トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F04 液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ




【発明の名称】 無脈動ポンプ
【発明者】 【氏名】小西 義昭

【要約】 【課題】小型であって、かつ高圧の吐出圧力を達成することができる無脈動ポンプを提供する。

【解決手段】通常のスライダクランク機構を有する3個のプランジャポンプ14を並列に配置し、3連ポンプ12を形成する。3連ポンプ12の下流に調整ポンプ34を配置する。調整ポンプ34はカム36を介して駆動され、カム36のプロフィールは、3連ポンプ12の吐出流量の脈動成分を打ち消すよう、調整ポンプ34のプランジャピストン38を制御するものである。プランジャピストン38にはアキュームレータ50により背圧が付与される。この背圧による力は、プランジャピストン38に、取扱い流体の圧力により作用する力とほぼ釣り合うようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 並列する複数の容積形ポンプからなる多連ポンプと、前記多連ポンプと直列に配置され、前記多連ポンプの吐出流量の脈動を打ち消すように動作する調整ポンプと、を有する無脈動ポンプ。
【請求項2】 請求項1に記載の無脈動ポンプにおいて、前記調整ポンプは往復動ポンプであり、シリンダ内の圧力の少なくとも一部を打ち消す背圧を前記往復動ポンプの往復動要素に付与する背圧手段を有する、無脈動ポンプ。
【請求項3】 請求項2に記載の無脈動ポンプにおいて、前記背圧手段は、前記往復動要素に連動するピストンと、前記ピストンに対し圧力を付与する圧力付与手段とを有し、前記ピストンに対し付与される圧力により前記往復動要素に作用する力は、多連ポンプの平均吐出圧力が往復動要素に作用した力にほぼ等しい、無脈動ポンプ。
【請求項4】 請求項2に記載の無脈動ポンプにおいて、前記背圧手段は、前記往復動要素に連動するピストンと、前記ピストンに対し圧力を付与する圧力付与手段とを有し、前記ピストンに対し付与される圧力により前記往復動要素に作用する力は、多連ポンプの吐出最低圧力が往復動要素に作用した力以下である、無脈動ポンプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容積形ポンプに関し、特に吐出流量の脈動をなくした容積形ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】容積形ポンプは、取扱い流体が流入する空間の容積変化によって、前記取扱い流体の吸入、吐出を行う形式のポンプである。このため、単独では吐出流量が脈動する。複数のポンプを並列配置し、複数のポンプの流量の総和が一定となる、すなわち流量が無脈動となるポンプが知られている。例えば、並列する複数のポンプをプランジャポンプとし、プランジャを特殊な形状のカムで駆動する無脈動ポンプが知られている。
【0003】また、特開平4−27772号公報には、二つのプランジャポンプを直列配置し、上流のポンプの吐出流の脈動を下流のポンプで打ち消す無脈動ポンプが示されている。上流のポンプは、一般的なクランク機構により駆動され、下流のポンプは、カムによりプランジャを駆動する構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の無脈動ポンプにおいては、カムを用いて複雑なプランジャの動きを実現している。しかし、プランジャの速度が急激に変化するときに、大きな反力をカムが受けることになり、カム自身およびカム軸を支える軸受などに大きな力が加わることになる。このため、カムの許容荷重を大きく採ることができない。さらに、高圧を発生しようとする場合、その圧力もカムなどが受けることになる。したがって、従来の無脈動ポンプにおいて、高圧を発生することが困難である、または高圧を取り扱うためには装置が大型化するという問題があった。
