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【発明の名称】 自動バランス補正手段を有するスピンドルモータ
【発明者】 【氏名】山口 忠男

【要約】 【課題】簡単な最小部品点数からなる部材構成でコストを犠牲にしないで回転時のバランスがとれているときはその位置を維持すると共に、アンバランス状態の時は遠心力の差を補正するために少ない遠心力でも径方向に可動でき、低姿勢なものにする。

【解決手段】ロータケース(2、22)の上面部(2b、22b)を中心の軸支部から外方に溝(22c)などを有する逆上がる緩いテーパに形成し、この上面部にバランス補正部材(1、11、12)を配し、このバランス補正部材が飛びでないようにカバー部材(3、33)を取り付けると共に前記バランス補正部材が径方向に飛び出ないようにした手段(3a,33a、R、RR)を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータ自体で回転系のアンバランスを補正するようにした自動バランス補正手段を有するスピンドルモータにおいて、ロータケース上面を中心の軸支部から外方に逆上がる緩いテーパを形成し、この上面にバランス補正部材を配し、このバランス補正部材が飛びでないようにカバー部材を取り付けると共に前記バランス補正部材が径方向に飛び出ないようにした手段を設けた自動バランス補正手段を有するスピンドルモータ。
【請求項2】 前記バランス補正部材は複数個のボールであって前記カバー部材はターンテーブルで構成され、前記ボールが径方向に飛び出ないようにした手段の少なくとも一部はターンテーブルの外周から垂下させた袴部である請求項1に記載の自動バランス補正手段を有するスピンドルモータ。
【請求項3】 前記ロータケース上面に放射状に前記ボールより小幅の複数本の溝を設け、この溝に前記ボールの一部を格納した請求項1または請求項2に記載の自動バランス補正手段を有するスピンドルモータ。
【請求項4】 前記ロータケース上面外周部に弾力性のあるOリングを配した請求項1または請求項2に記載の自動バランス補正手段を有するスピンドルモータ。
【請求項5】 前記Oリングを介してロータケース上面とカバー部材を密閉し、この密閉した空間にバランス補正部材として密度3以上の高密度流動部材を配した請求項4に記載の自動バランス補正手段を備えたスピンドルモータ。
【請求項6】 前記Oリングを配置する空間は駆動用マグネットを配置するときにできる段差部を利用した請求項4または請求項5に記載の自動バランス補正手段を有するスピンドルモータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、CD−ROM、DVD−ROMなどの光メディアを駆動させるスピンドルモータの改良に係り、特にメディアを含む回転体のアンバランスによる振動を補正させるようにした自動バランス補正手段を備えたスピンドルモータに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、モータのメディアを含む回転系のアンバランスによる高速回転時の振動を防ぐためにターンテーブルの下方にこれらのアンバランスを矯正するオートバランサーを備えたスピンドルモータが知られるようになってきた。この技術の原型は、Thearlの自動平衝装置(理工学社出版の機械力学p146,147参照)があるが、最近においてはこの技術を利用した種々のオートバランサー方式が提案されている。例えば、図5に示すように浅い円筒ケースK1に複数個の小さなボールB1を格納し、このボールB1の自由可動を利用して回転時の遠心力アンバランスを矯正するようにしたものがある。
【0003】ところが、上記のような構成ではボールがケース内を自在に動くため、バランサーとして効果が不安定である。すなわち、静止状態のときには、ボールの位置が一定となっていないため不安定であった。また、この静止状態のときにボールの位置が外側にある場合はイナーシャが大となって立ち上がり時が遅れたり、回転系がバランスがとれている場合は逆作用が問題になったり、不必要にモータのパワーを上げざるを得なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、図6に示すように回転軸Sの周りにマグネットMを配し、静止時あるいはバランスがとれているときは、ボールB1はマグネットM1に吸着させておき、回転スタート時にアンバランスがある場合は、ボールBはマグネットMの磁力に逆らって外方に離れ遠心力アンバランスを矯正するようにした構成も考えられている。(たとえば、特開平10−340528号など参照)しかしながら、このような構成ではマグネットM1のコストが今度は問題となってくる。また、上記いずれの構成でも、ボールB1が鉄製のものでは、この浅い円筒ケースKの上部に配したターンテーブルTにメディアチャック用マグネットmを接近して配したものでは、このメディアチャック用マグネットmの磁力の影響を無視できなくなる。さらに、上記のような構成では、オートバランサー部分がかなり厚みがあるためモータ全体の姿勢が高くなる嫌いがあり、姿勢を低くするには、モータ本体部が押さえ込まれ、必然的にモータの性能が悪化する。
