トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F04 液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ




【発明の名称】 電磁ダイアフラム式ポンプ
【発明者】 【氏名】橋本 篤樹

【要約】 【課題】小型化、軽量化され、かつねじを用いずに組み立てることができる静かな電磁ダイアフラム式ポンプを提供することにある。

【解決手段】ポンプ50の筐体51は、周囲の4側面と底面が一体成型されており、その左右両側面にフックを用いてヘッドカバー71a,71bが結合される。また、筐体の前側側面には、ヘッドカバー71a,71bと流体的に連通するチャンバタンク90を配置し、コンパクトに形成される。筐体50内には、コイルを巻回されたE型コアとこれより小さいバックコアが所定間隔置いて設置され、その間隔に振動子63がバックコア寄りに配置される。このため、筐体51を小型化でき、またダイアフラムを長寿命化できる。また、前記コアはすり割りリブ55a,55b,56a,56cの拡開力により筐体51に固着される。ダイアフラム内壁52a,52bに形成された振動子63通過孔を小さくしたので、ポンプを静かにできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポンプの筐体と、該筐体内に収納された、中央巻芯部にコイルを巻回されたE型コア、および該E型コアと対向し、かつ所定間隔離して配置されたコイルを巻回されないE型形状のバックコアと、前記E型コアとバックコアとの間に配置された永久磁石を保持する振動子と、該振動子の両端に固定されたダイアフラムとを具備し、前記ポンプの筐体内に収納されるコアが、前記E型コアとバックコアの一対のみであることを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項2】 請求項1に記載の電磁ダイアフラム式ポンプにおいて、前記E型コアの振動子方向の突出幅を、前記バックコアの同方向の幅より大きくしたことを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項3】 請求項1または2に記載の電磁ダイアフラム式ポンプにおいて、前記E型コアと前記振動子との間隔を、前記バックコアと前記振動子との間隔より広くしたことを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項4】 請求項1に記載の電磁ダイアフラム式ポンプにおいて、前記ポンプの筐体の側面内側の近傍であってその底面から上方に延びる複数のすり割りリブと、前記すり割りリブと対向する位置に形成された、下方に延びる複数のボスを有する前記筐体のキャップとを具備し、前記キャップのボスを前記筐体のすり割りリブの中に挿入することにより発生する前記すり割りリブの拡開力により、少なくとも前記E型コアとバックコアの一方を前記筐体に固定することを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項5】 請求項4に記載の電磁ダイアフラム式ポンプにおいて、前記E型コアとバックコアの前記すり割りリブとの接触位置に、該すり割りリブと同方向に延びかつ該すり割りリブの外側の輪郭の一部と同形の凹溝を設けたことを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項6】 請求項4または5に記載の電磁ダイアフラム式ポンプにおいて、前記キャップは、その周辺に前記すり割りリブと同方向に延びる複数のフックを具備し、前記キャップは該フックにより前記筐体に固着されることを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項7】 ポンプの筐体と、前記筐体の左右両側面から外方に延びるように形成された複数のフックと、前記筐体の左右両側面のそれぞれに結合されるヘッドカバーと、前記ヘッドカバーの前記筐体に形成されたフックと対向する位置に形成されたフック受入れ孔とを具備し、前記フックを前記フック受入れ孔に挿入することにより、前記ヘッドカバーを前記筐体に結合するようにしたことを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項8】 