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【発明の名称】 電子写真用ローラ
【発明者】 【氏名】小林健二

【氏名】浅岡圭三

【要約】 【課題】電子写真用ローラの耐久性を向上させる。

【解決手段】導電性芯体の外周に弾性層を設け、該弾性層の外周に複数の樹脂層を設けたローラであって、ローラ表面側に伸びの小さい樹脂層、弾性層に接する側に伸びの大きい樹脂層を配したことを特徴とする。低硬度弾性層を用いた場合でも、樹脂層のしわ、膜剥がれを防止でき、耐久性の優れたローラを得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性芯体の外周に、弾性層、樹脂層の順に積層されたローラであって、該樹脂層が伸びの異なる2層以上から構成されていることを特徴とするローラ。
【請求項2】 前記2層以上から構成される樹脂層の伸びが外層にいくに従い小さいことを特徴とする請求項1記載のローラ。
【請求項3】 弾性層に接する樹脂層の伸びが400〜1200%で、最表面の樹脂層の伸びが200%〜600%である請求項1〜2記載の何れか1項に記載のローラ。
【請求項4】 前記弾性層の硬度がJISA硬度で3〜30°である請求項1〜3記載の何れか1項に記載のローラ。
【請求項5】 前記弾性層が、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位である重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤と、(C)ヒドロシリル化触媒と、(D)導電性付与剤を主成分とする硬化性組成物の反応物からなる請求項1〜4の何れか1項に記載のローラ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など電子写真方式を採用した装置に組み込まれるローラに関し、特に非磁性現像方式を採用した現像装置に用いる現像ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式を採用する装置において、現像ローラは感光体などの静電潜像担持体へトナーを搬送する機能を有するものである。図1は、非磁性一成分トナーを用いた非磁性一成分接触現像方式で用いられる現像ローラ1とその周辺構造を模式的に示した説明図である。現像ローラ1は、SUS製やアルミニウム合金製などの導電性シャフト2の周りに形成された導電性弾性層3と、この導電性弾性層3の上に必要に応じて合成樹脂により形成された表面層4から構成される。トナー容器5に貯蔵されたトナー6は、供給ローラ7によって確実に現像ローラ1の表面に担持され、トナー容器5に取付けられた規制ブレードなどの規制部材8によって押圧されて接触帯電・摩擦帯電してトナー薄層となった後、このトナー薄層が感光体9の表面の静電潜像に付着することによって、トナー像が形成される。現像ローラ1や供給ローラ7、規制部材8には、これらの表面電位を調整すべく、直流電圧が印加されている場合が多い。また、ここには図示していないが、トナー容器5からトナーが漏れると周囲を汚染するだけではなく、画像品質も大きく劣化させる要因となるため、現像ローラの軸方向両端部分においてトナー漏れを防止するシール機構を必要に応じて設けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子写真装置の、小型軽量化、省エネルギー化がますます重要になっているのはいうまでもないことである。装置の小型軽量化、省エネルギー化のためには、ローラの駆動系を小さくする必要があるが、そのため、現像ローラとしては導電性弾性層の硬度を低くして、現像ローラと感光体との摩擦抵抗を低減させ、駆動系の負荷を低減することが望まれている。また、画質耐久性の観点でもトナー劣化が少ないことから導電性弾性層の硬度を低くするメリットは大きい。しかしながら、導電性弾性層の硬度を低下させると、その耐摩耗性能が低下するため、長期間使用している間に画質が低下したり、ローラ両端部分のトナーシール部分が摩耗し、トナー漏れが発生するという問題が新たに発生する。このため、従来より導電性弾性層の表面に、一層以上の樹脂層をコーティングした表面層を形成することにより、導電性弾性層の耐摩耗性およびトナーに対する帯電性能等を改善する試みがなされている。しかしながら、この方法を用いた場合でも、導電性弾性層と表面層との硬度の差が大きくなると、ローラの軸方向両端部分のトナーシール部分で表面層の剥離あるいは、表面層のしわによるトナー漏れが発生する等の問題が発生するため、導電性弾性層の硬度を大きく低減することは困難であった。
【0004】また、帯電ローラ、転写ローラ等の帯電部材においても感光体等の接触部材と十分なニップ幅を確保し、安定した帯電特性を得るために、低硬度弾性層の表面に樹脂層をコーティングした表面層を設けたローラが用いられているが、現像ローラ同様、硬度の差による表面層のしわ、剥がれが発生し、十分な耐久性を確保することが困難であった。
