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【発明の名称】 振動式圧縮機
【発明者】 【氏名】森田 一郎

【氏名】小林 正則

【氏名】川端 淳太

【氏名】稲垣 耕

【氏名】石田 貴規

【氏名】片山 誠

【氏名】林 陽

【要約】 【課題】冷凍サイクル等に使用される振動式圧縮機において、潤滑油によるシステム効率の低下を防止するとともに、使用する冷媒量の低減を図る。

【解決手段】圧縮機構部により冷媒を圧縮し、吐出する振動式圧縮機において、潤滑油は使用せず、冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒を使用し、ガスベアリング機構または曲げ剛性の低い連結機構を備えることにより、システム効率が向上するとともに、使用する冷媒量を低減するとともに、摺動損失の低減を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 密閉ケーシング内に縦方向に収納された圧縮機構部により冷媒を圧縮し、吐出する振動式圧縮機において、潤滑油は充填せず、前記冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒を使用し、ピストンとシリンダの摺動部に備えたガスベアリング機構または前記ピストンと弾性要素を連結し且つ曲げ剛性が低い連結機構を備えた振動式圧縮機。
【請求項2】 固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダや前記モータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンや前記モータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が前記固定要素に連結された弾性要素とからなり、曲げ剛性が低い連結機構のみで、前記可動要素と前記弾性要素とを連結している振動式圧縮機。
【請求項3】 固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダや前記モータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンや前記モータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が前記固定要素に連結された弾性要素とからなる振動式圧縮機において、前記弾性要素を含まない前記可動要素の重量m0と前記弾性要素の重量Mbと前記弾性要素の形状や構成によって異なる補正係数βにより決定される(数1)に示した可動部重量をm、前記弾性要素を含まない前記固定要素の重量M0と前記弾性要素の重量Mbと前記補正係数βにより決定される(数2)に示した固定部重量をM、運転される吐出圧力Phと吸入圧力Plと前記ピストンの断面積Aと前記ピストンのストロークSと運転圧力条件などによって異なる補正係数αにより決定される(数3)に示したガスバネ定数をKg、前記弾性要素のバネ定数をKとした場合、前記可動部重量mと、前記固定部重量Mと、前記ガスバネ定数Kgと、前記弾性要素のバネ定数Kにより決定される(数4)に示した共振周波数fに対して、少なくとも±5Hz以内の運転周波数で運転される振動式圧縮機。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍冷蔵装置や空調機等に用いられる振動式圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 冷凍サイクル等に使用する圧縮機には従来から冷媒としてCFC−12(ジクロロ・ジフロロ・メタン、CCl2F2)やHCFC−22(モノクロロ・ジフロロ・メタン、CHClF2)が主に使用されてきたが、オゾン層の破壊による人体や生物系に対する影響や地球温暖化の観点から分子内に塩素(Cl)原子を含まないHFC系冷媒、例えばHFC−134a(1,1,1,−テトラ・フロロ・エタン、CHF2CF3)等の冷媒が使用されてきている。
【0003】さらに近年、特開平8−200224号公報にも示されているように、レシプロ圧縮機、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機、ヘリカルブレード圧縮機において、プロパン、イソブタンなどの可燃性冷媒や自然冷媒が用いられはじめている。
【0004】また、上記以外の圧縮機である振動式圧縮機について、従来の振動式圧縮機として、特開平9−195938号公報に示されているものがある。以下、図面を参照しながら従来の振動式圧縮機について説明する。
【0005】図6は、従来の振動式圧縮機の縦断面図である。図6において1は圧縮機構部であり、圧縮機構部1は、モータ2、シリンダ3、ピストン4、弾性要素5、ブロック6、シリンダーヘッド7とから構成されており、サスペションスプリング(図示せず)により、密閉ケーシング8内に弾性支持されている。モータ2は固定子2a、2bと及び永久磁石2eを含む可動子2cとから構成されており、可動子2cはピストン4に連結固定されている。また、固定子2a内には、巻き線2dが挿入されている。
