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【発明の名称】 静圧軸受を備えた移動装置
【発明者】 【氏名】沢口 一也

【氏名】肥後村 誠

【要約】 【課題】分解調整が必要なく、製作コストを抑え、小型かつ軸受装置の精度および剛性を向上させる静圧軸受を備えた移動装置を提供する。

【解決手段】移動部材101に負荷がかかった際、前記軸受すきま110a,110bの変化に対して負荷に対抗する力を発生する静圧軸受を備えた移動装置において 磁気手段113を保持して移動する移動体119と、移動体119を支持または移動させるガイド108aを備えた支持体108と、移動体119および/または支持体108を駆動する駆動機構112を備え 磁性体材料118が形成された面と、該面に対向して磁気手段113が形成された面との軸受すきま110a,110bを制御する制御手段121,122,123,124,125および移動部材101の変位を検出する検出手段120を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに相対的に移動する移動部材と支持部材の一対の対向面の一方に向かって加圧流体を噴出する流体噴出手段とで軸受すきまを形成し、前記一対の対向面の一方の面に形成された磁性体材料と、該面に対向する他方の面に磁気手段とを備えて予圧すきまを形成し、前記流体噴出手段による静圧に対して磁気による吸引力を予圧として釣り合わせて前記一対の対向面間の軸受すきまを所定の量に維持し 負荷がかかった際に前記移動部材の変化に対して負荷に対抗する力を発生する静圧軸受を備えた移動装置であって前記磁気手段を保持して移動する移動体と、前記移動体を支持または移動させるガイドを備えた支持体と、前記支持体に対して前記移動体を駆動する駆動機構とを備え前記磁性体材料が形成された面と、該面に対向して前記磁気手段が形成された面との前記予圧すきまを制御する制御手段を有することを特徴とする静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項2】 前記磁気手段を保持する前記移動体に対する前記支持体のガイドは 前記移動体と前記支持体とを弾性体にて結合し、前記弾性体の弾性変形により前記移動体を支持および/または移動するものであることを特徴とする請求項1に記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項3】 前記磁気手段を保持する前記移動体に対する前記支持体のガイドは 滑り軸受もしくは転がり軸受または静圧軸受であることを特徴とする請求項1または2に記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項4】 前記駆動機構は、圧電素子であることを特徴とする請求項1に記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項5】 前記駆動機構は、調整ネジであることを特徴とする請求項1に記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項6】 前記駆動機構は、空圧シリンダもしくは油圧シリンダまたは圧力機器であることを特徴とする請求項1に記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項7】 前記移動部材の変位を検出する1つ以上の検出手段を備え、前記移動部材に負荷がかかった際 前記検出手段により前記移動部材の変位量を検出し、該変位量に基づいて前記制御手段は前記磁気手段を保持する前記移動体を前記磁性体材料から離れる方向へ移動させ 前記静圧軸受にかかる前記磁気手段による予圧を軽減することにより 前記静圧軸受の負荷容量よりも大きな負荷に対応できることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項8】 前記移動部材に負荷がかかった際 前記検出手段および前記制御手段により前記磁気手段を保持する前記移動体を制御し、前記軸受すきまの変位量をゼロに調整し 前記静圧軸受の剛性を無限大とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項9】 前記移動部材にかかる負荷は、該移動部材に搭載する荷重であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項10】 前記移動部材にかかる負荷は、大気圧による負荷であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項11】 前記移動部材にかかる負荷は、加工による負荷であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項12】 前記静圧軸受を備えた移動装置は、前記移動部材を回転運動または直進運動で移動することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【請求項13】 