| 【発明の名称】 |
ギヤポンプ |
| 【発明者】 |
【氏名】鎌本 繁夫
【氏名】山田 渉
【氏名】山崎 学泰
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| 【要約】 |
【課題】ギヤポンプの対をなすギヤが噛み合う際に生じる閉じ込み領域内に作動流体が閉じ込められる閉じ込み現象は、騒音や振動の原因となっている。
【解決手段】本ギヤポンプでは、ハウジング1の空洞に一対のサイドプレート12を嵌め込み、その間に区画するギヤ室14内に一対のギヤ3,4を支持する。サイドプレート12のギヤ側側面12に一対の逃げ溝25,26を形成した。高圧側逃げ溝26は、ギヤの噛み合いに伴い、閉じ込み領域50内の容積が最少となる位置で、閉じ込み領域50と吐出室6との連通を遮断するような位置とした。低圧側逃げ溝25は、閉じ込み領域50内が両逃げ溝との連通を遮断されて、内部容積が広がり、閉じ込み領域50内の圧力が吸込室5内の圧力とほぼ等しくなるようにして、閉じ込み領域50を吸込室5へ解放させる位置とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】一対のギヤの噛み合い部分に発生する閉じ込み領域を吐出側領域に連通させる高圧側逃げ溝と、閉じ込み領域を吸込側領域に連通させる低圧側逃げ溝とを、一対のギヤに接するサイドプレートの側面に備え、ギヤの回転に伴って、閉じ込み領域が高圧側逃げ溝に連通する第1の状態、閉じ込み領域が高圧側逃げ溝および低圧側逃げ溝に対して遮断される第2の状態、および閉じ込み領域が低圧側逃げ溝に連通する第3の状態に順次に切り替わるギヤポンプにおいて、上記低圧側逃げ溝は、上記第2の状態においてギヤの回転に伴って変化する閉じ込み領域の圧力が吸込側領域の圧力にほぼ一致するときに、上記第3の状態に切り換えるべく閉じ込み領域を吸込側領域に連通し始めることのできる位置に設けられていることを特徴とするギヤポンプ。 【請求項2】請求項1に記載のギヤポンプにおいて、上記高圧側逃げ溝は、上記第1の状態においてギヤの回転に伴って変化する閉じ込み領域の容積が最小になるときに、上記第2の状態に切り換えるべく閉じ込み領域と吐出側領域との連通を遮断することのできる位置に設けられていることを特徴とするギヤポンプ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、互いに噛み合う一対のギヤの回転によりポンプ作用をなすギヤポンプに関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来より、ギヤポンプは、簡単な構造を有する小型軽量のポンプとして種々の産業分野に用いられている。この種のギヤポンプの構造としては、ハウジング内部の空洞に一対のサイドプレートを嵌め合わせてギヤ室を区画し、このギヤ室の内部に互いに噛み合う一対のギヤを収容して、各ギヤの支軸を各サイドプレートに形成した支持孔によって嵌合支持すると共に、ギヤ室の内部に両ギヤの噛み合い位置を挟んで作動流体の吸込室および吐出室を形成したタイプのものが一般的である。 【0003】ところで、ギヤポンプのギヤの噛み合い部分では、各サイドプレートおよび噛合する各ギヤ歯で形成される閉じ込み領域に油が閉じ込められる、いわゆる閉じ込み現象を生じて、閉じ込められた油がギヤの回転に伴って圧縮されるときに、非常な高圧が生じる結果、振動や騒音が発生するという問題がある。この問題に対して、ギヤの噛み合い部分の近傍におけるサイドプレートに、閉じ込み領域に閉じ込められた油を逃がすための逃げ溝を形成する方法がある。逃げ溝は、ギヤの噛み合い部分の近傍から吐出室に向けて延びる高圧側逃げ溝と、ギヤの噛み合い部分の近傍から吸込室に向けて延びる低圧側逃げ溝との一対で設けられる。これら一対の逃げ溝は、ギヤの噛み合い部分の近傍で閉じ込み領域に連通している。