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【発明の名称】 リサイクル容易なコンプレッサ用防音防振材
【発明者】 【氏名】藤田 充
【課題】防音防振性に優れる上、使用後はフエルトとゴムなどの他の基材を剥離して、容易にリサイクルできるコンプレッサ用防音防振材を提供する。

【解決手段】1枚以上のフエルト材と、このフエルト材に積層した1枚以上の他の基質と、少なくとも前記フエルト材と前記他の基質との重ね合わせ部を貫通して支持・固定するために両端に本体と一体に形成された支持部を有する樹脂製ピンポイント固定具を1個以上備えたコンプレッサ用防音防振材であって、前記フエルト材と前記他の基質をリサイクルするに際して前記フエルト材と前記他の基質を容易に分離できるようにしてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1枚以上のフエルト材と、このフエルト材に積層した1枚以上の他の基質と、少なくとも前記フエルト材と前記他の基質との重ね合わせ部を貫通して支持・固定するために両端に本体と一体に形成された支持部を有する樹脂製ピンポイント固定具を1個以上備えたコンプレッサ用防音防振材であって、前記フエルト材と前記他の基質をリサイクルするに際して前記フエルト材と前記他の基質を容易に分離できるようにしたことを特徴としたリサイクル容易なコンプレッサ用防音防振材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリサイクル容易なコンプレッサ用防音防振材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、コンプレッサの作動時の騒音や振動を抑制して外部に伝えないために、コンプレッサを公知のレジンフエルト、プレスフエルト、ニードルフエルトなどのフエルトで被覆することが行われているが、騒音や振動などの抑制が充分でない。波割り加工して表面に特定の凹凸を付けたフエルト同志を接着剤あるいは粘着剤を用いて積層するか、あるいは、波割り加工したフエルトを接着剤あるいは粘着剤を用いて他の基質に積層した防音防振材が提案されている(特開平10−72883号公報、特開平10−73288号公報)。しかし、接着剤や粘着剤を用いると防音防振材が硬くなる欠点がある上、フエルトとゴム、樹脂シート、金属箔などの他の基材とが接着剤や粘着剤により強固に積層されているので剥離するのが困難であり、容易にリサイクルできない問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、積層するために接着剤や粘着剤を用ず、そのため柔軟性があって取り扱い易く、防音防振性に優れる上、使用後は積層したフエルトとゴム、塩ビ(PVC)シート、ポリエチレンなどの樹脂シート、金属箔などの他の基材とを分離して、それぞれを容易にリサイクルして再使用できるようにしたコンプレッサ用防音防振材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる問題について鋭意研究した結果、フエルト材と他の基質とを特定の固定具を用いて積層することにより課題を解決できることを見いだし本発明を成すに到った。
【0005】本発明の請求項1は、1枚以上のフエルト材と、このフエルト材に積層した1枚以上の他の基質と、少なくとも前記フエルト材と前記他の基質との重ね合わせ部を貫通して支持・固定するために両端に本体と一体に形成された支持部を有する樹脂製ピンポイント固定具を1個以上備えたコンプレッサ用防音防振材であって、前記フエルト材と前記他の基質をリサイクルするに際して前記フエルト材と前記他の基質を容易に分離できるようにしたことを特徴としたリサイクル容易なコンプレッサ用防音防振材に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本発明において用いるフエルト材の原料となるフエルトは、著しくもつれた繊維で構成されているシート状のものであれば特に限定されず、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステルなどあるいはこれらの混合物などの繊維を適当な方法でウエッブ状またはマット状に配列させて熱硬化性フエノール系バインダーなどの接着剤を用いて繊維相互を接着させて作られるもの(レジンフエルトと呼ばれる)、あるいはバインダーを用いてプレスして繊維相互を接着させるか、あるいはバインダーを用いないでプレスして繊維自身の融着によって繊維相互を接着させて作られるもの(プレスフエルトと呼ばれる)、繊維をシート状にしたものをニードリングして繊維を植え込んだもの(ニードルフエルトと呼ばれる)、あるいはこれらのフエルトを使用した後、リサイクルしたフエルトなどを例示することができる。
