トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 ボルト
【発明者】 【氏名】加藤 高司

【要約】 【課題】本発明の課題は、斜め組み込みによるかじり・焼き付き又は空回りを効果的に防止することのできるボルトを提供することである。

【解決手段】ねじ部先端部41から完全ねじ部42まで山の頂40が実質的に等間隔に設けられているボルト1であって、該ねじ部先端部41には、下記(a)及び/又は(b)の構成を有することにより、谷底53の幅W1 ,W2 が該完全ねじ部42における谷底423 の幅よりも広くなっている拡溝部5が形成されていることを特徴とするボルト1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ねじ部先端部から完全ねじ部まで山の頂が実質的に等間隔に設けられているボルトであって、該ねじ部先端部には、下記(a)及び/又は(b)の構成を有することにより、谷底の幅が該完全ねじ部における谷底の幅よりも広くなっている拡溝部が形成されていることを特徴とするボルト。
(a)ねじ部始端から、160°〜200°回転させた位置までの追い側フランクのフランク角が、該完全ねじ部における追い側フランクのフランク角よりも小さくなっている。
(b)ねじ部始端より160°〜200°回転させた位置から、更に320°〜400°回転させた位置までの進み側フランクのフランク角が、該完全ねじ部における進み側フランクのフランク角よりも小さくなっている。
【請求項2】 該拡溝部の完全ねじ部側終端部分の追い側フランク及び/又は進み側フランクは、該完全ねじ部の追い側フランク及び/又は進み側フランクに漸次移行し、もって、該拡溝部の完全ねじ部側終端部分の谷底は、該完全ねじ部の谷底に漸次移行する請求項1記載のボルト。
【請求項3】 該拡溝部の主体部分における追い側フランク及び/又は進み側フランクのフランク角は、0°〜5°である請求項1又は2記載のボルト。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ねじ穴に斜めに組み込まれることを防止するボルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ボルト及びナットのかじり・焼き付き又は空回りは、ボルトがナットのねじ穴に斜めに組み込まれることに原因があることが知られている。このようなボルトの斜め組み込みを防止するために、図6に示す案内ボス部付きのボルト1Pが提案された。該ボルト1Pは、頭部2Pと、ねじ部4Pが形成された軸部3Pと、該軸部3Pの先端に設けられた案内ボス部7Pとからなり、該案内ボス部7Pの外径Db は、該ボルト1Pを組み込むナット6の内径Dn よりも若干小さく設定されている。
【0003】この案内ボス部付きのボルト1Pによれば、はじめに該ナット6の内径Dn よりも若干小径な案内ボス部7Pが該ナット6のねじ穴61に挿入されるため、ある程度は該ボルト1Pのナット6ねじ穴61に対する傾きを修正することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、該ボルト1Pの案内ボス部7Pとナット6の内周63との間には、若干遊びがあるため、該ボルト1Pのナット6に対する斜め組み込みを完全に解消することはできず、かじり・焼き付き又は空回りの問題は依然として残っていた。また、ボルトの使用箇所によっては、軸部3Pの先端に案内ボス部7Pを設けることができない場合がある。
【0005】従って、本発明の課題は、斜め組み込みによるかじり・焼き付き又は空回りを効果的に防止することのできるボルトを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、ねじ部先端部(41)から完全ねじ部(42)まで山の頂(40)が実質的に等間隔に設けられているボルト(1)であって、該ねじ部先端部(41)には、下記(a)及び/又は(b)の構成を有することにより、谷底(53)の幅(W1 ,W2 )が該完全ねじ部(42)における谷底(423)の幅よりも広くなっている拡溝部(5)が形成されていることを特徴とするボルト(1)を提供するものである。
(a)ねじ部始端(S)から、160°〜200°回転させた位置(B)までの追い側フランク(511,512)のフランク角が、該完全ねじ部(42)における追い側フランク(421)のフランク角よりも小さくなっている。
(b)ねじ部始端(S)より160°〜200°回転させた位置(C)から、更に320°〜400°回転させた位置(F)までの進み側フランク(521,522,523)のフランク角が、該完全ねじ部(42)における進み側フランク(422)のフランク角よりも小さくなっている。
