| 【発明の名称】 |
ロータリダンパ |
| 【発明者】 |
【氏名】中西 博
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| 【要約】 |
【課題】高度の加工と組付精度を必要とすることなく、ロータリダンパとしての安定した減衰特性の維持を可能にする。
【解決手段】ケーシング2との間に回転止め機構5を施して軸方向へと相対変移可能に移動シャフト6を配設し、当該移動シャフト6にピストン体11を取り付けてケーシング2の内部を二つのオイル室16,17に区画すると共に、移動シャフト6の先端側に位置するオイル室17の一部をフリーピストン19でガス室20に区画し、かつ、二つに区画したオイル室16,17をピストン体11に設けた通路21,22で相互に連通し、これら通路21,22に対し減衰バルブ7,8を設けて相手側のオイル室17,16に向かうオイルの流れに所定の減衰抵抗を与える一方、ケーシング2に対し外部から軸方向への動きを規制して回動自在に入力ロッド26を挿通し、当該入力ロッド26を移動シャフト6へとボールスクリュー29を介して螺合する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシングとの間に回転止め機構を施して軸方向へと相対変移可能に移動シャフトを配設し、当該移動シャフトにピストン体を設けてケーシングの内部を二つのオイル室に区画すると共に、移動シャフトの先端側に位置するオイル室の一部をフリーピストンでガス室に区画し、かつ、ピストン体で二つに区画したオイル室を相互に相手側のオイル室に向かうオイルの流れに対し所定の減衰抵抗を与える通路を通してそれぞれ連通する一方、ケーシングに対し外部から軸方向への動きを規制して回動自在に入力ロッドを挿通し、当該入力ロッドを移動シャフトへとボールスクリューを介して螺合したことを特徴とするロータリダンパ。 【請求項2】 ケーシングの一端を閉じるキャップ体とピストン体との間に移動シャフトとボールスクリュー部分のガタ取りを兼ねる懸架用のスプリングを介装した請求項2のロータリダンパ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、車両における車体懸架用のサスペンション装置やその他の振動体において、二物体間に発生した相対振動に対し減衰抵抗を与えることによって当該相対振動を速やかに減衰するロータリダンパの改良に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種のロータリダンパは、セパレートブロックで区画した扇形状のオイル室をもつケーシングとベーンを備えたロータとからなっており、ケーシングの中心部分に対して外部からロータを回動自在に挿通している。 【0003】ロータは、ベーンによってケーシングにおける扇形状のオイル室を交互に拡張と収縮を繰り返す対のオイル室に区画し、これらオイル室を互に相手側のオイル室に向かうオイルの流れに対して所定の減衰抵抗を与える通路を通してそれぞれ連通している。 【0004】このようにして、ケーシングとロータとの相対回動運動に伴い拡張と収縮を繰り返すオイル室間のオイルの流れに所定の減衰抵抗を与え、二物体間に生じた振動を速やかに減衰するようにしたものが広く一般に用いられている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】この場合、ケーシングに設けたセパレートブロックとロータのベーンとで交互に拡張と収縮を繰り返すオイル室を区画する際に、ベーンの先端面から両側面に亙って設けたシールで両オイル室間を密封するシールタイプ式のものと、ベーンの先端面と両側面にシールを施すことなく、ベーンを通して減衰抵抗を与える通路を設けたシールレスタイプ式の二つの異なったタイプのものがある。 【0006】しかし、前者のシールタイプ式のロータリダンパは、ベーンの先端面から両側面に亙ってシールを設けてやる関係状当該シールがエンドレスとはならず、ベーンにおける両側面の基端部分で終わるコの字形状のシールとなる。 【0007】そのために、このベーンの基端部分で終わるシールの密封性の確保が非常に難しく、当該部分の加工精度や組立精度を厳密に維持するのが困難で減衰特性にバラツキが生じ易い。 【0008】また、後者のシールレスタイプ式のロータリダンパにあっては、ベーンに対してシールを設置してやる代わりベーンを通して減衰抵抗を与える通路を設け、当該通路を流れるオイルの減衰抵抗にベーンの先端面と両側面の隙間から洩れるオイルの流動抵抗を加えて所定の減衰抵抗を与えるようにしている。 【0009】その結果、隙間の大小が直ちにそこを通るオイルの流動抵抗に影響を与えることから隙間の管理に高度の加工精度と組立精度とを必要とし、先のシールタイプ式のロータリダンパと同じく加工性および組付性を確保するのが難しく、減衰特性にバラツキが生じ易いことになる。 【0010】このように、何れのタイプのロータリダンパにあっても加工や組立に少しでも誤差があったとすると、それらが直ちにロータリダンパとしての性能に影響を与えて性能低下を招くことになり、結果として、これらの加工および組付に多大の手数を要するという問題点を有していた。 