| 【発明の名称】 |
空調装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】木村 一哉
【氏名】廣瀬 達也
【氏名】太田 雅樹
【氏名】川口 真広
【氏名】横町 尚也
|
| 【要約】 |
【課題】可変容量型圧縮機を共有する冷房回路と暖房回路とのうちのいずれか一方を選択して使用する空調装置における暖房機能が常に有効に働くようにする。
【解決手段】電磁式の容量制御弁43は、吐出室132の吐出圧Pdと、吸入室131の吸入圧Psとの差圧に感応して可変容量型圧縮機25の吐出容量を制御する。容量制御弁43は制御装置59の励消磁制御を受ける。冷房指令スイッチ63をON操作すると、制御装置59は切り換え弁29を消磁状態にし、容量制御弁43による吐出容量制御を伴った冷房制御が遂行される。暖房指令スイッチ64をON操作すると、制御装置59は切り換え弁29を励磁状態にし、容量制御弁43による吐出容量制御を伴った暖房制御が遂行される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】冷媒を圧縮して吐出すると共に、制御圧を変更して吐出容量を変更する可変容量型圧縮機、及び前記可変容量型圧縮機を共有する冷房回路と暖房回路とを備え、前記冷房回路と暖房回路とのうちのいずれか一方を選択して使用する空調装置において、吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧、又は前記吐出圧領域の圧力と前記制御圧との差圧に基づいて前記可変容量型圧縮機における吐出容量を制御する容量制御手段を備え、前記冷房回路で冷媒を循環させる際の前記吐出容量、及び前記暖房回路で冷媒を循環させる際の前記吐出容量のいずれも前記容量制御手段によって制御するようにした空調装置。 【請求項2】前記容量制御手段は、前記差圧が予め設定された差圧を上回ると前記吐出容量を減らすように制御する請求項1に記載の空調装置。 【請求項3】前記可変容量型圧縮機は、回転軸と一体的に回転するように、かつ前記回転軸に対して傾角可変に制御圧室に収容された斜板、及び前記回転軸の周りに配列されると共に、前記斜板の傾角に応じた往復動作を行なう複数のピストンを備え、前記ピストンの往動動作によってシリンダボアから吐出室へ前記冷媒を吐出すると共に、前記ピストンの復動動作によって吸入室から前記シリンダボアへ前記冷媒を吸入し、前記吐出室から圧力供給通路を介して前記制御圧室へ冷媒を供給すると共に、前記制御圧室から放圧通路を介して前記吸入室へ冷媒を放出して前記制御圧室内の圧力を制御し、前記制御圧室内の圧力の制御に基づいて前記斜板の傾角を制御する圧縮機であり、前記容量制御手段は、前記圧力供給通路における冷媒の流量、又は前記放圧通路における冷媒の流量、又は前記圧力供給通路及び前記放圧通路の両方の冷媒の流量を制御する請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の空調装置。 【請求項4】前記容量制御手段は、前記差圧に基づいて前記吐出容量を制御する請求項3に記載の空調装置。 【請求項5】前記容量制御手段は、前記差圧に感応して弁開度を調節する差圧感応型の容量制御弁を含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空調装置。 【請求項6】前記差圧感応型の容量制御弁は、前記差圧を加えられる弁体と、前記差圧を規定するために前記差圧に対抗するように前記弁体に駆動力を加える差圧規定用駆動力付与手段とを備えている請求項5に記載の空調装置。 【請求項7】前記容量制御手段は、差圧規定用情報に基づいて前記差圧規定用駆動力付与手段の駆動力を制御する駆動力制御手段を備えている請求項6に記載の空調装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒を圧縮して吐出すると共に、制御圧を変更して吐出容量を変更する可変容量型圧縮機、及び前記可変容量型圧縮機を共有する冷房回路と暖房回路とを備え、前記冷房回路と暖房回路とのうちのいずれか一方を選択して使用する空調装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この種の空調装置が特開平7−19630号公報に開示されている。