| 【発明の名称】 |
電動圧縮機及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】福本 稔
【氏名】西井 伸之
【氏名】吉田 誠
|
| 【要約】 |
【課題】給電ターミナルと金属筐体の間の絶縁抵抗の高い電動圧縮機を提供すること。
【解決手段】金属筐体14の開口部に絶縁部材16及び18を介して保持された給電ターミナル10を有する電動圧縮機において、金属筐体内側の給電ターミナル10を絶縁部材16及び18から可能な限り連続して絶縁性樹脂20によって被覆することにより、給電ターミナル10と金属筐体14間の絶縁最短距離を長く、若しくは電流経路断面積を小さくして、給電ターミナル10と金属筐体14の間の絶縁抵抗を向上することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機と、前記電動機により駆動される圧縮手段と、前記電動機及び圧縮手段を収納する金属筐体と、前記金属筐体の開口部に絶縁部材を介して保持された給電ターミナルとを有する電動圧縮機において、前記金属筐体内側の給電ターミナルを、前記絶縁部材から絶縁性樹脂によって被覆したことを特徴とする電動圧縮機。 【請求項2】 前記絶縁性樹脂が、前記給電ターミナルを挿入可能な内径を有する絶縁性樹脂チューブから成ることを特徴とする請求項1記載の電動圧縮機。 【請求項3】 前記絶縁性樹脂チューブが、熱収縮性であることを特徴とする請求項2記載の電動圧縮機。 【請求項4】 前記絶縁性樹脂が、フッ素系樹脂から成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動圧縮機。 【請求項5】 前記電動圧縮機が、給電ターミナルを側面に設けた横型電動圧縮機であることを特徴とする請求項1記載の電動圧縮機。 【請求項6】 電動機と、前記電動機により駆動される圧縮手段と、前記電動機及び圧縮手段を収納する金属筐体と、前記金属筐体の開口部に絶縁部材を介して保持された給電ターミナルとを有し、前記金属筐体内側の給電ターミナルを前記絶縁部材から熱収縮性樹脂によって被覆した電動圧縮機の製造方法であって(a)前記金属筐体内側の給電ターミナルと前記絶縁部材の少なくとも一部とを、熱収縮性樹脂チューブに該チューブの一端から挿入する工程と、(b)前記熱収縮性樹脂チューブの他端から挿入したリード部材を、前記給電ターミナルに接続する工程と、(c)前記熱収縮性チューブを加熱して熱収縮させる工程を備えたことを特徴とする電動圧縮機の製造方法。 【請求項7】 前記リード部材が端子部分と該端子部分にL字型に接合したリード部分とを有しており、前記工程(b)の前に、前記熱収縮性チューブの端部に前記リード部材のリード部分を嵌入可能な切り欠き部を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項6記載の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電動圧縮機に関し、詳細には、電動圧縮機の給電ターミナルと金属筐体との間の絶縁不良防止に関する。 【0002】 【従来の技術】図4は、従来の電動圧縮機の一例を示す断面図である。図4に示す電動圧縮機1において、金属シェル6の内部に電動機2と圧縮機構部4とが収納されており、圧縮機構部4が電動機2に駆動されることにより、吸入管6aから吸入された気体冷媒が圧縮されて吐出管6bから排出される。電動機2への電力は、金属シェル6の側面に設けた給電ターミナル10を介して外部から供給される。 【0003】図5は、図4に示す電動圧縮機の給電ターミナル10近傍の構造を拡大して示す部分断面図である。給電ターミナル10は、金属製のターミナル台座14と電気的に絶縁されるように、ガラス絶縁物16及びセラミック製のガイシ18を介して取り付けられている。給電ターミナル10と電動機2の間は、ハタ端子12及びリード線13によって結線されている。 【0004】給電ターミナル10には、比較的高い電圧が印加されており、例えば、電動機2を100V、60Hzで駆動する場合には約60Vの電圧が印加される。