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【発明の名称】 回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構
【発明者】 【氏名】曲 渕 通 昇

【要約】 【課題】回転体がショックアブソーバーへ衝突する際の偏角当たりをなくし、ショックアブソーバーの損傷を防ぐ機構を提供する。

【解決手段】回転軸2に固定され一端にストッパ部材4を有する回転体3及び上記ストッパ部材4がほぼ直角に衝突するように上記回転体の回転方向に配置されたショックアブソーバー5からなり、該ショックアブソーバー5はショックアブソーバー本体7から突出する緩衝ロッド6を有し、該緩衝ロッド6の端面9に上記ストッパ部材4が衝突できるように回転体3の回転方向を含む平面における上記ストッパ部材4の衝突箇所付近の断面形状を円弧で形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】回転軸に固定され一端にストッパ部材を有する回転体及び上記ストッパ部材がほぼ直角に衝突するように上記回転体の回転方向に配置されたショックアブソーバーからなり、該ショックアブソーバーはショックアブソーバー本体から突出する緩衝ロッドを有し、該緩衝ロッドの端面に上記ストッパ部材が衝突できるように回転体の回転方向を含む平面における上記ストッパ部材の衝突箇所付近の断面形状を円弧で形成したことを特徴とする回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構。
【請求項2】上記ストッパ部材が円筒体あるいは円筒体の一部で構成されいる請求項1記載の回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構。
【請求項3】上記ストッパ部材が球体あるいは球体の一部で構成されている請求項1記載の回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構。
【請求項4】上記ストッパ部材が上記回転体の端部に相対回転可能に設けられたローラまたはボールである請求項1記載の回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構。
【請求項5】上記回転体はロータリーアクチュエータであって、上記回転軸はラックピニオン機構により回動される請求項1〜4のいずれかに記載の回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来ロータリアクチュエータ等の回転体をショックアブソーバーに当てて停止させたものは公知である。しかし、従来のショックアブソーバーを用いた回転体の停止装置では、図5に示すように、ショックアブソーバーの緩衝ロッドに対して回転体が傾いて(該緩衝ロッドの軸線に対する回転体の傾き角を偏角という。)当たるため、回転体は緩衝ロッド端部の角の部分に当たる。そして、このように回転体が偏角により緩衝ロッド端部の角の部分に当たることを偏角当たりと定義すると、緩衝ロッドには偏角当たりにより図5に示すような力Fが緩衝ロッドの軸線に対し斜めに作用するため、緩衝ロッドにはアキシャル荷重(緩衝ロッドの軸線方向に作用する荷重)だけでなく、大きなラジアル荷重(緩衝ロッドの軸線に対し直角方向の荷重)が作用する。また、回転体が緩衝ロッドに衝突する際には、回転体と緩衝ロッドの接触部に発生する摩擦力によるラジアル荷重も発生する。そして、緩衝ロッドの軸線方向に作用するアキシャル荷重はショックアブソーバーにより十分緩衝することができるが、緩衝ロッドの軸線に対し直角方向のラジアル荷重は、緩衝ロッドを囲むように設けたショックアブソーバーの軸受けによりその荷重を受けるため、緩衝ロッドまたは緩衝ロッドの軸受け部が損傷する恐れがあるという問題がある。
【0003】これを防止するため、一般にはショックアブソーバーを回転中心から一定以上の距離を離して設置し、偏角が小さくなるように考慮する必要がある。しかし、スペースの関係から、回転中心からショックアブソーバーの設置位置までの距離を大きくとれない場合も多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、回転中心からショックアブソーバーの設置位置までの距離を大きくとれない場合に、偏角当たりをなくし、ショックアブソーバーの損傷を防ぐことができる回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決するため、本発明の回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構は、回転軸に固定され一端にストッパ部材を有する回転体及び上記ストッパ部材がほぼ直角に衝突するように上記回転体の回転方向に配置されたショックアブソーバーからなり、該ショックアブソーバーはショックアブソーバー本体から突出する緩衝ロッドを有し、該緩衝ロッドの端面に上記ストッパ部材が衝突できるように回転体の回転方向を含む平面における上記ストッパ部材の衝突箇所付近の断面形状を円弧で形成したことを特徴としている。
