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【発明の名称】 圧電ポンプ及び該圧電ポンプを用いた冷却装置
【発明者】 【氏名】今田 勝巳

【氏名】武田 克

【氏名】岡野 祐幸

【氏名】守時 克典

【要約】 【課題】低背化し、消費電力が少なく、十分な信頼性を有する圧電ポンプと該圧電ポンプを用いた冷却装置を提供する。

【解決手段】冷却装置10は、板状弾性体12と圧電体11との接合体よりなる圧電振動子13と、前記圧電振動子からなる面を含む複数の面により形成される閉空間と冷媒7を前記閉空間に吸入、排出する吸入口と排出口とを備えるポンプ室19と、前記圧電振動子を駆動する駆動手段とからなる圧電ポンプ1と、発熱体4より熱を奪う吸熱手段3と、外部に熱を放出する熱交換器5と、前記吸熱手段、前記圧電ポンプ及び前記熱交換器の相互の間で冷媒を循環する熱伝達手段6とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 板状弾性体と圧電体との接合体よりなる圧電振動子と、前記圧電振動子からなる面を含む複数の面により形成される閉空間と冷媒を前記閉空間に吸入、排出する吸入口と排出口とを備えるポンプ室と、前記圧電振動子を駆動する駆動手段とからなる圧電ポンプ。
【請求項2】 前記圧電振動子を構成する前記板状弾性体の熱伝導率が10W/m℃以上で且つ440W/m℃以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の圧電ポンプ。
【請求項3】 板状弾性体と圧電体との接合体よりなる圧電振動子と、前記圧電振動子からなる面を含む複数の面により形成される閉空間と冷媒を前記閉空間に吸入、排出する吸入口と排出口とを備えるポンプ室と、前記圧電振動子を駆動する駆動手段とからなる圧電ポンプと、発熱体より熱を奪う吸熱手段と、外部に熱を放出する熱交換器と、前記吸熱手段、前記圧電ポンプ及び前記熱交換器の相互の間で冷媒を循環する熱伝達手段とからなることを特徴とする冷却装置。
【請求項4】 前記圧電振動子を構成する前記板状弾性体の熱伝導率が10W/m℃以上で且つ440W/m℃以下の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】 前記圧電ポンプを通過する冷媒の温度を、前記圧電振動子を構成する前記板状弾性体を介して熱伝導により前記圧電振動子を構成する前記圧電体に伝えて前記圧電体の温度を前記冷媒の温度と実質的に連動させることにより、前記圧電体の圧電定数、共振特性からなる特性の少なくとも一方を変化させて、前記圧電振動子を含む前記圧電ポンプの単位時間当りの流量を変化させることを特徴とする請求項3又は4に記載の冷却装置。
【請求項6】 前記駆動手段は、前記発熱体の温度又は前記圧電ポンプを通過する冷媒の温度を検出する感温手段を含むことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項7】 前記駆動手段は、前記感温手段によって検出した前記温度に基づいて前記圧電振動子の駆動周波数又は駆動電圧を制御することを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】 前記駆動手段は、少なくとも発振回路を含むことを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項9】 前記熱伝達手段は、冷媒を流通させる通路であることを特徴とする請求項3から8のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項10】 前記感温手段により検出された温度が所定条件に該当する場合に、前記発熱体の発熱を抑制する発熱体制御装置をさらに備えていることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータチップ、回路基板、電子部品、光学系等における発熱体の冷却装置及びこれに用いる圧電ポンプ、特に、携帯機器等の狭い空間に収納されるCPUチップ等の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大抵の電子装置、特にコンピュータ、電力増幅器および電源に使用されるCPUチップ等のコンピュータチップや各種デバイスは、動作させるにあたってその多くは発熱するが、発熱による温度上昇に伴って特性が変化する場合が多いためその安定した動作を確保するために冷却が必要である。このチップなどの冷却には、通常マフィン型ファン、またはより大型の羽根を有するファンが使われてきた。
