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【発明の名称】 油冷式スクリュ圧縮機
【発明者】 【氏名】壷井 昇

【要約】 【課題】メカニカルシールの密封端面における油切れの発生をなくし、油温の上昇を抑制するとともに、この密封端面への空気の侵入の防止を可能としたスクリュ圧縮機を提供する。

【解決手段】ロータ軸6と一体回転可能に設けたフランジ部11とケーシング1に固定した固定シール部材25との摺接部をメカニカルシール13の密封端面に比してロータ軸6の軸心よりも離し、フランジ部11のスクリュロータ側空間とは固定シール部材25の最上部に設けた排油口29を介して連通するメカニカルシール13を取巻く油溜り空間26を形成し、油溜り空間26への注油口28を密封端面24の近くに設けるとともに、油溜り空間26内の油を正圧に保つように形成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに噛合う雌雄一対のスクリュロータを回転可能に収容したケーシングを貫いて延びる駆動側のロータ軸の上記ケーシングを貫く部分に設けられた固定環と、この固定環の端面に押圧され、上記ロータ軸とともに回転する環状の摺接体を有する回転環とからなるメカニカルシールを備えた油冷式スクリュ圧縮機において、上記固定環と協働して上記回転環を挟み込むとともに、上記ロータ軸と一体回転可能に設けられたフランジ部と、上記ロータ軸の外周部に装着され、上記フランジ部の上記スクリュロータ側空間と上記ケーシングの外側に通じる上記ロータ軸の周囲の空隙部とを遮断する環状シール部材と、上記フランジ部の周囲を取巻く上記ケーシングの内周部に固定され、上記固定環と上記摺接体との間に形成される密封端面に比してより上記ロータ軸の軸心から離れた上記フランジ部の外周面に摺接する環状固定シール部材と、このフランジ部および固定シール部材より上記固定環側にて、上記メカニカルシールの外周部を包囲し、上記環状固定シール部材に比して上記固定環により近い位置にて注油口に連通するとともに、上記環状固定シール部材の最上部に設けられた排油口を介して上記フランジ部の上記スクリュロータ側の空間部に連通するとともに、大気圧よりも高い圧力の油で満たされる環状の油溜り空間とを設けたことを特徴とする油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項2】 上記メカニカルシールと上記ロータ軸との間にこのロータ軸と一体回転するスリーブが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項3】 上記ロータの外周部を機外に連通させる排出流路を設けたことを特徴とする請求項1に記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項4】 上記スリーブの外周部を機外に連通させる排出流路を設けたことを特徴とする請求項2に記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項5】 上記排出流路に、機外に流体を導く吸引手段を設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項6】 上記排出流路に、特定の流体成分の漏洩量を検知し、この検知した漏洩量が許容範囲を超えた場合には、この漏洩量の増大を回避する処置のための信号を出力する制御手段を設けたことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項7】 上記排出流路の機内側の開口部から上記ケーシングに向かう側における、上記ケーシングの内周部又は該ケーシングの内周部に対向する部材の外周部のいずれかにラビリンスを設けたことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【請求項8】 上記排出流路の機内側の開口部から上記ケーシングに向かう側における、上記ケーシングの内周部又は該ケーシングの内周部に対向する部材の外周部のいずれかにシールリングを嵌挿したことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の油冷式スクリュ圧縮機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば冷凍機に好適な油冷式スクリュ圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スクリュロータとそれを駆動するモータとを一体的に形成したケーシング内に収容した油冷式スクリュ圧縮機を用いた半密閉スクリュ冷凍機は公知である。このスクリュ冷凍機がNH3を含む冷媒を用いている場合、冷媒ガスが軸受部を経てモータ側に漏れるとモータの巻き線の腐食を招く。したがって、この種のスクリュ冷凍機では、モータとこのモータにより直接駆動されるスクリュロータとの間に、スクリュロータ側から冷媒ガスが漏れるのを阻止するための軸封部が必要となる。