【0005】この姿勢を犠牲にしないようにするには、薄い偏心円盤あるいは偏心リングを利用すればよい。このような偏心円盤あるいは偏心リングを用いた先行技術としては特開平11−4558号、特開平10−257710号及び特開平11−69706号などに開示されている。しかしながら、これらの薄い偏心円盤あるいは偏心リングは、配置時にモータが静止時に回転中心と重心が必ずしも一致するようになっていないため、低速時あるいはメディアを含む回転系のバランスがとれている場合は、かえってこの薄い偏心円盤あるいは偏心リングの偏心の影響が出てしまう問題点がある。
【0006】この発明の第1の目的は、簡単な最小部品点数からなる部材構成でコストを犠牲にしないで回転時のバランスがとれているときはその位置を維持すると共に、アンバランス状態の時は遠心力の差を補正するために少ない遠心力でも径方向に可動できるようにすることにある。この発明の第2の目的は、自動バランス補正手段を有しながらも低姿勢なものにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の基本的な課題を解決するには、請求項1に示す発明のようにモータ自体で回転系のアンバランスを補正するようにした自動バランス補正手段を有するスピンドルモータにおいて、ロータケース上面を中心の軸支部から外方に逆上がる緩いテーパを形成し、この上面にバランス補正部材を配し、このバランス補正部材が飛びでないようにカバー部材を取り付けると共に前記バランス補正部材が径方向に飛び出ないようにした手段を設けたもので達成できる。具体的な第2の課題解決手段としては、請求項2に示す発明のように前記バランス補正部材は複数個のボールであって前記カバー部材はターンテーブルで構成し、前記ボールが径方向に飛び出ないようにした手段の少なくとも一部はターンテーブルの外周から垂下させた袴部であるもので達成できる。具体的な第3の課題解決手段としては、請求項3に示す発明のように前記ロータケース上面に放射状に前記ボールより小幅の複数本の溝を設け、この溝に前記ボールの一部を格納したもので達成できる。第4の具体的な課題解決手段としては、請求項4に示す発明のように前記ロータケース上面外周部に弾力性のあるOリングを配したもので達成できる。第4の課題解決手段としての具体的な構造は、請求項5示す発明のように前記Oリングを介してロータケース上面とカバー部材を密閉し、この密閉した空間にバランス補正部材として密度3以上の流動部材を配したものでもよい。そして、より具体的な課題解決手段としては、請求項6に示す発明のように前記Oリングを配置する空間は駆動用マグネットを配置するときにできる段差部を利用したものにするとよい。
【0008】上記請求項1に示す課題達成手段によれば、テーパによってバランス補正部材は静止時あるいは低速時は中央に集まっていてバランスがとれ、回転時に回転系に偏心があったときは反偏心の方向に移動するのでバランスがとれることになる。請求項2に示す課題達成手段によれば、ボールはロータケース上面で転動して径方向に移動し、さらに回動するので回転系の偏心量が大であっても反重心の方向に集まり、アンバランスを補正できる。請求項3に示す課題達成手段によれば、ボールの一部は溝にはいるので、この部分だけボールのサイズの大なものを用いることができ、ボールのサイズが同じなら全体として薄型にできる。請求項4に示す課題達成手段によれば、バランス補正部材がボールであれば、遠心力で外周に移動したときの衝撃音がOリングで受け止められるので、外部に発生しない。請求項5、6に示す課題達成手段によれば、タングステン粉末などを混合したオイルなどの高密度流動性部材を封入し流出が防止できる。請求項6に示す課題達成手段によれば、デットスペースを利用することになるので低姿勢にでき、Oリングの配置が容易にできる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す各実施の形態に基づき本発明の構成を説明する。図1は本発明の自動バランス補正手段を有するスピンドルモータの第1の実施の形態を示す縦断面図、図2は第2の実施の形態を示す要部縦断面図、図3は図2のロータケース部分の同ボールの動作を説明する要部平面図、そして図4は同モータの第3の実施の形態を示す要部縦断面図である。
【0010】図1において、1は本願の特徴であるアンバランス補正部材としての直径3ミリ程度の鋼球(ボール)で、中心の軸支部2aから外方に逆上がる緩いテーパを形成したロータケース2の上面部2bに複数個配置される。前記ロータケース2の中央の軸支部2aから回転軸Sが突き出され、鋼球1が飛び出さないようにカバー部材としての樹脂製のターンテーブル3が取り付けられる。このターンテーブル3は外周に前記ロータケース上面2bの外周部に袴部3aで受け止められる。このため、鋼球の転動する範囲の円盤部3bは薄手にできる。このように構成すると、鋼球1は、静止時は自重によって中央部分に集まり、このモータ、ターンテーブルおよびメディアディスクなどを含む回転系に偏心があると高速時に遠心力振動が発生するが、鋼球1が遠心力によって緩いテーパを逆上がって反偏心方向に集まり、相殺しあって重心と回転軸中心が一致し振動が外部に発生しない。また、鋼球1は高速回転時に転動してターンテーブル3の袴部3aに当たるが、袴部3aは樹脂で形成してあるので衝撃音が問題とならない。この構成は、バランス補正手段として鋼球だけの部材ですむので、コスト的に極めて有利となる。図中、Bは前記鉄心4に巻回した電機子コイル5を軸受けハウジングHを介して支持するステータベースで、中逃げ軸受けJを介して前記回転軸Sを回転自在に支承させている。Mは前記電機子コイル5によって駆動されるマグネットである。