冷房回路を使用しているときには、圧縮機から吐出された冷媒は、コンデンサ(凝縮器)、膨張弁及びエバポレータを経由して圧縮機に還流する。暖房回路を使用しているときには、圧縮機から吐出された冷媒は、第1バイパス流路上の減圧装置及びエバポレータを経由して圧縮機に還流する。冷房回路と暖房回路との使用の切り換えは、切り換え弁の開閉動作によって行われる。 【0003】暖房回路の使用時にはコンデンサが切り離されるため、吐出圧は圧縮機の吐出量とバイパス上の減圧装置の流量とのバランスで決まる。このため、冷房回路の使用時における圧縮機の吐出圧よりも高い状態になり易い。そのため、暖房回路の使用時には吐出圧が異常高圧になり易い。そこで、特開平7−19630号公報の従来装置では、冷房回路と暖房回路とを連絡する第2バイパス流路上に圧力リリーフ弁が介在されている。暖房回路の使用時に吐出圧が異常高圧になった場合には、圧力リリーフ弁が開いて冷媒が暖房回路側からコンデンサ側へ放出されるようになっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、暖房回路の使用時に吐出圧が異常高圧になる度に冷媒が暖房回路側からコンデンサ側へ放出されてしまい、暖房回路側の冷媒が減少して暖房能力が不足する。又、このような冷媒の放出は、圧縮機に仕事をさせて高圧に昇圧した冷媒をコンデンサ側へ無駄に放出することになり、エネルギー効率も悪い。 【0005】冷房回路及び暖房回路に共有される圧縮機として特開平11−180138号公報に開示されるような可変容量型圧縮機、即ち吸入圧の設定圧を調整可能な可変容量型圧縮機を用いた場合、空調装置が暖房機能を果たせなくなる状況が発生するおそれがある。即ち、特開平11−180138号公報に開示される可変容量型圧縮機に用いられる容量制御弁は、前記設定圧を下げるほど吐出容量を減らすように働く。そのため、冷媒の飽和圧力が前記設定圧の範囲を越えて低下するほどに外気温が低下したときには、吐出容量を増大することができず、空調装置が暖房機能を果たせなくなる。 【0006】本発明は、可変容量型圧縮機を共有する冷房回路と暖房回路とのうちのいずれか一方を選択して使用する空調装置における暖房機能が常に有効に、かつ効率的に働くようにすることを第1の目的とし、冷暖房機能の低下を回避することを第2の目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】そのために本発明は、冷媒を圧縮して吐出すると共に、制御圧を変更して吐出容量を変更する可変容量型圧縮機、及び前記可変容量型圧縮機を共有する冷房回路と暖房回路とを備え、前記冷房回路と暖房回路とのうちのいずれか一方を選択して使用する空調装置を対象とし、請求項1の発明では、吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧、又は前記吐出圧領域の圧力と前記制御圧との差圧に基づいて前記可変容量型圧縮機における吐出容量を制御する容量制御手段を備えた空調装置を構成し、前記冷房回路で冷媒を循環させる際の前記吐出容量、及び前記暖房回路で冷媒を循環させる際の前記吐出容量のいずれも前記容量制御手段によって制御するようにした。 【0008】吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧、又は前記吐出圧領域の圧力と前記制御圧との差圧に基づく吐出容量の制御は、極低温時においても吐出容量を増大する制御を可能とする。従って、空調装置は、極低温時においても暖房機能を果たす。 【0009】請求項2の発明では、請求項1において、前記差圧が予め設定された差圧を上回ると前記吐出容量を減らすように制御する前記容量制御手段を構成した。吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧は、吐出圧の上昇に伴って大きくなる。容量制御手段が吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧に基づいて吐出容量の制御を行なう場合、前記吐出圧領域の圧力と前記吸入圧領域の圧力との差圧が予め設定された差圧を上回ると前記容量制御手段が前記吐出容量を減らすように制御する。従って、吐出圧の異常昇圧が防止される。 【0010】吐出圧領域の圧力と制御圧との差圧は、吐出圧の上昇に伴って大きくなる。