請求項7に記載の電磁ダイアフラム式ポンプにおいて、前記筐体の左右両側面に、前記フックと同方向に延びる流体導入口を兼ねるガイドを形成し、前記ヘッドカバーを前記筐体に結合する時、該ガイドが該ヘッドカバーを筐体の所定位置に案内することを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項9】 ポンプの筐体と、前記筐体の左右両側面のそれぞれに結合される、圧縮された流体を吐出する吐出ニップルを備えたヘッドカバーと、該ヘッドカバーの吐出ニップルに直接連結されるチャンバタンクとを具備したことを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項10】 請求項9に記載の電磁ダイアフラム式ポンプにおいて、前記吐出ニップルに挿通されるガスケットを有底とし、該ガスケットの底部および側部の少くとも一方に複数の小孔を設けたことを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【請求項11】 ポンプの筐体と、該筐体を貫通して設けられた振動子の両端に固定されたダイアフラムと、前記筐体の左右両側面に形成された前記ダイアフラムを収容するダイアフラム内壁とを具備し、該ダイアフラム内壁の中央部に、前記振動子の長さ方向と垂直な断面とほぼ同じ大きさの孔を開けたことを特徴とする電磁ダイアフラム式ポンプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電磁ダイアフラム式ポンプに関し、特に、小型化、軽量化を図ると共に、作動音を軽減した電磁ダイアフラム式ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電磁ダイアフラム式ポンプ(以下、単に「ポンプ」と呼ぶ)の一例を、図13、図14、および図15を参照して説明する。図13は該ポンプの平面断面図、図14はその側面断面図、図15は図14の左側側面図である。
【0003】ポンプ1は、フレーム2、防音カバー3、およびフレーム2の左右に配置されたヘッドカバー4、5とで、その筐体(ケーシング)を形成している。ヘッドカバー4、5は、それぞれ、ねじ4a、4b、4c、4d;5a、5b、5c、5d(5c、5dは図示せず)により、フレーム2に固定されている。フレーム2の底部にはコアホルダ6、7が植立され、2個の同一サイズのフィールドコア8、9が該コアホルダ6、7によって支持されると共に、ねじ8a〜8c、ねじ9a〜9cによってフレーム2に固定されている。フィールドコア8、9には、それぞれコイル10、11が巻回され、該フィールドコア8、9間には振動子12が設けられている。振動子12の両端には、ダイアフラム15a、15bがそれぞれ固定されるが、このダイアフラム15a、15bの取付け構造、ヘッドカバー4、5の内部の構造などは両者同一構造であるので、これらに関する説明は図示の左側の構造のみを説明し、右側の構造の説明は省略することにする。
【0004】振動子12の端部には、2枚一組の第1、第2のセンタプレート13、14が固定されていて、該第1、第2のセンタプレート13、14の間にダイアフラム15aが挟み込まれている。ダイアフラム15aはディスク状であり、その外周すなわちリム部は、フレーム2に嵌め込まれたリング16と前記ヘッドカバー4とによって挟み込まれている。すなわち、振動子12は、その両端がダイアフラム15a、15bによってフレーム2に固定、支持されている。
【0005】振動子12の端部には、ダイアフラム15aとヘッドカバー4とによって囲まれた圧縮室17が形成されている。圧縮室17の壁面には、空気を圧縮室17に取込むための2個1組の吸入口19が設けられ、該吸入口19には圧縮室17側に撓んで吸入口19を開く弁(図示せず)が設けられている。また、該圧縮室17の壁面には、圧縮室17から圧縮空気を吐出するための2個1組の吐出口20が設けられ、該吐出口20には圧縮室17の外側に撓んで吐出口20を開く弁(図示せず)が設けられている。
【0006】ヘッドカバー4には、空気を取込むための吸入ニップル21と、圧縮空気を吐出するための吐出ニップル22が設けられている。前記振動子12には、極性が互いに逆になるように磁化された永久磁石31、32が固定されている。前記コイル10、11には、電源リード線33を通じて図示しない交流電源から電流が供給される。電源リード線33はリード線保護チューブ34を被覆されてポンプ1内に導入され、ポンプ1内でコイルリード線35に分割されて、前記コイル10、11に接続されている。
