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【発明の名称】 磁気軸受装置
【発明者】 【氏名】谷口 学

【氏名】久保 厚

【氏名】上山 拓知

【要約】 【課題】位置センサの発振器の共通化が可能な磁気軸受装置を提供する。

【解決手段】磁気軸受装置は、回転体4をアキシアル方向およびラジアル方向に非接触支持して磁気浮上させるための複数の電磁石24a,24b,25a〜25d,26a〜26dを有する複数組の磁気軸受7,8,9、回転体のアキシアル方向およびラジアル方向の位置を検出するための複数の位置センサ21,33a〜33d,34a〜34dを有する位置検出装置10、ならびに位置検出装置による位置の検出結果に基づいて磁気軸受の電磁石を制御する電磁石制御装置を備えている。回転体のアキシアル方向の位置を検出するためのアキシアル位置センサ21およびラジアル方向の位置を検出するためのラジアル位置センサ33a〜33d,34a〜34dがインダクタンス検出方式のものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】回転体をアキシアル方向およびラジアル方向に非接触支持して磁気浮上させるための複数の電磁石を有する複数組の磁気軸受、前記回転体のアキシアル方向およびラジアル方向の位置を検出するための複数の位置センサを有する位置検出手段、ならびに前記位置検出手段による位置の検出結果に基づいて前記磁気軸受の電磁石を制御する電磁石制御手段を備えている磁気軸受装置において、前記回転体のアキシアル方向の位置を検出するためのアキシアル位置センサおよびラジアル方向の位置を検出するためのラジアル位置センサがインダクタンス検出方式のものであることを特徴とする磁気軸受装置。
【請求項2】前記各位置センサに供給される交流電流の周波数が10〜100kHzであることを特徴とする請求項1の磁気軸受装置。
【請求項3】前記回転体に、抵抗率の大きい軟磁性ステンレス鋼よりなるアキシアル方向被検出体が前記アキシアル位置センサに対向するように設けられていることを特徴とする請求項1または2の磁気軸受装置。
【請求項4】前記被検出体の抵抗率が80μΩ・cm以上であることを特徴とする請求項3の磁気軸受装置。
【請求項5】前記回転体に、前記アキシアル位置センサに対向するアキシアル方向被検出体が設けられており、前記アキシアル位置センサの近傍に、前記アキシアル位置センサと同じ特性の補償用センサ、前記アキシアル方向被検出体と同じ抵抗率の材料よりなる補償用被検出体、およびこれらの間に介在させられた非磁性材料よりなるスペーサを有する補償用センサユニットが設けられ、前記スペーサが、前記回転体がアキシアル方向の所定の目標位置にあるときの前記アキシアル位置センサと前記アキシアル方向被検出体とのアキシアル方向のギャップの大きさと等しい厚さを有するものであり、前記アキシアル位置センサの出力と前記補償用センサの出力の差に基づいて前記回転体のアキシアル方向の位置が求められるようになされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項の磁気軸受装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気軸受装置、さらに詳しくは、複数組の磁気軸受で回転体をアキシアル方向およびラジアル方向に非接触支持して磁気浮上させる磁気軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の磁気軸受装置として、5つの制御軸(アキシアル方向の制御軸およびアキシアル方向の2箇所の各々における2つのラジアル方向の制御軸)を有する5軸制御型磁気軸受装置が知られている。
【0003】5軸制御型磁気軸受装置は、回転体をアキシアル制御軸方向に非接触支持する1組のアキシアル磁気軸受、回転体をアキシアル方向の2箇所においてそれぞれ互いに直交する2つのラジアル制御軸方向に非接触支持する2組のラジアル磁気軸受を備えている。アキシアル磁気軸受は、回転体をアキシアル制御軸方向の両側から挟むように配置されて回転体を磁気吸引する1対の電磁石を備えている。各ラジアル磁気軸受は、2つの各ラジアル制御軸方向の各々について、回転体を該制御軸方向の両側から挟むように配置されて回転体を磁気吸引する1対の電磁石を備えている。また、磁気軸受装置は、5つの制御軸の各々について、回転体の該制御軸方向の位置を検出する位置検出手段としての位置検出装置、および位置検出装置による位置の検出結果に基づいて該制御軸の1対の電磁石を制御する電磁石制御手段としての電磁石制御装置を備えている。アキシアル制御軸方向の位置検出装置は、回転体の位置検出端面にアキシアル制御軸方向の一方から対向する1個のアキシアル位置センサを備えている。各ラジアル制御軸方向の位置検出装置は、回転体を該制御軸方向の両側から挟んで対向する1対のラジアル位置センサを備えている。各位置センサは、回転体に設けられた被検出体(ターゲット)に対向するように配置され、被検出体とのギャップ(空隙)の大きさを検出するようになっている。
