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【発明の名称】 ダイアフラム型往復動ポンプ
【発明者】 【氏名】村越 富三雄

【要約】 【課題】ダイアフラムポンプ運転時に、ダイアフラムが吐出口に強く押し当てられることによるダイアフラムの変形、破損等を防止し、かつ、取扱液の円滑な送液を確保することができるダイアフラムポンプを提供すること。

【解決手段】ポンプ内にある取扱液をポンプ外に吐出する際に、ダイアフラムが取扱液吐出口内に入り込むことを阻止し、かつ、ポンプ内に存在する取扱液を取扱液吐出口内に円滑に移動可能とするダイアフラム保護手段を取扱液吐出口部に有することを特徴とするダイアフラムポンプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ダイアフラムによって作動油室と取扱液室とに分割されたポンプ室におけるその取扱液室にカウンタープレートがなく、前記取扱液室に取扱液を送出する取扱液吸込み口部と取扱液室から取扱液を排出する取扱液吐出口部とを備えたダイアフラム型往復動ポンプにおいて、取扱液室内にある取扱液を取扱液室外に吐出する際に、ダイアフラムが取扱液出口内に入り込むことを阻止するダイアフラム破損防止手段を、取扱液吐出口部に備えて成ることを特徴とするダイアフラム型往復動ポンプ。
【請求項2】前記ダイアフラム破損防止手段は、取扱液出口に設けられた環状凹陥部に装着された複数の小孔を有する円盤体を備えて成る前記請求項1に記載のダイアフラム型往復動ポンプ。
【請求項3】前記ダイヤフラム破損防止手段は、付勢部材により取扱液出口を開閉可能とする常開の開閉板を備えて成る前記請求項1に記載のダイアフラム型往復動ポンプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ダイアフラム型往復動ポンプに関し、さらに詳しくは、ダイヤフラム破損防止とポンプ室への吸込性能向上とを達成したダイアフラム型往復動ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】ダイアフラム型往復動ポンプにおいては、ポンプの内部空間をダイアフラムが取扱液側空間と作動油側空間とに分割しており、作動流体側空間側に往復動可能なピストンが設けられている。そして、このピストンの往復動により、作動流体を介してダイアフラムを往復動させることにより、取扱液の取扱液側空間への吸込みおよびポンプ外への吐出を行い、取扱液を連続的に送液する。
【0003】すなわち、ピストンが後退すると、作動流体の圧力が低下することにより、ダイアフラムは作動油側に引っ張られ、作動流体側に膨らんだ状態になる。これに伴い、取扱液側空間に通じる吸込み用流路に設けられた吸込み弁が開き、取扱液が取扱液側空間に流入する。次いでピストンが前進すると、作動油の圧力が上昇することにより、ダイアフラムは取扱液側に力を受け、取扱液を押しながら取扱液側に膨らんだ状態になる。このとき吸込み弁は閉じているので、ポンプ内にある取扱液は、吸込み用流路側へ逆流することなく、取扱液側空間に設けられた吐出用流路からポンプ外に送り出される。以上の工程を繰返すことにより、取扱液は連続的に送液される。
【0004】上記の工程において、作動油からダイアフラムに過剰な力が加わると、ダイアフラムが変形または破損することがある。通常、これを防止するために、ダイアフラムの過剰変形を防止するカウンタープレート(細穴を多数有するプレート)がポンプの内部空間に設置される。ダイアフラム型往復動ポンプには、取扱液側空間と作動油側空間との両方にカウンタープレートを有するものと、作動流体側空間のみにカウンタープレートを有するものとがある。
【0005】しかし、取扱液側空間と作動油側空間との両方にカウンタープレートを有するものは、吸込み工程と吐出工程との両方においてダイアフラムの過剰変形を防止することが可能であるが、吸込み口がカウンタープレートで覆われているので、取扱液をポンプ内に吸込む際に、取扱液がカウンタープレートを通過するときの抵抗が大きくなる。このため、吸込み条件が特に良好なとき以外は運転することができず、高速運転、高粘度流体やスラリーの送液には適さない。
