トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F04 液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ




【発明の名称】 変速機用オイルポンプ装置
【発明者】 【氏名】山中 淳史

【氏名】久原 啓司

【要約】 【課題】オイルポンプの内部にキャビテーションが生じることを可及的に防止することが可能な変速機用オイルポンプ装置を提供する。

【解決手段】エンジン等によって回転駆動され、吸入通路16から吸入ポート12を介して吸入した作動油を、吐出ポート13から吐出通路20に吐出するオイルポンプ1を設ける。前記吐出ポート13から吐出通路20に吐出される作動油のうち、余剰油を、還流通路23を介して吸入ポート12に還流させる流量制御弁24を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン等によって回転駆動され、吸入通路から吸入ポートを介して吸入した作動油を、吐出ポートから吐出通路に吐出するオイルポンプと、前記吐出通路に吐出される作動油のうち、余剰油を、還流通路を介して吸入ポートに還流させる流量制御弁と、を備えたことを特徴とする、変速機用オイルポンプ装置。
【請求項2】 前記オイルポンプが、内歯歯車とこの内歯歯車に所定の噛合い隙間をもって噛合う外歯歯車とを備え、これら内歯歯車と外歯歯車との回転に伴って噛合い隙間が増加する領域に臨んで吸入ポートが形成され、同じく噛合い隙間が減少する領域に吐出ポートが形成されてなり、前記還流通路が、吸入ポートにおいて内歯歯車と外歯歯車の回転方向前方側に位置して開口していることを特徴とする、請求項1記載の変速機用オイルポンプ装置。
【請求項3】 前記流量制御弁よりも下流側の還流通路の長さは、吸入通路の長さよりも短いことを特徴とする、請求項1記載の変速機用オイルポンプ装置。
【請求項4】 前記流量制御弁よりも下流側の還流通路は、直線状に形成されてなることを特徴とする、請求項1記載の変速機用オイルポンプ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機等のパワーソースとして用いられる変速機用オイルポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、変速機用オイルポンプ装置は、エンジン等の低回転数領域から高回転数領域までの広範な領域に亘って比較的大流量からなる所定の流量を供給することが望まれる。即ち、エンジン等のアイドリング回転時においても所定流量が確保される必要があるから、エンジン等によって回転駆動されるオイルポンプの回転数が増加すると、オイルポンプが吸入及び吐出する作動油流量が所定流量以上に増加することになる。
【0003】そこで、この種のオイルポンプ装置として、例えば特開平7−279856号公報には、エンジン等によって回転駆動され、吸入通路から吸入ポートを介して吸入した作動油を、吐出ポートを介して吐出通路に吐出するオイルポンプと、吐出通路から吐出される作動油のうち、余剰油を、還流通路を介して吸入通路に還流させる流量制御弁とを備えたオイルポンプ装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記エンジン等によって回転駆動されるオイルポンプの吐出量が増加することは、オイルポンプの吸入量も増加することになる。このため、前記オイルポンプの吸入領域はオイルポンプの吸入量が増加すると負圧傾向が大きくなり、オイルポンプ内部にキャビテーションが生じる虞がある。とりわけ、前記吸入通路の通路抵抗が大きい場合に、オイルポンプの内部にキャビテーションが生じ易くなることが容易に考えられる。
【0005】つまり、前記オイルポンプの吸入領域に生じる負圧は、吸入通路の通路抵抗が大きい場合にその絶対値が大きくなることが考えられる。このため、前記従来例において余剰油をオイルポンプの吸入通路に還流させることは、変速機に導く作動油の流量を制御することには効果があるが、オイルポンプ内部でのキャビテーションの発生を抑制することには効果が期待できない。
【0006】本発明は前記従来の実情に鑑みて案出されたもので、オイルポンプの内部にキャビテーションが生じることを可及的に防止することが可能な変速機用オイルポンプ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1記載の発明は、エンジン等によって回転駆動され、吸入通路から吸入ポートを介して吸入した作動油を、吐出ポートから吐出通路に吐出するオイルポンプと、前記吐出通路に吐出される作動油のうち、余剰油を、還流通路を介して吸入ポートに還流させる流量制御弁と、を備えた構成にしてある。