【0003】各種デバイスやチップが小さい場合には、通常、種々の形のヒートシンク用いられている。このヒートシンクは、各種デバイスやチップに取り付けられて各種デバイスやチップの発生する熱をヒートシンクに移行させ、さらに、大きな表面積を有するフィンが起こす気流によって空冷することによって、ヒートシンクから気流中に消散させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、各種装置の高機能化や高速化の要求から、使用するデバイスが増加するにつれて多量の電力がチップ内で消費され、多量の発熱が起こる場合がある。またCPUチップ等では、近年その動作周波数が飛躍的に高くなることにより発熱量も増加しており、より効率のよい冷却装置が必要とされている。しかし、現状は発熱に伴いチップおよびヒートシンクの温度上昇を余儀なくされるか、あるいは温度を同じに保つために、よりファンの気流速度を上げるかの何れかである。気流速度を増すことは容易であるが、騒音レベルの増加につながり、現在、この騒音は許容出来ないほどの高レベルに達している。また、チップの温度上昇は、チップの動作安定性を損ない、異常動作等の故障の可能性を増すことにつながるため、これらの制限を受けない代替の冷却装置が必要である。
【0005】従来の空冷方式の代替として水冷方式があり、電磁式のポンプで冷媒を循環させている。しかし、電磁式のポンプであるため、電磁モータ部の確保のために相当の厚さを必要とし、携帯端末等に要求される基板厚さに対応したポンプ部の低背化が困難という課題があった。また、インダクタに大きな電流が流れるため、消費電力が大きい課題があった。加えて、電磁式ポンプの摺動部であるモータに十分な信頼性がないため冷却装置の信頼性も低い課題があった。
【0006】そこで、本発明は、ポンプ部の低背化により小型化を図り、消費電力を抑えて、信頼性が高い冷却装置及びこれに用いる圧電ポンプを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決する手段】前記課題は、以下の本発明により解決できる。
【0008】即ち、本発明に係る圧電ポンプは、板状弾性体と圧電体との接合体よりなる圧電振動子と、前記圧電振動子からなる面を含む複数の面により形成される閉空間と冷媒を前記閉空間に吸入、排出する吸入口と排出口とを備えるポンプ室と、前記圧電振動子を駆動する駆動手段と、からなることを特徴とする。
【0009】また、本発明に係る圧電ポンプは、前記圧電ポンプであって、前記圧電振動子を構成する前記板状弾性体の熱伝導率が10W/m℃以上で且つ440W/m℃以下の範囲にあることを特徴とする。
【0010】本発明に係る冷却装置は、板状弾性体と圧電体との接合体よりなる圧電振動子と、前記圧電振動子からなる面を含む複数の面により形成される閉空間と冷媒を前記閉空間に吸入、排出する吸入口と排出口とを備えるポンプ室と、前記圧電振動子を駆動する駆動手段とからなる圧電ポンプと、発熱体より熱を奪う吸熱手段と、外部に熱を放出する熱交換器と、前記吸熱手段、前記圧電ポンプ及び前記熱交換器の相互の間で冷媒を循環させる熱伝達手段とからなることを特徴とする。
【0011】また、本発明に係る冷却装置は、前記冷却装置であって、前記圧電振動子を構成する前記板状弾性体の熱伝導率が10W/m℃以上で且つ440W/m℃以下の範囲にあることを特徴とする。
【0012】また、本発明に係る冷却装置は、前記冷却装置であって、前記圧電ポンプを通過する冷媒の温度を、前記圧電振動子を構成する前記板状弾性体を介して熱伝導により前記圧電振動子を構成する前記圧電体に伝えて前記圧電体の温度を前記冷媒の温度と実質的に連動させることにより、前記圧電体の圧電定数、共振特性からなる特性の少なくとも一方を変化させて、前記圧電振動子を含む前記圧電ポンプの単位時間当りの流量を変化させることを特徴とする。
【0013】さらに、本発明に係る冷却装置は、前記冷却装置であって、前記駆動手段は、前記発熱体の温度又は前記圧電ポンプを通過する冷媒の温度を検出する感温手段を含むことを特徴とする。
【0014】またさらに、本発明に係る冷却装置は、前記冷却装置であって、前記駆動御手段は、前記感温手段によって検出した前記温度に基づいて前記圧電振動子の駆動周波数又は駆動電圧を制御することを特徴とする。
【0015】さらに、本発明に係る冷却装置は、前記冷却装置であって、前記駆動手段は、少なくとも発振回路を含むことを特徴とする。
