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【発明の名称】 滑り型免震装置
【発明者】 【氏名】坂田 利文

【氏名】岡本 修一

【氏名】上田 栄

【要約】 【課題】日常的荷重に対するトリガー機能と免震性能の両立を図れるともに、地震後の残留変位も小さくすることができ、しかも、傾き等の寸法誤差の発生にかかわらず、設計通りの優れた免震性能を長年月に亘り確保できるようにする。

【解決手段】土台基礎B側に固定した滑り材2の摩擦滑り面7と上部構造体A側に固定した滑り材6の摩擦滑り面8との間の摩擦係数が、初期位置で大きく、水平方向への相対変位位置で小さくなるような形態に構成されているとともに、上部構造体A側の滑り材6の上面に硬質材9、弾性材10及び硬質材11を順次積層固定し、これらを上部硬質材11の嵌合によりフォルダプレート5に支持させ、かつ、フォルダプレート5の周辺部には滑り材6が弾性材10に対し水平方向に一定以上ずれ移動することを阻止するストッパー部14が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下部構造体側に設けられた滑り材と上部構造体側に設けられた滑り材とを相互に当接させて両者間に一定以上の水平変位力が作用したとき、相対的に水平方向に変位可能な摩擦滑り面が構成されてなる滑り型免震装置において、上記下部構造体側の滑り材の摩擦滑り面及び上部構造体側の滑り材の摩擦滑り面は、初期位置での摩擦係数が水平方向に相対変位した位置での摩擦係数よりも大きくなるような形態に構成されており、上部構造体側の滑り材の上面には、硬質材、弾性材及び硬質材が順次積層固定され、そのうち最上位の硬質材のみを上部構造体側に固定の滑り材支持部材に形成された嵌合凹部に嵌合させることにより滑り材、下部硬質材、弾性材及び上部硬質材が上部構造体側に支持されていると共に、上記支持部材の周辺部には、弾性体に対して滑り材が水平方向に一定以上ずれ移動することを阻止するストッパー部が設けられていることを特徴とする滑り型免震装置。
【請求項2】 下部構造体側の滑り材の摩擦滑り面及び上部構造体側の滑り材の摩擦滑り面同士の初期位置での接触面積を水平方向に相対変位した位置での接触面積よりも大きくすることで、両摩擦滑り面の摩擦係数が初期位置よりも水平変位位置で小さくなるような形態に構成されている請求項1または2に記載の滑り型免震装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として木造建物や鉄骨造りの戸建て住宅用建物あるいはプレハブ式建築物などのような軽量構造物の免震に適用される滑り型免震装置に関し、詳しくは、基礎等の下部構造体及び上部構造体側にそれぞれ設けられた滑り材同士を互いに当接させて地震の発生に伴い両者間に一定以上の水平変位力が作用したとき、両滑り材の摩擦滑り面での水平方向への相対的な滑り作用によって上部構造体側への変位伝達を遮断もしくは低減して揺れを抑制するように構成されている滑り型免震装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の滑り型免震装置として、従来、下部構造体側に、例えば四弗化エチレン樹脂板等の滑り材を固定する一方、上部構造体側にステンレス板等の滑り材を固定し、これら両滑り材同士を相互に当接させることにより両滑り材間に摩擦滑り面を形成させ、地震発生時にはその両摩擦滑り面での滑り作用により免震性能を発揮させるように構成したものが知られている。また、免震性能の向上を図るべく、上記のような滑り型免震装置と免震用積層ゴムとを上下に直列に配置した構成のものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の滑り型免震装置はいずれも、免震性能を十分に発揮させることに主眼がおかれ、そのために、地震発生時に両滑り材の摩擦滑り面同士が滑り動作しやすいように、初期位置(両摩擦滑り面の滑り作用開始位置)から両摩擦滑り面が滑り作用により水平方向に相対変位した位置までの滑り動作範囲の全域に亘って両面間の摩擦係数を小さい一定の値に設定する構成が採用されている。したがって、両摩擦滑り面が初期位置にある通常時に上部構造体に風荷重や生活振動、交通振動などの地震以外で地震時よりも小さい変位力(以下、日常的変位力と称する)が作用するだけでも、上部構造体が揺れ動きやすく、戸建て住宅用建物などの軽量構造物の免震に適用した場合、居住性が大きく損なわれるだけでなく、地震後の残留変位が大きくなるという問題がある。
