| 【発明の名称】 |
制振装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大亦 絢一郎
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| 【要約】 |
【課題】複数方向からの振動抑制を課題とする。
【解決手段】地面又は構造物に固定される第一のリンク1と、制振対象物Sを保持する第三のリンク3と、第一のリンク1と第三のリンク3との間に配置される第二のリンク2と、第一のリンク1と第二のリンク2とを連結する第一の関節部4と、第二のリンク部材2と第三のリンク3とを連結する第二の関節部5とを備え、各関節部4は二自由度以上の相対的な動作を自在な状態で各リンク1,2を連結し、他方は三自由度以上の相対的な動作を自在な状態で各リンク2,3を連結すると共に、これら各関節部4,5の各々に,連結された二つのリンク間の相対的な動作に抵抗力を付加する関節抵抗付加手段7,8を併設し、第二のリンク2が、その長手方向に沿って伸縮自在であると共に,その伸縮動作に抵抗力を付加する伸縮抵抗付加手段25を有している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地面又は構造物と制振対象物との間に配置して前記地面又は構造物に対する相対的な前記制振対象物の位置又は姿勢変化を抑制する制振装置であって、地面又は構造物に固定される第一のリンクと、前記制振対象物を保持する第三のリンクと、前記第一のリンクと第三のリンクとの間に配置される第二のリンクと、前記第一のリンクと第二のリンクとを連結する第一の関節部と、前記第二のリンク部材と第三のリンクとを連結する第二の関節部とを備え、前記各関節部のいずれか一方は少なくとも三自由度の相対的な動作を自在な状態で前記各リンクを連結し、他方は少なくとも三自由度の相対的な動作を自在な状態で前記各リンクを連結すると共に、これら各関節部の各々に,連結された二つのリンク間の相対的な動作に抵抗力を付加する関節抵抗付加手段を併設し、前記第二のリンクが、その長手方向に沿って伸縮自在であると共に,その伸縮動作に抵抗力を付加する伸縮抵抗付加手段を有することを特徴とする制振装置。 【請求項2】 前記第二のリンクは、いずれか一方の前記関節部と連結されるリンク本体と、他方の前記関節部と連結されると共に前記長手方向に沿って往動自在な状態で前記リンク本体に保持される往動体とを有し、前記伸縮抵抗付加手段は、前記往動体の往動動作に抵抗力を付加することを特徴とする請求項1記載の制振装置。 【請求項3】 前記伸縮抵抗付加手段が、前記リンク本体と往動体との間に摺動摩擦を生ぜしめる摩擦体と、前記リンク本体と往動体とを互いに密着させる方向に荷重を付加する密着付勢部とを備えることを特徴とする請求項2記載の制振装置。 【請求項4】 前記密着付勢部は、前記リンク本体と往動体のいずれか一方に装備された電磁石と、前記リンク本体と往動体のいずれか他方に装備された磁性体とを含む構成とすることを特徴とする請求項3記載の制振装置。 【請求項5】 前記密着付勢部は、前記リンク本体と往動体のいずれか一方に装備された永久磁石と、前記リンク本体と往動体のいずれか他方に装備された磁性体とを含む構成とすることを特徴とする請求項3記載の制振装置。 【請求項6】 前記密着付勢部は、前記往動体を前記摩擦体に押圧する弾性体であることを特徴とする請求項3記載の制振装置。 【請求項7】 前記伸縮抵抗付加手段は、一定粘性減衰を用いるするダンパ機構であることを特徴とする請求項3記載の制振装置。 【請求項8】 前記伸縮抵抗付加手段は、可変粘性減衰を用いるダンパ機構であることを特徴とする請求項3記載の制振装置。 【請求項9】 前記各関節部は、連結される一方の前記リンクの一端部側に位置し,球面部を有する係合突起と、連結される他方の前記リンクの一端部側に位置し,前記球面部に対応した凹面部を介して前記係合突起を保持する保持部材とを有し、前記関節抵抗付加手段は、前記保持部材に当該保持部材が前記係合突起を締結する方向に荷重を付加することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の制振装置。 【請求項10】 前記保持部材は、いずれも前記球面部に対応した凹面部を備える二つの部材に分割されると共にこれらにより前記係合突起を狭持し、前記関節抵抗付加手段は、前記分割された二つの保持部材をその凹面部を向かい合わせて保持する枠体と、この枠体を介して前記二つの保持部材が互いに接近する方向に荷重を付加する荷重発生体とを有することを特徴とする請求項9記載の制振装置。 【請求項11】 前記荷重発生体を、弾性体としたことを特徴とする請求項10記載の制振装置。 【請求項12】 前記荷重発生体を、電気的な信号を受けて伸張する素子としたことを特徴とする請求項10記載の制振装置。 【請求項13】 前記第一の関節部に併設された関節抵抗付加手段の枠体と前記第一のリンクとを一体的に連結し、前記第二の関節部に併設された関節抵抗付加手段の枠体と前記第三のリンクとを一体的に連結したことを特徴とする請求項10,11又は12記載の制振装置。 【請求項14】 前記各関節部は、連結される一方の前記リンクの一端部に設けられ,球面部を有する係合突起と、連結される他方の前記リンクの一端部に設けられ,前記球面部に対応した凹面部を介して前記係合突起を保持する保持部材とを有し、前記関節抵抗付加手段は、電気的な信号を受けて前記保持部材に当該保持部材が前記係合突起を締結する方向に荷重を付加する素子を有し、外部から加えられた振動を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段で検出された振動が所定の大きさを越えるときに前記素子に電気的な信号を入力すると共に前記電磁石への通電を行う制御回路を備えることを特徴とする請求項4記載の制振装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、制振装置に係り、特に、制振対象物が種々の方向から受ける振動を抑制する制振装置に関する。 【0002】 【従来の技術】制振装置とは、物体と物体との間に装備され、当該物体間で生じる振動を抑制又は防止する装置をいい、例えば、走行車両の車体と車輪の間に装備されるショックアブソーバーといわれるダンパーがこれに該当する。 