| 【発明の名称】 |
スクロール型圧縮機 |
| 【発明者】 |
【氏名】北野 教夫
【氏名】斉藤 暁
【氏名】大武 真一
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| 【要約】 |
【課題】性能低下や耐久性低下をなどの問題を起こすことなく回転阻止機構の不具合の発生を減じた。
【解決手段】ボール転走溝91a,92aを有する対向した対のプレート91,92aとこれらのプレートの間に介在したボール93とを含むボールカップリングを可動スクロール2の自転阻止機構として用いる。可動スクロールの旋回半径を可変させる偏心ブッシュ11の偏心ピン16を中心としたスイング角を、ボール転走溝の径に合わせて規制した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボール転走溝を有する対向した対のプレートとこれらのプレートの間に介在したボールとを含むボールカップリングを可動スクロールの自転阻止機構として用いたスクロール型圧縮機において、前記可動スクロールの旋回半径を可変させる従動クランク機構のスイング角を、前記ボール転走溝の径に合わせて規制したことを特徴とするスクロール型圧縮機。 【請求項2】 前記対のプレートの各々は一面に前記ボール転走溝を有するように一体成形されたものである請求項1記載のスクロール型圧縮機。 【請求項3】 前記スイング角は、スイングの中央から片側0.5°〜1.5°の範囲内に管理されている請求項1又は2記載のスクロール型圧縮機。 【請求項4】 軸方向で互いに対向し両者間に圧縮空間を形成する固定スクロール及び可動スクロールと、前記可動スクロールの自転を阻止する自転阻止機構と、前記可動スクロールを公転させて前記圧縮空間の移動を起こす駆動機構とを含み、前記自転阻止機構は、ボール転走溝を有する軸方向で対向した対のプレートとこれらのプレートの間に介在したボールとを含むボールカップリングであり、前記対のプレートの一方はフロントハウジングに対し固定され、他方は前記可動スクロールに対し固定されており、前記駆動機構は、回転駆動される主軸と、前記主軸に偏心して設けたクランクピンと、前記クランクピンにスイング可能に嵌合しかつ前記可動スクロールに回動可能に保持された従動クランク機構とを含み、前記従動クランク機構のスイング角を前記ボール転走溝の径に合わせて規制し、運転時に前記ボールが前記ボール転走溝から離脱しないようにしたことを特徴とするスクロール型圧縮機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール型圧縮機に関し、特にそれの従動クランク機構に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、スクロール型圧縮機は、軸方向で互いに対向し両者間に圧縮空間を形成する固定スクロール及び可動スクロールと、可動スクロールの自転を阻止する自転阻止機構と、可動スクロールを公転させて圧縮空間の移動を起こす駆動機構とを含んでいる。自転阻止機構には、ボール転走溝を有する軸方向で対向した対のプレートとこれらのプレートの間に介在したボールとを含むボールカップリングで用いられることがある。その場合、前記対のプレートの一方はフロントハウジングに対し固定され、他方は可動スクロールに対し固定される。駆動機構は、回転駆動される主軸と、この主軸に偏心して設けたクランクピンと、このクランクピンにスイング可能に嵌合しかつ可動スクロールに回動可能に保持された従動クランク機構とを含んでいる。この駆動機構によると、従動クランク機構がクランクピンに対しスイング可能であるため可動スクロールの旋回半径は可変である。このようなスクロール型圧縮機は、例えば、特公平1−52592号公報等に記載されている。 【0003】また最近では、対のプレートの各々として、板材の一面にボール転走溝を有するように一体成形されたものが使用されることがある。そのプレートを、以下では、「一体成形プレート」と呼ぶ。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来、従動クランク機構のスイング角は、自転阻止機構のプレートの構造とは無関係に比較的大きく設計されているので、一体成形プレートを回転阻止機構に適用すると、特に高回転でのクラッチON時において、スイング量が大きい場合には、プレートの中央突起にボールが乗り上げてプレートやボールに剥離などが発生し易くなるなどの問題が発生する。このように、従動クランク機構のスイング角が大き過ぎると、回転阻止機構に不具合が起こりやすい。 【0005】また、従動クランク機構のスイング量の規制が小さ過ぎる場合には、性能低下の発生や液圧縮・異物噛み込みへの耐久性低下などの問題が生じる。 【0006】それ故に本発明の課題は、性能低下や耐久性低下をなどの問題を起こすことなく回転阻止機構の不具合の発生を減じたスクロール型圧縮機を提供することにある。 