【0006】9は、ピストン4、モータ2の可動子2cなどから構成される可動要素であり、10はシリンダ、モータ2の固定子2a、2b、ブロック6などから構成される固定要素である。
【0007】弾性要素5は、複数の弾性体5aを積み重ねて構成されており、弾性要素5の内周部5bが可動要素9に固定され、外周部5cが固定要素10であるブロック6に固定されている。弾性体5aは板状であり、例えばバネとして機能するものである。
【0008】シリンダ3は、ピストン4と弾性要素5により軸方向に可動可能なように支持している。11は、密閉ケーシング8内に充填された潤滑油であり、オイル供給装置(図示せず)により摺動部へ供給されている。
【0009】次に、振動式圧縮機の機構について説明する。交流電源によりモータ2の固定子2aに固定された巻き線2dに通電すると、この通電により永久磁石2eにより発生する磁界との作用により、永久磁石2e、可動子2cに軸方向の往復運動する力が発生する。その力により、可動子2cと連結されたピストン4は、弾性要素5を変形させるとともに、その弾性要素5の反発力を利用しながら共振し、効率よく軸方向に往復運動を繰り返す。
【0010】冷却システム(図示せず)からの冷媒ガスは、吸入管(図示せず)を介してシリンダヘッド7内に導かれ、シリンダ3内の圧縮室12に至る。圧縮室12に至った冷媒ガスは、上述したピストン4の往復運動により圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、一旦シリンダヘッド7内に吐出された後、吐出管(図示せず)を介して冷却システムに吐出される。
【0011】使用される冷媒は、主に冷却システムに古くから使用されてきたCFC−12やHCFC−22であり、潤滑油11には主に鉱油が用いられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の振動式圧縮機の構成は、潤滑油11を使用しており、さらに、自然冷媒、可燃性冷媒を用いるいかなる方式、例えばレシプロ圧縮機、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機、ヘリカルブレード圧縮機の圧縮機においても、何らかの潤滑油が使用されている。そのため、潤滑油11を用いることにより、冷却システムにおける熱交換効率が低下し、冷却システムの効率が低くなる可能性があった。
【0013】また、冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの自然冷媒、可燃性冷媒を用いる圧縮機、例えば従来からある振動式圧縮機に上記冷媒を使用した場合を一例に考えてみると、自然冷媒、可燃性冷媒は圧縮機内部等の潤滑油12に溶解し、特に炭化水素は他の冷媒よりも潤滑油11に溶解する量が多い。そのため、冷却システムに必要な冷媒量は、潤滑油11を用いない冷却システムと比べて、潤滑油に溶解する量ほど多くなる可能性があった。特に炭化水素は他の冷媒よりも潤滑油に溶解する量が多く、冷媒量を多く必要とする可能性があった。
【0014】そして、自然冷媒、可燃性冷媒をより多く使用するため、コストが高くなるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が高くなることにつながる可能性があった。
【0015】また、シリンダ3、ピストン4、弾性要素5、モータ2の軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされた時には、ピストン3とシリンダ4の摺動部において、局所的な摺動やこじりが発生し、潤滑油を充填して摺動部に供給していない場合はもとより、潤滑油を供給している場合でも、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗といった信頼性低下が発生する可能性があった。
【0016】また、可動要素9を弾性要素5に連結する際、可動要素9と弾性要素5の軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされた時には、ピストン3とシリンダ4の摺動部において、局所的な摺動やこじりが発生し、潤滑油を充填して摺動部に供給していない場合はもとより、潤滑油を供給している場合でも、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗といった信頼性低下が発生する可能性があった。
【0017】また、圧縮機構部の固定要素、可動要素などの重量、弾性要素のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストン径、ストローク)などにより、弾性要素の反発力を利用しながら共振し、効率よく軸方向に往復運動を繰り返すことができる共振周波数が存在する。しかしながら、その各要素と共振周波数の関係が不明であるため、圧縮機の運転周波数を共振周波数に合わせることができず、圧縮機として効率が悪い運転となる可能性があった。
【0018】また、所定の能力を得る圧縮機を設計することが困難であり、設計した圧縮機の能力が、所定の能力に対して過不足が生じたり、設計に多大な時間を要したする可能性があった。
