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【発明の名称】 冷媒圧縮機
【発明者】 【氏名】池田 満男

【氏名】須田 章博

【要約】 【課題】生産された冷媒圧縮機の保管時、冷媒圧縮機本体に設けられたパイプは従来の封栓構造であるゴム栓の弾力だけでシールしているものは、そのシール性が十分でなかったり、ゴム栓にピンやビスを圧入したものでは圧縮機を使用する時にゴム栓が抜き難いことや、ゴム栓からピンやビスが外し難いため分別廃棄し難かった。

【解決手段】パイプの開口に挿入されたゴム栓にて封止するようにした構造において、ゴム栓の栓部を拡げる圧入部と、軸方向長さが5mm以上の非圧入部とを有するリベットを圧入した構成を備えることによって、リベットの非圧入部をリベット取り外しのための係止部とすことができるので、パイプの開口部を確実にシールすることで外部からの水分侵入を完全に防止し、容易にゴム栓を抜くことことが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷凍サイクル中で吸入した冷媒を圧縮吐出し、循環させる密閉型の冷媒圧縮機であって、生産された冷媒圧縮機の保管時、圧縮機本体に設けられた冷媒吸入パイプ、冷媒吐出パイプ、或いは冷媒補充用パイプ等の開口を、前記開口に挿入されたゴム栓にて封止するようにした構造において、前記ゴム栓の栓部を拡げる圧入部と、軸方向長さが5mm以上の非圧入部とを有するリベットを圧入したことを特徴とする冷媒圧縮機。
【請求項2】 前記リベットの非圧入部には、前記ゴム栓の栓部に圧入される部位よりも太い圧入規制部と、引き抜き用の係止部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷媒圧縮機。
【請求項3】 前記引き抜き用の係止部は、前記リベットの非圧入部に設けた孔で構成されたことを特徴とする請求項2に記載の冷媒圧縮機。
【請求項4】 前記引き抜き用の係止部は、前記リベットの非圧入部の端部が非圧入部の軸径より大きく構成されたことを特徴とする請求項2に記載の冷媒圧縮機。
【請求項5】 前記リベットが金属、合成樹脂、或いはセラミックからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の冷媒圧縮機。
【請求項6】 前記冷凍サイクルがハイドロフルオロカーボンを主成分とする冷媒を用いると共に、この冷媒と相溶性があって吸水性の高い冷凍機油を使用していることを特徴とする請求項1ないし請求項5に記載の冷媒圧縮機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和装置や冷凍装置等に用いられる密閉型の冷媒圧縮機に関し、特に完成した製品の保管時にこの冷媒圧縮機に備わる冷媒吐出、吸入用等のパイプを通しての水分侵入を防ぐために施こすパイプ封止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、密閉型の冷媒圧縮機(以下、圧縮機と略記する)が完成する最後の段階で、この圧縮機に備わる冷媒の吐出、吸入用のパイプや冷媒、冷凍機油の充填用のパイプ、或いは吐出した冷媒を圧縮機に再注入して圧縮機を冷却するためのパイプ(サブクーラーパイプ)等の開口を封栓する工程が行われる。また、完成した圧縮機に冷凍機油を封入して舶便等で輸送する際にも、これらのパイプを封栓するようにしている。
【0003】このパイプを封止するのは、この圧縮機に冷媒、冷凍機油が充填され、空気調和装置等に組み込まれ、始めて冷凍装置として使用される迄の保存期間、或いは船便等での輸送中にこれらのパイプを通して外部から水分が圧縮機内に侵入するのを防ぐためである。
【0004】圧縮機内に残留水分があると、冷却運転時に冷操サイクルのキヤビラリチューブを氷結して閉塞し運転不良となったり、また冷媒と共に循環している冷凍機油を加水分解させ、それによって発生するスラツジにより冷媒管を詰まらせる等の弊害が生まれる。
【0005】ここで、冷媒としては従来より塩素を含むクロロフルオロカーボン(CFC)系やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)系の冷媒が使用されてきたが、塩素がオゾン層を破壊する物質であるため、近年環境保全の立場からこれらの冷媒が世界杓に規制きれている。即ち、従来より冬用されていた冷媒CFC系やHCFC系等は使用禁止とされるため、これに代わって塩素を含まないハイドロフルオロカーボン(HFC)系の冷媒が導入されてきている。
【0006】ところが、冷媒が代わると冷凍機油もこの冷媒と相溶性の良いものに代える必要がある。従来の冷媒では鉱物油が冷凍機油として使われていたが、HFC系の冷媒ではポリエーテルグリコール(PAG)やポリオールエステル系のエステル油が相応しいものとなる。しかしこのエステル油は従来の鉱物油よりも吸湿性の高い油であるため、圧縮機に残留水分があると、このエステル油の加水分解がより促進されてスラツジの生成が増加し、上述したスラッジによる冷媒管路の詰まりをより多発させ、冷凍装置の信頼性の低下に繋がってしまう。
