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【発明の名称】 コンクリート製品用アンカーボルトのねじ山潰し機
【発明者】 【氏名】林 利勝

【要約】 【課題】分割して製造した製品A,Bを雌ねじ部材と雄ねじ部材の連結器で一体化する際に、アンカーボルトのねじ部Sの所定位置に雌ねじ部材2を係止している係止ナットNが、雌ねじ部材2と雄ねじ部材4の緊締時に座面摩擦で共回りして緩むのを防止するため、ねじ部Sのねじ山の一部を塑性変形させて、座面摩擦以上の抵抗を発生させるアンカーボルトのねじ山潰し機を提供すること。

【解決手段】角筒状のフレーム50内に固着した挟持爪10を突設した固定部材20と、リンク結合した圧潰爪30を突設した可動部材40を、フレーム内に固着した油圧シリンダ60で駆動可能に構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンクリート製品A,Bを連結する連結器を係止する係止ナットの緩み防止のためのアンカーボルトのねじ山潰し機であって、上部に円弧状断面の挟持爪を突設し、側面の所定寸法離れた上下二箇所にリンク孔を貫設し、前面側の略中央部から拡径部を有する収容孔を貫設し、収容孔内に圧縮スプリングを遊挿した長方形断面の固定部材と、上部に鋸歯状の歯を有する圧潰爪を前記固定部材の挟持爪に対向するよう突設し、側面の前記固定部材のリンク孔に対して下側に所定寸法離れた上下二箇所のリンク孔を貫設し下部にストローク調整腕を後方へ向けて突設した長方形断面の可動部材を、両部材のリンク孔間に枢着した四枚のリンクを介して下降して近接または上昇して離反可能に連結し、前記固定部材の後部を角筒状のフレームの一端内側に固着し、フレームの他端内側に油圧シリンダをピストンの端部が前記可動部材の押圧面に対向するよう固着した、ことを特徴とするコンクリート製品用アンカーボルトのねじ山潰し機。
【請求項2】前記可動部材が固定部材に対して、上昇して近接または下降して離反可能に連結するため、可動部材のリンク孔を固定部材のリンク孔より上方位置に貫設した、ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート製品用アンカーボルトのねじ山潰し機。
【請求項3】 コンクリート製品A,Bを連結する連結器を係止する係止ナットの緩み防止のためのアンカーボルトのねじ山潰し機であって、上部に鋸歯状の歯を有する圧潰爪を突設し、前面側の中央部近傍に下方に傾斜した平行四辺形の案内溝を穿設し、案内溝の上下部に複数の収容穴を穿設し、収容穴内に圧縮スプリングを遊挿し、前面側中心線上の上下部にストローク調整用ねじ孔を螺刻した長方形断面の固定部材と、上部に鋸歯状の歯を有する圧潰爪を前記固定部材の圧潰爪に対向するよう突設し、背面側中央部近傍に前記案内溝に摺接する下方に傾斜した平行四辺形の摺動部を突設し、前記収容穴の対向面に大径の収容穴を穿設し、正面側中心線上の前記ストローク調整用ねじ孔の対向位置に、大径の上下方向の長孔部と連続する小径の上下方向の長孔部を貫設した長方形断面の可動部材を、案内溝と摺動溝を介して下降して近接または上昇して離反可能に係合し、前記固定部材の一側を角筒状のフレームの一端内側に固着し、フレームの他端内側に油圧シリンダをピストンの端部が前記可動部材の押圧面に対向するよう固着した、ことを特徴とするコンクリート製品用アンカーボルトのねじ山潰し機。
【請求項4】前記可動部材が固定部材に対して、上昇して近接または下降して離反可能に連結するため、可動部材の摺動部と固定部材の案内溝が上方へ傾斜している、ことを特徴とする請求項3記載のコンクリート製品用アンカーボルトのねじ山潰し機。