【0007】これらのフエルトの表面状態は、前記のような波割り加工して表面に特定の凹凸を付けたものや、あるいはフエルト製造時の金属製ベルトの表面の影響を受けて平坦なものや、網目のついたもの、模様のあるものなど各種の表面状態のものがあるが、いずれも本発明に使用できる。
【0008】合成繊維から作られた古着や廃棄されたポリエステルワイシャツや背広など、天然繊維から作られた廃棄されり使用後のタオル、ジーパンなどの綿製品など、あるいはこれらのワイシャツ、背広、タオル、ジーパンなどの製品を製造する際にでたはぎれやクズなどを回収して切断、粉砕などを行ってリサイクルしたものを使用してレジンフエルト、プレスフエルト、ニードルフエルトとしたもの、あるいは使用済みのフエルト材をリサイクルにしたものを、本発明において用いるフエルト材の原料として用いれば、安価で、環境に優しい優れたフエルト材を得ることができる。
【0009】本発明のコンプレッサ用防音防振材に使用されたフエルト材は、リサイクル時には他の基質から容易に分離され、そして分離されたフエルト材には、リサイクルして再使用するに当たって障害になるような接着剤、粘着剤、他の基質などの異質物が含まれたり付着しておらず均一な品質を有するので、容易にリサイクルして再使用できる。
【0010】本発明においてフエルト材に積層する他の基質は、無機質のものでも有機質のものでもあるいはこれらの組み合わせでもよく、特に限定されない。例えば、PVCシートなどのプラスチックシート、未加硫ゴムシートや加硫ゴムシートなどのゴムシート、アルミ箔などの金属箔、金属板、発泡プラスチックシート、木質板などを挙げることができる。
【0011】本発明のコンプレッサ用防音防振材に使用されたPVCシートなどのプラスチックシート、未加硫ゴムシート、アルミ箔などの金属箔、金属板、発泡プラスチックシート、木質板などの他の基質は、リサイクル時にはフエルト材から容易に分離され、そして分離されたこれらの他の基質には、リサイクルして再使用するに当たって障害になるような接着剤、粘着剤、フエルト材などの異質物が含まれたり付着しておらず均一な品質を有するので、容易にリサイクルして再使用できる。
【0012】本発明の防音防振材は1枚以上のフエルト材に1枚以上の他の基質を積層してあればよく、これらをどのような順番で積層するか、どのように組み合わせて積層するかは特に限定されない。これらの組み合わせの具体例としては、例えばフエルト材/他の基質/フエルト材、フエルト材/他の基質、他の基質/フエルト材、他の基質/フエルト材/他の基質などを挙げることができる。
【0013】図1は、本発明のリサイクル容易なコンプレッサ用防音防振材の1実施例を示す説明図である。図1において、1はコンプレッサ用防音防振材、2A、2Bはフエルト材、3はフエルト材2A、2Bにサンドイッチ積層された未加硫ゴムシート、4はフエルト材2A、2Bとゴムシート3の重ね合わせ部5を貫通して支持・固定するするポリエチレンなどの樹脂製ピンポイント固定具、4Aは樹脂製ピンポイント固定具4の一端に本体と一体に形成された支持部であり、4Bは樹脂製ピンポイント固定具4の他端に本体と一体に形成された支持部である。4Cは支持部4A下部に設けたテーパー部である。
【0014】コンプレッサ用防音防振材1は、フエルト材2A、2B間に未加硫ゴムシート3が樹脂製ピンポイント固定具4によってサンドイッチ積層されて形成されている。樹脂製ピンポイント固定具4がコンプレッサ用防音防振材1から外れたり、抜けたりしないように樹脂製ピンポイント固定具4の両端に本体と一体に支持部4Aと4Bが形成されており、そしてフエルト材2A、2Bとゴムシート3が支持部4Aと4Bによってしっかりと支持・固定されるようになっている。
【0015】図2(イ)〜(ハ)は、本発明のリサイクル容易なコンプレッサ用防音防振材を製造する方法の1実施例を示す説明図である。図2(イ)において、先ずフエルト材2Aと2Bの間に未加硫ゴムシート3を重ね合わせ、図示しない工具(例えば、(株)日本バノック製、Bano’k303X)を用い、この工具の溝付針(例えば、(株)日本バノック製、Ux−7m/m、支持部間の長さ;7mm)の内部に樹脂製ピンポイント固定具4を挿着して樹脂製ピンポイント固定具4の一方の支持部4Bを図に示したように直線状に変形させ、他方の支持部4Aは変形させず、矢印で示した方向から重ね合わせ部5に挿入する。
