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【発明の名称】 狭ウェスト部を有する静翼
【発明者】 【氏名】ピーター・ジョン・ウッド

【氏名】ジョン・ジャレド・デッカー

【氏名】グレゴリー・トッド・ステインメッツ

【氏名】マーク・ジョセフ・ミエルケ

【氏名】ケネス・エドワード・セイツァー

【要約】 【課題】圧縮機の効率と失速マージンを共に向上させる。

【解決手段】圧縮機ステータ静翼(18)は、翼弦方向には前縁(24)と後縁(26)の間に延在するとともに縦方向には根元(28)と先端(30)の間に延在する正圧側面(20)及び負圧側面(22)を含む。静翼は根元と先端の間のウェスト部(36)で翼弦が狭くなる。また、静翼は狭いウェスト部と共に後縁(26)で湾曲させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 翼弦方向に前縁24と後縁26の間に延在するとともに縦方向に根元28と先端30の間に延在し、根元と先端の間のウェスト部36で翼弦長が狭まっている正圧側面20及び負圧側面22を含んでなる、圧縮機ステータ静翼。
【請求項2】 前縁24が、根元28からウェスト部36及び先端30からウェスト部36に向かってテーパを付けてある、請求項1記載の静翼。
【請求項3】 ウェスト部36が、根元28から縦方向スパンの約30%〜70%の範囲内に位置する、請求項2記載の静翼。
【請求項4】 ウェスト部36がスパンの約50%に位置する、請求項3記載の静翼。
【請求項5】 後縁26が根元28と先端30の間で縦方向に概ね真直ぐである、請求項2記載の静翼。
【請求項6】 後縁26が正圧側面20及び負圧側面22で概ね真直ぐである、請求項5記載の静翼。
【請求項7】 後縁26が真直ぐで、前縁24のみで翼弦長が狭まっている、請求項6記載の静翼。
【請求項8】 後縁26が前縁と共に傾斜することなく、軸線方向側面図で半径方向にのみ延在するように構成されている、請求項6記載の静翼。
【請求項9】 後縁26が根元28から先端30にかけて前縁24に向って傾斜している、請求項6記載の静翼。
【請求項10】 後縁の傾斜が根元28から先端30にかけて一定である、請求項9記載の静翼。
【請求項11】 翼弦長が、根元28から先端30にかけて縦方向に実質的に均一な拡散負荷を生じるようにウェスト部36に向って短くなっている、請求項2記載の静翼。
【請求項12】 負圧側面22が、後縁と根元28及び先端30の各々との間で鈍角に湾曲している、請求項2記載の静翼。
【請求項13】 後縁26が、正圧側面20及び負圧側面22で概ね真直ぐで、負圧側面22の前記湾曲に直交している、請求項12記載の静翼。
【請求項14】 前記鈍角が約100°〜130°の範囲内である、請求項12記載の静翼。
【請求項15】 翼弦長が、根元28から先端30まで縦方向に実質的に均一な拡散負荷を生じるようにウェスト部36に向って短くなっている、請求項12記載の静翼。
【請求項16】 前縁24が根元28及び先端30に対して実質的に直角である、請求項12記載の静翼。
【請求項17】 前縁24が、根元28と先端30の間で前記テーパに直交して概ね真直ぐである、請求項16記載の静翼。
【請求項18】 鈍角が、後縁26から前縁24に向かって角度が減少する、請求項16記載の静翼。
【請求項19】 根元28に直角に結合する内側バンド32と、先端30に直角に結合する外側バンド34をさらに含み、後縁26における負圧側面22と内外両側バンドとの間で鈍角をなす、請求項12記載の静翼。
【請求項20】 翼弦方向に前縁24と後縁26の間に延在するとともに縦方向に根元28と先端30の間に延在し、根元と先端の間のウェスト部で翼弦長が狭まっている正圧側面20及び負圧側面22を含み、負圧側面が後縁26と根元28及び先端30の各々との間で鈍角に湾曲している圧縮機ステータ静翼18。
【請求項21】 根元28に直角に結合する内側バンド32と、先端30に直角に結合する外側バンド34をさらに含み、後縁26における負圧側面22と内外両側バンドとの間で鈍角をなす、請求項12記載の静翼。
【請求項22】 翼弦長は前縁24のみで狭まり、かつ後縁26が正圧側面20及び負圧側面22において負圧側面22の湾曲に直交し概ね真直ぐである、請求項21記載の静翼。
【請求項23】 翼弦長が根元28から先端30まで縦方向に実質的に均一な拡散負荷を生じるようにウェスト部36に向って短くなっている、請求項22記載の静翼。
