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【発明の名称】 密閉型圧縮機
【発明者】 【氏名】鶸田 晃

【氏名】二上 義幸

【氏名】平野 秀夫

【氏名】河原 定夫

【要約】 【課題】密閉型圧縮機であって、固定子と回転子の接触や上下軸受部とクランク軸の損傷を防止したものである。

【解決手段】第2バランスウエイト24の反対側に第3バランスウエイト25を取り付けることによって、クランク軸32に働く力を低減するものである。したがって、クランク軸32のたわみ量が小さくなり、固定子21と回転子22の接触や上下軸受部36、37とクランク軸32の損傷を防止している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定子と回転子からなる電動機部と、この電動機部の回転子に取り付けられたクランク軸の偏心部により駆動される圧縮機構部とを収納した密閉型圧縮機であって、前記回転子の両端に、前記圧縮機構部に近い側でかつ前記クランク軸の偏心方向と反対側には第1バランスウエイトを、前記圧縮機構部に遠い側でかつ前記クランク軸の偏心方向と同じ側には第2バランスウエイトを備え、前記第2バランスウエイトに比べて質量が小さい第3バランスウエイトを、前記圧縮機構部から遠い側の前記回転子の端部で偏心方向と反対側に取り付けたことを特徴とする密閉型圧縮機。
【請求項2】 第2バランスウエイトと第3バランスウエイトを一体構造とし、前記第2バランスウエイトを前記第3バランスウエイトと比べて密度の大きい金属、または樹脂を用いて構成されたバランスウエイトを持つことを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
【請求項3】 3個のバランスウエイトが形成する遠心力と圧縮機構部が形成する遠心力が釣り合うように、前記3個のバランスウエイトの質量を決定することを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
【請求項4】 3個のバランスウエイトの遠心力が形成するモーメントと圧縮機構部の遠心力が形成するモーメントが釣り合うように、前記3個のバランスウエイトの質量を決定することを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
【請求項5】 前記第3バランスウエイトが、前記第2バランスウエイトの質量に比べて小さい質量部と、回転子の回転数が大きくなるに従って質量部が前記固定子のコイルエンドに接触しない程度に調節されたばね部から構成され、クランク軸の端部または圧縮機構部から遠い側の回転子の端部に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷暖房、あるいは冷蔵庫等の冷却装置に用いられる密閉型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のバランス装置を持つ密閉型圧縮機としては、図4に示すように密閉容器10内に、電動機部20と圧縮機構部30とを備えている。密閉容器10には、蒸発器側と接続される吸入管11と、凝縮器側と接続される吐出管12とを備えている。インバータ等により15Hz〜150Hzの周波数で運転される電動機部20は、固定子21と回転子22から構成され、固定子21は、密閉容器10内で固定され、回転子22は、固定子21内に回動自在に設けられている。圧縮機構部30は、シリンダー31と、クランク軸32の偏心部33によりシリンダー31内を回転するピストン34と、シリンダー31とピストン34によって形成される空間を圧縮空間と吸入空間に分離するベーン35と、シリンダー31及びピストン34の両端面を閉塞する上下軸受36、37によって構成され、電動機部20によって発生された駆動力がクランク軸32の偏心部33を通して伝達されている。圧縮機構部30のピストン34と偏心部33が回転することによって発生する遠心力及びモーメントを釣り合わせるために、回転子22の上下両端部に180°ずらして第1バランスウエイト23、第2バランスウエイト24が取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の構成では、クランク軸がたわむことによって遠心力が大きくなることを考えた第1バランスウエイト、第2バランスウエイトではないので、電動機部の回転数が上昇するに従って、回転子の圧縮機構部から遠い側に取り付けられた第2バランスウエイトに働く遠心力によるクランク軸のたわみ量が大きくなり、固定子と回転子との接触や上下軸受及びクランク軸に損傷をきたすという課題を有していた。
【0004】また、特公平2−33876号公報で知られるように、第2バランスウエイトの質量を小さくする方法でも、固定子と回転子との接触や上下軸受部及びクランク軸の損傷を防止することができるが、固定子と回転子の隙間から吐出されるオイルをコイルエンドに衝突させる効果も小さくなり、吐出管からでるオイル量が多くなるという課題を有していた。
