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【発明の名称】 可変容量ポンプの入力トルク制御回路
【発明者】 【氏名】廣瀬 央夫

【氏名】松本 清

【要約】 【課題】油圧式アクチュエータの操作を円滑に行わしめる。

【解決手段】油圧回路210,310に圧油を吐出する可変容量ポンプ201,301の吐出量を調節する調節手段110,120と、可変容量ポンプ201,301の入力トルクを一定の目標入力トルクに維持する定トルク制御手段130と、この目標入力トルクを外部入力で特定する第1のトルク設定手段140と、アクチュエータの操作量の増減に伴って目標入力トルクを特定する第2のトルク設定手段20と、第1と第2のトルク設定手段140,20で特定される目標入力トルクのいずれか小さい方を選択する目標入力トルク選択手段30と、第2のトルク設定手段20で特定する目標入力トルクが各アクチュエータの操作量の変化に伴って増加する際に当該増加速度を減速させるトルク変動緩和手段40と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一乃至複数の油圧式のアクチュエータに外部から入力された操作量に応じた圧油を供給する油圧回路に前記圧油を吐出する可変容量ポンプの吐出量を調節する調節手段と、前記調節手段を介して前記可変容量ポンプの吐出量と吐出圧力とを乗じてなる入力トルクをほぼ一定の目標入力トルクに維持する定トルク制御手段と、この定トルク制御手段で維持する目標入力トルクを外部から入力される条件に従って特定する第1のトルク設定手段と、を備え、一乃至全ての前記アクチュエータの操作量の増減に伴って前記定トルク制御手段で維持する目標入力トルクを特定する第2のトルク設定手段と、前記第1のトルク設定手段で特定される目標入力トルクと前記第2のトルク設定手段で特定される目標入力トルクのいずれか小さい方を選択して、前記定トルク制御手段の目標入力トルクに決定する目標入力トルク選択手段と、前記第2のトルク設定手段で特定する目標入力トルクが前記各アクチュエータの操作量の変化に伴って増加する際に当該増加速度を減速させるトルク変動緩和手段と、を有することを特徴とする可変容量ポンプの入力トルク制御回路。
【請求項2】 一乃至複数の油圧式のアクチュエータに外部から入力された操作量に応じた圧油を供給する第1と第2の油圧回路にそれぞれ前記圧油を吐出する,駆動源を共有した第1と第2の可変容量ポンプの入力トルク制御回路であって、前記第1と第2の可変容量ポンプの吐出量をそれぞれ調節する第1と第2の調節手段と、前記各調節手段を介して前記第1の可変容量ポンプと第2の可変容量ポンプの入力トルクをほぼ一定の目標入力トルクに維持する定トルク制御手段と、この定トルク制御手段で維持する目標入力トルクを外部から入力される条件に従って特定する第1のトルク設定手段と、を備え、前記第1の油圧回路の一乃至全てのアクチュエータの操作量と前記第2の油圧回路の一乃至全てのアクチュエータの操作量のいずれか多い方の増減に伴って前記定トルク制御手段で維持する目標入力トルクを特定する第2のトルク設定手段と、前記第1のトルク設定手段で特定される目標入力トルクと前記第2のトルク設定手段で特定される目標入力トルクのいずれか小さい方を選択して、前記定トルク制御手段の目標入力トルクに決定する目標入力トルク選択手段と、前記第2のトルク設定手段で特定する目標入力トルクが前記各アクチュエータの操作量の変化に伴って増加する際に当該増加速度を減速させるトルク変動緩和手段と、を有することを特徴とする可変容量ポンプの入力トルク制御回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業用ショベル装置等にアクチュエータ駆動用として設けられた可変容量ポンプの入力トルクを制御するための入力トルク制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、圧油によってアクチュエータを動作させる場合には、アクチュエータの作動状態やアクチュエータにかかる負荷の変動に対応するため、アクチュエータ駆動用として可変容量ポンプが使用される。
【0003】例えば、作業用ショベル装置のように、一つの可変容量ポンプにつき油圧シリンダや油圧モータ等の数多くのアクチュエータを駆動させる場合であって、この可変容量ポンプをエンジンによって駆動させる場合には、当該エンジンの過負荷等を防止するため、ある一定以上の負荷が生じた場合に、ポンプの吐出圧の増大に伴ってポンプの吐出流量を減少させる制御が一般に行なわれる。
【0004】図10は、作業用ショベル装置の各アクチュエータを作動させるための二つの可変容量ポンプ201,301の従来の入力トルク制御回路100を示している。
【0005】まず前提として入力トルク制御回路100の周囲の構成について説明する。第1及び第2の可変容量ポンプ201,301は、1つのエンジン200によって同時に駆動される同等の2つのアキシャルプランジャポンプである。また、エンジン200の出力軸には、これらのポンプよりも容量の小さい動作信号出力用の制御用ポンプ103も接続されており、当該制御用ポンプ103も同時に駆動される。
【0006】そして、これら第1及び第2の可変容量ポンプ201,301は、油圧によって作動する複数のアクチュエータ(例えば油圧シリンダ,油圧モータ等)に接続されると共に外部からの操作指令に応じた操作量をまかなう圧油を各アクチュエータに供給する第1及び第2の油圧回路210,310にそれぞれ圧油を吐出する。
【0007】さらに、第1の可変容量ポンプ201は、入力トルク制御回路100の第1の吐出管路101を介して第1の油圧回路210と接続され、第2の可変容量ポンプ301は、入力トルク制御回路100の第2の吐出管路102を介して第2の油圧回路310と接続されている。
【0008】上述の第1(第2)の油圧回路210(310)は、図11に示すように、第1(第2)の吐出管路101(102)の下流端部にその上流端部が接続された通過管路211(311)と、この通過管路211(311)の途中において上流側から下流側にかけて順番に配設された複数の方向切り替え弁212(312)とを含む構成となっている。
【0009】第1の油圧回路210の方向切り替え弁212の一つを例に採って説明すると、 この方向切り替え弁212は、スプールの移動により徐々に切り替えが行われる三位置六ポートの方向切換弁である。そして、方向切り替え弁212は供給管路211を分断して装備されており、当該方向切り替え弁212の六つの内の二つのポートが分断された供給管路211の上流側端部と下流側端部とにそれぞれ接続されている。また、方向切り替え弁212の他の二つのポートはアクチュエータ215の正方向圧油供給側(逆方向圧油排出側)と正方向圧油排出側(逆方向圧油供給側)とに接続され、さらに他の一つのポートは通過管路211から分岐した供給管路213と接続され、残る一つのポートは圧油のタンクTに向かう戻り管路214に接続されている。
