明の高負荷伝動ベルト21の正面断面図である。
【0036】この場合は、センターベルト22、23に配置するブロック24には両側面にセンターベルト22、23を差し込む嵌合溝が開口しており、2本のセンターベルト22、23を嵌合したものとなっている。
【0037】本発明では、上記のようなベルトに用いるブロック5として、金属製の補強材13の表面に樹脂部14を被覆したものを用いており、被覆する樹脂としては、フェノール樹脂100重量部に炭素繊維を20〜100重量部とチタン酸カリウム繊維を5〜60重量部配合した繊維補強樹脂を用いている。
【0038】このような特定の繊維でフェノール樹脂を補強することによって、本発明における技術分野の高負荷伝動ベルトの用途で用いる場合に特に問題となりやすい耐熱性、寸法安定性、耐摩耗性、耐衝撃性の不足などの問題が解消されるとともに成形性の面でも非常に好適なブロックを得ることができる。
【0039】なお、配合する夫々の繊維の役割であるが、炭素繊維は配合することによって強度を上げることができるものであり、チタン酸カリウム繊維を配合することによって耐熱性、耐摩耗性、寸法安定性をよくすることができるとともに、炭素繊維のみのでは問題となっていた耐衝撃性をよくし、騒音の発生などの問題を解消するという面で物性を改善できる。
【0040】チタン酸カリウム繊維は、一般式がK2O・nTiO2で表される例えば大塚化学社製の商品名ティスモを挙げることができ、μmオーダーの繊維径と繊維長を有する微細な繊維であり、高強度、高弾性、高アスペクト比といった特長を有しているために、薄肉などに成形する場合の成形性を損なうことなく、フェノール樹脂を補強することができるとともに炭素繊維を配合した樹脂の弱点である寸法精度の悪さを改善し、さらに耐摩耗性を付与することができる。
【0041】それぞれの繊維の配合量はフェノール樹脂100重量部に対して炭素繊維が20〜100重量部の範囲となっている。炭素繊維の量が20重量部未満であると、強度が十分に補強できず100重量部を超えるとプーリとの接触や前後のブロック同士の接触により発生する騒音が大きくなってしまうことと耐衝撃性の面で不利になるので好ましくない。
【0042】チタン酸カリウム繊維の配合量はフェノール樹脂100重量部に対して5〜60重量部となっているが、その配合量が10重量部未満であると、耐摩耗性、耐衝撃性が改善されず、騒音を下げるという面でも十分でない。そして60重量部を超えて配合すると樹脂の成形が困難になるので好ましくない。
【0043】樹脂中にはこれらの繊維以外にも必要に応じて、フィラー、ウィスカー、シリカ、炭酸カルシウムなどの無機材料等を混入してもかまわない。特にポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維を配合することによって、前記のような耐摩耗性、耐衝撃性を改善し、騒音を下げるという面で好ましいといえる。
【0044】ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維は、高強度、高弾性率、耐熱性、耐衝撃性に優れた繊維であり、やはり配合することによってこれらの特性を樹脂に付与することができる。配合量としてはフェノール樹脂100重量部に対して5〜40重量部であることが好ましく、5重量部未満であると.前記のような特性を十分に発揮することができず、40重量部を超えると内部発熱して硬化してしまい、ペレット化が困難となるので好ましくない。
【0045】また用いるポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維の繊維長は0.1〜6mmのものを用いることが好ましく。0.1mm未満であると.やはり前記のようなPBO繊維の特性を付与する硬化が少なくなり、6mmを超えるようなものであると配合量が多すぎる場合と同様に材料としてペレット化するのが困難になるので好ましくない。
【0046】また、本発明の高負荷伝動ベルト1に用いるセンターベルト4を構成するエラストマー2として使用されるものは、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、ハイパロン(クロロスルフォン化ポリエチレン)、HNBR(水素化ニトリルゴム)、不飽和カルボン酸金属塩を含有したHNBR等のゴムの単一材、またはこれらのブレンド物からなるゴム配合物やポリウレタン樹脂等でが挙げられる。
【0047】エラストマー2内に埋設する心線3としては、ポリアミド、ポリエステル、アラミド等の合成繊維、あるいはスチールコード、ガラス繊維コード、カーボン繊維コード等の無機繊維の単体からなるコードやこれらの混紡からなる撚りコードもしくは織布が用いられる。
【0048】
【実施例】次に、本発明の高負荷伝動ベルトを次のような構成で作成し、ベルトの耐久試験、騒音試験を行い、ブロック側面の摩耗量を測定した。
【0049】ベルトは図1に示すようなブロックを用いたベルトであり、アルミニウム合金の補強材を用いてインサート成形した。樹脂部に用いる樹脂の構成を変えて実施例1、2と比較例1〜5のベルトとした。
【0050】(実施例1)実施例1に用いた樹脂は、フェノール樹脂100重量部に対して炭素繊維30重量部、繊維長が10〜20μmの範囲にあるもので繊維径が0.3〜0.6μmの範囲にあるチタン酸カリウム繊維(大塚化学社製ティスモ−D)30重量部、そしてグラファイトを12重量部配合した。心線としてアラミド繊維からなるロープをスパイラル状に埋設したメタクリル酸亜鉛を添加した水素化ニトリルゴムからなるセンターベルトに、上記の繊維を配合した樹脂を表面に被覆したブロックを装着したベルトを用いた。
【0051】(実施例2)実施例2ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量を60重量部にした以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0052】(実施例3)実施例3ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量を90重量部にした以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0053】(実施例4)実施例4ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量が60重量部でチタン酸カリウム繊維の配合量を10重量部にした以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0054】(実施例5)実施例5ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量が60重量部でチタン酸カリウム繊維の配合量を50重量部にした以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0055】(実施例6)実施例6ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