【0003】また、最近の制振装置の用途としては、地震,強風等の自然現象或いは走行車両,重機の駆動等の人為的な原因により屋外や建築物,家屋等の構造物の内部に設置された物体(以下、制振対象物という)に発生する振動の抑制又は防止にも制振装置が用いられるようになってきている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来からある制振装置は、一定の直線方向に沿った振動に対してその抑制効果を生じるものであって、例えば、上述のような自然現象を要因とする振動はその振動を行う方向が常に一定ではなく、また時間と共にその振動方向が変化したりもするので、従来の制振装置単独でこのような振動を抑制することは困難であった。 【0005】また、全ての方向に沿った振動に対応すべく、三つの成分に分けて複数の制振装置を構造物と制振対象物の間に装備すると、構造物に対する制振対象物の配置及び姿勢が完全に固定され、当該制振対象物の移動,姿勢変化等を行うためには、全ての制振装置を取り外してからではないと行うことができなくなるという不都合が生じていた。 【0006】 【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、種々の方向に生じる振動に対して有効に抑制又は防止し得る制振装置を提供することを、その目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、地面又は構造物と制振対象物との間に配置して地面又は構造物に対する相対的な制振対象物の位置又は姿勢変化を抑制する制振装置であって、地面又は構造物に固定される第一のリンクと、制振対象物を保持する第三のリンクと、第一のリンクと第三のリンクとの間に配置される第二のリンクと、第一のリンクと第二のリンクとを連結する第一の関節部と、第二のリンク部材と第三のリンクとを連結する第二の関節部とを備えている。 【0008】さらに、各関節部のいずれか一方は少なくとも三自由度の相対的な動作を自在な状態で各リンクを連結し、他方は少なくとも三自由度の相対的な動作を自在な状態で各リンクを連結すると共に、これら各関節部の各々に,連結された二つのリンク間の相対的な動作に抵抗力を付加する関節抵抗付加手段を併設している。 【0009】そして、第二のリンクが、その長手方向に沿って伸縮自在であると共に,その伸縮動作に抵抗力を付加する伸縮抵抗付加手段を有する、という構成を採っている。 【0010】ここで、上述した構造物とは、地面上に固定された建造物や制振対象物を積載することが可能な車両等の移動手段を示すものとする。 【0011】上述の構成では、第一のリンクを地面又は構造物(以下、地面等とする)に固定し、第三のリンクに制振対象物を保持させる。かかる状態において、第一の関節部により第一のリンクに対して第二のリンクが三自由度の動作が自在であり、第二の関節部により第二のリンクに対して第三のリンクが三自由度の動作が自在であるため、地面等に対して制振対象物は、合計で少なくとも六自由度の動作が可能である。 【0012】さらに、第二のリンクはその長手方向に伸縮が自在であるため、これにより第一のリンクと第二のリンクとの間で一自由度の動作が自在となり、地面等に対して制振対象物は六自由度の動作が自在となる。即ち、制振対象物は、制振装置の届く範囲内であらゆる位置に移動させることが可能であり、さらにその位置であらゆる方向にその向きを傾けることも可能である。 【0013】ところで、各関節部には関節抵抗付加手段が併設され、第二のリンクには伸縮抵抗付加手段が設けられているので、これら各抵抗付加手段が抵抗力を付加している状態においては、上述のような制振対象物の移動及び姿勢変化動作は、それらの抵抗力に抗して行わなければならない。しかし、これらの抵抗手段により、六自由度の全ての動作について抵抗力が付加されるので、地面等及び制振対象物に何らかの要因で振動が加えられた場合に、地面等に対する制振対象物の全ての方向についての相対的な位置変化及び全ての方向についての向き変化を伴う振動は、これら各関節部及び第二のリンクに付加された抵抗力により減衰される。 【0014】請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明の構成に加えて、第二のリンクは、いずれか一方の関節部と連結されるリンク本体と、他方の関節部と連結されると共に長手方向に沿って往動自在な状態でリンク本体に保持される往動体とを有し、前述した伸縮抵抗付加手段が往動体の往動動作に抵抗力を付加する、という構成を採っている。 【0015】かかる構成では、上述と同様の動作に加えて、第二のリンクの伸縮動作が、当該第二のリンクを構成するリンク本体に対する往動体の往復移動動作により実現される。また、請求項1記載の構成でいうところの「第二のリンクの伸縮動作に対する抵抗力の付加」は、伸縮抵抗付加手段による往動体の往復移動動作に対する抵抗力の付加により実現される。 【0016】請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明の構成に加えて、伸縮抵抗付加手段が、リンク本体と往動体との間に摺動摩擦を生ぜしめる摩擦体と、リンク本体と往動体とを互いに密着させる方向に荷重を付加する密着付勢部とを備える、という構成を採っている。 【0017】かかる構成では、往動体の往復移動動作に対する抵抗力の付加が、密着付勢部が往動体とリンク本体とを密着させることにより実現する。即ち、往動体とリンク本体との間に摩擦体が介挿されているので、密着により往動体とリンク本体との相互の摩擦力が増加し、往動体の往復動作により摩擦抵抗を生じることとなる。従って、制振対象物に振動を生じた場合であっても、第二のリンクの長手方向に沿った成分の振動については、摩擦抵抗により減衰される。 【0018】請求項4記載の発明では、上記請求項3の構成に加えて、密着付勢部は、リンク本体と往動体のいずれか一方に装備された電磁石と、リンク本体と往動体のいずれか他方に装備された磁性体とを有する、という構成を採っている。 【0019】かかる構成では、前述した請求項3の構成と同様の動作が行われると共に、往動体とリンク本体との密着する方向への付勢が電磁石と磁性体間に生じる引力により実現する。 【0020】請求項5記載の発明では、前述した密着付勢部を、リンク本体と往動体のいずれか一方に装備された永久磁石と、リンク本体と往動体のいずれか他方に装備された磁性体とを含む構成としている。 【0021】請求項6記載の発明では、密着付勢部を、往動体を摩擦体に押圧する弾性体とするという構成を採っている。 