| 【発明の名称】 |
車輪軸受装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大槻 寿志
【氏名】鈴木 昭吾
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| 【要約】 |
【課題】外輪の幅を内輪の幅より短縮することにより軽量化を図った車輪軸受装置において、シール部材が摺接する内輪の摺接面が泥水等の侵入により錆が発生し、その錆の摩耗粉によりシールが摩耗してシール性能が低下する問題を解消することである。
【解決手段】シール部材8aを構成する芯金11aを外輪4の外径端部に嵌合すると共に、該芯金11aに接合一体化したシールリップ部材12aを、内輪6の外径面に嵌合したL字状のスリンガー16に摺接させ、このスリンガー16の側壁18に僅かな径方向すきまをもって対向する膨出部23を上記のシールリップ部材12aに設け、該膨出部23と前記スリンガー16との間でラビリンスシール25を構成するようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周に車体取付け用フランジ及び内周に複列の転走面を有する外輪と、前記転走面に対向した転走面を外周に有する一対の内輪と、これらの転走面間に収容された複列の転動体と、前記内外輪間の環状空間を密封するシール部材とからなり、前記外輪の軸方向の幅を前記内輪の軸方向の幅より小さく形成し、少なくとも該外輪のインボード側端面が前記内輪の端面よりも軸受内側に位置するように前記内外輪を組み合わせた車輪軸受装置において、前記シール部材の芯金を前記外輪外径端部に嵌合すると共に、該芯金にシールリップ部材を接合一体化し、該シールリップ部材を前記内輪の外径面に嵌合したL字状のスリンガーに摺接させ、前記シールリップ部材に前記スリンガーの側壁に僅かな径方向すきまをもって対向する膨出部を形成し、該膨出部と前記スリンガーとの間でラビリンスシールを構成したことを特徴とする車輪軸受装置。 【請求項2】 前記スリンガーを前記内輪の少なくともインボード側外径面に嵌合し、前記外輪のインボード側のシール部材のシールリップ部材を該スリンガーに摺接させたことを特徴とする請求項1に記載の車輪軸受装置。 【請求項3】 前記シールリップ部材は、前記スリンガーの円筒部に摺接する二股状のラジアルリップと、径方向外側に傾斜してスリンガーの側壁に摺接するサイドリップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輪軸受装置。 【請求項4】 前記スリンガーがステンレス鋼製であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車輪軸受装置。 【請求項5】 前記外輪の外径面にナックル嵌合部を形成すると共に、その嵌合部の途中に小径段部を設け、該小径段部に前記シール部材の芯金を嵌合させたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車輪軸受装置。 【請求項6】 前記一対の内輪が、等速自在継手の外輪ステム部に直接搭載され、該内輪が車輪取付け用ハブ輪と、前記等速自在継手の継手外輪の肩部との間で挟持されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車輪軸受装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は車輪軸受装置、いわゆるハブベアリングに関するものである。 【0002】 【従来の技術】図5に示すように、従来の車輪軸受装置1は、外周に車体取付け用フランジ2、内周に複列の転走面3、3を有する外輪4と、前記の各転走面3、3に対向した転走面5、5を外周に有する一対の内輪6、6と、これらの転走面3、5間に収容された複列の転動体7、7と、前記内外輪間の環状空間を密封するシール部材8、8’とから構成される。各転動体7は保持器9により周方向に所定間隔をおいて保持される。 【0003】前記の車輪軸受装置1は軽量化を図るため、前記の外輪4の軸方向の幅が内輪6の軸方向の幅より小さく形成されており、アウトボード側においては外輪4と内輪6の端面が同一面上にあるが、インボード側においては、外輪4の端面が内輪6の端面よりも軸受内側に位置するように組み合わされる。 【0004】また、インボード側のシール部材8は芯金11とこれに一体に接合されたシールリップ部材12とからなり、芯金11は外輪4の内端肩部に嵌合される。またシールリップ部材12の内周縁に形成された二股状のラジアルリップ13が内輪6の端部外周面に摺接される。アウトボード側のシール部材8’は、芯金11’とこれに一体に接合されたシールリップ部材12’とからなり、芯金11’は外輪4の内径に嵌合される。