【0003】この軸封部にメカニカルシールを用い、このメカニカルシールから圧縮機本体とモータとの間に介在する筒状カバー内に漏れ出たNH3ガスを排気管により吸引、除去するようにした圧縮機は特許第2816522号に開示されている。また、スクリュロータ側からロータ軸の外周部に沿ってガスが漏れ出るのを防止するための軸封装置を備えた油冷式スクリュ圧縮機は、例えば特開平4-334788号公報および特公平1-47637号公報に開示されている。この特開平4-334788号公報に記載の軸封装置は、固定環であるフローティングシートとこの端面に押圧され、ロータ軸とともに回転し、上記端面に摺接するシールリングとを設けるとともに、両リング間に油溜まりを設けて形成されている。また、特公平1-47637号公報に記載の軸封装置は、上記同様、ケーシング側に固定された固定環と上記同様にこの固定環の端面に摺接する回転側のシールリングとを備えたメカニカルシールをヘッドタンクから給油される空間部内に配設して形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特許第2816522号に記載の圧縮機の場合、NH3ガスが排気管より吸引されてセンサにより検知されるようになっており、筒状カバー内にある程度以上NH3ガスが充満しないとガス漏れが検知されない。このため、センサによりガス漏れが検知されたときには、既にモータ内にもNH3ガスが進入してしまっており、モータの巻き線が腐食するという問題が生じる。また、上記特開平4-334788号公報に記載の軸封装置の場合、圧縮機の停止時に徐々に油溜まり中の油が減少してゆくことは避けられない。このため、圧縮機の起動時に油溜まりに油が必ずしも充満しているとは限らず、この油が充満していない場合には、フローティングシートとシールリングとの間の密封端面でドライ接触を招き、摩耗が進行するという問題がある。
【0005】さらに、上記特公平1-47637号公報に記載の軸封装置の場合、メカニカルシールが配設されている空間部のスクリュロータ側におけるケーシングの壁部とここを貫くロータ軸との間、即ちこのロータ軸の周囲には必ず隙間が存在する。そして、圧縮機の稼動中はたとえ上記空間部内に油を充満させていても、圧縮機の停止時には上記隙間から油が漏れ出て、上記隙間の最も低い位置よりも高く上記空間部内の油面を維持することはできない。このため、圧縮機の起動時に上記固定環と回転側の上記シールリングとの間の密封端面で油切れが生じ、上記同様ドライ接触による摩耗が進行するという問題が生じる。
【0006】この他、上記密封端面に隙間が生じ、ここに空気が侵入して来た場合、高温の油と空気とが反応し、この結果油が劣化したり炭化し、摺動面を損傷させて油漏れを引き起こすという問題もある。本発明は、斯る従来の問題点をなくすことを課題としてなされたもので、メカニカルシールの密封端面における油切れの発生をなくし、油温の上昇を抑制するとともに、この密封端面への空気の侵入の防止を可能としたスクリュ圧縮機を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、第1発明は、互いに噛合う雌雄一対のスクリュロータを回転可能に収容したケーシングを貫いて延びる駆動側のロータ軸の上記ケーシングを貫く部分に設けられた固定環と、この固定環の端面に押圧され、上記ロータ軸とともに回転する環状の摺接体を有する回転環とからなるメカニカルシールを備えた油冷式スクリュ圧縮機において、上記固定環と協働して上記回転環を挟み込むとともに、上記ロータ軸と一体回転可能に設けられたフランジ部と、上記ロータ軸の外周部に装着され、上記フランジ部の上記スクリュロータ側空間と上記ケーシングの外側に通じる上記ロータ軸の周囲の空隙部とを遮断する環状シール部材と、上記フランジ部の周囲を取巻く上記ケーシングの内周部に固定され、上記固定環と上記摺接体との間に形成される密封端面に比してより上記ロータ軸の軸心から離れた上記フランジ部の外周面に摺接する環状固定シール部材と、このフランジ部および固定シール部材より上記固定環側にて、上記メカニカルシールの外周部を包囲し、上記環状固定シール部材に比して上記固定環により近い位置にて注油口に連通するとともに、上記環状固定シール部材の最上部に設けられた排油口を介して上記フランジ部の上記スクリュロータ側の空間部に連通するとともに、大気圧よりも高い圧力の油で満たされる環状の油溜り空間とを設けた構成とした。