【0022】請求項7記載の発明では、伸縮抵抗付加手段は、一定粘性減衰を用いるするダンパ機構とするという構成を採っている。 【0023】請求項8記載の発明では、伸縮抵抗付加手段は、可変粘性減衰を用いるダンパ機構とするという構成を採っている。 【0024】請求項9記載の発明では、上記各構成に加えて、各関節部は、連結される一方のリンクの一端部側に位置し,球面部を有する係合突起と、連結される他方のリンクの一端部側に位置し,球面部に対応した凹面部を介して係合突起を保持する保持部材とを有し、関節抵抗付加手段は、保持部材に当該保持部材が係合突起を締結する方向に荷重を付加する、という構成を採っている。 【0025】かかる構成では、前述した各構成と同様の動作が行われると共に、係合突起の球面部と保持部材の凹面部とが滑動することにより連結された一方のリンクに対する他方のリンクの回動及び自らの長手方向を中心とする回転動作が実現し、これにより一つの関節で三自由度の動作が自在に行われる。また、関節抵抗付加手段が、保持部材が係合突起を締結する方向に荷重を付勢することにより、球面部と凹面部との摩擦力が増大し、上述のリンクの回動及び回転動作に抵抗力が付加される。 【0026】請求項10記載の発明では、請求項5の構成に加えて、保持部材は、いずれも球面部に対応した凹面部を備える二つの部材に分割されると共にこれらにより係合突起を狭持し、関節抵抗付加手段は、分割された二つの保持部材をその凹面部を向かい合わせて保持する枠体と、この枠体を介して二つの保持部材が互いに接近する方向に荷重を付加する荷重発生体とを有する、という構成を採っている。 【0027】かかる構成では、前述した請求項9の構成と同様の動作が行われると共に、係合突起を狭持する二つの保持部材が近接する方向に関節抵抗付加手段が荷重を付加することにより、球面部と各凹面部との摩擦力が増大し、前述のリンクの回動及び回転動作に抵抗力が付加される。 【0028】請求項11記載の発明では、請求項10の構成に加えて、荷重発生体を、弾性体とする、という構成を採っている。従って、関節抵抗付加手段による二つの保持部材が近接する方向への荷重の付加が弾性体の弾性力により行われる。 【0029】請求項12記載の発明では、請求項10の構成に加えて、荷重発生体を、電気的な信号を受けて伸張する素子とする、という構成を採っている。従って、関節抵抗付加手段による二つの保持部材が近接する方向への荷重の付加が弾性体の弾性力により行われる。 【0030】請求項13記載の発明では、請求項10,11又は12の構成に加えて、第一の関節部に併設された関節抵抗付加手段の枠体と第一のリンクとを一体的に連結し、第二の関節部に併設された関節抵抗付加手段の枠体と第三のリンクとを一体的に連結する、という構成を採っている。従って、一方の関節抵抗付加手段の重量が第一のリンク側に、他方の関節抵抗付加手段の重量が第三のリンクに分散される。 【0031】請求項14記載の発明では、請求項4の構成に加えて、各関節部は、連結される一方のリンクの一端部に設けられ,球面部を有する係合突起と、連結される他方のリンクの一端部に設けられ,球面部に対応した凹面部を介して係合突起を保持する保持部材とを有している。 【0032】そして、関節抵抗付加手段は、電気的な信号を受けて保持部材に当該保持部材が係合突起を締結する方向に荷重を付加する素子を有し、外部から加えられた振動を検出する振動検出手段と、振動検出手段で検出された振動が所定の大きさを越えるときに素子に電気的な信号を入力すると共に電磁石への通電を行う制御回路を備える、という構成を採っている。 【0033】かかる構成では、予め定められた一定の大きさ以上の振動が生じなければ、各リンクの動作及び第二のリンクの伸縮が抵抗力の負担を受けることなく自在に行われ、一定の大きさ以上の振動が生じると、連結された各リンクの動作に対する抵抗力の付勢と第二のリンクの伸縮動作に対する抵抗力の付勢が行われ、制振対象物の振動が抑制される。このとき、上述の制御回路が作動する振動の大きさは、制振対象物が破損したり転倒しうる程度の振動に設定することが望ましい。 【0034】本発明は、上述した各構成によって前述した目的を達成しようとするものである。 【0035】 【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。この実施形態では、構造物としての建造物Kと制振対象物Sとの間に配置して建造物Kに対する相対的な制振対象物Sの振動による位置又は姿勢変化を抑制する制振装置10を示している。この制振対象物Sは、建造物Kの床面に立設された支柱S1の湾曲した上端部から吊下されている。 【0036】図1は制振装置10の全体構成を示すブロック図であり、図2は制振装置10の斜視図であり、図3は後述する各関節部の一部を切り欠いた平面図である。 【0037】この制振装置10は、図1に示すように、建造物Kの壁面に固定される第一のリンク1と、制振対象物を保持する第三のリンク3と、第一のリンク1と第三のリンク3との間に配置される第二のリンク2と、第一のリンク1と第二のリンク2とを三自由度の動作を自在な状態で連結する第一の関節部4と、第二のリンク部材2と第三のリンク3とを三自由度の動作を自在な状態で連結する第二の関節部5と、これら各関節部4,5の各々に連結された二つのリンク間の相対的な動作に抵抗力を付加する関節抵抗付加手段7,8(図2,3参照)と、各関節部4,5の動作制御を行う制御回路6とを備えている。 【0038】以下各部を詳説する。まず、第一のリンク1及び第三のリンク3について説明する。第一のリンク1は、図1に示すように、その一端部を建造物Kの壁面にボルト11にて固定され、他端部を第一の関節部4及び関節抵抗付加手段7を介して後述する第二のリンク2の可動アーム21と連結されている。 【0039】第三のリンク3は、その一端部をL字平板状の留め金31を介してネジ止めにより制振対象物Sと連結されている。なお、連結する方法はネジではなく、接着や粘着テープを用いても良い。また、第三のリンク3の他端部は、第二の関節部5及び関節抵抗付加手段8を介して後述する第二のリンク2の固定アーム22と連結されている。 【0040】さらに、第一のリンク1及び第三のリンク3は、いずれも各々の一端部と連結されている対象が異なるだけで、その他については同一の構造を呈している。即ち、第一のリンク1及び第三のリンク3は、図2及び図3の如く、直方体形状のブロックであり、その他端部は後述する各関節抵抗付加手段7,8の枠体71,81をそれぞれ保持している。