また、電動機2の駆動周波数が高くなれば、更に高い電圧が印加される。一方、ターミナル台座14は、金属シェル6を介してアース接続されている。したがって、給電ターミナル10とターミナル台座14の間には大きな電位差が生じており、給電ターミナル10とターミナル台座14の間の電気絶縁を保つためには高い絶縁抵抗が必要とされる。特に、電気自動車用途の電動圧縮機においては、一般に安全性も考慮されて10MΩ以上の高い絶縁抵抗が要求される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の電動圧縮機10においては、内部の冷媒の状態により給電ターミナル10とターミナル台座14との間の絶縁抵抗が不十分となり易いという問題点があった。電動圧縮機10の通常運転時には、その中を気体冷媒のみが循環しているが、運転を停止した際に、圧縮機内部に残留した気体冷媒が冷却され、液化した冷媒が圧縮機内部に溜まる場合がある。液体状態にある冷媒は、気体状態にある時に比べて固有抵抗率が低いため、給電ターミナル10が液体冷媒に浸漬すると、給電ターミナル10とターミナル台座14との間の絶縁抵抗が1MΩ以下程度にまで低下してしまう。こうした絶縁抵抗の低い状態で電動圧縮機1を運転開始すると、給電ターミナル10に供給した電流がターミナル台座14を通じて金属シェル6に多量に漏洩してしまう恐れがある。特に、図4に示したような給電ターミナル10を側面に設けた横型電動圧縮機の場合、その構造上、給電ターミナルが圧縮機内部に溜まった液体冷媒に浸漬され易いため、給電ターミナル10とターミナル台座14との絶縁不良が起こり易い。 【0006】そこで、本発明は、給電ターミナルと金属シェルの間の絶縁不良を抑制することのできる電動圧縮機及びその製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の電動圧縮機は、電動機と、前記電動機により駆動される圧縮手段と、前記電動機及び圧縮手段を収納する金属筐体と、前記金属筐体の開口部に絶縁部材を介して保持された給電ターミナルとを有する電動圧縮機であって、前記金属筐体内側の給電ターミナルを、前記絶縁部材から絶縁性樹脂によって被覆したことを特徴とする。 【0008】また、請求項2に記載の発明は、前記絶縁性樹脂が、前記給電ターミナルを挿入可能な内径を有する絶縁性樹脂チューブから成ることを特徴とする。 【0009】さらに、請求項3に記載の発明は、前記絶縁性樹脂チューブが、熱収縮性であることを特徴とする。 【0010】またさらに、請求項4に記載の発明は、前記絶縁性樹脂が、フッ素系樹脂から成ることを特徴とする。 【0011】加えて、請求項5に記載の発明は、前記電動圧縮機が、給電ターミナルを側面に設けた横型電動圧縮機であることを特徴とする。 【0012】また、請求項6に記載の電動圧縮機の製造方法は、電動機と、前記電動機により駆動される圧縮手段と、前記電動機及び圧縮手段を収納する金属筐体と、前記金属筐体の開口部に絶縁部材を介して保持された給電ターミナルとを有し、前記金属筐体内側の給電ターミナルを前記絶縁部材から熱収縮性樹脂によって被覆した電動圧縮機の製造方法であって、(a)前記金属筐体内側の給電ターミナルと前記絶縁部材の少なくとも一部とを、熱収縮性樹脂チューブに該チューブの一端から挿入する工程と、(b)前記熱収縮性樹脂チューブの他端から挿入したリード部材を、前記給電ターミナルに接続する工程と、(c)前記熱収縮性チューブを加熱して熱収縮させる工程を備えたことを特徴とする。 【0013】さらに、請求項7に記載の製造方法は、前記リード部材が端子部分と該端子部分にL字型に接合したリード部分とを有しており、前記工程(b)の前に、前記熱収縮性チューブの端部に前記リード部材のリード部分を嵌入可能な切り欠き部を形成する工程を備えたことを特徴とする。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る電動圧縮機の一例について給電ターミナル近傍の構造を示す部分断面図である。