【0008】また、第2発明は、第1発明の構成に加えて、上記メカニカルシールと上記ロータ軸との間にこのロータ軸と一体回転するスリーブを設けた構成とした。
【0009】さらに、第3発明は、第1発明の構成に加えて、上記ロータの外周部を機外に連通させる排出流路を設けた構成とした。
【0010】さらに、第4発明は、第2発明の構成に加えて、上記スリーブの外周部を機外に連通させる排出流路を設けた構成とした。
【0011】さらに、第5発明は、第3又は第4発明の構成に加えて、上記排出流路に、機外に流体を導く吸引手段を設けた構成とした。
【0012】さらに、第6発明は、第3から第5発明のいずれかの構成に加えて、上記排出流路に、特定の流体成分の漏洩量を検知し、この検知した漏洩量が許容範囲を超えた場合には、この漏洩量の増大を回避する処置のための信号を出力する制御手段を設けた構成とした。
【0013】さらに、第7発明は、第3から第6発明のいずれかの構成に加えて、上記排出流路の機内側の開口部から上記ケーシングに向う側における、上記ケーシングの内周部又は該ケーシングの内周部に対向する部材の外周部のいずれかにラビリンスを設けた構成とした。
【0014】さらに、第8発明は、第3から第6発明のいずれかの構成に加えて、上記排出流路の機内側の開口部から上記ケーシングに向う側における、上記ケーシングの内周部又は該ケーシングの内周部に対向する部材の外周部のいずれかにシールリングを嵌挿した構成とした。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1〜3は、第1乃至第4発明の第1実施形態に係る油冷式スクリュ圧縮機を示し、ケーシング1内に互いに噛合う雌雄一対のスクリュロータ2,3が回転可能に収容されている。このスクリュロータ2,3のそれぞれの一方の側は吸込口4、他方の側は吐出口5となっており、駆動側のスクリュロータ2のロータ軸6は吸込側のケーシング1を貫き、カップリング7を介してモータの出力軸8に連結されている。ケーシング1を貫通するロータ軸6の部分とロータ軸6の軸受9との間には、軸受9側にフランジ部11を有するスリーブ12を介して、メカニカルシール13が外嵌させてある。
【0016】スリーブ12とロータ軸6との間には、環状シール部材14、例えばOリングが装着してあり、ロータ軸6の周囲におけるシール部材14の両側の空隙部は遮断されている。そして、シール部材14を含め、スリーブ12とロータ軸6とは一体的に回転する。メカニカルシール13自体は周知のもので、ここでは一例としてベロータイプのものが使用されている。このメカニカルシール13は、ロータ軸6のケーシング1を貫く部分の周囲に設けられた固定環21とこの固定環21の端面に押圧されて、ロータ軸6とともに回転する環状の摺接体22を有するとともに固定環21とフランジ部11とにより挟まれた回転環23とからなっている。さらに詳説すれば、回転環23はスリーブ12の外周面上に固定された固定部とこれと摺接体22との間に介在して摺接体22を固定環21の端面に押圧させるベローを有し、この固定部の内周側には環状のシール部材、例えばOリングが装着されている。そして、固定環21と摺接体22との間に密封端面24が形成される。
【0017】フランジ部11の周囲を取巻くケーシング1の内周部には、このフランジ部11の外周面に摺接する環状の固定シール部材25が固定され、フランジ部11および固定シール部材25よりも固定環21にて、メカニカルシール13の外周部を包囲する環状の油溜り空間26が形成されている。この油溜り空間26は密封端面24の上方にて給油流路27の注油口28に連通しており、注油口28からの油により油溜り空間26は満たされるようになっている。一方、固定シール部材24の最上部にフランジ部11の両側の空間部を連通させる排油口29が設けられており、油溜り空間26内の油はこの排油口29からのみフランジ部11のスクリュロータ2側の空間部に流入できるようになっている。そして、図示する場合、即ち吸込み側のロータ軸が上記モータにより駆動される場合には排油口29からの油は、さらに吸込口4へと流入してゆく。
【0018】ところで、フランジ部11の外周面は、上記密封端面24に比してよりロータ軸6の軸心から離れており、この外周面と固定シール部材25との間のシール面の最上部は上記密封端面24の最上部よりも高い位置にある。さらに、固定シール部材25の最上部に排油口29が設けられており、油溜り空間26内に満たされた油は、この排油口29の最下部より油面が低くなる程に減少することは起こり得ず、シール部である密封端面24は勿論のこと、フランジ部11の外周面と固定シール部材25との間のシール部も常に油に濡れた状態に保たれ、これらがドライ接触状態になることは防止される。したがって、上記シール部での部材の摩耗量を減らし、その寿命を延ばすことが可能となる。