【請求項24】 ウェスト部36が、根元28から縦方向スパンの約30%〜70%の範囲内に位置する、請求項22記載の静翼。
【請求項25】 鈍角が約100°〜130°の範囲内である、請求項24記載の静翼。
【請求項26】 前縁24が、根元28と先端30の間で前記テーパに直交して概ね真直ぐである、請求項22記載の静翼。
【請求項27】 最短翼弦長のウェスト部36を有するスカラップ形前縁24及び前縁に直交して湾曲する後縁26を含んでなる、圧縮機ステータ静翼18。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は概括的にはガスタービンエンジンに関するものであり、さらに具体的にはその圧縮機又はファンに関する。
【0002】
【従来の技術】ターボファン航空機ガスタービンエンジンでは、作動中空気はファン及び圧縮機で加圧される。ファン空気は飛行中の航空機の推進に用いられる。圧縮機を通過した空気は、燃焼器内で燃料と混合して点火され、高温燃焼ガスを生じ、タービン段を通って流れ、ファン及び圧縮機の動力源となるエネルギーが抽出される。
【0003】典型的ターボファンエンジンは多段軸流圧縮機を含んでおり、この多段軸流圧縮機で逐次空気を加圧して燃焼用高圧空気を生じさせる。圧縮空気は圧縮比が高まると拡散し減速する。そのため、圧縮機翼形部は、失速マージンと効率に悪影響を与える不都合な境界層剥離が減るように設計しなければならない。
【0004】逆に、燃焼ガスはタービン段を通って加速され、タービン動翼はエネルギー抽出効率を最大にすべく異なる空力設計をもつ。
【0005】圧縮機設計の基本は、離陸、巡航及び着陸と飛行活動全体を通して十分な失速マージンを保っての空気圧縮の効率にある。
【0006】しかし、圧縮機の効率と失速マージンは通常反比例の関係にあり、効率を上げとその分失速マージンが減るのが通例である。失速マージンと効率の相反する要件は高性能軍用機エンジンで特に厳しく、対照的に、条件の比較的緩い民間機用途では通例圧縮機効率を犠牲にして失速マージンを高レベルに保つことが要求される。
【0007】圧縮機翼形部の効率の最大化は、主に、正圧側及び負圧側での速度分布を最適化することによって行われる。しかし、従来の圧縮機設計では効率は適度の失速マージンの条件によって制限されるのが通例であった。それ以上効率を高めようとすると失速マージンの低下という結果に陥るのが通例であり、逆に、失速マージンを増やすと効率の低下という結果に至る。
【0008】通例、高い効率は所定の段の翼形部のぬれ表面積を最小限にしてその分翼形部の抗力を減少させることによって得られる。これは、通例、ソリディティつまりロータディスク外周の翼形部の密度を減らすか、或いは翼弦長とスパン長さとのアスペクト比を増すことによって達成される。
【0009】ある所定のロータ速度では、こうした効率の増加は失速マージンを減少させる。高レベルの失速マージンを達成するには、至適入射角以下で翼形部を設計するとともに、至適レベルよりも高いソリディティを用いればよい。これは軸流圧縮機の効率を下げる。
【0010】失速マージンはロータ速度を高めることによっても増大し得るが、これは翼形部のマッハ数を増加させて翼形部の抗力を増すことになり、効率を低下させる。
【0011】圧縮機の性能は、圧縮機ロータ動翼及びステータ静翼の協調によっても影響を受ける。動翼列が支持ロータディスクから半径方向外方に延在し、周囲のステータケーシング内で作動中回転する。対応するステータ静翼列は、動翼の直ぐ上流に配置され、動翼への空気の流れを制御する。
【0012】通例、ステータ静翼は半径方向外側の先端が環状外側バンドに取り付けられており、その半径方向内側根元は半径方向内側バンドに取り付けられていて、内側バンドは通例内側シールを支持している。かかる取り付けは典型的には個々の静翼をバンド内の相補的開口に差し込んで、ろう付や溶接などによって固定することによって行われる。個々の静翼は、変形せずにこの製造工程を経るように真直ぐで剛性をもたせてあるのが通例である。