【0019】本発明は、従来の課題を解決するもので、冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒を使用する振動式圧縮機において、圧縮機構部を縦方向に配置し、さらにピストンとシリンダ部にガスベアリング機構を備えたり、ピストンと弾性要素を連結し且つ曲げ剛性が低い連結機構を介して連結することにより、潤滑油を充填しない圧縮機とし、冷却システムに使用する冷媒量を低減するとともに、冷却システムにおける熱交換効率の向上を図り、冷却システム全体の効率が向上する振動式圧縮機を提供することを目的とする。
【0020】さらに、自然冷媒、可燃性冷媒の使用量を低減できるため、コストが安価となるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が低くなり、安全性が向上する。
【0021】また、シリンダに対してピストンが傾いたり軸心がずれて摺動しようとしても、ピストンの側圧荷重を低減することにより、潤滑油を供給しなくてもピストンとシリンダの摺動部における摺動損失の増大や異常な摩耗を防止し、効率が高く信頼性が向上する振動式圧縮機を提供することを目的とする。
【0022】また、可動要素と弾性要素の軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、その軸心のずれや傾斜を無くす機構を備えることで、ピストンとシリンダの摺動部において、局所的な摺動やこじりが発生することを防止することにより、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止し、効率が高く信頼性が向上する振動式圧縮機を提供することを目的とする。
【0023】また、圧縮機構部の固定要素、可動要素などの重量、弾性要素のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストン径、ストローク)などによりほぼ決定される共振周波数を把握し、圧縮機の運転周波数を共振周波数に合わせることにより、常に効率が高い圧縮機を提供することを目的とする。更に、設計通りの圧縮機を製作可能とし、設計時間の短縮や設計に対する性能・特性差を低減することを目的とする。
【0024】
【課題を解決する手段】この目的を達成するため本発明は、密閉ケーシング内に縦方向に収納された圧縮機構部により冷媒を圧縮し、吐出する振動式圧縮機において、潤滑油は充填せず、冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒を使用し、ピストンとシリンダの摺動部に備えたガスベアリング機構またはピストンと弾性要素を連結し且つ曲げ剛性が低い連結機構を備えたものである。
【0025】これにより、潤滑油を使用しない振動式圧縮機とし、冷却システムに使用する冷媒量を低減するともに、冷却システムにおける熱交換効率の向上を図り、冷却システム全体の効率が向上する。さらに、自然冷媒、可燃性冷媒の使用量を低減できるため、コストが安価となるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が低くなり、安全性が向上する。
【0026】更に、シリンダ、ピストン、弾性要素、モータの軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、ピストンとシリンダの摺動部において、局所的な摺動やこじりが発生することを防止し、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止する。
【0027】また、本発明は、固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダやモータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンやモータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が固定要素に連結された弾性要素とからなり、曲げ剛性が低い連結機構のみで、可動要素と弾性要素とを連結するものである。
【0028】これにより、可動要素を弾性要素に連結する際、可動要素と弾性要素の軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、その軸心のずれや傾斜を連結機構が吸収・補正することで、ピストンとシリンダの摺動部における局所的な摺動やこじりの発生を防止し、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止することで、効率向上や信頼性向上を図る。