量が60重量部でチタン酸カリウム繊維の配合量を30重量部にし、更に繊維長が3.0mのポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維(東洋紡績社製ザイロンHM)を配合した以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0056】(比較例1)比較例1ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量が15重量部でチタン酸カリウム繊維の配合量を30重量部にした以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0057】(比較例2)比較例2ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量が110重量部でチタン酸カリウム繊維の配合量を30重量部にした以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0058】(比較例3)比較例3ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量が60重量部でチタン酸カリウム繊維の配合量を4重量部にした以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0059】(比較例4)比較例4ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量が60重量部でチタン酸カリウム繊維の配合量を70重量部にした以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0060】(比較例5)比較例5ではブロックに用いた樹脂の配合をフェノール樹脂100重量部に対する炭素繊維の配合量が60重量部でチタン酸カリウム繊維の代りにアラミド繊維30重量部配合した以外は実施例1と同様のベルトを作成して用いた。
【0061】上記のベルトの耐久試験としては、駆動プーリ径が60mm、従動プーリ径が120mmとの間にベルトを巻きかけて、駆動プーリ回転数を3600rpm、従動プーリ回転数を1800rpmとし入力トルクが6kgfmで軸荷重を350kgfとし、ベルト走行時の雰囲気温度90℃でベルトを走行させた。
【0062】ベルト騒音試験は、前記のベルト耐久試験と同じプーリレイアウトで、回転数や、軸荷重も同じ条件でベルトを走行させ、所定位置(L1=50mm、L2=100mm)で騒音計により全騒音レベルを測定した。
【0063】ブロック側面の摩耗量はベルト走行50時間後のベルトからブロックを抜き取り投影機を用いて測定した。以上の結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】表1の結果からわかるように、炭素繊維の配合量の少ない比較例1は56時間でブロック樹脂部圧縮破壊のため寿命となっておりブロックの摩耗量も0.28と大きな数値となっており、樹脂部の強度が不足していることがわかる。また、炭素繊維が多くなりすぎた場合は比較例2から133時間でブロック樹脂部衝撃破壊のため寿命となっており、騒音レベルも高くなっており、ブロックが硬く耐衝撃性の面では不足していることがわかる。
【0066】チタン酸カリウム繊維の配合量の少ない比較例3では156時間でブロック樹脂部衝撃破壊のため寿命となっており、騒音と摩耗量も実施例と比べるとかなり大きな値となっている。特に実施例2との比較によりチタン酸カリウム繊維を配合することによって耐摩耗性がよくなるだけでなく、騒音を抑える効果があることがわかる。
【0067】逆にチタン酸カリウム繊維が多すぎると比較例4からわかるように混練ができなくなり、ブロックを成形することができない。
【0068】実施例6では更にPBO繊維を配合しているが、実施例2と比べると騒音、摩耗ともに少なくなっており、チタン酸カリウム繊維にポリパラフェニルベンゾビスオキサゾール繊維を併用することによって、本発明の目的に含まれる耐摩耗性の向上、騒音の低下に寄与していることがわかる。
【0069】チタン酸カリウム繊維の代わりにアラミド繊維を用いた比較例5では、騒音と摩耗量の面でチタン酸カリウム繊維には劣るもののほぼ同等の改善が見られるが、185時間でブロック樹脂部疲労破壊のため寿命となっており、PBO繊維に比べる疲労強度の点で劣っていることがわかる。
【0070】
【発明の効果】以上のように本発明の請求項1では、センターベルトと、該センターベルトにベルト長手方向に所定ピッチで設けた複数のブロックとからなり、センターベルトをブロックに設けた溝に勘合挿入することによってブロックをセンターベルトに固定する高負荷伝動ベルトにおいて、該ブロックは金属製の補強材の少なくともプーリに接触する側面に樹脂部を被覆した構成からなり、前記樹脂部はフェノール樹脂100重量部中に炭素繊維が20〜100重量部とチタン酸カリウム繊維が5〜60重量部配合されていることを特徴とする。
【0071】チタン酸カリウム繊維は高強度、高弾性を有する繊維であり、寸法精度を改善するとともに耐摩耗性を付与することができる。このように、炭素繊維に加えてチタン酸カリウム繊維を配合することによってブロックの摩耗を防止することができ、騒音も減少させることができる。
【0072】請求項2では、チタン酸カリウム繊維の繊維長が5〜30μm、繊維径が0.2〜0.8μmである高負荷伝動ベルトとしている。
【0073】フェノール樹脂中に配合するチタン酸カリウム繊維の長さおよび繊維の径を所定ものとすることによって、樹脂の成形性を損なうことなく高い補強効果を得るという面で有利である。
【0074】請求項3では、ブロックを構成する樹脂にはフェノール樹脂100重量部に対してポリパラフェニルベンゾビスオキサゾール繊維が5〜40重量部配合されている高負荷伝動ベルトとしている。
【0075】チタン酸カリウム繊維に加えてポリパラフェニルベンゾビスオキサゾール繊維を配合することによって、より樹脂部分の耐熱性、耐衝撃性が改善され、耐摩耗性も向上させることができる。
【0076】請求項4ではポリパラフェニルベンゾビスオキサゾール繊維の繊維長が0.1〜6mmである高負荷伝動ベルトとしている。
【0077】樹脂中に配合するポリパラフェニルベンゾビスオキサゾール繊維の長さを所定長さのものに限定して用いることによって、ブロックの耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性などをより効果的に向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
【出願日】 平成11年8月27日(1999.8.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−65643(P2001−65643A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−240773