| 【発明の名称】 |
スクロール型圧縮機 |
| 【発明者】 |
【氏名】小川 博史
【氏名】野々部 康宏
【氏名】原田 基生
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| 【要約】 |
【課題】グリース封入式の軸受を備えているスクロール型圧縮機において軸受のリップシールから生じるグリースの漏洩を確実に防止すること。
【解決手段】運転中に吐出圧力によって高圧となる吐出圧力室24,25に隣接している軸受5,6,12に設けられたリップシール31,33,35及び36が、従来のものとは逆方向に、即ち、グリースを収容している各軸受の内部空間29,32,34の圧力よりも各軸受の外部(吐出圧力室24,25)の圧力の方が高くなったときに、高圧の流体が軸受の外部から軸受の内部空間へ侵入するのを阻止する方向に取り付けられる。それによって、高圧の流体の侵入によるグリースの劣化や、リップシールによって高圧の流体が軸受の内部空間に閉じ込められて、圧縮機が運転を停止しているときに徐々にグリースを押し出すことによる軸受の性能低下、更には吐出流体の汚染等を防止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられて軸方向に突出する固定の渦巻き形の羽根と、前記固定の渦巻き形の羽根に噛み合うように可動の端板部分から軸方向に突出する渦巻き形の羽根を具えているロータと、前記ロータを回転自由に支持する軸受と、前記ロータを公転させるために前記軸受を介して前記可動の端板部分を軸支する偏心軸部を具えている駆動軸と、前記駆動軸を前記ハウジングによって回転自由に軸支するために前記ハウジングに設けられた1個以上の軸受とを備えていて、それらの軸受のうちの少なくとも1つがグリース封入式の軸受であり、且つその軸受の内部空間に封入されたグリースを密閉するためにリップシールを備えているものであって、前記リップシールが、前記軸受のグリースを収容している内部空間の圧力よりも前記軸受の外部の圧力の方が高くなったときに、高圧の流体が前記軸受の外部から前記軸受の内部空間へ侵入するのを阻止する方向に取り付けられていることを特徴とするスクロール型圧縮機。 【請求項2】 請求項1において、前記軸受の内部空間が連通孔を介して低圧部分と連通していることを特徴とするスクロール型圧縮機。 【請求項3】 請求項2において、前記連通孔が前記駆動軸に穿孔された穴であることを特徴とするスクロール型圧縮機。 【請求項4】 請求項2または3において、前記低圧部分が大気圧の空間であることを特徴とするスクロール型圧縮機。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記ロータの端板部分の前後両面に軸方向に突出する渦巻き形の羽根が設けられており、それらと噛み合うように前記ハウジング側にも2つの面から軸方向に突出する渦巻き形の羽根がそれぞれ設けられていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はスクロール型圧縮機に係り、特に駆動軸やロータ等を軸支するためにグリース封入式の軸受を備えているスクロール型圧縮機に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば特開平9−126163号公報に記載されているように、スクロール型圧縮機においては駆動軸やロータ等を軸支するためにグリース封入式の軸受がよく使用されている。グリース封入式の軸受は、内部の転動ローラやボール等を潤滑するために半固形の潤滑剤であるグリースを予め封入したものであって、軸受温度の上昇によってグリースが液化したようなときに、軸受の内外或いは両側の間に作用する圧力差によってグリースが軸受の内部から流出して、圧縮機が取り扱う被圧縮流体に混入することによりそれを汚染するとか、軸受がグリース切れになって軸受の性能が低下する恐れがあるので、グリース封入式の軸受には軸受の内部と外部との間を遮断するリップ式のシールが設けられる。 【0003】良く知られているように、リップ式のシールは圧力差によってシールリップをそれが対向しているシート面に押し付けて流体を遮断するものであるから、その作用には方向性があり、シールリップをシート面に押し付ける方向に圧力差が作用するときは効果的にシール作用をする反面、それとは反対の方向に圧力差が作用した場合には殆どシール作用をしないという性質がある。そこで、従来のグリース封入式の軸受におけるリップ式のシールにおいては、軸受内部の圧力が軸受外部の圧力よりも高くなったときにシールリップがシート面に押し付けられて、軸受内部のグリースが軸受外部へ流出するのを防止することができるようにシールリップの方向を設定している。 