【請求項5】前記鋸歯状の圧潰爪を、対応するねじ山ピッチの1乃至1.5倍ピッチ、60゜乃至90゜の複数の山部を有する圧潰爪に形成した、ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のコンクリート製品用アンカーボルトのねじ山潰し機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】大型のコンクリート製品の製造用型枠と製造設備の簡略化と、運搬から施工に至るコスト縮減を図るため、分割して製造したコンクリート製品A,B(以下、製品A,Bと称す)の連結する端部にアンカーボルトのねじ部を露出しおき、連結器となる雌ねじ部材と雄ねじ部材をそれぞれのねじ部に係止して、施工現場で当接した後両製品A,Bの雌ねじ部材と雄ねじ部材を締結し一体化する要望が近年増加してきた。本発明は、上記連結器の締結に際してアンカーボルトのねじ部の所定位置に雌ねじ部材を係止する係止ナットが、雌ねじ部材と雄ねじ部材の緊締時に座面の摩擦により同一方向へ共回りして緩むのを防止するために、予めねじ部のねじ山の一部を潰す(塑性変形させる)、コンクリート製品用アンカーボルトのねじ山潰し機に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、製品A,Bを連結する雌ねじ部材2と雄ねじ部材4より成る連結器と、雌ねじ部材を係止する係止ナットNの従来技術の緩み防止の説明図である。コンクリート製品A,Bの連結時には、予め、一方の製品A端部の凹陥部K内に露出させたアンカーボルトAnのねじ部Sに雌ねじ部材2を挿通して、ねじ部Sの所定位置n1まで係止ナットNを螺入しておき、他方の製品Bには端部bから突出しないよう雄ねじ部材4をアンカーボルトAnのねじ部Sに直接螺入しておき、両製品A,Bの当接面a,bを当接した後、係止ナットNにより係止顎3を介して内側から係止されている雌ねじ部材2を、雄ねじ部材4に螺入し締結しているが、締結時に雌ねじ部材2を矢符方向Rへ回転させると所定位置n1に螺入していた係止ナットNが、座面nzと係止顎3間の摩擦のため矢符rで示す方向へ共回りして緩むことが多く、係止ナットNが共回りすれば、連結器の雌ねじ部材2に所定トルクを加えて緊締することができず、アンカーボルトAnのねじ部Sに軸力Pを発生させて、当接面a,bに押圧力ap,bpを加えて連結強度を向上させことができない。
【0003】従来技術では、上記共回りを避ける係止ナットの緩み止めとして、アンカーボルトAnのねじ部Sにねじ用の嫌気性接着剤Adを塗付して係止ナットNを所定位置n1まで螺入していたが、ねじ用の嫌気性接着剤Adの硬化時間が長いため連結作業が捗らず、完全に硬化していなければ前記同様共回りするので、再度雌ねじ部材2と雄ねじ部材4の締結を緩めて一旦取り外した後係止ナットNを所定位置n1にセットし直す必要があり困惑していた。また、ねじ部Sに鏨によるねじ山潰しを研究してみたが熟練を要するうえ緩み止め効果の再現性に乏しく、ねじ部Sと係止ナットN間を電溶Wで固定することも行ってみたが作業空間が狭く電極の装着も困難であった。なお、連結器自体の延びを最小限に抑えるため小さく造られた雌ねじ部材2内にはロックナットを使用するスペースは存在しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の欠点を排除し、製品A,Bの連結に際して雌ねじ部材と雄ねじ部材の緊締時に、雌ねじ部材を係止する係止ナットが座面の摩擦によって共回りして緩むのを防止するため、予め、アンカーボルトのねじ部に螺入した係止ナットの緩む方向のねじ山を塑性変形させて、座面摩擦以上の抵抗を発生させるアンカーボルトのねじ山を潰す作業が、熟練を要せず短時間で容易に行えるコンクリート製品用アンカーボルトのねじ山潰し機を提供すること。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため、この発明の請求項1記載のアンカーボルトのねじ山潰し機(以下、ねじ山潰し機と称す)は、上部にアンカーボルトのねじ部を挟持する円弧状断面の挟持爪を突設し、側面の所定寸法離れた上下二箇所にリンク孔を貫設し、前面の略中央部に拡径部を有する収容孔を貫設し、収容孔内に圧縮スプリングを上下方向に変位可能に遊挿した長方形断面の固定部材と、上部にアンカーボルトのねじ山を潰す鋸歯状の圧潰爪を前記固定部材の圧潰爪に対向するよう突設し、側面の前記固定部材のリンク孔に対して下側位置に所定寸法離れた上下二箇所のリンク孔を貫設すると共に、下部にストローク調整腕を前記固定付部材側へ突設した長方形断面の可動部材を、両部材のリンク孔間に枢着した四枚のリンクを介して平行のまま下降して近接または上昇して離反可能に連結し、前記固定部材の一側を、上下に開口した角筒状のフレームの一端内側に固着し、フレームの他端内側に単動式の油圧シリンダをピストンの端部が前記可動部材の押圧面に対向するよう固着し構成した、ことを特徴とするものである。
