| 【発明の名称】 |
内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ |
| 【発明者】 |
【氏名】江原 俊行
【氏名】只野 昌也
【氏名】山川 貴志
【氏名】小田 淳志
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】密閉容器内に電動要素と、前記電動要素により駆動される第1および第2の回転圧縮要素を備え、前記第1の回転圧縮要素で1段目圧縮されたCO2冷媒ガスを前記密閉容器内に放出し、さらにこの放出された中間圧の冷媒ガスを前記第2の回転圧縮要素で2段目圧縮する内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサにおいて、平衡圧と中間圧が同じになるように1段目の回転圧縮要素と2段目の回転圧縮要素の容積比を設定することを特徴とする、内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ。 【請求項2】前記容積比を1対0.56〜0.8の範囲に設定する、請求項1記載の内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ。 【請求項3】前記容積比を0.65に設定する、請求項2記載の内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ。 【請求項4】前記各回転圧縮要素は、シリンダと、前記シリンダ内を偏心回転するローラおよび前記ローラに当接して前記シリンダを高圧室と低圧室に区画するベーンとを含み、前記シリンダの高さを変えることにより1段目と2段目の前記容積比を所定範囲に設定する、請求項2記載の内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ。 【請求項5】前記各回転圧縮要素は、シリンダと、前記シリンダ内を偏心回転するローラおよび前記ローラに当接して前記シリンダを高圧室と低圧室に区画するベーンとを含み、前記ローラの径とクランク軸の偏心部の偏心量を変えることにより1段目と2段目の前記容積比を所定範囲に設定する、請求項2記載の内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ。 【請求項6】前記1段目の回転圧縮要素であるローラとベーンの材質を前記2段目の回転圧縮要素であるローラとベーンの材質とは別材質とする、請求項4または5記載の内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ。 【請求項7】前記1段目のローラとベーンの材質よりも前記2段目のローラとベーンの材質の方を硬い素材で構成する、請求項6記載の内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】この発明は内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサに関し、特にたとえば起動時の圧力変動を小さくすると共に、耐圧容器の軽量化を可能とする内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、密閉容器内に電動要素と、この電動要素により駆動される2個の回転圧縮要素を配置収納した2シリンダ形2段圧縮式ロータリコンプレッサにおいて、密閉容器を内部低圧型、あるいは内部中間圧型として使用している。 【0003】内部低圧型の場合、冷凍サイクルを構成する外部冷媒回路よりアキュムレータを経由して密閉容器内に戻る低温低圧の冷媒ガスを、吸込通路より吸入して第1の回転圧縮要素で1段目の圧縮をした後、外部に位置する中間冷却器に送出し、その後冷媒配管によりこの中間圧の冷媒ガスを直接第2の回転圧縮要素に吸入し、ここで更に2段目の圧縮を行い、高温高圧の冷媒ガスを冷媒配管により上述の外部冷媒回路に送出している。 【0004】これに対して、内部中間圧型の場合、冷凍サイクルを構成する外部冷媒回路よりアキュムレータを経由して戻る低温低圧の冷媒ガスは冷媒配管により直接第1の回転圧縮要素に吸入され、ここで圧縮されて密閉容器内へ吐出される。つぎに、この吐出された中間圧の冷媒ガスは第2の回転圧縮要素で圧縮されて、高温高圧の冷媒ガスとして冷媒配管より外部冷媒回路に送出している。