| 【発明の名称】 |
圧縮機及びこの圧縮機を備える冷凍装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】平野 裕
【氏名】小松原 健夫
【氏名】須永 高史
【氏名】高橋 康樹
【氏名】赤沢 清
【氏名】伊藤 亨
【氏名】渡邉 正人
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転圧縮要素と、この回転圧縮要素を駆動させ、巻線を有する固定子及び固定子の内側に設けられた回転子とで構成された電動要素を備える圧縮機において、巻線は、内側に耐熱エステル又はエステルイミドからなる層を施し、かつ外側にアミドイミドからなる層を施した二層構造の絶縁材料で被覆されていることを特徴とする圧縮機。 【請求項2】 巻線間を絶縁する絶縁紙として低オリゴマ仕様のPETフィルムを用いたことを特徴とする請求項1記載の圧縮機。 【請求項3】 圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器、乾燥器を配管接続して構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧縮機を備える冷凍装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】この発明は冷媒に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(以下R134aという)等の塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒を用いる冷凍サイクルで、ポリオールエステル油を基油とした冷凍機油を有する冷凍装置に関する。 【0002】 【従来の技術】冷蔵庫、自動販売機及びショーケース用の圧縮機は従来冷媒としてジクロロジフルオロメタン(以下R12という)を多く使用していた。このR12はオゾン層の破壊の問題からフロン規制の対象となっている。そして、このR12の代替冷媒としてR134aを代表とする塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒(HFC,FC)が冷凍機用として検討されている(例えば、特開平1−271491号公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、冷媒R134aは現在使われている鉱物油やアルキルベンゼン油等の冷凍機油との相溶性が悪く、圧縮機への油の戻りの悪化や寝込み起動時の分離冷媒の吸い上げなどから圧縮機の潤滑不良に至る問題があった。 【0004】このため、本発明者らは冷媒R134aと相溶性のある冷凍機油としてポリオールエステル系油を検討した。しかし、このポリオールエステル系油は冷媒圧縮機、特に回転型圧縮機に使用する場合に、熱により分解して生成する脂肪酸で摺動部材に腐食を起こさせ、摩耗を生じさせることが知られている。 【0005】そして、本発明者らは冷媒としてR134aと冷凍機油としてポリオールエステル系油とを組合わせて冷媒圧縮機に使用すべく研究を重ねた結果、上記問題の他に、ポリオールエステル系油は、水分の影響により加水分解を起こして全酸価が上昇し、金属石鹸が生成されてスラッジとなり、冷凍サイクルに悪影響を与えたり、酸素や塩素の影響により、分解、酸化劣化、重合反応が起こり、金属石鹸や高分子スラッジが生成されて冷凍サイクルに悪影響を与えることをつきとめた。 【0006】そこで、本発明者らはポリオールエステル油を用いる圧縮機や冷凍装置の材料に特定の材料を用いることにより、上記の問題を解決できることを見いだした。 【0007】この発明は上記の問題を解決するもので、塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒(例えばR134a)との相溶性のあるポリオールエステル系油を冷凍機油として使用したときの上記の問題を解決し、良好な冷凍装置を得ることを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1記載の如く、回転圧縮要素と、この回転圧縮要素を駆動させ、巻線を有する固定子及び固定子の内側に設けられた回転子とで構成された電動要素を備える圧縮機において、【0009】巻線は、内側に耐熱エステル又はエステルイミドからなる層を施し、かつ外側にアミドイミドからなる層を施した二層構造の絶縁材料で被覆されている圧縮機を提供する。 【0010】この様に、エステル油に対する耐性がある耐熱エステル又はエステルイミドからなる層を内側に、加工性の良好なアミドイミドからなる層を外側に形成した絶縁材料にて巻線を被覆した。 【0011】また、請求項2記載の如く、巻線間を絶縁する絶縁紙として低オリゴマ仕様のPETフィルムを用いた請求項1記載の圧縮機を提供する。 【0012】この様に、低オリゴマ仕様のPETフィルムを用いたため、加水分解を極力防止することができる。 【0013】更に、請求項3記載の如く、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器、乾燥器を配管接続して構成される請求項1又は請求項2記載の圧縮機を備える冷凍装置を提供する。 