【0006】また、この発明の請求項2記載のねじ山潰し機は、前記請求項1記載の可動部材のリンク孔を、固定部材のリンク孔より上方位置に貫設して、可動部材が固定部材に対して、上昇して近接または下降して離反可能に連結したことを特徴とするものである。
【0007】また、この発明の請求項3記載のねじ山潰し機は、大径のアンカーボルトに適用するもので、上部にアンカーボルトのねじ部を挟持してねじ山を潰す鋸歯状の圧潰爪を前面へ向けて突設し、上下方向の中央部近傍に下方に傾斜した平行四辺形の案内溝を穿設し、案内溝の上下部に収容穴を穿設し、収容穴内に圧縮スプリングを遊挿し前後方向の中心線上の上下部にストローク調整用ねじ孔を螺刻した長方形断面の固定部材と、上部にアンカーボルトのねじ部を挟持してねじ山を潰す鋸歯状の圧潰爪を前記固定部材の圧潰爪に対向するよう突設し、上下方向の中央部近傍に下方に傾斜した平行四辺形の摺動部を突設し、前記収容穴の対向面に大径の収容穴を穿設し、正面側中心線上の前記ストローク調整用ねじ孔の対向位置に、大径の上下方向の長孔部と連続する小径の上下方向の長孔部を貫設した長方形断面の可動部材を、両部材の案内溝と摺動溝を介して平行のまま下降して近接または上昇して離反可能に係合し、前記固定部材の一側を、上下に開口した角筒状のフレームの一端内側に固着し、フレームの他端内側に単動式の油圧シリンダをピストンの端部が前記可動部材の押圧面に対向するよう固着して構成した、ことを特徴とするものである。
【0008】また、この発明の請求項4記載のねじ山潰し機は、前記請求項3記載の可動部材を固定部材に対して、平行のまま上昇して近接または下降して離反可能に連結するため、可動部材の摺動部と固定部材の案内溝を上方へ傾斜させて構成した、ことを特徴とするものである。
【0009】更に、この発明の請求項5記載のねじ山潰し機は、前記請求項1乃至4記載の前記鋸歯状の歯を有する圧潰爪を、係止ナットが緩み方向へ回転する場合の抵抗力が、前記雌ねじ部材と締付ナットの座面摩擦以上になるようにねじ山を潰すため、対応するねじ部のねじ山ピッチの1乃至1.5倍のピッチで、角度60゜乃至90゜の複数の歯を有する圧潰爪に形成した、ことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】〔実施例〕図1は、本発明の請求項1に係る実施例の概略構成を示す斜視図である。この実施例では、手持ち用のハンドル52を左右に突設した角筒状のフレーム50内に固着したアンカーボルトを挟持する挟持爪10を突設した固定部材20と、固定部材20にリンク結合したねじ山を潰す圧潰爪30を突設した可動部材40と、可動部材40の駆動源となる単動式の油圧シリンダ60から構成されている。矢符Cは正面側である。以下、本発明を図に基づき詳細に説明する。
【0011】図2は、図1のA−A線断面図で、単動式油圧シリンダ60は断面を省略している。以下、本発明の実施例を図に基づき詳記すると、上部にアンカーボルトのねじ部Sを挟持する円弧状当接面10aを有する挟持爪10を突設し、側面の所定寸法離れた上下二箇所にリンク孔12a,12bを貫設し、前面側の略中央部から拡径部14を有する圧縮スプリング18の収容孔16を貫設し、収容孔16内に圧縮スプリング18を一部突出させて遊挿した長方形断面の固定部材20と、上部にねじ山を潰す鋸歯状の歯30aを有する圧潰爪30(次に詳記する)を前記挟持爪10に対向するよう突設し、下部に調整ねじ34sを進退可能に螺設したストローク調整腕34を水平方向に突設し、側面の前記固定部材20のリンク孔12a,12bに対して所定寸法離れた下側位置に上下のリンク孔32a,32bを貫設した長方形断面の可動部材40を、両部材20,40のリンク孔12a,12b,32a,32bに挿通した四本の枢軸13,33に枢着した四枚のリンク44を介して接近または離反可能に連結し、前記固定部材20の一側20eを、上下に開口した角筒状のフレーム50の一端内側54に固着し、フレーム50の他端内側56に単動式の油圧シリンダ60をピストン64の端部64eが前記可動部材40の押圧面40tに当接するよう固着し構成した。なお、符号60Cは図示省略の油圧ポンプの配管に接続するカプラーであり、図下部に示すのは、後述する請求項2に係る実施例の概略図である。