【0004】制御型磁気軸受装置に使用される位置センサは、コアに巻かれたコイルに交流電流が供給されるものであるが、交流電流の周波数によってインダクタンス検出方式と渦電流検出方式に分けられる。
【0005】渦電流検出方式の位置センサには、比較的高い周波数の電流が供給される。インダクタンス検出方式の位置センサの場合、センサには比較的低い周波数の電流が供給され、渦電流の影響を少なくするために、薄板が積層された被検出体が使用される。ラジアル位置センサの被検出体は、回転体の周囲に穴あき円板状の薄板を積層することにより、簡単に積層構造とすることができる。したがって、ラジアル位置センサには、インダクタンス検出方式のものが使用される。これに対し、アキシアル位置センサの被検出体は、回転体の端面に設けられるものであるから、これを積層構造にするのは困難である。このため、アキシアル位置センサには、渦電流検出方式のものが使用される。
【0006】このように、従来の磁気軸受装置では、ラジアル位置センサにインダクタンス検出方式のものが、アキシアル位置センサに渦電流検出方式のものが使用されており、インダクタンス検出方式の位置センサと渦電流検出方式の位置センサでは電流の周波数が異なるため、少なくとも2種類の発振器が必要である。また、発振周波数の差により、位置センサ間に干渉が発生し、これが誤動作の原因になることがある。
【0007】一方、位置センサはケーブルを介して電磁石制御装置に接続されるが、位置センサの出力信号(センサ信号)はケーブル長の影響を受け、ケーブル長によってオフセット値が変化する。また、位置センサには、温度ドリフトが生じる。
【0008】ラジアル位置センサの場合、1対のセンサの出力の差に基づいて位置が求められるので、ケーブル長によるオフセット値の変化や温度ドリフトをキャンセルすることができる。これに対し、アキシアル位置センサの場合、1個のセンサの出力から位置が求められるので、ケーブル長によるオフセット値の変化や温度ドリフトをキャンセルすることができない。このため、ケーブル長が変わると、センサのチューニングをやり直す必要があり、温度ドリフトによって検出値に誤差が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、位置センサの発振器の共通化が可能な磁気軸受装置を提供することにある。
【0010】この発明の目的は、また、アキシアル位置センサにおけるケーブル長の影響や温度ドリフトをキャンセルできる磁気軸受装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】この発明による磁気軸受装置は、回転体をアキシアル方向およびラジアル方向に非接触支持して磁気浮上させるための複数の電磁石を有する複数組の磁気軸受、前記回転体のアキシアル方向およびラジアル方向の位置を検出するための複数の位置センサを有する位置検出手段、ならびに前記位置検出手段による位置の検出結果に基づいて前記磁気軸受の電磁石を制御する電磁石制御手段を備えている磁気軸受装置において、前記回転体のアキシアル方向の位置を検出するためのアキシアル位置センサおよびラジアル方向の位置を検出するためのラジアル位置センサがインダクタンス検出方式のものであることを特徴とするものである。
【0012】アキシアル位置センサおよびラジアル位置センサがともにインダクタンス検出方式のものであるから、全ての位置センサを同一の発振周波数で駆動することができる。このため、発振器を共通化して1つにすることができ、部品点数の削減、ソフトウェアの簡略化が可能である。また、位置センサの駆動周波数を同一にすることで、位置センサ間に発生する干渉や誤動作を防止することができる。
【0013】たとえば、前記各位置センサに供給される交流電流の周波数が10〜100kHzである。
【0014】たとえば、前記回転体に、抵抗率の大きい軟磁性ステンレス鋼よりなるアキシアル方向被検出体が前記アキシアル位置センサに対向するように設けられている。