すなわち、密閉容器内へ吐出される冷媒ガスの圧力は第1段吸込圧と第2段吐出圧の中間圧となる。そしてこの中間圧は軸受け負荷や各段の仕事量などにより決められていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この中間圧が、コンプレッサが停止している時で高低圧差がなくなりコンプレッサ内部の圧力が平衡状態になった時の圧力(平衡圧)よりも低い場合、コンプレッサの起動時には密閉容器内の圧力が急激に低下し、それに伴いオイルに寝込んでいた冷媒が気泡となりオイルフォーミングが発生する。また、中間圧が平衡圧よりも高い場合、コンプレッサの停止時に起動後オイル中に溶け込んだ冷媒ガスが密閉容器の温度上昇により気泡となり、オイルフォーミングが発生する。さらに、CO2冷媒を使用した場合、冷媒圧力は高圧側で約100kg/cm2G、低圧側では約30kg/cm2Gにも達し、その圧力差により低圧側に流出するオイル量が増加する。また、密閉容器には中間圧、平衡圧のいずれかの高い方の耐圧設計が必要となる。 【0006】それゆえに、この発明の主たる目的は、起動時等における圧力変動が小さく、しかも密閉容器の耐圧設計が容易で軽量化ができる内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサを提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明は、密閉容器内に電動要素と、この電動要素により駆動される第1および第2の回転圧縮要素を備え、第1の回転圧縮要素で1段目圧縮されたCO2冷媒ガスを密閉容器内へ放出し、さらにこの放出された中間圧の冷媒ガスを第2の回転圧縮要素で2段目圧縮する内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサにおいて、平衡圧と中間圧が同じになるように1段目の回転圧縮要素と2段目の回転圧縮要素の容積比を設定することを特徴とする、内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサである。 【0008】 【作用】1段目と2段目の圧縮を行う回転圧縮要素の容積比を1対0.56〜0.8の範囲に設定することにより、起動時の圧力変動が小さくなり、それに伴いオイルフォーミングの発生が抑制できる。また、密閉容器の耐圧設計基準が平衡圧と略同等の7000kPaとなり、内部低圧型と同等の値となる。 【0009】 【発明の効果】この発明によれば、起動時にオイルフォーミングの発生が抑制されるので、密閉容器内の泡状になったオイルが冷媒ガスと共にシリンダ内に流れ込み、その後、コンプレッサ外へ吐出され、密閉容器内がオイル不足となることを防止できる。また、密閉容器の耐圧設計も容易となり軽量化も可能となる。その結果、コンプレッサの性能が向上すると共に、コストも低減できる。 【0010】この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明により一層明らかとなろう。 【0011】 【実施例】図1に示すこの発明の一実施例である内部中間圧型2段圧縮式ロータリコンプレッサ10は、鋼板からなる円筒状密閉容器12、この密閉容器12内の上部空間に配置された電動要素14、および電動要素の下部に位置し且つこの電動要素14に連結されたクランク軸16により駆動される回転圧縮機構18を含む。 【0012】また、密閉容器12は底部を潤滑油のオイル溜とし、電動要素14と回転圧縮機構18を収納する容器本体12Aと、この容器本体12Aの上部開口を閉塞する蓋体12Bとの2部材で構成され、蓋体12Bには電動要素14に外部電力を供給するターミナル端子20(配線は省略)を取り付けている。なお、このターミナル端子20は、図示のように本体部20Aを平面形状としているが、密閉容器12が内部中間圧若しくは内部高圧の場合、図2に示すようにこの本体部20Aの形状を上方へ曲面状に突出させると本体部20Aの変形が起こりにくくなり、ターミナル端子20の強度が向上する。 【0013】電動要素14は、密閉容器12の上部内周面に沿って環状に取り付けられたステ−タ22と、このステ−タ22の内側に若干の間隙を設けて配置されたロータ24とからなる。このロータ24にはその中心を通り鉛直方向に延びるクランク軸16が固定されている。