| 【発明の名称】 |
密閉型電動圧縮機 |
| 【発明者】 |
【氏名】入山 健治
【氏名】原川 義明
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| 【要約】 |
【課題】負抵抗特性の温度センサにより電動モータを保護している密閉型電動圧縮機において、雰囲気温度に関係なく確実に温度センサの断線を検知する。
【解決手段】モータ130起動後、第1所定時間ta1経過時点の検出温度Ta1と第2所定時間Δt経過時点の検出温度Ta2との温度差ΔTが、所定の断線判定値C1より小さい場合に、サーミスタ160が断線していると判定する。モータ130起動直後のモータ130の温度は上昇するので、この上昇時間範囲内に第1、第2所定時間ta1、Δtを設定すれば、|ΔT|<C1の場合にはモータ130の実際の温度が変化しているにも関わらず、サーミスタ160の検出温度Tは変化していないことになり、サーミスタ160が断線していると確実に判定することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体を吸入圧縮するポンプ機構(110)と、前記ポンプ機構(110)を駆動する電動モータ(130)と、前記電動モータ(130)の温度上昇に伴って電気抵抗値が減少して、前記電動モータ(130)の温度を検出する温度センサ(160)とを備え、前記電動モータ(130)起動後、第1所定時間(ta1)経過時点における前記温度センサ(160)の検出温度(Ta1)と、前記第1所定時間(ta1)後、第2所定時間(Δt)経過時点における前記温度センサ(160)の検出温度(Ta2)との温度差(ΔT)の絶対値が、所定の断線判定値(C1)より小さい場合に、前記温度センサ(160)が断線していると判定することを特徴とする密閉型電動圧縮機。 【請求項2】 流体を吸入圧縮するポンプ機構(110)と、前記ポンプ機構(110)を駆動する電動モータ(130)と、前記電動モータ(130)の温度上昇に伴って電気抵抗値が減少して、前記電動モータ(130)の温度を検出する温度センサ(160)とを備え、前記電動モータ(130)起動後、所定の判定禁止時間(tb1)が経過してから、前記温度センサ(160)の検出温度(T)が所定の断線判定温度(TH)より低い場合に、前記温度センサ(160)が断線していると判定することを特徴とする密閉型電動圧縮機。 【請求項3】 流体を吸入圧縮するポンプ機構(110)と、前記ポンプ機構(110)を駆動する電動モータ(130)と、前記電動モータ(130)の温度上昇に伴って電気抵抗値が減少して、前記電動モータ(130)の温度を検出する温度センサ(160)とを備え、前記電動モータ(130)の起動後、第1所定時間(Δt1)経過時点における前記温度センサ(160)の検出温度(Tc1)が所定の断線判定温度(TH)より低い場合に、前記電動モータ(130)を停止し、前記電動モータ(130)停止時から第2所定時間(Δt2)経過後、前記電動モータ(130)を再起動させ、この再起動後、第3所定時間(Δt3)が経過してから、前記温度センサ(160)の検出温度(T)が前記断線判定温度(TH)より低い場合に、前記温度センサ(160)が断線していると判定することを特徴とする密閉型電動圧縮機。 【請求項4】 前記電動モータ(130)を収納するモータ室(133)を備え、前記ポンプ機構(110)から吐出する流体は、前記モータ室(133)内を流通するようになっており、前記温度センサ(160)は、前記モータ室(133)の温度を検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の密閉型電動圧縮機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポンプ機構と電動モータとが一体となった密閉型電動圧縮機に関するもので、冷凍サイクル用の圧縮機に適用して有効である。 【0002】 【従来の技術】冷凍サイクル用の密閉型電動圧縮機として、電動モータを収納するハウジング(密閉容器)にサーミスタを配設して電動モータの温度を検出するとともに、このサーミスタの検出温度が所定温度(電動モータの耐熱温度に相当する温度)に到達したときに、電動モータを停止させて電動モータを保護している。 【0003】ところで、上記サーミスタの断線を検知する従来の手段を説明すると、周知の如く、サーミスタは温度上昇に伴って電気抵抗値が減少する特性であり、サーミスタが断線した場合には、上記電気抵抗値が無限大になり、検出温度は極めて低い温度となる。そこで、サーミスタの検出温度が所定の断線判定温度THより小さい場合には断線と判定し、電動モータを停止させて電動モータを保護していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、図12に示すように、サーミスタの温度−抵抗値特性は、温度が低くなると急激に抵抗値が上昇する負抵抗特性である。