| 【発明の名称】 |
ストロークセンサ |
| 【発明者】 |
【氏名】後藤 忠敏
【氏名】坂元 和也
【氏名】坂本 宏
【氏名】戸澤 祥二
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| 【要約】 |
【課題】小型化が可能で、シンプルな構造を持ち、検出可能ストローク範囲を広くとることもでき、また、高分解能で検出可能にする。
【解決手段】本体2の内部において、該本体の所定端側にて一端が片持ち支持され、他端が本体の空間内に延びているセンサ部材4は、所定の交流信号によって同相励磁される複数のコイル区間を可動体の直線変位方向に沿って順次配列してなるコイル部10を含む。可動体3の内部において、センサ部材の侵入を許すように内部空間5が設けられ、内部空間5の周壁は磁性体又は導電体の磁気応答物質11からなる。可動体のストローク位置に応じて磁気応答物質とコイル部との相対的位置が変化し、この相対的位置に応じて各コイル区間のインダクタンスを変化させ、磁気応答物質の端部が1つのコイル区間の一端から他端まで変位する間で該コイル区間の両端間電圧が漸減又は漸増する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体の空間内で該本体に対して相対的に直線変位する可動体のストローク位置を検出するためのストロークセンサであって、前記本体の内部において、該本体の所定端側にて一端が片持ち支持され、他端が本体の空間内に延びているセンサ部材と、前記可動体の内部において、前記センサ部材の侵入を許すように設けられた内部空間と、所定の交流信号によって励磁される複数のコイル区間を前記可動体の直線変位方向に沿って順次配列してなるコイル部であって、前記センサ部材または前記可動体の内部空間の周壁の一方に設けられてなるものと、前記コイル部に対して相対的に変位するよう、前記センサ部材または前記可動体の内部空間の周壁の他方に設けられてなる磁気応答物質であって、前記可動体のストローク位置に応じて該磁気応答物質と前記コイル部との相対的位置が変化し、この相対的位置に応じて各コイル区間のインダクタンスを変化させ、前記磁気応答物質が1つのコイル区間の一端から他端まで変位する間で該コイル区間の両端間電圧が漸減又は漸増するようにしたものと、を具えたストロークセンサ。 【請求項2】 前記各コイル区間の電圧をそれぞれ取り出し、それらを加算及び/又は減算することにより、前記ストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅を示す交流出力信号を生成するアナログ演算回路を更に備えた請求項1に記載のストロークセンサ。 【請求項3】 前記アナログ演算回路は、前記ストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成するものであり、該複数の各交流出力信号の振幅を規定する前記周期関数特性は所定位相だけ異なる同一特性の周期関数からなる請求項2に記載のストロークセンサ。 【請求項4】 前記生成された複数の交流出力信号を入力し、該交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する前記所定の周期関数における特定の位相値を検出し、検出した位相値に基づき前記検出対象の位置検出データを生成する振幅位相変換部を更に具えた請求項3に記載のストロークセンサ。 【請求項5】 前記複数の交流出力信号は、検出対象位置に応じてサイン期関数特性に従う振幅を示す交流出力信号と、検出対象位置に応じてコサイン期関数特性に従う振幅を示す交流出力信号とからなる請求項3又は4に記載のストロークセンサ。 【請求項6】 前記コイル部が前記センサ部材の側に設けられ、前記磁気応答物質が前記可動体の内部空間の周壁の側に設けられている請求項1乃至5のいずれかに記載のストロークセンサ。 【請求項7】 前記センサ部材は、磁性体を含むボビン部を含み、このボビン部に前記コイル部の各コイルが嵌め込まれている請求項6に記載のストロークセンサ。 【請求項8】 前記ボビン部は、非磁性体からなる筒部と、筒部内に収納された1又は複数の磁性体棒とからなる請求項7に記載のストロークセンサ。 【請求項9】 前記ボビン部における磁性体又は磁性体棒は、その表面に導電体被膜が形成されてなることを特徴とする請求項6又は7に記載のストロークセンサ。 【請求項10】 前記センサ部材は、前記コイル部を嵌め込んでなる芯棒と、隣接する各コイル区間の端部間に介在する磁性体スペーサとを含む請求項6に記載のストロークセンサ。 【請求項11】 前記可動体の素材それ自体が前記磁気応答物質からなっている請求項6に記載のストロークセンサ。 【請求項12】 前記磁気応答物質は、磁性体又は導電体の少なくとも一方を含む請求項1乃至11のいずれかに記載のストロークセンサ。 【請求項13】 前記コイル部は、前記可動体の直線変位方向に沿って延びた実質的に1つのコイルからなり、この1つのコイルの所定の中間位置から出力端子をそれぞれ導き出すことで、該1つのコイルによって前記複数のコイル区間が形成されてなる請求項1乃至12のいずれかに記載のストロークセンサ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、流体圧シリンダのストローク位置検出やスプール弁のスプール位置検出などの用途に適用することができるストロークセンサに関し、特に、交流励磁されるコイルとこのコイルに対して相対的に変位する磁性体又は導電体とを含んで構成されるものであり、さらに詳しくは、1相の交流で励磁される1次コイルのみを使用して複数相の振幅関数特性を示す出力交流信号をストローク位置に応じて生成するものに関する。 【0002】 【従来の技術】流体圧シリンダ等のストローク位置を検出する位置検出装置は、従来より種々の方式のものが知られている。そのうち、電磁コイルを使用した誘導型のシリンダ位置検出装置としては、例えば、実公平2−26003号公報等に示されたものが知られている。従来公知のこの種の誘導型のシリンダ位置検出装置は、いずれも、ピストンロッドの表面を凹凸加工したり、ピストンロッドの表面に磁性体又は導電体のパターンを形成し、その上から所要のコーティング処理を施してピストンロッド表面の保護を図ったものである。また、位置検出方式は、複数の1次コイルを互いに電気的位相のずれた複数相の交流信号(例えばsin ωtとcosωt)でそれぞれ励磁し、各1次コイルによる2次側誘導信号を合成して1つの2次出力信号を生成し、励磁用の交流信号に対するこの2次出力信号における電気的位相ずれが検出対象ピストン位置を示すようにした位相シフトタイプからなっている。 【0003】従来装置のようにピストンロッドの表面に所要の加工・形成を行うものにおいては、ピストンロッドの製造・加工が面倒であり、また、各シリンダロッド毎に特注で製造・加工を行わなければならないため、様々なタイプ・サイズのシリンダにおいて位置検出装置の共用化を図ることができなかった。また、加工済みのピストンロッドの表面に所要のコーティング処理を施したとしても、ピストンロッドの伸縮動作の繰り返しによる摺動摩耗によって、数年の使用によって、表面コーティングが剥がれてしまい、耐久性に乏しいという問題点もあった。 