容量制御手段が吐出圧領域の圧力と制御圧との差圧に基づいて吐出容量の制御を行なう場合、前記吐出圧領域の圧力と前記制御圧との差圧が予め設定された差圧を上回ると前記容量制御手段が前記吐出容量を減らすように制御する。従って、吐出圧の異常昇圧が防止される。 【0011】請求項3の発明では、請求項1及び請求項2のいずれか1項において、前記可変容量型圧縮機は、回転軸と一体的に回転するように、かつ前記回転軸に対して傾角可変に制御圧室に収容された斜板、及び前記回転軸の周りに配列されると共に、前記斜板の傾角に応じた往復動作を行なう複数のピストンを備え、前記ピストンの往動動作によってシリンダボアから吐出室へ前記冷媒を吐出すると共に、前記ピストンの復動動作によって吸入室から前記シリンダボアへ前記冷媒を吸入し、前記吐出室から圧力供給通路を介して前記制御圧室へ冷媒を供給すると共に、前記制御圧室から放圧通路を介して前記吸入室へ冷媒を放出して前記制御圧室内の圧力を制御し、前記制御圧室内の圧力の制御に基づいて前記斜板の傾角を制御する圧縮機とし、前記圧力供給通路における冷媒の流量、又は前記放圧通路における冷媒の流量、又は前記圧力供給通路及び前記放圧通路の両方の冷媒の流量を制御する前記容量制御手段を構成した。 【0012】容量制御手段は、圧力供給通路における冷媒の流量、又は放圧通路における冷媒の流量、又は圧力供給通路及び放圧通路の両方の冷媒の流量を制御して制御圧室内の圧力を制御する。吐出容量を増大する場合には制御圧室内の圧力の降圧が行われ、吐出容量を低減する場合には制御圧室内の圧力の昇圧が行われる。 【0013】請求項4の発明では、請求項3において、前記差圧に基づいて前記吐出容量を制御する前記容量制御手段を構成した。容量制御手段が吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧に基づいて吐出容量の制御を行なうものである場合、容量制御手段は、吐出室内の圧力と吸入室内の圧力との差圧に基づいて、圧力供給通路における冷媒の流量、又は放圧通路における冷媒の流量を制御して制御圧室内の圧力を制御する。容量制御手段が吐出圧領域の圧力と制御圧との差圧に基づいて吐出容量の制御を行なうものである場合、容量制御手段は、吐出室内の圧力と制御圧室内の圧力との差圧に基づいて、圧力供給通路における冷媒の流量、又は放圧通路における冷媒の流量を制御して制御圧室内の圧力を制御する。 【0014】請求項5の発明では、請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、前記差圧に感応して弁開度を調節する差圧感応型の容量制御弁を含む前記容量制御手段を構成した。 【0015】差圧感応型の容量制御手段が吐出室内の圧力と吸入室内の圧力との差圧に基づいて吐出容量の制御を行なうものである場合、差圧感応型の容量制御弁は、吐出室内の圧力と吸入室内の圧力との差圧に感応して、圧力供給通路における冷媒の流量、又は放圧通路における冷媒の流量を制御する。差圧感応型の容量制御手段が吐出室内の圧力と制御圧室内の圧力との差圧に基づいて吐出容量の制御を行なうものである場合、差圧感応型の容量制御弁は、吐出室内の圧力と制御圧室内の圧力との差圧に感応して、圧力供給通路における冷媒の流量、又は放圧通路における冷媒の流量を制御する。 【0016】請求項6の発明では、請求項5において、前記差圧を加えられる弁体と、前記差圧を規定するために前記差圧に対抗するように前記弁体に駆動力を加える差圧規定用駆動力付与手段とを備えた前記差圧感応型の容量制御弁を構成した。 【0017】差圧感応型の容量制御手段が吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧に基づいて吐出容量の制御を行なうものである場合、差圧規定用駆動力付与手段によって弁体に加えられる駆動力と、吐出圧領域の吐出圧と吸入圧領域の圧力との差圧とが弁体を介して対抗し、前記差圧が前記駆動力に対応した差圧となるように弁開度が自律的に制御される。差圧感応型の容量制御手段が吐出圧領域の圧力と制御圧との差圧に基づいて吐出容量の制御を行なうものである場合、差圧規定用駆動力付与手段によって弁体に加えられる駆動力と、吐出圧領域の吐出圧と制御圧との差圧とが弁体を介して対抗し、前記差圧が前記駆動力に対応した差圧となるように弁開度が自律的に制御される。 【0018】請求項7の発明では、請求項6において、差圧規定用情報に基づいて前記差圧規定用駆動力付与手段の駆動力を制御する駆動力制御手段を備えた前記容量制御手段を構成した。 