【0014】 【発明の実施の形態】以下この発明を図に示す実施例に基いて説明する。 【0015】図1は回転型圧縮機の縦断面図である。図1において、Aは冷凍装置を構成する冷凍サイクルであり、圧縮機B、凝縮器C、減圧装置D、蒸発器E、乾燥器Fを配管接続して構成される。そして、前記圧縮機Bは以下の構造を有する。 【0016】1は密閉容器で、この容器内には上側に電動要素2が、下側にこの電動要素によって駆動される回転圧縮要素3が夫々収納されている。電動要素2は有機系材料で絶縁された巻線4を有する固定子5とこの固定子の内側に設けられた回転子6とで構成されている。回転圧縮要素3はシリンダ7と、回転軸8の偏心部9によってシリンダ7の内壁に沿って回転させるローラ10と、このローラの周面に圧接されてシリンダ7内を吸込側と吐出側とに区画するようにバネ11で押圧されるベーン12と、シリンダ7の開口を封じるとともに、回転軸8を軸支する上部軸受13及び下部軸受14とで構成されている。 【0017】そして、上部軸受13にはシリンダ7の吐出側と連通する吐出孔15が設けられている。また、上部軸受13には吐出孔15を開閉する吐出弁16と、この吐出弁を覆うように吐出マフラ17とが取付けられている。 【0018】ローラ10とベーン12とは鉄系材料で形成されている。 【0019】密閉容器1内の底部には、ポリオールと、直鎖又は側鎖のアルキル系脂肪酸とを無触媒で重合した原料からなり、流動点が−50℃、二液分離温度が−30℃、全酸価が0.01mgKOH/g以下で、粘度が40℃で32cst、粘度指数が95のポリオールエステル油のオイル18が貯溜されている。 【0020】このポリオールエステル油には、長期保存下の酸化劣化を防止する目的で、添加剤として2,6ジターシャブチルパラクレゾール(DBPC)のフェノール系酸化防止剤が0.3wt%添加されており、また、加水分解を防止する目的で、0.25wt%のエポキシ系添加剤が添加されている。 【0021】尚、このポリオールエステル油には、必要に応じて5ppmのベンゾトリアゾール(BTA)の銅不活性化剤、及び1wt%のトリクレジルフォスフェート(TCP)の極圧添加剤が添加される。 【0022】冷凍サイクルAには、塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒、例えばR134aが封入されている。 【0023】R134aは、純度が99.97wt%で、塩素系冷媒の混入が56ppmに調整される。また、冷凍サイクルA内の平衡水分(下式Iで示す)が運転初期状態において150ppmとなるように調整されている。
また、冷凍サイクルAに使用する乾燥器Fには、水分吸着剤のポア径が3Å程度のものが使用されている。更に、冷凍サイクルA内の残留酸素量は、サイクル内容積の0.005vol%に調整されている。 【0024】また、圧縮機Bの電動要素2のうち、巻線4は、内側に耐熱エステル(THEIC)又はエステルイミドからなる層を施し、かつ、外側にアミドイミドからなる層を施した二層構造の絶縁材料が被覆されており、又、巻線4間等を絶縁する絶縁紙Hとして低オリゴマ仕様(3量体として0.6wt%以下)のPETフィルムが使用されている。 【0025】そして、オイル18は回転圧縮要素3の摺動部材であるローラ10とベーン12との摺動面を潤滑している。 【0026】回転圧縮要素3のシリンダ7内に流入してローラ10とベーン12との協働で圧縮される冷媒はポリオールエステル系油のオイル18との相溶性のあるR134aで形成されている。 【0027】19は密閉容器1に取付けてシリンダ7の吸込側に冷媒を案内する吸込管、20は密閉容器1の上壁に取付けられて回転圧縮要素3で圧縮されて電動要素2を介して密閉容器1外に冷媒を吐出する吐出管である。 【0028】このように構成された回転型圧縮機に使用される冷凍機油組成物において、吸込管19からシリンダ7内の吸込側に流入した冷媒R134aはローラ10とベーン12との協働で圧縮され、吐出孔15を通って吐出弁16を開放して吐出マフラ17内に吐出される。この吐出マフラ内の冷媒は電動要素2を介して吐出管20から密閉容器1外に吐出される。そして、オイル18は回転圧縮要素3のローラ10やベーン12等の摺動部材の摺動面に供給されて潤滑を行っている。また、シリンダ7内で圧縮された冷媒が低圧側にリークしないようにしている。 【0029】本実施例によれば上記の構成により、以下の作用を奏する。 【0030】本発明のポリオールエステル油18は、冷凍装置Aで使用する全温度帯にてR134aとの相溶性が良好となり、冷媒とオイルの二層分離をなくすことができる。 【0031】このため、冷凍サイクルA中の−30℃以下の低温領域で常にポリオールエステル油18が134aに溶解した状態で存在し、全体として低粘度になるため、圧縮機Bへの油戻りが良好となる。従って、圧縮機Bの油面低下はなくなり、軸受摺動部8,13,14への給油を確保でき、噛りや焼付きを防止できる。 