トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F04 液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ




【発明の名称】 スクロール型圧縮機
【発明者】 【氏名】山田 均

【要約】 【課題】固定スクロールと可動スクロールとの両うず巻き体のうず巻きの始端近傍において、両うず巻き体側面間の摺動面の潤滑が十充に行われるスクロール型圧縮機を提供すること。

【解決手段】ハウジング内に配設固定された固定スクロールのうず巻き体16bに対して角度をずらして噛み合い、当うず巻き体との間に圧縮空間を形成すべくハウジング内に配設された、うず巻き体21bを有する可動スクロールと、駆動軸の回転によって可動スクロールを公転させるクランク機構と、可動スクロールの自転を阻止する自転防止機構とを備え、固定スクロールのうず巻き体の始端近傍部16b,16b,16bの側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きくなるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジングと、回転自在にハウジングに支承された駆動軸と、中心部に吐出孔が形成された端板と端板の一方の端面に形成されたうず巻き体とを有しハウジング内に配設された固定スクロールと、端板と端板の一方の端面に形成され固定スクロールのうず巻き体に対して角度をずらしてかみ合い固定スクロールのうず巻き体との間にポケットを形成するうず巻き体とを有しハウジング内に配設された可動スクロールと、駆動軸の回転によって可動スクロールを公転させるクランク機構と、可動スクロールの自転を阻止する自転防止機構とを備え、固定スクロールのうず巻き体の始端近傍部の側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きいことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項2】 ハウジングと、回転自在にハウジングに支承された駆動軸と、中心部に吐出孔が形成された端板と端板の一方の端面に形成されたうず巻き体とを有しハウジング内に配設された固定スクロールと、端板と端板の一方の端面に形成され固定スクロールのうず巻き体に対して角度をずらしてかみ合い固定スクロールのうず巻き体との間にポケットを形成するうず巻き体とを有しハウジング内に配設された可動スクロールと、駆動軸の回転によって可動スクロールを公転させるクランク機構と、可動スクロールの自転を阻止する自転防止機構とを備え、可動スクロールのうず巻き体の始端近傍部の側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きいことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハウジングと、回転自在にハウジングに支承された駆動軸と、中心部に吐出孔が形成された端板と端板の一方の端面に形成されたうず巻き体とを有しハウジング内に配設された固定スクロールと、端板と端板の一方の端面に形成され固定スクロールのうず巻き体に対して角度をずらしてかみ合い固定スクロールのうず巻き体との間にポケットを形成するうず巻き体とを有しハウジング内に配設された可動スクロールと、駆動軸の回転によって可動スクロールを公転させるクランク機構と、可動スクロールの自転を阻止する自転防止機構とを備えるスクロール型圧縮機が広く使用されている。上記スクロール型圧縮機においては、固定スクロールのうず巻き体と可動スクロールのうず巻き体との間に形成されるポケットが、可動スクロールの公転運動に伴ってうず巻きの中心部へ移動し、当該移動に伴ってポケットの体積が減少し、ポケット内の冷媒ガスが圧縮される。冷媒ガスに含まれる潤滑オイルのミストが,固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面とに付着し、固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面とが当接して形成する摺動面を潤滑しシールする。固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面とは、シール性の向上を図るために表面粗度の小さな滑らかな表面に仕上げられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のスクロール型圧縮機においては、滑らかな表面に仕上げられたうず巻き体の側面に潤滑オイルが留まり難いので、固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面との摺動面への潤滑オイルの供給が不足し、ポケットの内圧が高く面圧が高い、うず巻きの始端近傍の前記摺動面が磨耗し、或いは焼き付く可能性があった。