【0005】本発明は、前述の問題を解決するためになされたものであり、高い圧力を発生できる小型の無脈動ポンプを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するために、本発明の無脈動ポンプは、複数の容積形ポンプを並列配置して多連ポンプを形成し、多連ポンプに対して直列に調整ポンプを配置する構成を有している。調整ポンプは、多連ポンプの総吐出量の脈動成分を打ち消すように、その吐出流量を制御される。
【0007】多連ポンプとすることにより、個々のポンプの構成が簡単なものであっても脈動成分を小さくすることができる。また、個々のポンプを簡単な構成、例えばクランク機構を用いた往復動ポンプとして構成することによって、比較的小型であっても高い吐出圧力を得ることができる。また、調整ポンプは、多連ポンプに対し直列配置され、多連ポンプにより発生する脈動は比較的小さなものであるので、当該調整ポンプが調整すべき流量およびその変動幅は比較的小さく、小型のもので対応可能である。また、調整ポンプの吸込み側と吐出側の圧力差は、多連ポンプの吐出圧力とは無関係に小さく採れることも、調整ポンプの小型化に寄与する。したがって、装置全体を小型化することが可能である。
【0008】また、前記調整ポンプを往復動ポンプとし、この往復動要素が取扱い流体から受ける圧力の一部を、当該往復動要素に直接的または間接的に作用する背圧によって打ち消すことも好ましい。これにより、調整ポンプの各部材にかかる荷重を低減させることができる。
【0009】また、背圧を付与するには、例えば往復動要素に連動するピストンを設け、ピストンに圧力を付与することにより達成することが可能である。往復動要素の断面積よりピストン断面積を大きくすれば、ピストンに付与する圧力は、多連ポンプの吐出圧力より低くすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の無脈動ポンプ10の構成を模式的に表した図である。3連ポンプ12は、3個のプランジャポンプ14が並列配置され、共通のクランクシャフトを介してモータ18により駆動される。個々のプランジャポンプ14は、図2に示す一般的なスライダ−クランク機構を有している。クランクシャフト16のクランクピン20と、スライダ22のスライダピン24は、コネクティングロッド26により連結されている。スライダ22は、プランジャ28に結合されており、一体となって運動する。したがって、スライダ22はスライダガイド30に沿って往復運動を行い、これに伴ってプランジャ28もシリンダ32内で往復運動を行う。この往復運動に伴ってシリンダ32内の容積が変化し、取扱い流体が圧送される。なお、図2においては、取扱い流体の逆流を防止する弁機構については省略している。
【0011】再び図1に従って説明する。3連ポンプ12は、2π/3の位相差をもって運転され、取扱い流体を調整ポンプ34に向けて送出する。調整ポンプ34は、3連ポンプ12と共通のモータ18により駆動される往復動ポンプとすることができ、本実施形態では特にプランジャポンプである。より具体的には、クランクシャフト16の先端に固定されたカム36によりプランジャピストン38を往復運動させる。このプランジャピストン38の往復運動が、調整ポンプ34の、取扱い流体が出入りする流量調整室40の容積変化を生じさせ、取扱い流体の流量が調整される。プランジャピストン38は、その先端がシリンダ42と共に前記流量調整室40を形成するプランジャ部44と、プランジャ部の背後に設けられたピストン部46を有する。ピストン部46は、シリンダ42と共に背圧室48を形成している。背圧室48は、アキュームレータ50と連通されている。背圧室48は、非圧縮性流体で満たされており、アキュームレータ50内では、非圧縮性流体と圧縮性流体の2層が形成されている。
【0012】図3は、モータの回転角θに対する3連ポンプの吐出流量Qを示す図である。3個のプランジャポンプの吐出流量がそれぞれ実線、破線、二点鎖線で示されている。前述のようにこれらの位相差はそれぞれ2π/3となっており、これらの総和、すなわち3連ポンプ12としての吐出流量は、脈動成分が残存していることが分かる。
【0013】プランジャポンプ14の吐出流量qは、プランジャの断面積Am 、プランジャの速度u、クランク半径をR、コネクティングロッド長さをL、モータの回転角θ、モータの回転速度ωとすれば、【数1】