【0029】また、本発明は、固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダやモータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンやモータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が固定要素に連結された弾性要素とからなる振動式圧縮機において、弾性要素を含まない可動要素の重量m0と弾性要素の重量Mbと弾性要素の形状や構成によって異なる補正係数βにより決定される(数5)に示した可動部重量をm、弾性要素を含まない固定要素の重量M0と弾性要素の重量Mbと補正係数βにより決定される(数6)に示した固定部重量をM、運転される吐出圧力Phと吸入圧力Plと前記ピストンの断面積AとピストンのストロークSと運転圧力条件などによって異なる補正係数αにより決定される(数7)に示したガスバネ定数をKg、弾性要素のバネ定数をKとした場合、可動部重量mと、固定部重量Mと、ガスバネ定数Kgと、弾性要素のバネ定数Kにより決定される(数8)に示した共振周波数fに対して、少なくとも±5Hz以内の運転周波数で運転するものである。
【0030】
【数5】

【0031】
【数6】

【0032】
【数7】

【0033】
【数8】

【0034】これにより、圧縮機構部の固定要素、可動要素などの重量、弾性要素のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストン径、ストローク)などによりほぼ決定される共振周波数を事前に把握し、圧縮機の運転周波数を共振周波数に合わせることにより、効率向上を図る。更に、設計通りの圧縮機を製作可能とし、設計時間の短縮や設計に対する性能・特性差を低減する。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、密閉ケーシング内に縦方向に収納された圧縮機構部により冷媒を圧縮し、吐出する振動式圧縮機において、潤滑油は充填せず、冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒を使用し、ピストンとシリンダの摺動部に備えたガスベアリング機構またはピストンと弾性要素を連結し且つ曲げ剛性が低い連結機構を備えたものであり、潤滑油を使用しない振動式圧縮機とし、冷却システムに使用する冷媒量を低減するともに、冷却システムにおける熱交換効率の向上を図り、冷却システム全体の効率が向上するという作用を有する。
【0036】さらに、自然冷媒、可燃性冷媒の使用量を低減できるため、コストが安価となるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が低くなり、安全性が向上するという作用を有する。
【0037】また、シリンダ、ピストン、弾性要素、モータの軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、ピストンとシリンダの摺動部において、局所的な摺動やこじりが発生することを防止し、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止するという作用を有する。
【0038】請求項2に記載の発明は、固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダやモータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンやモータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が固定要素に連結された弾性要素とからなり、曲げ剛性が低い連結機構のみで、可動要素と弾性要素とを連結するものであり、可動要素を弾性要素に連結する際、可動要素と弾性要素の軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、その軸心のずれや傾斜を連結機構が吸収・補正することで、ピストンとシリンダの摺動部における局所的な摺動やこじりの発生を防止し、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止することで、効率向上や信頼性向上を図るという作用を有する。
【0039】請求項3に記載の発明は、固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダやモータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンやモータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が固定要素に連結された弾性要素とからなる振動式圧縮機において、弾性要素を含まない可動要素の重量m0と弾性要素の重量Mbと弾性要素の形状や構成によって異なる補正係数βにより決定される(数5)に示した可動部重量をm、弾性要素を含まない固定要素の重量M0と弾性要素の重量Mbと補正係数βにより決定される(数6)に示した固定部重量をM、運転される吐出圧力Phと吸入圧力Plと前記ピストンの断面積AとピストンのストロークSと運転圧力条件などによって異なる補正係数αにより決定される(数7)に示したガスバネ定数をKg、弾性要素のバネ定数をKとした場合、可動部重量mと、固定部重量Mと、ガスバネ定数Kgと、弾性要素のバネ定数Kにより決定される(数8)に示した共振周波数fに対して、±5Hz以内の運転周波数で運転するものであり、圧縮機構部の固定要素、可動要素などの重量、弾性要素のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストン径、ストローク)などによりほぼ決定される共振周波数を事前に把握し、圧縮機の運転周波数を共振周波数に合わせることにより、効率向上を図るという作用を有する。
