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【発明の名称】 トロコイドポンプ
【発明者】 【氏名】佐藤 宰

【氏名】小田 宏行

【氏名】竹花 憲夫

【要約】 【課題】形状や寸法の変更が発生しても金型費用がかからないようにして製造コストを低減し、しかも製造時間を大幅に短縮することができるトロコイドポンプを提供する。

【解決手段】ポンプ部10は、アウターロータ56とインナーロータ58とを収容する一端閉鎖の筒状のポンプボディ16と、モータボディ82に固定する部材であるカバー18との2つの部材から構成し、ポンプボディ16とカバー18とをタップ螺子40で固定する。一方の部材であるポンプボディ16を一端閉鎖の筒状とすることで丸棒の切削加工が可能になり、従来のようなダイカストと比べて、製造コストがかからず、各種部材の寸法変更に応じてポンプボディ16の寸法を容易にかつ短期間で変更することができる。他方の部材であるカバー18は、金属の打ち抜きで作ることができるので、曲げ応力に強くカバー18のモータボディ82への固定箇所に割れやクラックが発生することが無い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータボディとそのモータボディに形成される凹部と前記モータボディに形成されるものであって前記凹部と連絡する吐出通路と前記モータボディに回転自在に備えられる回転軸とを有するモータ部と、前記凹部に装着されるポンプハウジングとそのポンプハウジング内に備えられて前記回転軸によって回転させられるインナーロータとそのインナーロータに噛み合うアウターロータとを有するポンプ部とから成るトロコイドポンプにおいて、前記ポンプハウジングを、前記インナーロータと前記アウターロータとを備えるものであって前記凹部に装着する部材であるポンプボディと、前記モータボディに固定する部材である板状のカバーとの2つの部材から構成し、前記ポンプボディと前記カバーとを固定手段で固定し、前記ポンプボディを前記凹部に装着し、前記カバーと前記モータボディとを固定手段で固定することを特徴とするトロコイドポンプ。
【請求項2】 前記ポンプボディを切削加工によって形成することを特徴とする請求項1記載のトロコイドポンプ。
【請求項3】 前記カバーを金属の打ち抜きによって形成することを特徴とする請求項1記載のトロコイドポンプ。
【請求項4】 前記ポンプボディの側壁面の周囲にOリングを取付け、前記ポンプボディを一端閉鎖筒状の開口部側を先頭に前記凹部に挿入し、そのOリングで前記ポンプボディの側壁面の周囲とそれに対向する前記凹部の側壁面とからのオイル漏れを防ぐことを特徴とする請求項1乃至3記載のトロコイドポンプ。
【請求項5】 前記ポンプボディを一端閉鎖筒状とし、その一端閉鎖筒状の内部に前記インナーロータと前記アウターロータとを備え、一端閉鎖筒状の開口部側を先頭に挿入して前記凹部にポンプボディを装着したことを特徴とする請求項1乃至3記載のトロコイドポンプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4サイクルエンジン等の潤滑用オイルポンプとしてのトロコイドポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から例えば4サイクル潤滑用オイルポンプとして、トロコイドポンプが使用されている。ここで、従来のトロコイドポンプを図4並びに図5に示す。トロコイドポンプは、ポンプ部50とモータ部52とから成る。ポンプ部50は主に、ポンプハウジング54と、そのポンプハウジング54内に回転自在に備えられるアウターロータ56と、そのアウターロータ56と噛み合うインナーロータ58と、それらアウターロータ56とインナーロータ58とをポンプハウジング54とで覆うカバー60とから成る。インナーロータ58はエンジン等の回転が伝達される回転軸62と嵌合し、回転軸62の回転に伴ってインナーロータ58が回転するように設定されている。その回転軸62の軸中心Pはアウターロータ56の回転中心Qに対し偏心した位置に配置される。アウターロータ56とインナーロータ58との噛み合い箇所には複数個の空間64が形成される。ポンプハウジング54におけるカバー60の反対側の位置には、一方を空間64と連絡し他方を外部に開口する連絡通路66が形成される。図4並びに図5では、吸入通路は省略する。
【0003】回転軸62によってインナーロータ58が回転させられ、そのインナーロータ58の回転に伴ってアウターロータ56が回転させられる。インナーロータ58とアウターロータ56の回転に伴って、これらのインナーロータ58とアウターロータ56の間に形成される複数個の空間64がそれぞれ大きさを変えて移動する。各空間64は移動しながら順次、吸入口(図示せず)と連絡したり連絡通路66と連絡したりする。即ち、各空間64は吸入口に合致した位置でその内部にオイルを取り込み、その取り込んだオイルを連絡通路66に合致した位置でその内部のオイルを連絡通路66に吐出する。
【0004】ポンプハウジング54におけるカバー60と反対側の端面68には、連絡通路66の開口部の周囲を囲む状態でOリング70が取り付けられている。ポンプハウジング54の側面のカバー60側には、そこから外部に突出する複数個のボス72が形成され、そのボス72には挿通用穴74が設けられる。ポンプハウジング54の側面において、端面68の位置からボス72までの位置を嵌合側面76とし、その嵌合側面76の長さをaとする。カバー60においても、側面から外方に突出する複数個のボス78が形成され、そのボス78には挿通用穴80が形成される。