このため、密閉型電動圧縮機の雰囲気温度が極めて低い(例えば−20℃)場合には、サーミスタの抵抗値は数MΩになってしまい、ほぼ断線状態(抵抗値∞)と近似となるため、サーミスタが断線していなくても、サーミスタの検出温度が所定の断線判定温度THより低くなり、断線と誤判定してしまい、電動モータは停止されて起動しないという問題が生じていた。 【0005】本発明は上記点に鑑みて、サーミスタの如く負抵抗特性の温度センサにより、電動モータを保護している密閉型電動圧縮機において、雰囲気温度に関係なく、確実に温度センサの断線を検知することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、流体を吸入圧縮するポンプ機構(110)と、ポンプ機構(110)を駆動する電動モータ(130)と、電動モータ(130)の温度を検出する温度センサ(160)とを備え、電動モータ(130)起動後、第1所定時間(ta1)経過時点の検出温度(Ta1)と、第1所定時間(ta1)経過後、第2所定時間(Δt)経過時点の検出温度(Ta2)との温度差(ΔT)の絶対値が、所定の断線判定値(C1)より小さい場合に、温度センサ(160)が断線していると判定することを特徴としている。 【0007】ところで、電動モータ(130)起動直後の電動モータ(130)の温度は変化するので、この変化する時間範囲内に、第1、第2所定時間(ta1)、(Δt)を設定すれば、上記発明により、|ΔT|<C1の場合には電動モータ(130)の実際の温度が変化しているにも関わらず、温度センサ(160)の検出温度は変化していないことになり、温度センサ(160)が断線していると確実に判定することができる。 【0008】よって、誤判定により電動モータ(130)が停止することを防止でき、雰囲気温度に関係なく、確実に温度センサ(160)の断線を検知することができる。 【0009】また、請求項2に記載の発明では、電動モータ(130)起動後、所定の判定禁止時間(tb1)が経過してから、温度センサ(160)の検出温度(T)が所定の断線判定温度(TH)より低い場合に、温度センサ(160)が断線していると判定することを特徴としている。 【0010】これにより、温度センサ(160)が断線しているか否かの判定を行う時点での検出温度(T)は、電動モータ(130)起動時点に比べて高くなっているので、密閉型電動圧縮機の雰囲気温度が極めて低い場合であっても、温度センサ(160)の抵抗値が数MΩになることはない。よって、誤判定を防止でき、誤判定により電動モータ(130)が停止することを防止し、雰囲気温度に関係なく、確実に温度センサ(160)の断線を検知することができる。 【0011】また、請求項3に記載の発明では、電動モータ(130)の起動後、第1所定時間(Δt1)経過時点の検出温度(Tc1)が所定の断線判定温度(TH)より低い場合に電動モータ(130)を停止し、この電動モータ(130)停止時から第2所定時間(Δt2)経過後電動モータ(130)を再起動させ、この再起動後、第3所定時間(Δt3)が経過してから、検出温度(T)が断線判定温度(TH)より低い場合に、温度センサ(160)が断線していると判定することを特徴としている。 【0012】これにより、後述の図9に例示するように、温度センサ(160)の検出温度は、電動モータ(130)起動後、断線判定温度(TH)より低い温度(Tc1)まで上昇し、電動モータ(130)の停止にともない、電動モータ(130)の起動時の検出温度より高い温度(Tc2)まで一旦下降し、電動モータ(130)の再起動にともない、断線判定温度(TH)より高い温度(Tc3)まで再度上昇する。 【0013】よって、再起動時の検出温度(Tc2)を起動時の検出温度より高くすることができるので、第3所定時間(Δt3)を短くしても、第3所定時間(Δt3)経過時点の検出温度(Tc3)を高くすることができ、温度センサ(160)の断線の検知を確実にできる。 【0014】また、断線時に、電動モータ(130)等の異常により実際の電動モータ(130)の温度が上昇する場合であっても、断線を検知していない第3所定時間(Δt3)を短くできるので、電動モータ(130)を確実に保護することをも可能にする。 【0015】また、請求項4に記載の発明では、電動モータ(130)を収納するモータ室(133)を備え、ポンプ機構(110)から吐出する流体はモータ室(133)内を流通するようになっており、温度センサ(160)はモータ室(133)の温度を検出することを特徴としている。 【0016】ここで、電動モータ(130)の起動後には、ポンプ機構(110)の吐出側の流体は温度上昇し、この温度上昇した流体はモータ室(133)内を流通するので、モータ室(133)内の温度は上昇する。