【0016】図2(ロ)に、内部に樹脂製ピンポイント固定具4を挿着した図示しない前記工具の溝付針を重ね合わせ部5に貫通させた状況を示す。図2(ハ)に示したように、貫通させた後、図示しない前記工具の溝付針を抜き去ると変形していた樹脂製ピンポイント固定具4の支持部4Bが弾性回復して元の状態に戻り、フエルト材2A、2Bとゴムシート3が樹脂製ピンポイント固定具4の支持部4Aと4Bによってしっかりと支持・固定される。
【0017】上記の例では1個の樹脂製ピンポイント固定具4を用いて重ね合わせ部5を支持・固定する例を示したが、実際には重ね合わせ部5の必要な箇所を複数の樹脂製ピンポイント固定具4を用いて支持・固定したり、あるいは重ね合わせ部5以外のフエルト材2Aと2Bを重ね合わせた部分の必要な箇所を複数の樹脂製ピンポイント固定具4を用いて支持・固定することが必要に応じて行われる。
【0018】複数の樹脂製ピンポイント固定具4を用いる場合、1つ1つ手作業で行うこともできるが、例えば前記工具を支持・固定装置に複数セットし、この支持・固定装置を用いて自動的に1度に支持・固定することもでき、また手作業と組み合わせて行うこともできる。自動的にかつ連続的に行えば効率や精度が向上するとともにコストダウンを図ることができる。
【0019】図3(イ)〜(ロ)は、本発明のリサイクル容易なコンプレッサ用防音防振材をリサイクルする際にフエルト材とゴムシートを剥離して分離する方法の1実施例を示す説明図である。図3(イ)に示したように、フエルト材2Aとゴムシート3をフエルト材2Bから矢印で示したように剥離する方向に引っ張ると、樹脂製ピンポイント固定具4のいずれか一方の支持部が変形する。この例では支持部4Aが変形する。図3(ロ)に示したように、さらにフエルト材2Aとゴムシート3をフエルト材2Bから矢印で示したように剥離する方向に引っ張ると、樹脂製ピンポイント固定具4の変形した支持部4Aは貫通部を通り抜けて外れてしまい、樹脂製ピンポイント固定具4はフエルト材2Bに留まる。
【0020】このようにしてフエルト材2A、ゴムシート3、フエルト材2Bを容易にばらばらに切り放すことができ、そして切り放したそれぞれをリサイクルして再使用できる。例えば樹脂製ピンポイント固定具4が付いたフエルト材2Bは樹脂製ピンポイント固定具4が付いたまま粉砕、混合して再びフエルト材として利用できる。また、例え樹脂製ピンポイント固定具4が未加硫ゴムシート3に付いて留まったとしても樹脂製ピンポイント固定具4が付いたままゴムシート3を粉砕、混合して再びゴムシートとして利用できる。
【0021】フエルト材2A、ゴムシート3、フエルト材2Bをばらばらに切り放す方法は上記の例に限定されず、例えば、図3(イ)に示したように、フエルト材2Aとゴムシート3をフエルト材2Bから矢印で示したように剥離する方向に引っ張った時、鋏などの切断用具で固定具4の直線部の中央を切断してフエルト材2A、ゴムシート3、フエルト材2Bをばらばらにしてもよく、また図3(イ)に示したようにフエルト材2Aとゴムシート3をフエルト材2Bから剥離する方向に引っ張る前に鋏などの切断用具で固定具4の一方の支持部4Aを切り放してからフエルト材2Aとゴムシート3をフエルト材2Bから剥離する方向に引っ張ってフエルト材2A、ゴムシート3、フエルト材2Bをばらばらにしてもよく、これらを組み合わせて行ってもよい。
【0022】図4(イ)〜(ニ)は、本発明で用いる樹脂製ピンポイント固定具の他の例を示す説明図である。図4(イ)の樹脂製ピンポイント固定具は図1〜3に示した樹脂製ピンポイント固定具と同じタイプのものである。樹脂製ピンポイント固定具4の長さL、直線部の太さなど、樹脂製ピンポイント固定具4の支持部4A、4Bの長さ、太さなど、樹脂製ピンポイント固定具4の支持部4Aのテーパー部4Cの大きさ、角度などはフエルト材や他の基質の種類、厚さ、これらの積層数などにより適切に決められるものである。図4(ロ)の樹脂製ピンポイント固定具は(イ)に示したものに類似するが、一方の支持部の太さを他方の支持部の太さより細くし、樹脂製ピンポイント固定具の長さLを長くしたタイプのものである。
【0023】図4(ハ)の樹脂製ピンポイント固定具は、一方の支持部の形状を変化させたタイプのものである。図4(ニ)の樹脂製ピンポイント固定具は、一方の支持部の形状を変化させるとともに樹脂製ピンポイント固定具の長さLを長くしたタイプのものである。図4(イ)〜(ニ)に示したように、樹脂製ピンポイント固定具の長さ、太さ、形状、樹脂製ピンポイント固定具の支持部の長さ、太さ、形状などは用途に合わせて変えることができ、特に限定されるものではない。