【0007】ポンプ1は防振のためゴムなどの弾性体からなる脚40を介してブラケット41に固定されている。このブラケット41は所望の位置に取付けられ、ポンプの運転が行われる。
【0008】ポンプの運転は、電源リード線33を通じてコイル10、11に商用周波数の電流が供給されると開始され、この電流の供給によりコの字型のフィールドコア8、9の両端部、すなわち前記振動子12の対向部に、該振動子12に固定されている永久磁石を吸引、反発する極性の磁極が交互に発生し、該振動子12は前記商用周波数で左右に振動する。この振動に応じて、ダイアフラム15a、15bは圧縮室17内の空気を圧縮し、圧縮された空気は吐出口20、吐出ニップル22を経て吐出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来のポンプには、下記のような課題がある。
(1) ポンプ内に、コイルを巻回された2個の同一サイズのフィールドコア8、9が設置されているので、ポンプのサイズが大きくなると共に、ポンプが重くなる。
【0010】(2) フィールドコア8、9、ヘッドカバー4、5などをフレーム2に固定するために他数個のねじが使用されているので、組立て作業が煩雑になると共にポンプのコストが高くなる。例えば、フィールドコア8、9を固定するためにねじが6本(8a〜8c;9a〜9c)、ヘッドカバー4、5を固定するためにねじが8本(4a〜4d;5a〜5d)使用されている。
【0011】(3) フィールドコア8、9が収容されている室を通って外部に漏れるダイアフラム15a、15bの振動音が大きい。
(4) (1) で述べたように、ポンプのサイズが大きいため、圧縮空気の脈動を平滑化するためのチャンバータンクを吐出ニップル22にパイプを介して接続しなければならず、装置が大型および煩雑になると共に高価になる。また、ポンプとチャンバータンクを設置するためのスペースが大きくなる。
【0012】この発明の目的は、前記した従来技術の問題点を解決する電磁ダイアフラム式ポンプを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成するために、本発明は、ポンプの筐体と、該筐体内に収納された、中央巻芯部にコイルを巻回されたE型コア、および該E型コアと対向し、かつ所定間隔離して配置されたコイルを巻回されないE型形状のバックコアと、前記E型コアとバックコアとの間に配置された永久磁石を保持する振動子と、該振動子の両端に固定されたダイアフラムとを具備し、前記ポンプの筐体内に収納されるコアが、前記E型コアとバックコアの一対のみとした点に第1の特徴がある。この特徴によれば、ポンプの圧縮流体の吐出能力を低下させることなく、前記筐体に収納される前記バックコアおよび筐体を小型化することができる。
【0014】また、本発明は、前記E型コアと前記振動子との間隔を、前記バックコアと前記振動子との間隔より広くした点に第2の特徴がある。この特徴によれば、E型コアとバックコアが振動子の永久磁石に作用する力をほぼ均等にすることができ、振動子の振動をスムーズにできると共に、該振動子の両端に固定されたダイアフラムを長寿命化することができる。
【0015】また、本発明は、前記ポンプの筐体の側面内側の近傍であってその底面から上方に延びる複数のすり割りリブと、前記すり割りリブと対向する位置に形成された、下方に延びる複数のボスを有する前記筐体のキャップとを具備し、前記キャップのボスを前記筐体のすり割りリブの中に挿入することにより発生する、前記すり割りリブの拡開力により、少なくとも前記E型コアとバックコアの一方を前記筐体に固定するようにした点に第3の特徴がある。この特徴によれば、ねじを使わずにコアを筐体に固定できるようになる。また、コアに、従来のようにねじを通す孔をあける必要がなくなるので、コアの有効磁路を向上することができる。
【0016】また、本発明は、ポンプの筐体と、前記筐体の左右両側面から外方に延びるように形成された複数のフックと、前記筐体の左右両側面のそれぞれに結合されるヘッドカバーと、前記ヘッドカバーの前記筐体に形成されたフックと対向する位置に形成されたフック受入れ孔とを具備し、前記フックを前記フック受入れ孔に挿入することにより、前記ヘッドカバーを前記筐体に結合するようにした点に第4の特徴がある。この特徴によれば、従来のようにねじを用いずに、ヘッドカバーを筐体の側面に固定できるようになる。