【0005】本発明は、これら従来の技術における問題点に鑑み、現像ローラにあっては、低硬度でかつ両端部のトナーシール部分の耐久性が高くトナー漏れの改善された現像ローラを提供せんとするものであり、帯電ローラ、転写ローラ等の帯電部材にあっては、表面層のしわ、剥がれの改善された耐久性の高いローラを提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、低硬度弾性層と従来用いられている表面層の間に、伸びの大きいしわ緩和層を導入することにより、導電性弾性層低硬度化のメリット、すなわちトナー劣化の抑制とトナーシール部分の耐久性とを両立させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、導電性芯体の外周に、弾性層、樹脂層の順に積層されたローラであって、該樹脂層が伸びの異なる2層以上から構成されていることを特徴とするローラ(請求項1)。
【0007】前記2層以上から構成される樹脂層の伸びが外層にいくに従い大きいことを特徴とするローラ(請求項2)。
【0008】弾性層に接する樹脂層の伸びが400〜1200%で、最表面の樹脂層の伸びが200%〜600%であることを特徴とするローラ(請求項3)。
【0009】前記弾性層の硬度がJISA硬度で3〜30°であるローラ(請求項4)。
【0010】前記弾性層が、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位である重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤と、(C)ヒドロシリル化触媒と、(D)導電性付与剤を主成分とする硬化性組成物の反応物からなる請求項1〜4の何れか1項に記載のローラ(請求項5)
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る代表的な種々の実施例を説明する。
【0012】本発明に係る現像ローラは、直径1〜12mm程度のSUS、アルミニウムまたは導電性樹脂などからなる導電性芯体の周りに同心円状に弾性層を設け、さらにその外周面に伸びの異なる表面層を10μm〜300μm程度の所定の厚みで被覆して構成される。複数の層から構成される表面層の伸びは、弾性層の外側にいくに従い、伸びを小さくすることが好ましい。伸びの小さい、硬い樹脂層を最表面に設けることにより、シール部材とのすべり性を良好に保つことができ、また伸びがの大きい樹脂層を弾性層に接する側に設けることにより弾性層の変形に追随可能でしわ緩和層としての機能を果たすことが可能である。
【0013】弾性層に接する側の表面層の伸びは、低硬度弾性層及び外側の表面層の両者との変形追従性の観点から700〜1400%が好ましい。700%以下では低硬度弾性層との変形追従性が十分でなく、1400%以上では外側の表面層との変形追従性が十分でなくなるからである。
【0014】本発明で用いられる複数の表面層の材料は、同材料、または異なる材料から構成されてもよいが、樹脂層間の接着性の観点から同じ材料のものを用いるのが好ましい。
【0015】表面層の具体的主成分としては、特に限定はないが、負帯電トナーの帯電特性を良好にするという観点からは−NHCO−結合を含有し、また環境安定性の観点からはポリカーボネート骨格のような−ROCO2−の繰り返し単位を有する樹脂を主な組成とする樹脂組成物からなっていればよく、ポリアミドやポリウレタンと、ポリカーボネートとのブレンド樹脂であっても、1分子中に−NHCO−結合と−ROCO2−の繰り返し単位との両方の単位を有するポリカーボネートウレタン等であってもよい。
【0016】前記ポリカーボネートウレタンとしては、−ROCO2−骨格の−R基が、脂環式の基またはアルキル基などであるものが好ましい。これらの中でも、表面層の低硬度と低吸水率とがバランス良く得られるという観点からは、−R基がアルキル基であることが望ましい。
【0017】また、前記ポリカーボネートウレタンは、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られる化合物である。ポリカーボネートポリオールは、多価アルコールとホスゲン、クロル蟻酸エステル、ジアルキルカーボネートもしくはジアリルカーボネートとの縮合によって得られる。多価アルコールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールもしくは1,5−ペンタンジオールなどを用いるのが望ましく、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量(Mn)は、約300〜15,000の範囲内にあることが望ましい。ポリカーボネートポリオールは、単独で使用されるのが好ましいが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールもしくはポリエステル−ポリエーテルポリオールと併用することもできる。
【0018】前記のポリカーボネートポリオールと反応するポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジオフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添MDI、水添TDIもしくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)などが使用される。これらの中でも、入手のし易さやコスト、現像ローラに要求される種々の特性などのバランスを考慮すると、水添MDIもしくはIPDIを用いるのが好ましい。