【0004】また、戸建て住宅用建物などの軽量構造物においては、それの構築時に基礎等の下部構造体と上部構造体との間に設計許容範囲を越えた段差が生じるとか、所定の水平精度が出ないで両構造体相互間に傾きが生じるとかの寸法誤差を生じやすい。また、構築時には生じなてなくても構造物の経年使用に伴い地盤の変動や構造物構成部材の強度特性の変化等によって段差や傾きなどの寸法誤差が発生することは避けられない。
【0005】ところで、従来の滑り型免震装置では、上記の段差や傾き等の寸法誤差を吸収し修正する機能がないために、寸法誤差の発生に伴って該免震装置に偏荷重が加わることになり、その結果、両滑り材の摩擦滑り面が片当たりしたり、摩擦係数が変動したりして、安定した摩擦力での滑り作用が得られず、設計通りの免震性能を発揮させ、かつ、それを維持することができないという問題もあった。
【0006】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、日常的変位力に対して抵抗するトリガー機能と地震発生時の免震性能との両立を図ることができるとともに、地震後の残留変位も小さくすることができ、しかも、傾き等の寸法誤差の発生にかかわらず、設計通りの優れた免震性能を長年月に亘り確保できる滑り型免震装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る滑り型免震装置は、下部構造体側に設けられた滑り材と上部構造体側に設けられた滑り材とを相互に当接させて両者間に一定以上の水平変位力が作用したとき、相対的に水平方向に変位可能な摩擦滑り面が構成されてなる滑り型免震装置において、上記下部構造体側の滑り材の摩擦滑り面及び上部構造体側の滑り材の摩擦滑り面は、初期位置での摩擦係数が水平方向に相対変位した位置での摩擦係数よりも大きくなるような形態に構成されており、上部構造体側の滑り材の上面には、硬質材、弾性材及び硬質材が順次積層固定され、そのうち最上位の硬質材のみを上部構造体側に固定の滑り材支持部材に形成された嵌合凹部に嵌合させることにより滑り材、下部硬質材、弾性材及び上部硬質材が上部構造体側に支持されていると共に、上記支持部材の周辺部には、弾性体に対して滑り材が水平方向に一定以上ずれ移動することを阻止するストッパー部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】上記構成の本発明によれば、上部構造体側及び下部構造体側に設けられた両滑り材の摩擦滑り面の摩擦係数を、初期位置では大きく、かつ、水平方向に相対変位した位置では小さくなるように差をつけたことにより、通常時には上部構造体に作用する風荷重等の日常的荷重に対して高い抵抗を与えて不要な揺れ動きを抑制するトリガー機能を発揮させつつ、地震発生時には両滑り材の摩擦滑り面同士が滑り動作しやすくなり、下部構造体から上部構造体への変位伝達を遮断もしくは低減して所定の免震性能を十分に発揮させることが可能であり、かつ、免震装置の動作時における摩擦係数の値が小さくなることで、地震後の残留変位も小さく抑えることが可能となる。
【0009】その上、上部構造体側の滑り材の上面(滑り摩擦面に対する背面)には、硬質材、弾性材及び硬質材を順次積層介在させ、そのうち硬質材を支持部材に嵌合させることでそれら各材を上部構造体側に支持させているので、免震対象構造物の構築時や経年使用に伴い下部構造体と上部構造体との間に設計許容範囲を越えた段差や傾き等の寸法誤差が発生した場合、その寸法誤差を弾性材の変形で吸収させて免震装置に若干の偏荷重が加わったとしても、両滑り材の摩擦滑り面の片当たりや摩擦係数の変動を抑え、各位置で安定した摩擦力の滑り作用が得られて設計通りのトリガー機能及び免震性能を発揮させ、かつ、それを維持させることが可能である。また、摩擦滑り面での摩擦力の影響で弾性材と滑り材との間が剥離したとしても、剥離した滑り材が一定以上にずれ移動することを支持部材の周辺に設けたストッパー部で阻止することが可能であるから、剥離が発生したことを知らないままでの使用時においても滑り作用による所定の免震性能を確保することが可能である。