【0006】一方、作動油側空間のみにカウンタープレートを有するものは、吸込み口を覆うカウンタープレートが存在しないので、上記欠点は解消するが、たとえば、運転開始時に作動油側空間に作動油が過剰に入ると、ダイアフラムが過剰に変形し、特に、ダイアフラムが吐出口に強く押し当てられることにより、このダイアフラムの吐出口に当たる部分が吐出口内に押し込まれ、この部分が変形または破損することがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、取扱液側空間にカウンタープレートを有さないダイアフラム型往復動ポンプにおける上記欠点を解決すること、すなわち、ダイアフラム型往復動ポンプ運転時に、ダイアフラムが吐出口に強く押し当てられることによるダイアフラムの変形、破損等を防止し、かつ、取扱液の円滑な送液を確保することができるダイアフラム型往復動ポンプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するためのこの発明は、ダイアフラムによって作動油室と取扱液室とに分割されたポンプ室におけるその取扱液室にカウンタープレートがなく、前記取扱液室に取扱液を送出する取扱液吸込み口部と取扱液室から取扱液を排出する取扱液吐出口部とを備えたダイアフラム型往復動ポンプにおいて、取扱液室内にある取扱液を取扱液室外に吐出する際に、ダイアフラムが取扱液出口内に入り込むことを阻止するダイアフラム破損防止手段を、取扱液吐出口部に備えて成ることを特徴とするダイアフラム型往復動ポンプであり、前記ダイアフラム型往復動ポンプの好適な態様において、前記ダイアフラム破損防止手段は、取扱液出口に設けられた環状凹陥部に装着された複数の小孔を有する円盤体を備えてなり、前記ダイアフラム型往復動ポンプの好適な態様において、前記ダイヤフラム破損防止手段は、付勢部材により取扱液出口を開閉可能とする常開の開閉板を備えて成る。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプは、取扱液室内にカウンタープレートを設置せず、取扱液室内の取扱液吐出口部にダイアフラム破損防止手段を設置したダイアフラム型往復動ポンプである。
【0010】前記ダイアフラム破損防止手段は、取扱液室内にある取扱液を取扱液室外に吐出する際に、ダイアフラムが取扱液吐出口内に入り込むことを阻止し、かつ、取扱液室内に存在する取扱液を取扱液吐出口内に円滑に送出可能にする機能を有する。前記ダイアフラム破損防止手段は、前記の機能を有する限り、その構造、材料等に制限はない。前記ダイアフラム破損防止手段の形状としては、たとえば、取扱液吐出口に装着する蓋、栓のようなものでも、または取扱液吐出口を覆うシート状のものでもよい。
【0011】また、この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプにおけるダイアフラム破損防止手段以外の構造については、特に制約はなく、目的に応じて適宜に設計することができ、従来のダイアフラム型往復動ポンプと同様であってもかまわない。
【0012】以下に、この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプの具体例を、図面を用いて説明する。図1は、この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプの一具体例であるダイアフラム型往復動ポンプ1におけるポンプ本体の主要部を示す断面説明図である。前記ポンプ本体は、取扱液の吸込みおよび吐出を行うダイアフラム型往復動ポンプ1の中心的役割を果たす部分である。したがって、ここではダイアフラム型往復動ポンプ1について、前記ポンプ本体に重点を置いて説明する。なお、ダイアフラム型往復動ポンプ1の、前記ポンプ本体以外の部位については、従来のダイアフラム型往復動ポンプと同様の構造にすることが可能である。