【0019】一方、前記表面層の主成分として、吸湿などによるローラ抵抗の環境変動を小さくするという観点から、アクリル−カルボン酸ビニル系共重合体を主成分とする樹脂組成物を用いることもできる。このアクリル−カルボン酸ビニル共重合体は、アクリル酸エステルモノマー成分、メタアクリル酸エステルモノマー成分およびカルボン酸ビニルモノマー成分の合計量が樹脂成分中に50重量%以上、好ましくは80重量%以上含有される共重合体であって、前記カルボン酸ビニルモノマー成分が樹脂成分中に3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上含有される共重合体である。
【0020】前記アクリル酸エステルモノマー成分としては、重合が良好に進行するという観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、などが挙げられる。
【0021】また前記メタアクリル酸エステルモノマー成分としては、重合が良好に進行するという観点から、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどが挙げられる。これらの中でも、入手のし易さの観点からは、メタアクリル酸メチルが好ましい。
【0022】そして前記カルボン酸ビニルモノマー成分としては、重合が良好に進行するという観点から、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、吉草酸ビニル、イソ吉草酸ビニルなどが挙げられる。これらの中でも、入手のし易さ、トナーを良好にマイナス帯電させるという観点からは、酢酸ビニルを用いることが好ましい。
【0023】前記添加される粒子としては特に限定はないが、負帯電性のトナーを使用する電子写真装置の現像ローラとして使用する場合、トナーと逆極性のウレタン、ナイロン、アクリル等の粒子がトナー荷電性向上の観点から好ましい。正帯電性のトナーを使用する電子写真装置の現像ローラとして使用する場合はフッ素、シリコーン系粒子が好ましい。
【0024】前記弾性層の材料としては、表面粘着性を有する材料であれば良く、NBR、シリコーン、ウレタン等の材料を用いることが可能である。弾性層表面に粒子を安定して付着させるという観点から、JIS Z 0237に準ずる傾斜式ボールタック試験(傾斜角30゜、23℃)で1〜13、好ましくは2〜13がよい。良好な粘着性を示す観点から弾性層材料として、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位である重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤と、(C)ヒドロシリル化触媒と、(D)導電性付与剤と、を主成分とする硬化性組成物の反応物が特に好ましい。
【0025】この硬化性組成物における(A)成分の重合体は、(B)成分とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状になり硬化する。(A)成分に含まれるアルケニル基の数は、(B)成分とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個以上必要であるが、充分なゴム弾性を得るという点からは、直鎖状分子の場合、分子の両末端に2個のアルケニル基が存在し、分岐のある分子の場合、分子末端に2個以上のアルケニル基が存在することが望ましい。(A)成分の主鎖を構成する主な繰り返し単位は、オキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位である。
【0026】まず、(A)成分の主鎖を構成する主な繰り返し単位がオキシアルキレン単位からなる重合体の場合について説明する。このとき、硬化物に(D)成分である導電性付与剤が少量添加されていると、硬化物の体積抵抗率が108Ωcm〜109Ωcmとなるため、現像ローラとして使用する場合に好ましい。また硬化物の低硬度化の観点から、前記繰り返し単位がオキシアルキレン単位であるオキシアルキレン系重合体、さらには、前記繰り返し単位がオキシプロピレン単位であるオキシプロピレン系重合体が望ましい。
【0027】ここで、前記オキシアルキレン系重合体とは、主鎖を構成する単位のうち30%以上、好ましくは50%以上がオキシアルキレン単位からなる重合体をいう。オキシアルキレン単位以外に含有される単位は、重合体製造時の出発物質として使用される、活性水素を2個以上有する化合物、たとえば、エチレングリコール、ビスフェノール系化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどからなる単位などである。なお、前記繰り返し単位がオキシプロピレン系の場合、エチレンオキシド、ブチレンオキシドなどからなる単位との共重合体(グラフト共重合体を含む)であって良い。
【0028】このようなオキシアルキレン系重合体の分子量は、反応性および低硬度化のバランスを良くする観点から、数平均分子量(Mn)で500〜50,000、さらには1,000〜40,000であることが好ましい。特に、数平均分子量が5,000以上のもの、さらには5,000〜40,000であるものが好ましい。数平均分子量が500未満の場合、この硬化性組成物を硬化させたときに充分な機械的特性(ゴム硬度、伸び率)などが得られにくくなる。一方、数平均分子量があまり大きくなると、分子中に含まれるアルケニル基1個あたりの分子量が大きくなったり、立体障害で反応性が落ちたりするため、硬化が不充分になることが多く、また、粘度が高くなりすぎて加工性が悪くなる傾向にある。
【0029】なお、前記オキシアルキレン系重合体が有するアルケニル基に特に制限はないが、下記一般式(1)で示されるアルケニル基が、硬化性に優れる点で特に好ましい。
