| 【発明の名称】 |
ダンパ装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田納 雅人
【氏名】渡辺 和英
【氏名】安藤 嘉彦
【氏名】佐藤 一樹
【氏名】村上 力
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| 【要約】 |
【課題】パラメータの調整が容易で、且つ振動エネルギーを効率的に電磁気的なエネルギーに変換して振動を減衰させることができるダンパ装置を提供する。
【解決手段】少なくとも磁石1の一方の極の磁極3から出る磁束を、二つ以上のヨーク2,2入り口に分岐通過させる磁気回路を形成すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイル4を周回し、該振動によって該磁束の分岐に差動的な変化が生じるようにして、該ヨークおよび又は磁極に周回された1個以上のコイルにコンデンサCあるいは直列に接続されたコンデンサと電気抵抗Rを接続して電気共振回路を形成する磁気ダンパ装置において、制振対象自体の共振周波数ωnと電気回路の共振周波数ωeの間にほぼ【数1】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも磁石の一方の極の磁極から出る磁束を、二つ以上のヨーク入り口にそれらの数だけの、該磁極に面する空隙を介して分岐通過させ、該ヨーク出口からの磁束を再び該磁石の他極に戻す磁気回路を形成すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、該二つ以上のヨークはすべて剛に機械的に接続され、振動の発生側に該磁極又は該ヨークの何れかを直結し、他方を固定面に剛に接続し、該振動によって該空隙長が分岐の方向によって差動的に変化することによって該磁束の分岐に差動的な変化が生じるようにして、該ヨークおよび又は磁極に周回された1個以上のコイルにコンデンサあるいは直列に接続されたコンデンサと電気抵抗を接続して電気共振回路を形成する磁気ダンパ装置において、制振対象自体の共振周波数ωnと電気回路の共振周波数ωeの間にほぼ【数1】
の関係があることを特徴とするダンパ装置。 【請求項2】 請求項1に記載のダンパ装置において、該ヨークおよび磁極に周回されたm個のコイルに別々の静電容量を持つコンデンサを単独で、或いはコンデンサと直列に接続した抵抗と共に接続し、それぞれの電気回路の共振周波数を制振対象の別々のモードの固有振動数に対してほぼ【数2】
但し、等価剛性比βは磁気吸引力による不安定剛性と制振対象の元々の支持剛性との比である、が成り立つことを特徴とするダンパ装置。 【請求項3】 請求項1又は2に記載のダンパ装置において、コイルの内部抵抗を含めた電気回路の抵抗値RkとコイルのインダクタンスLkとダンパ装置が設置されていないときの制振対象自体の共振周波数ωnkで決まる減衰比ζk=Rk/(2Lkωnk) がほぼ【数3】
を満たすことを特徴とするダンパ装置。 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のダンパ装置に関して、ヨーク及び又は磁極に、積層した電極鋼板を用いたことを特徴とするダンパ装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は例えば配管等の振動を、電磁力で受動的に吸収して減衰させるためのダンパ装置に係り、特に共振回路を利用した振動吸収機構に関する。 【0002】 【従来の技術】機械の高速化、小型軽量化が進むにつれて、低振動化への要請が高まってきている。このような低振動化への要請に対して、特に外部からエネルギーを供給する必要がない受動型のダンパ装置が最も広く実用化されている。受動型のダンパ装置としては従来からの粘性や摩擦を利用したもの以外に、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気抵抗で熱エネルギーに変換して振動を吸収して減衰させる方法が知られている。 【0003】又、機械的な振動エネルギーの吸収方法として、付加質量をバネ或いはバネ粘性体とで制振対象に接続し、この付加質量系に振動エネルギーを吸収させる動吸振器が知られている。しかしながら、この機械的な振動エネルギーの吸収方法では、付加質量系のパラメータを調整することが困難であり、効率的な振動の抑制が困難であるという問題があった。渦電流ダンパ装置は、振動エネルギーを渦電流という電気エネルギーに変換し、渦電流が流れた場所での抵抗損失によるジュール熱を発生させ、熱エネルギーに変換して振動を吸収して減衰させるものである。渦電流ダンパ装置は、振動によって電気的導体が磁束を切断して導体に起電力が発生し、その起電力により渦電流が生じるものである。しかしながら一般に渦電流ダンパ装置では、磁束の変化分を有効に電磁気的なエネルギーに変換することが難しく、効率が低いものであった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、パラメータの調整が容易で、且つ振動エネルギーを効率的に電磁気的なエネルギーに変換して振動を減衰させることができるダンパ装置を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明のダンパ装置は、少なくとも磁石の一方の極の磁極から出る磁束を、二つ以上のヨーク入り口にそれらの数だけの、該磁極に面する空隙を介して分岐通過させ、該ヨーク出口からの磁束を再び該磁石の他極に戻す磁気回路を形成すると共に、該磁気回路の磁束に鎖交するコイルを周回し、該二つ以上のヨークはすべて剛に機械的に接続され、振動の発生側に該磁極又は該ヨークの何れかを直結し、他方を固定面に剛に接続し、該振動によって該空隙長が分岐の方向によって差動的に変化することによって該磁束の分岐に差動的な変化が生じるようにして、該ヨークおよび又は磁極に周回された1個以上のコイルにコンデンサあるいは直列に接続されたコンデンサと電気抵抗を接続し電気共振回路を形成する磁気ダンパ装置において、制振対象自体の共振周波数ωnと電気回路の共振周波数ωeの間にほぼ【数4】