【0010】そして、方向切り替え弁212の1番目の位置(中立位置)においては、供給管路211の上流側と下流側とが導通しており、残りの四つのポートは全て閉塞された状態となる。また、方向切り替え弁212の2番目の位置においては、供給管路211の上流側と下流側とがそれぞれ閉塞した状態にあり、供給管路213とアクチュエータ215の正方向圧油供給側とが導通し、アクチュエータ215の正方向圧油排出側と戻り管路214が導通した状態となる。さらに、方向切り替え弁212の3番目の位置においては、通過管路211の上流側と下流側とがそれぞれ閉塞した状態にあり、供給管路213とアクチュエータ215の逆方向圧油供給側とが導通し、アクチュエータ215の逆方向圧油排出側と戻り管路214が導通した状態となる。すなわち、方向切り替え弁212の1番目の位置ではアクチュエータ215に対して圧油の供給がされず停止状態となり、2番目の位置ではアクチュエータ215に対して正方向の動作が付勢され、3番目の位置ではアクチュエータ215に対して逆方向の動作が付勢される。
【0011】この方向切り替え弁212の各位置の切り替えは、当該方向切り替え弁212に接続された操作レバー216にて行われる。この操作レバー216は作業用ショベル装置の操縦者が入力する操作量に応じた量で制御用ポンプ103から吐出される圧油を方向切り替え弁212に供給し、方向切り替え弁212のスプールの移動量を制御する。従って、アクチュエータ215は、操作レバー216から入力された操作量で作動することになる。
【0012】この操作レバー216と方向切り替え弁212との間には絞り弁219が介挿されており、圧油の流動を緩慢にして、方向切り替え弁212のスプールの切り替え動作を滑らかにすることによりアクチュエータ215の操作性の向上を図っている。
【0013】なお、この図11では、一つの方向切り替え弁212を除いて他の各方向切り替え弁212,312の周囲の構成の図示を省略している。また、図中の符号217,317はリリーフ弁であり、符号218,318は絞り弁である。
【0014】次に、入力トルク制御回路100について、再び図10に基づいて説明する。この入力トルク制御回路100は、第1と第2の可変容量ポンプ201,301の吐出量をそれぞれ調節する第1と第2の調節手段110,120と、第1の調節手段110と第2の調節手段120の各々を介して第1の可変容量ポンプ201と第2の可変容量ポンプ301の入力トルクをほぼ一定の目標入力トルクに維持する定トルク制御手段130と、この定トルク制御手段130で維持する目標入力トルクを操縦者からの入力に従って可変調節する第1のトルク設定手段140と、第1の油圧回路210に接続された各アクチュエータの操作量の増減と共に第1の調節手段110を介して第1の可変容量ポンプ201の吐出流量を増減させる第1の流量制御手段150と、第2の油圧回路310に接続された各アクチュエータの操作量の増減と共に第2の調節手段120を介して第2の可変容量ポンプ301の吐出流量を増減させる第2の流量制御手段160とを備えている。
【0015】上述の各構成を説明する。まず、第1(第2)の調節手段110(120)は、第1(第2)の可変容量ポンプ201(301)の吐出量を調節する傾転盤202(302)を傾動させるピストン111(121)とこのピストン111(121)の両端部でそれぞれ係合する二つの油圧シリンダ112,113(122,123)とを備えている。このピストン111(121)は、一方の油圧シリンダ112(122)に対応する受圧面が他方の油圧シリンダ113(123)に対応する受圧面よりも大きく設定されている。従って、両シリンダ112,113(122,123)に同じ圧力で圧油が供給されても、ピストン111(121)はシリンダ113(123)側に移動が付勢され、傾転盤202(302)は矢印E(F)方向に傾動が付勢される。ちなみに、第1(第2)の可変容量ポンプ201(301)は、傾転盤202(302)を矢印E(F)方向に傾けるとその流量は低減する。
【0016】さらに、第1(第2)の調節手段110(120)は、各油圧シリンダ112,113(122,123)に対して同じ圧力で圧油を供給する供給管路114(124)と、一方の油圧シリンダ112(122)に対する圧油の供給状態と圧油の排出状態と中立状態とを切り替える三位置の方向切り替え弁115(125)とを備えている。
【0017】上述の供給管路114(124)は、第1(第2)の吐出管路101(102)から分離した管路であり、さらに下流側において一方の油圧シリンダ112(122)側と他方の油圧シリンダ113(123)側へと分離している。そして、供給管路114(124)の油圧シリンダ112(122)側への分離端部の途中に方向切り替え弁115(125)が介挿されている。
【0018】この方向切り替え弁115(125)は、スプールの移動により徐々に切り替えが行われる三位置三ポートの方向切換弁である。そして、その内の二つのポートがそれぞれ分断された供給管路114(124)の上流側114a(124a)と下流側114b(124b)とに接続され、残る一つのポートは圧油のタンクTに向かう戻り管路に接続されている。
【0019】そして、この方向切り替え弁115(125)の1番目の位置(中立位置)においては全てのポートが閉塞された状態となる。また、2番目の位置においては分断されていた供給管路114(124)の上流側114a(124a)と下流側114b(124b)とが連通し,戻り管路116(126)側のポートのみが閉塞された状態となる。さらに、方向切り替え弁115(125)の3番目の位置においては、供給管路114(124)の上流側114a(124a)が閉塞した状態となり、供給管路114(124)の下流側114b(124b)と戻り管路116(126)とが導通した状態となる。
【0020】すなわち、方向切り替え弁115(125)の1番目の位置ではシリンダ112(122)内の圧油の移動が行われないのでピストン111(121)は制止状態となり、2番目の位置では両シリンダ112,113(122,123)に同じ圧力の油圧が供給されるのでピストン111(121)がシリンダ113(123)側に移動し、3番目の位置ではシリンダ113(123)にのみ圧油が供給されると共にシリンダ112(122)内の圧油が排出されるのでピストン111(121)はシリンダ112(122)側に移動する。
【0021】上述した方向切り替え弁115(125)の切り替えは、前述の如くスプールの移動により行われる。即ち、スプールは真ん中に位置するときに第1の位置となり、一方に偏ると第2の位置に、他方に偏ると第3の位置に徐々に切り替わる。そして、このスプールの一端側には当該スプールを第3の位置側に押圧する弾性バネが併設されており、他端側には弾性バネに抗してスプールを第2の位置側へ押圧する二つの油圧ピストン機構131(132),151(161)が併設されている。
【0022】前述した定トルク制御手段130は、各可変容量ポンプ201,301の入力トルクをほぼ一定の目標入力トルクに維持すべく第1及び第2の調節手段110,120を作動させる。各可変容量ポンプ201,301の入力トルクはその吐出流量と吐出圧力の乗算値から求められる。この定トルク制御手段130は、上記油圧ピストン機構131,132と、各供給管路114,124の途中から分岐した圧力検出管路133,134と、第2の吐出管路102から分岐した圧力検出管路135と、第1の吐出管路101から分岐した圧力検出管路136とを備えている。