高圧側逃げ溝は、閉じ込み領域に閉じ込められる油を吐出室へ逃がし、低圧側逃げ溝は、閉じ込み領域に閉じ込められる油を吸込室へ逃がす。何れか一方の逃げ溝が常に閉じ込み領域に連通するように、両逃げ溝を設けることにより、閉じ込み現象を防止するようにしている。 【0004】一方で、ギヤポンプの機能を果たすため、吸込室と吐出室との連通を防止すべく、これら一対の逃げ溝は、直接に連通することや、同時に共通の閉じ込み領域に連通することも回避する必要がある。このため、ギヤの回転に伴って噛み合いが進行すると、先ず、閉じ込み領域は高圧側逃げ溝と連通し、その後、高圧側逃げ溝から遮断されるのとほぼ同時に低圧側逃げ溝と連通を開始するようにされていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このような逃げ溝では、閉じ込み領域は、高圧側逃げ溝と連通する状態で吐出室と同じ高圧になっている。そして、連通する逃げ溝が切り替わると、吐出室と同じ高圧の閉じ込み領域が、低圧側逃げ溝を通じて低圧の吸込室に連通する。その結果、高圧の油が低圧の吸込室に開放されるので、衝撃的な騒音や振動が生じる場合がある。 【0006】そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、ギヤポンプの閉じ込み現象に起因した振動や騒音を確実に防止できるギヤポンプを提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段および発明の効果】請求項1に記載の発明は、一対のギヤの噛み合い部分に発生する閉じ込み領域を吐出側領域に連通させる高圧側逃げ溝と、閉じ込み領域を吸込側領域に連通させる低圧側逃げ溝とを、一対のギヤに接するサイドプレートの側面に備え、ギヤの回転に伴って、閉じ込み領域が高圧側逃げ溝に連通する第1の状態、閉じ込み領域が高圧側逃げ溝および低圧側逃げ溝に対して遮断される第2の状態、および閉じ込み領域が低圧側逃げ溝に連通する第3の状態に順次に切り替わるギヤポンプにおいて、低圧側逃げ溝は、上記第2の状態においてギヤの回転に伴って変化する閉じ込み領域の圧力が吸込側領域の圧力にほぼ一致するときに、上記第3の状態に切り換えるべく閉じ込み領域を吸込側領域に連通し始めることのできる位置に設けられていることを特徴とするギヤポンプを提供する。 【0008】この発明によれば、第2の状態でギヤの回転に伴って、閉じ込み領域の内部容積が次第に膨張し、内部の作動流体の圧力が低下して、吸込側領域の圧力にほぼ一致したときに、第3の状態に切り換えて、吸込側領域に解放させることになる。従って、解放時に、衝撃が生じず、騒音や振動を防止できる。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のギヤポンプにおいて、上記高圧側逃げ溝は、上記第1の状態においてギヤの回転に伴って変化する閉じ込み領域の容積が最小になるときに、上記第2の状態に切り換えるべく閉じ込み領域と吐出側領域との連通を遮断することのできる位置に設けられていることを特徴とするギヤポンプを提供する。 【0009】本発明によれば、閉じ込み領域が最少容積のときに、第1の状態から第2の状態に切り替わるので、第2の状態での閉じ込み領域の内部容積の増大量を大きくできる結果、第2の状態での圧力の低下量を大きく確保できる。従って、低圧側逃げ溝と連通するときの閉じ込み領域内の圧力を十分に低下させて、吸込室の圧力に確実に近づけることができるので、騒音や振動を確実に防止できる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかるギヤポンプの概略構成を示す正面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面側面図であり、ハッチングを省略してある。