したがって、電動モータ(130)起動後の温度センサ(160)の検出温度は上昇するので、請求項1〜3に記載の発明の効果を増大させることができる。 【0017】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。 【0018】 【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態は、本発明に係る密閉型電動圧縮機(以下、電動圧縮機と略す。)を冷凍サイクル用の圧縮機に適用したものであり、図1は冷凍サイクルの模式図である。 【0019】図1中、100は冷媒(流体)を吸入圧縮する電動圧縮機であり、200は電動圧縮機100から吐出する冷媒を冷却する放熱器(凝縮器)である。300は放熱器200から流出する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して冷凍サイクル中の余剰冷媒を蓄えるとともに、液相冷媒を流出するレシーバ(気液分離手段)であり、400はレシーバ300から流出する冷媒を減圧する減圧器である。 【0020】なお、減圧器400は、電動圧縮機100に吸入される冷媒の加熱度が所定値となるように、その開度(減圧度)を調節する温度式膨張弁である。 【0021】500は、減圧器400にて減圧されて気液二相状態となった冷媒を蒸発させて冷凍能力を発揮する蒸発器である。 【0022】600は、電動圧縮機100の直流の電源であり、ECU(電子制御装置)700を介して電動圧縮機100に接続され、ECU700により電動圧縮機100の駆動を制御する。この制御に関しては後に詳述する。 【0023】次に、電動圧縮機100について述べる。 【0024】110は冷媒を吸入圧縮するポンプ機構であり、このポンプ機構110は、ハウジング120に対して固定された(可動しない)固定スクロール111及び固定スクロール111に対して旋回する旋回スクロール112からなる周知のスクロール型ポンプ機構である。 【0025】130はポンプ機構110を駆動する電動モータ(以下、モータと略す。)であり、このモータ130は、略円筒状のハウジング120内に固定されたステータ131、及びステータ131内で回転するマグネットロータ(以下、ロータと略す。)132から構成されている。 【0026】ここで、ステータ131は、ハウジング120内に焼きばめ(しまりばめ)等の圧入手段によりハウジング120に対して堅牢に固定された磁性材料からなるステータコア131a、及びステータコア131aに巻かれたコイル(巻き線)131bから構成されている。 【0027】一方、ロータ132は、永久磁石(マグネット)132aが埋設された磁性材料からなるロータコア132b、及びロータコア132bと一体的に回転するとともにロータコア132bを支持するシャフト132cから構成されている。なお、ハウジング120外表面に取り付けられたコネクタ150により、コイル131bとECU700とが接続されている。 【0028】そして、ステータ131に回転磁界を発生させてロータ132を回転させることにより、シャフト132c(ロータ132)に固定された旋回スクロール112(ポンプ機構110)を稼働させる。 【0029】因みに、ロータ132(シャフト132c)は、ハウジング120に固定された軸受132dにより、ハウジング120内に回転可能に支持されている。 【0030】ところで、ハウジング120の長手方向一端側には、蒸発器500の冷媒出口側に接続される吸入口141が形成され、ハウジング120の長手方向他端側には、放熱器200の冷媒入口側に接続される吐出口142が形成されている。 【0031】そして、吸入口141からポンプ機構110に吸入された冷媒は、ハウジング120内のうちモータ130が収納された空間(以下、この空間をモータ室と呼ぶ。)133内をロータ132の軸方向(シャフト132cと平行な方向)に流通して吐出口142からハウジング120外(放熱器200)に向けて吐出される。なお、143は、ポンプ機構110から吐出した冷媒をモータ室133に導く吐出ポートである。 【0032】160はモータ130の温度を検出するサーミスタ(温度センサ)であり、モータ130近傍のハウジング120外表面に設置されている。このサーミスタ160は、「従来の技術」の欄で述べたように、サーミスタ160の検出温度Tが所定温度(モータ130の耐熱温度に相当する温度)TLに到達したときに、モータ130を停止させる等してモータ130を保護するためのものである。 【0033】次に、モータ130の駆動回路図である図4を用いてECU700の構成を説明する。 