本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ハウジングと、回転自在にハウジングに支承された駆動軸と、中心部に吐出孔が形成された端板と端板の一方の端面に形成されたうず巻き体とを有しハウジング内に配設された固定スクロールと、端板と端板の一方の端面に形成され固定スクロールのうず巻き体に対して角度をずらしてかみ合い固定スクロールのうず巻き体との間にポケットを形成するうず巻き体とを有しハウジング内に配設された可動スクロールと、駆動軸の回転によって可動スクロールを公転させるクランク機構と、可動スクロールの自転を阻止する自転防止機構とを備えるスクロール型圧縮機であって、うず巻きの始端近傍において、固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面との摺動面の潤滑が十分に行われるスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明においては、ハウジングと、回転自在にハウジングに支承された駆動軸と、中心部に吐出孔が形成された端板と端板の一方の端面に形成されたうず巻き体とを有しハウジング内に配設された固定スクロールと、端板と端板の一方の端面に形成され固定スクロールのうず巻き体に対して角度をずらしてかみ合い固定スクロールのうず巻き体との間にポケットを形成するうず巻き体とを有しハウジング内に配設された可動スクロールと、駆動軸の回転によって可動スクロールを公転させるクランク機構と、可動スクロールの自転を阻止する自転防止機構とを備え、固定スクロールのうず巻き体の始端近傍部の側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きいことを特徴とするスクロール型圧縮機を提供する。本発明に係るスクロール型圧縮機においては、固定スクロールのうず巻き体の始端近傍部の側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きいので、前記始端近傍部の側面に付着した潤滑オイルは、当該部に留まることができる。この結果、うず巻きの始端近傍において、固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面との摺動面の潤滑が十分に行われ、当該摺動面の磨耗、焼き付きが防止される。
【0005】本発明においては、ハウジングと、回転自在にハウジングに支承された駆動軸と、中心部に吐出孔が形成された端板と端板の一方の端面に形成されたうず巻き体とを有しハウジング内に配設された固定スクロールと、端板と端板の一方の端面に形成され固定スクロールのうず巻き体に対して角度をずらしてかみ合い固定スクロールのうず巻き体との間にポケットを形成するうず巻き体とを有しハウジング内に配設された可動スクロールと、駆動軸の回転によって可動スクロールを公転させるクランク機構と、可動スクロールの自転を阻止する自転防止機構とを備え、可動スクロールのうず巻き体の始端近傍部の側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きいことを特徴とするスクロール型圧縮機を提供する。本発明に係るスクロール型圧縮機においては、可動スクロールのうず巻き体の始端近傍部の側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きいので、前記始端近傍部の側面に付着した潤滑オイルは、当該部に留まることができる。この結果、うず巻きの始端近傍において、固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面との摺動面の潤滑が十分に行われ、当該摺動面の磨耗、焼き付きが防止される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を説明する。図1において、10はスクロール型圧縮機のハウジングである。ハウジング10は、皿状のリアケーシング10a1 と、リアケーシング10a1 に固定された円筒状のセンターケーシング10a2 とを有するリアハウジング10aと、大径円筒部10b1 と小径円筒部10b2 とを有しリアハウジング10aに固定されたフロントハウジング10bとを備えている。リアハウジング10aとフロントハウジング10bとは同心状に配設されている。ハウジング10の中心軸線X上に配設されたシャフト11が、フロントハウジングの小径円筒部10b2 を通って、ハウジング10内に延びている。シャフト11は、フロントハウジングの小径円筒部10b2 に包囲された小径部11aと、フロントハウジングの大径円筒部10b1 に包囲された大径部11bとを備えている。大径部11bの端面には、軸線Xに平行に延びるクランクピン12が、軸心から偏心して固定されている。シャフト11の大径部11bは、ボールベアリング13を介してフロントハウジングの大径円筒部10b1 により回転自在に支承されている。シャフト11の小径部11aを包囲してリップシール14が配設されている。