【0016】またさらに、本発明に係る冷却装置は、前記冷却装置であって、前記熱伝達手段は、冷媒を流通させる通路であることを特徴とする。
【0017】また、本発明に係る冷却装置は、前記冷却装置であって、前記感温手段により検出された温度が所定条件に該当する場合に、前記発熱体の発熱を抑制する発熱体制御装置をさらに備えていることを特徴とする。
【0018】前記冷媒としては、好ましくは比熱の大きな液体が望ましい。冷媒としては、例えば、水、エチレングリコール、水とエチレングリコールの混合溶液等を用いることができる。
【0019】前記冷媒を前記圧電ポンプの閉空間に吸入、排出する手段としては、例えば、弁機構やバルブ機構等を用いることができる。この場合、弁機構やバルブ機構等は機械的、電気的、電磁的駆動等の種々の駆動形式であってもよい。
【0020】前記吸熱手段としては、例えば、種々の形状のヒートシンク等を用いることができる。
【0021】前記熱交換器としては、例えば、放熱板やヒートシンク等を用いることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、全体を通じて同一の符号は同一の構成要素を示している。
【0023】第1実施の形態図1は、本発明の第1実施の形態による冷却装置10の構成図である。図1において、1は圧電ポンプ、2は駆動回路、3はヒートシンク、4は発熱体、5は熱交換器、6はパイプ、7は冷媒、8は温度センサである。圧電ポンプ1は、駆動回路2で駆動され、圧電効果を利用してポンプ室内に容積変化を発生させて冷媒7を流動させている。図2に第1実施の形態における圧電ポンプの断面図と、図3に圧電ポンプの動作説明のために圧電ポンプの一部の拡大図を示す。図2、図3において、11は圧電体、12は板状弾性体、13のダイヤフラムは圧電体11と板状弾性体12とからなる圧電振動子であり、14は排水弁、15は吸水弁、16は排水ノズル、17は吸水ノズル、18は筐体、19はポンプ室である。本実施の形態1における冷却装置10に用いる圧電ポンプ1は、板状弾性体12の片側に圧電体11を貼り合わせ、周辺部を支持したダイヤフラム13と、それを保持する筐体18、そして冷媒である水の出入りを効率よく行うための排水弁14、吸水弁15よりなっている。
【0024】第1実施の形態の冷却装置10は、発熱体4にヒートシンク3が接合されており、発熱体4で発生した熱を高効率でヒートシンク3に伝導する。ヒートシンク3の内部には冷媒7に効率良く熱を伝えるための流路が形成されている。また、熱交換器5にもヒートシンク3と同様な流路が形成されており、高効率で冷媒7からの熱を外気に放熱している。圧電ポンプ1とヒートシンク3と熱交換器5は、それぞれが冷媒7を封入したパイプ6で連結されている。さらに、発熱体4の近傍に温度センサ8が配置されている。
【0025】圧電体11としては、圧電セラミック又は圧電単結晶等を用いることができる。好ましくは、室温付近で圧電定数の温度依存性が正であるものが望ましい。圧電セラミックとしては、例えば、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、PLZT等を用いてもよい。圧電単結晶としては、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等を用いてもよい。また、圧電体の構造はモノモルフ、バイモルフ等のほか、積層型構造のものでもよい。
【0026】板状弾性体12としては、弾性を有する板状体であればよい。弾性板状体としては好ましくはポンプ室を通過する冷媒の熱を熱伝導によって圧電体に速やかに伝えることができるものが望ましい。そのため、弾性板状体として好ましくは、熱伝導率は、10W/m℃以上、さらに好ましくは20W/m℃以上が望ましい。板状弾性体としては、例えば、リン青銅等の銅合金、ステンレス合金、インバー合金等を用いることができる。なお、板状弾性体の熱伝導率は、440W/m℃以下である。
【0027】図2、図3において、ポンプ室19では、ダイヤフラム13が所定の周波数の駆動信号で駆動されており、その運動により、ポンプ室19内の容積が変化している。ポンプ室19が負圧になったときに、吸水ノズル17より冷媒7である水が入り、吸水弁15を通ってポンプ室19に至る。また、ポンプ室19が正圧になった時は、排水弁14を通って、排水ノズル16より冷媒7の水が排出される。この一連の動作を繰り返す事により、圧電ポンプ1は、吸水口から排水口に至る流れを作っている。ここで、吸水弁15、排水弁14は逆流防止構造となっており、ポンプの効率を支配している。