【0040】更に、設計通りの圧縮機を製作可能とし、設計時間の短縮や設計に対する性能・特性差を低減するという作用を有する。
【0041】
【実施例】以下、本発明による振動式圧縮機の実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】(実施例1)図1は本発明の実施例1による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0043】図1において、圧縮機構部1は密閉ケーシング2内に縦方向に配置されている。また、圧縮機構部1により圧縮し、吐出される冷媒は、プロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒であり、潤滑油は充填していない。
【0044】また、13はガスベアリング機構であり、一端13aが高圧側(図示せず)に連通しており、他端がシリンダ3の内周部に開口している。
【0045】図1において、ピストン4は、モータ2により直接軸方向に往復動し、また弾性要素5による軸方向の反発力を不勢されてシリンダ3内を往復摺動する。さらに、圧縮機構部1が縦方向の配置であるため、ピストン4において、重力により軸方向に対して直角方向の側圧荷重が作用することはない。
【0046】しかしながら、モータ2の加工精度や組み立て精度の影響で、例えば永久磁石2eと固定子2a,2bとの中心がずれると、永久磁石2eが固定子2a,2bの半径方向に磁力により吸引(垂直力)される。そして、永久磁石2eと連結されているピストン4も半径方向に引っ張られ、結果として軸方向に対して直角方向の側圧荷重が作用する。
【0047】ガスベアリング機構13により、ピストン4とシリンダ3の摺動部14に高圧ガスが導入され、ピストン4とシリンダ3の摺動部14において静圧が発生する。その静圧によるピストン支持力,即ちシリンダ3とピストン4の軸中心を一致させてお互いを非接触とするようにピストン4に作用する力が、上記のピストン4に作用する垂直力による側圧荷重以上となるように、流路、圧力設計を行なうことにより、ピストン4とシリンダ3の摺動部は、接触の無いいわゆる非接触の摺動を保つことが出来る。
【0048】従って、ピストン4とシリンダ3の摺動部において、潤滑油がなくても、半径方向の僅かな隙間を確保しつつ、摩耗やこじりが発生することなく運転することができる。さらに、冷却システムにおいて、潤滑油を使用しないため、冷却システムにおける熱交換効率が向上し、冷却システム全体の効率が向上する。
【0049】さらに、地球環境保護に観点から使用することが望ましいプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの自然冷媒、可燃性冷媒を冷媒として使用しても、潤滑油を使用していないため、潤滑油中に冷媒が溶解することもない。そのため、冷却システムに必要な冷媒量は、潤滑油を用いる冷却システムと比べて、潤滑油に溶解する量ほど少なくなる。特に炭化水素は他の冷媒よりも潤滑油に溶解する量が多く、その冷媒量の低減効果は大きい。
【0050】従って、冷却システムとして使用する自然冷媒、可燃性冷媒の使用量が低減できコストが安くなるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が低くなる。
【0051】以上のように本実施例の振動式圧縮機は、密閉ケーシング内に縦方向に収納された圧縮機構部により冷媒を圧縮し、吐出する振動式圧縮機において、潤滑油は充填せず、冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒を使用し、ピストンとシリンダの摺動部に備えたガスベアリング機構を備えたものであり、潤滑油を使用しない振動式圧縮機とし、冷却システムに使用する冷媒量を低減するともに、冷却システムにおける熱交換効率の向上を図り、冷却システム全体の効率の向上を図ることができる。
【0052】さらに、自然冷媒、可燃性冷媒の使用量を低減できるため、コストが安価となるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が低くなり、安全性が向上する。
【0053】また、シリンダ、ピストン、弾性要素、モータの軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、ピストンとシリンダの摺動部において、局所的な摺動やこじりが発生することを防止でき、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止することができる。
【0054】また、冷却システムにおける圧縮機設置スペース等の関係から、本実施例のように縦方向の圧縮機構部配置が望まれる場合においても、適応が可能である。