【0004】ところが、スクロール型圧縮機のような流体圧縮機における吐出圧力室のように、吐出圧としての高い流体圧力を受ける高圧部に配置されているグリース封入式の軸受は、圧縮機の運転中に軸受外部の圧力が軸受内部の圧力よりも高くなる状態で使用される。従って、運転中に軸受外部の高圧の流体、即ちその圧縮機によって圧縮された流体が軸受内部へ侵入することになり、それによって軸受内部のグリースが劣化する恐れがあるだけでなく、運転を停止したときに軸受外部の高圧の流体が大気圧まで降下しても、軸受内部にはリップ式のシールの作用によって高圧の流体が閉じ込められたままの状態になるから、この状態で長時間放置すると、軸受内部のグリースがシールリップをかい潜って軸受外部、即ち運転中に高圧部となる空間へ徐々に滲み出るという問題が発生する。 【0005】もしこのようにしてグリースが軸受から洩れ出ると、運転中に圧縮機から吐出される流体にグリースが混入するので、吐出流体の清浄さが要求されるもの、例えば、燃料電池の空気供給システム等においては重大な支障を来すことになる。また当然のこととして、このような原因でグリースが失われた軸受はその性能が低下して、関連する他の問題を起こすことになる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術における前述のような問題に対処して、スクロール型圧縮機において実際に起きている軸受のグリースの漏洩の実態とその原因を解明することにより、それらの軸受に設けられるシールリップの方向の設定を簡単に改良して、グリース封入式の軸受からのグリースの漏洩を確実に防止することができる新規な手段を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を解決するために特許請求の範囲の請求項1に記載されたスクロール型圧縮機を提供する。 【0008】本発明によれば、スクロール型圧縮機に使用されるグリース封入式の軸受においてその内部空間を密閉するために設けられるリップシールが、内部空間の圧力よりも軸受の外部の圧力の方が高くなったときに、高圧の流体が軸受の外部から軸受の内部空間へ侵入するのを阻止する方向に取り付けられるので、運転中に高圧の流体が軸受の内部空間へ侵入してグリースを劣化させたり、リップシールによって軸受の内部空間に閉じ込められるのを防止することができるから、運転を停止している状態において軸受の内部空間からグリースが洩れ出ることを確実に防止して、軸受の性能が低下したり吐出流体中にグリースが混入するのを予防することができる。 【0009】更に、グリース封入式の軸受の内部空間を連通孔を介して大気圧空間のような低圧の部分と連通しておけば、軸受の内部空間が軸受外部に対して高圧となることがないので、本発明の様式によって取り付けられたリップシールが確実に作用して、軸受外部の高圧の流体が軸受の内部空間へ侵入するのを防止することができるだけでなく、軸受の内部空間から軸受外部へグリースを押し出す高圧が軸受内部に発生するのを確実に阻止することができる。 【0010】本発明は、ロータの端板部分の前後両面に軸方向に突出する渦巻き形の羽根が設けられていると共に、それらと噛み合うようにハウジング側にも2つの面から軸方向に突出する渦巻き形の羽根がそれぞれ設けられている形式のスクロール型圧縮機において実施するのが最も好適である。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の好適な実施形態の構成と作動を図1を用いて説明する。図示実施形態のスクロール型圧縮機1は、図示しない通しボルトによって相互に締結されて一体のハウジングを形成するフロントハウジング2とリアハウジング3の内部に構成される。ハウジング2,3の概ね中心を通る駆動軸4は、前側の軸受5と後側の軸受6を介してハウジング2,3によって回転自由に軸支される。そのためにフロントハウジング2には軸受5を受け入れるための概ね円筒状の軸受支持部7が形成されていると共に、リアハウジング3には軸受6を受け入れるための有底カップ状の軸受支持部8が形成されている。なお、後側の軸受支持部8の周囲は吐出ポート9となっているので、軸受支持部8は図示しない複数個の半径方向のリブによってリアハウジング3のボス部10の内面に連結されている。 【0012】駆動軸4の中間部分にはその軸心に対して所定の量だけ偏心している偏心軸部11が形成されている。偏心軸部11には軸受12が装着されていて、それによってロータ13の中心の円筒形のボス部14を軸支している。図示実施形態のロータ13はボス部14と直交する方向に拡がる端板部分15と、端板部分15の前後両面から軸方向に突出するように形成された渦巻き形の羽根(ラップ)16及び17を具えている。