【0013】前記ポンプ本体は、バックアッププレート2と、ダイアフラムヘッド3と、ダイアフラム4と、ピストン5と、吸込み弁6と、吐出弁7と、ダイアフラム破損防止手段8とを有する。
【0014】バックアッププレート2とダイアフラムヘッド3とは、その間にダイアフラム4を挟んだ状態で結合することにより、ポンプ室9を形成する。そして、そのポンプ室9は、ダイアフラム4により、作動油室9aと取扱液室9bとに分割される。
【0015】バックアッププレート2は、円柱状の部材であって、その内部に作動油を収容するオイルバス10を有する。また、バックアッププレート2は、その一端面に凹陥部11を有し、さらにその凹陥部11の底面部には、ダイアフラム4と共に作動油室9aを形成する断面円弧状の凹陥部12を有する。
【0016】さらに、バックアッププレート2にはピストン室13が設けられている。このピストン室13の中に、ピストン室13内を往復摺動可能であるピストン5が嵌挿されている。すなわち、ピストン5は、ピストン室13内を、ポンプ室9方向およびその反対方向に移動可能である。これ以降、ピストン5が、ポンプ室9方向に移動することを「前進する」といい、その反対方向に移動することを「後退する」という。
【0017】バックアッププレート2には、その外周面の下端部に油補給弁14が、外周面の上端部にはレリーフ弁15が設けられており、それぞれ補給油出口14a、排出油入口15aによりピストン室13に連結されている。また油補給弁14およびレリーフ弁15は、それぞれ補給油入口14b、排出油出口15bによりオイルバス10と連結されている。さらに、排出油入口15aと作動油室9aとは、ガス抜き路15cにより連結されている。
【0018】作動油室9aと、ピストン室13内、補給油出口14a内、排出油入口15a内、およびガス抜き路15c内の空間により形成される空間は、作動油で満たされている。
【0019】油補給弁14は、バネ式の玉形逆止弁で、ポンプの通常運転時には、ピストン室内の圧力、バネ14cの作用および弁14dの自重により閉じられている。また、レリーフ弁15もバネ15dの作用によって閉じられている。したがって、ピストン室13およびピストン室13に通じる流路内は通常密封された状態にある。
【0020】ピストン室13からの作動油の漏出等により、ピストン室13の圧力が一定レベル以下に低下すると、オイルバス10内の作動油の圧力に抗しきれずに、弁14dは上昇する。このことにより、補給油入口14b、油補給弁14および補給油出口14aを介してオイルバス10からピストン室13に作動油が流入する。そして、ピストン室13内の圧力が、オイルバス10内の作動油の圧力と釣り合うレベルに達すると、弁14dは下降して、油補給弁14は閉じられる。
【0021】一方、ピストン室13の圧力が一定レベル以上に上昇したときには、レリーフ弁15を開くことにより、排出油入口15a、ガス抜き路15c、レリーフ弁15および排出油出口15bを介してピストン室13からオイルバス10に作動油を、ピストン室13の圧力が一定レベルになるまで流出させることができる。つまり、ピストン室13の圧力は、油補給弁14およびレリーフ弁15の作用により、一定レベルに維持することができるようになっている。
【0022】ダイアフラムヘッド3は、バックアッププレート2と同じ外径を有する円柱状部材であって、その一端面に凹陥部11に嵌合可能な突起部16を有し、さらに、その突起部16の上面には、ダイアフラム4と共に取扱液室9bを形成する凹陥部17を有する。
【0023】凹陥部17を形成する、ダイアフラムヘッド3上の凹面部17aには、その下端部に近い部分に、取扱液が取扱液室9b内に流入する吸込み口30が設けられている。また、ダイアフラムヘッド3における取扱吸込み口(以下、単に吸込み口と称する。)30を形成する部位が吸込み口部18である。そして、吸込み口30からダイアフラムヘッド3内に吸込み流路19が形成され、この吸込み流路19はダイアフラムヘッド3の下端部に設けられた吸込み弁6に接続している。