【0055】(実施例2)図2は本発明の実施例2による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0056】図2において、圧縮機構部1は密閉ケーシング2内に縦方向に配置されている。また、圧縮機構部1により圧縮し、吐出される冷媒は、プロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒であり、潤滑油は充填していない。
【0057】また、16は曲げ剛性が低い連結機構であり、ピストン15と可動要素9とを連結している。
【0058】図2において、ピストン15は、モータ2により直接軸方向に往復動し、また弾性要素5による軸方向の反発力を不勢されてシリンダ3内を往復摺動する。さらに、圧縮機構部1が縦方向の配置であるため、ピストン15において、重力により軸方向に対して直角方向の側圧荷重が作用することはない。
【0059】しかしながら、モータ2の加工精度や組み立て精度の影響で、例えば永久磁石2eと固定子2a,2bとの中心がずれると、永久磁石2eが固定子2a,2bの半径方向に磁力により吸引(垂直力)される。そして、永久磁石2eを含む可動要素9とピストン15が剛性の高い部材で連結されていると、ピストン15も半径方向に引っ張られ、結果として軸方向に対して直角方向の側圧荷重が作用する。
【0060】しかし、本発明では、永久磁石2eを含む可動要素9とピストン15が曲げ剛性の低い連結機構16にて連結されているため、永久磁石2eを含む可動要素9が半径方向に引っ張られても、連結機構16が撓むことにより半径方向への垂直力がピストン15には作用しない。即ち、垂直力による、軸方向に対して直角方向の側圧荷重がピストン15に作用することを防止できる。
【0061】従って、ピストン15とシリンダ3の摺動部において、潤滑油がなくても、半径方向の僅かな隙間を確保しつつ、摩耗やこじりが発生することなく運転することができる。さらに、冷却システムにおいて、潤滑油を使用しないため、冷却システムにおける熱交換効率が向上し、冷却システム全体の効率が向上する。
【0062】さらに、地球環境保護に観点から使用することが望ましいプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの自然冷媒、可燃性冷媒を冷媒として使用しても、潤滑油を使用していないため、潤滑油中に冷媒が溶解することもない。そのため、冷却システムに必要な冷媒量は、潤滑油を用いる冷却システムと比べて、潤滑油に溶解する量ほど少なくなる。特に炭化水素は他の冷媒よりも潤滑油に溶解する量が多く、その冷媒量の低減効果は大きい。
【0063】従って、冷却システムとして使用する自然冷媒、可燃性冷媒の使用量が低減できコストが安くなるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が低くなる。
【0064】以上のように本実施例の振動式圧縮機は、密閉ケーシング内に縦方向に収納された圧縮機構部により冷媒を圧縮し、吐出する振動式圧縮機において、潤滑油は充填せず、冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒を使用し、ピストンと弾性要素を連結し且つ曲げ剛性が低い連結機構を備えたものであり、潤滑油を使用しない振動式圧縮機とし、冷却システムに使用する冷媒量を低減するともに、冷却システムにおける熱交換効率の向上を図り、冷却システム全体の効率の向上を図ることができる。
【0065】さらに、自然冷媒、可燃性冷媒の使用量を低減できるため、コストが安価となるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が低くなり、安全性が向上する。
【0066】また、シリンダ、ピストン、弾性要素、モータの軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、ピストンとシリンダの摺動部において、局所的な摺動やこじりが発生することを防止でき、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止することができる。
【0067】また、冷却システムにおける圧縮機設置スペース等の関係から、本実施例のように縦方向の圧縮機構部配置が望まれる場合においても、適応が可能である。
【0068】(実施例3)図3は本発明の実施例3による振動式圧縮機の縦断面図である。
【0069】図3において、18は曲げ剛性が低い連結機構であり、ピストン17と可動要素9とを連結している。また、可動要素9は連結機構18とのみ連結されており、弾性要素5など他の部材とは連結されていない。
【0070】図3において、ピストン17は、モータ2により直接軸方向に往復動し、また弾性要素5による軸方向の反発力を不勢されてシリンダ3内を往復摺動する。
【0071】しかしながら、可動要素9を弾性要素5に連結する際、剛性の高い部材にて連結し、可動要素9と弾性要素5の軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされると、ピストン17とシリンダ3の摺動部において局所的な摺動やこじりが発生する。しかし、可動要素9は剛性の低い連結機構18のみを介して弾性要素5と連結されるため、可動要素9と弾性要素5の軸心のずれや傾斜を連結機構18が撓むことで吸収・補正するため、ピストン17とシリンダ3の摺動部における局所的な摺動やこじりの発生を防止することができ、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止することで、効率向上や信頼性向上を図ることができる。