【0023】油圧ピストン機構131(132)は、三つの受圧面を備える段付きピストン131a(132a)と、各受圧面に対応するシリンダ131b,131c,141(132b,132c,142)とを有する構成となっている。正確には、油圧ピストン機構131,132の各構成の内、段付きピストン131a,132aと、各受圧面に対応するシリンダ131b,131c,132b,132cまでが定トルク制御手段130に含まれ、シリンダ141,142は第1のトルク設定手段140の構成の一部となっている。
【0024】また、上述の圧力検出管路133は、供給管路114から分岐してシリンダ131bに接続されており、第1の可変容量ポンプ201の吐出圧力をシリンダ131bに付勢している。圧力検出管路134は、供給管路124から分岐してシリンダ132bに接続されており、第2の可変容量ポンプ301の吐出圧力をシリンダ132bに付勢している。圧力検出管路135は、第2の吐出管路102から分岐してシリンダ131cに接続されており、第2の可変容量ポンプ301の吐出圧力をシリンダ131cに付勢している。圧力検出管路136は、第1の吐出管路101から分岐してシリンダ132cに接続されており、第1の可変容量ポンプ201の吐出圧力をシリンダ132cに付勢している。
【0025】次に、第1のトルク設定手段140について説明する。この第1のトルク設定手段140は、前述した各油圧ピストン機構131,132のシリンダ141,142と、これら各シリンダ141,142に通じている連通管路143,144と、制御用ポンプ103の排出側から各連通管路143,144に接続されたトルクシフト圧力伝達管路148と、この伝達管路148の途中に介挿され外部からの信号に応じたトルクシフト圧力で各連通管路143,144に圧油を供給するパワーシフト制御用比例制御弁145と、この比例制御弁145に予め設定された複数段階のいずれかのトルクシフト圧力で圧油を供給させる信号を出力する演算部146と、この演算部146に複数段階のいずれかのトルクシフト圧力を選択するかを操縦者が入力する入力装置147とを含む構成となっている。
【0026】比例制御弁145は、トルクシフト圧力伝達管路148を介して制御用ポンプ103から一定の吐出圧力を供給を受けている。そして、制御用ポンプ103からの吐出圧力を上限として、演算部146から入力信号に応じた圧力を各連通管路143,144に付勢する。従って、各油圧ピストン機構131,132の段付きピストン131a,132aには、各ポンプ201,301の吐出圧力に加えて、入力装置147で選択されたトルクシフト圧力が作用することとなる。即ち、これにより、この第1のトルク制御手段140にて、各可変容量ポンプ201,301の入力トルクのトルクシフトを行うことができる。
【0027】また、入力装置147は、操縦者が作業用ショベル装置でこれから行おうとする作業を選択する入力パネルとなっており、選択した作業に好適なトルクシフトが行われるトルクシフト圧力が選択され、かかるトルクシフト圧力が比例制御弁145を介して段付きピストン131a,132に付勢される。
【0028】図3は、各可変容量ポンプ201,301の吐出圧力と吐出流量の関係の一例を示す線図である。複数描かれた特性曲線の一つを例にとると分かるように、前述した定トルクシフト制御手段130の作用により、吐出圧力の増加に反して吐出流量は低減され、逆に吐出圧力の減少に反して吐出流量は増量される制御が行われていることが分かる。この特性曲線の特性は、例えば、各切り替えバルブ115,125のスプールに設けられたバネの弾性係数や段付きピストン131a,132aの各受圧面面積により設定され、この入力トルク制御回路100では、だいたい吐出流量と吐出圧力との積(入力トルク)が一定の目標入力トルクとなるように設定されている。これにより、エンジン200のトルク負荷を一定とすることができる。
【0029】また、第1のトルク設定手段140により、上述の目標入力トルクの値は変えることが可能である。即ち、第1のトルク設定手段140で段階的なトルクシフト圧力を選択することで、特性曲線は一定方向にシフトさせることが可能である。ちなみに第1のトルク設定手段140で選択する圧力が高ければ高いほど特性曲線は図3における左方にシフトする。
【0030】従って、各アクチュエータの作業量に応じてエンジンが出力するトルク量の調節を図ることが可能となり、その運転状態の安定化を図ることが可能となる。
【0031】次に、第1(第2)の流量制御手段150(160)について説明する。この第1(第2)の流量制御手段150(160)は前述した油圧ピストン機構151(161)と、前述した第1(第2)の油圧回路210(310)の通過管路211(311)の下流端部と接続されたネガティブコントロール圧力管路152(162)〔以下、ネガコン管路とする〕とを含む構成からなる。
【0032】第1(第2)の油圧回路210(310)では接続された全てのアクチュエータの作動量に応じた圧油が当該アクチュエータ側に流入する。従って、ネガコン管路152(162)の内部圧力と各アクチュエータの作動量との関係は、一方が増加すれば減少し、減少すれば増加する。この圧力を利用して、油圧ピストン機構151(161)により切り替えバルブ115(125)を第2又は第3の位置に移動させ、第1(第2)の可変容量ポンプ201(301)の吐出流量を増減する制御を行っている。
【0033】従って、第1(第2)の流量制御手段150(160)により、各アクチュエータの操作量が増加すれば、第1(第2)の可変容量ポンプ201(301)の吐出流量も増加させ、各アクチュエータの操作量が減少すれば、第1(第2)の可変容量ポンプ201(301)の吐出流量も低減させる制御が行われる。なお、第1(第2)の流量制御手段150(160)を作動させるための各アクチュエータの作動量は、油圧ピストン機構151(161)のピストンの受圧面面積や切り替えバルブ115に設けられたバネのバネ定数によって設定される。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の入力トルク制御回路100では、各油圧回路210,310に連なる全てのアクチュエータが非作動の状態からいずれかのアクチュエータが作動を開始すると、その作動するアクチュエータに接続された油圧回路のネガコン圧力が急に低下を生じることがあり、その場合、対応する流量制御手段は流量制御を行っている可変容量ポンプに対して流量を増加させる制御を行う。従って、そのアクチュエータへの圧油の供給流量に急な変動を生じるため、作動がぎこちなくなり、操縦者の操作感が悪くなるという不都合があった。
【0035】また、前述した各流量制御手段150,160を有しない入力トルク制御回路の場合であっても、非作動の状態からいずれかのアクチュエータが作動を開始すると、非作動時に定トルク制御手段130によって各可変容量ポンプの流量が高く設定されている状態から作動を開始することとなるため、開始動作がぎこちなくなり、やはり同様に操縦者の操作感が悪くなるという不都合があった。