【0004】このような欠点を除去するために、特開平10−153203号公報に示されたようなシリンダストローク位置検出装置が提案されている。それは、ピストンロッドの内部に空間を設け、その内部空間内にセンサ構造を収容できるようにしたことにより、ピストンロッドの外周に格別の加工をする必要を無くし、サイズの異なるシリンダにおいても検出装置各要素の共用化を容易に図ることができるようにし、かつ、摺動摩耗の心配のない耐久性に富んだシリンダストローク位置検出装置を提供するものである。しかし、ピストンロッドの内部空間内に収容するセンサ構造は、1次コイルと2次コイルを含むものであり、コイル構成の面で改良の余地があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来知られたシリンダストローク位置検出装置に用いられる誘導型位置センサのコイル構成は、1次コイルと2次コイルが必要であるため、部品点数が多くなり、製造コストを低廉にするのに限界があった。また、小型化するにも限界があった。励磁コイルの自己インダクタンスを測定するタイプの位置検出器も知られており、それはそれでコイル数を減らすことができるが、検出対象の変位に応じた移相量が狭い範囲でしか得られないため、実際はその移相量の測定が困難であり、また、検出分解能が悪く、実用化には不向きであった。本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、小型かつシンプルな構造を持つと共に、利用可能な検出可能ストローク範囲を広くとることもでき、また、検出対象の変位が微小でも高分解能での検出が可能なストロークセンサを提供しようとするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、本体の空間内で該本体に対して相対的に直線変位する可動体のストローク位置を検出するためのストロークセンサであって、前記本体の内部において、該本体の所定端側にて一端が片持ち支持され、他端が本体の空間内に延びているセンサ部材と、前記可動体の内部において、前記センサ部材の侵入を許すように設けられた内部空間と、所定の交流信号によって励磁される複数のコイル区間を前記可動体の直線変位方向に沿って順次配列してなるコイル部であって、前記センサ部材または前記可動体の内部空間の周壁の一方に設けられてなるものと、前記コイル部に対して相対的に変位するよう、前記センサ部材または前記可動体の内部空間の周壁の他方に設けられてなる磁気応答物質であって、前記可動体のストローク位置に応じて該磁気応答物質と前記コイル部との相対的位置が変化し、この相対的位置に応じて各コイルのインダクタンスを変化させ、前記磁気応答物質が1つのコイル区間の一端から他端まで変位する間で該コイル区間の両端間電圧が漸減又は漸増するようにしたものとを具えている。 【0007】本発明を流体圧シリンダのストロークセンサに適用した場合、上記本体はシリンダ本体に相当し、上記可動体はピストンおよびピストンロッドに相当する。その場合、センサ部材は、シリンダ本体の内部において、該本体の所定端側にて一端が片持ち支持され、他端が本体の空間内に延びるように設けられる。また、ピストンおよびピストンロッドつまり可動体の内部において、該センサ部材の侵入を許すように内部空間が設けられる。このような構造は、上述の特開平10−153203号に示されたものと共通しており、そこで説明されているように、構造の簡単化、耐久性の向上、小型化、共用化、等の種々の利点を享受することができる。ストローク位置検出は、誘導原理に従い、コイル部と該コイル部に対して相対的に変位するように配置された磁気応答物質との相対的位置を、該相対的位置に応じて生じる各コイルのインダクタンス変化に応じた出力電圧に基づき、検出することで、行われる。一方、スプール弁の位置検出装置として適用する場合は、上記可動体はスプールに相当する。 【0008】一例として、コイル部は上記センサ部材の側に設けられ、その場合は、磁気応答物質は上記可動体の上記内部空間の周壁の側に設けられる。上記可動体の材質そのものが所定の磁気応答物質からなる場合は、可動体の内部空間の周壁そのものが上記磁気応答物質に相当することとなり、それとは別に特別の磁気応答物質を設ける必要はない。上記可動体の材質そのものが所定の磁気応答物質に該当していないならば、可動体の内部空間の周壁の側に、特別に、該所定の磁気応答物質を配置することとなる。コイル部と磁気応答物質の配置は逆でもよいので、別の例としては、コイル部を上記可動体の上記内部空間の周壁の側に設け、所定の磁気応答物質を上記センサ部材の側に設けるようにしてもよい。 【0009】磁気応答物質は、典型的には、磁性体及び導電体の少なくとも一方を含んでなるものであってよい。磁気応答物質が磁性体からなる場合は、該磁気応答物質の或るコイル区間に対する近接又は侵入の度合いが増すほど該コイル区間の自己インダクタンスが増加し、該磁気応答物質の端部が1つのコイル区間の一端から他端まで変位する間で該コイル区間の両端間電圧が漸増する。コイル部において複数のコイル区間が位置検出対象たる可動体の直線変位方向に沿って順次配列されてなることにより、コイル部に対する磁気応答物質の位置が、検出対象の変位に応じて相対的に変位するにつれ、各コイル区間の両端間電圧の漸増(又は漸減)変化が順番に起こる。よって、このコイル端子間電圧の漸増(又は漸減)変化を、所定周期関数の部分的位相範囲での変化に見立ててこれらを組み合わせて利用することにより、検出対象位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成することができる。すなわち、各コイル区間の端子間電圧をそれぞれ取り出し、それらを加算及び/又は減算して組合わせることにより、検出対象位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成することができる。 【0010】例えば、典型的には、磁気応答物質の端部が1つのコイル区間の一端から他端まで変位する間に生じる該コイル区間の両端間電圧の漸増変化カーブは、例えばサイン関数における0度から90度までの範囲の関数値変化になぞらえることができる。また、この漸増変化カーブは、その振幅を負に反転して、所定レベル(オフセットレベル)を加算する電圧シフトを行なえば、所定レベルから漸減する漸減変化カーブに変換することができる。このような漸減変化カーブは、例えばサイン関数における90度から180度までの範囲の関数値変化になぞらえることができる。かくして、順番に並んだ4つのコイル区間における、順番に起こる、それらの両端間電圧の漸増変化は、必要に応じて適宜の加算及び/又は減算を施すことにより、サイン関数における0度から90度までの範囲の関数値変化、90度から180度までの範囲の関数値変化、180度から270度までの範囲の関数値変化、270度から360度までの範囲の関数値変化、にそれぞれなぞらえることができる。各範囲におけるカーブの傾斜方向や電圧シフトのオフセットレベルは、適切なアナログ演算により、適宜コントロールすることができる。