【0011】したがって、この発明の目的は、高度の加工および組付の精度を容易に確保しつつ、安定した減衰特性を維持するのことのできる新規のロータリダンパを提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記したこの発明の目的は、ケーシングとの間に回転止め機構を施して軸方向へと相対変移可能に移動シャフトを配設し、当該移動シャフトにピストン体を設けてケーシングの内部を二つのオイル室に区画すると共に、移動シャフトの先端側に位置するオイル室の一部をフリーピストンでガス室に区画し、かつ、ピストン体で二つに区画したオイル室を相互に相手側のオイル室に向かうオイルの流れに対し所定の減衰抵抗を与える通路を通してそれぞれ連通する一方、ケーシングに対し外部から軸方向への動きを規制して回動自在に入力ロッドを挿通し、当該入力ロッドを移動シャフトへとボールスクリューを介して螺合することにより達成される。 【0013】すなわち、上記のように構成することで、ケーシングと入力ロッドとの間に相対回動運動が加わると、ボールスクリューを通して移動シャフトと共にピストン体が回転止め機構を通して往復運動を行う。 【0014】このピストン体の往復運動に伴い、当該ピストン体で二つに区画したケーシング内のオイル室の間に通路を通るオイルの流れが生じ、これら通路によってケーシングと入力ロッドの相対回動運動に対して減衰抵抗が加わることになる。 【0015】このことから、二つに区画したケーシング内のオイル室間の密封は、ピストン体の外周面にエンドレスのシールを設けることによって可能となり、これによって、加工性および組付性の両方が著しく向上することになる。 【0016】なお、上記において、外部からの相対回動運動は、例えば、ベルクランク等を通して入力ロッドに伝えられることになるが、このとき、ボールスクリューで減速されてピストン体をもつ移動シャフトに伝えられるために、振動発生体の動きに対してピストン体のストロークを小さくとることができ、従来の筒形ショックアブソーバに比べても基本長を著しく短縮することが可能になる。 【0017】また、ケーシングの一端を閉じるキャップ体とピストン体の間には、移動シャフトとボールスクリューの部分のガタ取りを兼ねる懸架用のスプリングを介装してやることができ、したがって、全体の形態をより簡素化して小型に構成することができるのである。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、添付した図面に基いてこの発明の実施の形態を説明するに当り、ここでは、車両の車体懸架用サスペンション装置に適用した場合について説明していくが、当該発明は、これに限らず二物体間に発生した相対振動に減衰抵抗を与えるものであれば、どのような相対振動物体に対してもそのままロータリダンパとして適用することができる。 【0019】図1において、この発明の実施の形態であるロータリダンパ1は、ケーシング2の一端にシール3を介装してキャップ4を螺着し、このキャップ4との間に回転止め機構5を施して中空状の移動シャフト6を軸方向へと相対変移可能に配設している。 【0020】移動シャフト6には、減衰バルブ7,8と間座9,10を両面に宛てがったピストン体11が嵌装してあり、これらを移動シャフト6の先端にシール12を介して螺着したキャップ13により移動シャフト6の段部14との間で挟んで固定してある。 【0021】ピストン体11の外周面には、シール15が介装してあってケーシング2の内壁面へと摺接し、当該シール15と先のキャップ13に設けたシール12とが互に共働してケーシング2の内部をピストン体11で二つのオイル室16,17に区画している。 【0022】二つのオイル室16,17のうち移動シャフト6の先端側に位置するオイル室17には、外周面にシール18をもつフリーピストン19が挿入してあって、オイル室17の一部を当該フリーピストン19でガス室20に区画している。 【0023】これら二つのオイル室16,17を相互に所定の減衰抵抗を付与して連通するために、当該実施の形態にあっては、ピストン体11に対して貫通する二組の通路21,22を設けている。 【0024】一方の組の通路21の入口側は、減衰バルブ8に対して設けた通孔23でオイル室16に連通すると共に、オイル室17への出口側を減衰バルブ7で塞ぎ、また、他方の通路22は、入口側をそのままオイル室17に開放すると共に、オイル室16への出口側を減衰バルブ8で塞いでいる。 【0025】ケーシング2内へは、キャップ4を貫通してシール24を介装しつつ外部から鍔25をもつ入力ロッド26が挿入してあり、当該入力ロッド26は、鍔25の両側にベアリング27を当て、キャップ4にねじ込んだ抑え部材28で鍔25をキャップ4との間で挟み込むことにより、ケーシング2に対し外部から軸方向への動きを規制しつつ回動自在に挿通してある。 【0026】入力ロッド26は、外部からシール24によって密封状態を保ちつつキャップ4を貫通してピストン体11をもつ中空状の移動シャフト6の内部まで伸び、当該移動シャフト6へとボールスクリュー29を介して螺合している。 【0027】なお、入力ロッド26の外部へと突出する部分に取り付けたベルクランク30は、車体と車輪間の上下振動の一方を入力ロッド26へと回動運動に変換して伝えるためのものであり、また、キャップ4とピストン体11との間に介装したスプリング31は、移動シャフト6とボールスクリュー29の部分のガタ取りを兼ねる懸架用のスプリングである。 