【0019】また、密封端面24に近い位置に注油することにより、密封端面24の近くの油の温度を低く保ち、密封端面24で発生する熱を除去し易くなっている。さらに、環状空間部26内の油は大気圧よりも高く、即ち正圧に保たれるようになっている。この正圧に保つ方法は限定するものではないが、例えば、注油口28の開口面積が図2においてAで示す部分におけるロータ軸6の周囲を取巻く空隙部の環状断面面積よりも大きくなるようにすればよい。油溜り空間26内の油圧を正圧に保つことにより、常に摺接体22を固定環21に密着させた状態に保つことができ、密封端面24に大気が侵入するのを防止するようになっている。そして、上述した油温を低く保つことによるのに加えて、この大気の侵入を防止することにより、密封端面24での油の高熱による劣化、炭化およびこれに起因する油切れを防ぐようになっている。なお、図中31は、ロータ軸6と固定環21との間の微小な隙間から漏れ出たガスおよび油を回収するための排出流路を示している。これにより、たとえガスにNH3ガスが含まれていてもこれがケーシング1からカップリング7側に漏れ出ないようにし、上記モータの巻き線が腐食するのを防止するようになっている。
【0020】図4は、第1乃至第4発明の第2実施形態に係る油冷式スクリュ圧縮機の駆動側部分のみを示したもので、図示する部分以外の構造については、実質的に上述した第1実施形態と同様である。このスクリュ圧縮機は、上述したスリーブ12の本体部分をなくしてフランジ部11のみを残し、メカニカルシール13を直接ロータ軸6に外嵌させるようにしたもので、機能および作用において第1実施形態と実質的に変わるところはない。なお、上述した各実施形態では、吸込み側のロータ軸6が駆動側であるタイプを示したが、本発明はこれに限定するものではなく、吐出側のロータ軸を駆動側としたスクリュ圧縮機をも含むものである。
【0021】図5は、第1乃至第5および第7発明に係る油冷式スクリュ圧縮機を示し、上述した第1乃至第4発明の第1実施形態と共通する部分については、互いに同一番号を付して説明を省略する。このスクリュ圧縮機では、排出流路31に吸引手段32が設けられ、スクリュロータ2,3側から排出流路31のスリーブ12に面した開口部33にまで漏れ出たガスおよび油を強制的に機外に排出するようになっている。また、開口部33からスクリュロータ2,3とは遠のく側におけるケーシング1の内周部にラビリンス34が設けられおり、この内側のガス或は油を含む流体を油溜り空間26に向かう方向に流動させるようにしてある。そして、これにより上記ガスがたとえNH3ガスを含む場合であっても、これが上記モータの巻き線を腐食させるのをより確実に防止するようにしてある。なお、ラビリンス34はケーシング1側ではなくスリーブ12側に設けてもよい。
【0022】図6は、第1乃至第4、第6および第7発明に係る油冷式スクリュ圧縮機を示し、上述した各実施形態と共通する部分については、互いに同一番号を付して説明を省略する。このスクリュ圧縮機では、排出流路31に特定の流体成分、例えばNH3ガスの漏洩量を検知し、この検知した漏洩量が許容範囲を超えた場合には、この漏洩量の増大を回避する処置のための信号を出力する制御手段35が設けられている。例えば、この制御手段35は吸引手段を内蔵するのがよく、上述したNH3の漏洩量が第1上限値(例:10PPM)に達すると警報を発し、さらにこの漏洩量が増大して第2上限値(例:50PPM)に達すると圧縮機を停止させるようにしたものである。このようにして、スクリュロータ2,3側からのNH3ガスのような漏洩ガスの量を実際に検出して、漏洩を確認することにより確実に上記モータ側に漏洩ガスが流れるのを回避し、上記巻き線の腐食を防止するようにしてある。
【0023】図7は、第8発明に係る油冷式スクリュ圧縮機を示し、上述した各実施形態と共通する部分については、互いに同一番号を付して説明を省略する。このスクリュ圧縮機では、図5および6に示すラビリンス34に代えてシールリング36がスリーブ12の外周部とこれと対向するケーシング1の内周部との間に嵌挿されており、この内周部を超えてガスおよび油が漏洩するのを防止するようになっている。