しかして、検出対象位置に応じてサイン関数特性に従う振幅を示す第1の交流出力信号を生成することができ、また、このサイン関数に対して90度位相ずれた同一特性の周期関数つまりコサイン関数の特性に従う振幅を示す第2の交流出力信号を生成することもできる。 【0011】このように、好ましい一実施形態として、検出対象位置に応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号を生成することができる。例えば、検出対象位置を角度θに置き換えて示すと、概ね、サイン関数特性を示す振幅を持つ交流出力信号は、sinθsinωtで示すことができるものであり、コサイン関数特性を示す振幅を持つ交流出力信号は、cosθsinωtで示すことができるものである。これは、レゾルバといわれる位置検出器の出力信号の形態と同様のものであり、極めて有用なものである。例えば、前記アナログ演算回路で生成された前記2つの交流出力信号を入力し、該2つの交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する前記サイン及びコサイン関数における位相値を検出し、検出した位相値に基づき前記検出対象の位置検出データを生成する振幅位相変換部を具備するようにするとよい。 【0012】なお、磁気応答物質として、銅のような良導電体を使用した場合は、渦電流損によってコイルの自己インダクタンスが減少し、磁気応答物質の端部が1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸減することになる。この場合も、上記と同様に検出することが可能である。磁気応答物質として、磁性体と導電体を組合わせたハイブリッドタイプのものを用いてもよい。別の実施形態として、磁気応答物質として永久磁石を含み、コイルは磁性体コアを含むようにしてもよい。この場合は、コイルの側の磁性体コアにおいて永久磁石の接近に応じて対応する箇所が磁気飽和又は過飽和となり、該磁気応答物質すなわち永久磁石が1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸減することになる。 【0013】かくして、この発明によれば、1次コイルのみを設ければよく、2次コイルは不要であるため、小型かつシンプルな構造の位置検出装置を提供することができる。また、複数のコイル区間を検出対象の変位方向に沿って順次配列してなり、磁気応答物質の端部が1つのコイル区間の一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸増(又は漸減)する特性の変化が、各コイル区間毎に順番に起こるので、各コイル区間毎の両端間電圧をそれぞれ取り出してそれらを加算及び/又は減算して組合わせることにより、検出対象位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号(例えばサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号)を容易に生成することができ、利用可能な位相角範囲を広くとることができる。例えば、上記のように、0度から360度までのフルの位相角範囲で検出を行うことも可能である。また、これら複数の交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する所定周期関数(例えばサイン及びコサイン関数)における位相値を検出することで、検出対象の変位が微小でも高分解能での位置検出が可能である。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明しよう。図1は、本発明に係るストロークセンサをシリンダ位置検出装置として構成した一実施例を、シリンダ軸方向に沿う断面図で示すものである。このシリンダ位置検出装置が適用されるシリンダ装置1は、油圧又は空気圧シリンダなど、どのようなタイプのシリンダであってもよい。このシリンダ装置1は、通常知られるように、シリンダ本体2と、このシリンダ本体2に対して相対的に直線変位可能に挿入されたピストン部3とを含んでいる。なお、図1において、シリンダ本体2に関連する油圧又は空気圧回路の図示は省略してある。 【0015】シリンダ本体2の内部においては、該シリンダ本体2の閉鎖端2a側にて一端が片持ち支持され、他端が該シリンダ本体2の開口端2bの方に延びた、センサ部材4が設けられている。シリンダ本体2の内部にはセンサ部材4が延びて設けられているが故に、シリンダ本体2の内部で図示のx方向に前後に直線移動するピストン部3は、この長尺のセンサ部材4を適切に避ける必要がある。そこで、ピストン部3の内部において、このセンサ部材の侵入を許すように、所要の空間5が設けられる。 【0016】センサ部材4にはコイル部10が設けられている。このコイル部10は、所定の1相の交流信号によって励磁される複数のコイル区間(図示例では4個のコイル区間LA,LB,LC,LD)をピストン部3の直線変位方向(図示のx方向)に沿って順次配列してなる。詳しくは、センサ部材4において、複数コイル区間LA,LB,LC,LDを含むコイル部10は、ボビン部6に巻設され、その外周を非磁性および非導電性の保護チューブ(若しくはコーテングあるいはモールド)7によってカバーされてなる。保護チューブ7としてはいかなる材質のものを用いてもよいが、例えば、絶縁性樹脂からなる熱収縮チューブを用いると安価である。なお、コイル部10における各コイル区間LA,LB,LC,LDは、所定の1相の交流信号によって励磁されるものであるため、物理的に別々に分離された個別のコイルからなっている必要はなく、全体が実質的に1つのコイルからなっているものであってよい。すなわち、この1つのコイルを所要の複数の各コイル区間に対応して複数の中間位置で分け、各中間位置から出力端子をそれぞれ導き出すことで、複数の各コイル区間LA,LB,LC,LDを形成するようにしてよい。この場合、電気回路的には、各コイル区間LA,LB,LC,LDが直列接続されて所定の1相の交流信号によって励磁されることになる。勿論、これに限らず、各コイル区間LA,LB,LC,LDとして物理的に別々のコイルを使用し、これらを直列接続して所定の1相の交流信号によって一括励磁するか、若しくは所定の1相の交流信号によって別々の励磁回路を介して同相励磁するようにしてもよい。しかし、最初に述べたような1つのコイルを所要の複数の各コイル区間に対応して複数の中間位置で分けて使用する実施形態が最もシンプルである。なお、以下、各コイル区間LA〜LDを、単に「コイル」という。 【0017】ボビン部6は、非磁性の中空筒からなり、その内部に1又は複数の磁性体棒8が収納されている。磁性体棒8は、コイル部10の全長にわたって延びており、該コイル部10の全長にわたるインダクタンス値を設定する。ボビン部6内に収納する磁性体棒8の太さあるいは数を適宜調節することにより、コイル部10の全長にわたるインダクタンス値の設定変更を行うことができる。なお、磁性体棒8として、その周囲に銅めっき等を施して導電性被膜を形成したものを用いるとよい。