【0007】フロントハウジングの小径円筒部10b2 を包囲して電磁クラッチ15が配設されている。電磁クラッチ15は、フロントハウジングの小径円筒部10b2 に回転自在に外嵌すると共に、図示しないVベルトを介して図示しない外部駆動源に接続されたプーリ15aと、フロントハウジング10bに固定された電磁石15bと、シャフト11の小径部11aの端部にセレーション結合されたクラッチアーマチュア15cとを備えている。電磁クラッチ15を介して、図示しない外部駆動源によりシャフト11が回転駆動される。
【0008】リアハウジング10a内には、固定スクロール16が配設されている。固定スクロール16は、センターケーシング10a2 と一体形成された円板状の端板16aと、端板16aの一方の端面に形成されたうず巻き体16bとを備えている。端板16aの中心部には吐出穴16a1 が形成されている。固定スクロールの端板16aにより、リアハウジング10aの内部空間は吸入室17と吐出室18とに仕切られている。センターケーシング10a2 の側壁に、うず巻き体16bに対峙して吸入ポート19が形成されている。吸入ポート19は吸入室17に連通している。センターケーシング10a2 の側壁に吐出ポート20が形成されている。吐出ポート20は吐出室18に連通している。
【0009】リアハウジング10a内に、固定スクロール16に隣接して可動スクロール21が配設されている。可動スクロール21は、円板状の端板21aと、端板21aの一方の端面に形成されたうず巻き体21bと、端板21aの他方の端面に形成された環状のボス21cとを備えている。端板21aの他方の端面の周縁部が、スラスト受けリング22を介して、フロントハウジング10bの端面に摺接し、フロントハウジング10bにより、軸線X方向に支持されている。可動スクロール21のうず巻き体21bと、固定スクロール16のうず巻き体16bとは、図2に示すように、180°の角度のずれをもってかみ合っている。
【0010】互いにかみ合う可動スクロールのうず巻き体21bと固定スクロールのうず巻き体16bとの間に複数の空間、すなわちポケット23が形成されている。ポケット23は、後述するように可動スクロール21が固定スクロール16に対して公転するのに伴って、うず巻きの終端部からうず巻きの始端部へ向かって移動し、当該移動に伴って体積が減少し、ポケット内の冷媒ガスが圧縮される。
【0011】図1に示すように、ボス21cには、厚肉円板状のブッシュ24が、ラジアルベアリング25を介して回転自在に内嵌している。ブッシュ24には、軸線Xに平行に延びる貫通穴26が形成されている。貫通穴26は、シヤフト11の大径部11bに固定されたクランクピン12を収容している。クランクピン12とブッシュ24とラジアルベアリング25とボス21cとにより構成されるクランク機構により、シャフト11が回転すると可動スクロール21は軸線Xの回りに公転する。
【0012】フロントハウジング10bと可動スクロール21との間には、可動スクロール自転防止用のカップリング機構27が配設されている。
【0013】固定スクロールのうず巻き体16b、可動スクロールのうず巻き体21bの側面は、後述する部位を除いて、1.6s〜6.3s(▽▽▽)の表面粗度に仕上げられている。図2に示すように、固定スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部16b1 、16b2 、16b3 の側面は、12.5s〜100s(▽▽〜▽)の表面粗度に仕上げられている。
【0014】上記構成を有する本実施例に係るスクロール型圧縮機の作動を説明する。図示しない外部駆動源により、電磁クラッチ15を介して、シャフト11が回転駆動される。シャフト11の回転により、クランクピン12に支承された可動スクロール21が軸線Xの回りに公転する。公転に伴う可動スクロール21の自転は、カップリング機構27により阻止される。図2、3に示すように、可動スクロール21の公転に伴って、互いにかみ合う可動スクロールのうず巻き体21bと固定スクロールのうず巻き体16bとの間に形成されたポケット23が、うず巻きの終端部から、うず巻きの始端部へ向かって移動する。吸入ポート19を通って吸入室17へ流入した冷媒ガスが、うず巻き体21bの終端部の径方向内側で形成されつつあるポケット23と、うず巻き体21bの終端から中心角で180度始端側ヘ隔たった部位の径方向外側で形成されつつあるポケット23内へ流入する。ポケット23がうず巻きの終端部から始端部へ向かって移動すると共に、ポケット23の体積が減少し、ポケット23内の冷媒ガスは圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、固定スクロールの端板16aに形成された吐出穴16a1 を通って、吐出室18ヘ流出する。吐出室18ヘ流入した冷媒ガスは、吐出ポート20を通って、外部冷媒回路へ流出する。
【0015】図2、3から分かるように、可動スクロール21の公転角度が180°の時に固定スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部16b2 の側面が可動スクロールのうず巻き体21bの始端近傍部の側面に当接し、可動スクロール21の公転角度が450°の時に固定スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部16b3の側面が可動スクロールのうず巻き体21bの始端近傍部の側面に当接し、可動スクロール21の公転角度が630°の時に固定スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部16b1 の側面が可動スクロールのうず巻き体21bの始端近傍部の側面に当接する。
