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【発明の名称】 圧縮装置
【発明者】 【氏名】村上 浩

【氏名】川野 慎一朗

【氏名】本田 幸夫

【氏名】岡田 幸弘

【氏名】玉村 俊幸

【要約】 【課題】低電圧バッテリーをコンプレッサモータの電源に用いると、大電流型のモータになり回転型モータにとって、非常に不利な構成となる。本発明は、電気自動車等に使用される燃料電池あるいはガソリンエンジン車のバッテリー等によって駆動される冷房用の圧縮機用モータにおいて、上記の課題を解決する大電流モータを提供するものである。

【解決手段】上記目的を満足するために本発明は、直流電圧を発生する直流電池と、この直流電圧により駆動するリニアモータを有するリニア式圧縮機とを備える圧縮装置であり、高速駆動時でも直線運動するので遠心力が加わらず可動子の信頼性が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 直流電圧を発生する直流電池と、この直流電圧により駆動するリニアモータを有するリニア式圧縮機とを備える圧縮装置。
【請求項2】 リニア式圧縮機は、直線振動をする可動子と、この可動子と連結したバネ手段とを備え、前記可動子の重さと、前記バネ手段とのバネ定数により決定される共振周波数で共振振動する請求項1記載の圧縮装置。
【請求項3】 直流電池の電圧は60V以下である請求項1記載の圧縮装置。
【請求項4】 リニア駆動する可動部が鉄等の磁性体で構成された請求項1記載の圧縮装置。
【請求項5】 リニア駆動する可動部が電流を流すコイルで構成された請求項1記載の圧縮装置。
【請求項6】 リニア駆動する可動部が永久磁石で構成された請求項1記載の圧縮装置。
【請求項7】 バネ手段が機械的バネによって構成された請求項1記載の圧縮装置。
【請求項8】 バネ手段が圧縮機によって圧縮される冷媒ガスのガスバネによって構成された請求項1記載の圧縮装置。
【請求項9】 バネ手段が可動部永久磁石の磁束による磁気バネによって構成されたこ請求項1記載の圧縮装置。
【請求項10】 請求項1記載の圧縮装置を有する電気自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は直流蓄電器によって駆動される圧縮装置に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】電気自動車等に使用される燃料電池あるいはガソリンエンジン車のバッテリー等によって駆動される冷房用の圧縮機用モータは、従来、家庭用エアコン等に一般に使用されている回転型DCブラシレスモータを流用して駆動されていた。従来の家庭用エアコンに使用されるコンプレッサモータのブロック図を図2に示す。図2において交流電源電源7は家庭用の100Vあるいは200V用いており、これをダイオードブリッジなどがら構成される直流変換部6で直流に変換し、インバータ部2によりモータ8の回転位置に対応した最適な電流を流すことでモータを駆動している。図4は家庭内で使用されるエアコン用圧縮機に搭載されている回転型モータの一例を示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電気自動車等で使用されるコンプレッサモータは、家庭用エアコン用モータを流用する場合は、図3に示すように交流電源の代わりに直流バッテリー1を使用する。しかしながら、バッテリーの電圧は家庭用で使用されている交流電源より低い場合が多く、12Vから60V程度が一般的である。直流部の電圧が低くなった場合、同じ負荷ポイントで駆動するには、モータの巻線仕様を改良して巻数を減らして対応するが、モータの巻線には大電流が流れる。例えば200Vで駆動していた家庭用のエアコン用モータを直流12Vのバッテリーで駆動する場合、電流は約16倍にもなり、100Aを超えるの大電流がモータの巻線に流れることになる。この大電流により大きな銅損が発生して、モータの効率が著しく低下してしまう。また、大電流により回転子の永久磁石が減磁してしまう可能性もあり、回転子の信頼性の面からも回転型モータでは不利な構成である。
【0004】このような場合は、大電流による銅損を少しでも低減するため、線径の太い銅線を巻くことになるが、太い線径の銅線をを巻く工程は量産を考えると非常に困難である。
【0005】一方、このような用途にはモータ仕様を高速回転型のモータにして、回転数で出力を稼ぐ方法がある。モータの出力Pは(1)式で示される。
【0006】
【数1】

