| 【発明の名称】 |
鉄道車両用歯車形撓み軸継手 |
| 【発明者】 |
【氏名】乾 利一
|
| 【要約】 |
【課題】許容軸角θを満足して現状並みの強度を確保し、かつ、バックラッシュδを現状よりも小さくする。
【解決手段】ほぼ同一軸線上に対向配置された二つの軸を接続する歯車形撓み軸継手である。複数の円弧からなる外歯歯車3a,4aのピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1と、この歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2との変曲点11を歯幅中央寄りにして、円弧R1が歯幅cに対して占める割合2a/cを減少させた外歯形状を有する外歯歯車3a,4aを採用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ほぼ同一軸線上に対向配置された二つの軸を接続する歯車形撓み軸継手であって、複数の円弧からなる外歯歯車のピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1と、この歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2との変曲点を歯幅中央寄りにして、円弧R1が歯幅に対して占める割合を減少させた外歯形状を有することを特徴とする鉄道車両用歯車形撓み軸継手。 【請求項2】 円弧R1が歯幅に対して占める割合を50%以下としたことを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用歯車形撓み軸継手。 【請求項3】 請求項1又は2記載の鉄道車両用歯車形撓み軸継手において、歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2を歯幅の大きさよりも大きな半径となすと共に、この円弧R2に小さな半径を有する円弧R3を連続させた外歯形状を有することを特徴とする鉄道車両用歯車形撓み軸継手。 【請求項4】 ほぼ同一軸線上に対向配置された二つの軸を接続する歯車形撓み軸継手であって、複数の円弧からなる外歯歯車のピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1の頂点を軸継手の両端側に移動させた外歯形状を有することを特徴とする鉄道車両用歯車形撓み軸継手。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両用台車においてほぼ同一軸線上に対向する軸と軸の間に介設され、ばね変位などによる両軸間の相対変位を許容し、かつ、モータのトルクを伝達する鉄道車両用継手において、歯車を用いてその機能を満足する鉄道車両用歯車形撓み軸継手に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の歯車形撓み軸継手は図6に示すように、相対向する一対のモータ軸1と歯車装置の小歯車軸2の軸端に、それぞれ外歯歯車3a,4aを有する内筒3,4を例えばテーパ焼嵌めにより装着し、これら内筒3,4のそれぞれの外歯歯車3a,4aに噛み合う内歯歯車5a,6aを有する外筒5,6を遊動可能に配置することにより、台車枠変位により生じるモータと歯車装置間の軸方向、径方向の相対変位を許容する構造である。なお、図6中の7,8は特殊ナット、9,10は中心板を示す。 【0003】この歯車形撓み軸継手は、図7に示すような状態となって、モータ軸1と歯車装置の小歯車軸2の相対変位を許容するため、歯の一部は、図9に示したように、傾きや軸角θが大きくなるにつれて外歯3aa,4aaと内歯5aa,6aaの隙間が小さくなる。そして、最大軸角θが発生した際にも外歯3aa,4aaと内歯5aa,6aaが干渉しないことが必要であり、このような条件を満足するように外歯3aa,4aaと内歯5aa,6aaの歯厚が決定される。 【0004】上記したような方法で、外歯3aa,4aaと内歯5aa,6aaの歯厚を決定した場合、軸角θが小さくなってゆくと、内歯5aa,6aaと外歯3aa,4aa間の隙間が大きくなってゆき、軸角θが0°となった際に前記隙間は最大となる。そして、その際の隙間量をバックラッシュδと称しているが(図8参照)、このバックラッシュδにより振動や騒音が大きくなる場合がある。 【0005】走行している際の高負荷時には、外筒は負荷によって、外歯と内歯に拘束力が発生して自動調心されるので、バックラッシュδの影響は小さいが、製作誤差による偏心量のため、振れ回り振動が発生する。しかし、その偏心量は小さく、振動レベルは小さい。 【0006】しかしながら、無負荷あるいは軽負荷時には、バックラッシュδによる遊隙のため、図10に示すように、歯部のばね作用により、内筒3,4に対し外筒5,6はバックラッシュδ分だけ、円周方向に回転し、同一歯の逆の面に当たる。そして、逆方向の歯のばね作用が発生し、逆方向に回転する。以上の回転を繰り返すことによって、回転方向のチャタリングが発生する。 