【0008】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、前記オイルポンプが、内歯歯車とこの内歯歯車に所定の噛合い隙間をもって噛合う外歯歯車とを備え、これら内歯歯車と外歯歯車との回転に伴って噛合い隙間が増加する領域に臨んで吸入ポートが形成され、同じく噛合い隙間が減少する領域に吐出ポートが形成されてなり、前記還流通路が、吸入ポートにおいて内歯歯車と外歯歯車の回転方向前方側に位置して開口している構成にしてある。
【0009】また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、前記流量制御弁よりも下流側の還流通路の長さは、吸入通路の長さよりも短い構成にしてある。
【0010】また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、前記流量制御弁よりも下流側の還流通路は、直線状に形成されてなる構成にしてある。
【0011】斯かる構成においては、前記オイルポンプがエンジン等によって回転駆動され、これによって、オイルパン等の貯油室内の作動油が、吸入通路から吸入ポートを介して吸入され、オイルポンプ内で加圧された後、吐出ポートから吐出通路に吐出される。
【0012】前記吐出ポートから吐出通路に吐出される作動油は、流量制御弁による流量制御の下に、所定流量の作動油が変速機に導かれる一方、余剰油が還流通路を介して吸入ポートに還流される。具体的には、前記吐出ポートまたは吐出通路と吸入ポートとの間に還流通路が跨設され、この環流通路に流量制御弁が設けられて、この流量制御弁によって、吐出通路から変速機に導かれる作動油の流量が所定流量に制御されると共に、余剰油が還流通路を介して吸入ポートに還流される。
【0013】ここで、前記余剰油は吸入ポートに還流されるから、オイルポンプの吸入量が増加して吸入領域に生じる負圧の絶対値が大きくなる場合に、その負圧傾向が吸入ポートに還流される余剰油によって抑制される。この場合に、前記余剰油は吸入通路の通路抵抗の影響を受けることなく、また、吸入通路の通路抵抗が大きい場合においてもオイルポンプの吸入領域に生じる負圧の絶対値を低下させる。加えて、前記還流通路から吸入ポートに還流される作動油は所定の圧力を持っているから、負圧が効果的に抑制される。これによって、前記オイルポンプの内部にキャビテーションが生じることが可及的に抑制される。
【0014】したがって、オイルポンプの内部にキャビテーションが生じることを可及的に防止することが可能な変速機用オイルポンプ装置が得られる。
【0015】また、請求項2記載の発明によれば、前記内歯歯車と外歯歯車との回転に伴って噛合い隙間が増加する領域に臨んで吸入ポートが形成され、還流通路が、吸入ポートにおいて内歯歯車と外歯歯車の回転方向前方側に位置して開口している。即ち、前記吸入ポートにおいて内歯歯車と外歯歯車との噛合い隙間が大きい位置に還流通路が開口していることになるから、最もキャビテーションが生じ易い位置で、負圧(の絶対値)が増加することを効果的に抑制することができる。
【0016】また、請求項3記載の発明によれば、前記流量制御弁よりも下流側の還流通路の長さが、吸入通路の長さよりも短くしてあるから、吸入通路に比較して、還流通路の通路抵抗を可及的に小さくすることができる。
【0017】また、請求項4記載の発明によれば、前記流量制御弁よりも下流側の還流通路が直線状に形成してあるから、還流通路の通路抵抗を可及的に小さくすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳述する。
【0019】図1は本発明の実施の形態を示す変速機用オイルポンプ装置の説明図、図2は図1に示すオイルポンプの断面図で、図3のA−O−A線に沿って見た図面、図3は図2のA−A線断面図である。
【0020】図において、付番1で示されるのはオイルポンプで、このオイルポンプ1は、ポンプハウジング2に形成された凹部3内にポンプユニット4を収容して構成してあり、このポンプユニット4は、この実施の形態において環状の内歯歯車5とこの内歯歯車5に噛合う外歯歯車6とからなる内接歯車ポンプとなっている。
【0021】前記内歯歯車5に形成された内歯7及び外歯歯車6に形成された外歯8は、トロコイド曲線を基本とした高次関数曲線からなる歯型形状を有している。また、前記外歯歯車6の歯数は内歯歯車5の歯数よりも少なくしてあり、これによって、内歯歯車5と外歯歯車6とは回転中心が所定寸法eだけ相互に偏心した状態で、これら内歯歯車5と外歯歯車6との間に所定の噛合い隙間をもって回転するようになっている。
【0022】前記ポンプハウジング2は、凹部3が形成されたハウジング部材10と、このハウジング部材10に重ね合わせて配置され、凹部3を覆うボディ部材11とから構成してある。前記ポンプハウジング2の凹部3には、吸入ポート12と吐出ポート13が形成してある。