本ギヤポンプは、その中央部を貫通する長円形断面の空洞10aを有する本体筒10の両側を、これの全面を覆う態様にねじ止めされた一対の蓋板11により塞いで構成されたハウジング1を備えている。このハウジング1の内部には、空洞10aの両側から嵌挿された、例えば、アルミニウム合金製の一対のサイドプレート12同士の間にギヤ室14が区画されている。このギヤ室14内には、互いに対をなす駆動ギヤ3と従動ギヤ4とが配置されている。 【0011】ハウジング1の空洞10aは、蓋板11と本体筒10との間に介在しているOリング19により密封され、このOリング19は蓋板11の環状溝に収容されている。また、空洞10a内において、対向するサイドプレート12と蓋板11との間には、サイドプレート12の収容溝に収容されたシール13が設けられている。駆動ギヤ3および従動ギヤ4の支軸30,40は、長円形断面を有するギヤ室14の両側の半円部の軸心上にそれぞれ位置し、互いに平行をなして架設されている。すなわち、支軸30,40は各サイドプレート12にそれぞれ一対形成された支持孔31,41により両持ち支持されている。 【0012】支軸30は、一対の支持孔31により支持され、一方の蓋板11を貫通して外部に延長され、この延長端に伝達される図示しないモータ等の動力源からの駆動力により回転駆動される駆動軸を構成している。また、支軸30には、ギヤ室14の内部において駆動ギヤ3が一体回転可能に装着されている。支軸30が蓋板11を貫通する部分にはオイルシール17が配置されている。また、支軸40は、一対の支持孔41によって支持され、各サイドプレート12の支持孔41内に軸端を有する従動軸を構成している。支軸40には、ギヤ室14の内部において従動ギヤ4が装着されている。従動ギヤ4の支軸40への装着では、軸回りの回転を拘束してもよいし軸回りの回転を許容してもよい。従動ギヤ4は、両支軸30,40の軸心を含む平面近傍範囲内において駆動ギヤ3と噛み合い、支軸30により駆動される駆動ギヤ3の回転に伴って、支軸40と共に(或いは支軸40の回転を伴わずに)従動回転するようにしてある。 【0013】図2には、駆動ギヤ3およびこれに連動する従動ギヤ4の回転方向が矢符により示してあり、両ギヤ3,4の噛み合い位置を挟んだ両側には、回転方向側に吸込室5が、反回転方向側に吐出室6が形成されている。これら吸込室5および吐出室6は、本体筒10の対応位置に開口する吸込口15および吐出口16を介して、ハウジング1外の図示しない吸込先および吐出先にそれぞれ接続されるようにしてある。 【0014】図3において、サイドプレート12のギヤ側側面12aには、両ギヤ3,4の噛み合い位置から吸込室5側へ延びる逃げ溝25および吐出室6側へ延びる逃げ溝26が形成されている。これらの逃げ溝25,26は、両ギヤ3,4の噛み合い位置で作動流体が各サイドプレート12と各噛み合いギヤ歯とで形成される閉じ込み領域に閉じ込められる、いわゆる閉じ込みの発生を防止するためのものである。両逃げ溝25,26は、両ギヤ3,4の噛み合い中心位置を避けるようにして設けられ、互いの間に所定の距離が確保されている。これは両逃げ溝25,26を連通させてしまうと、吸込室5と吐出室6とが連通されて、ポンプ機能を果たせなくなるので、これを防止するためである。また、ギヤ側側面12aには、各支持孔31,41と吸込室5とをそれぞれ連通する連通溝65が形成されている。 【0015】一方、図1を参照して、サイドプレート12の反ギヤ側側面12bでは、シール13を境界として、互いに対向するサイドプレート12と蓋板11との間の空間が、吸込室5に連通する低圧側空間と、吐出室6と連通する高圧側空間とに仕切られている。