前記磁気手段は複数個に分割され、前記複数個の磁気手段を個別に前記検出手段および前記制御手段により制御を行うことによって、前記移動部材にかかる負荷が偏荷重の際の前記移動部材の姿勢制御を行う、および/または姿勢精度を向上することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の静圧軸受を備えた移動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は 精密工作機械や精密測定機械 半導体露光装置に用いられる静圧案内装置の静圧軸受の装置に関し 特に上記静圧案内装置の精度および剛性を向上させるための磁気手段を備えた静圧軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】精密工作機械や精密測定機械 半導体露光装置等においては 加工工具や測定プローブ 基板等の被加工物 光学素子等の被測定物を高精度で移動 位置決めすることが要求される このために、上記工具類や被加工物 被測定物を搭載する移動位置決め装置には摩擦のほとんどない静圧案内装置が用いられる。
【0003】静圧案内装置は 互いに相対的に移動する一対の対向面 例えば被測定物の載置台である可動体と案内ガイドの対向面の間に加圧流体を介在させることによって、その対向面を互いに非接触の状態に保つように 静圧軸受装置が用いられたものである。この静圧軸受装置は、前記一対の対向面の少なくとも一方に取付けられ、静圧軸受装置のノズル(絞り)に対向する面に向かって加圧流体を噴出する。静圧軸受装置の近傍には、磁気手段が設けられ 加圧流体によって互いに離れようとする対向面を 加圧流体の静圧に対抗して磁気手段の吸引力によって互いに接近させる。その結果、静圧軸受の剛性や安定性が改善され、高精度の移動や位置決めが可能となる。
【0004】静圧軸受装置は 軸受すきま内の圧力分布により、その負荷容量が変化する。圧力分布は、その絞り条件にも依存する。しかし 一般に装置上では、絞り条件が一定のため、流体の供給圧力と軸受すきまに依存することとなる。
【0005】移動部材の軸受支持方向に負荷がかかった場合 軸受すきま(すきま)は狭くなる。その結果 圧力分布が変化して 圧力分布増加分が加わる。そして、負荷容量が増加して 負荷が追加された総負荷値と釣り合ってすきまを維持する。一般に、すきまが単位量減少した時に増加する負荷容量の値を剛性と呼んでいる。
【0006】軸受すきまは、供給する流体や軸受方式により異なり、数μm〜数十μm以上である。したがって、軸受が支持できる負荷の変動量は、剛性×変化できるすきま量である。そのため 限られた軸受すきまで大きな負荷変動に対応するためには 軸受剛性を大きくする、すなわち軸受面積を大きくするか、もしくは流体の供給圧を上げる必要があった。
【0007】これらに対応して 特開平5−65920号公報のように、軸受の絞り部を可変とし 負荷の変動に伴う軸受すきまの変位に対して流体の供給量を制御する。このことにより 負荷がかかっても軸受すきまを一定に保つ方法が知られている。
【0008】また、特開平5−306718号公報のように、負荷の変動に伴う軸受すきまの変位に対して軸受すきま内の圧力を制御することにより 負荷がかかっても軸受すきまを一定に保持する方法が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら 流体の供給圧力の制御だけで大きな荷重に対応しようとすると 流体の最大供給圧の制限から軸受面積も大型化することは否めない。ところが 軸受すきまは、移動部材および支持部材ともに非常に高精度に仕上げなくてはならないため 軸受面積を大きくするとその分大幅に加工コストが増加することになる。さらに、可変絞りにおいてはその製作自体 コストも非常にかかる。
【0010】特に、ワーク等の搭載重量の幅が大きいだけで移動時には小さな負荷しかかからない光学部品の測定等では、ワークの大きさの変化にのみ対応するため、高剛性の軸受が必要となった。
【0011】また 流体の供給圧を上げて対応する際 特に流体が気体の場合は軸受の減衰性能が悪化する。そして 状況によっては、自励振動をも引き起こし、精度を維持できない等の問題点があった。
【0012】一方 磁気予圧タイプの静圧軸受装置においては 組立時にその静圧軸受の負荷容量と磁気手段の吸引力とから、軸受すきまが目的の値になるよう磁気手段と対向する磁性材料とのすきまをスぺーサ等で一つ一つ調整する必要があった。そして 組立後に不具合があった場合は 再度分解して調整する必要があった。