【0019】駆動力制御手段は、差圧規定用情報に基づいて差圧規定用駆動力付与手段の駆動力を決定し、差圧規定用駆動力付与手段は、駆動力制御手段によって決定された駆動力を弁体に加える。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、車両に搭載された空調装置に本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。 【0021】図1及び図3は、可変容量型圧縮機25を共有する冷房回路26及び暖房回路27を示す。冷房回路26は、可変容量型圧縮機25、流路28、電磁三方弁型の切り換え弁29、流路30、凝縮器31、逆止弁32、膨張弁33、流路34及び蒸発器35からなる。暖房回路27は、可変容量型圧縮機25、流路28、切り換え弁29、流路36、絞り37、流路34及び蒸発器35からなる。蒸発器35の出口側には感温筒38が設置されている。感温筒38は蒸発器35の出口側の温度に応じた圧力を膨張弁33に伝える。膨張弁33の弁開度は、蒸発器35の出口側の温度に応じて感温筒38から伝えられる圧力に基づいて制御される。 【0022】切り換え弁29が図1に示す第1の切り換え状態にある場合、可変容量型圧縮機25から吐出される冷媒は、切り換え弁29、凝縮器31、逆止弁32、膨張弁33及び蒸発器35を経由して可変容量型圧縮機25に還流する。このように冷媒が冷房回路26を循環する場合には、蒸発器35では車両の室内を冷やす熱交換作用が行われる。切り換え弁29が図3に示す第2の切り換え状態にある場合、可変容量型圧縮機25から吐出される冷媒は、切り換え弁29、絞り37及び蒸発器35を経由して可変容量型圧縮機25に還流する。このように冷媒が暖房回路27を循環する場合には、可変容量型圧縮機25から吐出された高温の冷媒が直接蒸発器35へ送られ、蒸発器35では車両の室内を温める熱交換作用が行われる。 【0023】図2は可変容量型圧縮機25の内部構造を示す。制御圧室121を形成するフロントハウジング12とシリンダブロック11とには回転軸18が支持されている。回転軸18は、車両エンジンEからクラッチを介することなく直接回転駆動力を得る。回転軸18には回転支持体19が止着されていると共に、斜板20が回転軸18の軸方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。斜板20に止着されたガイドピン21は、回転支持体19に形成されたガイド孔191にスライド可能に嵌入されている。斜板20は、ガイド孔191とガイドピン21との連係により回転軸18の軸方向へ傾動可能かつ回転軸18と一体的に回転可能である。斜板20の傾動は、ガイド孔191とガイドピン21とのスライドガイド関係、及び回転軸18のスライド支持作用により案内される。 【0024】斜板20の前後には傾角減少ばね68と容量復帰ばね69とが配置されている。傾角減少ばね68は回転支持体19と斜板20との間に配置されており、容量復帰ばね69は斜板20と回転軸18上のサークリップ10との間に配置されている。 【0025】シリンダブロック11において回転軸18の周りには複数のシリンダボア111(図では1つのみ示す)が配列されている。各シリンダボア111にはピストン22が収容されている。回転軸18と一体的に回転する斜板20の回転運動は、シュー39を介してピストン22の前後往復運動に変換され、ピストン22がシリンダボア111内を前後動する。リヤハウジング13内には吸入室131及び吐出室132が区画形成されている。吸入圧領域となる吸入室131内の冷媒は、ピストン22の復動動作(図2において右側から左側への移動)によりバルブプレート14上の吸入ポート141から弁形成プレート15上の吸入弁151を押し退けてシリンダボア111内へ流入する。シリンダボア111内へ流入した冷媒は、ピストン22の往動動作(図2において左側から右側への移動)によりバルブプレート14上の吐出ポート142から弁形成プレート16上の吐出弁161を押し退けて吐出圧領域となる吐出室132へ吐出される。吐出弁161はリテーナ形成プレート17上のリテーナ171に当接して開度規制される。吐出室132は、吐出通路24を介して流路28に接続しており、吸入室131は、吸入通路23を介して流路34に接続している。 【0026】吐出通路24上には吐出開閉弁40が介在されている。