【0007】上記ボルト(1)によれば、該ボルト(1)の先端部がナット(6)のねじ穴(61)に対して斜めに挿入された場合であっても、該ボルト(1)のねじ部先端部(41)には谷底(53)の幅(W1 ,W2 )の広い拡溝部(5)が形成されているため、該ボルト(1)を回転させたときに、該ナット(6)のねじ山(62)の始端が該ボルト(1)の拡溝部(5)に入り込み易く、かつ、該拡溝部(5)から一旦入り込んだ該ナット(6)のねじ山(62)は、該ボルト(1)のねじ山(11)の立ち上がりの急な追い側フランク(511,512)及び/又は進み側フランク(521,522,523)によって完全ねじ部(42)のねじ溝に案内されるため、該ナット(6)のねじ山(62)が該ボルト(1)のねじ山(11)に斜めに食い込んだり、ピッチずれが発生することが防止される。このようにして、該ボルト(1)の傾きが修正され、該ボルト(1)のねじ山(11)とナット(6)のねじ山(62)とが正常に噛み合うため、斜め組み込みに起因するかじり・焼き付き又は空回りが効果的に防止される。
【0008】上記拡溝部(5)の完全ねじ部(42)側終端部分(54)の追い側フランク(512)及び/又は進み側フランク(523)は、該完全ねじ部(42)の追い側フランク(421)及び/又は進み側フランク(422)に漸次移行し、もって、該拡溝部(5)の完全ねじ部(42)側終端部分(54)の谷底(53)は、該完全ねじ部(42)の谷底(423)に漸次移行するのが好ましい。このような構成にすることにより、該ボルト(1)の拡溝部(5)に入り込んだナット(6)のねじ山(62)は、上記追い側フランク(512)及び/又は進み側フランク(523)に案内されて、極めてスムーズにボルト(1)の完全ねじ部(42)のねじ溝に導入される。
【0009】上記拡溝部(5)の主体部分における追い側フランク(511)及び/又は進み側フランク(522)のフランク角は、0°〜5°であるのが好ましく、このように設定することにより、上記本発明の作用効果を十分に発揮することができる。ここで、該拡溝部(5)の主体部分とは、該拡溝部(5)における完全ねじ部(42)への移行部分(終端部分(54))及びねじ部始端部(44)からの移行部分を除いた部分をいう。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。本発明の一実施形態によるボルトを図1〜図3に示す。該ボルト1は、頭部2と、ねじ部4が形成された軸部3とからなる。該ねじ部4は、ねじ部先端部41と、完全ねじ部42と、ねじ部後端部43とからなり、該ねじ部先端部41から該完全ねじ部42まで、山の頂40,40,40…は等間隔に設けられている。
【0011】該ねじ部先端部41において、ねじ部始端Sから、90°回転(ボルト先端側から見て右回りに回転。以下同様。)させた位置Aまでの追い側フランク511 のフランク角は0°になっており、即ち、該追い側フランク511 は垂直に立ち上がっている。そして、該位置Aから、更に90°回転させた位置Bまでの追い側フランク512 は、該追い側フランク511 (フランク角:0°)から完全ねじ部42における追い側フランク421 (フランク角:約30°)に漸次移行している。
【0012】一方、該ねじ部先端部41において、ねじ部始端Sより270°回転させた位置Dから、180°回転させた位置Eまでの進み側フランク522 のフランク角は0°になっており、即ち、該進み側フランク522 は垂直に立ち上がっている。また、ねじ部始端Sより180°回転させた位置Cから、90°回転させた上記位置Dまでの進み側フランク521 は、ねじ部始端部44における進み側フランク441 (フランク角:約30°)から上記進み側フランク522 (フランク角:0°)に漸次移行しており、上記位置Eから、更に90°回転させた位置Fまでの進み側フランク523 は、上記進み側フランク522 (フランク角:0°)から完全ねじ部42における進み側フランク422 (フランク角:約30°)に漸次移行している。
【0013】上記ボルト1におけるねじ部先端部41においては、等間隔に設けられた山の頂40,40,40…、上記追い側フランク511,512 及び進み側フランク521,522,523 に基づく構成により、谷底53の幅W1 ,W2 が完全ねじ部42における谷底423 の幅よりも広くなっている拡溝部5が形成されている。そして、該拡溝部5の完全ねじ部42側終端部分54における谷底(幅:W2 )は、該完全ねじ部42における谷底423 に漸次移行している。
【0014】以上の構成を有するボルト1は、転造によって製造することもできるし、通常のフランク角を有するボルトを作製した後、切削加工を施すことによって製造することもできる。