【0013】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、分解調整が必要なく、製作コストを抑え、小型かつ軸受装置の精度および剛性を向上させる静圧軸受を備えた移動装置を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解決するために 本発明の静圧軸受を備えた移動装置は、互いに相対的に移動する移動部材と支持部材の一対の対向面の一方に向かって加圧流体を噴出する流体噴出手段とで軸受すきまを形成し、前記一対の対向面の一方の面に形成された磁性体材料と、該面に対向する他方の面に磁気手段とを備えて予圧すきまを形成し、前記流体噴出手段による静圧に対して磁気による吸引力を予圧として釣り合わせて前記一対の対向面間の軸受すきまを所定の量に維持し 負荷がかかった際に前記移動部材の変化に対して負荷に対抗する力を発生する静圧軸受を備えた移動装置であって 前記磁気手段を保持して移動する移動体と、前記移動体を支持または移動させるガイドを備えた支持体と、前記支持体に対して前記移動体を駆動する駆動機構とを備え 前記磁性体材料が形成された面と、該面に対向して前記磁気手段が形成された面との前記予圧すきまを制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0015】本発明においては、前記磁気手段を保持する前記移動体に対する前記支持体のガイドは 前記移動体と前記支持体とを弾性体にて結合し、前記弾性体の弾性変形により前記移動体を支持および/または移動するものであることができる。また、前記磁気手段を保持する前記移動体に対する前記支持体のガイドは 滑り軸受もしくは転がり軸受または静圧軸受を用いることができる。
【0016】また、前記駆動機構は、圧電素子を用いることができる。また、前記駆動機構は、調整ネジを用いることができる。また、前記駆動機構は、空圧シリンダもしくは油圧シリンダまたはダイヤフラムやベローズ等の圧力機器を用いることができる。
【0017】また、前記移動部材の変位を検出する1つ以上の検出手段を備え、前記移動部材に負荷がかかった際 前記検出手段により前記移動部材の変位量を検出し、該変位量に基づいて前記制御手段は前記磁気手段を保持する前記移動体を前記磁性体材料から離れる方向へ移動させ 前記静圧軸受にかかる前記磁気手段による予圧を軽減することにより 前記静圧軸受の負荷容量よりも大きな負荷に対応できる。
【0018】また、前記移動部材に負荷がかかった際 前記検出手段および前記制御手段により前記磁気手段を保持する前記移動体を制御し、前記軸受すきまの変位量をゼロに調整し 前記静圧軸受の剛性を無限大とすることができる。
【0019】また、前記移動部材にかかる負荷は、該移動部材に搭載する荷重であることが好ましい。また、前記移動部材にかかる負荷は、大気圧による負荷であることが好ましい。また、前記移動部材にかかる負荷は、加工による負荷であることが好ましい。
【0020】そして、前記静圧軸受を備えた移動装置は、前記移動部材を回転運動または直進運動で移動することができる。
【0021】さらに、前記磁気手段は複数個に分割され、前記複数個の磁気手段を個別に前記検出手段および前記制御手段により制御を行うことによって、前記移動部材にかかる負荷が偏荷重の際の前記移動部材の姿勢制御を行う、および/または姿勢精度を向上するものであることが好ましい。
【0022】上記構成等により、磁気手段による吸引力は、その対抗する磁性体材料との距離に依存する。そのため、静圧軸受装置に負荷がかかり軸受すきまが小さくなった時、磁気手段を対抗する磁性体材料から遠ざけることにより、その吸引力、すなわち予圧力を軽減する。特に、負荷に等しい吸引力を軽減することにより、静圧軸受装置の変位をゼロにすることもできる。
【0023】また、静圧軸受装置を組み立てた状態で磁気手段と対抗する磁性体材料との軸受すきまを調整できるので、分解調整の必要がなくなる。
【0024】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
[第1の実施例]図1は、本発明の第1の実施例に係る回転運動をする回転型の真空内静圧気体軸受装置の縦断面の右半分を示す図である。移動部材であるロータ101は 支持部材であるスラストハウジング102に接着や不図示のネジでの締結等により固定された流体噴出手段であるスラスト軸受多孔質104a,104b、および支持部材であるラジアルハウジング103に接着や焼ばめ等により固定された流体噴出手段であるラジアル軸受多孔質105から、それぞれ噴出する流体(気体)の静圧により スラスト軸受すきま110a,110bおよびラジアル軸受すきま111を維持して浮上し 非接触に支持されている。流体は、スラストハウジング102およびラジアルハウジング103に設けられた給気穴109を通り 給気溝106から各多孔質104a,104b,105に供給される。スラスト軸受すきま110a,110bおよびラジアル軸受すきま111から排出された流体は、排気穴107を通り、不図示の配管等を経由して装置外である大気中へ排出される。スラストハウジング102とラジアルハウジング103は、不図示のネジ等により締結されている。
【0025】2つの輪体であるスラスト軸受多孔質104a,104bは、同心状に配置され その間の輪体状範囲の中に磁気手段であるマグネット113が配置される。その対向する面には、非磁性体材料で製作されているロータ101を磁力により吸引するため 磁性体材料で製作されたリング118が不図示のネジ等や接着で固定されている。
