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【発明の名称】 ころ軸受の保持器及びこれを用いた三列円筒ころ旋回輪軸受
【発明者】 【氏名】山本 貴志

【要約】 【課題】ころ軸受のセグメント型保持器において、各ポケットを仕切る柱の強化を図り、ころ軸受の耐荷重性を向上させることである。

【解決手段】対向一対の側壁7の間を一定間隔で設けた柱8により仕切ってころ3を収納する所要数のポケット9を形成し、各ポケット9を構成する側壁内面12に側壁側端部及び柱内面13に柱側端部を有する所要の大きさのすみアール14を設けてなるころ軸受の保持器において、上記すみアール14の側壁側端部r2 を上記側壁内面12のころ接触位置より所要寸法Aだけ外側に設ける構成とした。これにより、すみアール14の曲率半径R2 が従来の曲率半径R1 より大きくなり、応力集中の分散を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の側壁の間を一定間隔に設けた柱で仕切ることにより、ころを収納する所要数のポケットを形成し、各ポケットを構成する側壁内面に側壁側端部を有すると共に、柱内面に柱側端部を有する所要の大きさのすみアールを設けてなるころ軸受の保持器において、上記すみアールの側壁側端部を上記側壁内面のころ接触位置より外側に設けたことを特徴とするころ軸受の保持器。
【請求項2】 上記のころ接触位置において、該ころが点接触又は線接触することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受の保持器。
【請求項3】 一対の側壁の間を一定間隔に設けた柱で仕切ることにより、ころを収納する所要数のポケットを形成し、各ポケットを構成する側壁内面に側壁側端部を有すると共に、柱内面に柱側端部を有する所要の大きさのすみアールを設けてなるころ軸受の保持器において、上記の隣接するポケットの位置を相対的に半径方向にずらせたことを特徴とするころ軸受の保持器。
【請求項4】 上記各ポケットの位置を、ころピッチ円を基準にして半径方向プラス側及びマイナス側に交互にずらせたことを特徴とする請求項3に記載のころ軸受の保持器。
【請求項5】 上記すみアールの側壁側端部を上記側壁内面のころ接触位置より外側に設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載のころ軸受の保持器。
【請求項6】 上記のころ接触位置において、該ころが点接触又は線接触することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のころ軸受の保持器。
【請求項7】 上記のころ軸受の保持器がセグメント型であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のころ軸受の保持器。
【請求項8】 請求項1から7のいずれかに記載の保持器を用いた三列円筒ころ旋回輪軸受。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はころ軸受けの保持器及びその保持器を用いた三列円筒ころ旋回輪軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種産業機械、運搬機械、建設機械等の旋回部分においては、図4及び図5に示すように、外輪1と内輪2との間に三列の円筒ころ3、4、5を組み込んだ大型の三列円筒ころ旋回輪軸受を用いることがある。この軸受において上下に配置されるスラスト受け用の円筒ころ3、4はセグメント型の保持器6により一定間隔に配置されかつ保持される。この場合の各保持器6は、図6及び図7に示すように、一対の緩やかにわん曲した円弧状の一定長さの側壁7、7間を、その両端部を含み複数の柱8で一定間隔に仕切り、柱8間に円筒ころ3収納用のポケット9を形成したものである。
【0003】上記のポケット9を構成する側壁内面12と柱内面13との間にはすみアール14が形成される。これらの側壁内面12と柱内面13は、いずれも円筒ころ3と線接触及び面接触するように、平坦面で形成されている。すみアール14の側壁側端部r1 は側壁内面12上にあり(図7(b)参照)、また柱側端部r0 は柱内面13上にある。この場合のすみアール14の中心点はO1 にあり、曲率半径はR1 である。
【0004】また、各ポケット9の中心は一定のピッチ円P上に等間隔に配置される。
【0005】上記の保持器6は、図5に示すように、所要数突き合わせて環状に配置され、各ポケット9に円筒ころ3を収納することにより三列円筒ころ旋回輪軸受が構成される(実用新案登録第2596634号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような旋回輪軸受を非常に過酷な条件で使用すると、柱8の根元部11(図7(a)参照)に応力が過剰に集中する可能性がある。その応力集中を避ける有効な一つの手段は、各ポケット9の4個所のすみアール14を相対的に大きくとることであるが、円筒ころ3との干渉を避ける必要があるために、すみアール14の大きさを円筒ころ3の面取り15(図6参照)を超える大きさにとることができない点で一定の限界があった。
【0007】また、上記の旋回輪軸受において、機種大型化の傾向から定格荷重増大の要求があるが、この要求に応えるべく円筒ころ3の数、即ちポケット9の数を増加させるには、柱8の幅を小さくする必要がある。しかし、根元部11への応力集中を考慮すると、柱8の幅を一定以上に小さくすることができないため、従来の構造では円筒ころ3の数を増加することについては一定の限界があった。
【0008】なお、以上は三列円筒ころ旋回輪軸受の上側ころ軸受について述べたが、円筒ころ4を収納した下側ころ軸受についても同様のことが言える(以下に述べる実施形態においても同じ。)。
【0009】そこで、この発明は、柱の根元部への応力集中を分散することにより、強度化と定格荷重の増大化を図ったころ軸受の保持器及びその保持器を用いた三列円筒ころ旋回輪軸受を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、この発明は、一対の側壁の間を一定間隔に設けた柱で仕切ることにより、ころを収納する所要数のポケットを形成し、各ポケットを構成する側壁内面に側壁側端部を有すると共に、柱内面に柱側端部を有する所要の大きさのすみアールを設けてなるころ軸受の保持器において、上記すみアールの側壁側端部を上記側壁内面のころ接触位置より外側に設けた構成とした。