である。1個のプランジャポンプ14の1回転(2π)当たりの吐出量が、そのストロークが2Rであることから、2RAm であり、よって3連ポンプの平均吐出流量Qa は、【数2】Qa =3×2RAm ω/2π=3RωAm /πとなる。したがって、3連ポンプ12の吐出流量の脈動成分(q−Qa )は、【数3】

とすれば、1個のプランジャポンプ14のみから吐出している場合には、【数4】

となり、2個から吐出している場合には、【数5】

となる。上記二つの式において、θは一つのプランジャポンプが下死点に位置する時をθ=0としている。そして、脈動成分q−Qa は、上記二式を2π/3ごとに繰り返すものとなる。
【0014】前記の脈動成分q−Qa を、打ち消すためには、調整ポンプ34のプランジャピストン38に、速度upr、すなわち、【数6】upr=(Qa −q)/Aprを与えればよい。ここで、Aprは、プランジャ部44の断面積である。カム36のプロフィールは、前記の速度uprを実現するものとすれば、調整ポンプ34から吐出される流量は、3連ポンプ12の平均吐出流量Qa となる。
【0015】また、調整ポンプ34のプランジャ部44の断面積Aprと、ピストン部46の断面積Apiの比は、アキュームレータ50の内圧Pi と3連ポンプの平均吐出圧Pe の比にほぼ等しくなっている。すなわち、【数7】Apr/Api=Pi /Peとなっている。平均吐出圧Pe が200MPa 、アキュームレータ内圧Pi が10MPa であれば、断面積比(Apr/Api)を1/20程度とする。
【0016】上記のように断面積比を設定することにより、プランジャピストン38が取扱い流体から受ける力と、背圧(すなわちアキュームレータ内圧)による力とがほぼ釣り合う。この結果として、カム36に加わる力が減り、カム自身、またこれを支持する構造体を小型のものとすることができる。さらに、前記背圧を、3連ポンプ12の吐出圧力最低値にピストン断面積比を乗じた値にほぼ等しくすることができる。3連以上の多連ポンプにおいては、その吐出圧力の最低値は零ではなく、正の値となる。前述のように、背圧を3連ポンプの吐出最低圧力に対応する値とすれば、調整ポンプ34の吐出圧力は、3連ポンプ12の圧力変動幅に相当するもので十分であり、この場合も装置を小型化することに有効である。また、この場合も、調整ポンプ34の工程体積は、3連ポンプ12の流量変動量で十分である。また、前述のように、背圧を3連ポンプの吐出最低圧に基づき定めた場合、具体的には、プランジャ断面積Aprと吐出最低圧の積と、ピストンの受圧面積(断面積)Apiとアキュームレータ内圧の積を等しくした場合、プランジャに加わる力の向きを一定の方向とすることができる。通常の往復動ポンプでは、吸気、吐出工程の切り替わり時、プランジャに加わる力の向きが変わる。プランジャの駆動機構に機械的なガタがあると、前記の力の向きの変化で、がたつきが発生し、振動、騒音、さらには吐出量の変動の原因となる場合がある。しかし、前述のように、プランジャに加わる力の向きが一定であるので、ガタによる前記の問題の発生を抑えることができる。なお、プランジャに加わる力の向きを一定とするためには、プランジャ断面積と吐出最低圧の積が、ピストン断面積とアキュームレータ内圧の積より大きくなるようにすれば十分であり、前述の等しい場合に限られない。
【0017】以上の実施形態によれば、3連ポンプにより吐出流量の脈動を低減させているので、調整ポンプが小型のもので足りる。また、調整すべき脈動成分の振幅が小さいので、プランジャ断面積などを小さくすることが可能で、カムなどにかかる荷重に余裕が生まれる。このため、高圧流体を取り扱うことが可能となる。すなわち、吐出圧力を高くできる。さらに、調整ポンプに背圧を作用させることにより、カムにかかる荷重が低減するので、カム機構が小型のもので足り、これによっても高圧流体を取り扱うことを可能としている。
【0018】なお、カム36については、図示するような板カムに限らず、溝カムなど、どのような形態のカムでも採用可能である。また、カム36はクランクシャフト16に固定されていたが、クランクシャフト16の3倍の角速度で回転するカムシャフトを設け、これにカムを固定することもできる。
【0019】また、背圧手段としては、ばね部材などの機械的手段によって取扱い流体からの力の少なくとも一部を打ち消すようにもできる。さらにまた、3連ポンプは、2連、または4連以上のポンプとすることも可能である。
【出願人】 【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
【出願日】 平成12年11月21日(2000.11.21)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−271739(P2001−271739A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−354245(P2000−354245)