【0036】
【発明の目的】本発明は、油圧式アクチュエータの操作を円滑に行わしめる可変容量ポンプの入力トルク制御回路を提供することをその目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、一乃至複数の油圧式のアクチュエータに外部から入力された操作量に応じた圧油を供給する油圧回路に圧油を吐出する可変容量ポンプの吐出量を調節する調節手段と、調節手段を介して可変容量ポンプの吐出量と吐出圧力とを乗じてなる入力トルクをほぼ一定の目標入力トルクに維持する定トルク制御手段と、この定トルク制御手段で維持する目標入力トルクを外部から入力される条件に従って特定する第1のトルク設定手段と、を備えている。
【0038】そして、一乃至全てのアクチュエータの操作量の増減に伴って定トルク制御手段で維持する目標入力トルクを特定する第2のトルク設定手段と、第1のトルク設定手段で特定される目標入力トルクと第2のトルク設定手段で特定される目標入力トルクのいずれか小さい方を選択して、定トルク制御手段の目標入力トルクに決定する目標入力トルク選択手段と、第2のトルク設定手段で特定する目標入力トルクが各アクチュエータの操作量の変化に伴って増加する際に当該増加速度を減速させるトルク変動緩和手段と、を有するという構成を採っている。
【0039】請求項2記載の発明では、一乃至複数の油圧式のアクチュエータに外部から入力された操作量に応じた圧油を供給する第1と第2の油圧回路にそれぞれ圧油を吐出する,駆動源を共有した第1と第2の可変容量ポンプの入力トルク制御回路であって、第1と第2の可変容量ポンプの吐出量をそれぞれ調節する第1と第2の調節手段と、各調節手段とを介して第1の可変容量ポンプと第2の可変容量ポンプとの合計の入力トルクをほぼ一定の目標入力トルクに維持する定トルク制御手段と、この定トルク制御手段で維持する目標入力トルクを外部から入力される条件に従って特定する第1のトルク設定手段と、を備えている。
【0040】そして、第1の油圧回路の一乃至全てのアクチュエータの操作量と第2の油圧回路の一乃至全てのアクチュエータの操作量のいずれか多い方の増減に伴って定トルク制御手段で維持する目標入力トルクを特定する第2のトルク設定手段と、第1のトルク設定手段で特定される目標入力トルクと第2のトルク設定手段で特定される目標入力トルクのいずれか小さい方を選択して、定トルク制御手段の目標入力トルクに決定する目標入力トルク選択手段と、第2のトルク設定手段で特定する目標入力トルクが各アクチュエータの操作量の変化に伴って増加する際に当該増加速度を減速させるトルク変動緩和手段と、を有するという構成を採っている。
【0041】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)本願発明の第1の実施形態について図1乃至図3に基づいて説明する。なお、本実施形態で示す各構成の内、前述した従来例で示した構成と同一のものについては同符号を付して重複する説明は省略するものとする。
【0042】図1は、作業用ショベル装置が備える複数の油圧シリンダ,油圧モータ等からなる複数のアクチュエータに操縦者から入力された操作量に応じた圧油を供給する第1と第2の油圧回路210,310と、これらの油圧回路210,310にそれぞれ圧油を吐出する第1と第2の可変容量ポンプ201,301と、これら二つの可変容量ポンプ201,301のトルク制御を行う入力トルク制御回路10とを示している。
【0043】また、図2は、第1及び第2の油圧回路210,310の詳細を示す回路図である。かかる図2に示すように、第1の油圧回路210の各アクチュエータ212と操作レバー216との間には絞り弁219が介挿されてない点においてのみ、従来の構成と異なっている。
【0044】上記入力トルク制御回路10は、まず、第1と第2の可変容量ポンプ201,301の吐出量をそれぞれ調節する第1と第2の調節手段110,120と、各調節手段110,120とを介して第1の可変容量ポンプ201と第2の可変容量ポンプ301の入力トルクをほぼ一定の目標入力トルクに維持する定トルク制御手段130と、この定トルク制御手段130で維持する目標入力トルクを外部から入力される条件に従って特定する第1のトルク設定手段140と、第1の油圧回路210に接続された各アクチュエータの操作量の増減と共に第1の調節手段110を介して第1の可変容量ポンプ201の吐出流量を増減させる第1の流量制御手段150と、第2の油圧回路310に接続された各アクチュエータの操作量の増減と共に第2の調節手段120を介して第2の可変容量ポンプ301の吐出流量を増減させる第2の流量制御手段160とを備えている。
【0045】さらに上記構成に加えてこの入力トルク制御回路10は、第1の油圧回路210の全てのアクチュエータの操作量と第2の油圧回路310の全てのアクチュエータの操作量のいずれか多い方の増減に伴って定トルク制御手段130で維持する目標入力トルクを特定する第2のトルク設定手段20と、第1のトルク設定手段140で特定される目標入力トルクと第2のトルク設定手段20で特定される目標入力トルクのいずれか小さい方を選択して、定トルク制御手段130の目標入力トルクに決定する目標入力トルク選択手段30と、第2のトルク設定手段20で特定する目標入力トルクが各アクチュエータの操作量の変化に伴って増加する際に当該増加速度を減速させるトルク変動緩和手段40とを備えている。
【0046】以下、各部を詳説する。まず、第2のトルク設定手段20は、ネガコン管路152から分岐した分岐管路21と、ネガコン管路162から分岐した分岐管路22と、分岐管路21又は分岐管路22の内部圧力が低い方を下流側に導通させる低圧優先型シャトル弁23と、このシャトル弁23の下流側に接続されたネガコン検出管路24とを有する構成となっている。このネガコン検出管路24は、後述する目標入力トルク選択手段30の高圧優先型シャトル弁31に接続されている。
【0047】前述したように、各ネガコン管路152,162の内部圧力と、各油圧回路210,310ごとに接続された複数のアクチュエータの総操作量との間には、一方が増加すれば他方が減少し、一方が減少すれば他方は増加する関係がある。この第2のトルク設定手段20では、これら各ネガコン管路152,162の圧力を低圧優先型シャトル弁23に導いて低い方の圧力(各油圧回路210,310の操作量の多い方の下流側圧力)を選択し、ネガコン検出管路24に導通させる機能を果たしている。そして、このネガコン検出管路24は、一定条件下で目標入力トルク選択手段30を介して各油圧ピストン機構131,132のシリンダ141,142に連通し、選択された圧力を付勢する。このため、定トルク制御手段30で維持する目標入力トルクの変動を生ぜしめることを可能としている。
【0048】従って、第2のトルク設定手段20は、第1の油圧回路210の全てのアクチュエータの操作量と第2の油圧回路310の全てのアクチュエータの操作量のいずれか多い方の増減に伴って定トルク制御手段130で維持する目標入力トルクを特定することを可能としている。