【0028】第1実施の形態の冷却装置では、発熱体4の温度を近傍に設置した温度センサ8で検出しながら、その温度に応じて、圧電ポンプ1の単位時間当りの流量を調整する。この流量の調整には、以下の2つの方式とそれらの併用が考えられる。
【0029】第1の方式は、圧電ポンプ1を構成する圧電振動子を駆動する駆動周波数を変化させることにより、圧電振動子であるダイヤフラム13の送り回数を変化させる事と、駆動周波数の変化により共振点との位置関係が変化して、ダイヤフラム13の変位量が変化する事との両方の効果を併用することにより流量を制御する方法である。この方式を実現する駆動回路の一例を図4に示す。図4において、21は発振回路、22は整形回路、23はアンプ、24は圧電振動子、25は制御回路、26は温度センサである。発振回路21で作られた駆動周波数の信号は、整形回路22で形を整えられ、アンプ23において昇圧され、板状弾性体(金属薄板)12に圧電体11を貼り合わせたダイヤフラム13よりなる圧電振動子24に印加される。また、温度センサ26によって発熱体4の温度を随時検出する。発熱体4の温度の検出結果に応じて制御回路25によって発振回路21の発振周波数を制御する。具体的には、発熱体4の温度が高い場合には、駆動周波数を高周波数に設定して、発熱体4の温度が低い場合には、駆動周波数を低周波数に設定するものである。
【0030】上記の制御により、発熱体4が十分に冷えているときなどに駆動周波数を標準駆動周波数より共振点から離れた低周波数に設定することにより、ダイヤフラム13の振幅は小さくなり、ダイヤフラム13に作用する応力を小さくすることができる。これにより、ダイヤフラム13の圧電体11に作用する応力値を適切に制御することができる。通常、作用した応力と繰り返し回数で決定されるポンプ寿命を大幅に改善することが出来る。また、駆動周波数が可変であるためポンプの消費電力を削減できるため、冷却装置10としての消費電力も削減でき、ノートパソコンなどの携帯機器に最適な構成とすることが出来る。さらに、温度センサ8の出力をモニターし続ける事により、冷却装置10の破損の検出が可能となり、機器自身を破損させない危機管理が可能である。
【0031】第2の方式は、圧電ポンプ1を構成する圧電振動子を駆動する駆動電圧を変化させることにより、ダイヤフラム13の振幅(ポンプ室の容積変化)を変化させ、流量を制御する方法である。上記方式を実現する駆動回路のブロック図の一例を図5に示す。図5において、21は発振回路、22は整形回路、23はアンプ、24は圧電素子、25は制御回路、26は温度センサである。発振回路21で作られた駆動周波数の信号は、整形回路22で形を整えられ、アンプ23において昇圧され、金属薄板12に圧電体11を貼り合わせたダイヤフラム13よりなる圧電振動子24に印加される。また、温度センサ26によって発熱体4の温度を随時検出する。その検出結果に応じて制御回路25によってアンプ23の昇圧比を制御する。具体的には、発熱体4の温度が高いときは、昇圧比を大きく設定して、発熱体4の温度が低いときは、昇圧比を小さく設定する。
【0032】上記の制御により、発熱体4が十分に冷えているときにはダイヤフラム振幅を小さくすることができる。これにより、ダイヤフラムの圧電体に作用する応力値を適切に制御することができる。通常、作用した応力と繰り返し回数で決定されるポンプ寿命を大幅に改善することが出来る。また、駆動電圧を変化させることにより圧電ポンプの不要な消費電力を削減できるため、冷却装置10としての消費電力も削減でき、ノートパソコンなどの携帯機器に最適な構成とすることが出来る。さらに、温度センサ26の出力をモニターし続ける事により、冷却装置10の破損の検出が可能となり、機器自身を破損させない危機管理が可能である。こうして、上記方式により、十分な冷却性能を維持したまま、信頼性が高く、冷却装置の消費電力を著しく小さく、さらに冷却装置の破損の検出が可能な冷却装置を実現することが可能となる。
【0033】第2実施の形態第2実施の形態による冷却装置10の構成を図6に示す。図6において、1は圧電ポンプ、2は駆動回路、3はヒートシンク、4は発熱体、5は熱交換器、6はパイプ、7は冷媒である。圧電ポンプ1は駆動回路2で駆動され、圧電効果を利用して、ポンプ室19内に容積変化を発生させて冷媒7の流れを作るものである。