の関係があることを特徴とする。 【0006】上述した本発明によれば、磁石の一方の極の磁極からでる磁束を、二つ以上のヨーク入口に振り分け、そのヨークを通過した磁束が再び磁石の他方の磁極に戻るように構成したものであるので、磁石の一方の磁極からでる磁束を二つ以上のヨーク入口に振動に対応して振り分けら、これにより磁束の変化分の全量を磁気回路で利用することができる。従って、磁束の変化分を有効にエネルギーに変換させることができる。 【0007】制振対象自体の共振周波数ωnと電気回路の共振周波数ωeとの間に上述した関係があることで、伝達関数の周波数特性において、2つの定点が等しくなるように電気回路の共振周波数を決めることができる。従って、この関係を持たせることにより、伝達関数において共振時のピークを有さずに最適な減衰が与えられる条件を求めることが可能となる。 【0008】即ち、ダンパ装置に電気的な共振回路を併用することにより、振動体の固有振動数における振動の増幅の抑制が可能である。コイルの両端に抵抗を単に接続した場合には、制振効果を大きくするためには、磁気吸引力による不安定剛性を大きくする、つまり等価剛性比βを大きくする必要がある。従って、この場合には不安定になりやすくなるという問題があった。コイルの両端にコンデンサと抵抗を接続し、コイルの有する自己インダクタンスと合わせて電気的な共振回路を形成することにより、不安定剛性が小さくても振動の抑制効果を十分に大きくすることが可能である。 【0009】又、請求項2に記載の発明は、該ヨークおよび磁極に周回された2個以上のコイルにコンデンサを単独で、或いはコンデンサと直列に接続した抵抗と共に接続しそれぞれの電気回路の共振周波数を制振対象の別々のモードの固有振動数に対してほぼ【数5】
但し、等価剛性比βは磁気吸引力による不安定剛性と制振対象の元々の支持剛性との比である、が成り立つことを特徴とする。これにより、複数の制振対象の固有振動数のモードが存在する場合に、それぞれのモードに対して振動を抑制することが可能となる。 【0010】又、請求項3に記載の発明は、コイルの内部抵抗を含めた電気回路の抵抗値RkとコイルのインダクタンスLkとダンパ装置が設置されていないときの制振対象自体の共振周波数ωnkで決まる減衰比ζk=Rk/(2Lkωnk) がほぼ、【数6】
を満たすことを特徴とする。これにより、振動体の変位と加振力との間の周波数応答関数における2つの定点の高さが等しくなるような関係を導き、且つその2つの定点において周波数応答関数がほぼ極大値をとるように減衰パラメータを設定することができる。従って、この減衰パラメータにより、最適な減衰条件を導き出すことができる。 【0011】又、本発明のダンパ装置は、ヨーク及び又は磁極に、積層した電極鋼板を用いることが好ましい。これによりヨークに生じる渦電流損失を少なくし、ヨークに生じる磁束の変化を効率的にコイルにより取り出すことができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図3を参照して説明する。 【0013】本発明の実施の形態のダンパ装置の概念図を図1(a)(b)に示す。(a)では、このダンパ装置は2つのヨーク2,2から構成され、制振対象6に固定される可動部と、永久磁石1と磁極3から構成され基礎に固定される固定部8とからなり、これらが機械的なバネ(金属バネ、空気バネ、ゴム等)7により接続されている。(b)では、固定部と可動部が逆になっている。可動部と固定部はギャップを介し磁気的に接続しており、永久磁石からの磁束が2つのヨーク2,2に分岐して流れる構造になっている。振動が発生すると、可動部と固定部の間で相対変位が生じ、左右のギャップ長は一方が大きくなれば一方が小さくなるというようにシーソー的に増減する。この時、左右の磁気ループの磁気抵抗、磁束、吸引力も同様にシーソー的に増減する。これを磁気シーソー現象と呼んでいる。この現象の特徴として、微小振動でも磁石からの磁束の振り分けに大きな変化が生じ、ヨーク2,2において大きな磁束変動が得られる。 【0014】このダンパ装置では、磁束変動によりヨーク2に巻いたコイル4に誘導起電力が発生し、このコイルにコンデンサCと抵抗Rを接続することで、コイルの自己インダクタンスLと合わせて電気的な共振回路を形成し、その共振回路でエネルギーを吸収することにより振動を抑制することができる。 【0015】以下に、図1(a)(b)のようにバネと質量からなる1自由度の機械系にこのダンパ装置を適用した系の定式化を行う。ダンパ装置の可動部を含めた振動体の質量をm、バネ定数をkとして機械的な減衰は無視する。振動体が静止しているときの磁路のギャップの長さ、磁束密度をそれぞれx0、B0とし、ギャップの断面積をSgとする。ダンパ装置の可動部の静止位置からの変位をxとする。この例では、片側のヨーク2にのみコイルが巻かれているとし、コイルの巻数をN1、自己インダクタンスをL1、コイル両端に接続した抵抗の抵抗値をR1、コンデンサの静電容量をC1、回路を流れる電流をi1とする。又、渦電流は磁路で発生する一枚一巻のシート電流ieで近似し、それに関連した近似集中定数をそれぞれLe,Reとする。コイル巻数は1であるが、一般性を持たせてNeとする。又、磁石の磁気抵抗はギャップなどの磁気抵抗より遥かにに大きく、更に振動時の変位は微小であると仮定する。 【0016】ヨーク2,2の磁束Φ1,Φ2はそれぞれ以下のようになる。 【数7】