【0017】また、本発明は、前記ポンプの筐体の両側面に、圧縮された流体を吐出する吐出ニップルを備えたヘッドカバーが結合され、該ヘッドカバーにチャンバタンクを直接連結した点に第5の特徴がある。この特徴によれば、ポンプの筐体に直接チャンバタンクを連結することができるようになり、従来のようにポンプの筐体にパイプを介してチャンバタンクを連結する必要がなくなる。
【0018】さらに、本発明は、ポンプの筐体と、該筐体を貫通して設けられた振動子の両端に固定されたダイアフラムと、前記筐体の左右両側面に形成された前記ダイアフラムを収容するダイアフラム内壁とを具備し、該ダイアフラム内壁の中央部に、前記振動子の長さ方向と垂直な断面とほぼ同じ大きさの孔を開けた点に第6の特徴がある。この特徴によれば、ダイアフラム内壁に開けられた孔が従来のものより大幅に小さいので、ダイアフラムの振動音が筐体を通って外部に逃げるのを大幅に低減でき、静かなポンプを提供することができるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は本発明のポンプの一実施形態の平面断面図、図2はその側面断面図、図3は図2の左側側面図である。
【0020】ポンプ50は、周囲の四側面と底面とが合成樹脂等で一体成型された筐体(ハウジング)51を有している。この筐体51の左右側面には、内方にラッパ状に延びるダイアフラム内壁52a、52bが形成されている。該ダイアフラム内壁52a、52bの中央底部には、後述する振動子を通す例えば矩形の孔があけられている。筐体51の底面の4隅に連なる左右両側には、小面積の台座53a,53b;54a,54bが形成されており、これらの台座のそれぞれに、上方に延びるすり割りリブ55a,55b;56a,56bが植立されている。このすり割りリブは、中空でかつその長さ方向に2分割されている。このリブの上方からボスが挿入されると、リブは弾性的に外側に広がるが、その反発力で該ボスを食わえ込む働きをする。筐体51の左右両側面には、ヘッドカバー71a、71bが、従来のようにねじを使わずにフックを用いて固定される。その詳細は、後述する。
【0021】筐体51内には、E型コア57とE型形状のバックコア58が所定の間隔をおき、かつE型コアの中央巻芯部およびその両側が互いに対向する配置で収納される。E型コア57の中央巻芯部にはコイル59が巻回されるが、バックコア58にはコイルは巻回されない。E型コア57とE型形状のバックコア58は、左右の外側側面に、前記すり割りリブの外周の一部と同じ形状の弧状凹溝57a,57b;58a,58bが形成されている。E型コア57とE型形状のバックコア58を筐体51内に収容する時には、前記弧状凹溝57a,57b;58a,58bがすり割りリブの外周と接触するように入れられ、またこれらのコアの底面が前記台座53a,53b;54a,54bの一部に掛かるように着座される。
【0022】前記E型コア57とE型形状のバックコア58の間には、2個の永久磁石61、62が固定されその間に窓63aが形成された、断面が矩形状の振動子63が配置されている。振動子63の両端には、2枚一組の第1、第2のセンタプレート64a,64b;65a,65bが固定されていて、該第1、第2のセンタプレート64a,64bの間にダイアフラム66aが、第1、第2のセンタプレート65a,65bの間にダイアフラム66bが挟み込まれている。ダイアフラム66a,66bはディスク状であり、その外周すなわちリム部は、前記ダイアフラム内壁52a、52bの外周円環部と、前記ヘッドカバー71a,71bとによって挟み込まれている。すなわち、振動子63は、その両端がダイアフラム66a、66bによって,筐体51に固定、支持されている。
【0023】振動子63の両端部には、ダイアフラム66aとヘッドカバー71a、ダイアフラム66bとヘッドカバー71bとによって囲まれた圧縮室72a,72bが形成されている。圧縮室72a,72bの壁面には、空気を圧縮室72a,72bに取込むための2個1組の吸入口73a,73bが設けられ、該吸入口73a,73bには圧縮室72a,72b側に撓んで吸入口73a,73bを開く弁74a,74bが設けられている。また、該圧縮室72a,72bの壁面には、圧縮室から圧縮空気を吐出するための2個1組の吐出口75a,75bが設けられ、該吐出口には圧縮室72a,72bの外側に撓んで吐出口を開く弁76a,76bが設けられている。