【0049】さらに、ネガコン検出管路24にはトルク変動緩和手段40が介挿されている。即ち、このトルク変動緩和手段40は、ネガコン検出管路24の途中に設けられた逆止弁41と、この逆止弁41より下流側でネガコン検出管路24から分岐した戻り管路42と、この戻り管路42の途中に設けられた可変調整絞り弁43とを有する構成となっている。上記逆止弁41は、低圧優先型シャトル弁23から高圧優先型シャトル弁31へ向かう方向のみの圧油の流動を許容する。また、戻り管路42は、ネガコン検出管路24から分岐して圧油のタンクTに接続されている。そして、その途中に可変調整絞り弁43が設けられているので余剰の圧油はここから徐々にタンクTに戻される。
【0050】かかる構成により、第2のトルク設定手段20で選択された圧力が各アクチュエータの操作量の増加に伴って急速に減少した場合でも、逆止弁41により圧油の逆流が防止されると共に、絞り弁43を備える戻り管路42を介して逆止弁41よりも下流側の圧油は徐々にタンクTに排出されるので、各油圧ピストン機構131,132に付勢される圧力が徐々に低下することとなる。
【0051】従って、トルク変動緩和手段40では、第2のトルク設定手段20で特定する目標入力トルクが、各アクチュエータの操作量の増加による各油圧ピストン機構131,132への付勢圧力の低下に伴って増加する際に、当該目標入力トルクの増加速度を減速させることを可能としている。
【0052】次に、目標入力トルク選択手段30について説明する。この目標入力トルク選択手段30は、高圧選択型シャトル弁31と、このシャトル弁31の下流側に接続されたトルクシフト圧力伝達管路32と、を有する構成を採っている。この高圧選択型シャトル弁31は、第1のトルク設定手段140のトルクシフト圧力伝達管路148とネガコン検出管路24とが接続され、圧力の高い方をトルクシフト圧力伝達管路32に導通する。このトルクシフト圧力伝達管路32は、連通管路143,144を介して油圧ピストン機構131,132の各シリンダ141,142に接続されている。
【0053】かかる構成により、この目標入力トルク選択手段30は、第1のトルク設定手段140で設定されたトルクシフト圧力と第2のトルク設定手段で選択された圧力(以下、選択されたネガコン圧力とする)とのいずれか高い方の圧力を選択し、各油圧ピストン機構131,132に付勢する。従って、目標入力トルク選択手段30では、第1のトルク設定手段140で特定される目標入力トルクと第2のトルク設定手段20で特定される目標入力トルクのいずれか小さい方を選択して、定トルク制御手段130の目標入力トルクに決定することを可能としている。
【0054】また、トルク変動緩和手段40の下流側であってネガコン検出管路24の途中には、ソレノイドバルブ11が設けられている。このソレノイドバルブ11は、2ポート2位置の方向切り替え弁であり、一方の位置でネガコン検出管路24を導通し、他方の位置で閉塞する。このソレノイドバルブ11は、閉塞位置に切り替えることにより、各ネガコン管路152,162から第2のトルク設定手段20への圧油の流通をブロックする。従って、かかる場合、目標入力トルク選択手段30では第1のトルク設定手段140からのトルクシフト圧力を余儀なく選択し各油圧ピストン機構131,132に付勢する。つまり、このソレノイドバルブ11を閉塞位置に切り替えると、この入力トルク制御回路10は、従来の入力トルク制御回路100と全く同一に機能させることが可能である。なお、このソレノイドバルブ11に替えて手動の方向切り替え弁を使用しても良い。
【0055】次に、上記構成からなる入力トルク制御回路10の動作を図1乃至図3に基づいて説明する。なお、前述したように、図3は各可変容量ポンプ201,301の吐出圧力と吐出流量の関係の一例を示す線図である。
【0056】図3に示すいずれか一つの曲線(以下、P−Q曲線とする)のように、入力トルク制御回路10では、各可変容量ポンプ201,301の吐出流量と吐出圧力の積算値(入力トルク)がおおよそ一定となるように、例えば、吐出圧力が増加すれば吐出流量が減少し、吐出圧力が減少すれば吐出流量が増加する制御が定トルク制御手段130にて行われる。
【0057】そして、この定トルク制御手段130で一定とする目標入力トルクは、第1のトルク設定手段140から付勢されるトルクシフト圧力か或いは第2のトルク設定手段20から付勢されるネガコン圧力により変えることが可能である。図3に示す複数のP−Q曲線は、トルクシフト圧力やネガコン圧力によりトルクシフトされた場合のP−Q曲線の例を示している。図3において、最も右方に位置するP−Q曲線は、トルクシフト圧力又はネガコン圧力の付勢がない状態におけるP−Q曲線であり、その付勢圧力が大きくなるにつれてP−Q曲線は左方にシフトする。
【0058】図3における各P−Q曲線を右から順に■〜■とし、入力トルク制御回路10が適用される作業用ショベル装置の各種作業動作を例にとって、入力トルク制御回路10の動作を説明する。まず、作業用ショベル装置の各部が非作動時においては、各油圧回路210,310のいずれのアクチュエータも作動していない状態のため、当該いずれの油圧回路210,310のネガコン圧力も最大でほぼ同値となる。従って、僅かながらでも低い方のネガコン圧力が第2のトルク設定手段20で選択される。
【0059】一方、第1のトルク設定手段140では、エンジン200の出力不足によるエンストを防止するためにトルクシフトを行うことが通例なので、各アクチュエータの非作動時においては、目標入力トルクは一般に最大値が選択される。従って、トルクシフト圧力は0が選択される。即ち、第1のトルク設定手段140が適用されれば、各可変容量ポンプ201,301はP−Q曲線■に従って動作制御されることになる。
【0060】しかしながら、目標入力トルク選択手段30は高い方の圧力を選択するので、第2のトルク選択手段20からのネガコン圧力が各油圧ピストン機構131,132に付勢され、例えば、各可変容量ポンプ201,301はP−Q曲線■に従って動作制御される。
【0061】そして、例えば、かかる状態から作業用ショベル装置のブームを下げる動作が行われるとする。かかるブームの油圧シリンダ(アクチュエータ)が、第1の油圧回路210に接続されているとすると、第1の油圧回路210に流入している圧油が係る油圧シリンダ側に供給されるので、そのネガコン圧力は急速に低下を生じる。
【0062】従って、第2のトルク設定手段20では第1の油圧回路210のネガコン圧力を選択し、下流側に導通させる。従って、ネガコン検出管路24内では、かかる急速な圧力の低下を生じるが、その途中に設けられたトルク変動緩和手段40の逆止弁41がその下流側の急速な圧力低下を制止する。
【0063】即ち、ネガコン検出管路24内における逆止弁41の下流側の圧油が戻り管路42を通過して徐々にタンクTに排出され、ゆっくりと逆止弁41よりも上流側の圧力に移行する。このときのネガコン圧力がP−Q曲線■からP−Q曲線■までシフトさせるだけの圧力変動を生じている場合には、かかる変動が徐々に行われる。
【0064】このとき、仮に第1のトルク設定手段140で、各可変容量ポンプ201,301をP−Q曲線■に従って制御するトルクシフト圧力が選択されていると、目標入力トルク選択手段30により、P−Q曲線■からP−Q曲線■までの変動が徐々に行われることになる。いずれの場合にせよ、トルク変動緩和手段40により、目標入力トルクの変動が急速に行われることが防止される。