【0013】しかし、典型的な静翼は根元から先端まで比較的一様な半径方向輪郭をもち、そのため作動効率及び失速マージンが制限される。両バンドは端壁を画成し、その端壁に沿って作動中空気の境界層が形成され性能に影響を及ぼす。静翼の空力負荷つまり拡散負荷は静翼スパン中央部よりも端壁近くで高く、作動中空気が拡散するにつれ、静翼と端壁の境界は静翼後縁付近の負圧側で境界層剥離を受ける。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、典型的な圧縮機設計は必然的に効率と失速マージンのいずれかを優先させる妥協を含む。また、動翼と静翼の設計の違いによって圧縮機の設計は一段と複雑になる。そこで、圧縮機静翼を改良し対応する圧縮機動翼との協調性を向上させて、圧縮機の効率と失速マージンを共に向上させることが望まれている。
【0015】
【課題を解決するための手段】圧縮機ステータ静翼は、翼弦方向に前縁から後縁まで延在するとともに縦方向に根元から先端まで延在する正圧側面と負圧側面を含んでいる。静翼は根元と先端の間のウェスト部で翼弦長が狭まっている。静翼は狭いウェスト部と併せて後縁で湾曲させてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい例示的な実施形態を、その他の目的及び利点と併せて、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明によって具体的に説明する。
【0017】図1に示す側面図は、空気12を通して加圧するための構成をもつガスタービンエンジン圧縮機10の一部である。圧縮機は軸方向中心軸線14の周りで対称であり、分割ディスク又は一体型ブリスク又は環状ドラムなど慣用の形態のロータから半径方向外方に延在するロータ動翼16を軸方向に複数段含んでいる。
【0018】各ロータ段に併せて円周方向に複数のステータ静翼18が隔設された圧縮機ステータがある。動翼16及び静翼18は、軸方向段において逐次空気12を加圧するためそれぞれの空力的形状つまり輪郭の翼形部を画成する。作動中、空気が段から段へと軸方向に減速し拡散するにつれて、空気の圧力は増加する。
【0019】図1及び図2に示す通り、各ステータ静翼18は、概ね凹面の正圧側面20とその円周方向反対側の概ね凸面の負圧側面22とを含む翼形部を画成する。両側面20,22共に翼弦方向に上流の前縁24と軸線方向反対側の下流の後縁26の間に延在している。
【0020】個々の静翼18は、エンジンの中心軸線14と平行に延びる軸線方向のX軸、接線方向つまり円周方向に延びるY軸、及び半径方向に延びるZ軸からなる直交座標系で定義し得る。各静翼18は、図1に示す根元28から先端30へと半径方向外方に向かって半径方向に重ねた複数の平面断面として定義し得る。
【0021】図1に示す例示的実施形態では、静翼18の列は半径方向内側及び外側バンド32,34に適切に支持され、内側バンドは通例適当なシール(図示せず)を支持している。静翼の根元28と先端30は、通例、両バンド32,34の相補的開口に固定装着され、バンドは端壁を画成し、端壁は、隣り合った静翼18間での空気の流れの半径方向境界をなす。
【0022】上述の通り、従来の圧縮機の設計は圧縮効率と失速マージンとの妥協を伴うのが通例であった。従来の圧縮機静翼の翼形部はその二次元空力的定義のため半径方向に類似しているのが通例である。
【0023】翼形部性能をさらに充分に評価するための3次元(3D)粘性流れ方程式を解くのに、コンピュータソフトウェアを利用することができる。かかる3Dソフトウェアはロータ動翼16とステータ静翼18のいずれの設計にも使用し得るが、ステータ静翼が本発明の主題である。本発明で得られる静翼翼形部は概して独特な3D形状を有しており、その縦方向つまり半径方向スパンのどこを取ってもその半径方向断面にほとんど違いのない従来の翼形部とは大きく異なる。
【0024】まず図2に示し通り、静翼18の各半径方向断面は、前縁24から後縁26まで延在する正圧側面20及び負圧側面22に沿った空力輪郭つまり空力形状によって画成される。各断面は前縁から後縁までの翼弦を有し、その翼弦長Cで区別される。
【0025】図1に示す通り、本発明の例示的態様では、ステータ静翼18は翼弦長が最小となるウェスト部36に向かって翼弦長が狭まっており、ウェスト部36は好ましくは静翼の縦方向つまり半径方向スパンに沿って根元28と先端30の間の中央に位置する。
【0026】前縁24は、好ましくは根元28及び先端30の両方からウェスト部36に向かってテーパが付けられており、図1に示す概ね凹形の軸線方向側面図つまり投影図では単一スカラップをもつ前縁を画成する。ウェスト部36は、好ましくは静翼の根元28から静翼の縦方向つまり半径方向スパンの約30%〜70%の範囲内に位置する。図示した好ましい実施形態では、ウェスト部36はスパンの約50%に位置している。また、ウェスト部36は、根元及び先端での翼弦長よりも最高約30%短くすることができる。