【0024】筐体51の底部には、流体(例えば、空気)を取込むための2個の流体吸入口81(図2参照)が形成されており、該流体吸入口81から吸入された流体は、筐体51と一体に形成されたガイド60a,60bおよび吸入室を通って、前記吸入口73a、73bに導かれる。一方、前記吐出口75a、75bから吐出された流体は、ヘッドカバー71a、71bに設けられた吐出ニップル77a,77b、該吐出ニップル77a,77bに挿着されたガスケット78a,78bを経てチャンバタンク90に導かれる。チャンバタンク90は吐出ニップル77a,77bから入ってきた圧縮流体の脈動を平滑化して、吐出口91から吐出する。
【0025】筐体51の上部には、図2に示されているように、キャップ82が装着される。この装着は、キャップ82の下面に植立された4本のボス83a〜83d(83bのみ図示)を、前記すり割りリブ55a,55b,56a,56bに挿入し、フック84a,84bを筐体51に形成された係合孔に係合させることにより行われる。
【0026】前記コイル59には、電源リード線100を通じて図示しない交流電源から交流電流が供給される。電源リード線100はリード線保護チューブ101を被覆されてポンプ50内に導入され、ポンプ50内でコイル59と接続される。
【0027】ポンプ1は防振のためゴムなどの弾性体からなる脚110を介してブラケット111に固定されている。このブラケット111は所望の位置に取付けられ、ポンプの運転が行われる。
【0028】ポンプの運転は、電源リード線100を通じてコイル59に商用周波数の電流が供給されると開始され、この電流の供給によりE型コア57およびバックコア58の両側の対向部に、該振動子63に固定されている永久磁石61、62を吸引、反発する極性の磁極が交互に発生し、該振動子63は前記商用周波数で左右に振動する。この振動に応じて、ダイアフラム66a,66bは圧縮室72a,72b内の流体を圧縮し、圧縮された流体は吐出口75a,75b、吐出ニップル77a,77bを経て吐出される。
【0029】さて、本実施形態のポンプ50においては、振動子63の駆動機構を、一対の電磁石、つまりコイル59が巻回されたE型コア57と、コイルが巻かれていないバックコア58とから構成し、バックコア58の振動子方向の突出幅をE型コア57の同方向の幅に比べて小さくした。例えば、該バックコア58のコア突出方向の幅をE型コア57の同方向の幅の約1/2にした。これにより、ポンプ50の筐体51のサイズを、従来装置に比べて大幅に小形化できると共に軽量化、低コスト化できた。
【0030】また、前記の構成にすると、コイル59が巻回されたE型コア57から発生される磁気力は、コイルを巻かれていないバックコア58に誘起される磁気力より大きくなる。そこで、本実施形態では、E型コア57と振動子63間の間隔D1(図1参照)を、バックコア58と振動子63間の間隔D2 より大きくし、E型コア57とバックコア58が、振動子63に固定されている前記永久磁石61、62を吸引する吸引力および反発する反発力が、両者でほぼ等しくなるようにした。例えば、E型コア57と振動子63間の間隔D1 を、バックコア58と振動子63間の間隔D2 の約1.5倍とした。これにより、振動子63はE型コア57と振動子63のいずれか一方に偏ることなく、E型コア57とバックコア58の間をバランス良く振動するようになる。この結果、振動子63の両端を支持するダイアフラム66a、66bには、振動子63に起因する半径方向の不均一な力が発生しなくなり、ダイアフラム66a、66bを長寿命化できると共に、ダイアフラム66a、66bをスムーズに振動させることができるようになり、流体圧縮の出力効率を向上させることができるようになる。
【0031】図4は、図1のA−A断面図である。この図は、前記すり割りリブ55b、台座53b、および該台座53bに着座するE型コア57の位置関係を示す図であり、E型コア57の外側側面のすり割りリブ55bとの接触部に、すり割りリブ55bの外側の輪郭の一部と同形の凹溝57bが形成されている。E型コア57の外側側面のすり割りリブ55aとの接触部、バックコア58の外側側面のすり割りリブ56a、56bとの接触部にも、前記と同様の凹溝57a;58a,58bが形成されている。