【0026】マグネット113は、弾性ヒンジ108aが駆動機構のガイドとなり、上下移動可能なヒンジブロック108の移動体119の上にある。支持体であるヒンジブロック108には、圧電素子112が組み込まれており 弾性ヒンジ108aによる予圧と、マグネット113による吸引力を支えている。ヒンジブロック108は、不図示のネジ等で支持部材であるスラストハウジング102に固定されている。
【0027】さらに、この軸受装置を真空雰囲気中で使用するため ラジアル軸受の上部およびスラスト軸受の内周部には、ロータ101と微少なすきまを介して非接触シール114,115を設けてある。これらは、それぞれ強制排気口117a,117bから排気溝116a,116b内を強制排気 (真空吸引) することにより、軸受からの排気が真空雰囲気中にもれないようシールしている。
【0028】ロータ101を真空中で回転可能に支持するため ラジアル軸受は半径方向に非接触に拘束する。そして スラスト軸受は、ロータ101の自重とマグネット113による吸引力が スラスト軸受多孔質104a,104bに挟まれた輪体状範囲の大気圧分およびスラスト軸受の負荷容量と釣り合って非接触にスラスト方向(図1の垂直方向)を拘束している。
【0029】この軸受装置を評価やデバッグを目的として大気圧下で使用する場合 それまで真空中では存在しなかった大気圧がロータ上面101aにかかるため スラスト方向の負荷が大幅に増加する。その力は、概算で(ロータ101の上面面積−スラスト非接触シール115の真空部面積)× (大気圧−真空チャンバー内の真空度) であり、軸受を大きく変位させることもある。
【0030】そのような条件下では 圧電素子112に電圧を供給し、マグネット113をリング118から引き離す方向に変位させる。そして 増加した大気圧による負荷と同等の量だけマグネットの吸引力を軽減することにより 真空内で使用している状態と同じ軸受すきまを維持することが可能である。
【0031】また ロータ101のスラスト方向の変位を、非接触変位センサ120にて検出し、制御手段へ入力する。制御手段では、アンプ122からの出力をA/Dコンバータ124を介してコントローラ121に取り込む。そして、その信号の変化に応じて 圧電素子112を伸縮させ、マグネット113の吸引力を負荷に応じて増減させる。このことにより 負荷変動に対して自動的に軸受すきまを一定(変位をゼロ)に制御することも可能であり 見かけの軸受剛性を無限大にすることが可能である。
【0032】さらに 輪体状に並んでいるマグネット113を複数個に分割して個別に位置制御することによ 偏荷重による傾き等の姿勢変化も修正することが可能である。また、姿勢精度を向上させることも可能である。そして、制御を回転に同期させることにより 回転精度の向上も見込める。
【0033】なお 変位をみる手段として非接触センサ120は複数個設けてもよく 静圧軸受装置に内蔵して変位を測定してもよい。また センサ自体も非接触センサの他 接触式の変位センサやレーザセンサ等の光学系を用いたセンサでもよいことは言うまでもない。
【0034】[第2の実施例]図2は、本発明の第2の実施例に係る直進運動をする直進型の静圧気体軸受装置の縦断面を示す図である。移動部材であるスライダ201は、接着や不図示のネジでの締結等によりスライダ201に固定された流体噴出手段である左右軸受多孔質204a,204bや流体噴出手段である上下軸受多孔質205から、それぞれ噴出する流体(気体)の静圧により 左右軸受すきま210a,210bと上下軸受すきま211を維持して浮上し 非接触に支持されている。気体は、スライダ201に設けられた給気穴209a, 209bを通り 給気溝206a, 206bから左右軸受多孔質204a,204bと上下軸受多孔質205に供給される。各軸受多孔質204a,204b,205と支持部材であるヨーガイド203a, 203bおよびベース202とで形成される各軸受すきま210a,210b,211から排出された気体は、そのまま装置外へ排出される。ヨーガイド203a,203bとベース202は不図示のネジ等により締結されている。
【0035】本実施例においては、上下軸受多孔質205が配列されている中に磁気手段であるマグネット213を配置してある。マグネット213は、支持体でもあるスライダ201に対して、滑り軸受216にて上下移動可能な移動体であるスライドブロック212に不図示のネジ等や接着にて取り付けられており 駆動機構に予圧をかけるための弾性体である。滑り軸受216は、ばね215を挟んでスライダ201に駆動機構である調整ネジ208によって締結されている。
【0036】スライダ201を図2の垂直方向に移動可能に支持するため 左右軸受は横方向に非接触に拘束し 上下軸受はスライダ201の自重とマグネット213により磁性体材料である金属製のベース202を吸引する吸引力により上下軸受の負荷容量と釣り合って非接触に上下方向を拘束している。
【0037】非接触変位センサ214は、上下軸受すきま211の変化量を検出している。この状態の上下軸受の平均剛性がA(N/μm)である時 この静圧軸受装置にワーク等を搭載するための治工具を取り付け 新たにB(N)の負荷が加わると スライダ201は変位し 上下軸受すきま211はB/A(μm)だけ変位する。ここで 調整ネジ208を制御手段(不図示)により回してスライドブロック212を上方へ移動し マグネット213とベース202との距離を広げて磁気吸引力を治工具による負荷の分B(N)だけ低下させることにより スライダ201を治工具を取り付ける前の位置に戻すことができる。これにより ワーク搭載前の静圧軸受装置を最良の状態に調整しておくことが可能である。なお 本実施例では軸受すきまの変位を非接触変位センサで検出したが レーザ測長器等、他の検出手段を用いても良いのは第1の実施例と同様である。