吐出開閉弁40の筒形状の弁体401は、弁孔241を閉じる方向へ圧縮ばね402によって付勢されており、逆止弁として作用する。弁体401が図2に示す位置にあるときには、吐出室132内の冷媒が弁孔241、迂回路242、通口403及び弁体401の筒内を経由して流路28へ流出する。弁体401が弁孔241を閉じているときには、吐出室132内の冷媒が流路28へ流出することはない。 【0027】吐出室132と制御圧室121とを接続する圧力供給通路411,412は、吐出室132内の冷媒を制御圧室121へ送る。制御圧室121内の冷媒は、制御圧室121と吸入室131とを接続する放圧通路42を介して吸入室131へ流出する。 【0028】圧力供給通路411,412間には電磁式の容量制御弁43が介在されている。図4は容量制御弁43の内部構造を示す。容量制御弁43は、ソレノイド部44とバルブ部45とからなる。ソレノイド部44は、ハウジング46と、ハウジング46に収容されたコイル47と、筒状の固定鉄芯48と、筒状の可動鉄芯49と、固定鉄芯48から離間する方向へ可動鉄芯49を付勢する圧縮ばね50とからなる。可動鉄芯49は、圧縮ばね50の収容室461とは反対側に感圧室462を区画形成している。コイル47へ通電を行なうと、可動鉄芯49を固定鉄芯48側へ付勢する電磁力が発生する。バルブ部45は、ハウジング51と、ハウジング51内に収容されたロッド形状の弁体52と、ハウジング51に止着された冷媒導入筒53と、冷媒導入筒53から離間する方向へばね座54を介して弁体52を付勢する圧縮ばね55とからなる。 【0029】冷媒導入筒53には弁孔531が形成されており、弁体52は弁孔531を開閉する。冷媒導入筒53には導入路532が形成されている。導入路532は弁孔531に連通している。吐出室132は、圧力供給通路411及び導入路532を介して弁孔531に連通している。即ち、弁孔531には吐出室132内の圧力(吐出圧)が波及し、弁体52は弁孔531付近の圧力によって弁孔531を開く方向へ付勢される。弁体52の端面521付近は、実質的に吐出圧(以下、Pdと表す)相当の雰囲気であり、端面521には吐出圧Pdが加わっている。ハウジング51には導出路511が形成されている。導出路511は弁孔531に接続している。制御圧室121は、圧力供給通路412及び導出路511を介して弁孔531に接続している。 【0030】ハウジング51には圧力導入路512が形成されている。圧力導入路512は、固定鉄芯48の筒内の挿通孔481、収容室461、可動鉄芯49に形成された通口491を介して感圧室462に連通している。吸入室131は、通路56(図2に図示)、圧力導入路512、固定鉄芯48の筒内の挿通孔481、収容室461及び通口491を介して感圧室462に連通している。即ち、感圧室462には吸入室131内の圧力(吸入圧)が波及する。ロッド形状の弁体52は、固定鉄芯48の筒内の挿通孔481を貫通して可動鉄芯49まで到達している。弁体52の下端の小径部522は可動鉄芯49を貫通して感圧室462に突出している。感圧室462内の吸入圧(以下、Psと表す)は、弁孔531を閉じる方向へ弁体52を付勢する。 【0031】弁体52の端面521に加わる吐出圧Pdと、弁体52の端面523と弁体52の段差面524とに加わる吸入圧Psとは、弁体52を介して対抗する。小径部522の端面523の面積と、段差面524の面積との和は、端面521の面積と等しくしてある。従って、弁体52を介して対抗する吐出圧Pdと吸入圧Psとによる弁体52を介した差圧ΔPdsは、実質的にΔPds=(端面521の面積)×(Pd−Ps)となる。吐出圧Pdは吸入圧Psよりも大きいため、差圧ΔPdsは、弁孔531を開く方向へ弁体52を付勢する。コイル47への通電、即ちソレノイド部44の励磁によって生じる電磁力は、差圧ΔPdsと圧縮ばね50,55のばね力との和の力に対抗する。ソレノイド部44は、差圧ΔPdsに対抗するように弁体52に駆動力を加える差圧規定用駆動力付与手段となる。 【0032】図2に示すように、容量制御弁43は、駆動回路58を介して制御装置59の励消磁制御を受ける。容量制御弁43及び制御装置59は容量制御手段を構成する。コイル47への通電は、デューティ比制御に基づくパルス状の駆動電流の供給による。前記電磁駆動力はデューティ比によって決定され、デューティ比が大きいほど前記電磁駆動力が大きくなる。 