【0032】図5は前記キャップ82の平面図、図6は図5のB−B線断面図を示す。キャップ82はほぼ四角形の形状をしており、図1に示したすり割りリブ55a,55b,56a,56bと対応する位置に、ボス83a,83b,83c,83dが設けられている。また、前記四角形の4隅近辺の所定の位置に、フック84a,84b,84c,84dが設けられている。このキャップ82をポンプ50に装着する時には、図2に示されているように、ボス83a,83b,83c,83dがすり割りリブ55a,55b,56a,56bの中空部に挿入するように位置合わせして、キャップ82が筐体51に押圧される。そうすると、すり割りリブ55a,55b,56a,56bがボス83a,83b,83c,83dを食わえ込む力と、フック84a,84b,84c,84dの筐体51の係合孔84a' ,84b' ,84c' ,84d' (図8(a) 参照)に対する係合により、キャップ82は筐体51に固着される。
【0033】この時、すり割りリブ55a,55b,56a,56bはボス83a,83b,83c,83dの挿入により、外側に拡開する。そうすると、すり割りリブ55a,55b,56a,56bは、E型コア57とバックコア58の前記凹溝57a、57b;58a,58bに入り、E型コア57とバックコア58を、図1から明らかなように両側から強く挟み込む。この結果、E型コア57とバックコア58は挟着され、筐体51に固定される。なお、85a,85bは前記チャンバタンク90の上部に設けられた突起90a,90bに係合する係合孔である。
【0034】したがって、本実施形態によれば、ねじを用いることなく、キャップ82とE型コア57とバックコア58とを、筐体51に固定できるようになる。また、従来のように、E型コア57とバックコア58にねじ8a〜8c、9a〜9c(図13参照)を挿入するための孔が不要になるので、該E型コア57とバックコア58から効率的に磁気力を発生させることができるようになる。逆に言えば、従来と同等の磁気力を発生させるためには、従来より小さなサイズのE型コア57とバックコア58を用いればよいことになる。
【0035】次に、前記筐体51の形状を、図7、図8、図9を参照して説明する。なお、これらの図中の図1〜図3と同一の符号は、同一または同等物を示す。図7は筐体51の平面図、図8(a) は側面図、同図(b) は(a) 図の左側側面図、図9は底面図を示す。
【0036】図示されているように、筐体51の左右両側面には、それぞれ1本のガイド60a,60bと、4本のフック121a,121c,121a' ,121c' ;121b,121d,121b' ,121d' とが、外側に突出するように筐体51と一体に形成されている。86は、前記チャンバタンク90の下面であって筐体81寄りに形成された突起と係合する係合孔である。また、図8(b) から明らかなように、ダイアフラム内壁52aの中央部には、振動子63を通すための矩形の孔52a' が開けられている。この孔は、従来装置では、ダイアフラム内壁52aの外周の大きさに開けられていたが、本実施形態では、振動子63を通すだけの小さい面積にされている。筐体51の右側側面のダイアフラム内壁52bにも、同面積の矩形の孔が開けられている。このため、ダイアフラム66a,66bの振動音が、筐体51の内部、すなわちE型コア57、バックコア58等が収容されている室に入る量を極力低減できる。この結果、ダイアフラム66a,66bの振動音がこの室を通って筐体51の外部に漏れるのを極力低減できるようになり、静かなポンプを提供できるようになる。
【0037】次に、図10は筐体51の左側側面に結合されるヘッドカバー71aの正面図、図11は図10のC−C線断面図である。なお、筐体51の左側側面に結合されるヘッドカバー71bも同構成であるので、説明を省略する。
【0038】図10に示されているように、ヘッドカバー71aの4隅には、筐体51の側面に設けられた4本のフック121a,121c,121a' ,121c' を挿通するフック受入れ孔122a,122c,122a' ,122c' が開けられている。また、図11から明らかなように、吸入口73aと連なる壁には、前記ガイド60aを挿通するガイド挿通孔60a' が開けられている。このガイド挿通孔60a' の大きさは、ガイド60aの外径と等しくされている。
【0039】ヘッドカバー71aを筐体51の側面に結合する時には、ヘッドカバー71aのフック受入れ孔122a,122c,122a' ,122c' が、筐体51に設けられたフック121a,121c,121a' ,121c' と対向するように位置合わせされ、ヘッドカバー71aは筐体51の側面に押圧される。そうすると、前記ガイド60aがガイド挿通孔60a' に案内されて、フック121a,121c,121a' ,121c' が、それぞれ、ヘッドカバー71aのフック受入れ孔122a,122c,122a' ,122c' まで到達する。続いて、ヘッドカバー71aがさらに強く筐体51の側面に押圧されると、フック121a,121c,121a' ,121c' が弾性的にフック受入れ孔122a,122c,122a' ,122c' と結合され、抜け止めにより抜けなくなる。このように、本実施形態によれば、従来装置のように1本のねじも使用せずに、ヘッドカバー71a、71bを筐体51の側面に固定できるようになる。