これらロータ13の前後の渦巻き形の羽根16,17と協働するように、フロントハウジング2及びリアハウジング3の内面には軸方向に突出する固定の渦巻き形の羽根(ラップ)18及び19が形成されていて、それらの渦巻き形の羽根が相互に噛み合うことによって軸方向に見たときに三日月状に見える閉じた作動室20,21が多数形成される。 【0013】作動室20,21が外側に向かって開くハウジング2,3内の周辺部には共通の吸入圧力室22が形成されていて、吸入圧力室22は吸入ポート23を介して圧縮前の低圧の流体を受け入れることにより、作動室20,21内へ低圧の被圧縮流体を吸入させることができる。これに対して作動室20,21が内側に向かって開くハウジング2,3の中心部の駆動軸4の周囲には吐出圧力室24,25が形成される。左右の吐出圧力室24,25は図示しない通路によって相互に連通していると共に、作動室20,21内において圧縮された高圧の流体を前述の吐出ポート9を介して目的の機器へ供給する。 【0014】よく知られているように、作動室20,21内へ吸入された被圧縮流体は、ロータ13が駆動軸4の偏心軸部11によって偏心運動を強制されると共に、何らかの自転防止手段によって自転を阻止されることにより駆動軸4の周りに公転のみをするときに、可動のロータ13の渦巻き形の羽根16,17と、ハウジング2,3の固定の渦巻き形の羽根18,19との間に形成された三日月形の作動室20,21が、ロータ13の周辺部から中心部に向かって連続的に容積を縮小しながら移動して行くために、作動室20,21の中で圧縮されて高圧となる。そして圧縮された高圧の流体は、作動室20,21がロータ13の中心部へ到達して吐出圧力室24,25に向かって開いたときに、吐出ポート9を通じてそれを必要とする機器へ送出される。 【0015】なお、26はロータ13の偏心運動に伴う振動を低減させるために駆動軸4に設けられたバランスウエイトであって、駆動軸4の軸心に対して偏心している偏心軸部11や、それによって支持されているロータ13等の偏心質量の大きさ及び方向に対応するように駆動軸4に取り付けられている。27は駆動軸4の軸端部28に取り付けられた伝動用のプリーであって、図示しないベルトが巻き掛けられることによって回転動力を外部から駆動軸4へ伝達する。 【0016】図示実施形態において、駆動軸4を軸支する前後の軸受5,6及びロータ13を軸支する軸受12はいずれもグリース封入式の軸受となっている。まず、駆動軸4の左端を軸支している軸受5は、その内部空間29が前後のリップシール30,31によって密閉されている。駆動軸4の右端の軸受6の内部空間32は、前述のようにカップ状の軸受支持部8の内部に形成されているために有底であるから、唯1個のリップシール33のみによって密閉されている。また、ロータ13を軸支する軸受12の内部空間34は前後のリップシール35,36によって密閉されている。そして、各軸受の内部空間29,32,34にはグリースが封入されている。なお、各リップシールは耐油性及び耐摩耗性に富む合成樹脂から製造される。 【0017】前述のようなスクロール型圧縮機1の作動によって、吐出圧力室24,25は運転中に高圧となるので、吐出圧力室24,25に面して取り付けられている4個のリップシール31,33,35,36は、吐出される高圧の流体によって高い圧力を受けている。そこで図示実施形態のスクロール型圧縮機1においては、これら4個のリップシールが、いずれも吐出圧力室24,25の高圧の流体が各軸受の内部空間29,32,34内へ侵入しないように、高圧の外部空間、すなわち吐出圧力室24,25から各軸受の内部空間に向って断面形の中央部分が突出する形となるように、各リップシール31,33,35,36が取り付けられている点に1つの特徴がある。 【0018】このようにして、軸受内部よりも高圧の軸受外部の空間に面しているリップシール31,33,35,36を、軸受の内部に向って断面形の中央部分が窪んでいる形に取り付けると、スクロール型圧縮機1の運転中でも吐出圧力室24,25の高圧の流体が各軸受5,6,12内へ侵入することがないので、各軸受の内部空間29,32,34に封入されたグリースが押し出されたり、侵入した流体によってグリースが劣化するというような問題が生じない。また、運転を停止した状態において、各軸受の内部空間29,32,34内に高圧が残るようなことがないから、封入されたグリースが徐々に押し出されて失われるというような恐れもない。従って、図示実施形態のスクロール型圧縮機1においては、軸受から洩れ出るグリースによって吐出流体を汚染したり、軸受の性能を低下させるというような問題が解消する。 