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【発明の名称】 偏心スラスト軸受
【発明者】 【氏名】藤原 良承

【氏名】柴田 正道

【要約】 【課題】転動体としてころを使用して、負荷容量の要求に併せて転動体の配備個数を増加させることができる偏心スラスト軸受を提供する。

【解決手段】旋回スクロール部材3と、圧縮機フレーム5との間に介装される偏心スラスト軸受であって、旋回スクロール部材3と圧縮機フレーム5それぞれの内面間に配設される第1、第2のころユニット9,10と、各ころユニットに挟まれて配設される中間レース11とを有し、ころユニットは、それぞれ、保持器12,14とこれに保持されるころ群13,15とを有し、ころユニットそれぞれのころ群は、旋回スクロール部材3の旋回平面においてx軸とy軸それぞれの方位に沿ってほぼ直線的に転動する形態で配列されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】偏心旋回運動する旋回部材と、この旋回部材に対して軸方向に離されて対向配設される固定部材との間に介装される偏心スラスト軸受であって、前記旋回部材と固定部材それぞれの内面間において前記旋回部材の旋回軸と同一方向に沿って隣り合わせに配設される複数のころユニットと、前記各ころユニットに挟まれて配設される中間レースと、を有し、前記ころユニットは、それぞれ、保持器とこれに保持されるころ群とを有し、前記ころユニットそれぞれのころ群は、前記旋回部材の旋回平面において互いに異なる複数の方位に沿ってほぼ直線的に転動する形態で配列されている、ことを特徴とする偏心スラスト軸受。
【請求項2】請求項1に記載の偏心スラスト軸受において、前記ころユニットは、第1および第2のころユニットの2組構成とされ、第1および第2のころユニットそれぞれのころ群は、それぞれの転動方位が互いに直交する形態で配列されている、ことを特徴とする偏心スラスト軸受。
【請求項3】請求項1に記載の偏心スラスト軸受において、前記ころユニットは、第1、第2および第3のころユニットの少なくとも3組構成とされ、第1および第2のころユニットそれぞれのころ群は、それぞれの転動方位が互いに直交する形態で配列されているとともに、第3のころユニットのころ群は、その転動方位が前記第1および第2のころユニットのころ群それぞれの転動方位の中間となる形態で配列されている、ことを特徴とする偏心スラスト軸受。
【請求項4】請求項1ないし3いずれかに記載の偏心スラスト軸受において、少なくとも前記旋回部材の内面に環状のレース(取付レース)が取り付けられている、ことを特徴とする偏心スラスト軸受。
【請求項5】請求項1ないし3いずれかに記載の偏心スラスト軸受において、前記旋回部材の内面がレースとされている、ことを特徴とする偏心スラスト軸受。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏心旋回運動する旋回部材と、この旋回部材に対して軸方向に離されて対向配設される固定部材との間に介装される偏心スラスト軸受に係り、より詳しくは、例えばスクロール圧縮機に使用されて、旋回スクロール部材を支持する偏心スラスト軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】スクロール圧縮機に使用されるこの種の軸受では、旋回スクロール部材に取り付けられるレースと、この旋回スクロール部材と対向する固定部材側に取り付けられるレースと、両レース間の円周上の数箇所の領域に介装される転動体とを有している。
【0003】両レースそれぞれの前記領域には平面視円形の所要深さの軌道溝が形成されている。
【0004】そして、前記転動体は、両レースそれぞれの軌道溝間に介装され、旋回スクロール部材の偏心回転に伴って、両軌道溝の内周壁に沿って旋回転がり動作するようになっている。
【0005】したがって、これら各軌道溝それぞれは、旋回スクロール部材の転動体の旋回転がり動作を確保するために、転動体の外径よりも大きい溝径が必要となる。
【0006】このような転動体としては、これまでの偏心スラスト軸受においては、ボール、両円錐ころ等が使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような軸受では転動体の個数に比例してその負荷容量は大きくなり耐久性は向上する。そのため、その負荷容量を大きくするには、レースの円周上に配備する転動体の個数を増加させるとよい。