【0040】図12は、前記吐出ニップル77a,77bの先端に挿着するガスケット78a,78bの変形例を示す。同図(a) は断面図、(b) は正面図を示す。図示されているように、ガスケット78a,78bは有底の円筒形状をしており、その先端である底部78a' には、例えば7個の小孔79aが開けられている。また、該先端近傍の側面には例えば2個の小孔79bが開けられ、前記底部と側面に開けられた合計で9個の孔により、吐出流体が支障なくチャンバタンク90に導入されるようになっている。本変形例では、ガスケット78a,78bに前記した小孔を設けたので、従来のような底部78a' のないガスケットを用いた場合に比べて、圧縮流体が吐出ニップル77a,77bを通ってチャンバタンク90に伝わる弁のたたき音を極力低減でき、静かなポンプを提供できるようになる。
【0041】以上のように、本実施形態によれば、ポンプ内に収容する電磁石を振動子の片側だけとし、該振動子の他の側は該電磁石のコアの半分程度の幅のコイルの巻かれていないバックコアとしたので、ポンプを軽量化、小型化できる。また、この小型化により、従来はポンプからパイプを介して接続されていたチャンバタンクを、パイプを介さずにガスケットを介して該ポンプと一体的に結合することができるようになる。
【0042】また、すり割りリブやフックを用いて、E型コアやバックコア、キャップ、あるいはヘッドカバーを、筐体に固着できるので、従来のように、ねじが不要になる。また、ダイアフラム内壁に開けられた振動子挿通孔の面積を小さくしたり、前記吐出ニップルに挿着するガスケットを有孔ガスケットにすることにより、従来のポンプより大幅に静かなポンプを提供することができるようになる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1、2の発明によれば、コアおよび筐体の小型化と、ポンプの小型化、軽量化とを図ることができるようになる。また、請求項3の発明によれば、振動子の軸方向の振動を滑らかに行わせることができると共に、振動子の両端に固定されたダイアフラムを長寿命化することができる。
【0044】また、請求項4、5の発明によれば、すり割りリブの拡開力により、少なくともE型コアとバックコアの一方を前記筐体に固定できるようになり、従来のようにコアにねじを通すための孔を開ける必要がないので、コアの有効磁路を高めることができるようになる。請求項6の発明によれば、キャップをねじを用いずに筐体に固定することができるようになる。
【0045】また、請求項7の発明によれば、ヘッドカバーをねじを用いずに筐体に固定することができるようになる。請求項8の発明によれば、筐体の左右両側面にフックと同方向に延びる流体導入口を兼ねるガイドを形成したので、ヘッドカバーの筐体側面への取付けを簡単に能率的に行えるようになる。
【0046】また、請求項9の発明によれば、ポンプの筐体にチャンバタンクを直接連結できるようになり、ポンプとチャンバタンクをコンパクトに一体化できる。請求項10の発明によれば、ガスケットの底部および側部の少くとも一方に複数の小孔を設けたので、チャンバタンクに伝わる弁のたたき音を低減でき、静かなポンプを提供することができるようになる。
【0047】また、さらに、請求項11の発明によれば、ダイアフラム内壁の中央部に、前記振動子の長さ方向と垂直な断面とほぼ同じ大きさの孔を開けたので、ダイアフラムの振動音が筐体内部を通って外部に逃げるのを極力低減でき、静かなポンプを提供できるようになる。
【出願人】 【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
【出願日】 平成11年11月8日(1999.11.8)
【代理人】 【識別番号】100084870
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 香樹 (外1名)
【公開番号】 特開2001−132647(P2001−132647A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−316891