【0006】また、上記回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構において、上記ストッパ部材を円筒体あるいは円筒体の一部で構成したことを特徴としている。
【0007】また、上記回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構において、上記ストッパ部材を球体あるいは球体の一部で構成していることを特徴としている。
【0008】また、上記回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構において、上記ストッパ部材を上記回転体の端部に相対回転可能に設けられたローラまたはボールにしていることを特徴としている。
【0009】また、上記回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構において、上記回転軸がラックピニオン機構により回動されるようにしていることを特徴としている。
【0010】
【作用】本発明のストッパ部材は、図1に示すように、回転体の回転方向を含む平面におけるストッパ部材の衝突箇所付近の断面形状を円弧で形成した。したがって、図1に示すように、回転体は緩衝ロッドの端面に衝突するため、緩衝ロッドに作用する衝突力のほとんどはアキシャル荷重となり、緩衝ロッドに作用するラジアル荷重を大幅に低減することができる。また、回転体が緩衝ロッドに衝突する際には、緩衝ロッドとストッパ部材の接触部の摩擦力により緩衝ロッドにはラジアル荷重が発生するが、ストッパ部材を回転体の端部に対し相対回転可能なローラまたはボールとすることにより、摩擦力によるラジアル荷重をほぼなくすことが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】図2は本発明の一実施例を示し、本発明の回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構1は、回転軸2に固定され一端にストッパ部材4を有する回転体3及び上記ストッパ部材4がほぼ直角に衝突するように上記回転体3の回転方向に配置されたショックアブソーバー5を有している。
【0012】また、上記ショックアブソーバー5はショックアブソーバー本体7から突出する緩衝ロッド6を有し、該緩衝ロッド6はショックアブソーバー本体7内に軸受け8を介して支持されており、通常はショックアブソーバー内に設けたバネ(図示せず)の力により図の上方に位置しているが、図2において回転体3が矢印方向に回転しストッパ部材4が上記緩衝ロッド6に衝突した際には、該衝撃力により上記緩衝ロッド6は上記バネ力に抗して下方に移動し、その際上記衝突力を緩衝している。なお、この実施例ではバネ式のショックアブソーバーを用いたが、オイルダンパ方式のショックアブソーバーまたはバネ式とオイルダンパ方式を併用したショックアブソーバーを用いてもよい。
【0013】また、上記ストッパ部材4は、上記ストッパ部材4が上記緩衝ロッド6の端面9に衝突できるように、回転体3の回転方向を含む平面における上記ストッパ部材4の衝突箇所付近の断面形状を円弧で形成している。上記ストッパ部材4の衝突箇所付近の断面形状を円弧で形成する具体例としては、上記ストッパ部材を円筒体あるいは円筒体の一部で構成したり、球体あるいは球体の一部で構成するものがある。
【0014】図2では、回転体3がショックアブソーバー5に衝突した際の断面図、すなわち回転体3の回転方向を含む平面により回転体3やショックアブソーバー5を切断した断面図を図示しているため、上記ストッパ部材4を円筒体にした場合でも球体にした場合でも同じ断面図になるが、上記ストッパ部材4を円筒体にした場合にはストッパ部材4と緩衝ロッド6の端面9との接触は線接触になり、上記ストッパ部材4を球体にした場合にはストッパ部材4と緩衝ロッド6の端面9との接触は点接触になる。
【0015】また、上記ストッパ部材4は、上記回転体3と一体に形成してもよく、または上記ストッパ部材4を上記回転体3と別体に形成して両者をボルト、ナット、溶接、接着剤、収縮ばめ等の周知の固着手段により固着してもよい。図2に示す実施例では、回転体3は緩衝ロッド6の端面9に衝突するため、緩衝ロッド6に作用する衝突力のほとんどはアキシャル荷重となり、緩衝ロッド6に作用するラジアル荷重を大幅に低減することができるから、緩衝ロッド6または緩衝ロッドの軸受け部8の損傷を防止することができる。