【0008】ところで、転動体は軌道溝内に配備する必要があり、またこの軌道溝の溝径は転動体の外径の数倍の大きさとなり、かつ、隣り合う軌道溝どうしは互いに離隔して形成する必要があることから、レースの円周上における軌道溝の形成個数も、レースの大きさの割りには限定された少数となる。
【0009】したがって、従来の軸受構造では、転動体がボールや両円錐ころ等のいずれであっても負荷容量の要求に併せて転動体の配備個数を増加させるには、レースのサイズを大きくすることで、軌道溝の形成個数を増大させることで対処できると考えられる。
【0010】しかしながら、旋回スクロール部材のサイズが限定されており、レースのサイズも必然的に限定されてしまう結果、レースの限定サイズを超過する負荷容量の増大要求に応じられない。また、レースのサイズをむやみに大きくして偏心スラスト軸受の全体サイズが大型重量化することは、旋回スクロール部材を駆動するモータの駆動負荷の増大につながり好ましくない。
【0011】なお、従来の軸受に使用される転動体がボールの場合では、軌道溝内で点接触状態で旋回運動するものであるから、転動体それ自体の負荷容量は小さいために、前記転動体の配備個数の限定少数と共に、前記負荷容量そのものが小さいものとなり、大きな負荷容量が要求される旋回スクロール部材支持用の軸受としては適さない。
【0012】また、転動体がボールの場合では、軌道溝内で点接触状態で旋回運動するものである場合、負荷を受ける面積が一点に集中するから、軌道溝内で摩耗、焼き付けを起こしやすいものとなり、耐久性に劣り構造上の信頼性に乏しい。
【0013】本発明は、偏心スラスト軸受において、偏心スラスト軸受の全体サイズが大型重量化することなく、また旋回スクロール部材を駆動するモータの駆動負荷の増大につながることなく、負荷容量の要求に併せて転動体の配備個数を増加させることができるようにすることを共通の解決課題としている。
【0014】本発明はまた、偏心スラスト軸受において、大きな負荷容量が要求される旋回部材の支持用の軸受として適したものとし、さらには、転動体が、軌道溝内で摩耗、焼き付けを起こしにくいものとして、その優れた耐久性でもって、長期短期を問わず、構造上の信頼性を備えることを他の解決課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明第1の偏心スラスト軸受においては、偏心旋回運動する旋回部材と、この旋回部材に対して軸方向に離されて対向配設される固定部材との間に介装される偏心スラスト軸受であって、前記旋回部材と固定部材それぞれの内面間において前記旋回部材の旋回軸と同一方向に沿って隣り合わせに配設される複数のころユニットと、前記各ころユニットに挟まれて配設される中間レースとを有し、前記ころユニットは、それぞれ、保持器とこれに保持されるころ群とを有し、前記ころユニットそれぞれのころ群は、前記旋回部材の旋回平面において互いに異なる複数の方位に沿ってほぼ直線的に転動する形態で配列されていることを特徴としている。
【0016】好ましくは、前記ころユニットは、第1および第2のころユニットの2組構成とされ、第1および第2のころユニットそれぞれのころ群は、それぞれの転動方位が互いに直交する形態で配列されている。
【0017】好ましくは、前記ころユニットは、第1、第2および第3のころユニットの少なくとも3組構成とされ、第1および第2のころユニットそれぞれのころ群は、それぞれの転動方位が互いに直交する形態で配列されているとともに、第3のころユニットのころ群は、その転動方位が前記第1および第2のころユニットのころ群それぞれの転動方位の中間となる形態で配列されている。
【0018】好ましくは、少なくとも前記旋回部材の内面に環状のレース(取付レース)が取り付けられている。
【0019】好ましくは、前記旋回部材の内面がレースとされている。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】図1ないし図4は、本発明の実施の形態に係り、図1は、本発明の実施の形態1の偏心スラスト軸受を使用したスクロール圧縮機の断面図、図2は、図1の偏心スラスト軸受の要部拡大断面図、図3は、図2の偏心スラスト軸受の分解正面図、図4は、図2の偏心スラスト軸受の各ころユニットそれぞれに使用される各保持器の平面図である。