【0024】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、第1発明によれば、互いに噛合う雌雄一対のスクリュロータを回転可能に収容したケーシングを貫いて延びる駆動側のロータ軸の上記ケーシングを貫く部分に設けられた固定環と協働して上記回転環を挟み込むとともに、上記ロータ軸と一体回転可能に設けられたフランジ部と、上記ロータ軸の外周部に装着され、上記フランジ部の上記スクリュロータ側空間と上記ケーシングの外側に通じる上記ロータ軸の周囲の空隙部とを遮断する環状シール部材と、上記フランジ部の周囲を取巻く上記ケーシングの内周部に固定され、上記固定環と上記摺接体との間に形成される密封端面に比してより上記ロータ軸の軸心から離れた上記フランジ部の外周面に摺接する環状固定シール部材と、このフランジ部および固定シール部材より上記固定環側にて、上記メカニカルシールの外周部を包囲し、上記環状固定シール部材に比して上記固定環により近い位置にて注油口に連通するとともに、上記環状固定シール部材の最上部に設けられた排油口を介して上記フランジ部の上記スクリュロータ側の空間部に連通するとともに、大気圧よりも高い圧力の油で満たされる環状の油溜り空間とを設けた構成としてある。
【0025】このため、メカニカルシールの外周部には常に油が満たされた状態に保たれ、メカニカルシールの密封端面における油切れの発生をなくし、密封端面の近くに温度の低い油が注入されることによりこの近くでの油温の上昇を抑制するとともに、この密封端面への空気の侵入の防止を可能とし、メカニカルシールの寿命を延ばすことが可能になるという効果を奏する。
【0026】また、第2発明によれば、第1発明の構成に加えて、上記メカニカルシールと上記ロータ軸との間にこのロータ軸と一体回転するスリーブを設けた構成としてある。
【0027】このため、スリーブにメカニカルシールを組み込んだ形で、他のスクリュロータに関連する一体的な各部材より前にケーシング内に設置することができ、製作上、組み立てが容易になるという効果を奏する。
【0028】さらに、第3発明によれば、第1発明の構成に加えて、上記ロータの外周部を機外に連通させる排出流路を設けた構成としてある。また、第4発明によれば、第2発明の構成に加えて、上記スリーブの外周部を機外に連通させる排出流路を設けた構成としてある。
【0029】このように排出流路を設けることにより、たとえガスにNH3ガスが含まれていてもこれがケーシングからカップリング側に漏れ出ないようにし、圧縮機を駆動するモータの巻き線が腐食するのを防止することができるという効果を奏する。
【0030】さらに、第5発明によれば、第3又は第4発明の構成に加えて、上記排出流路に、機外に流体を導く吸引手段を設けた構成としてある。このため、スクリュロータ側から排出流路のスリーブに面した開口部にまで漏れ出たガスおよび油を強制的に機外に排出するようになり、上記ガスがNH3ガスを含む場合であっても、これが上記圧縮機を駆動するモータの巻き線が腐食させるのをより確実に防止することができるようになるという効果を奏する。
【0031】さらに、第6発明によれば、第3から第5発明のいずれかの構成に加えて、上記排出流路に、特定の流体成分の漏洩量を検知し、この検知した漏洩量が許容範囲を超えた場合には、この漏洩量の増大を回避する処置のための信号を出力する制御手段を設けた構成としてある。このため、スクリュロータ側からのNH3ガスのような漏洩ガスの量を実際に検出して、漏洩を確認することにより確実に上記モータ側に漏洩ガスが流れるのを回避し、上記巻き線の腐食を防止することができるという効果を奏する。
【0032】さらに、第7発明によれば、第3から第6発明のいずれかの構成に加えて、上記排出流路の機内側の開口部から上記ケーシングに向かう側における、上記ケーシングの内周部又は該ケーシングの内周部に対向する部材の外周部のいずれかにラビリンスを設けた構成としてある。
【0033】さらに、第8発明によれば、第3から第6発明のいずれかの構成に加えて、上記排出流路の機内側の開口部から上記ケーシングに向かう側における、上記ケーシングの内周部又は該ケーシングの内周部に対向する部材の外周部のいずれかにシールリングを嵌挿した構成としてある。このため、上記開口部を超えて上記ケーシング外へのガスおよび油の漏洩をより確実に防ぐことが可能となり、上述した効果を一層顕著なものにすることができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成11年11月18日(1999.11.18)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開2001−73978(P2001−73978A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−328117