図1において、10は給電ターミナル、16及び18はガラス絶縁物及びセラミック製ガイシ(=絶縁部材)、14は金属製のターミナル台座、12は給電ターミナルに接続したハタ端子、13はリード線である。ターミナル台座14は金属シェルと共に圧縮機の金属筐体を構成している。本実施の形態に係る電動圧縮機においては、金属筐体内側の給電ターミナル10を、セラミック製のガイシ18を含めて絶縁性樹脂20によって被覆している。ガイシ18を含めて被覆するのは、給電ターミナル10と金属製のターミナル台座14との最短距離を長くするか、又は最短電流経路の断面積を小さくすることで、この間の絶縁抵抗を高めるためである。尚、絶縁性樹脂20は、導体間の最短距離を延長する若しくは電流経路の断面積を小さくするように取り付ければ良く、ガイシ18ではなくガラス絶縁物16から可能な限り連続して取り付けても良い。 【0015】絶縁性樹脂20により給電ターミナル10を被覆するには、樹脂テープを巻きつける、樹脂モールドを行う等の種々の方法が可能であるが、チューブ形状の絶縁性樹脂20を用いて被覆することが好ましい。チューブ形状の絶縁性樹脂20を用いて被覆するには、絶縁性樹脂チューブ20を給電ターミナル10に被せ、さらにそのチューブ端部をガイシ18に密着させれば良い。チューブ形状の絶縁性樹脂20を用いることにより、給電ターミナル10の被覆作業が簡易となり、被覆後のリード線交換などのメンテナンス作業も容易となる。尚、給電ターミナル10をチューブ形状の絶縁性樹脂20によって被覆した場合、給電ターミナル10の端子部分は一般に円柱形でないため、給電ターミナル10と絶縁性樹脂20との間に空隙が生じることとなるが、絶縁性樹脂チューブ20とガイシ18の間を電流の漏洩経路が小さくなるように可能な限り近接させれば絶縁不良を有効に抑制することができる。 【0016】ここで、チューブ形状の絶縁性樹脂20による絶縁抵抗向上について、図2を参照しながら詳細に説明する。図2(a)及び(b)は、給電ターミナル10とターミナル台座14との接合部分を拡大して示す断面図である。給電ターミナル10とターミナル台座14との間の漏洩電流は、両者の間の最も固有抵抗の小さな冷媒を伝って流れる。このため、給電ターミナル10とターミナル台座14の間の絶縁抵抗は、各々の金属露出部を隔てる絶縁部材の最短の沿面距離と断面積に依存する。絶縁性樹脂チューブ20がない場合、上記最短距離は、図2(a)下部に示すように給電ターミナル10のa点とターミナル台座14のb点の間を結んだ距離となり、断面積は放射状に非常に広い。一方、絶縁性樹脂チューブ20がガイシ18に密着している場合、上記最短距離は、図2上部に示すように給電ターミナル10のa’点とターミナル台座14のb’点の間を結んだ距離となる。したがって、絶縁性樹脂チューブ20を給電ターミナル10に被せてチューブ20の端部をガイシ18に接続することにより、給電ターミナル10とターミナル台座14の間の最短距離を延長し、絶縁抵抗を高めることができる。また、図2(b)のように絶縁性樹脂チューブ20とガイシ18が密着していない場合には、最短距離は従来と変わらないが、電流漏洩経路の断面積がチューブとガイシの隙間部分だけとなる為、絶縁抵抗を高めることができる。 【0017】また、絶縁性樹脂チューブ20は熱収縮性であることが好ましい。熱収縮性とすることにより、絶縁性樹脂チューブ20を給電ターミナル10及びガイシ18に被せた後に熱収縮させてガイシ18に対する密着度をあげることができる。 【0018】尚、絶縁性樹脂には、ゴム系、プラスチック系を含めて電動機の漏洩電流を遮断可能な絶縁性を有するあらゆる樹脂を使用することができるが、耐冷媒性及び耐オイル性等の観点からフッ素系樹脂を用いることが好ましい。 【0019】図3は、熱収縮性樹脂チューブを用いた場合の給電ターミナルの被覆方法を示す概略工程図である。まず、図3(a)に示すように、給電ターミナル10を被覆するための熱収縮性樹脂チューブ20を準備する。熱収縮性樹脂チューブ20の内径は、少なくとも給電ターミナル10の端子部分を挿入可能な大きさとし、チューブ20の全長は、ガイシ18の上部を含めた給電ターミナル全体の長さよりも長くすることが好ましい。 