【0022】これらの図において、1は、スクロール圧縮機の全体を示している。スクロール圧縮機1においては、モータ軸等の回転軸2の軸端に該回転軸2から偏心した軸部2aが連結される。モータの偏心出力軸は、回転軸2とこの軸部2aとで構成されている。
【0023】旋回部材としての旋回スクロール部材3は、軸部2aに連結され、前記回転軸2が旋回軸となってその回りを偏心旋回運動させられる。
【0024】固定スクロール部材4は、旋回スクロール部材3に対向されている。
【0025】旋回スクロール部材3と固定スクロール部材4それぞれは、互いの対向面側に螺旋状隔壁3a,4aを備えている。
【0026】両螺旋状隔壁3a,4aは、噛み合わされることで、これらの間に圧縮室Pが構成されるようになっている。
【0027】このような構成のスクロール圧縮機1は、旋回スクロール部材3が偏心旋回運動させられることで前記圧縮室Pの容積が変化させられ、これによって、圧縮室P内の流体の圧縮が行われるようになっている。
【0028】ここで、固定スクロール部材4は、圧縮機フレーム5の上端の環状突出部5a上に固定されている。また、旋回スクロール部材3と圧縮機フレーム5それぞれの間には、旋回スクロール部材3の偏心旋回運動を支持する偏心スラスト軸受6が配設されている。
【0029】なお、ここで、旋回スクロール部材3は、旋回部材となり、圧縮機フレーム5は、固定部材となるが、固定部材は、圧縮機フレーム5だけに限定されて解釈されるものではなく、圧縮機フレーム5と固定スクロール部材4とが一体化されて、全体が固定スクロール部材4と称される場合には、固定スクロール部材4も含めて固定部材といっても構わない。
【0030】偏心スラスト軸受6は、部材側レース7,8と、第1、第2のころユニット9,10と、中間レース11とを有している。
【0031】両部材側レース7,8は、共に環状であり、旋回スクロール部材3と圧縮機フレーム5それぞれの内面のレース装着部3b、5bに装着されている。
【0032】両ころユニット9,10は、旋回スクロール部材3と圧縮機フレーム5それぞれの内面間において旋回スクロール部材3の旋回軸と同一方向に沿って隣り合わせに配設されている。
【0033】中間レース11は、各ころユニット9,10間に挟まれて配設されている。
【0034】第1のころユニット9は、環状の保持器12と、この保持器12に保持される複数のころからなるころ群13とを有している。
【0035】第2のころユニット10も、環状の保持器14と、この保持器14に保持される複数のころからなるころ群15とを有している。
【0036】これら部材側レース7,8、中間レース11、保持器12,14は、いずれも、例えば鋼板素材からプレス加工により成形された環状の薄板部材で構成されている。
【0037】両部材側レース7,8は、それぞれ、外周側と内周側それぞれの端縁にころ脱落防止フランジ16,17を有している。
【0038】第1のころユニット9における保持器12は、当該保持器中央を座標原点とする軸方向に対し直交するxy二次元座標平面内においてころ群13の転動方位を例えばx軸方向とする矩形形状のころ収容ポケット18が、複数、形成されている。
【0039】第2のころユニット10における保持器14は、当該保持器中央を座標原点とする軸方向に対し直交するxy二次元座標平面内においてころ群15の転動方位を、ころ群13の転動方位と直交する方位例えばy軸方向とする矩形形状のころ収容ポケット19が、複数、形成されている。
【0040】したがって、第1のころユニット9の保持器12の各ポケット18それぞれに保持されるころ群13は、x軸方向に転動するが、y軸方向には転動しない。
【0041】また、第2のころユニット10の保持器14の各ポケット19それぞれに保持されるころ群15は、y軸方向に転動するが、x軸方向には転動しない。
【0042】このような第1、第2のころユニット9,10それぞれのころ群13,15は、旋回スクロール部材3の旋回平面において転動方位が、互いに異なる、つまり、実施の形態では互いに直交し、それぞれの転動方位に沿ってほぼ直線的に転動する形態で配列されていることになる。
【0043】上記構造の偏心スラスト軸受6の動作を説明する。
【0044】旋回スクロール部材3の旋回運動は、x軸方向の偏心移動とy軸方向の偏心移動とを合成した移動形態で表される。
【0045】そして、旋回スクロール部材3のx軸方向の偏心移動によって、第1のころユニット9におけるころ群13はx軸方向に転動する。