そうすれば、後述するように温度ドリフト特性を低減させることができる。ボビン部6は、非磁性であればよく、金属あるいは樹脂等からなっていてもよい。しかし、適用するシリンダ装置1が大型建設機械等大きな荷重が加わる用途に使用される場合は、十分な強度を確保するために金属を用いるのがよい。例えば、ボビン部6は非磁性のステンレス等を用いて構成する。なお、シリンダ閉鎖端2aに開閉自在かつ気密および液密に密閉できるキャップ部9を設け、該キャップ部9を開放することでシリンダ内のセンサ部材4の出し入れを行うことにできるようにすれば、センサ部材4のシリンダ内への設置およびメンテナンスが容易に行える。コイル部10の配線(図示せず)は、シリンダ閉鎖端2aの適宜箇所(例えばキャップ部9の箇所でもよい)に穿たれた通り道(図示せず)を通って、外部とコンタクトするためのコネクタ(図示せず)に接続される。 【0018】ピストン部3における内部空間5の周壁には所定の磁気応答物質11が設けられる。なお、図では、ピストン部3の材質と所定の磁気応答物質11とが区別できるように図示されているが、ピストン部3の材質それ自体が所定の磁気応答物質11と同じ材質である場合は、ピストン部3における内部空間5の周壁には特別の部材を付加的に設けることなく、該ピストン部3の内壁部分そのものを該所定の磁気応答物質11として機能させることができる。例えば、所定の磁気応答物質11として磁性体を用いる場合では、ピストン部3の材質それ自体が鉄等の強磁性体からなる場合は、所定の磁気応答物質11として特別の部材を付加的に設けることなく、該ピストン部3の内壁部分そのものを該所定の磁気応答物質11として機能させることができるが、これに対して、ピストン部3の材質がステンレスのような非磁性体からなる場合は、所定の良導電体または強磁性体からなるスリーブをピストン部3における内部空間5の周壁に嵌装し、該所定の磁気応答物質11として機能させる。その場合、ピストン部3における内部空間5の周壁に銅めっきを施すことにより、良導電体からなる磁気応答物質11を形成するようにしてもよい。 【0019】次に、コイル部10と磁気応答物質11との相対的位置関係を検出する原理について説明する。図2(A)は、図1におけるコイル部10と磁気応答物質11(ピストン部3の内周壁)との配置を抽出して外観略図によって示すもの、同図(B)はそのコイル軸方向断面略図、同図(C)は該コイル部10の電気回路の一例を示す図である。コイル部10は、巻数、コイル長等の性質が同等の4つのコイルLA,LB,LC,LDを、ピストン部3の直線変位方向に沿って順次配列してなる。ピストン部3の内周壁を構成する円筒状の磁気応答物質11は、ピストン部3の収縮方向の動きに伴って、その内部空間5内に棒状のセンサ部材4を飲み込んでいき、センサ部材4に設けられたコイル部10の各コイルの磁場内に侵入する。図示の例では、ピストン部3の収縮方向の動きに伴って図の右方向に磁気応答物質11が進行するとき、磁気応答物質11の先端11aが、最初にコイルLAの磁場に侵入し、次に、コイルLB,LC,LDの順にその磁場に侵入していく。2点鎖線11’は最後のコイルLDにまで侵入した磁気応答物質11を示している。4つのコイルLA,LB,LC,LDに対応する範囲を有効検出範囲とする。すなわち1つのコイルの長さをKとすると、その4倍の長さ4Kが有効検出範囲となる。なお、実際は範囲4Kの両端では精度が落ちるため、その部分は使用しないものとし、実際の有効検出範囲は4Kよりも少し狭くなる。 【0020】各コイルLA,LB,LC,LDはその芯部に全長にわたって磁性体棒8が挿入された状態となっており、磁気応答物質11が近接していない限り、そのインダクタンス値は最大である。磁気応答物質11の各コイルの磁場に対する近接又は侵入の度合いが増すほど該コイルの自己インダクタンスが減少し、該磁気応答物質11の端部11aが1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸減する。すなわち、磁気応答物質11が磁性体である場合は、磁性体がコイル外周にかぶさる格好になるため、コイル芯部の磁性体コア8にのみ集中していた磁束が外側にかぶさった磁気応答物質11の方に漏洩し、コイルの自己インダクタンスが減少する。また、磁気応答物質11が導電体である場合は、導電体がコイル外周にかぶさる格好になり、磁界によるうず電流損が生じ、コイルの自己インダクタンスが減少する。外周の導電体のうず電流損によるインダクタンス減少率の方が、外周の磁性体による磁束漏洩によるインダクタンス減少率よりも大であるので、より好ましい実施態様は磁気応答物質11として導電体を使用することである。 【0021】図2(C)に示すように、各コイルLA,LB,LC,LDは、交流電源12から発生される所定の1相の交流信号(仮にsinωtで示す)によって定電圧又は定電流で励磁される。各コイルLA,LB,LC,LDの両端間電圧をそれぞれVA,VB,VC,VDで示すと、このそれぞれの電圧VA,VB,VC,VDを取り出すために、端子14〜18が設けられている。容易に理解できるように、各コイルLA,LB,LC,LDは、物理的に切り離された別々のコイルである必要はなく、一連のコイルの全長を4分割する位置に中間端子14〜18を設けるだけでよい。すなわち、端子14,15間のコイル部分がコイルLAとなり、端子15,16間のコイル部分がコイルLB、端子16,17間のコイル部分がコイルLC、端子17,18間のコイル部分がコイルLD、となる。各コイルの出力電圧VA,VB,VC,VDは、アナログ演算回路20及び21に所定の組み合わせで入力され、所定の演算式に従って加算又は減算されることで、各アナログ演算回路20及び21から検出対象位置に応じたサイン及びコサイン関数特性を示す振幅をそれぞれ持つ2つの交流出力信号(つまり互に90度位相のずれた振幅関数特性を持つ2つの交流出力信号)が生成される。例示的に、アナログ演算回路20の出力信号をsinθsinωtで示し、アナログ演算回路21の出力信号をcosθsinωtで示す。アナログ演算回路20及び21は、オペアンプOP1,OP2と抵抗回路群RS1,RS2とを含んで構成される。 【0022】上述のように、磁気応答物質11の各コイルの磁場に対する近接又は侵入の度合いが増すほど該コイルの自己インダクタンスが減少し、該磁気応答物質11の端部11aが1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸減する。ここで、複数のコイルLA,LB,LC,LDが検出対象の変位方向に沿って順次配列されてなることにより、これらコイルに対する磁気応答部材の位置が、検出対象の変位に応じて相対的に変位するにつれ、図3(A)に例示するように、各コイルの両端間電圧VA,VB,VC,VDの漸減変化が順番に起こる。図3(A)において、或るコイルの出力電圧が傾斜している区間において、当該コイルの一端から他端に向かって磁気応答物質11の端部11aが変位していることになる。典型的には、磁気応答物質11の端部11aが或る1つのコイルの一端から他端まで変位する間に生じる該コイルの両端間電圧の漸減変化カーブは、サイン又はコサイン関数における90度の範囲の関数値変化になぞらえることができる。