【0007】また、図11に示すように、外筒5,6はバックラッシュδ分だけ芯ずれが生じるので、振れ回り力が発生し、振れ回り振動が発生する。芯ずれ量は製作誤差に比べて大きく、振動レベルも大きくなるので、騒音の発生源となる。そして、これらの振動は、継手のみならず歯車装置、モータ、車体等へも伝播することがあり、伝播した場合には乗客の快適性が損なわれる。 【0008】ところで、上記した歯車形撓み軸継手における外歯歯車3a,4aのピッチ円曲線は、図12や図13に示したように、歯幅中央で左右線対称となり、半歯幅bで見ると1つの円弧(図13参照)、或いは、2つの円弧(図12参照)を連続的につないでいる。この時、図12に示したように、歯幅中央の円弧をR1、歯端側の円弧をR2とすると、円弧を2つつないでいる場合でも、円弧R1が歯幅c(=2b)に対して占める割合2a/c(=a/b)は大きく、50%を超えている(図12に示す例では60%)。 【0009】また、歯幅中央のピッチ円上円筒断面における軸線方向の歯面形状曲線、すなわち、歯筋曲線は図8に示すように双曲線となっており、歯端側で歯厚が薄くなっている。従って、歯端側に向って歯筋曲線の接線角度を大きくしないと、軸角θが大きくなった場合に外歯歯車3a,4aと内歯歯車5a,6aが干渉し、要求される軸角θを許容できなくなる。要求される軸角θを許容できるように歯形形状を設計した場合には、軸角θが0°の際に発生する外歯歯車3a,4aと内歯歯車5a,6aの隙間がバックラッシュδとなる。 【0010】歯幅中央の円弧R1を小さくした方が、歯端側で接線角度が大きくなるので、軸角θを大きくとれ、また、バックラッシュδを小さくできることは以前から判明していたが、歯幅中央つまり歯幅中央の円弧R1が占める範囲2aは、使用頻度が激しい場所であり、強度の関係上、曲率半径はあまり小さくできないので、バックラッシュδを小さくするには限界があった。 【0011】上記した問題を解決するため、米国特許第2922294号(TOOTHEDCOUPLINGS)では、バックラッシュ量を小さくするために、歯筋方向断面形状の曲率半径を、歯幅中央では小さくし、歯幅端にゆくに従って徐々に大きくなるようにすれば良いと記載されている。 【0012】また、従来の歯車形撓み軸継手では、軸角θが0°の位置では全周の歯が歯幅の中央で噛み合い、軸角θが大きくなると噛み合う場所は歯筋の端の方に移動すると共に噛み合う歯の数は少なくなる。これに対して、米国特許第2922294号では、歯筋曲率半径を上述のように変化させることで、歯面の負荷能力を均衡させる効果がある旨記載している。さらに、10°以上の軸角θの近傍で噛み合わせる場合には、歯幅の中央の稜線で二分した二葉の歯面で構成することも記載されている。 【0013】また、特開平10−231849号では、従来の歯車形撓み軸継手が有しているバックラッシュの問題、および、軸角θが大きい位置での負荷能力の低下の問題を解決することを課題としている。そして、これらの問題を解決するために、外歯歯車の創成ラックピッチ平面上での歯筋線を、歯幅方向をX方向とした指数関数(Y=mXn )で与えるとしている。そして、与えられた小さなバックラッシュの下で、歯幅中央から歯筋端にゆくに伴って歯筋曲率半径が大きくなるような歯筋曲線形状を提案している。 【0014】外歯歯車の歯幅中央の歯筋曲率半径を小さくすれば、バックラッシュをより小さくすることができる。そして、歯筋端にゆくに伴って歯筋曲率半径が大きくなるようにすれば、負荷能力を均等化できることは先の米国特許第2922294号で公知となっている。また、歯筋曲率半径を変化させることについては、米国特許第2922294号が指摘するまでもなく、従来型でも双曲線となっており、すでに実施されている。これらを考慮すると、歯筋形状を定性的な表現で留まっている米国特許第2922294号に対して、特開平10−231849号では定量的に形状を提示していることが有効である。 【0015】ところが、上記した継手が使用される場所はスペース、すなわち、外歯歯車の中心間距離X(図6参照)が限られているため、最大軸角を小さくするには限界がある。なお、軸角θは下記式で表され、軸方向変位xが最大(中心間距離が縮まる方向)で半径方向変位yが最大時に軸角θは最大となる(図7参照)。 θ=Tan-1{y/(X−x)} 【0016】 【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来の歯車形撓み軸継手では、歯部のバックラッシュによる遊隙が存在するため、無負荷あるいは軽負荷の場合に、歯部のばね作用によるチャタリングや、外筒の芯ずれによる振れ回り振動により、振動や騒音が大きくなる場合がある。 【0017】従って、従来良く使用されている外歯歯車形状では、歯筋曲線の接線角度変化を大きく与えることが出来ないので、軸角θが大きくなった場合であっても外歯歯車と内歯歯車が干渉しないようにするために、1)ピッチ円曲線の歯幅中央の円弧R1の半径を小さくすることで、歯筋曲線の接線角度変化を大きくし、軸角θが大きい場合でも歯が干渉しないようにするか、あるいは、2)歯厚を全幅で薄くして歯が干渉しないようにして、バックラッシュδが大きくなるのを容認する。