【0065】変動前の各可変容量ポンプ201,301の作動状態がP−Q曲線■上の点Bにある時、P−Q曲線■に移行するトルク変動を生じた場合、その作動状態はP−Q曲線■上の点Aとなる。仮に、このトルク変動が急速に行われると、各可変容量ポンプ201,301の吐出流量は急速に跳ね上がることになり、ブームの下降動作も急な挙動をもって開始されることになる。しかしながら、入力トルク制御回路10ではトルク変動緩和手段40の作用によりトルク変動が徐々に行われるため、このような瞬発的な動作の開始を有効に回避することができる。かかる効果は、ブームの回動のみではなく、作業用ショベル装置の各部における全ての動作について同様である。
【0066】次に、作業用ショベル装置における均し作業等の精度を要求される操作の場合の入力トルク制御回路10の動作を説明する。この均し作業は、作業用ショベル装置のブーム上げ動作及びアームの掘削動作を同時に行う操作が行われるが、操作レバーによる操作自体は浅く、従って、各油圧回路210,310のネガコン圧力は大きくは低下しない。従って、第2のトルク設定手段20で選択されたいずれかの油圧回路210,310のネガコン圧力は、目標入力トルク選択手段30でも選択され、各油圧ピストン機構131,132に付勢される。
【0067】このとき、ネガコン圧力は通常の掘削動作よりも高いので目標入力トルクを小さく設定することができる。従って、各可変容量ポンプの吐出流量も少なく設定され、各アクチュエータの動作速度を遅速化することができ、高い精度で作業を行うことが可能である。またこの場合にも、トルク変動緩和手段40により、仮にネガコン圧力に急な低下を生じても目標入力トルクの急上昇が抑制されるので、より高精度の作業を行うことに好適である。
【0068】次に、作業用ショベル装置における掘削・積み込み作業等の操作量の大きい場合の入力トルク制御回路10の動作を説明する。この場合、操作量が大きいため各油圧回路210,310のネガコン圧力は大きく低下する。一方、第1のトルク設定手段140では操作量の大きな作業に備え、トルクシフト圧力が低く設定される。しかしながら、第2のトルク設定手段20で選択されたネガコン圧力は第1のトルク設定手段140で設定されたトルクシフト圧力よりも低くなるため、目標入力トルク選択手段30では第1のトルク設定手段140で設定されたトルクシフト圧力が選択され、当該トルクシフト圧力が各油圧ピストン機構131,132に付勢される。これにより、従来と同様に、目標入力トルクを大きく設定した状態で作業が行われる。
【0069】また、かかる掘削・積み込み作業にあっては短時間各アクチュエータが非作動状態となる場合が生じるが、このときネガコン圧力の上昇を生じ、これにより当該ネガコン圧力が各油圧ピストン機構131,132に付勢され得る。しかし、その後再び作動状態に戻ってネガコン圧力が低下しても、その急速な変動はトルク変動緩和手段40により回避されると共に、目標入力トルク選択手段30で再びトルクシフト圧力が選択されるため、各アクチュエータへの影響は回避される。
【0070】以上のように、本実施形態の入力トルク制御回路10では、全てのアクチュエータの非作動状態からいずれかのアクチュエータの作動を開始する場合に、第2のトルク設定手段20により、定トルク制御手段130の目標入力トルクに変動を生ぜしめると共に、トルク変動抑制手段40により、目標入力トルクの変動速度を遅速化するため、瞬発的な動作の開始を有効に回避し、滑らかに作動させることができ、操縦者に良好な操作性を提供することが可能である。また、瞬発的な動作の発生を防止するため、それにより発生する操作レバーのレバーハンチングの防止にも効果的である。
【0071】さらに、第2のトルク設定手段20が第1と第2の油圧回路の各アクチュエータの総作動量が多い方のネガコン圧力を選択するので、即ち前記アクチュエータの作動を確実に検知することとなり、操作を行っているにもかかわらずトルク設定手段20による目標入力トルクが変動しないという不都合を回避することができる。
【0072】また、目標入力トルク選択手段30により、第1と第2のトルク設定手段140,20で特定する目標入力トルクの小さい方が選択されるので、駆動源の出力トルク不足の発生を有効に回避することができる。
【0073】なお、本実施形態では、第1のトルク設定手段として、操縦者による任意の選択或いは作業に応じた選択により目標入力トルクを設定する構成を示したが、その他の場合として、エンジンの出力時の回転数を検出(エンジンセンシング)し、出力過多による回転数の増加により目標入力トルクを増加させ、出力不足による回転数の低下により目標入力トルクを低減させる構成を採っても良い。
【0074】また、前述したトルク変動緩和手段40には、図4に示すように、戻り管路42の途中であって可変調整絞り弁43の上流側位置にアキュムレータ44を設ける構成としても良い。かかる構成の場合、ネガコン検出管路24内が一定圧力以上を保持しているときにアキュムレータ44内に圧油が蓄積され、各アクチュエータの操作量が増加してネガコン検出管路24内の圧力低下が生じたときに、逆止弁41より下流側ではアキュムレータ44内の圧油が排出されてその圧力低下はゆっくり行われることになる。従って、係る構成の場合、トルク変動がより緩慢に行われるため、作業用ショベル装置の瞬発的な動作の開始をより有効に回避することができる。
【0075】さらに、図5に他のトルク変動緩和手段40Aを示す。このトルク変動緩和手段40Aは、前述同様にネガコン検出管路24の途中に設けられた逆止弁41と、この逆止弁41を回避するように当該逆止弁41の上流でネガコン検出管路24から分岐して逆止弁41の下流側に再び戻る回避管路42Aと、この回避管路42Aの途中に設けられた可変調整絞り弁43Aと、ネガコン検出管路24の途中であって回避管路42Aよりも下流側に設けられたアキュムレータ44Aとを有する構成を採っている。
【0076】係る構成の場合、ネガコン検出管路24内が一定圧力以上を保持しているときにアキュムレータ44A内に圧油が蓄積され、各アクチュエータの操作量が増加してネガコン検出管路24内の圧力低下が生じたときに、回避管路42A内を圧油が可変調整絞り弁43Aにより流動を制限されつつ逆流を生じるが、回避管路42Aより下流側ではアキュムレータ44A内の圧油が排出されてその圧力低下はゆっくり行われることになる。従って、係る構成の場合、トルク変動が緩慢に行われるため、作業用ショベル装置の瞬発的な動作の開始を有効に回避することができる。
【0077】(第2の実施形態)次に、本願発明の第2の実施形態について図6に基づいて説明する。なお、本実施形態で示す各構成の内、前述した入力トルク制御回路10で示した構成と同一のものについては同符号を付して重複する説明は省略するものとする。
【0078】この第2の実施形態では、前述した第1のトルク設定手段140の構成の一部の機能と目標入力トルク選択手段30の機能とトルク変動緩和手段40の機能とをCPU,ROM,A/D変換器等を含む電子回路にて構成された演算部146Bにて行う入力トルク制御回路10Bを示している。