【0005】そこで、本願発明は、クランク軸のたわみ量を小さくし、損傷を防止し、また、オイル吐出を低減する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、回転子の圧縮機構部から遠い側の第2バランスウエイトのクランク軸をはさんで反対側に、第3バランスウエイトを取り付けたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】第1の発明の実施の形態である密閉型圧縮機は、回転子の圧縮機構部から遠い側の第2バランスウエイトのクランク軸をはさんで反対側に、第3バランスウエイトを取り付けたものである。これより、固定子と回転子との接触や上下軸受部及びクランク軸の損傷を防止することができる。また、オイル吐出を低減させる効果を有する。
【0008】第2の発明の実施の形態である密閉型圧縮機は、第2バランスウエイトと第3バランスウエイトを一体構造とし、第2バランスウエイトを第3バランスウエイトと比べて密度の大きい金属、または樹脂を用いたものである。これより、第1の発明の効果に加えてオイル吐出を更に低減させる効果を有する。
【0009】第3の発明の実施の形態である密閉型圧縮機は、3個のバランスウエイトが形成する遠心力と圧縮機構部が形成する遠心力が釣り合うように、3個のバランスウエイトの質量を決定するものである。これより、第1の発明の効果に加えて低速運転時に密閉容器が水平方向に振動することを抑制する効果を奏する。
【0010】第4の発明の実施の形態である密閉型圧縮機は、3個のバランスウエイトの遠心力が形成するモーメントと圧縮機構部の遠心力が形成するモーメントが釣り合うように、3個のバランスウエイトの質量を決定するものである。これより、第1の発明の効果に加えて低速運転時に密閉容器が振れ回って振動することを抑制する効果を奏する。
【0011】第5の発明の実施の形態である密閉型圧縮機は、第2バランスウエイトの質量に比べて小さい質量部と、回転子の回転数が大きくなるに従って質量部がコイルエンドに接触しない程度に伸びるように調節されたばね部から構成された第3バランスウエイトをクランク軸の端部または圧縮機構部から遠い側の回転子の端部に取り付けたものである。これより、第1の発明の効果に加えて、上下軸受部に働く力及びモーメントを低減し、低速運転時に密閉容器が水平方向や振れ回って振動することを抑制する効果を奏する。
【0012】
【実施例】以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。従来の技術で説明したものと同じ部品は、同じ番号を符して説明を省略する。
【0013】(実施例1)図1において、第3バランスウエイト25を取り付けた密閉型圧縮機を示す。第3バランスウエイト25は、第2バランスウエイト24に比べて質量が小さく、クランク軸32をはさんで反対側の回転子22の端部に取り付けられている。この構成によれば、第3バランスウエイト25による遠心力は、クランク軸32がたわむことにより大きくなった第2バランスウエイト24の遠心力と反対方向に作用するので、クランク軸32の上端部に働く力を低減することとなる。結果として、固定子21と回転子22との接触や上下軸受部36、37及びクランク軸32の損傷を防止することができる。
【0014】また、第3バランスウエイト25を取り付けることによって、固定子21と回転子22の隙間から吐出されるオイルが、回転する第2バランスウエイト24、第3バランスウエイト25の両方にオイルが一度に衝突することによりコイルエンド26に衝突させられ、吐出管12から出るオイル量を減少させる効果が大きくなる。結果として、電動機部20の回転数が上昇するに従ってオイル吐出を低減する効果を大きくすることができる。
【0015】(実施例2)実施例2は、第3バランスウエイト25を設ける事に関しては同様であるが、第2バランスウエイト24と第3バランスウエイト25を一体構造とし、第2バランスウエイト24を第3バランスウエイト25と比べて密度の大きい金属、または樹脂を用いるものである。この構成によれば、固定子21と回転子22の隙間から吐出されるオイルが、一体構造となって回転する第2バランスウエイト24、第3バランスウエイト25の両方にオイルが一度に衝突することによりコイルエンド26に衝突させられ、吐出管12から出るオイル量を減少させる効果を更に大きくすることができる。
【0016】なお、上記の第2のバランスウエイト24、第3バランスウエイト25の代わりとして、第2バランスウエイト24、第3バランスウエイト25の上端面を水平に揃えたり、また更に円盤状の板等で固定したりしても、同様の効果を得ることができる。
【0017】(実施例3)実施例3は、実施例1に加えて上下軸受部36、37に働く力が小さくなるように圧縮機構部30から近い側の第1バランスウエイト23の質量m1nをm1n=m1o−m33/r1と決める。 ただし、m1oは実施例1での第1バランスウエイト23の質量、m3は第3バランスウエイト25の質量、r1はクランク軸32中心から第1バランスウエイト23の重心までの半径方向長さ、r3はクランク軸32中心から第3バランスウエイト25の重心までの半径方向長さである。この構成によれば、圧縮機部30の回転周波数と同じ周波数で変動する上下軸受部36、37の水平方向に働く力を低減させることができるので、低速運転時に密閉容器10が水平方向に振動することを効果的に抑制することができる。