このように、サイドプレート12の背面である反ギヤ側側面12bには、シール13で仕切られた状態で、低圧の作動流体および高圧の作動流体が背圧として作用し、これが、サイドプレート12に吐出圧に応じて負荷されるので、サイドプレート12と両ギヤ3,4との間の隙間が高精度で維持される結果、高圧時のポンプ効率を高く維持できる。 【0016】このような構成により、吸込口15を経て吸込室5に導入される作動流体は、吸込室5に臨む駆動ギヤ3および従動ギヤ4の歯間に受け入れられ、両ギヤ3,4の回転により、それぞれの歯間と本体筒10の内周面との間に封止された状態で搬送され、吐出室6に送り出される。吐出室6への送り出しを終えた駆動ギヤ3と従動ギヤ4とは、両ギヤ3,4の噛み合い位置を経て吸込室5側に向き、この吸込室5内の作動流体を再度受け入れて吐出室6側へ送り出す作用をなす。 【0017】以上の如く行われるギヤポンプの動作中、駆動ギヤ3と従動ギヤ4との噛み合い点近傍で、上述の閉じ込み領域に作動流体が閉じ込められる、いわゆる閉じ込みが生じて、その結果、非常な高圧を発生し振動や騒音を発生する虞がある。本実施形態では、より一層確実な閉じ込み防止を実現できる逃げ溝25,26を有している。先ず、閉じ込み領域を説明する。互いに噛み合う一対のギヤ3,4において、互いに隣接しつつ同時に噛み合っている2つの噛み合い点の間となる、一方の歯の歯底と、他方の歯の歯先との間に形成される領域であって、一対のサイドプレート12の間に形成される領域が閉じ込み領域50となる。 【0018】閉じ込み領域50は、例えば、図4(a)に示すように、同時に噛み合う一対の噛み合い点K1,K5の間にある。閉じ込み領域50は、ギヤ歯の進行方向前側に形成される第1部分51と、この第1部分51よりも進行方向後側に形成される第2部分52とを有している。第2部分52は、駆動ギヤ3の歯底と従動ギヤ4の歯先との間に形成されている。第1部分51は、駆動ギヤ3の歯先と従動ギヤ4の歯底との間に形成されている。第1部分51と第2部分52との間は、通常、バックラッシュとなる隙間が形成され、連通可能になっている。 【0019】両ギヤ3,4の回転に伴って、図4(a)〜(c)に示すように、一対のギヤ歯の噛み合い点の位置はK1からK8へと移動し、その軌跡が噛み合いの作用線Lとなる。この作用線Lは、支軸30の軸方向から見たときに、ピッチ点P0を通り、このピッチ点P0でのギヤ歯の進む方向に対してギヤ歯の圧力角で傾いている。また、噛み合い点が位置K1〜K8の間を移動する間に、同時に噛み合っている噛み合い点の数も変化し、位置K1〜K3および位置K5〜K8の間では、噛み合い点は2箇所にあり、位置K3〜K5の間では、噛み合い点は1箇所になる。 【0020】また、噛み合い点が位置K1〜K3へ移動する間に(位置K5〜K8でも同様である。)、閉じ込み領域50は、ギヤ歯の移動方向に移動しつつ、その内部容積も変化し、位置K1〜K3の途中で内部容積が最少となる。また、噛み合い点が位置K3〜K5の間にあり、1つだけの場合には、一方の歯の歯底と、他方の歯の歯先との間の空間は、噛み合い点を挟んで、吐出室6または吸込室5の何れかに連通している。 【0021】次に、逃げ溝25,26を説明する。逃げ溝25,26は、両ギヤ3,4の回転中心同士71,72を結ぶ線73を挟んで両側に配置されている。逃げ溝25は吸込室5側にあり、逃げ溝26は吐出室6側にある。逃げ溝25,26は、支軸30の軸方向から見たときに、略矩形で所定深さに形成されている。線73寄りにある逃げ溝25,26の各端縁27,28は、線73に対して平行な直線状に形成されている。 【0022】逃げ溝25,26は、閉じ込み領域50の内部と吸込室5および吐出室6とを連通可能に形成されている。一方では、逃げ溝25,26は、同時に閉じ込み領域50に連通することを回避されている。これによって、吸込室5と吐出室6とが、閉じ込み領域50および両逃げ溝25,26を介して互いに連通することが防止されている。