【0016】本実施例に係るスクロール型圧縮機においては、うず巻き体16bの始端近傍部16b1 、16b2 、16b3 の側面の粗度が他の部位よりも大きいので、当該側面に付着した潤滑オイルは当該側面に留まる。うず巻き体16bの始端近傍部16b1 、16b2 、16b3 の側面が、図2、3に示すように、可動スクロールのうず巻き体21bの側面と当接した時に、うず巻き体16bの始端近傍部16b1 、16b2 、16b3 の側面に留まっていた潤滑オイルが油膜となって当接部の近傍に広がり、うず巻き体16b、21bの始端近傍部の側面全体が油膜で覆われる。うず巻きの始端近傍ではポケット23の内圧が高いので、固定スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部の側面と可動スクロールのうず巻き体21bの始端近傍部の側面とが当接して形成する摺動面の面圧は高い。しかし、前述のごとく、うず巻き体16bの始端近傍部16b1 、16b2 、16b3 の側面に留まった潤滑オイルによって、うず巻き体16b、21bの始端近傍部の側面全体が油膜で覆われるので、うず巻き体16bの始端近傍部の側面とうず巻き体21bの始端近傍部の側面とが当接して形成する摺動面は十分に潤滑され、磨耗、焼き付きを起こさない。
【0017】固定スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部の側面と可動スクロールのうず巻き体21bの始端近傍部の側面とが当接して形成する摺動面で発生するスラッジが、うず巻き体16bの始端近傍部16b1 、16b2 、16b3 の粗度の大きな側面の微小凹部内に留められる。この結果、前記スラッジによって前記摺動面の磨耗が助長される可能性が減少する。
【0018】以上本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されない。上記実施例においては、固定スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部16b1 、16b2 、16b3 の側面の粗度を他の部位に比べて大きくしたが、始端近傍の任意の1又は複数の箇所の側面の粗度を他の部位に比べて大きくしても良く、或いは始端近傍の所望の巻き角度範囲、例えば0°〜300°の巻き角度範囲の全域の側面の粗度を他の部位に比べて大きくしても良い。固定スクロールのうず巻き体16bの径方向内方の側面の粗度を大きくしても良く、径方向外方の側面の粗度を大きくしても良く、両側の側面の粗度を大きくしても良い。可動スクロールのうず巻き体21bの始端近傍部の側面の粗度を他の部位に比べて大きくしても良い。固定スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部の側面の粗度と、可動スクロールのうず巻き体16bの始端近傍部の側面の粗度を共に、他の部位に比べて大きくしても良い。いずれの場合でも、うず巻き体の側面同志の摺接面のシール性を阻害しない範囲で、粗度を大きくする必要がある。
【0019】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明に係るスクロール型圧縮機においては、固定スクロールのうず巻き体の始端近傍部の側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きいので、前記始端近傍部の側面に付着した潤滑オイルは、当該部に留まることができる。この結果、うず巻きの始端近傍において、固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面との摺動面の潤滑が十分に行われ、当該摺動面の磨耗、焼き付きが防止される。本発明に係るスクロール型圧縮機においては、可動スクロールのうず巻き体の始端近傍部の側面の表面粗度が他の部位の側面の表面粗度よりも大きいので、前記始端近傍部の側面に付着した潤滑オイルは、当該部に留まることができる。この結果、うず巻きの始端近傍において、固定スクロールのうず巻き体の側面と可動スクロールのうず巻き体の側面との摺動面の潤滑が十分に行われ、当該摺動面の磨耗、焼き付きが防止される。
【出願人】 【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
【出願日】 平成11年9月3日(1999.9.3)
【代理人】 【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
【公開番号】 特開2001−73971(P2001−73971A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−250838