【0018】(実施例4)実施例4は、実施例1に加えて上下軸受部36、37に働くモーメントが小さくなるように圧縮機構部30から近い側の第1バランスウエイト23の質量m1nをm1n=m1o−m33/r13/l1と決める。ただし、m1oは実施例1での第1バランスウエイト23の質量、m3は第3バランスウエイト25の質量、r1はクランク軸32中心から第1バランスウエイト23の重心までの半径方向長さ、r3はクランク軸32中心から第3バランスウエイト25の重心までの半径方向長さ、l1は上軸受36から第1バランスウエイト23までの半径方向に垂直な方向の長さ、l3は上軸受36から第3バランスウエイト25までの半径方向に垂直な方向の長さである。この構成によれば、圧縮機部30の回転周波数と同じ周波数で変動する上下軸受部36、37の水平方向に働くモーメントを低減させることができる。水平方向のモーメントは上下軸受部36、37を中心として、密閉容器10の圧縮機構部30から遠い側を倒す方向の力を形成するので、このモーメントを低減させれば、低速運転時に密閉容器10が振れ回って振動することを効果的に抑制することができる。
【0019】図2は実施例1、実施例3、実施例4で回転子22に第3バランスウエイト25を取り付けたときの、電動機部20の回転周波数にたいするクランク軸32の上端部のたわみ量を示した図で、圧縮機構部30から遠い側で偏心方向と反対側に第3バランスウエイト25を取り付けたことによってたわみ量を小さくすることができる。
【0020】(実施例5)図3において、第3バランスウエイト29は質量部27とばね部28から構成される。詳しくは前記第3バランスウエイト29が、前記第2バランスウエイト24の質量に比べて小さい質量部27と、回転子22の回転数が大きくなるに従って、質量部27がコイルエンド26に接触しない程度に伸びるように調節されたばね部28から構成されていて、クランク軸32の端部または圧縮機構部30から遠い側の回転子22の端部に取り付けられたものである。この構成によれば、電動機部20の回転数が低いときには第3バランスウエイト29に働く遠心力は小さいので、圧縮機構部30が形成する遠心力及びモーメントを釣り合わせた状態を崩さず、上下軸受部36,37に働く力及びモーメントを低減し、結果として密閉容器10が水平方向の振動や振れ回って振動することを抑制することができる。また、回転数が高いときには第3バランスウエイト29に働く遠心力は大きくなるので、クランク軸32の上端部に働く力を低減し、固定子21と回転子22との接触や上下軸受部36、37及びクランク軸32の損傷を防止することができる。
【0021】
【発明の効果】上記実施例から明らかなように、請求項1に記載の発明は、第2バランスウエイトの質量に比べて小さい第3バランスウエイトを圧縮機構部から遠い側の回転子の端部で偏心方向と反対側に取り付けたものである。この構成によれば、固定子と回転子との接触や上下軸受及びクランク軸の損傷を防止できるという効果を奏する。
【0022】また、第3バランスウエイトを取り付けることによって、電動機部の回転数が上昇するに従ってオイル吐出を低減するという効果を奏する。
【0023】請求項2に記載の発明は、第2バランスウエイトと第3バランスウエイトを一体構造とし、第2バランスウエイトを第3バランスウエイトと比べて密度の大きい金属、または樹脂を用いて構成されたバランスウエイトを用いるもので、この構成によれば、請求項1の効果に加えて電動機部の回転数が上昇するに従ってオイル吐出を更に低減するという効果を奏する。
【0024】請求項3に記載の発明は、3個のバランスウエイトが形成する遠心力と圧縮機構部が形成する遠心力が釣り合うように、3個のバランスウエイトの質量を決定するもので、この構成によれば、請求項1の効果に加えて、低速運転時に密閉容器が水平方向に振動することを抑制する効果を奏する。
【0025】請求項4に記載の発明は、3個のバランスウエイトの遠心力が形成するモーメントと圧縮機構部の遠心力が形成するモーメントが釣り合うように、3個のバランスウエイトの質量を決定するもので、この構成によれば、請求項1の効果に加えて、低速運転時に密閉容器が振れ回って振動することを抑制する効果を奏する。
【0026】請求項5に記載の発明は、第2バランスウエイトの質量に比べて小さい質量部と、回転子の回転数が大きくなるに従って質量部がコイルエンドに接触しない程度に伸びるように調節されたばね部から構成された第3バランスウエイトをクランク軸の端部または圧縮機構部から遠い側の回転子の端部に取り付けたもので、この構成によれば、請求項1の効果に加えて、上下軸受部に働く力及びモーメントを低減し、低速運転時に密閉容器が水平方向や振れ回って振動することを抑制する効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成12年6月15日(2000.6.15)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−355571(P2001−355571A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−179652(P2000−179652)