【0011】上記のように、すみアールの側壁側端部をポケットの側壁内面のころ接触位置より外側に設けることにより、すみアールのころに対する逃げ量が大きくなり、すみアールの曲率半径を大きくとることができる。その結果、すみアールにおける応力の集中を分散することができる。
【0012】なお、上記のころ接触位置において、該ころが点接触する構成又は線接触する構成のいずれもとることができる。
【0013】また、前記の課題を解決するためのその他の手段として、対向一対の側壁の間を一定間隔に設けた柱で仕切ることにより、ころを収納する所要数のポケットを形成し、各ポケットを構成する側壁内面に側壁側端部を有すると共に、柱内面に柱側端部を有する所要の大きさのすみアールを設けてなるころ軸受の保持器において、上記の隣接するポケットの位置を相対的に半径方向にずらせた構成をとることができる。
【0014】上記の構成によると、柱の根元部両側の応力集中個所であるすみアールの位置がずれるので、応力集中個所が分散される。
【0015】ポケット位置のずらせ方として、各ポケットの位置を、ころピッチ円を基準にして半径方向プラス側及びマイナス側に交互にずらせる構成をとることができる。
【0016】また、上記の構成に加えて、すみアールの側壁側端部を上記側壁内面のころ接触位置より外側に設けた前記の構成を併せて採用することができる。この構成により、すみアールにおける応力集中の分散を図ることができると共に、すみアールの位置をずらせることにより応力集中個所を分散させることができる。この場合も、前述の場合と同様に、ころ接触位置において、該ころが点接触又は線接触する構成をとることができる。
【0017】なお、前記のいずれの場合も、保持器がセグメント型である構成をとることができる。
【0018】また、外輪と内輪との間に三列の円筒ころを組み込んだ三列円筒ころ旋回輪軸受の保持器として上述の保持器を用いることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図1から図3に示した三列円筒ころ旋回輪軸受に基づいて説明する。この場合の保持器6は前述の従来のものと同様に、セグメント型のものであり、対向一対の緩やかにわん曲した円弧状の一定長さの側壁7、7間を、その両端部を含み複数の柱8で一定間隔に仕切り、柱8間にころ3を収納するためのポケット9を形成したものである。
【0020】上記の保持器6は、従来の場合と同様に、所要数突き合わせて環状に配置され、各ポケット9にころ3を収納することにより三列円筒ころ旋回輪軸受が構成される(図4、図5参照)。
【0021】この場合の保持器6において従来と相違する第1の点は、図2(a)(b)に示すように、すみアール14の形状にある。即ち、すみアール14は従来のものと同様に、側壁側端部r2 と柱側端部r0 を有し、かつその柱側端部r0 が従来と同様に柱内面13上にあるが、側壁側端部r2 は側壁内面12の最もポケット9内方へ突き出しころ3と接触する位置(側壁内面12が円弧面であるときは、その最も内方へ膨出した位置)を基準として外側へ寸法Aだけ寄った位置に設定される(図2(b)参照)。このため、すみアール14の中心点O2 は、柱側端部r0 と前述の中心点O1 を結ぶ線分の延長上に移動する。
【0022】その結果、すみアール14の曲率半径R2 は従来の曲率半径R1 より大きくなるので、すみアール14における応力の集中を分散させることができる。
【0023】側壁内面12の形状は、図3(a)に示すように、すみアール14に緩やかに連続した円弧面に形成されるほか、同図(b)のように、中間部が平面となるように形成してもよい。前者の場合はころ3が側壁内面12に点接触し、後者の場合は線接触する。
【0024】また、従来の保持器6と相違する第2の点は、図2(a)に示すように、各ポケット9の中心位置が、一端から順に交互に半径方向にずれた位置に配置される点である。即ち、図2(a)において、左端のポケット9はピッチ円Pの外方(プラス側)にずれ、その次のポケット9は内方(マイナス側)にずれ、以下同様に交互にずれている。ポケット9の位置にこのようなずれを持たせることにより、柱8の根元部11の両側における応力集中箇所であるすみアール14の位置が半径方向に分離する方向に分散する。
【0025】図2(a)においては、各ポケット9の位置を半径方向にずらせるだけでなく、前述のすみアール14の増大化対策をとった構造を併有する場合について示している。この構成によると、すみアール14自体における応力集中の分散と、ポケット9の位置ずれ配置による応力集中箇所の分散とにより複合的な効果を発揮する。
【0026】すみアール14の増大化対策を施さない従来例のもの(図7参照)において、上記の位置ずれ配置による応力集中箇所の分散を図っただけのものでも、ある程度の効果を発揮することができる。
【0027】なお、以上の実施形態は、三列円筒ころ旋回輪軸受及びこれに用いられるセグメント型保持器について述べたが、この保持器はその他の大型のころ軸受に用いることができる。
【0028】
【発明の効果】以上のように、この発明の保持器は、各ポケットのすみアールの増大化と、ポケットの半径方向への位置ずれ配置のいずれか一方、又は両方の対策を施すことにより、各ポケットを仕切る柱の強度を向上させることができ、この保持器を用いたころ軸受をより厳しい条件下で使用することができる。
【0029】また、柱の強度を従来程度に維持することにすれば、柱の幅を従来より小さくできるので、ポケットの数の増加、即ちころ本数の増加による定格荷重の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
【出願日】 平成12年5月19日(2000.5.19)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−330036(P2001−330036A)
【公開日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願番号】 特願2000−148544(P2000−148544)