【0072】以上のように本実施例の振動式圧縮機は、固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダやモータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンやモータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が固定要素に連結された弾性要素とからなり、曲げ剛性が低い連結機構のみで、可動要素と弾性要素とを連結するものであり、可動要素を弾性要素に連結する際、可動要素と弾性要素の軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、その軸心のずれや傾斜を連結機構が吸収・補正することで、ピストンとシリンダの摺動部における局所的な摺動やこじりの発生を防止し、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止することで、効率向上や信頼性向上を図ることができる。(実施例4)図4は本発明の実施例3による振動式圧縮機の縦断面図であり、図5は、同実施例の効率特性図である。
【0073】図4、図5において、弾性要素5を含まない可動要素9の重量m0と弾性要素5の重量Mbと弾性要素5の形状や構成によって異なる補正係数βにより決定される(数5)に示した可動部重量をm、弾性要素5を含まない固定要素10の重量M0と弾性要素の重量Mbと補正係数βにより決定される(数6)に示した固定部重量をM、運転される吐出圧力Phと吸入圧力Plとピストン4の断面積Aとピストン4のストロークSと運転圧力条件などによって異なる補正係数αにより決定される(数7)に示したガスバネ定数をKg、弾性要素5のバネ定数をKとした場合、可動部重量mと、固定部重量Mと、ガスバネ定数Kgと、弾性要素のバネ定数Kにより決定される(数8)に示した共振周波数fに対して、少なくとも±5Hz以内の運転周波数で運転することにより、圧縮機を効率よく運転できることが発明者の実験により確認されている。
【0074】これにより、圧縮機構部1の固定要素10、可動要素9、弾性要素5などの重量、弾性要素5のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストン4の径、ストローク)などの設計諸元に対して、効率よく運転可能な共振周波数を事前に把握し、圧縮機の運転周波数を共振周波数に合わせることにより、効率向上を図ることが出来る。
【0075】逆に、運転する周波数に合うように、圧縮機構部1の固定要素10、可動要素9、弾性要素5などの重量、弾性要素5のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストン4の径、ストローク)を決定することができる。
【0076】そのため、設計通りの圧縮機を製作可能とし、設計時間の短縮や設計に対する性能・特性差を低減することができ、圧縮機としても常に効率の高い運転が可能となる。
【0077】また、効率よく運転できる共振周波数を検出するための機構、例えば運転周波数を可変し、電流や入力を検出し最も効率の良い運転周波数を検出するといった複雑で高価な機構を設ける必要も無い。
【0078】以上のように本実施例の振動式圧縮機は、固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダやモータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンやモータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が固定要素に連結された弾性要素とからなる振動式圧縮機において、弾性要素を含まない可動要素の重量m0と弾性要素の重量Mbと弾性要素の形状や構成によって異なる補正係数βにより決定される(数5)に示した可動部重量をm、弾性要素を含まない固定要素の重量M0と弾性要素の重量Mbと補正係数βにより決定される(数6)に示した固定部重量をM、運転される吐出圧力Phと吸入圧力Plとピストンの断面積AとピストンのストロークSと運転圧力条件などによって異なる補正係数αにより決定される(数7)に示したガスバネ定数をKg、弾性要素のバネ定数をKとした場合、可動部重量mと、固定部重量Mと、ガスバネ定数Kgと、弾性要素のバネ定数Kにより決定される(数8)に示した共振周波数fに対して、少なくとも±5Hz以内の運転周波数で運転することにより、圧縮機構部の固定要素、可動要素、弾性要素などの重量、弾性要素のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストンの径、ストローク)などの設計諸元に対して、効率よく運転可能な共振周波数を事前に把握し、圧縮機の運転周波数を共振周波数に合わせることにより、効率向上を図ることが出来る。逆に、運転する周波数に合うように、固定要素、可動要素、弾性要素などの重量、弾性要素のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストンの径、ストローク)を決定することができる。