【0046】一方、旋回スクロール部材3のy軸方向の偏心移動によってころ群13は転動しないのでころ群13と中間レース11との接触面に摩擦が作用し、これによって中間レース11はy軸方向に偏心移動させられる。これに伴って、第2のころユニット10におけるころ群15は、y軸方向に転動する。
【0047】その結果、第1、第2のころユニット9,10それぞれのころ群13、15はそれぞれ、旋回スクロール部材3の偏心旋回運動によって、x軸方向とy軸方向とに転動する結果、旋回スクロール部材3を支持することができる。
【0048】ところで、上記第1、第2のころユニット9,10においては、保持器12,14それぞれのポケット18,19に対してころ群13,15を若干、隙間を介して収容しているので、ころ群13,15は、それぞれ、ポケット18,19それぞれ内において、若干の傾きが許容されている。
【0049】それゆえ、第1、第2のころユニット9,10それぞれのころ群13,15は、上述したように、x軸、y軸方向に沿って転動する他に、旋回スクロール部材3がx軸、y軸方向に対して若干傾いて偏心移動するときに、ころ群13,15それぞれが若干傾いた姿勢となって、転動することになる。
【0050】そのため、旋回スクロール部材3がx軸方向からy軸方向へ、またy軸方向からx軸方向へ偏心移動する過程でも、第1、第2のころユニット9,10が、転がり案内して旋回スクロール部材3の偏心移動をサポートすることになるので、旋回スクロール部材3の動きが、円滑になる。
【0051】以上の実施の形態の偏心スラスト軸受6の場合、転動体がころであり、ボールのような転動体ではないので、旋回スクロール部材3とは線接触となり、従来よりも負荷容量を増大させられる。
【0052】また、実施の形態の偏心スラスト軸受6の場合、転動体がころであるのでボールのような転動体と比較して、負荷を受ける面積が一点に集中せず線上に集中するものとなるから、転動体の転動によるレースの摩耗、焼き付けを大幅に軽減させられる結果、耐久性が向上して構造的に信頼性ある軸受となる。
【0053】さらに、実施の形態の偏心スラスト軸受6と従来の偏心スラスト軸受それぞれにおけるころユニットに保持できる転動体の個数について比較する。
【0054】従来の偏心スラスト軸受の場合、転動体はレースの軌道溝内に配備する必要があり、また、この軌道溝の溝径は転動体の外径の数倍の大きさとなり、かつ、隣り合う軌道溝どうしは互いに離隔して形成する必要があることから、レースの円周上における軌道溝の形成個数も、レースの大きさの割りには限定された少数となる。したがって、転動体の個数も、保持器の面積とは無関係に、レースの軌道溝の個数に対応した個数に限定されてしまう結果、少ないものとなる。
【0055】これに対し、実施の形態の偏心スラスト軸受6の場合、部材側レース7,8の円周上に上記軌道溝を形成する必要がなく、部材側レース7,8のすべての面上でころ群13,15それぞれと接触させてよいので、各保持器12,14それぞれにはその面積が許す限りころ収容ポケット18,19を形成して対応するころ群13,15を保持させることができるから、ころの数を大幅に増加させることができる。これによって、実施の形態の偏心スラスト軸受6では、ころを従来より大幅に増加配備できるので負荷容量を増大させることができる。
【0056】なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく種々の変形ないしは応用が可能であり、本発明はこのような変形ないしは応用も含む。
【0057】(1)、まず、旋回スクロール部材3のスラスト荷重を受ける場合、旋回スクロール部材3の旋回運動の全方位において転動するボールを備えた従来の偏心スラスト軸受で受ける場合、滑りが無い分、ボールと旋回スクロール部材(部材側レース)との間の摩擦、摩耗が少なくて済み、好ましいが上述した課題がある。
【0058】そして、上述した実施の形態1の偏心スラスト軸受6のように、x軸とy軸の2軸方位において転動するころ群13,15を備えた軸受の場合、ころ群13,15そのものは、旋回スクロール部材3の旋回運動の全方位において転動しないが、旋回運動の方向成分を前記x軸とy軸との2軸に分け、x軸方向については第1のころユニット9におけるころ群13が転動し、y軸方向については第2のころユニット10におけるころ群15が転動し、この際、第1のころ群13はy軸方向に、ころ群15はx軸方向にそれぞれ転動しないが、滑りを伴うものではない。これは、ころ群13が滑ろうとするところ群15が転動し、ころ群15が滑ろうとするところ群13が転動するからである。