【0079】即ち、演算部146Bは、前述したネガコン検出管路24の末端部に設けられた圧力センサ149Bの検出圧力と入力装置147から入力設定されるトルクシフト圧力とを比較し大きい圧力を選択しそれに応じた信号を出力する目標入力トルク選択手段30Bと、この目標入力トルク選択手段30Bで選択された圧力の変動の速度が一定の値を超えるときにその変動速度を低減すると共に、その低減した変動速度でパワーシフト制御用比例制御弁145の圧力を決定する駆動信号を出力するトルク変動緩和手段40Bとを備えている。
【0080】係る構成の場合、ネガコン検出管路24内の圧力が常時圧力センサ149Bにて検出され、入力装置147で設定されたトルクシフト圧力と比較される。そして、各アクチュエータの操作量が変化してネガコン検出管路24内で急速な圧力変動を生じたときであって、その変動前と変動後の圧力が入力装置147で設定されたトルクシフト圧力以上のときには、トルク変動緩和手段40Bによりパワーシフト制御用比例制御弁145で調節する圧力の変動速度が遅速化され各油圧ピストン機構131,132に伝達される。従って、係る構成の場合も、トルク変動が緩慢に行われるため、作業用ショベル装置の瞬発的な動作の開始を有効に回避することができる。
【0081】前述のトルク変動緩和手段40では、目標入力トルクの急速な上昇のみを回避していたが、このトルク変動緩和手段40Bでは、急速な上昇及び急速な低下の双方を抑制する設定としても良い。また、この入力トルク制御回路10Bでは、入力トルク制御回路10と比較して油圧回路の構成を簡略化し部品点数を低減しているため、生産性の向上並びに生産コストとの低減を図ることを可能としている。
【0082】(第3の実施形態)次に、本願発明の第3の実施形態について図7及び図8に基づいて説明する。図7は第3の実施形態たる入力トルク制御回路10Cの回路図を示す。また、図8はこの入力トルク制御回路10Cと接続された第1の油圧回路210Cと第2の油圧回路310Cを示す。なお、本実施形態で示す各構成の内、前述した入力トルク制御回路10で示した構成と同一のものについては同符号を付して重複する説明は省略するものとする。
【0083】前述した入力トルク制御回路10では、各油圧回路210,310の下流側からそれぞれネガコン圧力を検出し、それらの内のいずれか低い方の圧力が第1のトルク設定手段140で設定されたトルクシフト圧力よりも高い場合に、そのネガコン圧力に基づいて目標入力トルクのトルクシフトを行う構成を示したが、いわゆるポジティブコントロール圧力(以下、ポジコン圧力とする)に基づいて目標入力トルクのトルクシフトを行うことも可能である。
【0084】このため、本実施形態では第1及び第2の油圧回路210C,310Cが前述した各油圧回路210,310と比較して僅かながら構成が異なっている。まず、この点について説明すると、図8の如く、入力トルク制御回路10Cではネガコン圧力を検出しないのでネガコン管路152,162が存在しない。従って、各通過管路211,311は、各切り替えバルブ212,312群に圧油を供給して、各ネガコン管路152,162に分岐することなく、タンクTに接続されている。
【0085】一方、入力トルク制御回路10Cは、上述のポジコン圧力に基づいて目標入力トルクを特定する第2のトルク設定手段20Cを備える点において、入力トルク制御回路10と異なっている。
【0086】かかる第2のトルク設定手段20Cは、図7の如く、第1の油圧回路210Cの切り替えバルブ212の双方向のポジコン圧力(図7の操作レバー216から二方向に出力される圧力)をそれぞれ検出しこれらのポジコン圧力のいずれか高い方を選択する高圧優先型シャトル弁21Cと、第2の油圧回路310Cの切り替えバルブ312の双方向のポジコン圧力(図7の操作レバー316から二方向に出力される圧力)をそれぞれ検出しこれらのポジコン圧力のいずれか高い方を選択する高圧優先型シャトル弁22Cと、高圧優先型シャトル弁21Cと高圧優先型シャトル弁22Cとで選択された各ポジコン圧力のいずれか高い方を選択する高圧優先型シャトル弁23Cと、高圧優先型シャトル弁23Cで選択されたポジコン圧力Poが入力されるとこれに対応した圧力Pを出力する逆転弁24Cと、この逆転弁24Cの出力段側に接続された出力管路25Cとを含む構成を採っている。
【0087】上記逆転弁24Cは、入力される圧力Poと出力する圧力Pが式P=Pi−Poとなるように設定されている。ここで、圧力Piは制御用ポンプ103から逆転弁24Cに供給される一定圧力である。
【0088】また、出力管路25Cは逆転弁24Cから目標入力トルク選択手段30の高圧優先型シャトル弁31に接続されている。そして、前述したトルク変動緩和手段40とソレノイドバルブ11とは、ネガコン圧力検出管路24に替えてこの出力管路25Cの途中に設けられている。
【0089】さて、上述の構成の場合、高圧優先型シャトル弁21Cに入力される二つのポジコン圧力は、切り替えバルブ212のスプールを移動させるための圧力であるため、いずれかのポジコン圧力が高いときには第1の油圧回路210Cに接続されたアクチュエータはその操作量が大きい状態にある。そして、二つのポジコン圧力はそれぞれアクチュエータに正方向の動作と逆方向の動作とを指示する圧力であるため、いずれのポジコン圧力が高いときでもアクチュエータの操作量は大きい状態にある。従って、高圧優先型シャトル弁21Cによりいずれか高い方のポジコン圧力を選択することで、アクチュエータの操作量の増減を検出することができる。これは、高圧優先型シャトル弁22Cについても同様のことがいえる。
【0090】そして、各高圧優先型シャトル弁21C,22Cで選択されたポジコン圧力のいずれか高い方のポジコン圧力を選択することで、第1の油圧回路210Cのアクチュエータと第2の油圧310Cのアクチュエータのいずれか操作量が大きい方を特定している。さらに、特定されたポジコン圧力の増加に対応して減少し、減少に対応して増加する圧力を出力する逆転弁24Cによりポジコン圧力を逆転させると共に当該逆転された圧力をトルク変動緩和手段40を介して目標入力トルク選択手段30に出力している。このため、目標入力トルク選択手段30に出力される圧力は、入力トルク制御回路10におけるネガコン圧力とほぼ同様の変化をすることとなり、入力トルク制御回路10Cにおいても、入力トルク制御回路10と同様に作用し、同様の効果を得ることを可能としている。
【0091】なお、上記説明では、図7に示すように、第1(第2)の油圧回路210C(310C)につき一つの切り替えバルブ212(312)しか図示していないが、実際は図8の如く複数の切り替えバルブ212(312)を備えている。従って、各切り替えバルブ212(312)ごとに操作レバー216(316)が設けられ、各切り替えバルブ212(312)ごとに双方向のポジコン圧力をそれぞれ検出している。さらに、各切り替えバルブ212(312)のポジコン圧力をそれぞれ比較する高圧優先型シャトル弁(図示略)を有しており、最終的に第1(第2)の油圧回路210C(310C)の各切り替えバルブ212(312)の中で最も高いポジコン圧力が高圧優先型シャトル弁23Cに導かれる構成となっている。即ち、高圧優先型シャトル弁23Cでは、第1の油圧回路210Cで最高のポジコン圧力と第2の油圧回路310Cで最高のポジコン圧力とを比較する構成となっている。