【0030】H2C=C(R1)− (1)
(式中、R1は水素原子またはメチル基)
また、この硬化性組成物の特徴の1つは、低硬度化に設定し易いことであり、この特徴を発揮させるには、アルケニル基の数は分子末端に2個以上存在することが好ましい。但し、(A)成分の分子量に比してアルケニル基の数が多くなりすぎると剛直になり、良好なゴム弾性が得られにくくなる。
【0031】次に、(A)成分が、主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素系単位である重合体の場合について説明する。この重合体は低吸水率であり、電気抵抗の環境変動が小さい硬化物を得られやすいという点で好ましいものでる。また、前記オキシアルキレン系重合体の場合と同様に、(B)成分とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状になり硬化するものである。さらに、(A)成分に含まれるアルケニル基の数は、(B)成分とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、良好なゴム弾性を得るという点から、直鎖状分子の場合は、分子の両末端に2個存在することが好ましく、分岐を有する分子の場合は、分子末端に2個以上存在することが好ましい。
【0032】前記主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素系単位である重合体の代表例としては、イソブチレン系重合体、水添イソプレン系重合体、水添ブタジエン系重合体が挙げられる。これら重合体は、共重合体などの他成分の繰り返し単位を含むものであって構わないが、少なくとも飽和炭化水素系単位を50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上含有することが、飽和炭化水素系の、吸水率が低いという特徴を損なわないようにする上で重要である。
【0033】この主鎖を構成する繰り返し単位が飽和炭化水素系単位である(A)成分の重合体の分子量としては、数平均分子量(Mn)で500〜50,000程度、さらには1,000〜15,000程度であって、常温において液状物で流動性を有するものが、取り扱い易さ、加工性の点で好ましい。
【0034】このような飽和炭化水素系重合体に導入されるアルケニル基については、前記オキシアルキレン系重合体の場合と同様である。
【0035】したがって、(A)成分としての、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含み、主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素系単位である重合体の好ましい具体例としては、両末端にアルケニル基を2個有し、直鎖状の数平均分子量(Mn)が2,000〜15,000で、Mw/Mnが1.1〜1.2のポリイソブチレン系、水添ポリブタジエン系、水添ポリイソプレン系重合体などが挙げられる。
【0036】また、硬化性組成物中の(B)成分は、分子中の少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物である限り特に制限はないが、分子中に含まれるヒドロシリル基の数が多すぎると、硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存し易くなり、ボイドやクラックの原因となるため、分子中に含まれれるヒドロシリル基の数は50個以下が良い。さらにはこの数は、硬化物のゴム弾性のコントロールや貯蔵安定性の点から、2〜30個、より好ましくは2〜20個であることが好ましく、さらに、硬化時の発泡を容易に防ぐという点では、20個以下、そしてヒドロシリル基が失活しても硬化不良が発生しにくいという点では3個以上が好ましく、最も好ましい範囲は3〜20個である。
【0037】なお、本発明で、前記ヒドロシリル基を1個有するとは、Siに結合するHを1個有することをいい、SiH2の場合には、ヒドロシリル基を2個有することを意味するが、Siに結合するHは異なるSiに結合する方が、硬化性やゴム弾性の点から好ましい。
【0038】(B)成分の分子量は、(D)成分である導電性付与剤を添加する場合の分散性やローラ加工性などの点から、数平均分子量(Mn)で30,000以下にあることが好ましく、さらには20,000以下、特には15,000以下が好ましい。(A)成分との反応性や相溶性まで考慮すると、数平均分子量が300〜10,000にあることが好ましい。
【0039】この(B)成分に関しては、(A)成分の凝集力が(B)成分の凝集力に比べて大きいために、相溶性の点でフェニル基含有変性が重要であり、(A)成分との相溶性、入手のし易さの点でスチレン変性体などが好ましく、貯蔵安定性の点でα−メチルスチレン変性体が好ましい。
【0040】また、(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化触媒として使用し得るものである限り特に制限はなく、白金単体、アルミナなどの単体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸(アルコールなどの錯体も含む)、白金の各種錯体、ロジウム、ルテニウム、鉄、アルミニウム、チタンなどの金属の塩化物などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体が望ましい。これらの触媒は単独で使用しても良く、2種以上で併用しても良い。