そこで、各コイルの出力電圧VA,VB,VC,VDをそれぞれ適切に組み合わせて加算及び/又は減算することにより、検出対象位置に応じたサイン及びコサイン関数特性を示す振幅をそれぞれ持つ2つの交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtを生成することができる。 【0023】すなわち、アナログ演算回路20では、コイルLA,LB,LC,LDの出力電圧VA,VB,VC,VDを下記式(1)のように演算することで、図3(B)に示すようなサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号を得ることができ、これは、等価的に「sinθsinωt」で示すことができる。 (VB−VA)−(VD−VC)−Vo …式(1) なお、Voは最少インダクタンス値(磁気応答物質11が1つのコイルの全体をカバーしたときのインダクタンス値)に対応する基準電圧であり、0レベルにオフセットするためのものである。 【0024】また、アナログ演算回路21では、コイルLA,LB,LC,LDの出力電圧VA,VB,VC,VDを下記式(2)のように演算することで、図3(B)に示すようなコサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号を得ることができる。これは等価的に「cosθsinωt」で示すことができる。 VA+(VB−VC)+(Vp−VD)−Vo …式(2) Vpは最大インダクタンス値(磁気応答物質11が1つのコイルにまったく近接していないときのインダクタンス値)に対応する基準電圧であり、出力電圧VDをオフセットするためのものである。なお、温度ドリフトを考慮すると、各コイルLA〜LDの温度ドリフトと同等の温度ドリフト特性で各基準電圧Vo,Vpが生成されるようにするために、適宜のダミーコイルを介在させて各基準電圧Vo,Vpを生成するのがよい。勿論、他の温度補償手段を用いてもよい。 【0025】各交流出力信号の振幅成分であるサイン及びコサイン関数における位相角θは、検出対象位置に対応しており、90度の範囲の位相角θが、1個のコイルの長さKに対応している。従って、4Kの長さの有効検出範囲は、位相角θの0度から360度までの範囲に対応している。よって、この位相角θを検出することにより、4Kの長さの範囲における検出対象位置をアブソリュートで検出することができる。 【0026】ここで、温度特性の補償について説明すると、温度に応じて各コイルのインピーダンスが変化し、その出力電圧VA,VB,VC,VDも変動する。例えば、図3(A)で実線のカーブに対して破線で示すように各電圧が一方向に増加または減少変動する。しかし、これらを加減算合成したサイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおいては、図3(B)で実線のカーブに対して破線で示すように正負両方向の振幅変化として表れる。これを振幅係数Aを用いて示すと、Asinθsinωt及びAcosθsinωtとなり、この振幅係数Aが周辺環境温度に応じて変化することとなり、この変化は2つの交流出力信号において同じように現われる。ここから明らかなように、温度特性を示す振幅係数Aは、それぞれのサイン及びコサイン関数における位相角θに対して影響を及ぼさない。従って、この実施形態においては、自動的に温度特性の補償がされていることとなり、精度のよい位置検出が期待できる。さらに、前述のように、コイル部10の磁性体コアに相当する磁性体棒8の外周に銅めっき等を施して導電体被膜を形成することにより、温度補償を行うことができる。すなわち、この磁性体棒8の表面の導電体被膜はそこに生じるうず電流損によって磁気回路のインダクタンスを減少させるものであるが、例えば温度上昇時に、各コイルのインピーダンスが上昇するとき(これは本来、自己インダクタンスの減少を招くが)、導電体被膜のうず電流損が減少して相対的に磁気回路のインダクタンスを上昇させ、コイルのインダクタンスの温度ドリフトを補償する。同様の理由で、ボビン部6の非磁性金属として多少なりとも導電性を持つものを用いると、同様の温度ドリフト補償効果が期待できる。 【0027】サイン及びコサイン関数特性の振幅を持つ交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅関数sinθ及びcosθの位相成分θを、位相検出回路(若しくは振幅位相変換手段)22で計測することで、検出対象たるストローク位置をアブソリュートで検出することができる。この位相検出回路22としては、例えば特開平9−126809号公報に示された技術を用いて構成するとよい。例えば、第1の交流出力信号sinθsinωtを電気的に90度シフトすることで、交流信号sinθcosωtを生成し、これと第2の交流出力信号cosθsinωtを加減算合成することで、sin(ωt+θ)およびsin(ωt−θ)なる、θに応じて進相および遅相方向に位相シフトされた2つの交流信号(位相成分θを交流位相ずれに変換した信号)を生成し、その位相θを測定することで、ストローク位置検出データを得ることができる。あるいは、公知のレゾルバ出力を処理するために使用されるR−Dコンバータを、この位相検出回路22として使用するようにしてもよい。 【0028】なお、図3(B)に示すように、サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅特性は、角度θと検出対象位置xとの対応関係が線形性を持つものとすると、真のサイン及びコサイン関数特性を示していない。しかし、位相検出回路22では、見かけ上、この交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtをそれぞれサイン及びコサイン関数の振幅特性を持つものとして位相検出処理する。その結果、検出した位相角θは、検出対象位置xに対して、線形性を示さないことになる。しかし、位置検出にあたっては、そのように、検出出力データ(検出した位相角θ)と実際の検出対象位置との非直線性はあまり重要な問題とはならない。つまり、所定の反復再現性をもって位置検出を行なうことができればよいのである。また、必要とあらば、位相検出回路22の出力データを適宜のデータ変換テーブルを用いてデータ変換することにより、検出出力データと実際の検出対象位置との間に正確な線形性を持たせることが容易に行なえる。よって、本発明でいうサイン及びコサイン関数の振幅特性を持つ交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtとは、真のサイン及びコサイン関数特性を示していなければならないものではなく、図3(B)に示されるように、実際は三角波形状のようなものであってよいものであり、要するに、そのような傾向を示していればよい。つまり、サイン等の三角関数に類似した周期関数であればよい。