【0015】抵抗率の大きい軟磁性ステンレス鋼でアキシアル方向被検出体を構成することにより、渦電流の影響を少なくして、位置センサの出力感度を向上させ、ノイズなどによる誤動作を防止することができる。
【0016】たとえば、前記被検出体の抵抗率が80μΩ・cm以上、好ましくは85μΩ・cm以上である。
【0017】たとえば、前記回転体に、前記アキシアル位置センサに対向するアキシアル方向被検出体が設けられており、前記アキシアル位置センサの近傍に、前記アキシアル位置センサと同じ特性の補償用センサ、前記アキシアル方向被検出体と同じ抵抗率の材料よりなる補償用被検出体、およびこれらの間に介在させられた非磁性材料よりなるスペーサを有する補償用センサユニットが設けられ、前記スペーサが、前記回転体がアキシアル方向の所定の目標位置にあるときの前記アキシアル位置センサと前記アキシアル方向被検出体とのアキシアル方向のギャップの大きさと等しい厚さを有するものであり、前記アキシアル位置センサの出力と前記補償用センサの出力の差に基づいて前記回転体のアキシアル方向の位置が求められるようになされている。
【0018】補償用センサはアキシアル位置センサの近傍に配置されているので、両センサの温度は常にほぼ等しくなり、両センサは同じ特性のものであるから、両センサの温度ドリフト値は常にほぼ等しくなる。そして、両センサの出力の差に基づいて回転体のアキシアル方向の位置が求められるので、温度ドリフトをキャンセルすることができる。また、両センサのケーブル長を常に等しくすることにより、ケーブル長の変更による出力信号のオフセット値の影響をキャンセルすることもできる。
【0019】
【発明の実施形態】以下、図面を参照して、この発明を5軸制御型磁気軸受装置に適用した実施形態について説明する。
【0020】図1〜図3は第1実施形態を示しており、図1は5軸制御型磁気軸受装置の機械的部分を概略的に示す縦断面図、図2はその要部を示す拡大縦断面図、図3はその電気的構成の1例を示すブロック図である。
【0021】磁気軸受装置は、ケーブルにより接続された機械本体(1)および制御装置(コントローラ)(2)を備えている。機械本体(1)は、鉛直状のケーシング(3)と回転体(4)を有する縦型のものである。ケーシング(3)は、底部が閉じて頂部が開口した円筒状をなし、固定部分を構成している。回転体(3)は、軸部(5)と、頂部が閉じて底部が開口した円筒状をなし頂壁の中央部が軸部(5)の上端に同心状に固定された筒部(6)とからなり、回転部分を構成している。軸部(5)はケーシング(3)の内側に位置し、筒部(6)はケーシング(3)の外側に位置している。以下の説明において、回転体(3)のアキシアル方向(鉛直方向)の軸をZ軸、Z軸と直交するとともに互いに直交する2つのラジアル方向(水平方向)の軸をX軸およびY軸とする。
【0022】機械本体(1)には、回転体(4)をZ軸方向に非接触支持する1組のアキシアル磁気軸受(7)、回転体(4)をアキシアル方向の2箇所においてそれぞれX軸方向およびY軸方向に非接触支持する上下2組のラジアル磁気軸受(8)(9)、回転体(5)のアキシアル方向の位置および上記2箇所におけるX軸方向およびY軸方向の位置をそれぞれ検出するための位置検出部(10)、回転体(5)を高速回転させるためのビルトイン型電動モータ(11)、ならびに回転体(3)の回転速度を検出するための回転センサ(12)が設けられている。また、図示は省略したが、回転体(4)のアキシアル方向およびラジアル方向の可動範囲を規制して、回転体(4)を磁気軸受(7)(8)(9)で支持できなくなったときなどに可動範囲の極限位置において回転体(4)を機械的に支持する規制手段としての上下2組の保護軸受(タッチダウン軸受)が設けられている。Z軸は、アキシアル方向の制御軸となっている。また、上部磁気軸受(8)の部分におけるX軸方向の制御軸を上部X軸、Y軸方向の制御軸を上部Y軸とし、下部磁気軸受(9)の部分におけるX軸方向の制御軸を下部X軸、Y軸方向の制御軸を下部Y軸とする。
【0023】制御装置(2)には、モータ駆動回路(13)、磁気軸受駆動回路(14)、位置センサ駆動回路(15)、回転センサ駆動回路(16)、発振器(17)、ソフトウェアプログラムが可能なディジタル処理手段としてのDSP(18)、AD変換器(19)およびDA変換器(20)が設けられている。DSPはディジタル信号処理プロセッサの略で、ディジタル信号処理プロセッサとは、ディジタル信号を入力してディジタル信号を出力し、ソフトウェアプログラムが可能で、高速実時間処理が可能な専用ハードウェアを指す。