即ち、第一のリンク1及び第三のリンク3は、それぞれ枠体71,81と六角穴ボルト(図示略)で一体的に固定連結されている。 【0041】また、第一のリンク1及び第三のリンク3の中央部分には、後述する各関節抵抗付加手段7,8のアクチュエータ72,82が各リンク1,3を貫通した状態で装備されている。 【0042】次に、第一の関節部4及び第二の関節部5について説明する。まず、第一の関節部4は、第一のリンク1と第二のリンク2とを、これら相互間の相対的な三自由度の動作を自在として連結している。即ち、第一の関節部4により、第一のリンク1に対して第二のリンク2はいかなる方向にも傾斜することができ、且つ当該第二のリンク2の長手方向を軸として自らを自在に回転することも可能である。また、第二のリンク2に対する第一のリンク1についても同様である。 【0043】次に、第二の関節部5は、第二のリンク2と第三のリンク3とを、これら相互間の相対的な三自由度の動作を自在として連結している。即ち、第二の関節部5により、第二のリンク2に対して第三のリンク3はいかなる方向にも傾斜することができ、且つ当該第三のリンク3の長手方向を軸として自らを自在に回転することも可能である。また、第三のリンク3に対する第二のリンク2についても同様である。 【0044】さらに、第一の関節部4及び第二の関節部5は同一の構造を呈しているので当該構造について図3に基づいて同時に説明する。第一の関節部4は、第二のリンク2の可動アーム21の先端部に設けられ,球面部を有する係合突起41と、第一のリンク1の一端部に位置し,球面部に対応した凹面部42a,42bを介して係合突起41を狭持する二つの保持部材43a,43bとを有している。 【0045】第二の関節部5は、第二のリンク2の固定アーム22の先端部に設けられ,球面部を有する係合突起51と、第三のリンク3の一端部に位置し,球面部に対応した凹面部52a,52bを介して係合突起51を狭持する二つの保持部材53a,53bとを有している。 【0046】係合突起41(51)は、アーム21(22)の外径よりも大きな径に設定された球状部材であり、アーム21(22)と一体的に形成されている。二つの保持部材43a,43b(53a,53b)の各々は、いずれも係合突起41(51)の外径と等しい(或いはミクロン単位で若干大きく設定された)曲率半径に設定された球に対応する凹面部42a,42b(52a,52b)が形成されている。 【0047】さらに、各保持部材43a,43b(53a,53b)は、係合突起41(51)を挟んで対称形状を成している。そして、これら保持部材43a,43b(53a,53b)は、後述する関節抵抗付加手段7(8)の枠体71(81)により凹面部42a,42b(52a,52b)を有する部位を互いに向かい合わせ且つ近接した状態で保持されている。また、各保持部材43a,43b(53a,53b)は、各々の凹面部42a,42b(52a,52b)が係合突起41(51)の球面に一様に接した状態で保持部材43a,43b(53a,53b)同士で幾分か(例えば0.5[mm])の隙間ができるように各々の凹面部42a,42b(52a,52b)の深さが設定されている。 【0048】このように、係合突起41(51)と保持部材43a,43b(53a,53b)とが球面と球面に対応した凹面部42a,42b(52a,52b)とで接しているので、これによりアーム21(22)は、各面を摺動させることによりあらゆる方向に傾斜し、且つアーム21(22)の長手方向を中心として自らを自在に回転させることができる。即ち、係合突起41(51)と保持部材43a,43b(53a,53b)とにより、いわゆるユニバーサルジョイントを構成している。 【0049】次に、関節抵抗付加手段7及び関節抵抗付加手段8について図3に基づいて説明する。関節抵抗付加手段7は、前述したように第一のリンク1に装備され且つ第一の関節部4を保持する。そして、関節抵抗付加手段7は、各保持部材43a,43bを接近させて当該保持部材43a,43bが係合突起41を締め付ける方向に荷重を付加する機能を有している。また、関節抵抗付加手段8は、前述したように第三のリンク3に装備され且つ第二の関節部5を保持する。そして、関節抵抗付加手段8は、各保持部材53a,53bを接近させて当該保持部材53a,53bが係合突起51を締め付ける方向に荷重を付加する機能を有している。 【0050】これら関節抵抗付加手段7と関節抵抗付加手段8も同一の構造を呈しているのでその構造について同時に説明する。関節抵抗付加手段7(8)は、分割された二つの保持部材43a,43b(53a,53b)をその凹面部42a,42b(52a,52b)を向かい合わせて保持する枠体71(81)と、この枠体71(81)を介して二つの保持部材43a,43b(53a,53b)が接近する方向に荷重を付加する荷重発生体としてのアクチュエータ72(82)とを有している。 【0051】枠体71(81)は、図3の如くH字状に一体成形された金属フレームである(図3ではHが横を向いた形状で表されている)。かかる枠体71(81)は、本実施形態では鉄で形成されているが、ある程度撓むことが可能な弾性とアクチュエータ72(82)に押圧されたときに耐久し得る強度を備える素材であれば特に金属である必要はない。 【0052】この枠体71(81)は、細かく説明すると、平行に配された二本の横棒とこれらの横棒の各々の中間部で連結する縦棒とから構成されている。そして、各横棒の一端部(図3における左端部)には、それぞれの横棒の内側に位置して前述した保持部材43a,43b(53a,53b)が装備されている。また、各横棒の他端部(図3における右端部)における当該各横棒の相互間には、アクチュエータ72(82)が狭持された状態で装備されている。 【0053】このアクチュエータ72(82)は作動時にはその長手方向の長さが伸張するが、非作動時には一定の長さを維持している。そして、このアクチュエータ72(82)の非作動時の長さと各横棒の相互間隔とが等しくなるように各横棒は縦棒にて連結されている。 【0054】さらに枠体71(81)の縦棒は、各縦棒の長手方向に対して垂直となる方向に沿って配されており、また、前述したようにリンク1(3)と一体的に連結されている。さらに、この縦棒の各横棒との連結部は図3に示す通り幅が狭く設定されている。 【0055】これは、幅を狭くすることにより、当該幅狭部位を他の部位と比較して弾性変形を容易とし、縦棒に対して各横棒が傾斜することを容易とすることを目的としている。