【0027】図1の側面図つまり軸線方向投影図に示す通り、後縁26は好ましくは根元から先端にかけて縦方向つまり半径方向に概ね真直ぐである。静翼のどちらの側面からみた軸線方向投影図でも、後縁26は正圧側面及び負圧側面の何れの側からもX−Z平面で直線に見える。
【0028】後でさらに説明する通り、ステータ静翼18は好ましくは前縁24から後縁26に向かってだけ翼弦が狭まっていて、後縁26は軸線方向側面輪郭は真直ぐなままである。好ましい実施形態では、後縁26は前縁と共に傾斜することなく軸線方向の側面図又は投影図において半径方向にのみ延在する形状をしている。こうして、ウェスト部36はテーパ付又はスカラップ形の前縁24のみで画成され、後縁は半径方向に真直ぐでテーパも付いていなければスカラップ形でもない。
【0029】両端壁から翼弦長を減少させて静翼の中央に狭いウェスト部36を設けることによって、ステータ段のD性能を向上させることができる。静翼の狭いスパン中央部つまり中央部分はその分ぬれ表面積が減り、その分空力抗力が減る。
【0030】好ましくは、静翼は、拡散負荷が根元28から先端30まで縦方向つまり半径方向に実質的に均一になるように、両側の端壁から翼弦長を短くすることでウェスト部に向かって狭まっている。空力負荷が翼形部のスパン全体にわたって実質的に均一となるように静翼の翼弦長の半径方向分布を規定することによって、効率的な空気圧縮に不要な静翼ウェスト部付近の余分な翼弦長を除きつつ、向上した性能及び効率を得ることができる。
【0031】静翼は、端壁面近くの負荷と拡散を妥協させることなく、中央ウェスト部での負荷と拡散を増加させるべく、中央ウェスト部で選択的に狭められる。縦方向の負荷分布は、上記の通り実質的に均一にすることができるし、或いは翼弦長分布を滑らかにすべく静翼のスパン中央で若干大きくしてもよい。圧縮効率は、静翼中央部での抗力を減らしつつ該中央部での拡散を増大させることによって、増大する。
【0032】さらに、翼弦長の減少は好ましくは、端壁バンドでの前縁の空力スイープ角(aerodynamic sweep)を増大させるべく翼形部の後縁でなく前方端つまり前縁でなされる。空力スイープ角は慣用パラメータであり、内側及び外側バンド32〜34近くの静翼の前縁での前進角は静翼の空力性能をさらに高める。
【0033】スカラップ形の前縁24は、真直ぐではあるが傾斜した後縁と共に設けてもよい。図3の別の実施形態に示す通り、後縁26は軸線方向の投影では直線のままであるが根元から先端にかけて鋭角をなす傾斜角Aで前縁24に向かって傾斜していてもよく、傾斜角Aは最大約10゜とし得る。傾斜角Aは好ましくは根元から先端まで一定である。
【0034】図4のY−Z平面での接線方向図つまり投影図に示す通り、静翼18にさらに修正を加えることによって、失速マージンを向上させるとともに、圧縮機効率をさらに高めることができる。図4に示すY−Z平面は図1に示すX−Z平面と直交しており、同じ静翼18のそれぞれ接線方向投影図と軸線方向投影図である。
【0035】図4に示す通り、静翼の負圧側面22は好ましくは後縁26と根元28及び先端30の各々との間で鈍角Bに湾曲している。後縁26は、半径方向軸線に対して接線方向つまり図示した方向に傾斜角Dをなす。
【0036】静翼18は空気の流れ12を転向して拡散させる形状をもつので、空気の境界層剥離は後縁近くの静翼の負圧側面が主な設計上の考慮対象である。従来の概ね半径方向に真直ぐなステータ静翼では、静翼負圧側面は通例端壁面に対して直角であり、そこで境界層剥離を起こし易い。しかし、図4に示す静翼18の負圧側面を後縁で湾曲させることによって生じる鈍角Bは端壁面又はバンドでの不都合な境界層剥離を大幅に減少或いは完全になくす。それに応じて、圧縮機効率及び失速マージンをさらに増大させることができる。
【0037】図4に示す軸線方向端面図では、個々の静翼18は主にその後縁26に沿って湾曲し、根元28と先端30の双方で同様の鈍角Bをなしている。傾斜角Dは、後縁で互いに逆向きに傾いた根元部と先端部とが滑らかにつながるように静翼の縦方向スパンに沿って変化する。好ましくは、傾斜角は根元と先端の間で連続的に変化する。