【0033】デューティ比が増大されると電磁駆動力が大きくなり、容量制御弁43における弁開度が減少する。弁開度が減少すると、吐出室132から制御圧室121への冷媒供給量が減る。制御圧室121内の冷媒は放圧通路42を介して吸入室131へ流出しているため、制御圧室121内の圧力(以下、制御圧Pcと表す)が降圧する。従って、斜板20の傾角が増大して吐出容量が増える。流路30上には減圧作用をもたらす膨張弁33があり、流路36上には減圧作用をもたらす絞り37がある。そのため、吐出容量が増えると吐出圧Pdが昇圧し、差圧ΔPdsが大きくなる。デューティ比が低減されると電磁駆動力が小さくなり、容量制御弁43における弁開度が増大する。弁開度が増大すると、吐出室132から制御圧室121への冷媒供給量が増え、制御圧室121内の制御圧Pcが昇圧する。従って、斜板20の傾角が減少して吐出容量が減る。吐出容量が減ると吐出圧Pdが降圧し、差圧ΔPdsが小さくなる。即ち、容量制御弁43は、デューティ比に応じた差圧ΔPdsを自律的にもたらす制御を行なう。 【0034】デューティ比が零、即ち供給電流が零になると容量制御弁43における弁開度が最大となり、斜板20の傾角が最小となる。斜板傾角が最小状態における吐出圧Pdは低く、このときの吐出通路24における吐出開閉弁40の上流側の圧力が吐出開閉弁40の下流側の圧力と圧縮ばね402のばね力との和を下回るように圧縮ばね402のばね力が設定してある。従って、斜板20の傾角が最小になったときには弁体401が弁孔241を閉じ、冷房回路26又は暖房回路27における冷媒循環が停止する。 【0035】斜板20の最小傾角は、制御圧Pcによるモーメントが傾角減少方向にほぼ最大化した状態のもとでの傾角減少ばね68と容量復帰ばね69との付勢力バランスを支配的要因として決定される。シリンダボア111から吐出室132へ吐出された冷媒は、圧力供給通路411,412を通って制御圧室121へ流入する。制御圧室121内の冷媒は放圧通路42を通って吸入室131へ流出し、吸入室131内の冷媒はシリンダボア111内へ吸入されて吐出室132へ吐出される。即ち、斜板傾角が最小状態では、吐出圧領域である吐出室132、圧力供給通路411,412、制御圧室121、放圧通路42、吸入圧領域である吸入室131、シリンダボア111を経由する循環通路が圧縮機内にできている。そして、吐出室132、制御圧室121及び吸入室131の間では圧力差が生じている。従って、冷媒が前記循環通路を循環し、冷媒と共に流動する潤滑油が圧縮機内を潤滑する。 【0036】切り換え弁29は駆動回路60を介して制御装置59の励消磁制御を受ける。制御装置59には目標温度設定器61及び室温検出器62が信号接続されている。室温検出器62は、車両の車室内の温度を検出する。制御装置59は、目標温度設定器61によって設定された目標温度To、及び室温検出器62によって検出された検出温度Txを把握する。又、制御装置59には冷房指令スイッチ63、暖房指令スイッチ64及び停止指令スイッチ65が信号接続されている。 【0037】制御装置59は図5にフローチャートで示す冷暖房制御プログラムを遂行する。この場合、吐出圧Pdが異常高圧とならない範囲で安全を見込んで可及的に大きく設定した差圧ΔPdsmをもたらすデューティ比の最大値Rmが制御装置59に入力設定されている。 【0038】冷房指令スイッチ63をON操作すると、制御装置59は切り換え弁29の消磁を指令し、切り換え弁29は図1に示す第1の切り換え状態に保持される。次いで、制御装置59は、容量制御弁43の励消磁制御に基づく冷房制御を遂行する。制御装置59は、検出温度Txを目標温度Toに収束させるように容量制御弁43を励消磁制御する。検出温度Txが目標温度Toを上回る場合には、制御装置59はデューティ比を増大して差圧ΔPdsを増やす。差圧ΔPdsの増大は吐出容量の増大によってもたらされ、蒸発器35における熱交換量が増える。従って、車両の車室内の温度が下がる。検出温度Txが目標温度Toを下回る場合には、制御装置59はデューティ比を減少、あるいは零にして差圧ΔPdsを減らす。差圧ΔPdsの減少は吐出容量の減少によってもたらされ、蒸発器35における熱交換量が減る。従って、車両の車室内の温度が上がる。 【0039】制御装置59が冷房制御遂行中に停止指令スイッチ65をON操作すると、制御装置59は、容量制御弁43への通電を停止して冷房制御を停止する。