【0024】また、凹面部17aの上端部に近い部分には、取扱液が取扱液室9bから流出する取扱液吐出口(以下、単に吐出口と称する。)31が設けられている。ダイアフラムヘッド3における吐出口31を形成する部位が吐出口部20である。そして、吐出口部20には、環状凹陥部20aが設けられている。この吐出口部20からダイアフラムヘッド3内に、環状凹陥部20aの底面より直径の小さい円形の断面を有する吐出流路21が形成され、ダイアフラムヘッド3の上端部に設けられた吐出弁7に接続している。吸込み弁6および吐出弁7は逆止弁である。
【0025】なお、前記吸込み口部18が、この発明における「取扱液吸込み口部」であり、前記吐出口部20が、この発明における「取扱液吐出口部」である。
【0026】ダイアフラム4は、円形の薄膜であって、その周縁部を、バックアッププレート2の凹陥部11の底面と、ダイアフラムヘッド3の突起部16の上面とに挟まれた状態で、ポンプ室9内に設置されており、ポンプ室9を作動油室9aと取扱液室9bとに分割している。
【0027】ダイアフラム4は、可撓性を有する膜であり、ピストン室13内の作動油と取扱液室9b内の取扱液との間で流動的に釣り合っており、ダイアフラム4は、ピストン5の前進および後退に伴って作動油側および取扱液側に変形可能である。すなわち、ピストン5が後退すると、ピストン室13内の作動油の圧力が低下し、これに伴いダイアフラム4は作動油側に変形し、取扱液が取扱液室9b内に吸込まれる。また、ピストン5が前進すると、ピストン室13内の作動油の圧力が上昇し、これに伴いダイアフラム4は取扱液側に変形して、取扱液室9b内の取扱液を取扱液室9b外に押出す。このとき、取扱液室9b内の取扱液をすべて取扱液室9b外に押出せるように、ダイアフラム4は凹面部17aに密着するまで取扱液側に変形可能になっている。ダイアフラム4の材質としては、通常はPTFEや合成ゴムが用いられる。
【0028】ダイアフラム破損防止手段8は、吐出口部20に設けられた環状凹陥部20aに装着される。ダイアフラム破損防止手段8の平面説明図を図2(a)に示す。ダイアフラム破損防止手段8は、多数の孔、換言すると複数の小孔を有する円盤体であって、環状凹陥部20a内に嵌装される大きさに設計されている。すなわち、ダイアフラム破損防止手段8は、ダイアフラム破損防止手段8を環状凹陥部20a内に装着した際に、ダイアフラム破損防止手段8と環状凹陥部20aを形成する外周面との間に実質的な隙間を生じない大きさを有し、また、ダイアフラム破損防止手段8の取扱液室9b側の端面は、凹面部17aに対し凹状もしくは凸状になることが実質的にない。
【0029】また、ダイアフラム4は、前述のように、凹面部17aに密着するまで取扱液側に変形可能であるので、作動油室9aに作動油が所定量以上入ったときに、ダイアフラム4は、ダイアフラム破損防止手段8に設けられた前記孔に押圧される。このとき、孔径が一定値以上であると、ダイアフラム4は、ダイアフラム型往復動ポンプ1の運転に伴い前記押圧により前記孔内に凸状の変形を生じる。しかし、孔径が一定値以下であれば、ダイアフラム4は前記孔に押圧されても前記孔内に実質的に押し込まれることがなくなり、前記変形の発生を防止することが可能になる。前記変形が防止可能になる孔径は、ダイアフラム4の材質、厚さ等により決定される。
【0030】一方、孔径が一定値以下であると、取扱液室9b内にある取扱液を吐出流路21方向へ吐出する際に、ダイアフラム破損防止手段8に設けられた前記孔を取扱液がスムースに通過することができず、ダイアフラム型往復動ポンプ1の定量的な送液が確保できない。したがって、ダイアフラム型往復動ポンプ1の定量的な送液のためには、孔径を一定値以上に設定する必要がある。前記孔を取扱液がスムースに通過可能になる孔径は、取扱液の性質により決定される。
【0031】すなわち、ダイアフラム破損防止手段8に設けられた孔の径の大きさは、ダイアフラム破損防止手段8の前記変形の発生を防止することができ、かつ、前記孔を取扱液がスムースに通過することができる大きさに設定され、その大きさは、ダイアフラム破損防止手段8の材質および取扱液の性質により決定され、通常は1〜10mmである。