【0024】位置検出部(10)は、回転体(4)のZ軸方向の位置を検出するための1個のアキシアル位置センサ(21)、ならびに回転体(4)のX軸方向およびY軸方向の位置を検出するための上下2組のラジアル位置センサユニット(22)(23)を備えている。
【0025】アキシアル磁気軸受(7)は、回転体軸部(5)の下部に一体に形成されたフランジ部(5a)をZ軸方向の両側から挟むように配置されて回転体軸部(5)を磁気吸引する1対のアキシアル電磁石(24a)(24b)を備えている。アキシアル電磁石は、符号(24)で総称する。1対のアキシアル電磁石(24)には、同じ特性のものが使用される。
【0026】2組のラジアル磁気軸受(8)(9)は、アキシアル磁気軸受(7)の上側において上下方向に所定の間隔をおいて配置されており、これらの間にモータ(11)が配置されている。上部ラジアル磁気軸受(8)は、回転体軸部(5)をX軸方向の両側から挟むように配置されて回転体軸部(5)を磁気吸引する1対の上部ラジアル電磁石(25a)(25b)、および回転体軸部(5)をY軸方向の両側から挟むように配置されて回転体軸部(5)を磁気吸引する1対の上部ラジアル電磁石(25c)(25d)を備えている。これらのラジアル電磁石は、符号(25)で総称する。同様に、下部ラジアル電磁石(9)も、2対の下部ラジアル電磁石(26a)(26b)(26c)(26d)を備えている。これらのラジアル電磁石も、符号(26)で総称する。ラジアル軸受(25)(26)についても、少なくとも同一制御軸の1対の電磁石には、同じ特性のものが使用される。好ましくは、全てのラジアル電磁石(25)(26)に同じ特性のものが使用される。
【0027】回転体軸部(5)の下端に、短円柱状のアキシアル方向ターゲット(被検出体)(27)が同心状に取り付けられている。図2に詳細に示すように、アキシアル位置センサ(21)は、コア(28)にコイル(29)が巻かれたものであり、ターゲット(27)の下端面の中心部にZ軸方向の下側から対向するように配置されている。回転センサ(12)はアキシアル位置センサ(21)と同じ特性のものであり、対応する部分には同一の符号を付している。ターゲット(27)の下端面の外周部の1つの円周上に、1つまたは複数の被検出部(30)が形成されている。この例では、ターゲット(27)の下端面の最外周に凹部を形成することにより、被検出部(30)が形成されている。複数の被検出部(30)が形成される場合、それらは円周方向に等間隔をおいて設けられる。ターゲット(27)は、好ましくは、抵抗率の大きい軟磁性ステンレス鋼よりなり、その抵抗率は、好ましくは、85μΩ・cm以上である。
【0028】上部ラジアル磁気軸受(8)の近傍の回転体軸部(5)の外周に環状の上部ラジアル方向ターゲット(被検出体)(31)が、下部ラジアル磁気軸受(9)の近傍の回転体軸部(5)の外周に環状の下部ラジアル方向ターゲット(被検出体)(32)がそれぞれ設けられている。上部ラジアル位置センサユニット(22)は、X軸方向の電磁石(25a)(25b)の近傍においてX軸方向の両側から上部ターゲット(31)を挟むように配置された1対の上部ラジアル位置センサ(33a)(33b)、およびY軸方向の電磁石(25c)(25d)の近傍においてY軸方向の両側から上部ターゲット(31)を挟むように配置された1対の上部ラジアル位置センサ(33c)(33d)を備えている。これらのラジアル位置センサは、符号(33)で総称する。同様に、下部ラジアル位置センサユニット(23)は、下部ターゲット(32)をX軸方向およびY軸方向の両側から挟むように配置された2対の下部ラジアル位置センサ(34a)(34b)(34c)(34d)を備えている。これらのラジアル位置センサも、符号(34)で総称する。各ラジアル位置センサ(33)(34)は、アキシアル位置センサ(21)と同様の構成を有する。各ターゲット(31)(32)は、従来と同様、無方向性けい素鋼板製の環状の薄板を積層することにより構成されている。
【0029】電磁石(24)(25)(26)、位置センサ(21)(33)(34)および回転センサ(12)は、ケーシング(3)の内側に固定されている。
【0030】モータ(11)は、ケーシング(3)に設けられたステータ(35)と回転体軸部(5)の外周部に設けられたロータ(36)から構成されている。