【0032】しかも、本発明のポリオールエステル油18は、油自身が保有するエステル結合が主に圧縮機Bの軸8、軸受13,14の鉄系摺動部表面に分子配向して潤滑性を高める作用と、冷媒(134a)に溶けやすい作用とにより、実粘度を下げることができ、機械損失を低減して圧縮機Bの成績係数を向上できる。 【0033】また、134a冷媒の純度を極めて高いものとしたので、冷凍サイクルA中の異物の混入やCFCの混入が殆どなく、ポリオールエステル油18と冷媒との相溶性を確保して安定した性能を得ることができる。 【0034】また、冷凍装置の運転初期において、オイルが加水分解を起こすのを防止することができ、全酸価の低減、金属石鹸の生成によるスラッジの発生を抑制して摺動部での潤滑特性を確保できる。 【0035】また、ポリオールエステル油18の酸化劣化、重合によるスラッジを防止することができ、信頼性に優れた冷凍装置を提供できる。 【0036】また、特に請求項1の構成により、このポリオールエステル油18は、グリコール油等に比べて酸化劣化安定性を向上でき、圧縮機Bの性能、信頼性を向上できる。 【0037】このことは、DBPCを添加した本発明のポリオールエステル系油18を封入したシールドチューブテストによる実験結果からも確認された。 【0038】即ち、90℃×29日のエージングで、水分を200ppmに調整した条件において、DBPCを添加した本発明のポリオールエステル系油18によれば、初期段階において、全酸価が0.01以下となり、良好な結果が得られた。 【0039】また、請求項2の構成により、軸受摺動面8,10,13,14となる銅表面に吸着し、その触媒作用を抑制することができ、加水分解を抑制できる。 【0040】また、請求項3の構成により、軸受摺動面8,10,13,14に強力な化学吸着膜を形成することができ、摺動部8,10,13,14の潤滑性をより良好として噛りや焼付きを防止できる。 【0041】また、請求項4の構成により、加水分解を抑制することができ、全酸価を低減して金属石鹸の生成を抑制し、装置の信頼性を向上できる。 【0042】以上の作用効果は、図2に示す実機による耐久試験結果からも確認された。 【0043】即ち、横軸に耐久テストの時間を取り、縦軸にコンタミ量(スラッジ量)を取った図2のグラフについて、添加剤(DBPC,エポキシ等)を添加した本発明のポリオールエステル系油18の試料Zを使用し、装置の製造基準を本発明のように制限した基準B(冷媒の純度、冷凍サイクルA内の水分、塩素、酸素量を制限したもの)による試料IVが最良の結果を示した。 【0044】尚、図2中、試料I〜IVの内容は以下の通りである。 【0045】 【表1】
【0046】 但し、添加剤X:DBPC+BTA 但し、添加剤Y:DBPC+BTA+TCP 添加剤Z:DBPC+BTA+TCP+エポキシ 製造基準A:(従来の基準) 冷媒の純度:99.90wt% 冷凍サイクルA内の平衡水分量:600ppm 冷凍サイクルA内の残留酸素量:0.03vol% 冷凍サイクルA内の塩素残量:400ppm 製造基準B:(本発明の基準) 冷媒の純度:99.95wt% 冷凍サイクルA内の平衡水分量:200ppm 冷凍サイクルA内の残留酸素量:0.01vol% 冷凍サイクルA内の塩素残量:100ppm尚、本実施例では塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒としてR134aを例に説明したが、これに限定されるものではなく、他のHFCの冷媒に対しても本発明のポリオールエステル系油は優れた相溶性を発揮し、これらの冷媒に対しても適用できる。 【0047】 【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、ポリオールエステル油を用いる圧縮機や冷凍装置の材料に特定の材料、即ち、エステル油に対する耐性がある耐熱エステル又はエステルイミドからなる層を内側に、加工性の良好なアミドイミドからなる層を外側に形成した絶縁材料にて巻線を被覆することより、加工性を良好に保つと共に、耐油性も向上することとなる。更に、低オリゴマ仕様のPETフィルムを用いたため、加水分解を極力防止することができ、オリゴマ溶出により冷媒配管内のつまりを防止することができる。以って、良好な冷凍装置を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001889 【氏名又は名称】三洋電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成5年2月12日(1993.2.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−254679(P2001−254679A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月21日(2001.9.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−12836(P2001−12836) |
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