【0010】上記構成の滑り型免震装置において、両滑り材の摩擦滑り面の初期位置での摩擦係数が相対変位位置での摩擦係数よりも大きくなるような形態に構成する手段としては、両摩擦滑り面のうち少なくとも一方の摩擦滑り面を初期位置と変位位置とで摩擦係数の異なる材質から構成したり、面の加工粗度に差を付ける構成としたり、さらには、請求項2に記載のように、下部構造体側の滑り材の摩擦滑り面及び上部構造体側の滑り材の摩擦滑り面同士の初期位置での接触面積を水平方向に相対変位した位置での接触面積よりも大きくする構成としたりすることが考えられる。このうち、特に接触面積を変化させる構成の場合には、接触面積の大きい初期位置では単位面積当りの面圧が低いことから摩擦係数が大きくなり、接触面積の小さい変位位置では単位面積当りの面圧が増加することから摩擦係数が小さくなるといった滑り材(摩擦材)が本来的に有する面圧−摩擦係数特性(図5参照)を有効に活用することが可能で、摩擦滑り面を形状的に工夫するのみの簡単かつ低コストな構造改良を施すだけで、既述したトリガー機能及び免震性能の両立を図ることができる。
【0011】なお、上記構成の滑り型免震装置において、両滑り材の摩擦滑り面は設置状態で水平面に沿う平面形状のものが好ましいが、これ以外に、水平面に対して上方または下方に少し凹曲した、例えば、サイクロイド曲線面、放物曲線面または円弧面などに形成されたものであってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態による滑り型免震装置を適用した構造物の全体構成を示す概略図であり、同図において、Aは木造建物や鉄骨造りの戸建て住宅用建物、あるいはプレハブ式建築物などの軽量構造物における上部構造体、Bは下部構造体となる土台基礎で、これら上部構造体Aと土台基礎Bとの間に免震装置Cを介在させて、通常時は上部構造体Aの荷重を支持しその荷重を土台基礎B側に伝達するとともに、地震発生により土台基礎B側に一定以上の水平変位力が作用した時は両者A,B間の相対変位を許容して土台基礎B側から上部構造体Aへの変位伝達を遮断もしくは低減し上部構造体Aの揺れを抑制するものである。
【0013】上記滑り型免震装置Cは、図2及び図3に示すように、土台基礎B側に固定した基板1の上面に円板状の滑り材2が固着されている一方、上部構造体Aの下面に固定した基板3の下面中央部には、フォルダ4及びフォルダプレート5(滑り材支持部材)を介して四弗化エチレン樹脂板などからなる滑り材6が固定支持されており、これら両滑り材2,6を相互に当接させることで、地震発生に伴い上部構造体Aと土台基礎Bとの間に一定以上の水平変位力が作用したとき、水平方向に相対的に滑り変位可能な摩擦滑り面7,8が形成されている。
【0014】上記土台基礎B側の滑り材2の摩擦滑り面7は、該滑り材2の中央部にあり、上部構造体A側の滑り材6の摩擦滑り面8の面積Sfと等しい面積Spを有し平坦な面に形成された円形状の中央摩擦面部分7aと、この中央摩擦面部分7aの外周部にあり、図3に明示するように、全域に多数のディンプル7cが形成されて中央摩擦面部分7aと同一水平面内に位置する円環状周辺摩擦面部分7bとから構成されている。この構成によって、通常時の初期位置では滑り材6の摩擦滑り面8が滑り材2の摩擦滑り面7のうちの中央摩擦面部分7aに接触して両者8,7の接触面積がSf=Spの関係に保たれ、地震の発生に伴い土台基礎B側に一定以上の水平変位力が作用して滑り材2と6が相対的に水平方向に滑り移動し始めた変位位置では滑り材6の摩擦滑り面8が滑り材2の摩擦滑り面7のうちの周辺摩擦面部分7bに接触して両者8,7の接触面積がSf>Spの関係になり、もって、図5に示す面圧−摩擦係数の特性図からも明らかなように、接触面積の大きい初期位置では単位面積当りの面圧(kgf/cm2 )が低いことから摩擦係数が大きくなり、接触面積の小さい変位位置では単位面積当りの面圧が増加することから摩擦係数が小さくなるような形態に構成されている。