【0007】そこで、完成した圧縮機に対し、より水分を残留させないように保管、維持管理することが、従来の冷媒に代わるHFC系の冷媒を使用する圧縮機にとって重要な課題となっている。
【0008】さて、本発明の実施例の項でも説明するように、図1に示す完成した圧縮機1には冷媒の吐出用のパイプ2と吸入用のパイプ3が、さらに図2に示す完成した別の圧縮機1には冷媒及び冷凍機油を充填させる時に使われるチャージ用パイプ4、また圧縮機1を冷却するために吐出した冷媒の一部を外部で熱交換して再注入させるためのサブクーラパイプ5等が、本体ケース1aあるいは1bの外面に突出して設けられている。そしてこれらパイプを封栓することとなるが、その方法には特開平7−332768号公報に記載されているようなものが知られていた。それは図6の(a)と(b)に示すようなパイプ2と3の開口にゴム栓6aと6bを単に圧入する方法や、図7の(c)と(d)に示すようにゴム栓6aと6bをした後にピン7aやビス7bをゴム栓6aと6bに圧入して、ゴム栓6aと6bを拡げてパイプ2と3への密着度を高める方法等で対応していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来のパイプの封栓構造であるとゴムの弾力だけでシールしているものは、そのシール性が十分でなかったり、ゴム栓にピンやビスを圧入したものでは圧縮機を使用する時にゴム栓が抜き難いことや、ゴム栓からピンやビスが外し難いため分別廃棄し難かった。
【0010】本発明は上記の点に鑑み成されたもので、圧縮機に備わる各種パイプの開口部を確実にシールすることで、外部からの水分侵入を完全に防止でき、このシール作業も容易に行へ、且つ圧縮機の使用時には容易にゴム栓を抜くことができ、さらに分別廃棄も容易に行うことが可能な圧縮機の封栓構造を提供することを目的とし、これによって吸湿性の高い冷凍機油を使用可能とし、従来の冷媒に代わるHFC系冷媒を使用し、フロン規制に応えることのできる圧縮機の提供を実現させ、また完成品の圧縮機の長期保存を可能とし、信頼性を確保できるようにしたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、冷凍サイクル中で吸入した冷媒を圧縮吐出し、循環させる密閉型の冷媒圧縮機であって、生産された冷媒圧縮機の保管時、圧縮機本体に設けられた冷媒吸入パイプ、冷媒吐出パイプ、或いは冷媒補充用パイプ等の開口を、この開口に挿入されたゴム栓にて封止するようにした構造において、ゴム栓の栓部を拡げる圧入部と、軸方向長さが5mm以上の非圧入部とを有するリベットを圧入した構成を備えることによって、リベットの非圧入部を取り外しのための係止部とするものである。
【0012】請求項2にかかる発明は、リベットの非圧入部には、ゴム栓の栓部に圧入される部位よりも太い圧入規制部と、引き抜き用の係止部とを備えることによって、リベット圧入量の規制と取り外しを容易にするものである。
【0013】請求項3にかかる発明は、引き抜き用の係止部は、リベットの非圧入部に設けた孔で構成されたことによって、リベットの取り外しを容易にするものである。
【0014】請求項4にかかる発明は、引き抜き用の係止部は、リベットの非圧入部の端部が非圧入部の軸径より大きく構成されたことによって、リベットの取り外しを容易にするものである。
【0015】請求項5にかかる発明は、リベットが金属、合成樹脂、或いはセラミックからなることによって、リベットの製造及び使用環境に合わせるものである。
【0016】請求項6にかかる発明は、冷凍サイクルがハイドロフルオロカーボンを主成分とする冷媒を用いると共に、この冷媒と相溶性があって吸水性の高い冷凍機油を使用していることによって、フロン規制に対応するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図を参照して説明する。なお、同一構成に関しては同一符号を用いる。
【0018】図1及び図2において、完成した圧縮機1には前述したように本体ケース1aと1bに機能別の各種のパイプ2,3,4,5等が設けられている。13は圧縮機1を設置固定するための固定脚を示す。
【0019】図3の(e)及び(f)は本発明に係る封栓構造を示す。ここで(e)及び(f)は封栓構造のゴム栓とリベットの形状がそれぞれ異なる例を示しており、封栓されるパイプとして吐出用のパイプ2を例に取り説明する。
【0020】12はこのパイプ2に挿入されその開口を封栓するゴム栓で、栓部12aと栓頭部12b及び挿入治具用の孔12cとを有している。勿論この栓体と同様のものが他のパイプ3,4,5にも挿入されて封栓される。