【0031】位置センサ駆動回路(15)は、次に詳細に説明するように、位置検出部(10)の各位置センサ(21)(33)(34)をインダクタンス検出方式のセンサとして駆動し、各位置センサ(21)(33)(34)の出力である距離信号に基づいて、回転体(4)のZ軸方向の位置、ならびに上下のラジアルセンサユニット(22)(23)の部分におけるX軸方向およびY軸方向の位置を演算し、その演算結果である位置信号をAD変換器(19)を介してDSP(18)に出力する。位置検出部(10)と位置センサ駆動回路(15)により、回転体(4)の各制御軸方向の位置を検出する位置検出手段としての位置検出装置が構成されている。
【0032】位置センサ駆動回路(15)は、発振器(17)の出力と同じ周波数の交流電流を全ての位置センサ(21)(33)(34)に供給する。この交流電流の周波数は好ましくは10〜100kHzで、たとえば50kHzである。交流電流の周波数を上記の範囲にすることにより、位置センサ(21)(33)(34)はインダクタンス検出方式のセンサとして駆動される。アキシアル位置センサ(21)のコイル(29)に交流電流を流した状態でターゲット(27)とのギャップ(空隙)の大きさが変化すると、インダクタンス変化が生じ、アキシアル位置センサ(21)は、ターゲット(27)とのギャップの大きさに比例する距離信号を出力する。各ラジアル位置センサ(33)(34)も、同様に、対応するターゲット(31)(32)とのギャップの大きさに比例する距離信号を出力する。位置センサ駆動回路(15)は、アキシアル方向については、回転体(4)がアキシアル方向の所定の目標浮上位置にあるときの変位を0とし、この目標浮上位置に対する回転体(4)のアキシアル方向の変位に比例する信号を位置信号として出力する。また、位置センサ駆動回路(15)は、ラジアル方向については、各制御軸の1対の位置センサ(33)(34)の出力の差を演算することにより、1対の位置センサ(33)(34)の中心である目標浮上位置に対する回転体(4)の変位を位置信号として出力する。
【0033】回転センサ駆動回路(16)は、発振器(17)の出力と同じ周波数の交流電流を回転センサ(12)に供給し、回転センサ(12)を位置センサ(21)(33)(34)と同様のインダクタンス検出方式のセンサとして駆動する。回転センサ(12)の出力も、ターゲット(27)とのギャップの大きさに比例して変化する。ターゲット(27)の被検出部(30)以外の部分が回転センサ(12)に対向しているときと、被検出部(30)が回転センサ(12)に対向しているときとでは、回転センサ(12)とターゲット(27)のギャップの大きさが異なるため、回転センサ(12)の出力は、被検出部(30)がその上方に来るたびに変化する。したがって、回転センサ(12)は、回転体(4)が1回転する間に被検出部(30)の数と同数のパルスを発生する。そして、このような回転センサ(12)の出力が速度検出信号として回転センサ駆動回路(16)からDSP(18)に出力される。回転センサ(12)と回転センサ駆動回路(16)により、回転体(4)の回転速度を検出する回転速度検出手段としての回転速度検出装置が構成されている。
【0034】DSP(18)は、各制御軸について、AD変換器(19)から入力する回転体(4)の位置を表わすディジタル位置信号に基づいて、各磁気軸受(7)(8)(9)の各電磁石(24)(25)(26)に対する励磁電流信号をDA変換器(20)を介して磁気軸受駆動回路(14)に出力する。そして、駆動回路(14)は、DSP(18)からの励磁電流信号に基づく励磁電流を対応する磁気軸受(7)(8)(9)の電磁石(24)(25)(26)に供給し、これにより、回転体(4)が目標浮上位置に非接触支持される。
【0035】DSP(18)は、また、回転センサ駆動回路(16)の回転速度検出信号から回転体(4)の回転速度を演算し、これに基づいてモータ(11)の回転を制御するための回転速度指令信号をモータ駆動回路(13)に出力する。モータ駆動回路(13)は、インバータ等を備えており、回転速度指令信号に基づいて、モータ(10)の回転速度を制御する。そして、その結果、回転体(4)が、磁気軸受(7)(8)(9)により目標浮上位置に非接触支持された状態で、モータ(11)により高速回転させられる。