【0034】ECUはインバータ制御装置710とインバータ(インテリジェントパワーモジュール)730から構成されており、インバータ制御装置710は、シャントレギュレター710aにより低電圧Vccを形成し、抵抗器310bとサーミスタ160の分圧を温度信号としてCPU(中央演算装置)710cに入力し、CPU710cの内部回路により、温度信号に基づいてインバータ制御信号を決定する。 【0035】インバータ730は、インバータ制御信号に基づいて、電源600の電力を三相交流のモータ入力電力UVWに変換する。 【0036】そして、上述のECU700の構成により、モータ130への入力電力UVWは、サーミスタ160の検出温度Tに応じて変化し、図3に示すように、検出温度Tが所定温度TL0以上になると、検出温度Tが上昇するにつれて入力電力UVWは低下され、さらに温度上昇して、検出温度Tが所定温度TL以上になると、モータ130への入力電力UVWを0にして、モータ130を停止させる。 【0037】次に、モータ130起動後における、CPU710cによるサーミスタ160の断線判定(検知)手段を図5、6により説明する。 【0038】図5は、本実施形態の断線判定フローによる、モータ130起動後の時間とサーミスタ160の検出温度Tとの関係を示している。 【0039】ところで、モータ130起動時には、モータ130の温度は上昇する。特に、冷凍サイクルを循環する電動圧縮機100の吐出側の冷媒は温度上昇し、温度上昇した冷媒はモータ室133内の温度を上昇させている。よって、ハウジング120外表面に設置されるサーミスタ160の検出温度Tは、断線していない正常時には、図5中の正常時曲線に示すように上昇する。一方サーミスタ160が断線している場合には、検出温度Tは、図5中の断線時直線に示すように一定の温度TAになり、変化しなくなる。 【0040】また、図5中の断線判定温度THは、サーミスタ160にてモータ130の温度を誤判定することなく検出できる最小温度であり、「従来の技術」の欄で述べたように、サーミスタの検出温度Tが所定の断線判定温度THより小さい場合には断線と判定し、モータ130を停止させてモータ130を保護している。 【0041】図6は、モータ130起動後における、CPU710cによるサーミスタ160の断線判定フローを示しており、ステップS100にてモータ130が起動した時点で、タイマ、制御フラグ等の初期化を行う。 【0042】次に、ステップS210にて、CPU710cに備えられる第1タイマにより計時を開始し、第1タイマが第1所定時間ta1を計時し、図5に示す所定時刻(第1所定時間経過時点)ta1に達したら、ステップS220へ進む。 【0043】次に、ステップS220にて、所定時刻ta1におけるサーミスタ160の検出温度Ta1を取り込む。 【0044】次に、ステップS230にて、CPU710cに備えられる第2タイマにより計時を開始し、第2タイマが第2所定時間Δtを計時し、図5に示す所定時刻(第2所定時間経過時点)ta2に達したら、ステップS412に進む。なお、第1、第2所定時間ta1、Δtは、図5の正常時曲線のうち検出温度Tが上昇する時間の範囲内に設定されている。 【0045】次に、ステップS240にて、所定時刻ta2におけるサーミスタ160の検出温度Ta2を取り込む。 【0046】次に、ステップS250にて、検出温度Ta1とTa2との温度差の絶対値|ΔT|を算出し、単位時間あたりの温度変化|ΔT|/Δtが、所定値C0以下か否かを判定し、|ΔT|/Δt≦C0であれば断線と判定してステップS500へ進み、|ΔT|/Δt>C0であれば断線していないと判定してステップS600へ進む。なお、ステップS250での判定は、単位時間あたりの温度変化|ΔT|/Δtではなく、温度差|ΔT|が所定値C1以下か否かを判定してもよい。 【0047】そして、ステップS500にて、CPU710cはモータ入力電力UVWを0にすべくインバータ制御信号を出力し、インバータ730によりモータ130を停止させる。一方、ステップS600にて、モータ130を通常作動させる。ここで、通常作動とは、前述のように検出温度Tが所定温度TL以上である場合、および、断線判定温度TH以下である場合に、CPU710cは、モータ入力電力UVWを0にすべくインバータ制御信号を出力してモータ130を停止させる作動である。 【0048】以上の断線判定手段により、モータ130起動後、|ΔT|/Δt≦C0の場合には、モータ130の実際の温度が変化しているにも関わらず、サーミスタ160の検出温度Tは変化していないことになり、サーミスタ160が断線していると確実に判定することができる。 【0049】(第2実施形態)本実施形態は、第1実施形態で説明した冷凍サイクル用電動圧縮機と同じ構成であり、第1実施形態と異なる点は、モータ130起動後のCPU710cによるサーミスタ160の断線判定手段であり、以下、本実施形態の断線判定手段を図7、8により説明する。 