また、ギヤ2,3の回転に伴って、閉じ込み領域50が高圧側逃げ溝26に連通する第1の状態、閉じ込み領域50が高圧側逃げ溝26および低圧側逃げ溝25に対して遮断される第2の状態、および閉じ込み領域50が低圧側逃げ溝25に連通する第3の状態に順次に切り替わるようになっている。 【0023】高圧側の逃げ溝26は、第1の状態においてギヤ3,4の回転に伴って変化する閉じ込み領域50の容積が最小になるときに、第2の状態に切り換えるべく閉じ込み領域50と吐出側領域となる吐出室6との連通を遮断することのできる位置に設けられている。すなわち、図4(b)に示すように、同時に噛み合っている2つの噛み合い点が位置K2,K6に位置し、支軸30の軸方向から見たときに、位置K2と線73との距離L2(ピッチ点K4に対する距離でもよい。)と、位置K6と線73との距離L6とが等しくなるようにされている。吐出室6側にある噛み合い点の位置K2に、逃げ溝26の端縁28が位置している。上述の距離L2と距離L6とが等しくなる位置K2,K6に、噛み合い点が位置するときに、閉じ込み領域50の内部容積は最少となり、この閉じ込み領域50内部と、逃げ溝26とが、支軸30の軸方向から見て、互いに重なり合う部分がないようにされている。 【0024】低圧側逃げ溝25は、第2の状態においてギヤ3,4の回転に伴って変化する閉じ込み領域50の圧力が吸込側領域としての吸込室5の圧力にほぼ一致するときに、第3の状態に切り換えるべく閉じ込み領域50を吸込室5に連通し始めることのできる位置に設けられている。すなわち、上述の位置K6に噛み合い点が位置する状態から、ギヤ3,4の噛み合いが進行し、噛み合い点が位置K7に位置するようになる。支軸30の軸方向から見たときに、位置K7と線73との距離L7(ピッチ点K4に対する距離でもよい。)は、位置K6と線73との距離L6よりも長くなるようにされている。吸込室5側にある噛み合い点の位置K7に、逃げ溝25の端縁27が位置している。この閉じ込み領域50内部と、逃げ溝25とが、支軸30の軸方向から見て、互いに重なり合う部分がないようにされ、噛み合い点が位置K7から位置K8側へ少しでも移動すると、逃げ溝25と閉じ込み領域50内部とが連通するようにされている。。 【0025】噛み合い点が位置K6から位置K7に至る間に、閉じ込み領域50の内部容積は大きくなり、これに伴い、内部にある作動流体の圧力も低下する。噛み合い点が位置K7になると、上述の圧力が吸込室5の圧力とほぼ等しくなるようにされている。ここで、上述の位置K7は、以下のようにして決定できる。すなわち、閉じ込められた空間内に作動流体があるときに、空間の内部容積が変化するときの、作動流体の圧力の変化の関係は、例えばダウソン−ヒギンソン(Dowson-Higginson) の式等の公知の関係がある。このような関係を利用して、吐出室6と吸込室5との圧力差(閉じ込み領域内に生じる圧力の低下量となる。)から、作動流体に応じた閉じ込み領域50の容積の変化量を求められる。そして、この容積の変化量を基に、ギヤ歯の歯形形状や噛み合い点の位置K6に応じて、位置K7を決定することができる。 【0026】次に動作を説明する。図4は、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いを説明するための、サイドプレートの要部拡大側面図である。図5は、ギヤの回転角度位置に対する、閉じ込み領域の作動流体の圧力Pおよび内部容積Vの変化を示すグラフであり、横軸に回転角度位置を示し、縦軸に圧力Pおよび内部容積Vが示されている。なお、回転角度位置は、軸心71を通り線73に直交する線を基準線SLとして、この基準線SLに対して、支軸30の回りに測ったときの、吐出室側の噛み合い点の位置と支軸30の軸心71とを結ぶ線の角度D1〜D4で表す。 