【0023】前記吸入ポート12は、内歯歯車5及び外歯歯車6の回転(図1の矢印方向への回転)に伴って、これら内歯歯車5の内歯7と外歯歯車6の外歯8との間の噛合い隙間が増加する吸入領域に臨んで形成してあり、吐出ポート13は同じく噛合い隙間が減少する吐出領域に臨んで形成してある。
【0024】前記吸入ポート12はポンプハウジング2(のボディ部材11)に形成した吸入通路16に連通しており、この吸入通路16は作動油の貯油タンク19に連通している。
【0025】一方、前記吐出ポート13はポンプハウジング2(のボディ部材11)に形成した吐出通路20に連通しており、この吐出通路20はオリフィス21を介して変速機の作動油圧回路(図示せず)に連通している。
【0026】また、前記吸入ポート12と吐出ポート13との間には還流通路23が跨設されている。前記還流通路23は、吸入ポート12において内歯歯車5と外歯歯車6の回転方向(図1に矢印で示す方向)前方側に位置して開口しており、吐出ポート13において内歯歯車5と外歯歯車6の回転方向前方側に位置して開口している。また、前記還流通路23の途中には流量制御弁24が設けられており、この流量制御弁24よりも下流側の還流通路23の長さは、吸入通路16の長さよりも短くしてある。尚、前記還流通路23は、吸入ポート12とオリフィス21よりも上流側の吐出通路20との間に跨設する構成とすることも可能である。
【0027】前記流量制御弁24は、ポンプハウジング2(のボディ部材11)に還流通路23の一部を成す弁収容穴25を形成して、この弁収容穴25内に還流通路23を連通及び遮断するスプール弁26を摺動自在に収容して構成してある。
【0028】即ち、前記弁収容穴25に、上流側(吐出ポート13側)の還流通路23及び下流側(吸入ポート12側)の還流通路23を開口させると共に、オリフィス21よりも下流側の吐出通路20から分岐した圧力通路27を開口させ、この弁収容穴25内に収容したスプール弁26の一端側に上流側の還流通路23の圧力を作用させる一方、他端側に圧力通路27の圧力を作用させて、スプール弁26の胴部で下流側の還流通路23を開閉制御することにより、還流通路23を連通及び遮断可能としてある。
【0029】また、前記圧力通路27の圧力が作用するスプール弁26の他端側にはばね部材28が設けられ、このばね部材28のばね力が圧力通路27の圧力に加担するようになっている。
【0030】これによって、前記スプール弁26は吐出通路20に設けたオリフィス21の前後差圧と、ばね部材28のばね力との釣り合いによって弁収容穴25内を移動し、還流通路23を連通及び遮断することになる。
【0031】また、前記上流側の還流通路23の圧力が作用するスプール弁26の一端側には窪み29が形成してあると共に、窪み29の内外に連通する半径方向の貫通孔30が形成してある。前記窪み29及び貫通孔30は、後述するようにスプール弁26が還流通路23を連通状態にするとき、還流通路23の一部を構成することになる。尚、前記弁収容穴25の開口端はばね28のばね受けを兼ねるプラグ31によって封止してある。
【0032】一方、前記ポンプハウジング2の略軸心位置にはステータシャフト35が設けられており、このステータシャフト35はボディ部材11に一体に形成され、外歯歯車6を貫通している(図2参照)。また、前記ステータシャフト35の外周側には中空状の駆動軸(図示せず)が配置されて外歯歯車6の内径側に挿入され、この図外の駆動軸によって外歯歯車6が回転駆動されるようになっている。
【0033】斯かる構成において、前記図外の駆動軸によって外歯歯車6が回転駆動され、この外歯歯車6に噛合う内歯歯車5が回転される。前記内歯歯車5及び外歯歯車6が回転することによって、貯油タンク19内の作動油が吸入通路16を介して吸入ポート12から吸入され、吐出ポート13から吐出通路20に吐出される。即ち、前記吸入ポート12が歯車5,6の回転に伴って噛合い隙間が増加する吸入領域に開口しており、吸入ポート12に導かれた作動油は吸入領域で吸入された後、噛合い隙間が減少する吐出領域に移送され、この吐出領域に開口する吐出ポート13から吐出通路20に吐出される。
【0034】前記吐出ポート13から吐出通路20に吐出される作動油は、流量制御弁24による流量制御の下に、所定流量の作動油が変速機の作動油圧回路(図示せず)に導かれる一方、余剰油が還流通路23を介して吸入ポート12に還流される。
【0035】即ち、前記内歯歯車5及び外歯歯車6の回転速度が小さく、吐出ポート13から吐出通路20に吐出される作動油の流量が所定流量以下の場合は、吐出通路20のオリフィス21の前後に生じる差圧は小さいから、流量制御弁24のスプール弁26に作用するばね部材28のばね力が勝り、スプール弁26はばね部材28のばね力によって付勢されてその胴部で還流通路23の連通を遮断している(図4(a)参照)。このため、前記吐出ポート13から吐出通路20に吐出される作動油の全量が吐出通路20から変速機の作動油圧回路(図示せず)に導かれる。