【0050】図7は、本実施形態の断線判定フローによる、モータ130起動後の時間とサーミスタ160の検出温度Tとの関係を示しており、正常時曲線、断線時直線、モータ入力制限所定温度TL、断線時温度TAおよび断線判定温度THは図5と同様である。そして、図7中の時刻thは、正常時曲線に基づいて予想される、モータ130起動後に断線判定温度THに達するまでの予想時刻thである。 【0051】図8は、モータ130起動後における、CPU710cによるサーミスタ160の断線判定フローを示しており、ステップS100、ステップS500およびステップS600は、第1実施形態と同じステップであるので説明を省略する。 【0052】はじめに、ステップS100からステップS310に進み、CPU710cに備えられるタイマにより計時を開始し、タイマが所定の判定禁止時間tb1を計時し、図7に示す所定時刻tb1に達したら、ステップS320へ進む。なお、サーミスタ160が断線していない正常の場合に、所定時刻tb1におけるサーミスタ160の検出温度Tb1が確実に断線判定温度THより大きくなるようにするために、判定禁止時間tb1は予想時刻thよりも長い時間(thに適切な余裕を加えた時間)に設定されている。この設定方法により判定禁止時間tb1は、誤判定することのない範囲で、出来るだけ短い時間に設定されている。 【0053】次に、ステップS320にて、所定時刻tb1におけるサーミスタ160の検出温度Tb1を取り込む。 【0054】次に、ステップS330にて、検出温度Tb1と断線判定温度THとを比較し、Tb1≦THであればステップS500へ進み、Tb1>THであればステップS600へ進む。 【0055】以上の断線判定フローにより、判定禁止時間tb1経過時点の検出温度Tb1が断線判定温度THより小さい場合に、サーミスタ160が断線していると判定することができる。 【0056】これにより、サーミスタ160が断線しているか否かの判定を行う時点での検出温度Tb1は、モータ130起動時点に比べて高くなっているので、電動圧縮機100の雰囲気温度が極めて低い場合であっても、サーミスタ160の抵抗値が数MΩになることはない。よって、誤判定を防止でき、誤判定によりモータ130が停止することを防止し、雰囲気温度に関係なく、確実にサーミスタ160の断線を検知することができる。 【0057】(第3実施形態)本実施形態は、第1実施形態で説明した冷凍サイクル用電動圧縮機と同じ構成であり、第1実施形態と異なる点は、モータ130起動後のCPU710cによるサーミスタ160の断線判定手段であり、以下、本実施形態の断線判定手段を図9、10により説明する。 【0058】図9は、モータ130起動後の時間とサーミスタ160の検出温度Tとの関係を示しており、モータ入力制限所定温度TL、断線時温度TA、断線判定温度THおよび予想時刻thは図7と同様である。そして、図9の極低温時曲線は、本実施形態の断線判定フローによる実際のサーミスタ160の検出温度Tの温度変化を示している。なお、低温時曲線は後述する。 【0059】図10は、モータ130起動後における、CPU710cによるサーミスタ160の断線判定フローを示しており、ステップS100、ステップS500およびステップS600は、第1実施形態と同じステップであるので、説明を省略する。 【0060】はじめに、ステップS100からステップS410に進み、CPU710cに備えられる第1タイマにより計時を開始し、第1タイマが第1所定時間Δt1を計時し、図9に示す所定時刻(第1所定時間経過時点)tc1に達したら、ステップS420へ進み、ステップS420にて、所定時刻tc1におけるサーミスタ160の検出温度Tc1を取り込む。 【0061】次に、ステップS430にて、検出温度Tc1と断線判定温度THとを比較し、Tc1≦THであればステップS440へ進み、Tc1>THであればステップS600へ進む。 【0062】次に、ステップS440にて、サーミスタ160が断線している可能性があるとみなして、CPU710cはモータ入力電力UVWを0にすべくインバータ制御信号を出力し、インバータ730によりモータ130を停止させる。 【0063】次に、ステップS450にて、CPU710cに備えられる第2タイマにより計時を開始し、第2タイマが第2所定時間Δt2を計時し、図9に示す所定時刻tc2に達したらステップS460に進み、モータ130を再起動させる。なお、第1、第2所定時間Δt1、Δt2の時間長さは、所定時刻tc2の検出温度Tc2がモータ130起動時の検出温度より高くなるように、それぞれ設定されている。 【0064】次に、ステップS470にて、CPU710cに備えられる第3タイマにより計時を開始し、第3タイマが第3所定時間Δt3を計時し、図9に示す所定時刻tc3に達したら、ステップS480へ進み、ステップS480にて、所定時刻tc3におけるサーミスタ160の検出温度Tc3を取り込む。