【0012】図3は、本発明の請求項1に係る実施例の動作を示す説明図で、上記の構成による本実施例は、左側の図に示す単動式の油圧シリンダ60に加圧すればピストン64の端部64eが可動部材40の押圧面40tを押圧するが、可動部材40は固定部材20にリンク44結合されているためリンク44の回転軌跡に拘束され、矢符で示す右側の図のよう前記圧縮スプリング18を圧縮して下方へ下がりながら押圧され、固定部材20との間隔が平行状態のまま接近し、挟持爪10と圧潰爪30間に挟まれたねじ山を塑性変形させる。そして、単動式油圧シリンダ60への加圧を除けば、可動部材40は固定部材20との間に内設した圧縮スプリング18の弾発力により、圧潰爪30と挟持爪10の間隔が開いて元の状態に復帰する。なお、可動部材40下部のストローク調整ねじ34aを押し込めば、圧潰爪30と挟持爪10の間隔が広がるよう調整できる。
【0013】図4は、本発明の請求項1に係る実施例の装着を示す説明図で、コンクリート製品Aの端部の凹陥部K内に露出させたアンカーボルトAnのねじ部Sに、予め使用する連結器の雌ねじ部材2を挿通して係止ナットNを所定位置以上(図の位置n2)に螺入しておき、ねじ部Sの先端部を固定部材20の挟持爪10の底部に当接させて、ねじ部Sの後側に挟持爪10が位置するようねじ山潰し機を挿入し、単動式油圧シリンダ60に加圧すれば、固定部材20の挟持爪10と可動部材40の圧潰爪30の間に挟持されたねじ部Sのねじ山が、圧潰爪30の歯30aに押圧されながら可動部材40の移動に伴い下方へ塑性変形して数秒で再現性のあるねじ山潰しが行える。そこで、単動式の油圧シリンダ60への加圧を除けば、可動部材40は圧縮スプリング18の反発力により原位置に復帰し挟持爪10と圧潰爪30の間が開くのでねじ山潰し機を撤去することができる。
【0014】図5は、本発明の請求項1に係る実施例の作用を示す説明図で、図5(a)に示す左側の図は、ねじ山潰し機を撤去直後のねじ山潰し部S2の正面視で、係止ナットNは所定位置以上n2に螺入されており、係止ナットN下部のねじ部S2はねじ山が潰されている。右側に示す図は、工具を用いて係止ナットNをねじ山潰し部S2に螺入して所定位置n1に戻した状態を示している。
【0015】図5(b)は、製品A,Bを当接した連結時を示す図で、連結器の雄ねじ部材4に雌ねじ部材2を螺合した後雄ねじ部材4の歯輪状の工具係合部4Kを工具により固定し、雌ねじ部材2の歯輪状の工具係合部2Kをトルクレンチ等で矢符R方向へ緊締した場合に、所定位置n1において雌ねじ部材2を係止顎3を介して係止している係止ナットNが、ねじ山を潰したねじ部S2との抵抗によって、座面nzと係止顎3間の摩擦抵抗で同一方向へ回ることなく完全な緩み止め効果が発揮できる。
【0016】前出の図2下部に示した請求項2に係る実施例は、可動部材40Aが固定部材20Aに対して、上昇して近接または下降して離反可能にリンク44で連結するため、可動部材40Aのリンク孔32a,32bを固定部材20Aのリンク孔12a,12bの軸心より上方位置に貫設すると共に、固定部材20Aの下部に調整ねじ24sを備えたストローク調整腕24を前方へ突設して構成している。
【0017】また、前記可動部材40の圧潰爪30の歯30aを、対応するねじ山ピッチの1乃至1.5倍で、角度60゜乃至90゜の複数の平行な山部に形成して、固定部材20と可動部材40の材質は焼き入れ硬さHRC=45〜50に熱処理した合金工具鋼の使用が好ましい。
【0018】図6は、本発明の請求項3に係る実施例の概略構成を示す斜視図で、矢符Cは正面側である。この実施例では、手持ち用のハンドル122を左右に突設した角筒状のフレーム120内に固着した、アンカーボルトを挟持してねじ山を潰す鋸歯状の歯70aを有する圧潰爪70を前面へ向けて突設した固定部材80と、固定部材80に摺動部94(次に述べる)を介して係合した、ねじ山を潰す鋸歯状の歯90aを有する圧潰爪90を、前記圧潰爪70に対向するよう突設した可動部材100と、可動部材100の駆動源となるフレーム120内に固着した単動式の油圧シリンダ110とから構成されている。以下、本発明の実施例を図に基づき詳細に説明する。