【0059】しかしながら、これは上述したようにころ群13,15と中間レース11との間の摩擦作用で滑りを防止しているから、摩擦作用が小さいと、多少の滑りを伴う。
【0060】そこで、この滑りを軽減して旋回スクロール部材3の偏心旋回運動をより円滑にするために、ころユニットを、第1、第2のころユニット9,10からなる2組構成ではなく、3組以上の構成としても構わない。
【0061】例えば図5および図6で示すように、ころユニットを第1、第2および第3のころユニット9,10,20の3組構成とし、各ころユニット9,10,20間に2つの中間レース11a,11bを挟んで構成しても構わない。
【0062】ここで図5は、本発明の実施の形態2に係る偏心スラスト軸受を備えたスクロール圧縮機の断面図であり、図6は、図5で示される偏心スラスト軸受において各ころユニットそれぞれの保持器の平面図である。
【0063】一方の中間レース11aは、第1、第3のころユニット9,20間に挟まれ、他方の中間レース11bは、第3、第2のころユニット20,10間に挟まれている。
【0064】第3のころユニット20は、保持器21と、これに保持されるころ群22とを備えている。保持器21は、当該保持器中央を座標原点とする軸方向に対し直交するxy二次元座標平面内においてころ群22の転動方位を例えばx軸方向とy軸方向の中間方向(45度方向)とする矩形形状のころ収容ポケット23が、複数、形成されている。
【0065】この場合、第3のころユニット23の保持器21におけるころ収容ポケット23の形成は、図6(a)では、ころ群22の転動方位が左上がり45度方向(上記座標系の第2、第4象限内)となり、図6(b)では、ころ群22の転動方位が右上がり45度方向(上記座標系の第1、第3象限内)となる。
【0066】第1のころユニット9におけるころ群13の転動方位は、x軸方向であり、第2のころユニット10におけるころ群15の転動方位はy軸方向であり、第3のころユニット20におけるころ群22の転動方位はx軸方向とy軸方向との中間方位(原点から見込む角度がx軸方向から45度方向)である。
【0067】このような中間方位に転動するころ群22を備えた第3のころユニット20を具備すると、旋回スクロール部材3の旋回運動の方向成分はx軸方向、y軸方向、中間方向の3軸に分けられ、各ころ群13,15,22の滑りが軽減される。
【0068】(2)、前記(1)では、ころユニットが3組であったが、図7および図8で示すように、4組であっても構わない。ここで、図7は、本発明の実施の形態3に係る偏心スラスト軸受を備えたスクロール圧縮機の断面図であり、図8(A)〜(D)は、図7で示される偏心スラスト軸受において各ころユニットそれぞれの保持器の平面図である。
【0069】ころユニットが実施の形態2のようにころユニット9,10,20の3組構成の場合では、xy直交二次元座標系を(a)x軸方向、y軸方向および第1、第3象限内の45度方向か、(b)x軸方向、y軸方向および第2、第4象限内の45度方向かに限定されているので、方位的には(a)の場合では第2、第4象限内の方向、(b)の場合では第1、第3象限内の方向が欠落しており、多少の滑りが依然として伴う。
【0070】そこで、ころユニットを実施の形態3のように第1ないし第3のころユニット9,10,20に加えて,第4のころユニット24の4組構成とした場合では、x軸方向、y軸方向、第1、第3象限内の45度方向および第2、第4象限内の45度方向がすべてカバーされることとなり、滑りが大幅に軽減されて好ましい。なお、25は第4のころユニット24の保持器であり、26はこの保持器25に保持されるころ群であり、27は、保持器25に形成されているころ収容ポケットである。
【0071】つまり、第1のころユニット9、第3のころユニット20、第2のころユニット10、第4のころユニット24をこの順序で配設する。そして、第1のころユニット9はx軸方向、第3のころユニット20は右上がり45度方向、第2のころユニット10はy軸方向、第4のころユニット24は左上がり45度方向にそれぞれころが転動する。