また、シールリップ部材12’の内周縁に形成された二股状のラジアルリップ13’が内輪6の端部外周面に摺接される。前記のフランジ2には車体のナックルに固定するためのボルト挿通穴14が設けられる。 【0005】車輪軸受装置1の一層の軽量化を図るために、図6に示すように、外輪4のインボード側端面のみならず、アウトボード側端面も内輪6の端面よりも軸受内側に位置せしめた構成をとることができる。この場合は、インボード側及びアウトボード側の各シール部材8、8は同一構造のものが用いられる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記のごとき従来の車輪軸受装置1においては、シール部材8のラジアルリップ13が摺接する内輪6の摺接面が外部に露出しており、泥水の飛沫がかかり易く、また塵埃が侵入し易い構成である。このため、ラジアルリップ13の摺接面に錆が発生し易くなり、その錆の摩耗粉によりラジアルリップ13が摩耗し、シール性能が早期に低下する問題がある。 【0007】そこで、この発明は、シール部材の摺接面における錆の発生を防止することにより、シール性能を向上させることを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するために、この発明は、外周に車体取付け用フランジ及び内周に複列の転走面を有する外輪と、前記転走面に対向した転走面を外周に有する一対の内輪と、これらの転走面間に収容された複列の転動体と、前記内外輪間の環状空間を密封するシール部材とからなり、前記外輪の軸方向の幅を前記内輪の軸方向の幅より小さく形成し、少なくとも該外輪のインボード側端面が前記内輪の端面よりも軸受内側に位置するように前記内外輪を組み合わせた車輪軸受装置において、前記シール部材の芯金を前記外輪外径端部に嵌合すると共に、該芯金にシールリップ部材を接合一体化し、該シールリップ部材を前記内輪の外径面に嵌合したL字状のスリンガーに摺接させ、前記シールリップ部材に前記スリンガーの側壁に僅かな径方向すきまをもって対向する膨出部を形成し、該膨出部と前記スリンガーとの間でラビリンスシールを構成するようにしたものである。 【0009】上記の構成によると、シールリップ部材の摺接面への泥水等の侵入がスリンガーとの間のラビリンスシールにより保護されるため、摺接面での錆の発生が防止される。 【0010】前記スリンガーを前記内輪の少なくともインボード側外径面に嵌合し、前記外輪のインボード側のシール部材のシールリップ部材を該スリンガーに摺接させた構成をとることができる。 【0011】上記の構成によれば、泥水等の侵入を受け易いインボード側の摺接面が保護される。 【0012】前記シールリップ部材は、前記スリンガーの円筒部に摺接する二股状のラジアルリップと、径方向外側に傾斜してスリンガーの側壁に摺接するサイドリップを有する構成をとることができ、これによりシール性を向上することができる。 【0013】また、前記スリンガーがステンレス鋼製である構成をとることができ、これにより、上述の泥水等の侵入の防止と合わせて、摺接面における錆の発生を一層確実に防止することができる。 【0014】さらに、前記外輪の外径面にナックル嵌合部を形成すると共に、その嵌合部の途中に小径段部を設けて、該小径段部に前記シール部材の芯金を嵌合させた構成や、前記一対の内輪が、等速自在継手の外輪ステム部に直接搭載され、該内輪が車輪取付け用ハブ輪と、前記等速自在継手の継手外輪の肩部との間で挟持されている構成をとることができる。 【0015】 【実施の形態】以下、この発明の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。 【0016】図1は、車輪軸受装置1の使用状態を示す。車輪軸受装置1の基本的な構成は前述の従来例のものと同様であり、外周に車体取付け用フランジ2、内周に複列の転走面3、3を有する外輪4と、前記の各転走面3、3に対向した転走面5、5を外周に有する一対の内輪6、6と、これらの転走面3、5間に収容された複列の転動体7、7と、前記内外輪間の環状空間を密封するシール部材8a、8aとから構成される。各転動体7は保持器9により周方向に所定間隔をおいて保持される。 【0017】図2(a)に示すように、前記の外輪4の軸方向の幅は、2つの内輪6、6を合わせた軸方向の幅より小さく形成されており、外輪4の両側端面が内輪6、6の両側端面よりも軸受内側に位置するように内外輪が組み合わされる。外輪4のフランジ2の内側において、該外輪4の外径面にナックル嵌合部15が設けられる。 【0018】前記の各内輪6の両端部外周面にスリンガー16が嵌合される。スリンガー16は、図2(b)に示すように、円筒部17とその一端に外向きに形成されたつば状の側壁18とからなる断面L字型の部材であり、ステンレス鋼により構成される。 