【0032】また、ダイアフラム破損防止手段8に設けられた孔の数としては、取扱液が前記孔をスムースに通過することが可能となる数に適宜設定することができ、通常は1〜100個である。
【0033】なお、ダイアフラム破損防止手段8の構造としては、ダイアフラム4がダイアフラム破損防止手段8に設けられる孔内に押し込まれることがなく、かつ、取扱液室9b内に存在する取扱液を吐出流路21内に円滑に移動させることができれば、図2(a)に示されたように、同心円上に配列された複数の貫通孔を形成して成る構造に制限されることはなく、図2(b)に示されたように、簀の子状の間隙孔を設けて成る簀の子状構造、図2(c)に示されるように、碁盤の目状乃至格子間隙状に配列された貫通孔を備えて成る構造等であってもよく、また、糸状部材を網状に編んで構成される構造等であってもよい。
【0034】ダイアフラム破損防止手段8の材質としては、ダイアフラム型往復動ポンプ1の運転に対して十分な機械的強度を有するものであれば特に制限はなく、たとえば、金属、合成樹脂等を挙げることができる。
【0035】ダイアフラム破損防止手段8の環状凹陥部20aへの取りつけ方法としては、ダイアフラム型往復動ポンプ1の運転中にダイアフラム破損防止手段8が環状凹陥部20aから離脱することがなければ特に制限はなく、たとえば、吐出口部20の周縁部にダイアフラム破損防止手段保持用フックを設け、ダイアフラム破損防止手段8をこれにより係止する方法、ダイアフラム破損防止手段8の側面に雄ネジを設け、環状凹陥部20aの側面部をこれに対応する雌ネジとし、ダイアフラム破損防止手段8を環状凹陥部20aに螺合する方法、ダイアフラム破損防止手段8の端面が当接するダイアフラムヘッド3の部分にネジ穴を数個設け、さらにダイアフラム破損防止手段8と前記ネジ穴に一致するネジ穴を設けることにより、ネジでダイアフラム破損防止手段8を環状凹陥部20aに固定する方法、ダイアフラム破損防止手段8を環状凹陥部20aに溶接する方法、ダイアフラムヘッド3に直接穴を開ける方法等を挙げることができる。
【0036】取扱液室9bは、上記のように、吸込み口30と吐出口31との2つの取扱液流通口を有する。このうち、ダイアフラム破損防止手段8は、吐出口31を形成する吐出口部20には設けられるが、吸込み口30を形成する吸込み口部18には設けられていない。したがって、吸込み口部18には、取扱液のポンプ室9内への吸込みに対する妨害物が存在しないので、取扱液をポンプ室9内に円滑に吸引することが可能である。なお、ダイアフラム4が吸込み口30内に押圧させることによるダイアフラム4の変形は、以下に示す理由により考慮する必要がない。
【0037】このような構造を有することにより、ダイアフラム型往復動ポンプ1は、ダイアフラム4が吐出口部20に強く押し当てられることによるダイアフラム4の変形および破損等を防止することができ、同時に、取扱液の円滑な吸込みおよび吐出を確保することができる。
【0038】次に、ダイアフラム型往復動ポンプ1の作用について説明する。所定量の作動油を作動油室9a、ピストン室13、補給油出口14a、排出油入口15a、およびガス抜き路15cから成る作動油側空間32に空気が残らないように入れる。吸込み弁6に、取扱液を収容した容器に連結される流路を接続する。そして、ダイアフラム型往復動ポンプ1のモーターを起動させ、ピストン5を駆動させる。
【0039】まずピストン5が後退すると、ピストン室13の容積が増加するので、作動油側空間32内の作動油の圧力は低下する。これに伴い、ダイアフラム4は作動油側に引っ張られ、凹面部12aに密着する。
【0040】一方、ダイアフラム4が作動油側に変形するのに伴い、取扱液室9bは陰圧状態になる。すると、吐出弁7は閉鎖されているので、吸込み弁6側から取扱液が吸上げられ、取扱液は、吸込み弁6の弁6aを押し上げ、吸込み流路19を通って取扱液室9b内に流入する。この際、吸込み口部18にはカウンタープレート等は設置されていないので、取扱液はスムースに流入可能である。そして、取扱液室9b内が常圧に回復した時点で、取扱液の取扱液室9bへの流入は停止し、弁6aは最下点に戻り、取扱液の吸込み用の流路を閉塞する。