【0036】一方、前記内歯歯車5及び外歯歯車6の回転速度が大きく、吐出ポート13から吐出通路20に吐出される作動油の流量が所定流量を超えた場合は、吐出通路20のオリフィス21の前後に生じる差圧が大きくなり、流量制御弁24のスプール弁26はばね部材28のばね力に抗して移動し、還流通路23の遮断を解除して還流通路23を連通させる。即ち、前記スプール弁26は、このスプール弁26に形成した窪み29及び貫通孔30を介して流量制御弁24の上流側の還流通路23と下流側の還流通路23とを連通させる(図4(b)参照)。このため、前記吐出ポート13から吐出通路20に吐出される作動油の一部が余剰油として還流通路23を介して吸入ポート12に還流され、所定流量が変速機の作動油圧回路(図示せず)に導かれる。
【0037】ここで、前記余剰油は吸入ポート12に還流されるから、オイルポンプ1の吸入量が増加して吸入領域に生じる負圧の絶対値が大きくなる場合に、その負圧傾向が吸入ポート12に還流される余剰油によって抑制される。この場合に、前記余剰油は吸入通路16の通路抵抗の影響を受けることなく、また、吸入通路16の通路抵抗が大きい場合においてもオイルポンプ1の吸入領域に生じる負圧の絶対値を低下させる。加えて、前記還流通路23から吸入ポート12に還流される作動油は所定の圧力を持っているから、負圧が効果的に抑制される。これによって、前記オイルポンプ1の内部にキャビテーションが生じることが可及的に抑制される。
【0038】したがって、前記オイルポンプ1の内部にキャビテーションが生じることを可及的に防止することが可能な変速機用オイルポンプ装置が得られる。
【0039】また、前記内歯歯車5と外歯歯車6との回転に伴って噛合い隙間が増加する領域に臨んで吸入ポート12が形成され、還流通路23が、吸入ポート12において内歯歯車5と外歯歯車6の回転方向(図1に矢印で示す方向)前方側に位置して開口している。即ち、前記吸入ポート12において内歯歯車5と外歯歯車6との噛合い隙間が大きい位置に還流通路23が開口していることになるから、最もキャビテーションが生じ易い位置で、負圧(の絶対値)が増加することを効果的に抑制することができる。
【0040】また、前記流量制御弁24よりも下流側の還流通路23の長さが、吸入通路16の長さよりも短くしてあるから、吸入通路16に比較して、還流通路23の通路抵抗を可及的に小さくすることができる。
【0041】図5は本発明の別の実施の形態を示す図面で、この実施の形態が前記実施の形態と変わるところは、前記流量制御弁24よりも下流側の還流通路23を直線状に形成した点である。
【0042】即ち、前記還流通路23が、流量制御弁24よりも上流側において弁収容穴26の軸方向に直線状に形成され、流量制御弁24よりも下流側において吸入ポート12に向かって直線状に形成してある。尚、その他の構成は前記実施の形態と同様であるから、前記実施の形態と同一構成部分には同一符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0043】斯く構成しても、前記実施の形態で述べたと同様の作用及び効果が得られる。加えて、前記流量制御弁24よりも下流側の還流通路23が直線状に形成してあるから、還流通路23の通路抵抗を可及的に小さくすることができる。
【0044】以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、前記ポンプユニット4が所謂内接歯車ポンプである実施の形態について述べたが、これに限ることなく、各種形式のポンプユニットを備えた変速機用オイルポンプ装置に適用可能である。
【0045】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、オイルポンプの内部にキャビテーションが生じることを可及的に防止することが可能な変速機用オイルポンプ装置が得られる。
【出願人】 【識別番号】000167406
【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
【出願日】 平成11年12月27日(1999.12.27)
【代理人】 【識別番号】100083954
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 輝夫
【公開番号】 特開2001−182664(P2001−182664A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−370423