という方法を採用していた。 【0018】しかし、1 )のように歯幅中央の円弧R1の半径をただ単に小さくした場合には、外歯歯車を創成するラック歯形を直線とする場合、歯筋曲線が尖って干渉したり、歯面間の相対曲率半径が小さくなるために接触面圧が増大して歯面の負荷能力が減少するなどの不都合が生じる。また、2)のように歯厚を薄くした場合は、バックラッシュδが大きくなるので、振動や騒音が大きくなってしまうという欠点があった。 【0019】従来の設計手法でも、許容接触面圧以下となるようなピッチ円曲線で、バックラッシュδを最小値にすることとしているが、近年、鉄道車両用台車の乗心地改善のため、軸ばね剛性が小さくなり、本継手に要求される許容軸角θが大きくなってくる傾向にあるので、バックラッシュδを小さくするには限界があり、振動や騒音問題が発生している。 【0020】加えて、鉄道車両用継手の構成スペースは限られているので、中心間距離を広げることは困難であり、また、軸方向、半径方向の変位も使用条件によって決定しているので、最大軸角を小さくすることは困難であった。 【0021】これに対して、上記した米国特許第2922294号では歯筋中央部分について、歯筋曲率半径の与え方は述べられていない。また、特開平10−231849号では、以下に説明する理由によって、その歯筋曲率半径はゼロになると推定される。 【0022】すなわち、一般に、直角座標X,Yにおいて、Xの関数としてY=Y(X)で与えられる曲線の曲率半径Rは、R=(1+Y’2 )3/2 /Y”で与えられる。特開平10−231849号では、歯筋曲率半径Rが歯筋の端にゆくのに従って大きくなるように形成されるが、YがY=mXn で、また、Y”が分母にあることなどを考慮して解析すれば判るように、n=2以外ではX=0における歯筋曲率半径はゼロになると推察される。一方、n=2の場合には歯筋曲率半径の変化率が固定され、その変化率を自由に与えることができるとする主旨に反することになる。 【0023】さらに、従来の歯車形撓み軸継手の歯形では歯幅中央の円弧R1の半径を小さくすれば(極限ではR1=0)バックラッシュδを小さくできるが、歯面面圧が大きくなるので強度の関係上限界があった。また、歯幅中央の円弧R1の半径が歯幅の大きさ以下になると、図13に示したような1つの円弧では加工ができなくなり、図2(b)に示したように、歯幅の端部(図2(b)中のA部)において歯が形成できなくなる。なお、図12に示したような2つの円弧を使用し、2つ目の円弧R2の半径を大きくすることによって対処はできるものの、軸角θが大きくなってくると、端面当たりが生じる可能性がある。端面当たりが生じると、応力集中が発生して強度が極端に低下し、騒音の原因にもなる。 【0024】このように、歯筋曲線形状についての現在の課題は、歯幅中央での歯筋曲率半径をゼロとして稜線を作ったり、歯筋曲線が尖る等の問題を回避し、面圧は許容内で軸角θも許容値を満足してバックラッシュδを小さくすることができる歯筋形状を提案することである。 【0025】また、同じ構成スペース、同じ使用条件下で最大軸角を小さくすることで、バックラッシュδを小さくすることができる手法を提案することである。 【0026】本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、許容軸角θを満足して現状並みの強度を確保でき、また、バックラッシュδは現状よりも小さくできる歯車形撓み軸継手、また、同じ構成スペース、同じ使用条件下で最大軸角を少しでも小さくでき、小バックラッシュ化を達成できる歯車形撓み軸継手を提供することを目的としている。 【0027】 【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る第1の鉄道車両用歯車形撓み軸継手は、複数の円弧からなる外歯歯車のピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1と、この歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2との変曲点を歯幅中央寄りにして、円弧R1が歯幅に対して占める割合を減少させた外歯形状を有することとしている。そして、このようにすることで、ピッチ円上における円筒断面上の歯筋曲線の接線角度変化を大きくして許容軸角を満足し、かつ、バックラッシュを小さくすることができる。 【0028】また、上記した本発明に係る第1の鉄道車両用歯車形撓み軸継手において、歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2を歯幅の大きさよりも大きな半径となすと共に、この円弧R2に小さな半径を有する円弧R3を連続させた外歯形状を有することとしている。このようにすれば、特に、歯幅中央の円弧R1の半径が小さくなりすぎて歯幅の75%以下となった場合であっても、歯の加工が可能となり、かつ、軸角θが大きくなった場合でも端面当たりが生じず、また、バックラッシュを小さくすることができる。 