【0007】本発明の他の課題は、回転阻止機構への一体成形プレートの使用を容易にしたスクロール型圧縮機を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、ボール転走溝を有する対向した対のプレートとこれらのプレートの間に介在したボールとを含むボールカップリングを可動スクロールの自転阻止機構として用いたスクロール型圧縮機において、前記可動スクロールの旋回半径を可変させる従動クランク機構のスイング角を、前記ボール転走溝の径に合わせて規制したことを特徴とするスクロール型圧縮機が得られる。 【0009】前記対のプレートの各々は一面に前記ボール転走溝を有するように一体成形されたものであってもよい。 【0010】前記スイング角は、スイングの中央から片側0.5°〜1.5°の範囲内に管理されていてもよい。 【0011】また本発明によれば、軸方向で互いに対向し両者間に圧縮空間を形成する固定スクロール及び可動スクロールと、前記可動スクロールの自転を阻止する自転阻止機構と、前記可動スクロールを公転させて前記圧縮空間の移動を起こす駆動機構とを含み、前記自転阻止機構は、ボール転走溝を有する軸方向で対向した対のプレートとこれらのプレートの間に介在したボールとを含むボールカップリングであり、前記対のプレートの一方はフロントハウジングに対し固定され、他方は前記可動スクロールに対し固定されており、前記駆動機構は、回転駆動される主軸と、前記主軸に偏心して設けたクランクピンと、前記クランクピンにスイング可能に嵌合しかつ前記可動スクロールに回動可能に保持された従動クランク機構とを含み、前記従動クランク機構のスイング角を前記ボール転走溝の径に合わせて規制し、運転時に前記ボールが前記ボール転走溝から離脱しないようにしたことを特徴とするスクロール型圧縮機が得られる。 【0012】 【発明の実施の形態】図1を参照して、本発明の実施の形態に係るスクロール型圧縮機を説明する。 【0013】図示のスクロール型圧縮機は車両用空調装置に使用するのに適したものであり、固定スクロール1と、これと対になった可動スクロール2と、これらを内包したケーシング3と、このケーシング3の開放端に固定されここを閉塞したフロントハウジング4とを含んでいる。固定スクロール1は、固定うず巻体1aと、これの軸方向一端に一体に固定された固定端板1bとを含んでいる。可動スクロール2は、可動うず巻体2aと、これの軸方向一端に一体に固定された可動端板2bとを含んでいる。固定うず巻体1aと可動うず巻体2aが互いにかみ合った状態で固定端板1bと可動端板2bが互いに軸方向で対向し、これらの間に冷媒等の流体を圧縮しつつ移送するための幾つかの圧縮空間5を形成している。 【0014】固定端板1bはケーシング3に固定され、ケーシング3との間に吐出室7を形成している。固定端板1bには、圧縮空間5で圧縮された流体を吐出室7に吐出させる吐出口8が形成されている。 【0015】可動端板2bとフロントハウジング4との間には、可動スクロール2の自転を阻止するが公転は許すための自転阻止機構9が備えられている。この自転阻止機構9については、後文にて詳述する。 【0016】さらに可動端板2bの可動うず巻体2aとは反対側の面には環状突部2cが一体に形成されている。環状突部2cの内側には偏心ブッシュ11がドライブベアリング12を介して回転可能に配置されている。 【0017】フロントハウジング4の中央には大径部13aをもつ主軸即ちシャフト13が貫通している。シャフト13はシャフトベアリング14で支持され、さらにその大径部13aをメインベアリング15で支持されている。シャフト13の大径部13aは、従動クランク機構即ち偏心ブッシュ11に係合したクランクピン即ち偏心ピン16を備えている。この結果、偏心ブッシュ11は偏心ピン16を中心としてスイング可能であり、これにより可動スクロール2の旋回半径を可変にしている。なお、偏心ブッシュ11には、可動スクロール2の動作時の遠心力に対抗するカウンターウエイト17が備えられている。 【0018】フロントハウジング4の円筒部4aの外側にはラジアルベアリング19を介してロータ21が回転自在に支持されている。ロータ21は、例えば、自動車のエンジンにて回転駆動される。ロータ21は、電磁クラッチ22を介してシャフト13に接続されている。したがって、電磁クラッチ22がオンのときにはシャフト13はロータ21と一体になって回転するが、電磁クラッチ22が切断されるとシャフト13はロータ21から切り離される。 【0019】シャフト13が回転すると、偏心ピン16及び偏心ブッシュ11及び自転阻止機構9の作用により、可動スクロール2が円軌道上で公転する。このとき、可動スクロール2の自転は自転阻止機構9により阻止される。結果として、圧縮空間5が流体を圧縮しつつ中央へ移送され、流体を吐出口8を通して吐出室7へ吐出させる。