【0020】次に、図3(b)に示すように、圧縮機の筐体内側の給電ターミナル10を、チューブ20にその一方の端から挿入する。この時、少なくともガイシ18の上端部がチューブ20内に入るように挿入する。 【0021】次に、図3(c)に示すように、リード線13を接続したハタ端子12(=リード部材)をチューブ20のもう一方の端から挿入し、給電ターミナル10の端子部分と接続する。そして、チューブ20を加熱して収縮させ、ガイシ18に密着させる。 【0022】この方法によれば、従来の部材に新たな加工を施す必要がなく、簡略な工程によって給電ターミナルを被覆することができる。また、チューブ20のガイシ18に対する密着度を容易に高めることができるため、絶縁抵抗を効果的に高めることができる。 【0023】尚、ハタ端子12に対して直角にリード線13が接続している場合には、予めチューブ20の端部にリード線13を嵌めこむことのできる切り欠き部20aを形成しておくことが好ましい。リード線13の接続形状に合わせてチューブ20をL字状としておくことも可能であるが、ハタ端子12及びリード線13の挿入作業が困難となる問題がある。円柱形のチューブ20に切り欠き部20aを設けることにより、L字状のリード部材15をチューブ20に円滑に挿入することができる。 【0024】 【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているため、下記の効果を奏する。本発明のうちで請求項1に記載の発明によれば、金属筐体内側の給電ターミナルを、絶縁部材から絶縁性樹脂によって被覆したため、導体間の最短距離を延長し若しくは電流経路の断面積を小さくすることで、給電ターミナルの絶縁不良を抑制することができる。 【0025】また、請求項2に記載の発明によれば、絶縁性樹脂が給電ターミナルを挿入可能な内径を有する絶縁性樹脂チューブから成るため、給電ターミナルの被覆作業が簡便で、被覆後のリード交換等のメンテナンス作業も容易である。 【0026】さらに、請求項3に記載の発明によれば、絶縁性樹脂チューブが熱収縮性であるため、絶縁性樹脂チューブを容易に絶縁部材に限りなく密着に近い状態にすることができ、給電ターミナルとターミナル台座の間の絶縁抵抗を向上することができる。 【0027】またさらに、請求項4に記載の発明によれば、絶縁性樹脂がフッ素系樹脂から成るため、耐冷媒性及び耐オイル性が高く、絶縁不良に対する信頼性を高めることができる。 【0028】加えて、請求項5に記載の発明は、電動圧縮機がターミナルを側面に配置した横型電動圧縮機に本発明を適用したため、給電ターミナルの液体冷媒への浸漬による絶縁不良を効果的に抑制することができる。 【0029】また、請求項6に記載の電動圧縮機の製造方法は、金属筐体内側の給電ターミナルを熱収縮性樹脂チューブに挿入し、熱収縮性樹脂チューブの他端から挿入したリード部材を給電ターミナルに接続した後に、熱収縮性チューブを加熱して収縮させるため、従来の部材に新たな加工を施すことなく、簡略な工程によって給電ターミナルを絶縁樹脂により被覆することができる。 【0030】さらに、請求項7に記載の製造方法は、熱収縮性チューブの端部にリード部材のリード部分を嵌入可能な切り欠き部を形成したため、L字形状のリード部材を容易に接続することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社 【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【識別番号】000004765 【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年12月22日(1999.12.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−182655(P2001−182655A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−364418 |
|