かかる構造により、各横棒の他端部に狭持されたアクチュエータ72(82)が作動時に伸張することにより、当該他端部における各横棒の相互間隔を広げ、その一方で、縦棒との連結部位を支点として各横棒の相互間隔を狭めて、各保持部材43a,43b(53a,53b)にて係合突起41(51)を締め付けることを可能としている(図3の矢印参照)。即ち、この枠体は、てこの原理を利用しており、各横棒の他端部が力点であり、縦棒との連結部が支点であり、一端部が作用点となっている。 【0056】このような構造により、枠体71(81)は、アクチュエータ72(82)の伸張により受ける押圧力を有効に各保持部材43a,43b(53a,53b)に伝達することが可能であり、かかる保持部材43a,43b(53a,53b)の締め付けにより、係合突起41(51)の球面と各保持部材43a,43b(53a,53b)の凹面部42a,42b(52a,52b)との間の摩擦力を増加させ、関節部4(5)にて連結された各リンク間の傾斜動作及び回転動作に強力な抵抗力を付加することが可能である。 【0057】なお、枠体71(81)の縦棒はより各保持部材43a,43b(53a,53b)側に近接した位置に設けても良い。このように、縦棒の位置を、アクチュエータ72(82)までの距離よりも保持部材43a,43b(53a,53b)までの距離に近く設定することにより、より強力な締結力を各保持部材43a,43b(53a,53b)に与え、より大きな抵抗力を生ぜしめることが可能となる。 【0058】上述のアクチュエータ72(82)には、制御回路6から電気的な動作信号を受けて伸張する素子を使用している。即ち、本実施形態では、アクチュエータ72(82)としてソレノイドが使用されている。従って、制御回路6は、動作信号の電流の大きさによってかかるソレノイドに基づく前述した抵抗力の大きさを自在に調節することが可能である。 【0059】また、アクチュエータ72(82)として圧電素子を使用しても良い。この場合、制御回路6は、動作信号の電圧の大きさによってかかるソレノイドに基づく前述した抵抗力の大きさを自在に調節することが可能である。 【0060】このように、アクチュエータ72(82)として電気的な動作信号を受けて伸張する素子を使用することにより、通電(又は電圧の印可)のオンオフを切り替えることで関節部4(5)に対する抵抗力の付加と無付加とを自在に切り替えることができる。従って、必要に応じて無付加状態で各リンク1,2,3の回動,回転動作を自在に行うことが可能となる。このため、制振装置10を設置又は取り外す場合や制振対象物Sに対する制振効果を不要とする際には(例えば制振対象物を移動する場合)に各関節部4,5の抵抗力を受けることなく容易にそれらの作業を行うことが可能である。また、アクチュエータ72(82)としてソレノイドや圧電素子を使用することにより、抵抗力調節を自在に行うことが可能であるため、制振対象物Sの重量や予想される振動の大きさ,周期に応じて適度な制振効果が得られる抵抗力に自在に設定することが可能である。 【0061】また、図4に示すように、荷重発生体として弾性機構72A(82A)を有する関節抵抗付加手段7A(8A)を使用しても良い。これらについても構造が同じであるため、同時に説明する。この弾性機構72A(82A)は、前述した枠体71(81)の各横棒の他端部側にそれぞれ設けられた貫通穴に挿通される支柱73A(83A)と、支柱の中間部近くであって両端部よりの位置にそれぞれ固定された二つのボルト74A(84A)と、各ボルト74A(84A)よりも支柱73A(83A)の端部側に併設された二つのワッシャ75A(85A)と、各ワッシャ75A(85A)よりもさらに端部側に配置された弾性体としての二つのコイルばね76A(86A)とから構成されている。 【0062】支柱73A(83A)は、枠体71(81)の二つの横棒の他端部側に設けられた貫通穴に挿通されて縦棒と平行に各横棒に架設されている。この支柱73A(83A)は両端部から中間部近傍までそれぞれ雄ねじが切られている。上述の各ボルト74A(84A)は、支柱の両端部からそれぞれ雄ねじが切られている位置まで締められて固定される。そして、それぞれのボルト74A(84A)にワッシャ75A(85A)がかまされ、さらに各ワッシャ75A(85A)と各横棒との間にコイルばね76A(86A)が介挿される。 【0063】各コイルばね76A(86A)は、かかる介挿状態において自然長よりも圧縮される長さに設定されている。従って、かかる弾性機構72A(82A)により、各横棒の他端部は、常時押し広げられる方向に荷重を受け、従って、各保持部材43a,43b(53a,53b)は係合突起41(51)を常時締め付けた状態となり、アーム21(22)の回動動作及び回転動作に対して常時抵抗力を付加した状態となる。 【0064】以上のように、このような弾性機構72A,82Aでもアクチュエータ72,82と同様の制振対象物Sの制振効果を得ることが可能である。但し、上記弾性機構72A、82Aの場合は、必要に際してのみ各関節部4,5に抵抗力を付加することはできず、常時抵抗力を付加した状態となるため、各リンク1,2,3を傾斜又は回転させるためには、付加された抵抗力に抗して行わなければならない。しかしながら、この様な弾性機構72A,82Aは、一般的な部品の組み合わせで容易に実現することができ、アクチュエータ72,82のように電源や制御手段も不要であるため、アクチュエータ72,82と比較して高い生産性を得ることが可能である。 【0065】次に、第二のリンク2について図2に基づいて説明する。この第二のリンク2は、第二の関節部5と連結されるリンク本体23と、第一の関節部4と連結されると共に長手方向に沿って往動自在な状態でリンク本体23に保持される往動体24と、この往動体24の往復動作に抵抗力を付加する伸縮抵抗付加手段25とを有している。 【0066】上記リンク本体23は、短冊状の底板とこの底板の長手方向の両端部からそれぞれ立ち上げられた二つの壁面を有する断面コ字状の枠である。そして、一端部側の壁面に底板の長手方向に沿って前述した固定アーム22が固定装備されている。この固定アーム22は、その先端部が第二の関節部5を介して第三のリンク3と連結されている。また、リンク本体23の他端部側の壁面には、前述した可動アーム21がリンク本体23の長手方向に沿って摺動自在に支持されている。この可動アーム23は、その一端部が第一の関節部4を介して第一のリンク1と連結されている。 【0067】この可動アーム21の他端部は往動体24に固定連結されている。