【0029】また、本発明に係る第2の鉄道車両用歯車形撓み軸継手は、複数の円弧からなる外歯歯車のピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1の頂点を軸継手の両端側に移動させた外歯形状を有することとしている。そして、このようにすることで、同じ構成スペースであっても、中心間距離が増加することになって、最大軸角を小さくすることができ、その結果、バックラッシュも小さくすることができる。 【0030】 【発明の実施の形態】本発明に係る第1の鉄道車両用歯車形撓み軸継手は、ほぼ同一軸線上に対向配置された二つの軸を接続する歯車形撓み軸継手であって、複数の円弧からなる外歯歯車のピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1と、この歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2との変曲点を歯幅中央寄りにして、円弧R1が歯幅に対して占める割合を減少させた外歯形状を有するものである。 【0031】本発明に係る第1の鉄道車両用歯車形撓み軸継手において、円弧R1が歯幅に対して占める割合を50%以下にすることで、小バックラッシュ化に対してさらに良好な結果が得られた。 【0032】本発明に係る第1の鉄道車両用歯車形撓み軸継手は、上記したように構成することで、歯幅中央の円弧R1の半径を小さくすることなしに、許容軸角θを満足させることができ、しかも、従来形状のものよりもバックラッシュを小さくすることができるようになる。その結果、従来並みの強度を確保して、かつ、無負荷時あるいは軽負荷時に、バックラッシュが原因で発生する、チャタリングや振れ回り振動を抑制でき、振動や騒音を低減することができるようになる。 【0033】また、上記した本発明に係る第1の鉄道車両用歯車形撓み軸継手において、歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2を歯幅の大きさよりも大きな半径となすと共に、この円弧R2に小さな半径を有する円弧R3を連続させた外歯形状を有するようにすれば、特に歯幅中央の円弧R1の半径が小さくなりすぎて歯幅の75%以下となった場合でも、歯の加工が可能となり、かつ、バックラッシュを小さくすることができる。また、円弧R2に小さな半径を有する円弧R3を連続させることで、軸角θが大きくなった場合でも端面当たりが生じず、強度が低下することもない。円弧R3の半径は特に限定するものではないが、歯幅の大きさ以下とすることが望ましい。 【0034】また、本発明に係る第2の鉄道車両用歯車形撓み軸継手は、ほぼ同一軸線上に対向配置された二つの軸を接続する歯車形撓み軸継手であって、複数の円弧からなる外歯歯車のピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1の頂点を軸継手の両端側に移動させた外歯形状を有するようにしたものである。 【0035】本発明に係る第2の鉄道車両用歯車形撓み軸継手は、外歯歯車のピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1の中点すなわち頂点を、歯幅中央から軸継手の両端側に移動させることで、同じ構成スペースであっても、中心間距離が増加することになって、最大軸角を小さくすることができる。その結果、バックラッシュも小さくすることができる。本発明に係る第2の鉄道車両用歯車形撓み軸継手では、歯面形状については円弧R1の頂点位置がずれるものの、歯筋形状は従来と同じ曲率であり、歯幅も同じであるので、強度的には従来のものと何ら変わりはない。 【0036】 【実施例】以下、本発明の歯車形撓み軸継手を図1、図2(a)及び図5に基づいて説明する。 (実施例1)図1は本発明に係る第1の鉄道車両用歯車形撓み軸継手を構成する外歯歯車3a,4aの形状を示した図で、この図1に示した実施例では、例えば2つの円弧R1,R2からなる外歯歯車3a,4aのピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1と、この歯幅中央の円弧R1に連続する歯幅端部の円弧R2との変曲点11を歯幅中央寄りにして、円弧R1が歯幅cに対して占める割合2a/c(=a/b)を、従来の50%を超えたものから例えば30%に減少させている。 【0037】この図1に示した外歯歯車3a,4aにおけるピッチ円上における円筒断面の歯筋曲線を図3に太い実線で示すが、図12に示した従来の外歯歯車3a,4a(円弧R1が歯幅cに対して占める割合が60%のもの:図3に破線で示す)と比較して、歯筋曲線の接触角度変化を大きくとれることが判る。なお、図3中の11aは図1に示した本発明の実施例における変曲点を、また、11bは図12に示した従来例における変曲点を示す。 【0038】また、図3より本発明と従来のいずれも、許容軸角(図3中の細い実線)で内歯歯車5a,6aの歯面と干渉することがなく、要求される軸角を許容できることが判る。 