【0019】また、前記の各シール部材8aは、芯金11aとこれに一体に接合された柔軟なシールリップ部材12aとからなる。芯金11aは逆L字型の嵌合部19を有し、その嵌合部19に緩やかに屈曲した逆L字型の接合部21を形成したものであり、その接合部21に前記のシールリップ部材12aを接合している。 【0020】シールリップ部材12aは、内周端に二股状のラジアルリップ13aが形成されると共に、径方向外側に傾斜したサイドリップ22が形成される。さらに、サイドリップ22の外側に軸方向外向きに突き出した膨出部23が形成される。 【0021】上記の芯金11aの嵌合部19は、外輪2のナックル嵌合部15の途中に設けた小径段部24に嵌合される。該嵌合部19はナックル嵌合部15より埋没させ、ナックル37との芯合わせ精度を向上させている。 【0022】前記のラジアルリップ13aがスリンガー16の円筒部17に接触される。またサイドリップ22が側壁18に接触され、さらに、膨出部23とスリンガー16の側壁18との間で、ラビリンスシール25が構成される。 【0023】なお、上記以外の構成は前述の従来例のものと同様である。 【0024】上記の構成でなる車輪軸受装置1は、図1に示すように、その内輪6、6が等速自在継手26の外輪ステム27に直接搭載され、また、外輪ステム27の後端のセレーション軸部28に車輪取付け用のハブ輪29が嵌合される。また、セレーション軸部28の後端部に座金31を介してナット32を締結することにより、等速自在継手26と、車輪軸受装置1、ハブ輪29が一体化される。これにより、車輪軸受装置1の内輪6、6が等速自在継手26の継手外輪33の肩部34と、ハブ輪29との間で挟持される。ハブ輪29に車輪固定用ボルト35が固定され、そのハブ輪29にブレーキロータ36のボス部が嵌合され、ボルト35により固定される。また、ナックル37がナックル嵌合部15に嵌合されボルト38により固定される。 【0025】図2から明らかなように、上記実施形態の車輪軸受装置1によると、シール部材8aのラジアルリップ13a及びサイドリップ22が摺接するスリンガー16の円筒部17及び側壁18の摺接面は、ラビリンスシール25により保護され、また、スリンガー16はステンレス鋼により形成されるので、摺接面における錆の発生が防止される。 【0026】上記の実施形態においては、内輪6、6の両端部の外周面のスリンガー16を嵌着した構成になっているが、図3に示すように、スリンガー16は泥水の飛沫を受け易いインボード側の外径面にのみ嵌着し、アウトボード側の外径面はスリンガーを用いることなく、シール部材8bの芯金11bに接合したシールリップ部材12bのラジアルリップ13bを内輪6の外径面に直接接触させるようにしてもよい。 【0027】また、図4に示すように、外輪4のインボード側の幅面を小さくし、アウトボード側端面は内輪6のアウトボード側端面と同一面にある構成を採ってもよい。この場合のインボード側のシール部材8aは、前述の図2、図3と同様にスリンガー16を用いたシール構造を採用する。アウトボード側のシール部材8’は従来例の図5に示したものと同様のものを用いる。 【0028】 【発明の効果】以上のように、この発明によると、外輪の幅を内輪の幅より短縮して軽量化を図った軸受装置において、内輪の外径面に嵌合したスリンガーにシールリップ部材を摺接させ、またその摺接面を保護するラビリンスシールを設けたことにより、摺接面への泥水等の侵入が防止される。このため、泥水等によるシール性能の劣化が防止される。 【0029】また、スリンガーに摺接するシールリップ部材に、ラジアルリップだけでなく、サイドリップを設けることにより、一層シール性能が向上する。 【0030】さらに、前記のスリンガーをステンレス鋼により形成することにより、上記の泥水等の侵入防止の効果と合わせて摺接面の錆の発生を確実に防止することができ、摩耗粉の発生によるシールリップ部材の摩耗も防止され、シール性能が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102692 【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月5日(1999.10.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074206 【弁理士】 【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−107976(P2001−107976A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月17日(2001.4.17) |
| 【出願番号】 |
特願平11−284269 |
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