【0036】上記の磁気軸受装置では、位置センサ(21)(33)(34)および回転センサ(12)が全てインダクタンス検出方式のものであって、同一の発振周波数で駆動されているので、発振器(17)を共通化して1つにすることができ、部品点数の削減、ソフトウェアの簡略化が可能である。また、全ての位置センサ(21)(33)(34)および回転センサ(12)の駆動周波数を同一にすることで、センサ(12)(21)(33)(34)間に発生する干渉や誤動作を防止することができる。また、アキシアル位置センサ(21)に対向するターゲット(27)が抵抗率の大きい軟磁性ステンレス鋼よりなるものであるから、渦電流の影響を少なくして、位置センサ(21)の出力感度を向上させ、ノイズなどによる誤動作を防止することができる。
【0037】図4および図5は第2実施形態を示しており、図4は図2に、図5は図3にそれぞれ対応するものである。
【0038】第2実施形態は、第1実施形態にアキシアル位置センサ用の第1の補償用センサユニット(37)および回転センサ用の第2の補償用センサユニット(38)が付加されたものであり、第1実施形態と同じ部分には同一の符号を付している。
【0039】第1の補償用センサユニット(37)は、アキシアル位置センサ(21)の近傍のケーシング(3)に設けられ、補償用センサ(39)、補償用ターゲット(被検出体)(40)およびこれらの間に介在させられたスペーサ(41)より構成されている。補償用センサ(39)は、アキシアル位置センサ(21)と同じ特性のものであり、同じ部分には同一の符号を付している。補償用ターゲット(40)は、アキシアル方向ターゲット(27)と同じ抵抗率の材料、好ましくは、アキシアル方向ターゲット(27)と同じ材料よりなる。スペーサ(41)は非磁性材料よりなり、その厚さは、回転体(4)が目標浮上位置にあるときのアキシアル位置センサ(21)とアキシアル方向ターゲット(27)とのギャップの大きさに等しい。
【0040】第2の補償用センサユニット(38)は、回転センサ(12)の近傍のケーシング(3)に設けられている。このユニット(38)の構成は第1の補償用センサユニット(37)と同じであり、補償用センサ(42)、補償用ターゲット(被検出体)(43)およびスペーサ(44)より構成されている。
【0041】第1のユニット(37)の補償用センサ(39)には、位置センサ駆動回路(15)から発振器(17)の出力と同じ周波数の交流電流が供給される。そして、位置センサ駆動回路(15)は、アキシアル位置センサ(21)の出力と補償用センサ(39)の出力との差を演算することにより、目標浮上位置に対する回転体(4)のアキシアル方向の変位に比例する信号を位置信号として出力する。
【0042】補償用センサ(39)はアキシアル位置センサ(21)の近傍に配置されているので、両センサ(21)(39)の温度は常にほぼ等しくなり、両センサ(21)(39)は同じ特性のものであるから、両センサ(21)(39)の温度ドリフト値は常にほぼ等しくなる。そして、両センサ(21)(39)の出力の差に基づいて回転体(4)のアキシアル方向の変位が求められるので、温度ドリフトをキャンセルすることができる。また、両センサ(21)(39)のケーブル長を常に等しくすることにより、ケーブル長の変更による出力信号のオフセット値の影響をキャンセルすることもできる。
【0043】第2のユニット(38)の補償用センサ(42)には、回転センサ駆動回路(16)から発振器(17)の出力と同じ周波数の交流電流が供給される。そして、回転センサ駆動回路(16)は、回転センサ(12)の出力と補償用センサ(42)の出力の差を演算し、これを回転速度検出信号として出力する。
【0044】この場合も、第1のユニット(37)の場合と同様、温度ドリフトをキャンセルすることができ、ケーブル長の変更による出力信号のオフセット値の影響をキャンセルすることもできる。
【0045】この実施形態のようにアキシアル位置センサ(21)と回転センサ(12)についてターゲット(27)とのキャップの大きさが等しい場合は、補償用センサユニットを1つだけ設けて、共用するようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001247
【氏名又は名称】光洋精工株式会社
【出願日】 平成12年2月2日(2000.2.2)
【代理人】 【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助 (外4名)
【公開番号】 特開2001−214934(P2001−214934A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−25077(P2000−25077)