【0007】ここで、Pはモータ出力、Tはトルク、ωは回転数、φは鎖交磁束、Iは電流である。バッテリー駆動のコンプレッサモータは大電流Iが流れるので、Iを低減して同じ出力を維持するには、回転数ωをアップすれば良い。この場合10000rpmを超える回転数が必要になり、回転子に永久磁石を利用する従来型の回転モータでは過大な遠心力による応力がロータに加わり信頼性が悪くなるという欠点を有している。
【0008】このように低電圧バッテリーをコンプレッサモータの電源に用いると、大電流型のモータになり回転型モータにとって、非常に不利な構成となる。
【0009】本発明は、電気自動車等に使用される燃料電池あるいはガソリンエンジン車のバッテリー等によって駆動される冷房用の圧縮機用モータにおいて、上記の課題を解決する大電流モータを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を満足するために本発明は、直流電圧を発生する直流電池と、この直流電圧により駆動するリニアモータを有するリニア式圧縮機とを備える圧縮装置であり、高速駆動時でも直線運動するので遠心力が加わらず可動子の信頼性が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、直流電圧を発生する直流電池と、この直流電圧により駆動するリニアモータを有するリニア式圧縮機とを備える圧縮装置であり、高速駆動時でも直線運動するので遠心力が加わらず可動子の信頼性が向上する。
【0012】更に、本願発明のリニア式圧縮機は、直線振動をする可動子と、この可動子と連結したバネ手段とを備え、前記可動子の重さと、前記バネ手段とのバネ定数により決定される共振周波数で共振振動する共振型のリニアモータを用いることで、大電流が必要となる低電圧バッテリーを電源とするときでも、太い巻線を巻く作業が簡単になる。共振現象を用いるため、共振周波数で駆動することで駆動電流を大幅に低減することが可能になる等の効果が出て、従来型の回転型モータを利用するより総合的に優れた構成を実現できる。
【0013】また、本願発明の圧縮装置は直流電池の電圧は60V以下の低電圧で駆動するとよい。
【0014】また、本願発明は、リニア駆動する可動部が鉄等の磁性体で構成されしてもよいし、 リニア駆動する可動部が電流を流すコイルで構成されてもよいし、リニア駆動する可動部が永久磁石で構成されてもよい。
【0015】また、バネ手段が機械的バネによって構成されてもよいし、圧縮機によって圧縮される冷媒ガスのガスバネによって構成されてもよいし、リニア駆動する可動部の共振手段が可動部永久磁石の磁束による磁気バネによって構成されてもよい。
【0016】また、本願発明の圧縮装置を電気自動車の空調機器に用いてもよい。
【0017】
【実施例】(実施例1)図1は本発明の第1の実施例を示した図である。図1において、1がバッテリー、2がインバータ部、3がリニアモータ、4がリニアモータの巻線コイル、5がリニアモータの可動子である。図6は図1において、共振現象を用いて駆動するリニアモータの一例を示している。図7において、15は可動子、16は共振用バネ、17は鉄などの磁性体からなるモータフレーム、18はコイル、19は永久磁石である。図6に示すリニアモータは、コイル18に交流電流を流すことで、永久磁石19の磁束との相互作用で、図に示す方向に往復運動する。共振バネ19のバネ定数をk、可動子15の質量をmとすると、共振周波数fは次式で示される。
【0018】
【数2】