【0041】ピストン5は、後退運動の終点に達した後、今度は前進を開始し、これに伴い作動油側空間32内の作動油の圧力は上昇する。すると、ダイアフラム4は取扱液側に押される。このとき、吸込み弁6は前述のように閉鎖されているので、取扱液室9b内の取扱液は吸込み流路19方向へ移動することはできず、またダイアフラム破損防止手段8に設けられた孔は、前述のように、取扱液がスムースに通過するのに十分な大きさを有するので、前記取扱液は前記孔を通過して、吐出流路21に流入し、吐出弁7の弁7aを押し上げて、ポンプ外に排出される。
【0042】ピストン5の前進に伴い、ダイアフラム4は取扱液側に変形し、凹面部17aに密着する。そして、たとえば作動油側空間32内に所定量を越える量の作動油が存在する場合には、ダイアフラム4は、凹面部17aに密着した後、さらに強く凹面部17aに押し付けられる。このとき、前述のように吸込み弁6は閉鎖されているので、吸込み流路19内に満たされた取扱液の抵抗により、ダイアフラム4は、吸込み口30内に押圧されることはない。したがって、吸込み口部18にはダイアフラム破損防止手段を設置しなくても、ダイアフラム4が吸込み口30内に入り込むことによるダイアフラム4の変形は生じることがない。
【0043】一方、取扱液室9b内から吐出流路21側への流通は可能になっているので、ダイアフラム4は、吐出口部20に押圧されることになる。ここで、吐出口部20にダイアフラム破損防止手段8が存在しない場合には、ダイアフラム4は吐出口31内に押し込まれることにより、変形、破損等を発生する。しかし、ダイアフラム型往復動ポンプ1においては、吐出口部20にダイアフラム破損防止手段8を設置しており、ダイアフラム破損防止手段8に設けられた孔は、前述のようにダイアフラム4が前記孔の中に押し込まれるのを防止できる程度に小さい径を有するので、ダイアフラム4は吐出口31内に押し込まれることはない。したがって、ダイアフラム破損防止手段8を有するダイアフラム型往復動ポンプ1においては、ポンプの運転中にダイアフラム4が吐出口部20に押圧されても、ダイアフラム4は変形、破損等を発生することはない。
【0044】すなわち、ダイアフラム破損防止手段8は、取扱液の円滑な移動を確保すると同時に、ダイアフラム4が吐出口31内に押圧されることによる変形、破損等を防止することができる。
【0045】取扱液室9bから吐出流路21方向への取扱液の移動が終了すると、弁7aは再び最下点に戻り、吐出流路21を閉塞する。そして、ピストン5は、前進運動の終点に達した後、今度は後退する。すると、吸込み弁6が開放され、取扱液が取扱液室9b内に流入する。
【0046】ダイアフラム型往復動ポンプ1は、以上の工程を繰返すことにより、ダイアフラムの変形、破損等を防止しながら、送液を行うことができる。
【0047】次に、この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプにおける他の具体例であるダイアフラム型往復動ポンプ41について説明する。ダイアフラム型往復動ポンプ41は、ダイアフラム型往復動ポンプ1におけるダイアフラム破損防止手段8、吐出口部20および吐出流路21とは異なる構造のダイアフラム破損防止手段および吐出口部を有し、他の部分についてはダイアフラム型往復動ポンプ1と同じ構造を有する。したがって、ダイアフラム型往復動ポンプ41については、図3に、ダイアフラム型往復動ポンプ41におけるダイアフラム破損防止手段22、吐出口部29および吐出流路28のみの構造を示す。
【0048】ダイアフラム破損防止手段22は、付勢部材により取扱液出口を開閉可能とする常開の開閉板を備えて成り、具体的には、開閉板でもある保護板23と、軸部24と、保持板25と、止具26と、付勢部材であるバネ27を有する。