なお、図3(B)の例では、観点を変えて、その横軸の目盛をθと見立ててその目盛が所要の非線形目盛からなっているとすれば、横軸の目盛をxと見立てた場合には見かけ上三角波形状に見えるものであっても、θに関してはサイン関数又はコサイン関数ということができる。 【0029】サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅関数sinθ及びcosθの位相成分θの変化範囲は、上記実施例のような0度から360度までのほぼフル範囲での変化に限らず、それよりも狭い限られた角度範囲での変化であってもよい。その場合は、コイルの構成を簡略化することができる。有効検出範囲が狭くてもよいような場合には、検出可能位相範囲は360度未満の適宜の範囲であってよい。その他、検出目的に応じて、検出可能位相範囲が360度未満の適宜の範囲であってよい場合が種々あるので、そのような場合に適宜応用可能である。 【0030】図4は、磁気応答物質11の配置の変形例を示す断面図である。ピストン部3の内部空間5の径がその出口に近づくにつれて徐々に広がるような形状をなしており、結果的に該内部空間5の周壁に形成される磁気応答物質11の寸法がその先端11aに近づくほど、センサ部材4つまりコイル部10からのラジアル方向距離が広がるように傾斜をなしている。この磁気応答物質11の傾斜範囲は、例えば、ほぼKぐらいの長さにわたっていてよい。この磁気応答物質11の傾斜に応じてコイルに対する磁気応答物質11のギャップ距離が変化し、コイルに滑らかな若しくは非線形的なインダクタンス変化をもたらす。すなわち、磁気応答物質11の先端11aの移動にともなうコイルのインダクタンス変化を滑らかな若しくは非線形的な漸減特性とすることができる。 【0031】図5は、本発明に係るストロークセンサの別の実施例を示す断面図である。この実施例では、ピストン部3側の磁気応答物質11がセンサ部材4のコイル部10に侵入していくにつれて、コイルのインダクタンスが漸増するようになっている。すなわち、コイル部10のボビン60は非磁性体からなっており、ピストン部3の内部空間5の周壁に設けられた磁気応答物質11は強磁性体からなる。これにより、ピストン部3の収縮ストロークによって磁気応答物質11のコイル部10の各コイルの磁場に対する近接又は侵入の度合いが増すほど該コイルの自己インダクタンスが増加し、該磁気応答物質11の端部が1つのコイルの一端から入り込んで他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸増する。ピストン部3の伸長ストローク時はその逆である。 【0032】また、図5の例では、コイル部10において、有効検出範囲に対応するコイルLA,LB,LC,LDの前後に補助コイルLα,Lβが更に設けられている。すなわち、コイル部10は、巻数、コイル長等の性質が同等の6つのコイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβを、ピストン部3の直線変位方向に沿って順次配列してなる構成である。補助コイルLα,Lβは、コサイン関数特性を忠実に得ることができるようにするために設けたものであり、精度をそれほど追及しない場合は、省略可能である。 【0033】ピストン部3のストローク変化に応じた、コイル部10と磁気応答物質11との相対的位置関係の変化は、図1の実施例と同様である。すなわち、ピストン部3の内周壁を構成する円筒状の磁気応答物質11は、ピストン部3の収縮方向の動きに伴って、その内部空間5内に棒状のセンサ部材4を飲み込んでいき、センサ部材4に設けられたコイル部10の各コイルの磁場内に侵入する。図示の例では、ピストン部3の収縮方向の動きに伴って図の右方向に磁気応答物質11が進行するとき、磁気応答物質11の先端が、最初にコイルLαの磁場に侵入し、次に、コイルLA,LB,LC,LDの順にその磁場に侵入していき、最後にコイルLβの磁場に侵入する。ただし、この実施例では、コイル部10のボビン60は非磁性体からなっていて磁性体を含まず、一方、ピストン部3の内部空間5の周壁に設けられた磁気応答物質11は強磁性体からなるので、磁気応答物質11の各コイルの磁場に対する近接又は侵入の度合いが増すほど該コイルの自己インダクタンスが増加し、該磁気応答物質11の端部が1つのコイルの一端から入り込んで他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸増する。 【0034】図6は図5の実施例におけるコイル部10の接続例を示す。各コイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβは、交流電源12から発生される所定の1相の交流信号(sinωt)によって定電圧又は定電流で励磁される。各コイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβの両端間電圧をそれぞれVα,VA,VB,VC,VD,Vβで示すと、このそれぞれの電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβを取り出すために、端子13〜19が設けられている。前述と同様に、各コイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβは、物理的に切り離された別々のコイルである必要はなく、一連のコイルの全長を6分割する位置に端子13〜19を設けるだけでよい。各コイルの出力電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβは、アナログ演算回路20及び21に所定の組み合わせで入力され、所定の演算式に従って加算又は減算されることで、各アナログ演算回路20及び21から検出対象位置に応じたサイン及びコサイン関数特性を示す振幅をそれぞれ持つ2つの交流出力信号sinθsinωtおよびcosθsinωtが生成される。 【0035】以上の構成により、磁気応答物質11の各コイルの磁場に対する近接又は侵入の度合いが増すほど該コイルの自己インダクタンスが増加し、該部材の端部が1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧が漸増する。複数のコイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβが検出対象の変位方向に沿って順次配列されてなることにより、これらコイルに対する磁気応答部材の位置が、検出対象の変位に応じて相対的に変位するにつれ、図7(A)に例示するように、各コイルの両端間電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβの漸増変化が順番に起こる。図7(A)において、或るコイルの出力電圧が傾斜している区間において、当該コイルの一端から他端に向かって磁気応答物質11の端部11aが変位していることになる。典型的には、磁気応答物質11の端部11aが或る1つのコイルの一端から他端まで変位する間に生じる該コイルの両端間電圧の漸増変化カーブは、サイン又はコサイン関数における90度の範囲の関数値変化になぞらえることができる。