【0092】また、この入力トルク制御回路10Cでは、ポジコン圧力でトルクシフトを行う構成であるため、ネガコン圧力に基づいて制御されていた第1及び第2の流量制御手段150,160に替えて、ポジコン圧力に基づいて制御される第1及び第2の流量制御手段150C,160Cが設けられている。
【0093】この第1(第2)の流量制御手段150C(160C)は、油圧ピストン機構151(161)と、上述した第1(第2)の油圧回路210C(310C)の各切り替えバルブ212(312)の中で最も高いポジコン圧力を検出し油圧ピストン機構151(161)に付勢するポジティブコントロール圧力管路(以下、ポジコン管路と略記する)152C(162C)と、油圧ピストン機構151(161)と方向切り替え弁115(125)のスプールとの間に設けられたてこ機構153C(163C)とを備えている。
【0094】このてこ機構153C(163C)は支点を挟んで一端が油圧ピストン機構151(161)に押圧接触し、他端が方向切り替え弁115(125)のスプールに押圧接触している。従って、油圧ピストン機構151(161)に圧力が付勢されると、前述した第1(第2)の流量制御手段150(160)とは逆方向にスプールを押圧することになる。
【0095】即ち、この第1(第2)の流量制御手段150C(160C)は、ポジコン圧力が上昇する(操作量が大きくなる)と、可変容量ポンプ202(302)の吐出流量を増加せしめることになるので、前述した第1(第2)の流量制御手段150(160)とほぼ同様に機能することとなる。
【0096】(第4の実施形態)次に、本願発明の第4の実施形態について図9に基づいて説明する。なお、本実施形態で示す各構成の内、前述した入力トルク制御回路10Cで示した構成と同一のものについては同符号を付して重複する説明は省略するものとする。
【0097】この第4の実施形態では、前述した第1のトルク設定手段140の構成の一部の機能と目標入力トルク選択手段30の機能とトルク変動緩和手段40の機能とをCPU,ROM,A/D変換器等を含む電子回路にて構成された演算部146Dにて行う入力トルク制御回路10Dを示している。
【0098】即ち、演算部146Dは、前述した高圧優先型シャトル弁23Cの出力段の下流側に設けられた圧力センサ149Dで検出された圧力Poに対応した圧力Pを出力する圧力値変換部12Dと、この出力される圧力Pと入力装置147から入力設定されるトルクシフト圧力とを比較し大きい圧力を選択しそれに応じた信号を出力する目標入力トルク選択手段30Dと、この目標入力トルク選択手段30Dで選択された圧力の変動の速度が一定の値を超えるときにその変動速度を低減すると共に、その低減した変動速度でパワーシフト制御用比例制御弁145の圧力を決定する駆動信号を出力するトルク変動緩和手段40Dとを備えている。
【0099】そして、上記圧力値変換部12Dは、入力される圧力Poと出力する圧力Pが式P=Pi−Poとなるように設定されている。ここで、数値Piは圧力Pの値が目標入力トルクのトルクシフトに好適な値となるように設定された値である。
【0100】係る構成の場合、高圧優先型シャトル弁23Cで選択されたポジコン圧力Poが常時圧力センサ149Dにて検出され、これに基づく変換圧力Pが入力装置147で設定されたトルクシフト圧力と比較される。そして、各アクチュエータの操作量が変化してポジコン圧力Poに急速な圧力変動を生じ、これに伴い変換圧力Pも急速な変動を生じたときであって、その変動前と変動後の圧力が入力装置147で設定されたトルクシフト圧力以上のときには、トルク変動緩和手段40Dによりパワーシフト制御用比例制御弁145で調節する圧力の変動速度が遅速化され各油圧ピストン機構131,132に伝達される。従って、かかる構成の場合も、トルク変動が緩慢に行われるため、作業用ショベル装置の瞬発的な動作の開始を有効に回避することができる。
【0101】前述のトルク変動緩和手段40Cでは、目標入力トルクの急速な上昇のみを回避していたが、このトルク変動緩和手段40Dでは、急速な上昇及び急速な低下の双方を抑制する設定としても良い。また、この入力トルク制御回路10Dでは、入力トルク制御回路10Cと比較して油圧回路の構成を簡略化し部品点数を低減しているため、生産性の向上並びに生産コストとの低減を図ることを可能としている。
【0102】
【発明の効果】本願発明では、全てのアクチュエータの非作動状態からいずれかのアクチュエータの作動を開始する場合に、第2のトルク設定手段により、定トルク制御手段の目標入力トルクに変動を生ぜしめると共に、トルク変動抑制手段により、目標入力トルクの変動速度を遅速化するため、瞬発的な動作の開始を有効に回避し、滑らかに作動させることができ、操縦者に良好な操作性を提供することが可能である。また、瞬発的な動作の発生を防止するため、それにより発生する操作レバーのレバーハンチングの防止にも効果的である。
【0103】また、本願発明において、油圧回路の各アクチュエータにより高い精度が要求される操作量が小さい作業を行う場合、第2のトルク設定手段では小さい値の目標入力トルクを特定する機能を備えており、その一方で、目標入力トルク選択手段ではより小さい値の目標入力トルクが選択されるので、仮に第1のトルク設定手段で特定されている目標入力トルクが小さくても大きくても、定トルク制御手段で維持する目標入力トルクは必ず小さい値の目標入力トルクとすることができる。
【0104】従って、各可変容量ポンプの吐出流量も少なく設定され、各アクチュエータの動作速度を遅速化することができる。従って、本願発明の構成によれば、高い精度で作業を行うことが可能である。またこの場合にも、トルク変動緩和手段により、目標入力トルクの急上昇が抑制されるので、より高精度の作業を行うことに好適である。
【0105】また、目標入力トルク選択手段により、第1と第2のトルク設定手段で特定する目標入力トルクの小さい方が選択されるので、駆動源の出力トルク不足の発生を有効に回避することができる。
【0106】さらに、二つの可変容量ポンプの入力トルク制御を行う構成の場合には、第2のトルク設定手段が第1と第2の油圧回路の各アクチュエータの総作動量が多い場合における当該操作量に基づく目標入力トルクを選択するので、即ちアクチュエータの作動を確実に検知することとなり、操作を行っているにもかかわらず第2のトルク設定手段による目標入力トルクが変動しないという不都合を回避することができる。
【出願人】 【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
【出願日】 平成12年3月13日(2000.3.13)
【代理人】 【識別番号】100079164
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勇
【公開番号】 特開2001−254681(P2001−254681A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−68240(P2000−68240)