ステ−タ22は、リング状の電磁鋼板を積層した積層体26と、この積層体26に巻装された複数のコイル28を有している。また、ロータ24もステ−タ22と同じように電磁鋼板の積層体30で構成された交流モータである。また、永久磁石を埋装したDCモータとすることも可能である。 【0014】回転圧縮機構18は、1段目(低段側)の圧縮を行う第1の回転圧縮要素32と2段目(高段側)の圧縮を行う第2の回転圧縮要素34を含む。すなわち、中間仕切板36と、この中間仕切板36の上側と下側に夫々配置された上下シリンダ38,40と、この上下シリンダ38、40内をクランク軸16の上下偏心部42、44に連結されて回転する上下ローラ46,48と、この上下ローラ46、48に当接して上下シリンダ38、40内を夫々低圧室38a、40aと高圧室38b、40bに区画する上下ベーン50,52と、上下シリンダ38、40の上下開口を閉塞するクランク軸16の軸受けを兼用する上部支持部材54および下部支持部材56とで構成される。(図3参照)上部支持部材54および下部支持部材56には上下シリンダ38、40の各高圧室側と適宜連通する吐出消音室58、60が形成されると共に、これらの各消音室の開口面は上部プレート62と下部プレート64で閉塞されている。 【0015】また、図3に示すように上下ベーン50、52は上下シリンダ38、40のシリンダ壁に形成された径方向の案内溝66、68に往復摺動可能に配置され、且つスプリング70、72により上下ローラ46、48に常時当接するように付勢されている。そして、上シリンダ38では1段目の圧縮作用が行われ、下シリンダ40では上シリンダ38で圧縮された冷媒ガスを吸込んで2段目の圧縮作用が行われる。 【0016】ところで、密閉容器12内を平衡圧、すなわちコンプレッサが停止しているときで、高低圧差がなくなりコンプレッサ内部の圧力が平衡状態になったときの圧力と同じ中間圧に保持するために、1段目の回転圧縮要素32と2段目の回転圧縮要素34の容積比を1対0.56〜0.8の範囲に設定する。この実施例では、その容積比を1対0.65としている。 【0017】例えば、上下シリンダ38、40の内径が同じである場合は、その高さ(厚み)を変えることで対応できる。すなわち、2段目の下シリンダ40のローラ48の高さを1段目の上シリンダ38とローラ46のそれより小さくする。または、上下シリンダ38、40の高さが同じ場合は、上下ローラ46、48の外径を変えて、下ローラ48の外径を上ローラ46の外径より大きくする。その具体的な方法としては、ローラの外径と偏心部の偏心量の変更により容易に対応できる。 【0018】ここで、容積比の数値について説明すると、容積比1対0.55で実験した結果、中間圧が80kgf/cm2、平衡圧が60kgf/cm2となり、中間圧>平衡圧であった。したがって、2段目の容積比率を大きくすれば、中間圧は下がるはずで、0.8という数値は、2段圧縮機として機能することができる上限値である。 【0019】また、1段目の回転圧縮要素32を構成する上ローラ46と上ベーン50の材質を2段目の回転圧縮要素34を構成する下ローラ48と下ベーン52の材質とは別材質としている。すなわち、圧縮負荷の小さい1段目の上シリンダ38には、柔らかいが安価な素材のローラ(モニクロ:Ni,Cr、Mo合金添加耐磨耗性鋳鉄)とベーン(SKH:高速度工具鋼)を使い、圧縮負荷の大きい2段目の下シリンダ40には、高価であるけれども硬い素材のローラ(合金ターカロイ:Ni,Cr,Mo、Bo合金添加耐磨耗性鋳鉄)とベーン(PVD処理:SHK基材の表面に窒化クロムCrNを蒸着)を使うことにより、高い耐久性とコスト低減が可能である。上述の組合わせ事例を示すと以下のようになる。 【0020】 ローラ材 ベーン材 1段目 モニクロ SHK 2段目 ターカロイ PVD処理そして、上述の回転圧縮機構18を構成する上部支持部材54、上シリンダ38、中間仕切板36、下シリンダ40および下部支持部材56を、この順に配置して上部プレート62および下部プレート64と共に複数本の取付ボルト74を用いて連結固定される。 【0021】また、クランク軸16の下部には軸中心にストレートのオイル穴76とこのオイル穴76に横方向の給油孔78、80を介して連なる螺旋状給油溝82、84を外周面に形成し、上部支持部材54と下部支持部材56の軸受けおよび各摺動部にオイルを供給するようにしている。 