【0011】図2、図3に示すものは、より低姿勢なものにするのを目的とするもので、ロータケース22の上面部22bにボール11の一部が入る溝孔22cを軸支部22aから図示するように法線方向に放射状、あるいは回転方向にあわせた三日月型放射状でに設けたものである。もちろん、この場合も図1と同様なテーパを形成しておくことには変わりがない。ボールが径方向に飛び出さないようにする手段としては、右半身に図示するように前記のターンテーブル3の袴部3aしても、図3と図2の左半身に示すようにロータケース22から切り起こした舌片22dにしてOリングRを介在させたものでもよい。OリングRを介在させたものは衝撃音が出ないようになる。このようにすると、ロータケースの板厚分だけ低姿勢にでき、低姿勢が要求されないものではボールのサイズを図示のように大にできる。なお、滑りをよくするため、ロータケース2,22や溝22cはフッ素樹脂でコーティングするのがよい。このように構成すれば、ボール11は、静止時は自重によって中央部分に集まり、このモータ、ターンテーブルおよびメディアディスクなどを含む回転系に偏心Aがあると高速時に遠心力振動が発生するが、ボール11が遠心力によって緩いテーパを逆上がって反偏心方向に集まり、相殺しあって重心と回転軸中心が一致し振動が外部に発生しない。
【0012】図4はバランス補正部材としてボールに代わってタングステン粉末、微小鋼球鉛粉などの高比重材をオイルなどの流動体に混合した密度5程度の高密度流動体12を用いるもので、すなわち、ロータケース2の上面部2bをテーパにするのは変わらないが、傾きをやや強くするのがよい。そして外周を内蔵した駆動用マグネットMを受ける段差部2eにしてここにOリングRRを装着し、高密度流動体12を注入して前記のようなターンテーブル33の袴部33aでOリングRRを押さえ込んで密閉したものである。なお、高密度流動体12は、密度が大のほど偏心量が大きいものに対応できるが、回転系の偏心量はあまり大ではないので、流動性を確保した密度3以上あれば十分である。このようにすると、高密度流動体12は、静止時は自重によって中央部分に集まり、このモータ、ターンテーブルおよびメディアディスクなどを含む回転系に偏心があると高速時に遠心力振動が発生するが、高密度流動体12が想像線で示すように遠心力によって緩いテーパを逆上がって反偏心方向に集まり、相殺しあって重心と回転軸中心が一致し振動が外部に発生しないようになる。なお、前記OリングRRは、流出を防ぐために撥液処理をするのが望ましい。図中、図1と同一部材は同一符号を付してその説明を省略する。
【0013】なお、上記アンバランス補正部材(ボールおよびボール飛び出し防止手段、高密度流動体12およびOリング等)は、この発明の技術的思想、要旨を逸脱しない範囲、すなわち特許請求の範囲内において種々の数量、形状及び材質のものが採用できる。
【0014】
【発明の効果】この発明による小型振動モータは、上記のように、簡単な最小部品点数からなる部材構成でコストを犠牲にしないで構成しており、回転時のバランスがとれているときはその位置を維持すると共に、少ない遠心力でも径方向に可動できるので、アンバランス状態の時は回転系の合成偏心方向と反対側に移動して遠心力の差を補正することになる。
【0015】さらに具体的には次のような効果が発揮できる。請求項1に示す発明によれば、テーパによってバランス補正部材は静止時あるいは低速時は中央に集まっていてバランスがとれ、回転時に回転系に偏心があったときは反偏心の方向に移動して回転中心と重心が一致してバランスがとれることになる請求項2に示す発明によれば、ボールはロータケース上面で転動して径方向に移動し、さらに回動するので回転系の偏心量が大であっても反重心の方向に集まり、アンバランスを補正できる。請求項3に示す発明によれば、ボールの一部は溝に入るので、この部分だけボールのサイズの大なものを用いることができ、ボールのサイズが同じなら全体として薄型にできる。請求項4に示す発明によれば、バランス補正部材がボールであれば、遠心力で外周に移動したときの衝撃音がOリングで受け止められるので、外部に発生しない。請求項5に示す発明によれば、タングステン粉末などを混合したオイルなどの高密度部材を封入でき、流出も防止できる。請求項6に示す発明によれば、デットスペースを利用することになるので低姿勢にでき、Oリングの配置が容易にできる。
【出願人】 【識別番号】000220125
【氏名又は名称】東京パーツ工業株式会社
【出願日】 平成11年7月6日(1999.7.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−21004(P2001−21004A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−192371