従って、往動体24はかかる可動アーム21を介して第一の関節部4と連結されていることとなる。かかる往動体24は、リンク本体23の底板上に設けられた二本のガイドレール28に保持されている。これらのガイドレール28は、リンク本23体の長手方向にそって摺動自在に往動体24を保持している。このように、可動アーム21と往動体24とがリンク本体23に対して往復動作を自在とすることにより、第二のリンク2全体がその長手方向に沿って伸縮自在となっている。 【0068】さらに、伸縮抵抗付加手段25は、リンク本体23と往動体24との間に摺動摩擦を生ぜしめる摩擦体としての摩擦板26と、リンク本体23と往動体24とを互いに密着させる方向に荷重を付加する密着付勢部とを備えている。 【0069】上記摩擦板26は、表面の摩擦係数が高く設定された板状体であり、リンク本体23の底板の上面(図2に表れている面)に固定装備されている。即ち、リンク本体23と往動体24との間に介挿された状態にある。往動体24は、この摩擦板26上を摺動した状態で往復動作を行うことになる。 【0070】密着付勢部は、往動体24上に載置状態で装備された電磁石27と、リンク本体23の背面に装備された図示しない永久磁石から構成されている。電磁石27は、前述した制御回路6と接続されており、当該制御回路6の動作制御に従って通電される。また、この電磁石6は、リンク本体23の底板に垂直な方向に磁界が生じるように往動体24上に装備されている。 【0071】一方、永久磁石は、リンク本体23の背面上において、往動体24の往復位置に沿って複数配置されている。また、これらのいずれの永久磁石も、通電状態の電磁石27に対して引力を生じる方向に向けられてリンク本体23に装備されている。従って、電磁石27に通電が行われると、往動体24を摩擦板26側に押しつけることになり、往動体24には高い摩擦力が付勢されることとなる。従って、制振対象物Sに振動が生じると、第二のリンク2の長手方向に沿った振動成分が減衰され、かかる振動が抑制される。 【0072】次に、制御回路6について、図1に基づいて説明する。この制御回路6は、CPU,ROM,A/D変換器を含む演算装置で構成され、後述する制振装置10の動作制御を実行するプログラムが入力されている。即ち、制御回路6は、後述する振動検出手段61で検出された振動が予め設定された所定の大きさを越えるときに関節抵抗付加手段7,8の各アクチュエータ72,82に動作信号即ち所定の大きさの電流を通電すると共に伸縮抵抗付加手段25の電磁石27へ所定の大きさの電流を通電する。 【0073】上述の振動検出手段61は、いわゆる加速度センサであり、第三のリンク3に装備されている。この振動検出手段61は、複数の加速度センサで構成し、各々の加速度を検出する方向が異なるように第三のリンク3に装備しても良い。この場合、制御回路6は加速度センサのいずれか一つでも所定の大きさの振動を検出した場合に、上述した通電制御を行うことが望ましい。また、振動検出手段として、一定の大きさ以上の振動が加えられた場合に転倒する状態で置かれた錘の当該転倒を検出し制御回路に出力する構成としても良い。 【0074】上述のような制御回路6及び振動検出手段61を備えることにより、制振対象物Sが転倒や破損を生じるような大きな振動時にのみ制振効果を生じる設定とすることも可能となり、制振対象物Sを移動させる場合等には抵抗力による負担御発生を回避することが可能となる。また、常時各アクチュエータ72,82及び電磁石27に通電する必要がなくなるので、装置の省電力化を図ることが可能となる。 【0075】以下、上記構成からなる制振装置10の全体的な動作について説明する。まず、図1のように第一のリンク1を建造物Kの壁面に装備し、第三のリンク3を制振対象物Sに連結する。無振動状態においては、各関節抵抗付加手段7,8及び伸縮抵抗付加手段25は作動していないので、制御回路6が作動する程の加速度を生じない程度にゆったりした動作であれば、抵抗力により負担を生じることなく制振対象物Sを自在に位置変更及び姿勢変更させることが可能である。 【0076】そして、何らかの原因(例えば地震等)で外部から所定の大きさ以上の振動が加えられると、制御回路6により各アクチュエータ72,82及び電磁石27に通電が行われる。 【0077】これにより、各関節部4,5では、アクチュエータ72,82がそれぞれ伸張し、枠体71,81を介して保持部材43a,53aと保持部材43b,53bとがそれぞれ接近する方向に荷重が加えられる。従って、係合突起41,51は各保持部材43a,43b,53a,53bに締め付けられ、球面部と凹面部42a,42b,52a,52bとの摩擦力が増大する。 【0078】従って、振動により生じた各リンク1,2,3の相対的な傾斜動作及び回転動作に基づく振動成分は全て上述の摩擦力により減衰し、制振対象物Sに生じた振動が抑制される。 【0079】また、第二のリンク2では、電磁石27への通電により往動体24が摩擦板26に押圧される。従って、振動により生じた第二のリンク2の伸縮動作に基づく振動成分は往動体24に生じた摩擦力により減衰し、制振対象物Sに生じた振動は全ての成分について抑制される。 【0080】以上のように、上述の制振装置10では、二つの関節部4,5と第二のリンク2の伸縮により第一のリンク1に対する第三のリンク3の六自由度の動作を自在としているため、制振対象物Sを第三のリンク3に接続したままの状態で、リンクの到達範囲内のあらゆる位置にあらゆる姿勢で配置することが可能である。 【0081】そして、制振対象物Sの移動や姿勢変化には、必ず各関節部4,5の回動,回転又は第二のリンク2の伸縮を伴うので、これら各関節部4,5に関節抵抗付加手段7,8を併設し且つ第二のリンク2に伸縮抵抗付加手段25を設けたことにより、制振対象物Sにいかなる方向に振動を生じた場合でも、各関節部4,5又は第二のリンク2に抵抗力を生じ、かかる振動を減衰させ抑制することが可能となる。 【0082】さらに、制振装置10は、第二のリンク2を伸縮自在としたことにより、三リンク二関節の構成で制振対象物をあらゆる方向に移動させ且つあらゆる姿勢に変化させることを可能としている。即ち、第二のリンク2が伸縮自在であることによって、リンク数及び関節数を低減し、装置の短小化及び軽量化を図ると共に生産性の向上を図ることを可能としている。このように制振装置の短小軽量化が図られることによって、制振対象物Sの振動時における制振装置10の自重及び自らの長さによるモーメントの発生を低減し、より制振効果を向上することが可能となる。 