【0019】更に、図1に示す本発明の実施形態のスクロール型圧縮機1においては、駆動軸4の内部に連通孔37を穿孔して、その左端を大気口38によって大気中に開放すると共に右端を軸受6の内部空間32内に開口させることにより、内部空間32内を常時大気圧としている。更に、大気圧となる連通孔37から枝状に分岐する連通孔39及び40を各軸受5及び12の内部空間29,34へ開口させることによって、それら3個の軸受の全ての内部空間を常時大気圧となるようにしている点に図示実施形態の第2の特徴がある。なお、大気口38は、大気圧の空間だけでなく、スクロール型圧縮機1の外部或いは内部の他の適当な低圧源に連通していてもよい。 【0020】このように、図1に示す実施形態のスクロール型圧縮機1においては、3個の軸受5,6,12の内部空間29,32,34が全て常時大気圧となっているから、まず、駆動軸4の左端を軸支している軸受5に注目すると、その内部空間29の図1において左側のリップシール30の内外には圧力差が作用しないので、リップシール30を通常行われているように、軸受5の内部空間29から大気圧下の外部空間に向って断面形の中央部分が突出する形になるように設定しても何ら問題を生じない。 【0021】軸受5の右側のリップシール31は、高圧の外部空間、すなわち吐出圧力室24から内部空間29に向って断面形の中央部分が突出する形になるように取り付けられているので、スクロール型圧縮機1の運転中は吐出圧力室24内の高圧と軸受5の内部空間29内の大気圧との圧力差により、リップシール31がそれに対向するシート面に押し付けられて十分なシール作用を奏するため、軸受5の内部空間29へ吐出圧力室24内の高圧の流体が軸受5内へ侵入することが阻止され、内部空間29内に高圧の流体が閉じ込められることもないから、スクロール型圧縮機1が運転を停止しているときに軸受5内のグリースが押し出されることも確実に防止される。 【0022】同様に、右端の軸受6及び中間の軸受12の内部空間32及び34も常時大気圧となっているから、リップシール33,35,36を前述のように、高圧の外部空間である吐出圧力室24,25から各軸受の内部空間32,34に向って断面形の中央部分が突出する形になるように取り付けることによって、スクロール型圧縮機1の運転中は吐出圧力室24,25内の高圧と軸受の内部空間32,34内の大気圧との圧力差により、リップシール33,35,36はそれらに対向するシート面に押し付けられて十分なシール作用を奏する。また、スクロール型圧縮機1が運転を停止している状態においても、軸受の内部空間32,34内が軸受外部の吐出圧力室24,25に対して高圧となるようなことがないから、いずれの状態でも軸受内部のグリースが洩れ出る恐れがなく、それによって吐出流体を汚染したり、軸受の劣化を招くというような問題を回避することができる。 【0023】図1に示す実施形態のスクロール型圧縮機1の特徴及び作用効果を更に判りやすくするために、基本的には同様な構造を有する図2に示すような従来のスクロール型圧縮機41と対比して説明することにする。図1と図2を対比すれば明らかな両者共通の構造部分については説明を全く省略するか、或いは同じ参照符号を付して説明に代える。なお、前述のように、図2に示す従来のスクロール型圧縮機41においても、使用されている全てのリップシールの中で、駆動軸4の左端を軸支する軸受5の左側において大気圧空間に面して設けられたリップシール30だけは、図1に示す実施形態のスクロール型圧縮機1のそれと同じ様式で設けられている。 【0024】図2に示す従来のスクロール型圧縮機41のリップシール31’,33’,35’及び36’が、図1に示す本発明の実施形態のスクロール型圧縮機1におけるリップシール31,33,35及び36と比べて反対の方向に取り付けられていることに注目すべきである。また、従来のスクロール型圧縮機41においては各軸受の内部空間29,32,34を全て大気圧とするための連通手段は設けられていない。その他の構造はスクロール型圧縮機1のそれと同様である。 【0025】従来のスクロール型圧縮機41においては、リップシール31’,33’,35’及び36’が、各軸受の内部空間29,32,34からそれらの外部空間に向って断面形の中央部分が突出する形に取り付けられているために、運転中に吐出圧力室24,25にある吐出流体の圧力が高くなったときに、吐出流体の一部が各軸受の内部空間29,32,34へ侵入するのを阻止することができない。それによって軸受のグリースが劣化し、各軸受5,6及び12の性能が低下する恐れがある。 【0026】更に、従来のスクロール型圧縮機41では、運転を停止したときに各軸受の内部空間29,32,34には、リップシール30及び31’,33’,35’,36’の方向性から、高圧の流体が閉じ込められたままの状態になるから、この状態で長時間放置すると、各軸受の内部空間29,32,34にあるグリースが軸受外部の吐出圧力室24,25内やリップシール30の外側へ徐々に滲み出てくる恐れがある。