【0079】そのため、設計通りの圧縮機を製作可能とし、設計時間の短縮や設計に対する性能・特性差を低減することができ、圧縮機としても常に効率の高い運転が可能となる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明は、密閉ケーシング内に縦方向に収納された圧縮機構部により冷媒を圧縮し、吐出する振動式圧縮機において、潤滑油は充填せず、冷媒としてプロパン、イソブタン、二酸化炭素などの可燃性冷媒や自然冷媒を使用し、ピストンとシリンダの摺動部に備えたガスベアリング機構またはピストンと弾性要素を連結し且つ曲げ剛性が低い連結機構を備えたものであり、潤滑油を使用しない振動式圧縮機とし、冷却システムに使用する冷媒量を低減するともに、冷却システムにおける熱交換効率の向上を図り、冷却システム全体の効率の向上を図ることができる。
【0081】さらに、自然冷媒、可燃性冷媒の使用量を低減できるため、コストが安価となるだけでなく、万一冷媒が漏洩した際の引火、爆発の可能性が低くなり、安全性が向上する。
【0082】また、シリンダ、ピストン、弾性要素、モータの軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、ピストンとシリンダの摺動部において、局所的な摺動やこじりが発生することを防止でき、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止することができる。
【0083】また、冷却システムにおける圧縮機設置スペース等の関係から、本実施例のように縦方向の圧縮機構部配置が望まれる場合においても、適応が可能である。
【0084】また、請求項2記載の発明は、固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダやモータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンやモータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が固定要素に連結された弾性要素とからなり、曲げ剛性が低い連結機構のみで、可動要素と弾性要素とを連結するものであり、可動要素を弾性要素に連結する際、可動要素と弾性要素の軸心がずれたり傾いて加工・組み立てされても、その軸心のずれや傾斜を連結機構が吸収・補正することで、ピストンとシリンダの摺動部における局所的な摺動やこじりの発生を防止し、摺動損失の増大による圧縮機の効率低下や摺動部の摩耗を防止することで、効率向上や信頼性向上を図ることができる。
【0085】また、請求項3記載の発明は、固定子と可動子とから構成されたモータと、シリンダやモータの固定子などにより構成された固定要素と、ピストンやモータの可動子などにより構成された可動要素と、一部が固定要素に連結された弾性要素とからなる振動式圧縮機において、弾性要素を含まない可動要素の重量m0と弾性要素の重量Mbと弾性要素の形状や構成によって異なる補正係数βにより決定される(数5)に示した可動部重量をm、弾性要素を含まない固定要素の重量M0と弾性要素の重量Mbと補正係数βにより決定される(数6)に示した固定部重量をM、運転される吐出圧力Phと吸入圧力Plとピストンの断面積AとピストンのストロークSと運転圧力条件などによって異なる補正係数αにより決定される(数7)に示したガスバネ定数をKg、弾性要素のバネ定数をKとした場合、可動部重量mと、固定部重量Mと、ガスバネ定数Kgと、弾性要素のバネ定数Kにより決定される(数8)に示した共振周波数fに対して、少なくとも±5Hz以内の運転周波数で運転することにより、圧縮機構部の固定要素、可動要素、弾性要素などの重量、弾性要素のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストンの径、ストローク)などの設計諸元に対して、効率よく運転可能な共振周波数を事前に把握し、圧縮機の運転周波数を共振周波数に合わせることにより、効率向上を図ることが出来る。逆に、運転する周波数に合うように、固定要素、可動要素、弾性要素などの重量、弾性要素のバネ定数、運転圧力条件、圧縮諸元(ピストンの径、ストローク)を決定することができる。
【0086】そのため、設計通りの圧縮機を製作可能とし、設計時間の短縮や設計に対する性能・特性差を低減することができ、圧縮機としても常に効率の高い運転が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000004488
【氏名又は名称】松下冷機株式会社
【出願日】 平成12年1月18日(2000.1.18)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−200787(P2001−200787A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−8911(P2000−8911)