【0083】また、密着付勢部を電磁石27と永久磁石とにより往動体24の摩擦抵抗を生ぜしめる構成としたので、通電(又は電圧の印可)のオンオフを切り替えることで往動体24の往復動作に対する抵抗力の付加と無付加とを自在に切り替えることができる。従って、必要に応じて無付加状態で第二のリンク2の伸縮動作を自在に行うことが可能となる。このため、制振装置10を設置又は取り外す場合や制振対象物Sに対する制振効果を不要とする際には(例えば制振対象物Sを移動する場合)に第二のリンク2の伸縮時における抵抗力を受けることなく容易にそれらの作業を行うことが可能である。 【0084】また、各関節部4,5を球面部を有する係合突起41,51とこれに対応する凹面部42a,42b,52a,52bをそれぞれ備える保持部材43a,43b,53a,53bとを有する構成とした場合、係合突起41,51を各凹面部42a,42b,52a,52bで滑動させることにより第一のリンク1と第二のリンク2及び第二のリンク2と第三のリンク3の各々の間の三自由度の動作を容易に確保することが可能である。 【0085】さらに、各関節抵抗付加手段7,8が保持部材43a,43b,53a,53bに係合突起を締結する方向に荷重を付加する構成としたので、かかる荷重の付加動作のみで一度に三自由度の動作に抵抗力を付加することができ、装置が簡略化され生産性の向上を図ることが可能である。 【0086】また、制振装置10では、関節抵抗付加手段7の枠体71を第一のリンクと一体的に連結し、関節抵抗付加手段8の枠体81を第三のリンク3に一体的に連結したので、関節抵抗付加手段7の重量が第一のリンク1に、関節抵抗付加手段8の重量が第三のリンク3に、伸縮抵抗付加手段25の重量が第二のリンク2にそれぞれ分散される。従って、制振装置10の全体的な重量バランスがその長手方向に渡って平均化され、これに伴い各リンク1,2,3の回動によるモーメントも平均化されるので、各方向成分における振動がバランス良く平均的に抑制される。 【0087】ここで、前述した電磁石27に替えて永久磁石を用いる構成としても良い。この場合、往動体24は常にその往復動作に抵抗力が付加されることとなるが生産コストの低減を図ることが可能である。また、電磁石27と磁性体の構成に替えてバネ等の弾性体を用いて往動体24を摩擦板26に押圧する構成としても同様である。 【0088】さらにまた、上述の摩擦板26と電磁石27と磁性体の構成に替えて、往動体24の往復動作に抵抗力を与えるべく、一般粘性減衰を用いたダンパ(例えば、オイルダンパ、空気ダンパ、磁気ダンパ等)をリンク本体23と往動体24との間に介挿する構成としても良い。 【0089】さらにまた、上述の摩擦板26と電磁石27と磁性体の構成に替えて、往動体24の往復動作に抵抗力を与えるべく、可変粘性減衰を用いたダンパ(例えば、ERダンパ、MRダンパ等)をリンク本体23と往動体24との間に介挿する構成としても良い。 【0090】ここで、図5に、上述した第一のリンク1,第一の関節部4及び関節抵抗付加手段7の他の例を示す。ここに示す第一のリンク1Bは、当該第一のリンク1Bの長手方向両端部に位置する上板11B及び底板12Bとこれら上板11Bと底板12Bと平行な状態で固定連結する四本の支柱13B(二本は図示略)とから構成されている。この第一のリンク1Bは、上述の底板12Bの下面側で、地面や建造物の壁面等の構造物に固定される。 【0091】第一の関節部4Bは、前述の可動アーム21の先端部に設けられた係合突起41と、第一のリンク1の一端部に位置し,球面部に対応した凹面部42Ba,42Bbを介して係合突起41を狭持する二つの保持部材43Ba,43Bbとを有している。 【0092】二つの保持部材43Ba,43Bbは、いずれも係合突起41の外径と等しい(或いはミクロン単位で若干大きく設定された)曲率半径に設定された球に対応する凹面部42Ba,42Bbが形成されている。また、各保持部材43Ba,43Bbには凹面部42Ba,42Bbに隣接してロートを二分割した形状の切り欠き44Ba,44Bbが設けられている。かかる切り欠き44Ba,44Bbにより、各保持部材43Ba,43Bbが可動アーム21の係合突起41を中心とする回動を妨げることを防止している。 【0093】さらに、これらの保持部材43Ba,43Bbは、係合突起41を挟んで対称形状を成している。そして、これら保持部材43Ba,43Bbは、互いの凹面部42a,42bを向かい合わせ且つ近接させた状態で、第一のリンク1Bの長手方向(図5の上下方向)に沿って並んで配置されている。また保持部材43Baは、第一のリンク1Bの上板11Bの下面に当接した状態で固定装備されている。 【0094】また、各保持部材43Ba,43Bbは、各々の凹面部42Ba,42Bbが係合突起41の球面に一様に接した状態で保持部材43Ba,43Bb同士で幾分か(例えば0.5[mm])の隙間ができるように各々の凹面部42Ba,42Bbの深さが設定されている。 【0095】第一の関節部4Bは、上記構成により、可動アーム21を係合突起41を中心としてあらゆる方向に傾斜させ、且つアーム21の長手方向を中心として自らを自在に回転させることができる。 【0096】関節抵抗付加手段7Bは、前述したソレノイドや圧電素子からなるアクチュエータ72Bと当該アクチュエータ72Bと保持部材43Bbとの密着を付勢する四本の引っ張りバネ73B(二本は図示略)とから構成されている。 【0097】このアクチュエータ72Bは、その伸張する方向が第一のリンク1Bの長手方向と平行となるように、第一のリンク1Bの底板12Bと保持部材43Bbとの間に介挿されている。即ち、アクチュエータ72Bの先端部は、保持部材43Bbの凹面部42Bbとは逆側の部位にて連結されている。また、前述したように、アクチュエータ72Bが保持部材43Bbと連結された状態において、保持部材43Baと保持部材43Bbとの間に若干の隙間が形成されるように、アクチュエータ72Bの長さ又は保持部材43Bbの厚さが設定されている。 【0098】各引っ張りバネ73Bは、保持部材43Bbの底面と第一のリンク1Bの底板12Bとを連結し、常時、保持部材43Bbに底板12B側への引っ張り荷重を付加している。これにより、保持部材43Bbとアクチュエータ72Bとの有効な密着状態を維持している。 【0099】アクチュエータ72Bは、アクチュエータ72と同様に制御回路6(図5では図示略)に接続され、動作信号を受けて作動する。