【0024】本発明で樹脂シートや樹脂製ピンポイント固定具に使用される樹脂としては熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、中でも熱可塑性樹脂およびその樹脂組成物は好ましく使用できる。熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコールケン化物系樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体系樹脂などおよびこれらの混合物やアロイなどの熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの中でもポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂などは安価である上、性能的にもよく、熱可塑性樹脂であるためリサイクルして再使用し易く、本発明において好ましく使用できる。
【0025】図5は、本発明の防音防振材を用いてコンプレッサを被覆する1実施例を示す説明図である。図5において、1Aは密閉型コンプレッサ6の外周回りを被覆するため、外周回りの形状に合わせて形成された本発明のコンプレッサ用防音防振材からなるコンプレッサカバーであり、1Bは密閉型コンプレッサ6の上部を被覆するために形成された本発明のコンプレッサ用防音防振材からなるコンプレッサカバーである。密閉型コンプレッサ6の外周はこれらのコンプレッサカバー1A、1Bを用いて被覆される。
【0026】コンプレッサカバー1Aは所定の形状にカットされた1枚のフエルト材2Cを2つ折りにした間に所定の大きさのゴムシート3を所定の位置に配設して複数の樹脂製ピンポイント固定具4、4、4・・・によって支持・固定してサンドイッチ積層したものである。ゴムシート3を特に防音・防振が必要な箇所にのみ配設することにより使用量を節約できコストダウンを図れる。
【0027】樹脂製ピンポイント固定具4を施す位置は、出来上がったコンプレッサカバー1Aを密閉型コンプレッサ6に差し込み易いような位置に施すことが好ましく、また密閉型コンプレッサ6の下部に近い部分に多く施し、上部の方は少なくする方が各層間に空気が入り防音防振効果が上がるので好ましい。
【0028】図6は、このようにして外周を本発明のコンプレッサ用防音防振材から作ったコンプレッサカバー1A、1Bにより被覆した密閉型コンプレッサ6を備えた室外機の例を示す説明図である。図6において、室外機7にはコンプレッサカバー1A、1Bを用いて被覆した密閉型コンプレッサ6が設置されており、密閉型コンプレッサ6により圧縮された冷媒は凝縮器8で凝縮されて冷媒出口からでて図示しない室内器の蒸発器で蒸発して冷熱を発生した後、冷媒入口から密閉型コンプレッサ6に循環し、冷凍回路が形成されている。9は冷却用ファン、10は冷却用ファン9を駆動するモータである。
【0029】密閉型コンプレッサ6を設置した部屋の隔壁11、後壁12、前面壁13、右側壁14、天面15、底面16の内表面にもそれぞれの形状に合わせて形成した本発明のコンプレッサ用防音防振材が配設してある。このようにすることにより密閉型コンプレッサ6の振動、騒音が室外機7の外部に伝わるのを防止、抑制できる。
【0030】上記の密閉型コンプレッサ6の形式は特に限定されず、具体的には、回転式コンプレッサ、レシプロ式コンプレッサ、振動式コンプレッサ、マルチベーン式回転式コンプレッサ、スクロール式コンプレッサなどを例示することができる。
【0031】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではないので、本発明の特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0032】
【発明の効果】本発明のコンプレッサ用防音防振材は、接着剤や粘着剤を用いないので、柔軟性があって取り扱い易く、防音防振性に優れる上、使用後は積層したフエルトとゴム、樹脂シート、金属箔などの他の基材とを剥離して、容易にリサイクルできる。
【出願人】 【識別番号】596016720
【氏名又は名称】押谷フエルト化成株式会社
【出願日】 平成11年11月8日(1999.11.8)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2001−132658(P2001−132658A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−317076