【0015】一方、上部構造体A側の滑り材6の上面には、図4に明示するように、鋼板等の円形下部硬質材9、ゴム板等の円形弾性材10及び鋼板等の円形上部硬質材11が順次積層接着固定されており、そのうち最上位の上部硬質材11のみを上記フォルダプレート5に形成された円形の嵌合凹部12に嵌合させることにより、滑り材6、下部硬質材9、弾性材10及び上部硬質材11を上部構造体A側に支持させている。また、上記フォルダプレート5の周辺部には、下向きに突出して滑り材6が弾性材10に対して水平方向に一定以上ずれ移動することを阻止するように下部硬質材9及び弾性材10の外周面との間に適当な環状隙間13を隔てて円筒状のストッパー部14が一体形成されている。なお、図2及び図3において、15は滑り型免震装置Cの外周を取り囲むように配置された防塵、防雨用の弾性カバーである。
【0016】上記のように構成された滑り型免震装置Cによれば、通常時の初期位置では、図2及び図3の実線に示すように、上部構造体A側の滑り材6における摩擦滑り面8と土台基礎B側の滑り材2の摩擦滑り面7のうち中央摩擦面部分7aとが等しい接触面積Sf=Spで全面接触しているために、図5の特性図からも明らかなように、接触面の単位面積当りの面圧が低く、かつ、摩擦係数が大きくて両者6,2が動きにくい状態にある。したがって、このような通常状態、すなわち、初期状態で上部構造体Aに風荷重等の日常的荷重が作用したとしても、両滑り材6,2の相対変位を規制するトリガー機能が発揮されて上部構造体Aの不要な揺れを防止することが可能である。
【0017】そして、地震発生により土台基礎B側に一定以上の水平変位力が作用して両滑り材6,2が相対的に水平方向に滑り移動し始めた変位位置では、つまり、免震装置Cが動作開始した後には、図2及び図3の仮想線に示すように、上部構造体A側の滑り材6における摩擦滑り面8が土台基礎B側の滑り材2の摩擦滑り面7のうち周辺摩擦面部分7bに接触して両者6,2の接触面積がSf>Spの関係になる。この摩擦接触面積の減少に伴い図5の特性図からも明らかなように、単位面積当りの面圧が急激に増加し、かつ、摩擦係数が小さくなり、上部構造体Aと土台基礎Bとが相対的に滑り移動しやすい状態となる。したがって、地震に伴う土台基礎B側の水平変位が摩擦滑り面8,7bでの相対的な滑り移動によって上部構造体A側に伝達されることを遮断もしくは抑制し免震性能を十分に発揮させることが可能である。また、該免震装置Cの動作時における摩擦係数の値が小さくなることで、地震後の残留変位も小さく抑えることが可能となる。
【0018】因みに、上記滑り材6の摩擦滑り面8と滑り材2の摩擦滑り面7との摩擦接触面積を、初期状態における面圧が約40kgf/cm2 に、動作開始後における面圧が約160kgf/cm2 になるような設定したとすると、図5の面圧−摩擦係数特性図からも明らかなように、動作開始後における摩擦係数の値が初期状態の値の約(1/2)となり、日常的荷重に対するトリガー機能と、地震動に対する優れた免震性能との両立を達成することが可能となる。
【0019】また、上部構造体A側の滑り材6の上面には硬質材9、弾性材10及び硬質材11が順次積層介在されており、最上位の硬質材11をフォルダプレート5の嵌合凹部12に嵌合させることにより、各材6,9,10,11を上部構造体A側に支持させているので、免震対象となる軽量構造物の構築時や経年使用に伴い下部構造体Bと上部構造体Aとの間に設計許容範囲を越える段差や傾き等の寸法誤差が発生した場合、その寸法誤差を弾性材10の平面方向や高さ方向の弾性変形により吸収させることが可能である。したがって、免震装置Cに若干の偏荷重が加わったとしても、両滑り材6,2の摩擦滑り面8,7の片当たりや摩擦係数の変動を抑え、各位置で安定した摩擦力の滑り作用が得られて設計通りのトリガー機能及び免震性能を発揮させ、かつ、それを維持させることが可能である。