【0021】さらに本発明のゴム栓12には、パイプ2に挿入されている栓部12aを常時拡げるように作用するリベット8がゴム栓12の挿入治具用の孔12c内に圧入されている。即ち、具体的にはパイプ2に挿入された状態のゴム栓12の挿入治具用の孔12cの内径よりも大きい外径を有するリベット8を圧入することで、これによって栓部12aも拡がり、その栓部径が径大となってパイプ2の内面に強く密着し、パイプ2に対するシール性は大幅に高まる。
【0022】一方、このリベット8はゴム栓12への圧入部8aと軸方向の長さが5mm以上の非圧入部8bとから成り、非圧入部8bには圧入部8aよりも大きい径を有した圧入量を規制する規制部8cと、圧入したリベット8の引き抜きを容易にする係止部8dとを備えている。
【0023】図4及び図5はリベット8の非圧入部8bの形状が異なる例を示したもので、図4は非圧入部8bの径が圧入部8aよりも一段大きい径を有している形状で、この径の大きくなった部位が規制部8dとして機能している。また、図5は非圧入部8bの圧入部8a側の外周に圧入量を規制する凸形状である規制部8cを有したものである。また、リベット8の引き抜き用の係止部8dの形成例として、図中(g)と(j)が非圧入部8bに備えた孔であること、(h)と(k)が非圧入部8bの端部側を径方向に潰した形状であること、(i)と(m)が非圧入部8bの端部側を軸方向に潰した形状であることを示している。
【0024】これにより、圧縮機の使用時には係止部8dに引き抜き用の工具等をセットでき、容易にリベットを抜くことができ、さらにゴム栓12とリベット8との分別廃棄も容易に行うことが可能となる。
【0025】また、リベット8の材質も上記リベットの形状との組み合せで、金属、合成樹脂、或いはセラミックの何れかを選択することによって、リベットの製造方法として例えばプレス、成型機、燒結などを選択でき、さらに使用環境として例えば冷凍機油及び冷媒の種類、保管及び輸送時の温度等に合わせることができ、低価格で作業性の良いパイプ封止装置を提供することが可能となる。
【0026】これによって、吸湿性の高い冷凍機油を使用可能とし、従来の冷媒に代わるHFC系冷媒を使用し、フロン規制に応えることのできる圧縮機の提供を実現させ、また完成品の圧縮機の長期保存を可能とし、信頼性を確保することができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、冷凍サイクル中で吸入した冷媒を圧縮吐出し、循環させる密閉型の冷媒圧縮機であって、生産された冷媒圧縮機の保管時、圧縮機本体に設けられた冷媒吸入パイプ、冷媒吐出パイプ、或いは冷媒補充用パイプ等の開口を、この開口に挿入されたゴム栓にて封止するようにした構造において、ゴム栓の栓部を拡げる圧入部と、軸方向長さが5mm以上の非圧入部とを有するリベットを圧入した構成を備えることによって、リベットの非圧入部をリベット取り外しのための係止部とすことができるので、パイプの開口部を確実にシールすることで外部からの水分侵入を完全に防止し、容易にゴム栓を抜くことことが可能になる。
【0028】請求項2の発明によれば、リベットの非圧入部には、ゴム栓の栓部に圧入される部位よりも太い圧入規制部と、引き抜き用の係止部とを備えることによって、リベット圧入量の規制とゴム栓及びリベットの取り外しとを容易にすることが可能になる。
【0029】請求項3の発明によれば、引き抜き用の係止部は、リベットの非圧入部に設けた孔で構成されたことによって、リベットの取り外し用に特別な工具を必要とせずに容易に係止でき、ゴム栓及びリベットを取り外すことが可能になる。
【0030】請求項4の発明によれば、引き抜き用の係止部は、リベットの非圧入部の端部が非圧入部の軸径より大きく構成されたことによって、この係止部にリベットの取り外し用の工具等を容易に係止でき、ゴム栓及びリベットを取り外すことが可能になる。
【0031】請求項5の発明によれば、リベットが金属、合成樹脂、或いはセラミックからなることによって、この材質とリベットの形状との組み合せで、製造方法及び使用環境に適した低価格で作業性の良いパイプ封止装置を提供することが可能となる。
【0032】請求項6の発明によれば、冷凍サイクルがハイドロフルオロカーボンを主成分とする冷媒を用いると共に、この冷媒と相溶性があって吸水性の高い冷凍機油を使用していることによって、冷凍機油を封入済の冷媒圧縮機を使用しても、長期保存、長期輪送中に水分の侵入を確実に防止できるので、容易にフロン規制に対応することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成11年11月1日(1999.11.1)
【代理人】 【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
【公開番号】 特開2001−132644(P2001−132644A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−310909