【0015】なお、本実施形態によるボルト1における追い側フランク511 のフランク角及び進み側フランク522 のフランク角は0°であるが、本発明はこれに限定されるものではない。該追い側フランク511 及び進み側フランク522 のフランク角は、0°〜5°であるのが好ましく、特に0°であるのが好ましい。
【0016】また、本実施形態によるボルト1における位置Aはねじ部始端Sから90°回転させた位置であり、位置Bは該位置Aから90°回転させた位置であり、位置Cはねじ部始端Sから180°回転させた位置であり、位置Dは該位置Cから90°回転させた位置であり、位置Eは該位置Dから180°回転させた位置であり、位置Fは該位置Eから90°回転させた位置であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】該位置Aはねじ部始端Sから80°〜100°回転させた位置であるのが好ましく、位置Bは該位置Aから80°〜100°回転させた位置であるのが好ましく、位置Cはねじ部始端Sから160°〜200°回転させた位置であるのが好ましく、位置Dは該位置Cから80°〜100°回転させた位置であるのが好ましく、位置Eは該位置Dから160°〜200°回転させた位置であるのが好ましく、位置Fは該位置Eから80°〜100°回転させた位置であるのが好ましい。また、該位置Aと該位置E、該位置Bと該位置Fとは、ボルト1の軸部3における同一の軸線上にあるのが好ましい。
【0018】上記ボルト1をナット6のねじ穴61に組み込む場合、図4に示すように、該ボルト1の先端部がナット6のねじ穴61に対して斜めに挿入されることがある。しかしながら、上記ボルト1のねじ部先端部41には谷底53の幅W1 の広い拡溝部5が形成されているため、図5に示すように該ボルト1を回転させたときに、該ナット6のねじ山62の始端が該ボルト1の拡溝部5に入り込み易く、かつ、該拡溝部5から一旦入り込んだ該ナット6のねじ山62は、該ボルト1のねじ山11の垂直に立ち上がった追い側フランク511 及び進み側フランク522 によって完全ねじ部42のねじ溝に案内されるため、該ナット6のねじ山62が該ボルト1のねじ山11に斜めに食い込んだり、ピッチずれが発生することが防止される。
【0019】また、上記ボルト1の拡溝部5におけるねじ山11の追い側フランクにあっては、フランク角が0°である追い側フランク511 から、追い側フランク512 を介して完全ねじ部42の追い側フランク421 に漸次移行し、該拡溝部5におけるねじ山11の進み側フランクにあっては、フランク角が0°である進み側フランク522 から、進み側フランク523 を介して完全ねじ部42の進み側フランク422 に漸次移行し、もって、該拡溝部5の終端部分54の谷底53は、完全ねじ部42の谷底423 に漸次移行しているため、該ボルト1の拡溝部5に入り込んだナット6のねじ山62は、上記追い側フランク512 及び進み側フランク523 に案内されて、極めてスムーズにボルト1の完全ねじ部42のねじ溝に導入される。
【0020】このようにして、該ボルト1の傾きが修正され、該ボルト1のねじ山11とナット6のねじ山62とが正常に噛み合うため、斜め組み込みに起因するかじり・焼き付き又は空回りが効果的に防止される。
【0021】以上説明した案内ボス部溝付ボルトは、図面に示した態様に限定されることはなく、本発明の範囲を逸脱しない限り種々の変更を施すことができる。例えば、拡溝部5における追い側フランク511,512 又は進み側フランク521,522,523 のいずれか一方のフランク角だけが、完全ねじ部42のフランク角よりも小さくなっていてもよい。また、ボルト1の軸部3の先端には案内ボス部が設けられていてもよいし、ボルト1の頭部2は六角のものに限られず、つばやフランジが付いているものであってもよく、頭部のないスタッドボルトであってもよい。
【0022】
【発明の効果】本発明のボルトによれば、斜め組み込みによるかじり・焼き付又は空回りを効果的に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】591171677
【氏名又は名称】株式会社メイドー
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】 【識別番号】100075476
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐見 忠男
【公開番号】 特開2001−74019(P2001−74019A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−248415