【0034】図7に圧電ポンプ1の断面図を示す。図7において、11は圧電体、12は金属薄板、13はダイヤフラム、14は排水弁、15は吸水弁、16は排水ノズル、17は吸水ノズル、18は筐体、19はポンプ室である。本実施の形態の冷却装置に用いるポンプは、金属薄板12の片側に圧電体11を貼り合わせて、周辺部を支持したダイヤフラム13と、それを保持する筐体18、そして冷媒である水の出入りを効率よく行うための排水弁14、吸水弁15よりなっている。さらに、高い熱伝導率を有する金属薄板12を介して圧電体11にポンプ室19の冷媒7の熱を伝える構造となっている。
【0035】第2実施の形態の冷却装置10は、発熱体4にヒートシンク3が接合されており、発熱体4で発生した熱を高効率でヒートシンク3に伝導する。ヒートシンク3の内部には冷媒7に効率良く熱を伝えるための流路が形成されている。また、熱交換器5にもヒートシンク3と同様な流路が形成されており、高効率で冷媒7からの熱を外気に放熱している。圧電ポンプ1とヒートシンク3と熱交換器5は、それぞれが冷媒7を封入したパイプ6で連結されている。
【0036】圧電ポンプ1においては、ダイヤフラム13が所定の周波数の駆動信号で駆動されており、その運動により、ポンプ室19内の容積を変化させている。ポンプ室19が負圧になったときは、吸水ノズル17より水が入り、吸水弁15を通ってポンプ室19に至る。また、ポンプ室19が正圧になった時は、排水弁14を通って、排水ノズル16より水が排水される。この一連の動作を繰り返す事により、本ポンプは、吸水口から排水口に至る流れを作っている。ここで、吸水弁15、排水弁14は逆流防止構造となっており、ポンプの効率を支配している。
【0037】この冷却装置は、発熱体4にヒートシンク3が接合されており、発熱体4で発生した熱を高効率でヒートシンク3に伝導させている。ヒートシンク3の内部には冷媒7に効率良く熱を伝えるための流路が形成されている。また、熱交換器5にもヒートシンク3と同様な流路が形成されている。圧電ポンプ1とヒートシンク3と熱交換器5は、それぞれが冷媒7を封入したパイプ6で連結されている。
【0038】この冷却装置では、冷媒7の持つ熱が圧電ポンプ1を構成している圧電体11に伝わり、圧電体11が実質的に冷媒7の温度に連動した温度となる。このため、冷媒7の温度の変動にあわせて、ポンプの流量を自動的に調整することができるものである。本冷却装置の流量自動調節について、図8、図9を用いて説明する。
【0039】図8はダイヤフラム13の共振特性が圧電体11の温度によってどのような変化をするかを示した概略図である。まず、冷媒7の熱が伝わり圧電体11の温度が高くなることにより、圧電体11の圧電定数が変化する。一般的な圧電体は、温度が上昇すると圧電定数が大きくなる場合と、温度が上昇すると圧電定数が小さくなる場合とがあるが、ここでは前者の温度が上昇すると圧電定数が大きくなる圧電体が好ましい。このような圧電体11を用いると、圧電体11に同じ電圧をかけている場合、圧電体に発生するひずみが大きくなり、圧電振動子13に発生する変位量は大きくなる。さらに加えて、温度が高くなると圧電振動子13を形成している圧電体11と金属薄板12のヤング率は小さくなり、図8に示すように圧電振動子13の共振点が低周波数側に移動する。このため、同一の駆動周波数であっても、駆動点の周波数は共振点に近づき、圧電振動子13の変位量は拡大する。これら2つの現象が同時に起こり、冷媒7が高温になると、圧電ポンプ1の流量を自動的に増加させることができる。一方、冷媒7が低温の場合には、それぞれが高温時と逆の挙動を示し、流量を自動的に減少させることができる。
【0040】以上の構成により、冷媒7が低温時はダイヤフラム13の振幅は小さくなり、ダイヤフラム13に作用する応力を小さくすることができる。これにより、ダイヤフラム13の圧電体11に作用する応力値を適切に制御することができる。通常、作用した応力と繰り返し回数で決定されるポンプ寿命を大幅に改善することが出来る。また、駆動電圧、駆動周波数を変化させる事なく、流量を制御する事が出来るため、図9に示すように非常に簡単な駆動回路で圧電ポンプ1を駆動することが出来る。したがって、スペース制約が厳しいノートパソコンなどの携帯機器に最適な構成とすることが出来る。
【0041】さらに、ここでは示していないが温度センサ8を発熱体4の近傍に設置し、その温度センサの出力をモニタし続ける事により、冷却装置の破損の検出が可能となり、機器自身を破損させない危機管理が可能である。また、別の方法としては、圧電体11の一部に温度センサ用の電極を形成しておき、一時的にダイヤフラム13の動作を止めて、冷媒7の温度変化を検出したり、ダイヤフラム13が受ける圧力を検出すること等によっても、同様の効果が得られる。