吐出室7の流体は吐出ポートから冷凍回路に流出し、また吸入ポートからケーシング3内の吸入空間に戻り、圧縮空間5に取り込まれる。 【0020】次に、図2をも参照して、自転阻止機構9について説明する。 【0021】この自転阻止機構9は、ボールカップリングと一般に呼ばれるものであり、図2(a)に示すように、リング板状に一体成形され軸方向で互いに対向したバネ性を有する対のボール転走溝プレート91,92と、これらのボール転走溝プレート91,92間に介在した複数の金属製ボール93とを有している。一方のボール転走溝プレート91は可動スクロール2に固定されている。他方のボール転走溝プレート92はフロントハウジング4に固定されている。ボール転走溝プレート91,92の各々は多数のボール転走溝91a,92aを周方向に配設したものである。ボール転走溝91a,92aの各々は円環状に形成されたものである。 【0022】図2(b)から分かるように、一方のボール転走溝プレート91にはボール転走溝91aの中央に中央突起91bが残されている。同様な構造は、他方のボール転走溝プレート92にも備えられている。ボール転走溝91a,92aの転走溝径D1は可動スクロール2の旋回半径に対応している。ボール93は対のボール転走溝プレート91,92のボール転走溝91a,92a間に挟まれ、圧縮機の運転時にボール転走溝91a,92aに沿って転動する。この自転阻止機構9は、部品点数が少ないというメリットをもつ一方、ボール93の挙動が安定し難いという問題がある。 【0023】そこで、可動スクロール2の旋回半径を可変させる偏心ブッシュ11のスイング角を、ボール転走溝91a,92aの径に合わせて規制するスイング角規制構造を備えた。 【0024】図3を参照して、スイング角規制構造を説明する。 【0025】シャフト13の大径部13aの軸端面に規制穴13bを形成する。一方、カウンターウエイト17の軸端面には、規制穴13bに遊嵌される規制突起17aを突設する。スクロール型圧縮機を組み立てたときには、規制突起17aが規制穴13bに挿入される。このとき、図4に示すように、規制突起17aが規制穴13b内でスイング中心,即ち、偏心ピン16に関してスイングの中央Cから片側に所定角度θの範囲でスイング可能であるように、規制突起17a及び規制穴13aの寸法や位置を設計する。この例では、θを0.5°〜1.5°の範囲に定める。こうして偏心ブッシュ11のスイング角を設定する。 【0026】図5(a)は、定常回転状態を示す。この状態での旋回半径Rcは固定うず巻体と可動うず巻体とで決まる基準旋回半径にほぼ等しくなる。この時の規制突起17aの中心からみたスイング角をθ0とする。 【0027】図5(b)は、旋回半径が拡大した状態を示す。この状態での旋回半径Rc1は基準旋回半径よりも大きくなる。この時の規制突起17aの中心からみたスイング角をθ1とすると、θ1>θ0となる。 【0028】図5(c)は、旋回半径が縮小した状態を示す。この状態での旋回半径Rc2は基準旋回半径よりも小さくなる。この時の規制突起17aの中心からみたスイング角をθ2とすると、θ2<θ0となる。 【0029】なお、シャフト側に規制突起を設け、偏心ブッシュ側にそれを遊嵌する規制穴を設けてもよい。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によるスクロール型圧縮機によれば、適切にスイング量が管理されることにより、性能や耐久性の低下を回避しつつ、高回転での起動時や液圧縮時のように可動スクロール旋回半径が小さくなろうとするときに発生するプレートへのボール乗り上げを防止できる。したがって、性能低下や耐久性低下をなどの問題を起こすことなく回転阻止機構の不具合の発生を減じることができる。また、回転阻止機構への一体成形プレートの使用も容易である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001845 【氏名又は名称】サンデン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月29日(2000.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071272 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 洋介 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−73965(P2001−73965A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−196821(P2000−196821) |
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