作動時には、アクチュエータ72Bは、保持部材43Bbを直接保持部材43Ba側に押圧する。従って、係合突起41は、各保持部材43Ba,43Bbに締め付けられることとなり、その球面部と各凹面部42Ba,42Bbとの間の摩擦力が増大し、化可動アーム21の回動及び回転動作に抵抗力を付加することとなる。 【0100】このように、第一のリンク1B,第一の関節部4B及び関節抵抗付加手段7Bを以上のように構成した場合でも、前述した第一のリンク1,第一の関節部4及び関節抵抗付加手段7と同様に機能し、同様の効果を得ることが可能である。また、第三のリンク3,第二の関節部5及び関節抵抗付加手段8についても、上述した第一のリンク1B,第一の関節部4B及び関節抵抗付加手段7Bと同じ構造としても良い。 【0101】 【発明の効果】本願発明では、二つの関節部と第二のリンクの伸縮により第一のリンクに対する第三のリンクの少なくとも六自由度の動作を自在としているため、制振対象物を第三のリンクに接続したままの状態で、各リンクの到達範囲内のあらゆる位置にあらゆる姿勢で配置することが可能である。 【0102】そして、制振対象物の移動や姿勢変化には、必ず各関節部の回動,回転又は第二のリンクの伸縮を伴うので、これら各関節部に関節抵抗付加手段を併設し且つ第二のリンクに伸縮抵抗付加手段を設けたことにより、制振対象物にいかなる方向に振動を生じた場合でも、各関節部又は第二のリンクに抵抗力を生じ、かかる振動を減衰させ抑制することが可能となる。 【0103】さらに、本願発明は、第二のリンクを伸縮自在としたことにより、三リンク二関節の構成で制振対象物をあらゆる方向に移動させ且つあらゆる姿勢に変化させることを可能としている。即ち、第二のリンクが伸縮自在であることによって、リンク数及び関節数を低減し、装置の短小化及び軽量化を図ると共に生産性の向上を図ることを可能としている。このように制振装置の短小軽量化が図られることによって、制振対象物の振動時における制振装置の自重及び自らの長さによるモーメントの発生を低減し、より制振効果を向上することが可能となる。 【0104】また、密着付勢部を電磁石と磁性体とにより往動体の摩擦抵抗を生ぜしめる構成とした場合には、通電(又は電圧の印可)のオンオフを切り替えることで往動体の往復動作に対する抵抗力の付加と無付加とを自在に切り替えることができる。従って、必要に応じて無付加状態で第二のリンクの伸縮動作を自在に行うことが可能となる。このため、制振装置を設置又は取り外す場合や制振対象物に対する制振効果を不要とする際には(例えば制振対象物を移動する場合)に第二のリンクの伸縮時における抵抗力を受けることなく容易にそれらの作業を行うことが可能である。 【0105】また、各関節部を球面部を有する係合突起とこれに対応する凹面部を備える保持部材とを有する構成とした場合、係合突起を凹面部で滑動させることにより各リンク間の三自由度の動作を容易に確保することが可能である。さらに、関節抵抗付加手段が保持部材に係合突起を締結する方向に荷重を付加する構成とした場合には、かかる荷重の付加動作のみで一度に三自由度の動作に抵抗力を付加することができ、装置が簡略化され生産性の向上を図ることが可能である。 【0106】また、保持部材を二分割し、関節抵抗付加手段がそれらの保持部材で係合突起を狭持させる構成とした場合にも、同様の効果を得ることが可能である。 【0107】荷重発生体を弾性体とした場合には、各関節部への抵抗力の付加が当該弾性体のような一般的な部品で容易に実現することができ、電気的な機構のように電源や制御手段も不要であるため、高い生産性を得ることが可能である。 【0108】荷重発生体を電気的な動作信号を受けて伸張する素子とした場合には、通電(又は電圧の印可)のオンオフを切り替えることで各関節部に対する抵抗力の付加と無付加とを自在に切り替えることができる。従って、必要に応じて無付加状態で各リンクの回動,回転動作を自在に行うことが可能となる。このため、制振装置を設置又は取り外す場合や制振対象物に対する制振効果を不要とする際には(例えば制振対象物を移動する場合)に各関節部の抵抗力を受けることなく容易にそれらの作業を行うことが可能である。 【0109】また、一方の関節抵抗付加手段の枠体を第一のリンクと一体的に連結し、他方の関節抵抗付加手段の枠体を第三のリンクに一体的に連結した場合には、一方の関節抵抗付加手段の重量が第一のリンクに、他方の関節抵抗付加手段の重量が第三のリンクに、伸縮抵抗付加手段の重量が第二のリンクにそれぞれ分散される。従って、装置の全体的な重量バランスがその長手方向に渡って平均化され、これに伴い各リンクの回動によるモーメントも平均化されるので、各方向成分における振動がバランス良く平均的に抑制される。 【0110】さらに、制御回路及び振動検出手段を備える構成とした場合はに、必要に応じた振動時にのみ制振対象物の制振を行うことが可能となる。従って、制振対象物が転倒や破損を生じるような大きな振動時にのみ制振効果を生じる設定とすることも可能であり、制振対象物を移動させる場合等には抵抗力による負担御発生を回避することが可能となる。また、常時各素子及び電磁石に通電する必要がなくなるので、装置の省電力化を図ることが可能となる。 【0111】本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、従来にない優れた制振装置を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595116902 【氏名又は名称】大亦 絢一郎
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| 【出願日】 |
平成11年10月12日(1999.10.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079164 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 勇
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| 【公開番号】 |
特開2001−108011(P2001−108011A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−290202 |
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