【0072】(3)、上述の各実施の形態1,2,3の偏心スラスト軸受は部材側レース7,8を備えているが、この部材側レース7,8を省略してもより簡易かつ安価な構造にしても構わない。例えば図9で示すように、旋回スクロール部材3と圧縮機フレーム5それぞれの内面をレース構造28,29にしても構わない。ここで、図9は、本発明の実施の形態4に係る偏心スラスト軸受を備えたスクロール圧縮機の断面図である。
【0073】なお、図9に示されるころユニットを実施の形態2あるいは実施の形態3のように3つ以上の複数とし、これら各ころユニット間に中間レースが挟まれるようにしても構わない。
【0074】(4)なお、上述の中間レースに対し径方向への移動規制を積極的にしても構わない。
【0075】まず、この移動規制について図10を参照して説明する。図10は、図1に対応するものであり、中間レースの径方向への移動規制の説明に供する偏心スラスト軸受の要部拡大断面図である。図10において、3dは、旋回スクロール部材3の中央下部の筒部3cの外周面に形成された環状の規制ガイドである。この規制ガイド3dを中間レース11に対し径方向に対向させる。これによって、中間レース11の径方向への所要量以上の移動が規制される。
【0076】また、他の移動規制について図11および図12を参照して説明する。図11は、図1に対応するものであり、中間レースの径方向への移動規制の説明に供する偏心スラスト軸受の要部拡大断面図、図12は、図11の中間レース11と部材側レース8との平面図である。図11および図12において、8aは、部材側レース8に形成された軸方向の規制ピンであり、11aは、中間レース11に形成した円形の貫通孔11aである。この規制ピン8aを貫通孔11aに挿入する。これによって中間レース11の径方向への所要量以上の移動が規制される。なお、この場合、保持器14には前記規制ピン8aが挿入される不図示の貫通孔が形成されている。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、旋回部材と固定部材それぞれの内面間において前記旋回部材の旋回軸と同一方向に沿って隣り合わせに複数のころユニットを配設し、各ころユニット間に中間レースを介装し、各ころユニットそれぞれのころ群は、旋回部材の旋回平面において互いに異なる複数の方位に沿ってほぼ直線的に転動する形態で配列したから、偏心スラスト軸受の全体サイズが大型重量化することなく、また、旋回スクロール部材を駆動するモータの駆動負荷の増大につながることなく、負荷容量の要求に併せて転動体の配備個数を増加させることができる。
【0078】また、本発明によれば、転動体としてころを使用するので、転動体がボールの場合とくらべて、旋回部材との間での接触面積が大きくなり、大きな負荷容量が要求される旋回部材の支持用の軸受として適したものとなるるさらに、本発明によれば、転動体がころであるので、ボールとは異なり荷重集中が緩和される結果、旋回部材とか固定部材、レースとの間で互いに摩耗、焼き付けが起こりにくくなり耐久性が向上し、もって、長期短期を問わず、構造上の信頼性を備えたものとなる。
【0079】なお、上記本発明において、ころユニットを、第1および第2のころユニットの2組構成とし、第1および第2のころユニットそれぞれのころ群の転動方位を、互いに直交する形態とすると、最小数のころユニットにて、つまり製作コストが安価に済みかつサイズも大型化することのない形態でもって最も有効に前記作用効果を発揮しつつ旋回部材を支持することができる。
【0080】なお、上記本発明において、ころユニットを、第1、第2および第3のころユニットの少なくとも3組構成とし、第1および第2のころユニットそれぞれのころ群の転動方位を互いに直交するような形態で配列するとともに、第3のころユニットのころ群の転動方位を前記第1および第2のころユニットそれぞれのころ群の転動方位の中間となるような形態で配列すると、各ころユニットにおけるころ群の滑りを軽減できて好ましい。
【0081】なお、上記本発明において、旋回部材の内面をレースとすると、通常のレースを装着する場合よりも構造が簡易となり製作コストが安価に済む。
【出願人】 【識別番号】000001247
【氏名又は名称】光洋精工株式会社
【出願日】 平成11年9月7日(1999.9.7)
【代理人】 【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
【公開番号】 特開2001−73968(P2001−73968A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−252934