暖房指令スイッチ64をON操作すると、制御装置59は切り換え弁29の励磁を指令し、切り換え弁29は図3に示す第2の切り換え状態に保持される。次いで、制御装置59は、容量制御弁43の励消磁制御に基づく暖房制御を遂行する。制御装置59は、デューティ比を最大値Rmに固定した状態で容量制御弁43を励消磁制御する。差圧ΔPdsが設定された差圧ΔPdsmを上回ると容量制御弁43の弁開度が増大し、斜板20の傾角が減少する。従って、吐出容量が減り、吐出圧Pdが降圧する。吐出圧Pdの降圧は差圧ΔPdsの低減をもたらし、容量制御弁43における弁開度が小さくなる。差圧ΔPdsが設定された差圧ΔPdsmを下回ると容量制御弁43の弁開度が減少し、斜板20の傾角が増大する。従って、吐出容量が増え、吐出圧Pdが昇圧する。吐出圧Pdの昇圧は差圧ΔPdsの増大をもたらし、容量制御弁43における弁開度が大きくなる。即ち、容量制御弁43は、差圧ΔPdsが差圧ΔPdsmに収束するように自律的に弁開度を制御する。 【0040】制御装置59が暖房制御遂行中に停止指令スイッチ65をON層操作すると、制御装置59は、容量制御弁43への通電を停止して暖房制御を停止する。以上のような冷暖房制御を行なう制御装置59は、検出温度Tx、目標温度To等の差圧規定用情報に基づいて前記差圧規定用駆動力付与手段の駆動力を制御する駆動力制御手段となる。 【0041】第1の実施の形態では以下の効果が得られる。 (1-1)制御装置59と共に容量制御手段を構成する容量制御弁43は、吐出圧Pdと吸入圧Psとの差圧ΔPdsに感応して可変容量型圧縮機25における吐出容量を制御する。冷房回路26の使用時、即ち冷房回路26で冷媒を循環させる際の吐出容量、及び暖房回路27の使用時、即ち暖房回路27で冷媒を循環させる際の吐出容量のいずれも、差圧感応型の容量制御弁43によって制御される。吐出圧領域である吐出室132内の吐出圧Pdと、吸入圧領域である吸入室131内の吸入圧Psとの差圧ΔPdsに基づく吐出容量の制御は、特開平11−180138号公報に開示されるような吸入圧Psの制御による吐出容量の制御とは異なって吸入圧Psを制御する形式ではない。吸入圧Psの制御によって吐出容量を制御する形式では、冷媒の飽和圧力が設定吸入圧の範囲を越えて低下するほどに外気温が低下したときには吐出容量を増大することができず、空調装置が暖房機能を果たせなくなる。吐出圧Pdと吸入圧Psとの差圧ΔPdsに基づく吐出容量の制御は、極低温時においても吐出容量を増大する制御を可能とする。従って、本実施の形態における空調装置は、極低温時においても暖房機能を確実に果たす。 【0042】(1-2)容量制御弁43は、吐出圧Pdと吸入圧Psとの差圧ΔPdsが予め設定された差圧ΔPdsmを上回ると吐出容量を減らすように働く。吸入圧Psの圧力変動は、吐出圧Pdの圧力変動に比べて小さい。従って、差圧ΔPdsmを前記したように適正設定すれば、吐出圧Pdと吸入圧Psとの差圧ΔPdsが予め設定された差圧ΔPdsmを大きく上回ることはなく、吐出圧Pdの異常昇圧が防止される。本実施の形態では、冷房回路26の使用時及び暖房回路27の使用時のいずれにおいても、吐出圧Pdの異常昇圧を防止する吐出容量制御が行われる。 【0043】(1-3)冷房制御を行なっているときには、冷媒は冷房回路26のみを循環し、暖房制御を行なっているときには、冷媒は暖房回路27のみを循環する。即ち、可変容量型圧縮機25に仕事をさせて高圧に昇圧した冷媒を不使用の回路側へ無駄に放出することはなく、エネルギー効率の低下による冷暖房機能の低下は防止される。 【0044】(1-4)冷房回路26の使用時及び暖房回路27の使用時のいずれにおいても単一の容量制御弁43によって吐出容量制御を行なう構成は、可変容量型圧縮機25の機構の簡素化をもたらすと共に、可変容量型圧縮機25の大型化の回避に寄与する。 【0045】次に、図6及び図7の第2の実施に形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。この実施の形態における可変容量型圧縮機25は、通路56がないことが第1の実施に形態における可変容量型圧縮機25と異なる。第2の実施の形態に用いられる容量制御弁66では、導出路511が固定鉄芯48の筒内の挿通孔481、収容室461及び通口491を介して感圧室462に連通している。