【0042】この冷却装置により、十分な冷却性能を維持したまま、信頼性が高く、回路構成が簡単且つ小型で、さらに冷却装置の破損の検出が可能とすることができる。
【0043】第3実施の形態第3実施の形態による冷却装置10の構成を図10に示す。図10において、1は圧電ポンプ、2は駆動回路、3はヒートシンク、4は発熱体、5は熱交換器、6はパイプ、7は冷媒、8は温度センサ、9は発熱体制御回路である。圧電ポンプ1は、駆動回路2で駆動され、圧電効果を利用して、ポンプ室19内に容積変化を発生させて冷媒7の流れを作るものである。
【0044】第3実施の形態の冷却装置10は、発熱体4にヒートシンク3が接合されており、発熱体4で発生した熱を高効率でヒートシンク3に伝導する。ヒートシンク3の内部には冷媒7に効率良く熱を伝えるための流路が形成されている。また、熱交換器5にもヒートシンク3と同様な流路が形成されており、高効率で冷媒7からの熱を外気に放熱している。圧電ポンプ1とヒートシンク3と熱交換器5は、それぞれが冷媒7を封入したパイプ6で連結されている。
【0045】この冷却装置では、温度センサ8を発熱体4の近傍に設置し、その温度センサの出力をモニタし続ける事により、冷却装置の破損の検出が可能となる。さらに、発熱体制御回路9によって、例えば、発熱体4がCPUチップ等であれば処理量を制御する等によって発熱量を抑制することによって熱暴走などを防ぎ、機器自身を破損させない危機管理を行なうことができる。
【0046】この冷却装置10によって、十分な冷却性能を維持したまま、信頼性が高く、回路構成が簡単且つ小型で、さらに冷却装置が破損した場合にはこれを検出して発熱体の発熱を制御して機器自体を破損させない危機管理を行なうことができる。
【0047】
【発明の効果】本発明に係る冷却装置は、板状弾性体と圧電体との接合体よりなる圧電振動子と、圧電振動子からなる面を含む複数の面により形成される閉空間と冷媒を閉空間に吸入、排出する吸入口と排出口とを備えるポンプ室と、圧電振動子を駆動する駆動手段とからなる圧電ポンプを冷却装置に用いることによって、十分な冷却性能を維持したまま、信頼性が高く、回路構成が簡単で、ポンプ部を低背化させた小型な冷却装置を提供することができる。
【0048】また、本発明に係る冷却装置は、熱伝導率が10〜440W/m℃の範囲にある板状弾性体を圧電ポンプを構成する圧電振動子に用いることによって、圧電ポンプを通過する冷媒の温度を、圧電振動子を構成する板状弾性体を介して熱伝導により圧電振動子を構成する圧電体に伝えて圧電体の温度を冷媒の温度と実質的に連動させることにより、圧電体の圧電定数、共振特性からなる特性の少なくとも一方を変化させて、圧電振動子を含む圧電ポンプの単位時間当りの流量を変化させることができるので、十分な冷却性能を維持したまま、信頼性が高く、回路構成が簡単且つ小型な冷却装置を提供することができる。
【0049】さらに、本発明に係る冷却装置は、駆動手段に、発熱体の温度又は圧電ポンプを通過する冷媒の温度を検出する感温手段を含み、感温手段によって検出した温度に基づいて圧電振動子の駆動周波数又は駆動電圧を制御することによって、圧電振動子の圧電体に作用する応力値を適切に制御することができる。また、通常、作用した応力と繰り返し回数で決定されるポンプ寿命を大幅に改善することが出来る。さらに、駆動電圧を変化させることにより圧電ポンプの不要な消費電力を削減できるため、冷却装置としての消費電力も削減でき、ノートパソコンなどの携帯機器に最適な構成とすることが出来る。さらに、温度センサの出力をモニターし続ける事により、冷却装置の破損の検出が可能となり、機器自身を破損させない危機管理を行なうことができる。
【0050】またさらに、本発明に係る冷却装置は、感温手段により検出された温度が所定条件に該当する場合に、発熱体の発熱を抑制する発熱体制御装置をさらに備えていることにより、冷却装置が破損した場合にはこれを検出して発熱体の発熱を制御して機器自体を破損させない危機管理を行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2001−355574(P2001−355574A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−176854(P2000−176854)