【0027】一対のギヤ3,4の回転に伴って、図4(a)に示すように、吐出室6側にある噛み合い点が位置K1に位置すると(角度位置D1)、吸込室5側の噛み合い点は位置K5にあり、閉じ込み領域50が生じる。噛み合いが進行すると、一方の噛み合い点が位置K1からK2へ至り、閉じ込み領域50の内部容積は徐々に減少するが、その間、閉じ込み領域50は、逃げ溝26を通じて吐出室6とだけ連通しており(第1の状態)、内部の圧力は吐出室6の圧力(図5のP1)と等しくなっている。また、閉じ込み領域50は、吸込室5側の噛み合い点により、吸込室5と連通を遮断されている。 【0028】一方の噛み合い点が位置K2に至ると(角度位置D2)、図4(b)に示すように、他方の噛み合い点は位置K6に至り、閉じ込み領域50の内部容積は最少となり、閉じ込み領域50は、逃げ溝26との連通を遮断されて、両逃げ溝25,26、吐出室6および吸込室5に対して遮断される(第2の状態)。第2の状態でギヤ3,4の回転に伴って、閉じ込み領域50の内部容積が次第に膨張し、内部の作動流体の圧力が低下する。噛み合い点が位置K7に至り(角度位置D3)、吸込室5の圧力(図5のP2)にほぼ一致したときに、第3の状態に切り換えて、吸込室5に解放させることになる(図5参照)。 【0029】噛み合い点が位置K7に至ると、閉じ込み領域50は逃げ溝25と連通を開始し、吸込室5に連通するようになる。そして、吸込室側の噛み合い点が位置K7から位置K8へ至ると(角度位置D4)、吐出室側の噛み合い点は位置K3へ至る。その間、閉じ込み領域50は、逃げ溝25にだけ連通し、吐出室側の噛み合い点により吐出室6との連通は遮断されている(第3の状態)。さらに、噛み合いが進行すると、噛み合い点は1つとなり、上述のように噛み合い点を挟んで吐出室6と吸込室5とが遮断される状態となる。その後、上述の第1〜第3の状態が順次切り替わりつつ、ギヤの噛み合いが進行する。 【0030】このように本実施の形態によれば、低圧側の逃げ溝25の位置により、閉じ込み領域50の内部の圧力を、吸込室5の圧力にほぼ一致させて解放できるので、解放時に、衝撃が生じず、騒音や振動を防止できる。また、高圧側の逃げ溝26の位置を、閉じ込み領域50が最少容積のときに、第1の状態から第2の状態に切り替わるようにしたので、第2の状態での閉じ込み領域50の内部容積の増大量を大きくできる結果、第2の状態での圧力の低下量を大きく確保できる。従って、低圧側逃げ溝25と連通するときの閉じ込み領域50内の圧力を十分に低下させて、吸込室5の圧力に確実に近づけることができるので、騒音や振動を確実に防止できる。 【0031】また、逃げ溝26は、閉じ込み領域50の内部容積が最少となるときに、閉じ込み領域50との連通を遮断されるので、ギヤの噛み合い部を介しての吐出室6から吸込室5に戻る作動流体量を最少にできる。なお、両逃げ溝25,26の端縁の形状は、直線形状に限らず、例えばM字形状に屈曲していてもよい。また、両逃げ溝25,26は、少なくとも一方のサイドプレート12に形成してあればよい。 【0032】その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001247 【氏名又は名称】光洋精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月6日(1999.9.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075155 【弁理士】 【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−73960(P2001−73960A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−251892 |
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