【0019】したがって(2)式で示される周波数でモータに電流を流すことで、リニアモータは共振周波数で往復運動を行いその消費電流を低減することができる。また、リニアモータの巻線コイルは図6の例に示すように、円筒状の可動子の外周に巻くため、線形の太い銅線を巻く場合でも、従来の回転型モータより容易に巻くことが出来る。
【0020】また、可動子が直線運動をするため、回転型モータのように遠心力が働かず、高速で駆動した場合でも、高い信頼性を得ることが出来る。このように、直流蓄電池(バッテリー)を駆動電源として駆動する圧縮機モータに、モータが特定の周波数で共振駆動するリニアモータを用いると、生産性、性能、信頼性の面で従来の回転型モータを使用する場合に比べて大きな利点が得られる。
【0021】(実施例2)図5は本発明の第2の実施例を説明した図である。図5は円筒状の鉄片可動型リニアモータを示した図であり、14は固定子、15は鉄などの磁性体からなる可動子、16はバネ、18はコイルである。この構成のリニアモータはコイル18に電流を流すことで、可動子15が左側に吸引され、電流を切るとバネの力で右側に押し出される。この電流のオン、オフ動作を共振周波数で行うことで駆動される。このタイプのリニアモータは、往復運動する可動子が磁石やコイルを用いずに、鉄のみから構成されているので構造が簡単で低コストのモータを提供でき、高速駆動した場合でも、信頼性の高いリニアモータである。また、鉄の吸引力を利用する原理を用いているので、温度上昇時の特性低下が小さく、高温環境で駆動するコンプレッサモータに適した構造である。このタイプのモータを、直流蓄電池(バッテリー)を駆動電源として駆動する圧縮機に用いることで、低コストで信頼性の高い圧縮機モータを実現することが可能である。
【0022】(実施例3)図6は本発明の第3の実施例を説明した図である。図6は円筒状のムービングコイル型リニアモータを示した図であり、15は可動子、16はバネ、18はコイル、19は永久磁石である。永久磁石19は円筒形状をしており、その内径面および外径面がが同じ極性を生ずるように着磁されている。可動子15の表面にはコイル18が巻かれており、コイル18に交流電流を流すことで、可動子15は往復運動をする。また、交流電流をの周波数を共振周波数で流すことで共振駆動することが可能である。
【0023】このタイプのモータは、可動子の質量が軽量化出来るので、モータの応答性が向上し容易に高速振動させることが出来る。また、可動子の質量が軽いため、共振手段で用いるバネのバネ常数も小さく出来るため簡易なモータ構造にすることが出来る。したがって、大電流、高速駆動が必要である直流蓄電池(バッテリー)を駆動電源として駆動する圧縮機にこのタイプのモータは非常に適した構造である。
【0024】(実施例4)図7は本発明の第4の実施例を説明した図である。図7は円筒形状のムービングマグネット型リニアモータを示しており、14は固定子、15は可動子、16はバネなどの共振手段、18はコイル、19は永久磁石である。円筒形状の可動子の表面には永久磁石19が固定されており、その内径面および外径面が同じ極性を生ずるように着磁されている。固定子14のスロットにはコイル18が巻かれており、コイル18に交流電流を流すことで、可動子15は往復運動をする。また、交流電流の周波数を共振周波数で流すことで共振駆動することが可能である。このタイプのモータは永久磁石を可動子に利用しているので大きな推力常数を得ることができ、消費電流を小さくすることが可能である。したがって、大電流、高速駆動が必要である直流蓄電池(バッテリー)を駆動電源として駆動する圧縮機にこのタイプのモータを利用することで、消費電流を低減でき、小型、高効率な圧縮機モータを実現することが可能である。
【0025】(実施例5)実施例5は実施例1の直流蓄電池(バッテリー)を駆動電源として駆動する圧縮機用リニアモータを特定の周波数で共振駆動させる共振手段に機械的バネを用いた構造のリニアモータであり、コイル形状や平板形状の機会バネを用いることで、容易にリニアモータの可動子を共振運動させることが可能になる。機械バネはバネ常数を任意に設計することが容易で、様々な共振周波数で駆動させることが可能になる。
【0026】(実施例6)図8は第6の実施例を示した図である。図8において、23圧縮機の圧縮部、20がシリンダ、21がピストン、22が圧縮室である。この図は、図6で示したムービングコイル型リニアモータの可動子15とピストン21を直結して可動子15を共振周波数で往復運動させることで圧縮室22内の冷媒ガスを圧縮する構成である。冷媒ガスは圧縮されると圧力が増すため、バネと同様の作用をする。この冷媒ガスのバネ作用を共振手段に利用することで機械的バネを省くことができ、部品点数を削減でき、小型でシンプルな構造にすることが可能となる。
【0027】(実施例7)実施例7は実施例1の直流蓄電池(バッテリー)を駆動電源として駆動する圧縮機用リニアモータを特定の周波数で共振駆動させる共振手段に永久磁石の磁気バネを用いた構造のリニアモータである。図7に示すムービングマグネット型のリニアモータは可動子に永久磁石を用いているため、可動子が図示の位置を中心に左右に動かすと中心に戻ろうとするディテント力が働き、この力はバネと同様の作用をする。
【0028】希土類系の磁束密度の高い高性能磁石や、磁石中央部の表面をを切り欠いて凹凸を付けることで大きなディテント力が得られて、機械バネを用いずに磁気バネ作用のみで共振駆動することが可能であり、部品点数を削減でき、小型でシンプルな構造にすることが可能となる。
【0029】
【発明の効果】上記実施例の記載から明らかなように、本発明は直流電圧を発生させる直流蓄電池(バッテリー)を駆動電源として駆動する圧縮機において、圧縮機を駆動する圧縮機用モータが特定の周波数で共振駆動するリニアモータを利用することで、バッテリの供給電圧が低い場合の大電流型、高速駆動型モータを従来の回転型モータより容易に構成することが可能となる。共振型のリニアモータを用いることで、大電流が必要となる低電圧バッテリーを電源とするときでも、太い巻線を巻く作業が簡単になる。高速駆動時でも直線運動するので遠心力が加わらず可動子の信頼性が向上する。共振現象を用いるため、共振周波数で駆動することで駆動電流を大幅に低減することが可能になる等の効果を融資、従来型の回転型モータを利用するより総合的に優れた圧縮機用モータを実現できる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成12年1月18日(2000.1.18)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−200786(P2001−200786A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−8897(P2000−8897)