そこで、各コイルの出力電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβをそれぞれ適切に組み合わせて加算及び/又は減算することにより、検出対象位置に応じたサイン及びコサイン関数特性を示す振幅をそれぞれ持つ2つの交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtを生成することができる。 【0036】すなわち、図6のアナログ演算回路20では、コイルLA,LB,LC,LDの出力電圧VA,VB,VC,VDを下記式(3)のように演算することで、図3(B)に示すようなサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号を得ることができ、これは、等価的に「sinθsinωt」で示すことができる。 (VA−VB)+(VD−VC) …式(3) 【0037】また、図6のアナログ演算回路21では、コイルLα,LA,LB,LC,LD,Lβの出力電圧Vα,VA,VB,VC,VD,Vβを下記式(4)のように演算することで、図7(B)に示すようなコサイン関数特性の振幅カーブを示す交流出力信号を得ることができる。なお、図7(B)に示すコサイン関数特性の振幅カーブは、実際はマイナス・コサイン関数特性つまり「−cosθsinωt」であるが、サイン関数特性に対して90度のずれを示すものであるからコサイン関数特性に相当するものである。従って、これをコサイン関数特性の交流出力信号といい、以下、等価的に「cosθsinωt」で示す。 (VA−Vα)+(VB−VC)+(Vβ−VD) …式(4) なお、式(4)の演算に代えて、下記の式(4')の演算を行なってもよい。 (VA−Vα)+(VB−VC)−VD …式(4') 【0038】なお、式(4)で求めたマイナス・コサイン関数特性の交流出力信号「−cosθsinωt」を電気的に180度位相反転処理することで、実際に、cosθsinωtで示される信号を生成し、これをコサイン関数特性の交流出力信号としてもよい。しかし、後段の位相検出回路(振幅位相変換回路)22で、例えば、コサイン関数特性の交流出力信号を「−cosθsinωt」の形で減算演算に使用するような場合は、マイナス・コサイン関数特性の交流出力信号「−cosθsinωt」のままで使用すればよい。なお、式(4)の演算に代えて、下記の式(4'')の演算を行なえば、実際にコサイン関数特性の交流出力信号「cosθsinωt」を生成することができる。 (Vα−VA)+(VC−VB)+(VD−Vβ) …式(4'') 【0039】各交流出力信号の振幅成分であるサイン及びコサイン関数における位相角θは、検出対象位置に対応しており、90度の範囲の位相角θが、1個のコイルの長さKに対応している。従って、4Kの長さの有効検出範囲は、位相角θの0度から360度までの範囲に対応している。よって、この位相角θを検出することにより、4Kの長さの範囲における検出対象位置をアブソリュートで検出することができる。 【0040】図5の構成も、図1の場合と同様に、温度ドリフト補償可能である。温度ドリフト特性は、図7(A)で実線のカーブに対して破線で示すようであり、各電圧が一方向に増加または減少変動する。しかし、これらを加減算合成したサイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおいては、図7(B)で実線のカーブに対して破線で示すように正負両方向の振幅変化として表れる。これを振幅係数Aを用いて示すと、Asinθsinωt及びAcosθsinωtとなり、この振幅係数Aが周辺環境温度に応じて変化することとなり、この変化は2つの交流出力信号において同じように現われる。ここから明らかなように、温度特性を示す振幅係数Aは、それぞれのサイン及びコサイン関数における位相角θに対して影響を及ぼさない。従って、この実施形態においては、自動的に温度特性の補償がされていることとなり、精度のよい位置検出が期待できる。 【0041】サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅関数sinθ及びcosθの位相成分θを、前述と同様に、位相検出回路(若しくは振幅位相変換手段)22で計測することで、検出対象位置をアブソリュートで検出することができる。 【0042】図8は、コイル部10及び磁気応答物質11の別の構成例を示す側面及び断面図である。この場合、各コイルLα,LA〜LD,Lβの相互の配置間隔は、図5等の例と同様に、Kであるが、各コイルの長さが短くなっている。すなわち、隣接する各コイルLα,LA〜LD,Lβは図1や図5のように密接している必要はなく、適宜離隔していてもよい。ピストン部3の内部空間5の径がその出口に近づくにつれて徐々に広がるような形状をなしており、結果的に該内部空間5の周壁に形成される磁気応答物質11の寸法がその先端11aに近づくほど、センサ部材4つまりコイル部10からのラジアル方向距離が広がるように傾斜をなしている。この磁気応答物質11の傾斜範囲は、例えば、ほぼKぐらいの長さにわたっている。この磁気応答物質11の傾斜に応じてコイルに対する磁気応答物質11のギャップ距離が変化し、コイルに滑らかなインダクタンス変化をもたらす。すなわち、磁気応答物質11の先端11aの移動にともなうコイルのインダクタンス変化を滑らかな漸増(若しくは漸減)変化特性とすることができる。勿論、図1や図5のように各コイルLα,LA〜LD,Lβが密接して配置されている場合も、ピストン部3の内部空間5の周壁に設けられた磁気応答物質11がその先端11aから所定の範囲で図8図示のような傾斜をなすように形成してよいことは、図4で既に述べた。また、図1及び図5のようにピストン部3の内部空間5の周壁に設けられた磁気応答物質11に特段の傾斜を設けない場合でも、図8のように各コイルLα,LA〜LD,Lβを適宜分離して配置することも可能である。 【0043】更に別の例として、コイル部10の各コイルは、分離配置された複数のコイル部分からなっていてもよい。図9は、その一例として、1個のコイルLAについて、その分離配置例を示している。図9においては、分離配置された4つのコイル部分LA1,LA2,LA3,LA4によって、Kの範囲をカバーする1個のコイルLAが構成されている。各コイル部分LA1,LA2,LA3,LA4は直列接続され、コイルLAの端子間電圧VAが出力される。この場合、各コイル部分LA1,LA2,LA3,LA4の巻数は、共通していてもよいし、適宜異なっていてもよい。また、各コイル部分LA1,LA2,LA3,LA4の配置の離隔間隔は均等であってもよいし、適宜異なっていてもよい。これら、コイル巻数や離隔間隔などを不均一(非線形)にすることにより、サイン関数またはコサイン関数のカーブにより近い特性の自己インピーダンス変化を引き起こすことができる。そうすれば、前述した検出位相角θと実際の検出対象距離(位置)との関係の非線形性を改善することができる。同様に、図1や図5のように隣接するコイルLα,LA〜LD,Lβを密接して配置する場合も、1つのコイルの全長Kの範囲でその巻数を均一にせずに、位置に応じて不均一にしてもよい。