【0038】また、調整ネジはモータ等により駆動してもよいのは言うまでもない。第1の実施例同様、直進型の静圧気体軸受装置においても 配置されているマグネット213について個別に位置制御することにより 偏荷重による傾き等の姿勢変化を修正することが可能であり 姿勢精度を向上させることも可能である。そして、制御を移動に同期させることにより、移動精度の向上も見込める。
【0039】[第3の実施例]図3は、本発明の第3の実施例の係る回転型の静圧気体軸受装置の縦断面を示す図である。静圧軸受装置としての構成は、第1の実施例と同じなので省略する。磁気手段であるマグネット304は、不図示のネジ等により固定されている支持体であるシリンダユニット301の移動体であるピストン302に接着、もしくは不図示のネジ等により固定されている。駆動機構は、流体供給穴303a,303bから加圧された流体を供給することにより ピストン302を保持および上下移動可能とする。この時 ピストン302とシリンダユニット301本体との摺動面がガイドとなる。
【0040】この軸受装置を第1の実施例(図1)同様 評価やデバッグを目的として大気圧下で使用する場合 それまで真空中では存在しなかった大気圧がロータ上面101aにかかるため スラスト方向(図3の垂直方向)の負荷が大幅に増加する。
【0041】そのような条件下では シリンダユニット301のピストン302を引き込む方向に流体供給穴303bを介して圧力流体を供給し、マグネット304をリング305から引き離す方向に変位させる。そして マグネット304の吸引力を 増加した大気圧による負荷と同等の量だけ軽減することによりことにより 真空内で使用している状態と同じ軸受すきまを維持することが可能である。
【0042】特に シリンダユニット301のストロークを事前に調整し 真空内用 大気圧中用のマグネット304の位置になるようストローク端を調整しておけば、環境に応じて簡単に切りかえることが可能である。また、シリンダユニット301は、空圧もしくは油圧シリンダ、またはダイヤフラムやベローズ等の圧力機器等を用いることができる。
【0043】[第4の実施例]図4は、本発明の第4の実施例である移動体と支持体を備えた磁気手段移動機構部の縦断面を示す図である。磁気手段であるマグネット404が取付けられた移動体である移動ブロック405は、リニアブッシュ等からなる転がり軸受に移動可能に支持されている。また、移動ブロック405は、圧電素子予圧用ばね403にて予圧を加えられながら圧電素子402に保持されている。第4の実施例の作用は、第1の実施例と同様である。
【0044】[第5の実施例]図5は、本発明の第5の実施例である移動体と支持体を備えた磁気手段移動機構部の縦断面を示す図である。磁気手段であるマグネット504が取付けられた移動体である移動ブロック505は、静圧軸受に移動可能に支持されている。また、移動ブロック505は、圧電素子予圧用ばね503にて予圧を加えられながら圧電素子502に保持されている。第5の実施例の作用は、第1の実施例と同様である。
【0045】以上 磁気手段であるマグネットは、駆動機構と一対一で配置して 複数個のマグネットを配列した移動ブロックを一つの駆動機構で動かしてもよい。
【0046】また 上記した実施例1〜5では、静圧軸受について説明した。ここで 使用する流体は、気体でも液体でも可能である。さらに、静圧軸受の絞り方式も、上記実施例の多孔質絞りの他に、毛細管絞りや表面絞り、自成絞り等、様々な方法が状況に応じて使用することが可能である。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、軸受本来の性能による負荷容量の許容範囲を大きく超える範囲の負荷容量に対応することが可能となる。特に、大きな負荷変動があった場合でも軸受の変位を抑えることも可能となるため、より高剛性な軸受が実現可能となる。しかも、個別に磁気手段の位置を調整することにより移動部材の姿勢変化も修正することが可能なため、より高精度な移動装置を実現することが可能である。さらに、軸受面積を必要最小限にすることができるため、製作コストを抑えることができるとともに、小型化も可能である。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【代理人】 【識別番号】100086287
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 哲也 (外1名)
【公開番号】 特開2001−241439(P2001−241439A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−49172(P2000−49172)