【0049】保護板23は、円盤状の部材であって、吐出口部29に設けられた環状凹陥部29a内にちょうど納まる大きさに設計されている。すなわち、保護板23は、保護板23を環状凹陥部29a内に収容した際に、保護板23と環状凹陥部29aを形成する内周面との間に実質的な隙間を生じない大きさを有し、また、ダイアフラム破損防止手段22の取扱液室9b側の端面は、凹面部17aに対し凹状もしくは凸状になることが実質的にない。また、保護板23の一端面の中心部には、軸部24が、前記端面に対し直角に設けられている。
【0050】吐出流路28には、その内周面に環状凹陥部28aが設けられており、その環状凹陥部28aに円盤状の部材である保持板25が装着されている。保持板25には、その中心軸上に両端面を貫通する孔25aが設けられている。孔25aは、軸部24がその中を摺動可能な大きさの径を有する。さらに、保持板25には、取扱液室9bから吐出弁7方向への、取扱液の円滑な流通を可能にする多数の孔25bが設けられている。
【0051】軸部24は、保持板25の孔25aに挿入されており、孔25aに挿入した軸部24の先端部には止具26が設けられている。止具26は、円盤状の部材であって、両端面の中心部に両端面を貫通し、軸部24が嵌入可能な孔を有し、この孔に軸部24を嵌入した状態で軸部24に固定されている。軸部24は、止具26を保持板25に当接させたときに、保護板23が取扱液室9b内に突出し、保護板23と凹面部17aとの間に、取扱液が取扱液室9bから吐出流路28内に円滑に流出することができる空間を形成するのに十分な長さを有する。
【0052】バネ27は、その螺旋部材が形成する内部空間に軸部24を収容した状態で、保護板23と保持板25との間に装着されている。バネ27は、その張力により保護板23を取扱液室9b方向へ押出し、止具26が保持板25に当接することにより停止している。これによってこの保持板25は、常時開の状態に成っている。バネ27の弾力性は、ダイアフラム型往復動ポンプ41の吐出工程において、ダイアフラム4が取扱液側に変形することにより、図3(b)に示すように、保護板23がダイアフラム4に押され、保護板23がバネ27を圧縮して環状凹陥部29a内に収納され、かつ、それ以外の状況においては、図3(a)に示すように、保護板23を取扱液室9b内に突出させることができる程度である。
【0053】ダイアフラム破損防止手段22の材質としては、ダイアフラム型往復動ポンプ41の運転に対して十分な機械的強度を有するものであれば特に制限はなく、たとえば、金属、合成樹脂等を適宜使用することができる。
【0054】次に、ダイアフラム型往復動ポンプ41の作用について説明する。ピストン5、ダイアフラム4、および作動油等の作用については、ダイアフラム型往復動ポンプ1の場合とほぼ同様である。
【0055】まずピストン5が後退すると、これに伴い、ダイアフラム4は作動油側に引っ張られる。このとき、取扱液が吸上げられ、取扱液は、吸込み弁6の弁6aを押し上げ、吸込み流路19を通って取扱液室9b内に流入する。そして、取扱液室9b内が常圧に回復した時点で、取扱液の取扱液室9bへの流入は停止し、弁6aは最下点に戻り、取扱液の吸込み用の流路を閉塞する。
【0056】ピストン5は、後退運動の終点に達した後、今度は前進し、これに伴いダイアフラム4は取扱液側に押される。このとき、吸込み弁6は前述のように閉塞されているので、取扱液室9b内の取扱液は吸込み流路19の方向へ移動することはできない。一方、ダイアフラム破損防止手段22の保護板23は、この状態においては、図3(a)のように、バネ27の張力により取扱液室9b側に突出しており、保護板23と凹面部17aとの間には、取扱液が流入可能な空隙が存在し、また保持板25には取扱液が円滑に移動可能な孔が設けられているので、取扱液室9b内の取扱液は、保護板23と凹面部17aとの間の空隙および保持板25に設けられた孔を通って、吐出流路28内を移動し、吐出弁7の弁7aを押し上げて、ポンプ外に排出される。