【0039】さらに、図3より明らかなように、本発明では、従来よりも歯筋曲線の接触角度が大きいので、従来のバックラッシュδ2に比べて、小さくできることが判る。本発明のバックラッシュをδ1で示す。なお、本発明は、従来と円弧R1の大きさが同じであることから、強度的には従来形状と同じであることは言うまでもない。 【0040】図4に円弧R1,R2を同じ大きさとし、円弧R1が歯幅cに対して占める割合2a/cを変化させた場合の、バックラッシュδの大きさを示したが、この図4からも判るように、円弧R1が歯幅cに対して占める割合2a/cが50%以下になると、バックラッシュδを小さくすることができることが判る。 【0041】(実施例2)図2(a)は外歯歯車3a,4aのピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1の半径が歯幅cの例えば75%である場合における、本発明に係る第1の鉄道車両用歯車形撓み軸継手を構成する外歯歯車3a,4aの形状を示した図で、この図2(a)に示した実施例では、例えば3つの円弧R1,R2,R3からなる外歯歯車3a,4aのピッチ円曲線を構成する前記歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2を歯幅cよりも大きな半径、例えば歯幅cの200%となすと共に、この円弧R2に例えば歯幅cの75%の半径を有する円弧R3を連続させている。 【0042】この図2(a)に示した実施例では、円弧R1と円弧R2との変曲点11は、円弧R1が歯幅cに対して占める割合2a/c(=a/b)が30%となる位置に、また、円弧R2と円弧R3との変曲点12は、円弧R3が歯幅cに対して占める割合2d/c(=d/b)が30%となる位置としている。 【0043】歯幅中央の円弧R1の半径が歯幅の75%以下の場合、図2(b)に示したような一つの円弧R1だけでは、歯端に歯が形成できなくなるのに対して、本発明では、図2(a)に示したように、歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2を歯幅よりも大きな半径となすことで、歯幅中央の円弧R1の半径が歯幅の75%以下であっても、歯の加工が可能となる。 【0044】また、本発明では、歯幅中央の円弧R1が小さいので、バックラッシュを小さくすることができる。また、本発明では、円弧R2に小さな半径を有する円弧R3を連続させることで、軸角θが大きくなった場合でも端面当たりが生じず、強度が低下することもない。 【0045】(実施例3)図5は構成スペースは同じで、外歯歯車3aのピッチ円曲線を構成する歯幅中央の円弧R1の頂点位置を、軸継手の両端側に移動させて、外歯3aa,4aaの歯幅cの軸継手中央部よりの長さb1 が、軸継手端部部よりの長さb2 よりも長くした場合の、本発明に係る第2の鉄道車両用歯車形撓み軸継手を示した図である。この図5より、本発明に係る第2の鉄道車両用歯車形撓み軸継手にあっては、構成スペースは同じであっても、中心間距離Xが従来の軸継手と比べて増加することが判る。 【0046】一例として、元の中心間距離を150mmとし、外歯歯車の片側を2.5mmずつ軸継手の両端側に移動して中心間距離を155mmとした場合、本発明に係る第2の鉄道車両用歯車形撓み軸継手では、同じ半径、軸方向変位に対して最大軸角は約4%低減する。そして、その結果、バックラッシュは6%減少することになる。 【0047】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る第1の歯車形撓み軸継手によれば、歯幅中央の円弧R1を従来と比較して小さくすることなしに、また、特に、歯幅中央の円弧R1の半径が小さくなりすぎて歯幅の75%以下となった場合であっても、許容軸角θを満足させることができ、しかも、従来形状のものよりもバックラッシュを小さくすることができるようになる。その結果、従来並みの強度を確保して、かつ、無負荷時あるいは軽負荷時に、バックラッシュが原因で発生する、チャタリングや振れ回り振動を抑制でき、振動や騒音を低減することができるようになる。 【0048】また、本発明に係る第2の歯車形撓み軸継手によれば、同じ構成スペースであっても、中心間距離が増加することになって、最大軸角を小さくすることができ、バックラッシュも小さくすることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年11月5日(1999.11.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100060829 【弁理士】 【氏名又は名称】溝上 満好 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−132765(P2001−132765A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−314784 |
|