感圧室462には制御圧室121内の制御圧Pcが波及しており、吐出圧Pdと制御圧Pcとが弁体52を介して対抗する。弁体52を介して対抗する吐出圧Pdと制御圧Pcとによる弁体52を介した差圧ΔPdcは、実質的にΔPdc=(端面521の面積)×(Pd−Pc)となる。吐出圧Pdは制御圧Pcよりも大きいため、差圧ΔPdcは、弁孔531を開く方向へ弁体52を付勢する。コイル47への通電、即ちソレノイド部44の励磁によって生じる電磁力は、差圧ΔPdcと圧縮ばね50,55のばね力との和の力に対抗する。制御装置59は、デューティ比制御に基づくパルス状の駆動電流をコイル47に供給することによって容量制御弁66を励消磁制御する。 【0046】制御装置59及び容量制御弁66は、吐出圧Pdと制御圧Pcとの差圧ΔPdcに基づいて吐出容量を制御する容量制御手段を構成する。ソレノイド部44は、差圧ΔPdcに対抗するように弁体52に駆動力を加える差圧規定用駆動力付与手段を構成する。 【0047】斜板20の傾角制御は、吸入圧Psと制御圧Pcとのピストン22を介した差圧に基づいて行われているが、吸入圧Psの圧力値と制御圧Pcの圧力値との差は小さい。即ち、差圧ΔPdcと差圧ΔPdsとに大差はなく、差圧ΔPdcに基づく吐出容量制御は、差圧ΔPdsに基づく吐出容量制御と同様に行える。制御装置59は、図5のフローチャートで示す冷暖房制御プログラムを遂行し、冷房回路26の使用時の吐出容量、及び暖房回路27の使用時の吐出容量のいずれも、差圧感応型の容量制御弁66によって制御される。従って、吐出圧Pdと制御圧Pcとの差圧ΔPdcに感応する容量制御弁66を用いた第2の実施の形態では第1の実施の形態と同じ効果が得られる。 【0048】次に、図8の第3の実施の形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。この実施の形態の可変容量型圧縮機57は、回転軸18が電磁クラッチ67を介して車両エンジンEから回転駆動力を得ること、及び吐出通路24上に吐出開閉弁40がないことが第1の実施に形態における可変容量型圧縮機25と異なる。制御装置59Aは、冷房指令スイッチ63又は暖房指令スイッチ64のON操作に基づいて切り換え弁29を第1の切り換え状態又は第2の切り換え状態にした後、電磁クラッチ67を励磁してから第1の実施の形態と同様の冷暖房制御プログラムを遂行する。 【0049】この実施の形態においても第1の実施の形態と同じ効果が得られる。本発明では以下のような実施の形態も可能である。 (1)暖房回路27の使用時において、冷房回路26の使用時の吐出容量制御と同様に、目標温度To、検出温度Tx等の差圧規定用情報に基づいて吐出容量の制御を行なうこと。 (2)吐出室132から切り換え弁29に至る吐出圧領域の任意位置における吐出圧Pdと、蒸発器35から吸入室131に至る吸入圧領域の任意位置における吸入圧Psとの差圧に基づいて吐出容量を制御すること。 (3)制御圧室121から吸入圧領域へ流出する冷媒量を差圧感応型の容量制御弁によって制御して吐出容量を制御すること。 【0050】 【発明の効果】以上詳述したように、吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧、又は前記吐出圧領域の圧力と制御圧との差圧に基づいて吐出容量を制御する容量制御手段によって、冷房回路で冷媒を循環させる際の吐出容量、及び暖房回路で冷媒を循環させる際の吐出容量のいずれも制御するようにした発明では、可変容量型圧縮機を共有する冷房回路と暖房回路とのうちのいずれか一方を選択して使用する空調装置における暖房機能が常に有効に働くという優れた効果を奏する。 【0051】吐出圧領域の圧力と吸入圧領域の圧力との差圧、又は前記吐出圧領域の圧力と前記制御圧との差圧が予め設定された差圧を上回ると吐出容量を減らすように制御する発明では、冷暖房機能の低下を回避し得るという優れた効果を奏する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
|
| 【出願日】 |
平成11年12月27日(1999.12.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−182666(P2001−182666A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−369694 |
|