吐出圧力室24,25内へ洩れ出たグリースは次の運転時に吐出流体を汚染するし、リップシール30から洩れ出たグリースはスクロール型圧縮機41の外部を汚すので、いずれにしても好ましいことではない。 【0027】本発明は、図1に示す実施形態のスクロール型圧縮機1のように、駆動軸がロータを貫通している形式のスクロール型圧縮機において顕著な効果を挙げることができる。この形式のスクロール型圧縮機1においては各軸受5,6,12の内部空間29,32,34をそれぞれ密閉するリップシール31,33,35及び36が高圧となる吐出圧力室24,25に面しているが、これらのリップシールが本発明によって与えられた方向性によって、吐出圧力室24,25の高圧の流体が各軸受の内部空間へ侵入してリップシールにより軸受の内部空間に高圧を保って閉じ込められるのを防止することができるからである。 【0028】一般に、スクロール型圧縮機において駆動軸がロータ13の端板部分を貫通している形式は、図1に示すスクロール型圧縮機1(及び図2に示す従来のスクロール型圧縮機41)のように、ロータ13の端板部分15の前後両側にそれぞれ渦巻き形の羽根16,17が設けられていて、それによって作動室20,21が端板部分15の両側に形成されるスクロール型圧縮機においてよく採用される形式である。 【0029】これに対して、図3に例示する他の形式による従来のスクロール型圧縮機42のように、ロータ43の端板部分44の一側のみに渦巻き形の羽根45が設けられていると共に、それと噛み合う固定の渦巻き形の羽根46がリアハウジング47の内部にのみ設けられているものにおいては、端板部分44の背面に形成された円筒形のボス部49を、駆動軸48の偏心軸部50が軸受51を介して片持ち式に軸支するように構成すれば、駆動軸48がロータ43の端板部分44を貫通する必要がない。 【0030】このようにして、図3に示す従来のスクロール型圧縮機42においては駆動軸48がロータ43の端板部分44を貫通していないのと、端板部分44の前面がフロントハウジング52の端面53に押し付けられているために、フロントハウジング52内の空間54は吐出圧力室55の高圧を受けることがない。従って、軸受51がグリース封入式のものであってリップシール56が軸受51の内部空間57から空間54に向って断面形の中央部分が突出する形に取り付けられていても、吐出圧力室55の高圧の流体が軸受51の内部空間57へ侵入する恐れはないから、図3に示したように、リップシール56を従来の形式で取り付けても特に問題は生じない。 【0031】このように、図3に示す従来のスクロール型圧縮機42においては特に問題はないが、スクロール型圧縮機42の変形として、駆動軸48が軸受58のみによって片持ち式に軸支されないで、偏心軸部50の右端に形成される図示しない軸部分において別の軸受によって追加的に軸支される構造にすると、偏心軸部50がロータ43の端板部分44を貫通することになるから、図2のスクロール型圧縮機41と同様な問題が生じる。従って、そのような場合は本発明を適用して、軸受51や軸受6(図2参照)に相当する軸受のリップシール56等を、軸受外部の高圧が軸受内部へ侵入するのを阻止する方向に取り付けるとよい。 【0032】また、図3に例示した従来のスクロール型圧縮機42においては、駆動軸48を片持ち式に軸支する軸受58としてグリース封入式の軸受を使用していないので、軸受58にはグリースを閉じ込めるためのリップシールを設けていない。この場合の軸受58の潤滑は、例えば、冷媒のような被圧縮流体に予め混入されている冷凍機油のような潤滑油によって行うように構成することもできるし、前述の空間54の左側が別のシール装置59によって密閉されているので、軸受58に直接グリースを塗り込めてもそれが簡単に失われることはない。なお、図3において60は吸入ポートを、61は吐出ポートを、62はバランスウエイトを示している。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004695 【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月30日(1999.8.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−73969(P2001−73969A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−243877 |
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