【0028】したがって、車両における車体と車輪以外の二物体間に生じた相対振動に減衰抵抗を与えるのであれば、上記に限らず例えば相対振動が初めから回動運動の場合には直接、また、それ以外の場合にあっては、他の如何なる手段を用いて入力ロッド26に回動運動として伝えるようにしてもよく、さらに、スプリング31については、その必要がない場合には省くこともできる。 【0029】以上により、入力ロッド26のベルクランク30とケーシング2のアイ32を用いてロータリダンパ1を車両における車輪と車体間に取り付けてやると、スプリング31によりピストン体11を押す力がボールスクリュー29で回動力に変換されて入力ロッド26に伝わる。 【0030】この入力ロッド26に伝わった回動力は、ベルクランク30を通して車体を支える支持力として作用し、このようにして、移動シャフト6とボールスクリュー29の部分のガタ取りを兼ねる懸架用のスプリングとして作用する。 【0031】そして、この状態から車体と車輪間に上下振動が生じてケーシング2とベルクランク30を通し入力ロッド26との間に相対回動運動が加わると、ボールスクリュー29により移動シャフト6と共にピストン体11が回転止め機構5を通して往復運動を行う。 【0032】このピストン体11の往復運動に伴い、二つに区画したケーシング2内のオイル室16,17の間に当該ピストン体11に穿った各通路21,22を通して流れるオイル流れが生じる。 【0033】この場合、車体が沈むとピストン体11が懸架用のスプリング31を押し縮めつつオイル室16を圧縮する方向へと移動し、逆に、車体が浮き上がるとピストン体11が懸架用のスプリング31を伸ばしつつオイル室17を圧縮する方向へと移動する。 【0034】これにより、前者の場合にあっては、オイル室16内のオイルが減衰バルブ8の通孔23からピストン体11の通路21を通して減衰バルブ7を押し開きつつオイル室17へと流れる。 【0035】また、後者の場合には、オイル室17内のオイルがピストン体11の通路22から減衰バルブ8押し開いてオイル室16へと流れ、このようにして、減衰バルブ7,8により所定の減衰抵抗を加えて車体と車輪間の上下振動を速やかに減衰する。 【0036】なお、この場合において、ケーシング2におけるオイル室16,17へのピストン体11を伴う移動ロッド6の侵入および退出体積に相当する量のオイルの体積変化は、ガス室20の膨張および収縮によるフリーピストン19の移動によって補償される。 【0037】また、この他にも、上記ガス室20は、オイル室16,17のオイルを高圧に保ってキャビテーションの発生を防ぐ働きや、発熱によるオイル室16,17の膨張および収縮によるオイルの圧力変化、或いは、オイル自身の膨張および収縮によるオイル圧力の変化を補償する役目をも兼ね備えている。 【0038】 【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、ケーシングとの間に回転止め機構を施して軸方向へと相対変移可能に移動シャフトを配設し、当該移動シャフトにピストン体を取り付けてケーシングの内部を二つのオイル室に区画すると共に、移動シャフトの先端側に位置するオイル室の一部をフリーピストンでガス室に区画し、かつ、ピストン体で二つに区画したオイル室を相互に相手側のオイル室に向かうオイルの流れに対し所定の減衰抵抗を与える通路を通してそれぞれ連通する一方、ケーシングに対し外部から軸方向への動きを規制して回動自在に入力ロッドを挿通し、当該入力ロッドを移動シャフトへとボールスクリューを介して螺合したことにより、二つに区画したケーシング内のオイル室間の密封をピストン体の外周面に対しエンドレスのシールを設けることによって可能となり、したがって、ロータリダンパとしての加工性および組付性の両方を著しく向上させることができる。 【0039】しかも、上記に加えて、外部からの入力ロッドへの相対回動運動は、ボールスクリューで減速されてピストン体をもつ移動シャフトに伝えられることになるために、振動発生体の動きに対してピストン体のストロークを小さくとることができ、従来の筒形ショックアブソーバに比べても基本長を著しく短縮することが可能になる。 【0040】また、請求項2の発明によれば、ケーシングの一端を閉じるキャップ体とピストン体との間に移動シャフトとボールスクリュー部分のガタ取りを兼ねる懸架用のスプリングを介装したことにより、ロータリダンパとしての全体の形態をより簡素化して小型に構成することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000929 【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月12日(1999.10.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067367 【弁理士】 【氏名又は名称】天野 泉
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| 【公開番号】 |
特開2001−108003(P2001−108003A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−289045 |
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