【0005】前記モータ部52はモータボディ82を有し、そのモータボディ82には外表面であるフランジ面84と、ポンプ部50を嵌合するためのものであってフランジ面84から内部にへこんだ状態の凹部86と、その凹部86の底面88と連絡するオイル吐出通路66が形成される。そのモータボディ82には更に、フランジ面84から内部に向けて螺子穴92が形成される。ここで、モータボディ82の凹部86の深さ(フランジ面84から凹部86の底面88まで)をbとする。
【0006】ポンプ部50をモータボディ82に取付けるには、ポンプ部50の嵌合側面76をモータボディ82の凹部86に嵌合して、カバー60の挿通用穴80とポンプハウジング54の挿通用穴74とに螺子94を挿通して、その螺子94をモータボディ82の螺子穴92に螺合する。これによって、ポンプ部50がモータボディ82に固定される。ポンプ部50をモータボディ82に固定した状態では、ポンプ部50の吐出通路66とモータボディ82のオイル吐出通路90とが連絡し、その連絡箇所を通過するオイルはOリング70によって漏れないようにされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】モータボディ82とポンプ部50のポンプハウジング54との嵌め込み箇所において、ポンプハウジング54の嵌合側面76の嵌め込み長さaが凹部86の深さbより長い場合には、モータボディ82のフランジ面84とポンプハウジング54のボス72とに隙間が生じる。このため、ポンプハウジング54のボス72やカバー60のボス78に応力が集中し、ボス72,78に弛みや割れが発生する原因となっているため、ポンプハウジング54の嵌合側面76の嵌め込み長さaを凹部86の深さbより短くする。但し、長さaと深さbとの差が大きい場合には、凹部86の底面88とポンプハウジング54の端面68との間の隙間が広くなり、Oリング70によるオイル止めの機能が果たせなくなり、オイル漏れよる吐出圧が低下するという不具合が生じる。このため、加工精度を厳しくする必要があった。
【0008】また、モータボディ82の凹部86とポンプハウジング54の嵌合側面76との嵌め合い形状や、モータボディ82のフランジ面84とボス72との接合部の形状や、アウターロータ56やインナーロータ58の寸法の変更等の度に、ポンプ部50の金型を起こしたり、あるいは金型の改修を行ったりする必要が発生し、コスト高の原因となっていた。また、その変更による対応日数も約1〜2ヶ月かかるという不具合があった。
【0009】本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、形状や寸法の変更が発生しても金型費用がかからないようにして製造コストを低減し、しかも製造時間を大幅に短縮することができるトロコイドポンプを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のトロコイドポンプは、モータボディとそのモータボディに形成される凹部と前記モータボディに形成されるものであって前記凹部と連絡する吐出通路と前記モータボディに回転自在に備えられる回転軸とを有するモータ部と、前記凹部に装着されるポンプハウジングとそのポンプハウジング内に備えられて前記回転軸によって回転させられるインナーロータとそのインナーロータに噛み合うアウターロータとを有するポンプ部とから成るトロコイドポンプにおいて、前記ポンプハウジングを、前記インナーロータと前記アウターロータとを備えるものであって前記凹部に装着する部材であるポンプボディと、前記モータボディに固定する部材である板状のカバーとの2つの部材から構成し、前記ポンプボディと前記カバーとを固定手段で固定し、前記ポンプボディを前記凹部に装着し、前記カバーと前記モータボディとを固定手段で固定するようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るトロコイドポンプの一実施形態を示す断面図、図2は図1のC−C線断面図、図3は図1に使用するカバーの正面図である。図1,図2及び図3において、図4や図5と同一符号は同一部材を示す。本発明のトロコイドポンプは、ポンプ部10とモータ部12とから成る。モータ部12は、従来と同様、モータボディ82と、凹部86と、その凹部86の底面と連絡するオイル吐出通路90と、モータボディ82の表面であるフランジ面84と、そのフランジ面84からモータボディ82の内部に向けて形成される螺子穴92とを有する。このモータボディ82の凹部86の深さをBとする。このモータ部12においては、回転軸14の先端は凹部86より外側に突出しない位置とされている。
【0012】ポンプ部10におけるポンプハウジングを、前記モータボディ82の凹部86に嵌合挿入される部材としてのポンプボディ16と、モータボディ82に固定される部材としてのカバー18とから構成する。ポンプボディ16は、一端閉鎖の筒状形状であり、筒状部20とその一端を閉鎖する閉鎖端部22とから成る。ポンプボディ16の素材は、旋盤などによって機械加工がし易いアルミ丸棒等の金属とするのが望ましい。筒状で一端閉鎖のポンプボディ16の内部には、インナーロータ58とそれと噛み合うアウターロータ56とを備えている。インナーロータ58やアウターロータ56は、一端閉鎖のポンプボディ16の開口部において露出している。インナーロータ58の中央部には嵌合穴24が形成され、その嵌合穴24にモータ部12の凹部86内に位置する回転軸14が嵌合する。インナーロータ58の嵌合穴24の断面も回転軸14の断面も、円形ではない相似形状となっており、回転軸14がインナーロータ58に嵌合し、回転軸14が回転すると、インナーロータ58が回転する。