【数8】
但し、B1,B2はヨーク1,2の磁束密度である。 【0017】ヨーク2のコイル両側の起電力は、【数9】
となる。 【0018】コイル両端には抵抗とコンデンサが接続されいるので、【数10】
となる。式(数9)、(数10)から電気回路の方程式は【数11】
となる。 【0019】又、ギャップに作用する磁気的な吸引力fmaは以下のようになる。 【数12】
但し、μ0は空気中の透磁率である。 【0020】この時、系の運動方程式は以下のようになる。 【数13】
但し、fmaは機械的な加振力である。 【0021】次に式(数11),(数13)の初期値をゼロとしてラプラス変換を行う。x,i1,ie,fmeのラプラス変換量をそれぞれX(s),I1(s),Ie(s),F(s)とすると以下のようになる。 【数14】
【数15】
【0022】ヨークに電磁鋼板を用いる場合は渦電流損失は少ないので、これを無視して変位と加振力の間の伝達関数を求める。 【数16】
ここで、kuは磁気吸引力による不安定剛性で、βは等価剛性比である。 【0023】s=jωを代入すると無次元化された伝達関数は、【数17】
となる。但し、g=ω/ωn,f=ω1/ωn,Xst=F(ω)/k従って、伝達関数の振幅は以下のようになる。 【数18】
【0024】ここで機械系の動吸振器の定点理論による最適設計を試みる。まず式(数18)で表される伝達関数は減衰比に無関係に2つの定点を通ることが知られている。式(数18)を書き換えると【数19】
となる。上式において、A/C=B/Dであれば減衰比と無関係になる。このことを式で書くとg4−(1+f2−β/2)g2+(1−β)f2=0となり、上式の解g1,g2が2つの定点である。解と係数の関係からg12+g22=1+f2−β/2となる。2つの定点の高さが等しいと仮定すると、減衰比を無限大としたときの式(数18)から定点の座標は、【数20】
となり、この式を整理するとg12+g22=2β+2【0025】これらの式から、振動数比fは【数21】
となる。この式から式(数18)の2つの定点が等しくなるように電気回路の共振周波数を決めることができる。この時定点の高さは【数22】
となる。 【0026】2つの定点で極値を持つ条件はそれぞれ【数23】
である。 【0027】この2つの平均値が式(数21)で与えられる最適振動比の場合の最適減衰になる。 ζ2opt=3β/8【0028】図2及び図3にそれぞれ等価剛性比β=0.5,0.1の場合に、回路の減衰を変えたときの系の伝達関数を示す。機械的な動吸振器と同様な特性を示すことが分かる。コイル両端に抵抗のみを接続した場合には、制振特性を良くするためには等価剛性比βを大きくする必要があったが、その場合不安定になりやすいという問題があった。コイル両端に抵抗とコンデンサを接続し、共振回路を形成することにより定常振動は等価剛性比βが小さくても抑制することが可能である。 【0029】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、磁束振り分け効果を利用したダンパ装置で、磁気回路にコイルを配置し、このコイルに抵抗とコンデンサの直列回路を接続し、且つこのパラメータを上述の関係に選択することで、振動体の変位と加振力との間の周波数応答関数における2つの定点の高さが等しくなるようにすることができ、且つ周波数応答関数がほぼ極大値を取るように選択することができる。従って、制振対象に合わせて最適なパラメータの減衰回路を構成することが可能となり、これにより振動を最適に減衰させることができる。このパラメータは、電気回路定数であるので、その値を任意に選択することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000239 【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
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| 【出願日】 |
平成11年10月8日(1999.10.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091498 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邉 勇 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−108014(P2001−108014A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−288690 |
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