【0019】図7は、図6のB−B線断面図であり、図8は、要部である固定部材80と可動部材100の斜視図である。以下本発明の実施例を図に基づき詳記すると、上部にアンカーボルトのねじ部Sを挟持してねじ山を潰す鋸歯状の歯70aを有する圧潰爪70を前面へ向けて突設し、前面の中央部近傍に下方に傾斜した平行四辺形の案内溝74を水平に穿設し、案内溝74上下の左右両側に収容穴76を穿設し、収容穴76底部から組付用ねじ孔77を背面まで貫設し、上下の左右収容穴76の中間にストローク調整用ねじ孔79を貫設した長方形断面の固定部材80と、固定部材80の圧潰爪70に対向するよう上部にアンカーボルトのねじ部のねじ山を潰す鋸歯状の歯90aを有する圧潰爪90を背面へ向けて突設し、背面の中央部近傍にトの字形に下方に傾斜した平行四辺形の摺動部94を水平に突設し、前記収容穴76の対向面に大径の収容穴96を穿設し、両部材80,100の収容穴76,96間に4個の圧縮スプリング78を挟装し、前記固定部材80のストローク調整用ねじ孔79対向位置の前面に上下方向にクリアランスを有する大径の長孔部87と連続して背面まで貫通する小径の長孔部88を穿設した長方形断面の可動部材100を、長孔部87を通してストローク調整ねじ89を固定部材80のストローク調整ねじ孔79に所定位置まで螺入して、両部材80,100間の開閉ストロークを調整可能にし、前記固定部材80の一側80eを前記組付用ねじ孔77を介して、上下に開口した角筒状のフレーム120の一端内側124に固着し、フレームの他端内側126に単動式の油圧シリンダ110をピストン114の端部114eが前記可動部材100の押圧面100tに当接するよう固着して構成した。なお、符号110Cは圧油用のカプラーである。
【0020】上記のように構成すれば、予めアンカーボルトのねじ部Sに雌ねじ部材2を挿通して係止ナットNを所定位置以上n2まで螺入しておき、前出の図4と同様に前記ねじ部Sの先端部を固定部材80の圧潰爪70の底部に当接させて、ねじ部Sの後側に圧潰爪70が位置するようねじ山潰し機を挿入し、単動式油圧シリンダ110に加圧すれば、固定部材80の圧潰爪70と可動部材100の圧潰爪90の間に挟持されたねじ部Sのねじ山が、両圧潰爪70,90に押圧されながら可動部材100の移動に伴い下方へ塑性変形して数秒で再現性のあるねじ山潰しが行える。そこで、単動式の油圧シリンダ110への加圧を除けば、可動部材100は圧縮スプリング78の反発力により原位置に復帰しねじ山潰し機を撤去することができる。そして、ねじ山を潰したねじ部S2に係止ナットNが螺入するよう所定位置n1に戻せば、連結器の締結時にねじ部S2が雌ねじ部材との座面摩擦より大きな抵抗となって係止ナットNの完全な緩み止め効果が発揮できる。
【0021】図示省略するが、請求項4に係る実施例として、前記可動部材100が固定部材80に対して、上昇して近接または下降して離反可能にするため、可動部材100の摺動部94と固定部材80の案内溝74を上方へ傾斜させて構成してもよい。
【0022】更に、前記固定部材80と前記可動部材100の圧潰爪70,90の歯70a,90aを、対応するねじ山ピッチの1乃至1.5倍で、角度60゜乃至90゜の複数の平行な山部に形成する。そして、固定部材80と可動部材100の材質は焼き入れ硬さHRC=45〜50に熱処理した合金工具鋼の使用が好ましい。
【0023】
【発明の効果】本発明のねじ山潰し機は、分割して製造したコンクリート製品A,Bを雌ねじ部材と雄ねじ部材より成る連結器で一体化する場合の緊締時に、雌ねじ部材をアンカーボルトに内側から係止している係止ナットが座面の摩擦によって共回りして緩むのを防止するため、予め、アンカーボルトのねじ部に螺入した係止ナットの緩む方向のねじ山を塑性変形させ、座面摩擦以上の抵抗を発生させるアンカーボルトのねじ山潰しが、熟練を要せず数秒間で容易に行え、共回りを防止して完全な緩み止め効果が発揮できるので、連結器の雌ねじ部材と雄ねじ部材間に所定トルクで加えてアンカーボルトのねじ部に軸力を発生させ、コンクリート製品A,Bの当接面に押圧力を加えて連結強度を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】390027568
【氏名又は名称】株式会社カイエーテクノ
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−74023(P2001−74023A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−248117