【0013】ポンプボディ16の閉鎖端部22の外面26には、外方に突出する位置決め用のボス28が形成されている。ポンプボディ16においては更に、外面26からポンプボディ16の内部に向けてタップ用穴30が形成されている。ポンプボディ16の筒状部20の外面には、その外面の全周にわたってOリング32が取り付けられている。ポンプボディ16の筒状部20の長さをAとすると、筒状部20の長さAは凹部86の深さBと同じか僅かに大きくするのが望ましい。
【0014】前記カバー18は板状で、金属をプレスによる打ち抜きで作ることが望ましい。カバー18には、ポンプボディ16のボス28と嵌合するための穴34が形成され、その穴34をポンプボディ16のボス28に嵌合させる。カバー18には更に、1個の小径の螺子挿通用穴36と、複数個(図2及び図3では3個)の大径の螺子挿通用穴38が形成されている。固定手段であるタップ螺子40をカバー18の螺子挿通用穴36を通してポンプボディ16のタップ用穴30に螺着することによって、ポンプボディ16とカバー18とが固定され、ポンプ部10ができる。
【0015】カバー18とポンプボディ16とを固定したポンプ部10において、ポンプボディ16の開口部を先頭にして(アウターロータ56やインナーロータ58の露出箇所を先頭にして)、モータ部12(モータボディ82)の凹部86に挿入する。この際、ポンプボディ16の筒状部20の外面に取付けたOリング32がモータボディ82の凹部86の側壁面42と接触し、そのOリング32によって、ポンプボディ16の筒状部20の外面とモータボディ82の凹部86の側壁面42との間からのオイル漏れを防止する。即ち、ポンプ部10から供給されるオイルは、Oリング32によって漏れることなくモータ部12の吐出通路90に導入することができる。
【0016】ポンプ部10のポンプボディ16をモータボディ82の凹部86に嵌合挿入した後、カバー18の螺子挿通用穴38に螺子44を挿入して、その螺子44をモータボディ82の螺子穴92に螺合する。これによって、ポンプ部10とモータ部12とを固定することができる。ポンプボディ16の筒状部20の長さAを、凹部86の深さBと同じか僅かに大きくしているので、モータボディ82のフランジ面84とカバー18との間に隙間が生じることもあるが、その応力を金属のカバー18が充分吸収することができる。また、長さAを深さBより必ず大きくなる(または同じ)ようにしておくことによって、寸法管理が楽で取付けも簡単である。
【0017】なお、Oリング32はポンプボディ16の筒状部20の外周囲面26に取り付けられていて、モータボディ82の凹部86の側壁面42と接触するものであるので、ポンプボディ16の筒状部20の長さと、モータボディ82の凹部86の深さとの寸法に差があっても、Oリング32によって確実に漏れを防止することができる。
【0018】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るトロコイドポンプでは、ポンプ部のポンプハウジングを、モータボディの凹部と嵌合するための部材としてのポンプボディと、モータボディに固定するための部材としての板状のカバーとから構成し、それらポンプボディとカバーとを固定するようにしたものである。これによって、ポンプボディを一端閉鎖の筒状のような簡単な形状とすることができ、従来のようなアルミダイカストに代えてアルミ棒の切削加工によって作ることができる。この結果、高価な金型代が不要となって大幅に製造コストを低減することができ、しかも金型代に見合う量産数が無い場合にも適用することができる。また、モータボディやロータ等の形状変更があっても、金型製作期間が不要となるため、直ちに生産が可能であり納期も大幅に短縮することができる。更に、ダイカスト品のような鋳巣の発生が無いので、不良品の発生率が少ない。その上、切削加工によってポンプボディを作るので、ポンプボディの素材の選定が可能になり、より安価な材料への切り替えや、オイルポンプに限らず作動流体に適した素材を選定できる。また、カバーがプレス打ち抜きであるため、モータボディの取付フランジの変更があっても、ダイカスト型に対してはるかに安い型代(約10分の1)で対応することができる。
【0019】本発明では、ポンプボディの嵌合側面にOリングを取り付け、そのOリングでモータボディの凹部の側壁面からのオイル漏れを防止するので、ポンプボディの寸法の変更があっても、オイル漏れを確実に防止することができる。本発明では、カバーは打ち抜きの板状の金属を使用するので、カバーを螺子等でモータボディに固定した際に、カバーとモータボディとの間に隙間が生じることがあったとしても、カバーが曲げ応力を吸収できるので、カバーに割れやクラックなどが生じることは無い。
【出願人】 【識別番号】390035699
【氏名又は名称】株式会社ミクニアデック
【出願日】 平成11年12月27日(1999.12.27)
【代理人】 【識別番号】100084353
【弁理士】
【氏名又は名称】八嶋 敬市
【公開番号】 特開2001−182669(P2001−182669A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−370343