これによっても、サイン関数またはコサイン関数のカーブにより近い特性の自己インピーダンス変化を引き起こすことができ、前述した検出位相角θと実際の検出対象距離(位置)との関係の非線形性を改善することができる。 【0044】図10は、図5におけるコイル部10の各コイルの配置の変形例であり、隣接コイル間でのクロストークを防いで検出精度を向上させることができるようにしたものである。図10(A)においては、各コイルLα,LA〜LD,Lβの間に磁性体スペーサ31が配置されている。これにより、個々のコイルで発生した磁束の通り道が拡散されずに、個々のコイルの内部から直近端部(磁性体スペーサ31の箇所)を通り、外周を通り、直近端部(磁性体スペーサ31の箇所)を通り、内部に戻るという、図示のΦに示すようなルートを通ることになる。よって、クロストークを防ぎ、各コイルの外周に対して近接する磁気応答物質11の存在に対する個々のコイルの応答性(インピーダンス変化)を極めて良好にし、検出精度を向上させることができる。図10(A)では隣接コイル間に設ける磁性体スペーサ31は1個であるが、図10(B)のように、隣接コイル間に2個の磁性体スペーサ31a,31bを幾分分離させて配置するようにしてもよい。この場合、非磁性体からなるボビン60の芯に細い針金のような磁性体を挿入しておき、磁束の通りを良くするようにしてもよい。図10に示された変形は、図1の例においても適用可能である。 【0045】上記各実施例において、磁気応答物質11の構成は、磁性体又は導電体の一方に限らず、両方を逆特性でハイブリッドに組み合わせたものであってもよい。また、磁気応答物質11として永久磁石を含むものを使用し、コイル部10の各コイルには鉄心コア含むようにしてもよい。例えば、図1のようにボビン部6に磁性体棒8を具備する構成を採用し、磁気応答物質11として永久磁石は、少なくともコイル長Kに相当する長さを持つリング状磁石を用いるとよい。その場合では、ピストン部3の動きに応じて、磁気応答物質11たる永久磁石が、いずれかのコイルに接近するとその近接箇所に対応する鉄心コアが部分的に磁気飽和ないし過飽和状態となり、該コイルの端子間電圧が低下する。このように、磁気応答部材11として永久磁石を使用する場合も、非磁性良導電体を用いる場合と同様に、磁気応答部材11つまり永久磁石が1つのコイルの一端から他端まで変位する間で該コイルの両端間電圧の漸減変化を引き起こさせることができる。 【0046】更に、上記各実施例においては、サイン及びコサイン関数の振幅特性を持つ2つの出力交流信号sinθsinωt及びcosθsinωtを生成する例(いわばレゾルバタイプの2相出力を生ずる例)について説明したが、これに限らず、所定位相ずれを示す3以上の三角関数の振幅特性を持つ3以上の出力交流信号(例えば、sinθ・sinωt、sin(θ−120°)・sinωt及びsin(θ−240°)・sinωt)を出力するように構成してもよい。 【0047】なお、上記各実施例において、配置するコイルLA〜LDの数は、2又は3であってもよいし、4以上であってもよい。出力交流信号における振幅関数の位相θの変化範囲として、360度フルにとらずに、90度程度あるいは180度程度の範囲でよい場合は、2又は3個のコイルでも済ますことができる。 【0048】変形例として、公知の位相シフト型位置検出原理に従う検出装置のように、2相交流信号(例えばsinωtとcosωt)を用いて複数相でコイルを励磁し、ストローク位置に対応する位相角θだけ位相シフトした出力交流信号(例えばsin(ωt+θ))を得るようにすることも可能である。そのためには、例えば、2つのコイルグループを並列配置し、各グループ毎に位相の異なる交流信号(例えばsinωtとcosωt)によってそれぞれ該グループ内のコイルを共通に励磁し、一方のコイルグループの出力をアナログ演算することでcosθsinωtを形成し、他方のコイルグループの出力をアナログ演算することでsinθcosωtを形成するようにし、両出力を加算又は減算すれば、位相シフトした出力交流信号sin(ωt+θ)を得ることができる。 【0049】上記各実施例において、コイル部10と磁気応答物質11との関係を逆にし、コイル部10を可動体つまりピストン部3の内部空間5内に配置し、磁気応答物質11をセンサ部材4の側に固定するようにしてもよい。上記各実施例に係る本発明のストロークセンサは、流体圧シリンダのストローク位置検出装置に限らず、スプール弁のスプール位置検出装置など、その他適宜の可動体ストローク位置検出装置に適用することができる。また、センサのサイズも、適用する装置のサイズに合わせて、大型の堅牢な検出装置として構成することもできるし、小型の精密ストローク位置検出装置として構成することもできる。 【0050】 【発明の効果】以上のとおり、この発明によれば、1次コイルのみを設ければよく、2次コイルは不要であるため、小型化の容易な、かつシンプルで安価な構造のストロークセンサを提供することができる。また、複数のコイル区間を検出対象の変位方向に沿って順次配列してなり、磁気応答物質の端部が1つのコイル区間の一端から他端まで変位する間で該コイル区間の両端間電圧が漸減(又は漸増)する特性の変化が、各コイル区間毎に順番に起こるので、各コイル区間毎の両端間電圧をそれぞれ取り出してそれらを加算及び/又は減算して組合わせることにより、検出対象位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号(例えばサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号)を容易に生成することができ、利用可能な位相角範囲を広くとることができる。例えば、上記のように、0度から360度までのフルの位相角範囲で検出を行うことも可能である。また、これら複数の交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する所定周期関数(例えばサイン及びコサイン関数)における位相値を検出することで、検出対象の変位が微小でも高分解能での位置検出が可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】597156971 【氏名又は名称】株式会社アミテック 【識別番号】000190297 【氏名又は名称】新キャタピラー三菱株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月3日(1999.9.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077539 【弁理士】 【氏名又は名称】飯塚 義仁
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| 【公開番号】 |
特開2001−74006(P2001−74006A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【出願番号】 |
特願平11−249768 |
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