【0016】図3は本発明をロータリーアクチュエータに適用した実施例を示し、本発明の回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構1は、周知のラックピニオン機構(図示せず)を収納するハウジング10から回転軸2を突出させ、該回転軸2に固定された回転体3に2つの支持腕11、11’を設け、該支持腕11、11’にストッパ部材4、4’を固着し、上記ストッパ部材4、4’がほぼ直角に衝突するように上記回転体3の回転方向に2つのショックアブソーバー5、5’を配置している。なお、図3において第1実施例の部材名と同じ部材名のものは符号を同じにしている。
【0017】図3の実施例では、2つのショックアブソーバー5、5’は支持体12に周知の固着手段(例えば、ボルト、ナット等)で着脱自在に固着されており、該支持体12はハウジング10に周知の固着手段で着脱自在に固着されている。上記回転軸2は上記ラックピニオン機構のピニオンに連結されており、該ピニオンは互いに対抗する2つのラックにより駆動され、該2つのラックはそれぞれがシリンダ内を空気圧等により気密に摺動するピストンに連結され、上記シリンダへの空気圧を切り変えることにより上記回転軸2は左右に回転可能であり、回転体3が右方向に回転した場合にはストッパ部材4がショックアブソーバー5に衝突し、回転体3が左方向に回転した場合にはストッパ部材4’がショックアブソーバー5’に衝突する。
【0018】なお、図3に示す実施例では、ストッパ部材4,4’はショックアブソーバーの軸方向と直交する紙面に垂直方向の軸を有する円筒体の一部で構成されており、該円筒体のショックアブソーバーの軸方向側の周面は円筒状のままであるが、支持腕11,11’の軸方向側は両側の面が切り取られて平面41,42になっており、その一方の平面41が支持腕11,11’に取り付けられている。また、図3に示す実施例では、ストッパ部材4,4’と支持腕11,11’とを別体に形成して両者を周知の固着手段により固着しているが、ストッパ部材4,4’と支持腕11,11’とを一体に形成してもよい。
【0019】図4は本発明の更に別の実施例を示し、この実施例では上記ストッパ部材を上記回転体3の端部11に相対回転可能に設けられたローラ14としている。すなわち、この実施例では、上記端部11に上記ローラ14の一部が収納される空間部を形成し、該空間部に上記ローラ14を収納すると共に上記端部11に設けた支持ピン13により上記ローラ14を回転可能に支持している。
【0020】回転体3のストッパ部材4が緩衝ロッド6に衝突する際の摩擦力は、ストッパ部材4が回転体に対し相対回転可能なローラである場合には、衝突時に接触面でローラが回転可能なため、ストッパ部材4が回転体に固定されている場合に比べるとはるかに小さい摩擦力となる。したがって、図4に示す実施例のものでは、回転体が緩衝ロッドに衝突する際の接触部の摩擦力によるラジアル荷重をほぼなくすことが可能となる。
【0021】図4に示す実施例では上記ストッパ部材4を上記回転体3の端部11に相対回転可能に設けられたローラ14としたが、上記ストッパ部材4を上記回転体3の端部11に相対回転可能に設けられたボールとしても同様の効果が得られる。また、上記回転体3の端部11に相対回転可能に設けられるローラ14としては、市販のボールベアリング(例えば、ローラ形状のボールベアリング)等を利用することもできる。
【0022】
【発明の効果】本発明の回転体のショックアブソーバーへの偏角当たり防止機構は、回転体が緩衝ロッドの端面に衝突し偏角当たりが防がれるため、緩衝ロッドに作用する衝突力のほとんどはアキシャル荷重となり、緩衝ロッドに作用するラジアル荷重を大幅に低減することができる。したがって、回転体がショックアブソーバーの緩衝ロッドに衝突する際の緩衝ロッドまたは緩衝ロッドの軸受け部の損傷を防ぐことができる。また、ストッパ部材を回転体の端部に対し相対回転可能なローラまたはボールとした場合には、回転体がショックアブソーバーの緩衝ロッドに衝突する際の摩擦力によるラジアル荷重をほぼなくすことができるから、よりいっそう回転体がショックアブソーバーの緩衝ロッドに衝突する際の緩衝ロッドまたは緩衝ロッドの軸受け部の損傷を防ぐことができる。
【出願人】 【識別番号】000102511
【氏名又は名称】エスエムシー株式会社
【出願日】 平成11年10月13日(1999.10.13)
【代理人】 【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏 (外1名)
【公開番号】 特開2001−108001(P2001−108001A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−291150