【0038】図4に示す湾曲した後縁は、各半径方向断面のキャンバ角とスタッガ角を変えるとともに、それに伴って静翼の積み重ね軸線38の主に接線成分を半径方向線から反らすことによって得られる。静翼の積み重ね軸線は、好ましくは個々の半径方向静翼断面のキャンバ線の中点の軌跡であり、その中点は通例静翼のスパンに沿って半径方向に整列している。図4では積み重ね軸線38の接線成分は、静翼の好ましい湾曲後縁が得らるように、反れていて半径方向スパン軸線からずれている。
【0039】図1に示すスカラップ形の前縁24は、好ましくは図4に示す湾曲した後縁26と組合せて用い、好ましくは互いに妥協しない。この組合せは空力効率をさらに高め、端壁面での不都合な境界層剥離の低減又は排除を促す。
【0040】さらに具体的には、図1及び図4に示す同一の静翼18は、好ましくは、翼弦長が最小となる中央部ウェスト部36をもつスカラップ形前縁24と、そこから直角に湾曲した後縁を両者共に含んでいる。図1に示す通り、後縁26は正圧側面20及び負圧側面22の軸線方向投影図では概ね直線であるとともに、図4に示す直交接線平面では負圧側面22に沿って湾曲している。このような後縁26の2つの直交平面での組合せによって実質的に大きな鈍角Bと共に後縁傾斜角Dを最大にすることができ、圧縮機効率及び失速マージンがさらに改善される。
【0041】鈍角Bは約100゜〜130゜という例示的範囲で最大にでき、後述の製造面での理由のためその例示的上限として130゜が選ばれる。後縁の大きな湾曲とスカラップ形前縁とが相俟って、3D相乗効果によって静翼の根元28から先端30までの縦方向拡散負荷の一様性が最大となる。後縁での静翼負圧側面と端壁面との間の境界層剥離が格段に減少もしくは解消することによっても、均一な空力負荷が達成される。
【0042】図2及び図4に示す通り、静翼の前縁24は好ましくは根元28及び先端30と実質的に直角又は垂直であり、主に半径方向に延びる。
【0043】さらに、前縁24は図4に示す接線平面では根元部及び先端部で概ね直線状である(図4に示す接線平面は図1に示す軸線方向平面での前縁のテーパと直交する)。
【0044】各静翼の後縁は上述の通り接線方向に湾曲しているが、静翼の前縁部分は、それらがバンドに装着できるように静翼の縦方向の剛性を保つくべく、比較的真直ぐである。通例、かかる装着は、各静翼をバンドの相補的開口に締まりばめをなすのに十分な力で差し込むことによって行われる。個々の静翼には、相当強い差込力を加えても座屈や縦方向の変形が起こらないような縦方向の剛性が必要とされる。
【0045】図4に示す鈍角をなす接合角Bは好ましくは静翼後縁に局在していて、好ましくは後縁から前縁24に向かって角度の大きさは小さくなる。前縁では、接合角Bは90゜に近づく。こうして、各静翼のかなりの部分を根元及び先端に直角又は垂直な向きに保つことができ、その半径方向剛性を保って静翼とバンドの差し込み組立ができるようになる。各静翼の湾曲はこのように後縁部に限られ、生産性を犠牲にすることなく、空力性能を高めることができる。
【0046】図4に示すスカラップ形の湾曲ステータ静翼18は、このように、その支持バンド32,34とともに改善された空力性能を享受する。鈍角をなす接合角Bは、両端壁面32,34で、静翼の負圧側面22と後縁26の間でなされる。そこでの境界層剥離は大幅に低減もしくは解消し、静翼の半径方向スパンにわたって静翼の空力負荷は一段と均一になり、効率がさらに改善される。
【0047】ステータ静翼はスカラップ形状と湾曲形状は別々に用いてもよいし、或いはその相乗作用によって効率及び失速マージンが最大となるように組合せて用いてもよい。
【0048】本明細書では本発明の好ましい例示的な実施形態と思料するものについて説明してきたが、本発明のその他の形態は本明細書の教示内容から当業者には自明であり、本発明の技術的思想及び技術的範囲に属するかかる形態すべてが特許請求の範囲で保護されることを望むものである。
【0049】従って、特許による保護を望むのは、請求項に規定され特徴付けられた発明である。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成12年9月4日(2000.9.4)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一
【公開番号】 特開2001−132696(P2001−132696A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願2000−266368(P2000−266368)