なお、サーミスタ160が断線していない正常の場合に、時刻tc3の検出温度Tc3が断線判定温度THより大きくなるように、第3所定時間Δt3の長さは設定されている。 【0065】次に、ステップS330にて、検出温度Tb1と断線判定温度THとを比較し、Tb1≦THであればステップS500へ進み、Tb1>THであればステップS600へ進む。 【0066】以上の作動による効果を、図11を用いて第2実施形態との比較により説明すると、第2実施形態において、雰囲気温度が予想していた低温度よりもさらに低い極低温度(例えば−30℃)である場合には、通常時曲線(以下、低温時曲線と称す。)に基づいて予想した予想時刻thになっても、断線判定温度THに達することがない。すなわち、第2実施形態の所定時刻tb1におけるサーミスタ160の検出温度Tb1は、予想していた低温時ではTb1>THであっても、極低温時ではTb1<THとなってしまい、誤判定してしまうことがある。 【0067】このような場合、極低温時曲線に基づいた予想時刻th’により、判定禁止時間tb1をtb1’に長くすると、tb1’>THとなるため、誤判断を防止できるようになる。しかし、この相反事象として実際にモータ130の温度が所定温度TL以上に上昇していても、判定禁止時間tb1’が経過するまではモータ130を停止させてモータ130を保護することができないため、モータ130の温度上昇による故障の可能性が増大する。なお、モータ130がロックした場合等には、モータ130の温度は短時間で急激に上昇することが考えられる。 【0068】そこで、本実施形態の作動によれば、サーミスタ160の検出温度Tは、モータ130起動後、断線判定温度THより低い温度Tc1まで上昇し、モータ130の停止にともない、モータ130の起動時の検出温度(例えば−30℃)より高い温度Tc2まで一旦下降し、モータ130の再起動にともない、断線判定温度THより高い温度Tc3まで再度上昇する。 【0069】よって、再起動時の検出温度Tc2を起動時の検出温度より高くすることができるので、第3所定時間Δt3を短くしても、第3所定時間Δt3経過時点の検出温度Tc3を高くすることができ、サーミスタ160の断線の検知を確実にできる。 【0070】また、断線時に、モータ130等の異常により実際のモータ130の温度が上昇する場合であっても、断線を検知していない第3所定時間Δt3を短くできるので、モータ130を確実に保護することをも可能にする。 【0071】(他の実施形態)上記第1〜第3実施形態では、タイマが計時する時間を予め設定した所定の時間としているが、電動圧縮機100の雰囲気温度を検出する温度センサを設け、この温度センサによる信号をCPU710cに送り、CPU710cにて、タイマ計測する時間をモータ130起動時の雰囲気温度に応じて変化させてもよい。 【0072】例えば、第2実施形態に記載の判定禁止時間tb1を、雰囲気温度が低いほど長く設定すれば、判定禁止時間tb1を雰囲気温度に応じた最適時間にすることを確実にできる。 【0073】また、上記第3実施形態の断線判定フローでは、ステップS410からステップS460までの動作を1回のみ行っているが、複数回行ってもよい。具体的には、ステップS460にて、モータ130を再起動させた後、ステップS410に戻り、再び第1タイマにより計時を開始させ、ステップS410からステップS460までの動作を所定回数行った後、ステップS470に進む。 【0074】また、上記第1〜第3実施形態では、サーミスタ160の検出温度Tが所定温度TL以上である場合、および、サーミスタ160が断線していると判定された場合の異常時に、モータ130を停止させているが、これらの異常時に、モータ130を停止させることなくモータ130への入力電力UVWを、モータ130が熱により損傷しない程度に低下させてもよい。また、電動圧縮機100の運転者に上記異常を、例えば警告音や警告表示により、警告するようにしてもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
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| 【出願日】 |
平成11年11月4日(1999.11.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100022 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−132657(P2001−132657A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−314062 |
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