【0022】この実施例において、使用される冷媒としては、地球環境、可燃性および毒性等を考慮して自然冷媒である二酸化炭素(CO2)を用い、また、潤滑油としてのオイルは、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エステル油等の既存オイルを使用する。 【0023】また、上下シリンダ38、40には冷媒を導入する冷媒吸込通路(図示せず)と圧縮された冷媒を吐出するための冷媒吐出通路86、88を設けている。そして、これらの各冷媒吸込通路と冷媒吐出通路86、88には密閉容器12に固定される接続管90,92,94、96を介して冷媒配管98,100,102、104が接続される。また、冷媒配管100および102の間にはアキュムレータ106が接続されている。さらに、上部プレート62には上部支持部材54の吐出消音室58と連通する吐出管108が接続されて、1段目で圧縮された冷媒ガスの一部を密閉容器12内に直接吐出し、その後冷媒配管100に接続された分岐管110で冷媒吐出通路86から吐出される残りの冷媒ガスと合流する構成となっている。 【0024】次に、上述の実施例の動作概要について説明する。 【0025】まず、ターミナル端子20および配線(図示せず)を介して電動要素14のコイル28に通電すると、ロータ24が回転しそれに固定されたクランク軸16が回転する。この回転によりクランク軸16と一体に設けられた上下偏心部42、44に連結された上下ローラ46、48が上下シリンダ38、40内を偏心回転する。これにより、冷媒配管98、冷媒吸込通路(図示せず)を経由して、図3に示すように吸込ポート112から上シリンダ38の低圧室38aに吸入された冷媒ガスは、上ローラ46と上ベーン50の動作により1段目の圧縮が行われる。そして、高圧室38bより吐出ポート114を経由して上部支持部材54の吐出消音室58に吐出された中間圧の冷媒ガスは、その一部が吐出管108から密閉容器12内に放出され、残りは上シリンダ38の冷媒吐出通路86を通り冷媒配管100に送出されて途中の分岐管110より流入する密閉容器12内に放出された冷媒ガスと合流する。 【0026】つぎに、合流後の冷媒ガスはアキュムレータ106を経由して冷媒配管102、および図示されない冷媒吸込通路を経由して図3に示す吸込ポート116から下シリンダ40の低圧室40aに吸入された中間圧の冷媒ガスは、下ローラ48と下ベーン52の動作により2段目の圧縮が行われる。そして、下シリンダ40の高圧室40bより吐出ポート118を経由して下部支持部材56の吐出消音室60に吐出された高圧冷媒ガスは、冷媒吐出通路88から冷媒配管104を通り冷凍サイクルを構成する外部冷媒回路に送出される。以後同様の経路で冷媒ガスの吸入―圧縮―吐出が行われる。 【0027】また、クランク軸16の回転により、密閉容器12の底部に貯溜されている潤滑オイル(図示せず)はクランク軸16の軸中心に形成された鉛直方向のオイル穴76を上昇し、その途中に設けた横方向の給油孔78、80より外周面に形成した螺旋状給油溝82、84に流出する。これにより、クランク軸16の軸受けおよび上下ローラ46、48と上下偏心部42、44の各摺動部に対する給油が良好に行われ、その結果、クランク軸16および上下偏心部42、44は円滑な回転を行うことができる。 【0028】なお、上下シリンダ38、40の各冷媒吸込通路に接続される冷媒配管90、94を二重管方式あるいは冷媒配管の内壁に断熱剤を塗布することにより、吸込冷媒ガスの温度上昇を低減することができ、吸込効率が向上する。また、冷媒吸込通路自身を二重管方式あるいは通路管の内壁に断熱剤を塗布しても同様の効果を得ることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001889 【氏名又は名称】三洋電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年8月31日(1999.8.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090181 【弁理士】 【氏名又は名称】山田 義人
|
| 【公開番号】 |
特開2001−73976(P2001−73976A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−245005 |
|