【0041】以上のような硬化性組成物の(A)成分に対する(B)成分の使用割合として、(A)成分中のアルケニル基1モル当たり、(B)成分中のヒドロシリル基が0.2〜5.0モル、さらには0.4〜2.5モル存在するように設定されると、良好なゴム弾性を得る点から好ましい。
【0042】また、(C)成分の使用量としては、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して、10-1〜10-8モル、特に10-3〜10-6モルの範囲で用いるのが好ましい。(C)成分の使用量が10-8モルに満たないと反応が進行しない。一方でヒドロシリル化触媒は、一般に高価で、また腐食性を有し、しかも水素ガスが大量に発生して硬化物が発泡してしまう性質を有しているので、10-1モルを超えて用いない方が好ましい。
【0043】さらに、上記硬化性組成物に、(D)成分である導電性付与剤を添加して導電性組成物とすれば、現像ローラとして好適である。この(D)成分の導電性付与剤としては、カーボンブラックや、金属微粉末、さらには第4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基などを有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルアミド、もしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキサイド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物、または高分子化合物などの帯電防止剤などの、導電性を付与できる化合物などを挙げることができる。これらの導電性付与剤は、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても構わない。
【0044】なお、(D)成分である導電性付与剤の添加量は、(A)〜(C)成分の合計量に対して30重量%以下とすることが、ゴム硬度を上げない点から好ましい。一方、均一な体積抵抗率を得るためには、この添加量が10重量%以上であるのが好ましく、さらに硬化物の体積抵抗率が103〜1010Ωcmとなるように、添加量を定めることが好ましい。
【0045】上記硬化性組成物には、上記(A)〜(D)成分の他、貯蔵安定性改良剤、たとえば、脂肪族不飽和結合を有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、チッ素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などを加えても良い。その具体例としては、たとえば、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、ジメチルアセチレンカルボキシレート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン、キノリンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの中では、ポットライフおよび速硬化性の両立という観点から、チアゾール、ジメチルマレートが特に好ましい。なお、前記貯蔵安定性改良剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0046】また、上記硬化性組成物には、加工性やコストを改善するという点から、充填剤、保存安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料などを添加しても良い。
【0047】前記弾性層は、上記硬化性組成物、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの弾性材料を、たとえば、中心にSUS製やアルミニウム合金製などの導電性芯体を設置した金型に注型、射出成形、押出成形などをし、適当な温度、時間で加熱硬化させることにより、導電性芯体の周りに導電性弾性層を形成する。この場合、半硬化後、後硬化させてもよい。
【0048】本発明に係る現像ローラは、この弾性層の周りに、前記伸びの異なる表面層を構成する樹脂をディッピング、スプレー噴霧、または刷毛塗りなどで所定の厚みに塗布し、所定の温度で乾燥させて硬化させることにより得られる。
【0049】
【実施例】以下に、本発明に係る実施例1の構成を詳細に説明した後に、これら実施例と比較例1、2との比較を行う。
【0050】これら実施例および比較例の現像ローラは、直径12mmのSUS製シャフトの周りに、厚さ4mmの弾性層を同心円状に設け、この弾性層上に表面層を被覆して構成される。
【0051】前記弾性層には、以下に示す弾性層1を用いる。
(弾性層1)
(A−1)数平均分子量(Mn):8,000、分子量分布2.0の末端アリル化ポリオキシプロピレン系重合体100重量部に対して、(B−1)ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.36モル/100g):6.6重量部、(C−1)塩化白金酸の10%イソプロピルアルコール溶液:0.06重量部、(D−1)カーボンブラック3030B(三菱化学社製):8重量部、とを混合し、10mmHg以下で120分間減圧脱泡して得られた組成物を、シャフト上に被覆し、金型内120℃の環境下で30分間静置して硬化させ、厚さ4mmのゴム弾性体からなる弾性層を形成した。前記組成物をを用いて直径30mm、高さ12.7mmの円筒状試料(シャフトなし)を製造し、23℃でJIS A硬度を測定したところ、13°であった。前記表面層には、以下に示す表面層を用いる。