【0057】ピストン5の前進に伴い、ダイアフラム4は取扱液側に変形し、保護板23の取扱液室9b側端面に当接し、さらにバネ27の張力に抗して保護板23を吐出流路28方向へ押す。そして、保護板23を環状凹陥部29a内に押し込む。これにより、吐出流路28は閉塞されるが、ダイアフラム4は、ダイアフラム4と凹面部17aとの間に存在する取扱液を押出しつつ保護板23を環状凹陥部29a内に押し込むので、吐出流路28が閉塞されても、ダイアフラム4と凹面部17aとの間に取扱液が実質的に残存することがない。すなわち、取扱液の効率的な吐出が可能である。
【0058】さらに、保護板23が環状凹陥部29a内に収納されると、凹面部17aには、ダイアフラム4が作動油の圧力によって押圧されたときに、ダイフラムが押し込まれる空隙が実質的に存在しなくなる。したがって、ダイアフラム破損防止手段22を有するダイアフラム型往復動ポンプ41においては、たとえポンプ室9内に作動油が所定量を越えて存在すること等により、ダイアフラム4が通常よりも強く凹面部17aに押圧されても、ダイアフラム4は変形、破損等を発生することはない。
【0059】保護板23が環状凹陥部29a内に収納され、吐出流路28が閉塞されると、弁7aは再び最下点に戻る。ピストン5は、前進運動の終点に達した後、今度は後退する。これに伴い、ダイアフラム4が作動油側に変形し、再びバネ27はその張力により保護板23を、取扱液室9b内に突出させる。一方、取扱液は、弁6aを押し上げて、取扱液室9b内に流入する。
【0060】ダイアフラム型往復動ポンプ41は、以上の工程を繰返すことにより、ダイアフラムの変形、破損等を防止しながら、送液を行うことができる。
【0061】
【発明の効果】この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプは、ダイフラム破損防止手段を有することにより、従来の取扱液側にカウンタープレートがないタイプのダイアフラム型往復動ポンプにおいて発生していた、ダイアフラムが吐出口に押し込まれることによるダイアフラムの変形、破損等を防止することができる。
【0062】この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプにおいては、吸込み口には何も装着しないので、従来の取扱液側にカウンタープレートを有するタイプのダイアフラム型往復動ポンプにおいて発生する、取扱液側カウンタープレートの細孔が吸込工程時に流通抵抗を増大させることや、スラリーを送液する場合に、取扱液側カウンタープレートとダイアフラムとの間に固形物が堆積することによるポンプの送液性能の低下を防止することができる。
【0063】ダイアフラム型往復動ポンプの運転開始時において作動油量が過剰であると、特に前記の変形、破損等が発生しやすいので、従来のダイアフラム型往復動ポンプにおいては、作業手順の厳重な遵守が必要であったが、この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプにおいては、多少作動油が過剰であっても前記変形、破損等を発生することがないので、作業開始時に作業手順の遵守のために余分な時間を費やす必要がなく、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0064】この発明に係るダイアフラム型往復動ポンプは、従来のダイアフラム型往復動ポンプの吐出口にダイアフラム破損防止手段を設置するだけで製造できるので、従来のダイアフラム型往復動ポンプに対して大掛りな改良を施す必要がなく、低コストで製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
【出願日】 平成12年11月9日(2000.11.9)
【代理人】 【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹
【公開番号】 特開2001−200792(P2001−200792A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−342615(P2000−342615)