【0020】因みに、図6は滑り材6の上面に弾性材10を積層介在させてなる本発明の免震装置Cについて、JMA KOBE NSによる一次元シミュレーションを行なった場合の加速度特性結果を示し、図7は弾性材10の使用を省いた免震装置について同様な一次元シュミレーションを行なった場合の加速度特性結果を示す。これら両結果の比較から明らかなように、本発明の免震装置では、最大加速度が小さくなり、上部構造体Aの揺れを十分に抑制するとともに、地震後の残留変位も非常に小さくすることが可能である。
【0021】また、地震発生に伴う摩擦滑り面8,7での滑り作用の繰り返しなどの影響で弾性材10が破断されたり、弾性材10と滑り材6が固定されている下部硬質材9との間に剥離が発生したりしたとしても、下部硬質材9がフォルダプレート5周辺の円筒状ストッパー部14に当接して滑り材6の一定以上のずれ移動が阻止されることになるので、弾性材10の破断や剥離の発生を知らないままで使用している状態で地震が発生したとしても、摩擦滑り面8,7での滑り作用は保持されることになり、所定の免震性能を発揮させことが可能である。
【0022】なお、上記第1の実施形態では、両滑り材6,2の摩擦滑り面8,7が常に同一水平面で接触する平面摩擦型の滑り型免震装置について説明したが、これに限らず、上記摩擦滑り面8,7の接触面が水平面に対して上方または下方に少し凹曲した、例えば、サイクロイド曲線面、放物曲線面または円弧面などに形成されたものであってもよく、また、滑り移動時に接触面積が小さくなる周辺摩擦面部分7bの表面を、例えば鏡面加工等の研磨仕上げしたり、テフロン系のすべり材等でコーティングしたりして、滑りやすい面に加工して所定の免震性能を一層を高めるような工夫を施してもよい。
【0023】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び請求項2に記載された本発明によれば、上部構造体側及び下部構造体側に設けられた両滑り材の摩擦滑り面の摩擦係数を初期位置では大きく、かつ、水平方向に相対変位した位置では小さくなるように差をつけたことにより、通常時には上部構造体に作用する風荷重等の日常的荷重に対して高い抵抗を与えて不要な揺れ動きを抑制するトリガー機能を確実に発揮させつつ、地震発生時には両滑り材の摩擦滑り面同士が滑り動作しやすくしてトリガー機能に背反する免震性能を十分に発揮させることができる。また、地震発生に伴う免震装置の動作時の摩擦係数の値が小さいので、地震後の残留変位を小さくして復元性を持たせることができる。
【0024】しかも、免震対象構造物の構築時や経年使用に伴い下部構造体と上部構造体との間に設計許容範囲を越えた段差や傾き等の寸法誤差が発生しても、その寸法誤差を弾性材の変形で吸収させることができるから、免震装置に若干の偏荷重が加わったとしても、両滑り材の摩擦滑り面の片当たりや摩擦係数の変動を抑え、各位置で安定した摩擦力の滑り作用が得られ設計通りのトリガー機能及び免震性能を発揮させ、かつ、それを長年月に亘って維持することができる。加えて、摩擦滑り面での摩擦力の影響で弾性材と滑り材との間に剥離が発生しても、剥離した滑り材の一定以上のずれ移動を阻止することが可能であるから、剥離の発生を知らないままでの使用時においても滑り作用による所定の免震性能を確保することができるという効果を奏し、特に、戸建て住宅などのように、風荷重等の日常的荷重の影響を蒙りやすく、また、十分な保守点検体制を採りにくい状況下にある軽量構造物に対する免震装置としてきわめて有効である。
【出願人】 【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
【出願日】 平成11年10月8日(1999.10.8)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2001−108013(P2001−108013A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−288177