(表面層1)
(1)ウレタン樹脂溶液(大日精化社製の製品名「Y−210B」;エーテルウレタン 100重量部(2)ウレタン微粒子(大日精化社製の製品名「UP0904」;平均粒径15μm) 20重量部上記の配合による配合物の固形分を、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド):MEK(メチルエチルケトン)=1:1の混合溶媒で5%に希釈し、1時間静置した溶液をつくる。この溶液を弾性層の周りにディッピングし、乾燥させ、厚みが約20μmの表面層1を形成する。
(表面層2)
(1)ウレタン樹脂溶液(大日精化社製の製品名「Y−258」;エーテルウレタン 100重量部(2)ウレタン微粒子(大日精化社製の製品名「UP0904」;平均粒径15μm) 20重量部上記の配合による配合物の固形分を、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド):MEK(メチルエチルケトン)=1:1の混合溶媒で5%に希釈し、1時間静置した溶液をつくる。この溶液を弾性層の周りにディッピングし、乾燥させ、厚みが約20μmの表面層2を形成する。
(表面層3)
(1)ウレタン樹脂溶液(大日精化社製の製品名「Y−210B」;カーボネートウレタン 100重量部(2)ウレタン微粒子(大日精化社製の製品名「UP0904」;平均粒径15μm) 20重量部上記の配合による配合物の固形分を、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド):IPA(イソプロピルアルコール):トルエン=1:1:1の混合溶媒で5%に希釈し、1時間静置した溶液をつくる。この溶液を弾性層の周りにディッピングし、乾燥させ、厚みが約20μmの表面層3を形成する。上記弾性層、表面層を組み合わせ、表1に示す実施例1〜2、比較例1〜3の現像ローラを作製した。各表面層のJIS K 6251に準じた伸び(破断時伸び)の測定値も表1に示した。作製した現像ローラの作製直後の表面層のしわの発生状況の観察結果、及びこれら現像ローラを沖データ製レーザープリンタ、マイクロライン700Nに組み込み、各々一定パターンの画像を出力しながら、5千枚ごとにローラ端部のしわ、剥がれの状態を観察し、2万枚まで耐久評価を実施した結果を表1に併せて記載した。
【0052】
【表1】

次に弾性層を下記に示す弾性層2を用いた以外は、実施例1〜2、比較例1〜3と同様の現像ローラを作製し、評価した結果を表2に示した(実施例3〜4、比較例4〜6)。尚、耐久評価は3万枚まで実施した。
(弾性層2)
(A−2)数平均分子量(Mn):8,000、分子量分布2.0の末端アリル化ポリオキシプロピレン系重合体100重量部に対して、(B−2)ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.97モル/100g):2.7重量部、(C−2)塩化白金酸の10%イソプロピルアルコール溶液:0.06重量部、(D−2)カーボンブラック3030B(三菱化学社製):8重量部、とを混合し、10mmHg以下で120分間減圧脱泡して得られた組成物を、シャフト上に被覆し、金型内120℃の環境下で30分間静置して硬化させ、厚さ4mmのゴム弾性体からなる弾性層を形成した。前記組成物をを用いて直径30mm、高さ12.7mmの円筒状試料(シャフトなし)を製造し、23℃でJIS A硬度を測定したところ、21°であった。
【0053】
【表2】

以上表1、表2より、比較例のローラが、作製直後にしわが発生するあるいは耐久評価中にしわ発生、破れ等の問題が発生するのに対し、本実施例のローラは、比較例と比べて表面層のしわ、剥がれがなく、良好な耐久性を示すことがわかる。
【0054】ここで表面層の伸びが小さいローラは、弾性層との変形追随性がなく、作製時の加熱、冷却段階でしわが発生したものと考えられ、このローラに関しては、現像ローラとして使用不可のため耐久評価は実施していない。
【0055】一方、表面層の伸びが大きいものは、耐久評価中にトナーシール部材と強く接触しつつ回転するため、せん断力に耐え切れず、しわが発生し、最終的に剥がれが発生したものと考えられる。
【0056】以上、現像ローラを主に説明したが、本発明は、これに限定されるものでなく、帯電ローラ、転写ローラ等にも適用することができる。
【0057】
【発明の効果】上述の如く本発明のローラは、導電性芯体の外周に、低硬度弾性層を設け、該弾性層の外周に、伸びのことなる複数の樹脂層をローラ表面側にいくに従い、伸びを小さくするよう設けることにより、トナーシール部の耐久性に優れた現像ローラが得られる。
【0058】また、しわ、表面層の剥がれが発生せず、耐久性に優れ、かつトナー離型性の優れた帯電ローラ、転写ローラを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【出願日】 平成11年11月8日(1999.11.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−132733(P2001−132733A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−316241